第3部 9人の勇士 36人の猛将
   〜第4話 起動する駒2〜
    量産させた遺産の兵器。一同は肩慣らしでそれらを操る。戦闘データは既に採取しており、
   戦闘までは行わなかった。
    ヴィクセン10機・ファンタズマ10機・ナインボール=セラフ10機、合計30機に及ぶ
   遺産の数々。
   それらを合わせ半分の遺産は火星へ、もう半分は地球へと待機させた。
    相手側が遺産を用いて来た場合、同じく遺産にて対抗しようというものである。
   毒には毒を盛って制する、正にその通りであろう。

サーベン「ライディル殿。確かにファンタズマはいい代物ですな。」
ライディル「いいよなあれは。俺らにとって家宝物だよ。」
    重火器に惹かれているサーベンは、当然の如くファンタズマに搭乗する。
   ライディル同様、ごり押し戦術が好きな彼の事。その高火力の機体に魅了されたのは言うまで
   もない。
    財閥のガレージに待機させるファンタズマ5機を見つめ、サーベンとライディルは憧れの
   視線で見つめていた。
シェガーヴァ「あんまり遺産に頼るなよ。お前達の腕の弱体が深刻化するぞ。」
サーベン「心得てますって。」
ライディル「火力は強いけどな〜、あれほど窮屈なコクピットはねぇよ・・・。」
サーベン「動く棺桶だよなぁ・・・。」
   今度は不満を言い出す2人。それはまるで討論会である。
    ACと違って搭乗に関して時間が掛かるファンタズマ。それ故に脱出には時間が掛かるのも
   また事実。
   実戦で脱出に遭遇した場合、間違いなく死ぬと2人は心中で恐怖した。
ユウト「大丈夫ですよ。あのファンタズマの中央上部は機体からの攻撃を受けない箇所があります。
    そこにACが乗れば正に動く要塞。確か2機ぐらいまでなら乗れると思います。」
ディーレアヌ「ああ、ユウちゃんそれやったよ。」
ユウト「ディーレアヌさんもやりましたか。有効な戦術ですよね。またシュイル君の機体のように、
    キャノンを持つACが乗れば攻撃できます。」
    ディーレアヌが行った行動、あれはかつてユウト自身がファンタズマと対戦した時に用いた
   もの。全方位レーザーのみ注意すれば、ファンタズマに対して一方的に攻撃できるのだ。
   故にそれを逆手に取り、その部分に味方機体を配置すれば死角がなくなるのである。
    それに4脚部と走行系脚部以外、これらは構えの動作が必要なショルダーキャノン。動ける
   ファンタズマの上部で構えを取れば動きつつも攻撃できる。
   お互いの欠点を補え合えるのである。
サーベン「重装甲AC2機でも可能とすると、約3万クラスの積載量も載せられるか。」
ライディル「待機場所に旋回ユニットを配置すれば360度砲撃可能だよな。」
   何やらサーベンとライディルはファンタズマに対して改造計画を練りだした。
   元来は好奇心旺盛のシェガーヴァ。それを見ていた彼も参加し、あれこれ答弁を開始した。
    どうやらユウトやディーレアヌの戦術が、3人の戦術要素に火を付けたようであった。
   オヤジ雰囲気漂わせる3人の会話に、一同は苦笑いを浮かべるしかなかった。

ミナ「火星への遺産配置完了です。」
ナイラ「お疲れ様でした。」
    数時間後、ミナが火星から帰還する。15機の遺産を大型輸送車両に載せ、ラプチャーを
   使い運送したのだ。
   当然巨大すぎるもの故に分割して運送する必要があった。また一般のレイヴン達にとって伝説
   かつ恐怖の存在である遺産達。物を悟られないように厳重に運んだのである。
サーベン「旦那それそことちゃうって!」
ライディル「もう少し右側にずらして下さい。」
シェガーヴァ「骨がいる作業だな。」
    ファンタズマ2機に改造を施している3名のオヤジ。まるで子供の工作の如く、声を高らか
   に作業を行っている。
   他の面々はアリーナにて集団戦闘を模した戦いを行っており、それ以外の面々は愛機のメンテ
   ナンスなどに大忙し。
    ナイラとミナはオヤジ3人組を見つめ、呆れながらも小さく笑う。
   どのような苦難が来ようとも、彼等には立ち向かえる自信があるのだと思った。いや力押しで
   押し通すといった方が正しいのであろう。
   まあそれはシェガーヴァを除いた、サーベンとライディルの2名の事であるが。

