第3部 9人の勇士 36人の猛将
   〜第2話 地球と火星と2〜
    火星政府本社跡地。
   9人の戦士達は目的地へと到着した。しかし特に目立ったものはなく、どうやら偽りの情報で
   あったようだ。
ジェイン「何もありませんね。」
ナイラ「とにかく全て探索しましょう。私・アキナさん・ガルバードさんはここで待機、後の6人は
    半分に分かれ行動を開始して下さい。」
8レイヴン「了解。」
   各自チーム分けをし、散開して探索に移った。

    火星政府本社もレオス・クライン騒動が起きる以前は機能しており、周りを取り囲むように
   アリーナや企業などが密集していた。
    しかし騒動後は完全な廃墟と化し、殆どがハーレム状態になる。
   新火星政府本社は別の拠点へと移り、元火星政府本社跡地は無法地帯となっていった。
    今ではテロリストなどが根城にする巣窟で、火星の住人は誰も近付こうとしない。

    上空に低い爆音を響かせながら、3機のサンクチュアリ級航空機が飛来。
   それを見たナイラは何らかの合図を送る。
アキナ「火星本社からの支援ですか?」
ナイラ「そうです。2機は高々度から辺り一帯を監視。残りの1機は地上で待機し、補給などに備え
    ます。」
ガルバード「何事もなさそうですが・・・。」
ナイラ「なら尚更構いませんよ。」
   苦笑いを浮かべ、ナイラが微笑む。しかし彼女の感は当たりつつあった。

    地球ロストフィールド。
   ミナを中心に9機のACが探索し、上空を3機のサンクチュアリ級航空機が待機する。
    かつてユウトが依頼によりヴィクセン・ファンタズマ・ナインボール=セラフを撃破した
   場所へと向かう。
エリディム「先輩がいて下されば安心です。」
レイス姉「直接的には動きません。あくまでサポートと割り切って下さい。」
    不動の心構えとなったレイス姉。トーンダウンした声が一同の気を引き立たせる。今の彼女
   は全盛期の漆黒の魔女そのものだ。
アニー「しかし何を調査したらいいのか・・・。」
ユウタ「そんなもんですよ。自分らの目的はあやふやですが、必ず敵が出るのは事実。今までに何度
    となくそういった場面に遭遇していますし。」
ミュリナル「敵は分からず仕舞いですか・・・。」
   来るであろう敵の姿が分からない一同。それは火星側チームも同様であった。

エリディム「しかし荒れ放題ですね・・・。」
    凄まじいほど無法地帯と化している。かつては都市として機能していたのであろう、数々の
   ビル群や施設などがそのままの形で残っている。
   どれもかなりの間放置されていたらしく、どれもが無惨にも朽ちていた。
ミナ「ユウトさんが仰るには、依頼を受けた後ここは破棄されたとの事です。まあ過去の遺物が封印
   されていた場所ですし。」
ディーン「それをデア一味が掘り出した訳か。」
レイス姉「掘り出したというよりは、再設計したと考えていいでしょう。」
ウェイリン「となると・・・どこかに設計図や製造場所などがあるという事で?」
レイス姉「ですね。」
   一同はとりあえず製造関連とも言える施設を探索しだす。一部にはまだ稼動可能な施設が存在
   するかも知れないと直感したのである。
   不測の事態をも想定しつつ、面々は注意深く探索を続けた。

