第3部 9人の勇士 36人の猛将 〜第7話 惑星間同時決戦2〜 リュウジがSTAIを見事破壊した同時刻、ウィン妹も同時にSTAIを破壊していた。 これはシェンヴェルンやデヴィルが火星側のSTAIが破壊されたと聞いて、地球側も同じく 破壊されるのかと予測。何らかの妨害工作を行われるのを阻止する上での行動だった。 ウィン妹も2機のヴァスタールコアと一緒に炉心制御室内部で巨大ジェネレーターを破壊。 デヴィルが切り札としていたSTAIは突如各所から炎を噴き出し、直後大爆発を巻き起こし 飛散したのである。 その一部始終を見ていたレイヴンズは歓声を挙げ、更に怒濤の如く攻めに徹していった。 当然この歓声は表向きのものである。それは2機のSTAIが大爆発で飛散したという事、 これはリュウジとウィン妹の死を意味するからだ。 誰が友の死を喜ぶ輩がいようか、心中では2人に対して哀悼の意を表していたのである。 シェンヴェルン「な・・・何だとっ?!」 デヴィル「ば・・ばかな・・・。STAIは外部からのジャミングを完全に遮断する鉄壁の要塞。 それに内部の中央制御室を破壊したところでSTAIは駆逐はしない・・・。直接炉心部 に赴きジェネレーターを破壊しない限りには・・・。」 案の定デヴィルとシェンヴェルンは驚愕している。どう考えても駆逐が無理だと安心して いたSTAIが破壊された事で、2人の士気は完全に失われていた。 ライア「その安心が油断を招いたのよ。」 その場に停止してSTAIの爆発を目の当たりにしていたデヴィルに、ライア駆るヴィクセン は容赦なく斬撃を見舞う。 繰り出された連装レーザーブレードは、デヴィル駆るディエールクラスターの右腕に装備され ているエネルギースナイパーライフルを真っ二つに切り落とした。 マイア「私の父が命を捨てて破壊した。その意味が貴様には分かるか?!」 感覚空けずにマイア駆るブロークンブレイダーがデヴィルの目の前へと出現する。左腕装備の レーザーブレードを繰り出し、ディエールクラスターに装備の両方のエクステンションパーツ を切り落とした。 マイア「貴様さえあれを作らなければ・・・、父は死なずに済んだのだっ!!!」 満身創痍のデヴィルに大声で叫び返す。リュウジの死の悲しみと怒りをデヴィルにぶつけた。 しかしそれは負の感情によるものではなく、ライアが我を忘れて突っ走ったものとは異なる。 どんなに怒りで我を忘れても、原点回帰はしっかりと定まっていると言えた。 デヴィル「・・・そうするとシェガーヴァは死んだのか。ハハッ、これは好都合だ。これで貴様等 クローンは誕生しないという事だなっ!」 言うか早いかデヴィルは凄まじい闘気を繰り出し、ライアとマイアに攻めていく。STAI が破壊されたのは痛手だったが、それにおまけでシェガーヴァも死んだと思ったのだ。 物凄い速さで2人の前に出現し、左腕装備のレーザーブレードをそれぞれのヘッドパーツに 突き刺した。 満身創痍だと思っていたデヴィルに裏を掛かれた形になったライアとマイア。2人は一気に 逆境へと追い詰められた。 デヴィル「貴様等に勝ち目はない。STAIなどただの駒に過ぎない。これだけの遺産があれば、 意図も簡単に破壊してくれるっ!!!」 レイシェム「それはどうかしら?」 続け様にレーザーブレードを繰り出そうとしているデヴィルに、何と後続から接近してきた 変形型セラフに体当たりを食らった。それはレイシェムが駆るセラフ改で、2人に気を取られ ていた隙に接近を許してしまっていたのである。 体当たりを食らったディエールクラスターはまるでピンボールの如く後方へと回転しながら 吹き飛んでいった。 吹き飛んだディエールクラスターは物凄い勢いで地面に激突。衝撃で両肩の武装がもげ落ち 凄まじい衝撃がデヴィル本人を襲っていた。 デヴィル「がはっ・・・。」 レイシェム「そちらが以前言っていましたよね、面白いデモンストレーションを企画中と。それは 私達にも当てはまっていたのですよ。」 動けずにいるライアとマイアの目の前にレイシェムのセラフ改が変形して着地。右腕を掲げ マシンガンの銃口をデヴィルに向ける。 レイシェム「それに、そちらが用意した遺産も完全ではありませんし。」 