ナイラ「表は雨ですか。」
ミナ「珍しいですよね。」
    ここ最近雨が降るといった事はない。昨日までは快晴であったが、今日はどんより曇り空に
   小雨が降り続いている。
ミナ「雨天での戦闘、経験はありますか?」
ナイラ「2度ぐらいですね。殆どアリーナなどですから。実際に依頼を遂行した時は、どれも晴天で
    見通しがよかったですし。」
ミナ「私はレイヴン歴浅いので、雨天戦闘は一度も・・・。」
   雨天での戦闘経験が薄い者が多いと実感した2人。
   もし決戦時雨天の場合、この際どのように動けばいいのか思い悩んだ。また今までは正午頃
   での決戦だったが、今回は夜間戦闘も十分に有り得る。
ミナ「戦闘訓練をした方が良さそうですね・・・。」
ナイラ「確かに・・・。」
   深刻な顔で話し合っているのを心配してか、オヤジ組が彼女達に近づく。
   丁度ファンタズマへの改造が終わったようであった。
    どのような振る舞い方をしていても、悩みある者へは親身になって相談相手になる。それが
   年季が入った彼等の当たり前の行動であろう。
ライディル「夜間戦闘か。それに雨天を想定した模擬戦闘。」
シェガーヴァ「今までは夜間決戦はなかったが、確かにその考えも一理ある。」
サーベン「何なら戦闘するかい、あれと。」
   サーベンが指さす方にあるのは改造を終えたファンタズマ改2機。
    機体上部に旋回ユニットが取り付けられており、ドッキングした2機のAC側の操作により
   動かせるようになっている。
   もちろん2機のACとファンタズマ改側からの連携が成り立ってこそ、その戦術が通用する
   ものであるが。
ミナ「何かなぁ〜・・・実戦テストして見たいのが本音でしょう?」
サーベン「まあその通りなんだがな。」
   苦笑いを浮かべるサーベン。しかし率直な彼の意見。これほど嬉しいものはないだろう。
シェガーヴァ「ファンタズマ側は壊さないでくれ。ああ見えて作るのに結構ホネが折れるからな。」
ナイラ「ああ、それは大丈夫でしょう。相手側は前と同じくヴァスタールでお願いします。」
シェガーヴァ「ま・・また使うのか・・・。」
   こちらもあまり壊されたくないといった表情をする。用はシェガーヴァにとって作成したメカ
   は愛着があり、どんなものであれ壊されたくはなかった。
    しかしそれが生き残る事に繋がるのであればと、彼はその一念を捨て予備に作成した人工
   知能ヴァスタールを20機投入した。
    メンテナンス中の面々の中にキャノン仕様の機体を持つ者を招集し、ファンタズマ側に搭乗
   するように促した。
    ジェインのブラックヴィルカスター・キュービヌのレイヴァーレイ・シュイルのフェンリル
   ナイト、そしてディーンのハルヴェールグルヴである。
    どれもメインウェポンが高火力のキャノンであり、構えの姿勢をしなければ放てないもので
   ある。強化人間搭乗なら機体のショックにも耐えられ、構えの姿勢は無効であるが。
    今回のこの作戦は半強化人間的行動でもあろう。用はファンタズマ改の搭乗者によって、
   その上に搭乗するレイヴンの真価が発揮される。
    殆ど未戦闘のガヴュレスとアキコ・マキも通常の戦闘として参加させ、3人のレベルアップ
   を図るつもりだった。もちろんナイラ・ミナも参戦する。