    直後ミナの携帯端末が鳴り響く。ミナは慌てて携帯端末を手に取り、通信を開始した。
   またそれらが聞こえるようにオンフックにし、内部通信を通してその場にいる全員に聞こえる
   ように計らった。
ミナ「こちら地球チーム、どうされました?」
レイシェム「火星チーム側から通信で、元火星政府本社跡地から大量のディソーダーが出没。現在
      デュウバ様マイア様ウィン様が現地に向かわれました。そちら側にも出没する可能性が
      ありますので、ビィルナ様とライディル様が増援で向かわれました。十分にお気を付け
      下さい。」
   戦場での不測の事態は付きものだ。それはレイヴンにとって当たり前のもの。この例も起こる
   べきして起きたのだ。
   不安の顔を隠しきれない面々だが、どこか好奇心も沸いていた。
レイス姉「ミナさん、航空機を2機上空で待機。1機は地上に着陸させて下さい。」
ミナ「了解!」
レイス姉「火星がディソーダーとなると、こちらは新型生体兵器の可能性が高いか・・・。」
   いつになく気迫溢れる表情でウインドのような発言をするレイス姉。
   その言動には圧倒される面々だが、中核となる人物がいてくれるのは非常にありがたい事で
   ある。それは新米レイヴン一同そう思った。
レイス姉「いつ敵が来るか分かりません。万全な体制で戦闘態勢に移れるようにして下さい。」
一同「了解!」
   レイス姉は心中で震え上がっていた。しかし表には全く出さず、むしろ冷静かつ慎重に行動
   している。
   メルアに後押ししてもらった彼女に、外見上の不安の色は微塵もなかった。

    今より数分時間は遡り、火星チームは丁度突如湧いたディソーダーと交戦し始めていた。
   ディソーダーとの交戦を知らないレイヴン達は焦ってはいたが、先輩格レイヴンが上手く誘導
   し迅速に殲滅していく。
アリナス「こ・・これがディソーダー・・・?」
アマギ「生体兵器ロック可能な頭部パーツを持たない機体は厳しい戦闘になりますよ。」
ガルバード「ありゃま・・・うちの機体は搭載されてないわ。」
サーベン「なんのぉ、目視で十分っ!!!」
ジェイン「あまり羽目を外しすぎるなよ。」
    死闘中の一同だが、3人の会話で笑いが込み上げる。
   特にサーベンは猪突猛進タイプであると同時に、皆を支えるムードメーカー的存在であった。
    手当たり次第に射撃していくクウェイナイトアルオーンだが、敵の侵攻を阻止するには十分
   すぎるほどの役であった。
クレス「湧いて出てくる場所は1つなのが救いですね。」
アキナ「しかし数が多すぎる・・・。」
ジェイン「単発武装のうちらには厳しいな・・・。」
   殆ど消耗戦に近かった。単発に威力が優れるメンバーはいたが、長期戦闘に対応した装備を
   持っていたのはサーベンのみである。
サーベン「俺が時間を稼ぐ。補給などを済ませるんだ。」
    一端攻撃を止めるとブースターダッシュで一同の前へと進み出る。その後脚部を地面にめり
   込ませるほどの勢いで着地、その地点から全武装を駆使して敵を迎撃していく。
    ヘッドパーツに生体兵器センサーを搭載していないクウェイナイトアルオーン故に、複数の
   ディソーダーを射撃していくには十分なものであった。
バレヴ「サーベンさん、弾薬はどのぐらいですか?」
サーベン「左肩のチェインガンがあと50発。それ以外は100発以上ありまっせ。」
バレヴ「了解、補給を担当します。」
   予備のマガジンを持ち、バレヴは愛機をクウェイナイトアルオーンに近付ける。
   既に全弾発射中の機体の合間を見て、迅速にマガジンの換装をしていく。
バレヴ「左肩補給完了。」
サーベン「ありがてぇ、右手右肩のもなくなったらよろしくたのまぁ!」
    正に固定砲台の如く大量の弾丸を発射するクウェイナイトアルオーン。辺りには射撃と同時
   に射出された大量の薬莢が散乱している。
   他の面々はサーベンが破壊し損ねたディソーダーを遠方から狙撃していく。
    しかし前面に出ているサーベンは敵の集中砲火を浴びており、いくら機体が頑丈であっても
   そう長くは持たない雰囲気を出し始める。