セラフ改のカメラアイを向ける先には、何と複数のナインボール=セラフがグレイクラウドに 取り付き攻撃を繰り広げている。 ゼロ距離射撃からのマシンガンの発射で装甲を破壊、そこにパルスキャノンを撃ち込んだ。 装甲はそれほど高くはないグレイクラウド、内部を破壊された事により機体各所から火花が出 始める。 複数のセラフ改が離脱した直後グレイクラウドは大爆発を巻き起こし、そのまま地面へと激突 し飛散した。 ファンタズマ改2機の上に搭乗する4機のAC。それらが繰り出すキャノン攻撃は一撃の下 に量産型ダークネスを破壊する。 また乗り物となりつつも攻撃可能なファンタズマ改もプラズマキャノンや両腕のアームで直接 ダークネスを殴り付け破壊していった。 デヴァステイターに斬撃を見舞うヴィクセン部隊。その異常とも言える光景は、まるで路上 に落ちている飴に蟻が群がる如くである。 ゼロ距離射撃による攻撃と連装レーザーブレードの斬撃で、デヴァステイターの耐久限界が 近付く。 そろそろかと見計らった攻撃手はその場から離脱し、止めと言わんばかりにそれぞれの右腕 装備のグレネードレーザーライフルを放った。 機体各所から火花が出ているデヴァステイターにそれらが加わり、大爆発を巻き起こし飛散 する。 機敏の如く動き回るM−9やセラフに夥しいミサイルが放たれる。ミサイル攻撃をメインと するレイヴン側が一斉にそれらを放ち攻撃をしている。 どれも機動力が優れるM−9・セラフにとって回避しやすいもの。だが搭載人工知能のレベル が弱すぎた。 夥しいミサイル群に対処しきれず動きが短調になり、そこに凄まじい勢いでミサイル群が直撃 する。 両機体とも背部にあるブースターを破壊され、著しくバランスを崩す。今度はそれに対処 しようと無理な動きをし、完全にバランスを崩した。着地には無理な角度から地面へと激突し 大爆発をする。 次々に破壊されていく駒を目の当たりにし、デヴィルは再び愕然とした。 デヴィル「ばかな・・・そんなばかな・・・・・。」 レイシェム「常に余裕を持って行動をする。かつて実在したレイヴンの口癖。こちらを数で威圧する と豪語した、そちら側の考えとは思えませんね。」 人間と同じ口調で語るレイシェム。それもそうであろう。決戦前にウィン妹からコードを 受け取り取り込んだ彼女だ。今のレイシェムはウィン妹そのものである。 人間としての時を過ごした彼女にとって、もう欠点といえるものはなくなっていた。 レイシェム「そもそもこんな馬鹿な考えを起こした自体、私には愕然とします。それに女性しからぬ 言動の数々、一女として理解できません。」 ライア「げっ・・・そいつ女だったの?!」 既にデヴィルが遺産が倒される様を目の当たりにしている間、財閥ガレージへと引き上げて 機体交換をしているライア。今度はヴィクセンではなく、何とセラフに搭乗してであった。 ライア「あのねぇ・・・もう少し女らしい行動したら?」 デヴィル「余計なお世話だ!」 怒るデヴィル。しかし機体が思うように動かず、反撃すらままならない。それを察知してか ライアも落ち着いた様子で相手を伺っている。 ライア「まぁ何だ、そこで大人しく見てなさいな。あんたご自慢の駒を片っ端から破壊してあげる からね。」 ブースターを咆哮し人間形態から飛行形態へと変形するセラフ。その後猛スピードで空中を 飛び回り、夥しいミサイルやマシンガンでダークネスや遺産を攻撃していった。 己を馬鹿にされ腸が煮え繰り返るデヴィル。しかし反撃しようにも先程の体当たりで駆動系 をやられたらしく、カメラアイを動かすだけしかできなかった。 また仮に反撃を開始しようとしても、既にレイシェムが狙いを定めているため動けずにいる。 毒には毒を盛って制するのか、ライアがかつてデア達にやられた行動を諸悪の根源である デヴィルにやり返しているようであった。 丁度同じ頃火星でのSTAIやその他の残党を撃滅したシェガーヴァは、セラフ改と他の 3機のセラフ改と共に地球へと帰還してきた。 当然これはナインブレイカーであるナイラやマイアの特権である、ラプチャーを使用しての 短期間での渡星であった。 地球側の決戦も大きな痛手は受けず進み、デヴィル軍勢も残り僅かとなろうとしている。 