    ファンタズマ改2機にはサーベンとライディルが搭乗。その上にジェイン・キュービヌ・
   シュイル・ディーンが載る。
   チーム別にジェインとキュービヌ、シュイルとディーンが組み、旋回ユニットの操作をどう
   動かすのか検討した。
キュービヌ「私でも思いつかないわこれは・・・。」
シュイル「振り落とされませんか?」
    不安の声を隠し切れない4人。操作する側のサーベンとライディルも不安があった。
   今まで誰も試みた事がない、それを行おうとしているのだ。不安になるのは当たり前あろう。
    また殆ど高レベルのレイヴンや人工知能と対戦した事がないガヴュレス・アキコ・マキ。
   どう戦えばいいのか心中では思い悩む。
    更に一同を不安がらせるのは、表の天候であった。
   小雨が降り風も吹く。そして何より今は夜の8時過ぎだ。夜間戦闘をあまりしていない彼等に
   とって、今回の模擬戦闘がどのような結末になるか。予測しようにも予測しきれなかった。
    財閥ガレージからヴァスタール20機が出てくる。それを見て新米レイヴン達は息を呑む。
   同時刻財閥アリーナには模擬戦闘が行われると聞き、一同試合そっちのけでそちらの方に関心
   が高まっている。
   自分達も戦いたかったが、あえて新米レイヴンとテストレイヴンに任せたのであった。

ウインド「また何かやらかそうって?」
ウィン「らしいですよ。」
    6人の子供をあやしながら、こちらはのんびり時を過ごしている。
   ウインドもウィンもお互い求め合う事により、今まで以上に強さや優しさが溢れてきた。
   今まで悪夢に魘されていた彼も、彼女と一つになる事により見なくなったという。
   戦闘に復帰しだしたユウトやライアの代役を、古き夫婦といえる2人が面倒を見ていた。
ウインド「変わったなお前、何か更にお淑やかになった。」
ウィン「貴方も言葉にトゲがなくなってますよ。」
ウインド「トゲか・・・いえてら。」
   2人の行動はレイス姉妹やデュウバ姉にも知られた。しかしそれが本来の姿であると、3人は
   半ば諦め気味である。
   だがそれでも彼が好きである事には変わりはない。恋する乙女は今もなお憧れの人を求めて
   いた。
ウインド「レイヴンの素質があると言ってたな。」
ウィン「ええ。ターリュちゃんとミュックちゃんを一緒にシミュレーターに乗せたところ、嫌がる
    どころか操作したのですよ。まあ無茶苦茶に動かしていたと見えるでしょうが、間違いなく
    素質はあります。」
ウインド「双子してレイヴンか。やんちゃで手が付けられなくなったら大変だな。」
   きゃいきゃい騒ぐターリュとミュックを見つめ、2人は溜め息をする。騒ぐ2人につられて
   ユウ・アイ・レイア・リュムも笑っている。
   6人がレイヴンとして行動する事は目に見えているウインドとウィンであった。

    財閥アリーナの面々が外部カメラから映し出される映像を見つめる。表は暗く暗視モードの
   画面で見辛いが、その戦い振りを凝視していた。
    ライディルが駆るファンタズマ改、その上にはシュイルのフェンリルナイトとディーンの
   ハルヴェールグルヴ。
    そしてサーベンが駆るのファンタズマ改、その上にはジェインのブラックヴィルカスターと
   キュービヌのレイヴァーレイ。
    ヴァスタール部隊の今回のロジックは相手が動き出した後に動くというもの。だが11人が
   全く動かずどうしたらいいか悩んでいるため、20機の彼等も同様に様子見が続いていた。
    霧雨が次第に大雨となり、風も強くなってきだす。財閥内部の灯りのみが自分達を照らし、
   それ以外は漆黒の暗闇が当たりを覆う。