ナイラ「サーベンさん、そろそろ引き上げて下さい。機体が保ちません。」
サーベン「そうだな、一端機体修復に向かうわ。」
    サーベンは両肩のチェインガン射撃を止め、右腕マシンガンのみの掃射に切り替える。
   その後ゆっくりとその場から後退しようとした。
    直後大音響と共に目の前の穴が爆発し、中から大小のディソーダーが大量に出現しだした。
シュイル「な・・?!」
バレヴ「アーマイゼとビーネ以外に、ビーネ大型が出現だと?!」
サーベン「やはり動くのはマズいな。」
    後退するのを止め再び全弾射撃の構えをとるサーベン。夥しい弾丸がディソーダーを撃ち
   抜き破壊していく。
   と同時にクウェイナイトアルオーンもかなりの損傷を受け左腕のエネルギーシールドが過度の
   攻撃により爆発。その衝撃で左腕の肘から下側が粉々に吹き飛んだ。
シュイル「サーベンさんっ!」
サーベン「構わんっ、コアさえ無傷なら死にはしない。ここは食い止める、360度から敵を射撃
     してくれっ!」
    その発言を聞きナイラは上空に待機中の航空機2機に通信を入れる。
   直後ディソーダー向けてレーザー砲を射撃、湧き出してくるディソーダーを数十体纏めて破壊
   していった。
アマギ「ナイラ嬢。この数だと敵を統率する輩がいると思われます。この火星本社には地下施設と
    いったものはないのですか?」
ナイラ「分かりません。自分は地球中心に動いていましたので、火星の事はあまり詳しくはないの
    です。」
   ナイラは火星の出身ではなく、地球の出身である。火星の事を詳しく知っているのは、現地で
   幼少から育ったマイアのみであろう。

    それを見透かしたかの如く、別の航空機2機が戦場へと到着。
   1機は着陸し、もう1機は攻撃中の2機と共同戦線を行いだした。
マイア「ここの地下には火星ジオマトリクス本社同様、ディソーダーに関する研究施設があります。
    しかしユウト兄が火星本土争乱を集結させた時、破壊されたとの事です。」
    着陸した航空機からブロークンブレイダーがブースターダッシュで近づいてくる。その際に
   火星政府本社に関する事を内部通信にて一同に話した。
デュウバ姉「統率者を倒さない限り無限に湧くようです。まずは統率者を倒しましょう。」
ナイラ「了解。」
    ナイラはシュイル・ガルバード・アキナを呼び、補給を開始させる。自分を含めた3人で別
   ルートから本社内部へと侵入する事にした。

ウィン「サーベン様、一端お引き下さい。壊れた腕と盾、そして機体を換装して下さい。その間の
    敵は私が引き付けます。」
    今までに見た事のないウィンの闘気に一同は驚いた。言葉には優しさが込められているが、
   行動は鬼神の如く動いている。
    サーベンと違いディソーダーをロックすると確実に仕留めていき、撃ち漏らした敵は自ら
   接近しブレードによる斬撃で破壊していく。
   常に動いているため被弾は少なく、また航空機からの援護射撃を受けずに済んでいる。
    猪突猛進のサーベンだが退き際はしっかりと弁えている。ウィンが代わりを務めてくれた事
   により、迅速に着陸中の航空機に接近。破損した機体を修復しだした。
ナイラ「後をお願いします。」
デュウバ姉「了解。マイアちゃんも一緒に向かいなさい。」
マイア「はいな。」
   ナイラ達はマイアをナビゲーターとし、ここから離れた場所から内部へと侵入していった。
   本社内部は電源供給がなく、コアユニットのライトによる光源で周りを照らす。
   別部隊は慎重かつ迅速に奥へと進んでいった。