シェガーヴァ「まあまあ、物凄い事で・・・。」 地球平西財閥本社の周辺は夥しい残骸で広がっていた。 遺産の数々やダークネスの残骸、そして夥しい薬莢の数々。それは過去に経験した決戦以上の 壮絶なる戦闘を物語っている。 残りはデヴィルとその配下2名、そして荷担していたシェンヴェルンだけとなっている。 レイヴンズの方は全く被害がなく、あるとすれば遺産を用いたものはその大多数が破損や大破 をしているという点であろう。 追い詰められたデヴィル以下3名の前に音高らかとセラフ4機が現れた事に、相手側は更に 己の立場を思い知らされた。 飛行形態から人間形態へと戻るセラフ改4機。そのうちの1機が外部スピーカーを用いて デヴィルに話し掛ける。音声の主はもちろんリーダーのシェガーヴァであった。 シェガーヴァ「すっかり意気喪失といった所だなデヴィル。」 デヴィル「・・・貴様、死んだ筈では・・・。」 シェガーヴァ「私の親友だな。お生憎様、貴様が考えているほど私は馬鹿ではない。」 出発前のシェガーヴァと今のシェガーヴァ。明らかに喋り方が異なっている。合成音声は相変 わらずだが、その口調は人間と何ら変わらない。 これはレイシェムがウィン妹のコードを受け取って人間化したのと同じく、シェガーヴァも リュウジのコードを受け取り改めて人間化したと言える。 シェガーヴァ「どうする、降参するか?」 デヴィル「馬鹿をいうな、死んでも降参などするかっ!」 シェガーヴァ「了解。」 そう言うとシェガーヴァ駆るセラフ改はガレージの方へと戻っていってしまう。それを見た デヴィルは相手にされないのかと今まで以上に腹を立てた。 待機中のままでも機体の修復に精を出していたデヴィル。愛機ディエールクラスターは辛う じて動けるようにまで直っていた。 シェガーヴァの背後から襲い掛かろうと動き出すが、案の定他のレイヴンに抑制される。 ライア「お待ちなさいな。あんたの相手は他にいるんだからね。」 エリディム「まだまだ暴れ足りないぐらいよ。」 ライアとエリディムを筆頭に、他の面々はやり手のレイヴン搭乗の機体と対戦を望んでいる。 どの面々も遺産から降り、各々の愛機に搭乗しての対峙であった。 デヴィル「ぐっ・・・卑怯な・・・。」 ライア「デヴィルちゃんそのような言葉はさ〜、どこから出てくるのかな〜。無性に腹が立つんだけ どねぇ〜・・・。」 エルディル「師であるデアも本来はあのような性格ではなかった。恐らくは貴様に誑かされ、あの ような脱落者となったのだろう。諸悪の根源は貴様だ。」 一同の発言に何も言い返せないデヴィル。当然であろう、元はといえば自分が始めた事なの だから。 マイア「貴様には少なからず同情する、しかし手は抜かない。」 徐にマイア駆るブロークンブレイダーが一同の前へと進みでる。その闘気は他の面々より明ら かに高まっており、その原因が何なのかまでも理解できた。 本当は自分達もやり手のレイヴンと戦いたかったようであるが、今回はマイアにデヴィルの 相手を譲るのであった。 シュイル「えーと、そちらは・・・。」 レイヴン1「私はリリック。」 レイヴン2「デューラという。」 とりあえず自己紹介をする残りの2名。しかしデヴィルほどの狂戦者ではないらしく、この 現状を見れば意気喪失するのは当たり前であろう。 メルア「リリック様にデューラ様、了解です。この際決着を着けませんか?」 デューラ「そうだな・・・。どのみち後には引けない。それに最後まで卑怯者で死にたくはない。 貴女の決闘、正式にお請けする。」 メルア「ありがとうございます。」 メルア駆るライアット・ムーンはデューラ駆るバンシェルアロークスと対峙をする。レイヴン としての真の闘い、両者とも正式な決闘を行うのである。 ウィン姉「リリックさん、手合わせお願いできますか?」 リリック「了解。」 ウィン姉駆るシャドウフェニックスとリリック駆るラングランドゥームが対峙する。こちらも レイヴンとしての真の闘い、小技などを抜きとした決闘であった。 エピローグへ続く |
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