ウインド「おいおい、全く動いてないぞ。」
    30分が経過し、一向に爆音が響かない。それを心配してか、ウィンと共に子供を連れて
   ガレージのシェガーヴァの元へと向かう。一同は外部モニターに釘付けである。
ウインド「ったく・・・。ウィン、子供達を任せる。」
   業を煮やしたウインドは子供をウィンに預ける。その後ガレージに待機中の愛機へと向かい
   搭乗。まだ表からは戦闘音が響かない。
   ウインドブレイドはゆっくりと財閥の外へと出て行った。

ウインド「46分経過。本来なら死亡してるぞ。」
    財閥のハッチが開き、ウインドブレイドが現れる。それを見た一同だが、やはり動かない。
ウインド「様子見もいいが、せいぜい3分程度だ。それ以上になると緊張が頂点に達し、動こうと
     した時に動けなくなる。これがまだテストバトルだからいいが、もし実戦だったら確実に
     殺されてるぞ。」
   遠隔操作でヴァスタール部隊を引き上げさせるウインド。今の様子を見る限り、戦闘は不可能
   だと判断したためだ。
ウインド「予報だとこの数日はずっと雨らしい。戦闘は明日でもできる。今日は休み、明日の戦闘を
     どう戦うのか考えるんだ。」
   11人は何も言わずそのまま財閥へと引き上げる。
   本来ならそれはできないと反論するのが普通であるが、素直に従った所を見ると心中に悩みが
   あると思った。
   それが何なのかは大体は予想はしているが、今は彼等を見守る事にするウインドだった。

    その後11人は何も言わずブリーフィングルームで俯いている。
   他の面々は彼等が何故様子見であのまま引き上げたのか、どうしても理解できなかった。
    シェガーヴァは明日以降の戦闘に備え、31機のマシンを調整している。彼も11人の心中
   がよく分かっていた。
アリナス「かったりぃ〜・・・。」
    アリナスがガレージへと来た。シャワーを浴びた後だろう、髪を濡らしバスタオルで拭く。
アリナス「お疲れ様です。」
シェガーヴァ「まったく、目のやり場がないな。」
   アリナスの大雑把な言動に苦笑いする。まあこれが彼女の本当の姿であろう。いつもは気丈に
   振る舞っている女傑も、休む時は休むという事を理解している。
アリナス「皆さんどうして戦闘しなかったんだろ。」
シェガーヴァ「ライディルとナイラ以外は夜間戦闘と雨天戦闘が未経験。初めてレイヴンになった時
       を思い出し、足が前に出なかったのだろう。私もその口だった。」
アリナス「それだけで動けなくなりますかね。」
シェガーヴァ「恐怖は些細な悩みでも増大する。模擬戦闘だとしても、戦闘に変わりない。生か死か
       という現実に直面するレイヴンにとって恐怖が何よりの大敵だ。それが9人を襲った
       のだろうな。」
   ファンタズマ改を分解調整するシェガーヴァは重苦しく語る。
    人間にとって恐怖は最大の敵、そして打ち勝つには勇気が必要。その勇気を振り絞る事が
   簡単にできそうではあるが実はもっとも難しい。
   その不安や恐怖が苦しみへと繋がり、考えが悪い方向にいくのである。
   正に蟻地獄で藻掻く蟻の如く。
アリナス「私はレイヴン成り立ての初戦が夜間で、しかも雨の中の目標破壊でした。それ以来雨の日
     は得意ですが。」
シェガーヴァ「お前のように得意もいれば苦手もいる。ようはそういう事だ。」
アリナス「慣れる、しかないのですね。」
シェガーヴァ「そうだな。メルアが・レイス姉が・ライアが実戦している、我武者羅に突き進めに
       尽きる。」
   うんうんと頷くアリナス。シュイルを好いている彼女にとって、恐れるものなどなかった。
   故にどんな困難が来ようが、彼女達と同じ姿勢で臨めるのだ。