ウィン「これはキリがないですね・・・。」
アリナス「ウィンさん深追いはしないで下さいよ。」
ウィン「弁えてます。」
    再び爆発と共に今まで以上のディソーダーが出没。現時点の火力では殲滅できないほどに
   膨れあがった。
ウィン「何とか・・・ナイラ様達が戻られるまでは時間を稼がないと・・・。」
サーベン「俺に任せな。」
    ウィンの愛機シャドウフェニックスの頭上から複数のグレネード弾が目の前のディソーダー
   に着弾。大爆発を巻き起こし敵は飛散した。
    後方から無限軌道方式によるキャタピラ音が響き、サーベンが脚部を走行系ユニットへと
   換装したとウィンは直感した。
   だがサーベンはとんでもないやり方で登場していたのである。
    脚部最高積載量のタンクタイプ脚部を左右に並ばせ、その上にクウェイナイトアルオーンが
   両肩チェインガンの構えの姿勢を取っている。
    左腕破損箇所は修復しているがエネルギーシールドは装備していない。同様に右腕にも武装
   はなかった。
   だが機体の両脇にはロンググレネードランチャーを抱えている。その後ろ側には見た事のない
   ボックスが両肩両脇ランチャーのマガジン役割をしており、その荷重に耐えられるように走行
   系ユニット2つを両足に付けていたのだ。
    今までに見た事のないその出で立ちその戦術に一同は呆気に取られた。
   しかし行動が凄さを物語っており、次々に撃ち出されるグレネード弾や弾丸がディソーダーを
   薙ぎ倒していった。
クレス「な・・・。」
ウィン「よ・・よくぞまあ・・・。」
サーベン「シェガーヴァの旦那やライディルの旦那が考案してくれた新スタイルだ。火力は今までの
     数倍にはなるが、動きは今まで以上に動けなくなる。また荷重もあり組めなさそうだが、
     マガジンに荷重を載せれば解決できた。キャタピラ2台分を連動起動させる分操作が非常
     に難しいけどね。」
    話しつつも動きを止めないサーベン。
   クウェイナイトアルオーン改はシャドウフェニックスの前へと進みでると、手当たり次第に
   ディソーダー薙ぎ倒す。ウィンの動きを見てか左右に動きつつ射撃するので、今までよりは
   被弾が少ない。
   大雑把でガサツな戦略だが、それが1対複数戦には通じているのである。
サーベン「ロストナンバーレイヴンズの中で戦える事を誇りに思う。俺みたいな奴でも役に立って
     いるのだから。」
    今のサーベンは歓喜で一杯だった。そして負ける気がしない。
   己の進むべき道を見定めた人物は大きな力を得る。それは目の前の絶望を逆に取って食らい
   つくような勢いで。
    そしてその歓喜は次第に一同へ浸透していき、1人また1人と後手に回りつつある動きから
   先手を打つようになっていった。

    サーベンのイレギュラー行動が始まった直後から、大轟音が鳴り響く元火星政府本社跡地。
   同じ頃地下ではナイラ達が統率者を捜し当てていた。
    丁度ディソーダーが大量出没している真下、その地点に動かないACの姿があった。
   生体反応はなく無人機らしく、その機体自体がディソーダーを操作しているようである。
マイア「これは量産型ダークネス?」
アキナ「他に熱源はありません。おそらくそれが統率者かと。」
ガルバード「早いとこ破壊しましょう。」
   ガルバードが愛機にグレネードランチャー発射態勢を取らせる。標準を量産型ダークネスに
   合わせ破壊しようとした。
シュイル「待って、絶対何かありますよ。」
ガルバード「というと?」
シュイル「デヴィルが考えるとしたら・・・その場に足止めをさせて・・・、いや足止めをさせつつ
     湧きでる現況となるものを破壊する・・・。」
マイア「・・・湧きでるものを破壊した直後辺り一帯爆発・・・と?」
   実にデヴィルの思考を呼んでいると一同は思った。卑怯な者はとことん卑怯な行動を取るのが
   定石である。
ナイラ「むぅ・・・考えすぎだと思いますが、念のために時限爆弾で無人機を破壊しますか。」
ガルバード「しかし来る時に時限爆弾は持ってきませんでしたよ。」
アキナ「では急ぎ持ってきます。」
   アキナが地上へ向かわせようとした時、シュイルが何かを思いついたらしく呼び止める。
シュイル「待って下さいアキナさん。地上の皆さんが戦闘中という事を考えて時間を延ばすのはよく
     ないですよ。」
ナイラ「では何か策でも?」
シュイル「自分の愛機を自爆させます。全火気兵器、またレーザーキャノンをフルチャージで自爆
     させればここいら一体吹き飛ばせるでしょう。どなたか自分を乗せて貰えれば問題はない
     のですが。」
マイア「フフフッ、大雑把な発想ですね。姉さんがいれば同じ事を言うに違いありません。分かり
    ました、私の機体で貴方を運びます。」
   若さ故の発想であると、年輩のナイラ達はそう思った。しかし自分達もそう歳が離れている
   訳ではない。発想自体が若いという現れであった。

    シュイルは愛機フェンリルナイトを無人機の側に移動させ、その場でレーザーキャノン発射
   態勢を取る。最大チャージまで上げた後自爆装置をタイマー式で起動させた。
    コクピット内部から出たシュイルをブロークンブレイダーが掴み、大事に抱えながらその場
   を去っていった。
マイア「時間はどれぐらいですか?」
シュイル「10分です。地上に出るには数分もかからないでしょう。地上にいる皆さんに事の次第を
     話すのを簡潔に纏めて直ぐに動いた方がいいです。」
ナイラ「まるで誰かに見られてるようですね。」
シュイル「ええ、その事も踏まえて10分にしました。おそらく地上の戦闘はデヴィルも知っている
     と思います。もしかしたら見ているかも知れません。こちらの脱出が分かってしまえば
     先に無人機か辺り一帯の起爆装置を起動させるでしょう。」
   戻る最中にシュイルは心中の不安を皆に話す。デヴィルがこの考え通りに動いていれば、自分
   達の行動は予期されないと思った。
   とにかく今は迅速に地上へと戻る事に神経を集中する5人。

    丁度シュイルが自爆戦法を取ろうとした頃、地上は徐々に敵の沸き方が少なくなる。
   その間に補給などを済ませ、再び来るであろう襲来に備えた。
    そこにナイラ達が帰還。ブロークンブレイダーのコクピットハッチに乗り、シュイルは通信
   を皆に入れる。落ち着きながら今の現状を一同に話し出す。
ナイラ「戻りました。」
シュイル「皆さん今すぐここから離れて下さい。時期に地下で爆発が起きます。その後のここはどう
     なるかは未知数ですので。」
   有無を言わず一同はその場所から撤退しだす。不測の事態が現実に起きたのだ、何が起きても
   おかしくはない。
    サーベンは射撃しつつも後退し、一同が安全地域まで引き上げるまでの時間稼ぎをする。
   また上空で旋回中の航空機3機も高々度に離脱し、着陸中の航空機2機も一端上空へと退避
   する。
   レイヴン達も一定距離まで去りつつ敵を狙撃し、自爆起動の時間まで待った。

シュイル「時間です。」
    シュイルがそう話した直後、軽い振動が辺りを襲った。
   と同時に今まで大量に湧き出していたディソーダーがピタリと止み、その後の直下での爆発で
   ディソーダーがいる場所全てを巻き込む。
   元火星政府本社跡地は大爆発と共に崩壊し、辺りに砂埃が広がった。
    爆発が収まる瞬間、サーベンは再び射撃体勢に入る。後手に回るのはかなりの危険があり、
   先制攻撃できる切っ掛けは作っておいた方がいい。
   暫くして砂埃が収まった先には、敵はおろか何と廃墟すらなかった。
   それを見たサーベンはようやく武装解除を行ったのである。
サーベン「ふぅ・・・やれやれ・・・。」
クレス「なんもなくなった・・・。」
シュイル「もしあのまま戦闘を続けて統率者を破壊したら、全員巻き込まれて死んでいましたね。」
ジェイン「しかしよく分かりましたね。」
シュイル「自分がデヴィルの立場ならそうしますよ。姑息な輩はこういった事に命を懸けますし。
     しかし一時の苦しみを味わえと向こうが思っているなら、おそらくこうする事を予期して
     いたかも知れません。」
サーベン「いえてらぁ。」
    コクピットハッチを開け、煙草を吸っているサーベンが溜め息混じりの声でそう話す。
   どんなに気丈がっても所詮人間にすぎない。目の前の大事を過ぎた後は極度の安心感から脱力
   が来るのは当たり前である。
アリナス「今回はサーベンさんのMVPは決定ね。」
サーベン「フフッ、よせやい。俺はやるべき事をした、それだけだよ。」
シュイル「ライディルさんでも考えない戦術を実行したのですからね。そう言われてもおかしくは
     ないですよ。」
サーベン「フフフ、ではこの戦いが一段落したら酒をおごってくれ。大いに飲みたい気分だ。」
   サーベンの一言で一同は大笑いする。全くもって欲がない男だと痛感した。
    その後航空機の広範囲レーダーなどで辺り一帯を探索し、異常が見られなかったので一同は
   平西財閥火星本社へと帰還した。
                               第2話 3へ続く

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