シェガーヴァ「シュイルとはうまくいってるのか?」
アリナス「な・・・なにを言い出すのですか!」
    いきなり意表をつかれたアリナスは慌てふためく。その行動から少しながら理解した。
シェガーヴァ「そう恥ずかしがるな。青春できる時はしっかりするんだ。若い時にしかできない、
       非常に大切なもの。」
アリナス「ですね・・・。」
   彼の心中では色々な思いが巡っているのだろうと、若輩者のアリナスは思った。年配の彼に
   とって、こういった事に何度となく相談したのであろうと。
シェガーヴァ「アマギとユリコ、ユウトとライア。そして次の世代へ。そうやって血は受け継がれて
       いく、残酷な運命と共にな。」
アリナス「ユウちゃんにアイちゃん、それにレイアちゃんにリュムちゃんもいずれ苦しむと?」
シェガーヴァ「苦しまない人間がいる方がおかしい。人生とは苦難の連続。その苦難を共に乗り越え
       進むパートナーが必要なのだ。それが相方だな。」
アリナス「私がシュイルさんを好くように・・・、ですか?」
シェガーヴァ「ああ、そうだ。半信半疑のような心境になっても仕方がない。それは時と経験が解決
       する。かといって背伸びする必要はない。」
アリナス「了解っす。」
   アリナスは理解した。今はとにかく素直に生きろと言う事に。回りくどい言い方ではあるが、
   彼はそう話したかったのだと思った。

ウインド「何でだぁ〜・・・。」
    悲鳴を上げるウインド。彼はチェスがそれほど上手くないデュウバ妹にすら負けたのだ。
   大食堂にて酒とつまみを口にしながら、2人はチェスをしている。
   6人の子供達はウィンとマイアに預け、1人大食堂にて休息を取るウインドだった。
   そこにシェガーヴァが長年愛用しているチェスセットを持ち、デュウバ妹が現れたのである。
デュウバ妹「それほど難しくはありませんが・・・。」
ウインド「俺は戦術は得意でも、戦略は苦手なんだよなぁ。どうもチェスや将棋などは苦手だ。」
デュウバ妹「でもそれでも相手になってくれて感謝しています。」
ウインド「まあな。」
   ウイスキーを口にし、サラダを食べる。再度挑戦だと彼はいい、デュウバ妹は再戦を受ける。
ウインド「まあ・・・お前さんの本当の目的は分からないでもない。」
デュウバ妹「・・・お気付きだったのですか。」
ウインド「お前の父だぞ、そんなのお見通しだ。それに周りがあの2人の風に当てられ、その心境が
     強くなるのも分かる。」
   再度ウイスキーを口にし、徐に駒を進める。対する彼女は直ぐに駒を進める。この点が2人の
   レベルの違いであろう。
ウインド「5人も手玉に取る点に罪悪感がある。」
デュウバ妹「それは大破壊以前の世界での事でしょう。今は秩序がありません。人が行いたい行動を
      する。それを非議する者はいません。他人とは関わり合いを保たぬようにするのが、
      今の常識かつ非常識ですから。」
   鋭く指摘するデュウバ妹。彼女の言う通りである。それに彼女が望んでいるのなら、それも
   また罪滅ぼしの1つになるのであろう。
ウインド「4姉妹の中で一番疎いと思っていたのだが、やはりお前も女なんだな。」
デュウバ妹「失敬な。私もクローンであっても恋多き乙女だと思っています。」
   追い詰めたデュウバ妹。ウインドは考え悩み、そして駒を進める。しかし次の一言は決まって
   いた。
デュウバ妹「チェックです。」
ウインド「あ〜あ・・・まただ・・・。」
   シェガーヴァの時も2戦2敗、そしてデュウバ妹の時も同様であった。子供のように悔しがる
   彼を見つめ小さく笑う。
デュウバ妹「・・・あの。」
ウインド「分かってる、分かってるよ。お前が望むなら、な。俺もお節介焼きだな・・・。」
   酒とつまみ・そしてチェスセットを片づけ、ウインドは彼女の望むがままに動いた。
   相手は嬉しそうだが、当の本人には罪悪感が積もるだけであった。
                               第4話 3へ続く

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