アーマード・コア レジェンド・オブ・ロストナンバーレイヴンズ(AC3)
       第1部 18人の執念
     惑星規模での大規模な災害から数百年後・・・。
     地上に氾濫していたわずかな文明は破壊され、人類はその人口の大多数を失った。
     災害を逃れたわずかな人々は、死の大地と化した地上を捨て、この災害を予見して
     いた、いくつかの国家によって作り出された地下都市<レイヤード>へと移り住んだ。
     最先端の技術をもって建造が進められた、この巨大なシェルター都市は、人類が
     生き延びるための「方舟」でもあった。
     <すべては、人類の復興のために>
     その世界は、ただ一つのものによって管理されていた。あらゆる出来事は、そのものに
     よって決定され、人々は、管理される事を当然のものと受け入れていた。
     管理者の庇護の下で、人々は約束された繁栄を謳歌し、やがて、力をもつ者<企業>が
     生まれた。企業はより大きな力を求め、互いに争いを始めたが、その争いすらも、
     管理者の掌の上での出来事であった。
     すべてが管理されるこの地下世界に存在する、唯一の例外。
     彼らは「レイヴン」と呼ばれていた。(アーマード・コア3の世界)

     人々には惑星規模の災害といわれているが、実は違うものであった。再び現れた
     破壊神と名乗る者が引き金を引き、あの忌まわしい大破壊以上の災厄が起こったのだ。
     緑が戻りつつあった地球だが、その大多数が焼け野原になる。そして火星との交流も
     その象徴的なラプチャーの破壊で途絶え、地球は完全な孤立無援となった。
     唯一の望みは管理者という存在が世界を立て直す事であったが、それは破壊神と
     名乗る者が作ったただの玩具でもあった。つまりは破壊神と名乗る者が全て仕組んだ
     ものだったのだ。
     それを見抜いた者達は、ロストナンバーレイヴンズをおいて他にはいない。だが惑星
     規模の災厄は、どうしようもなかったのである。そう・・・大破壊の引き金となった、
     シェガーヴァ=レイヴァイトネールでさえである。
     しかしそれら災厄が事前に起こるとも予測できた。当然次の世に戦うべき戦士を
     優先的に残した。それがウインド・シェガーヴァの唯一の行いであったからだ。
     後に大戦争が起こり、人類の大半は死んだ。だが管理者がそれらを建て直し、
     いくらかではあるが緑溢れる地上へと戻した。
     その後その管理者を破壊したのが、アマギ・ユウトの子孫である沢島竜流であった。
     彼もまた、祖父と同じく戦いだしていたのだ。
     (リターン・トゥ・ザ・ロストナンバーレイヴンズ以降の世界)
   〜プロローグ お互いの思い〜
    幼き思い出。それは誰もが持ち合わせている、幼少の思い出。だが彼女は違った。
    1人のレイヴンに家族を殺され、そのレイヴンに保護される。憎むべき復讐の相手、
    それは必然の事であろう。彼女の名はレイト=ウィンッツ。そして彼女の家族を殺した
    のは、やり手のレイヴン沢島竜流。彼は祖先に伝説のレイヴンを持つ家系に生まれるが、
    その真実をレイヴンとなるまで全く知らなかった。些細な事で家を飛び出した彼は、
    行く当ても無く途方に彷徨う。その時祖父と同じくレイヴン募集を行っているイベントに
    出くわしたのだ。レイヴンは子供達にとって夢の職業。今の荒廃しきった世界で、唯一の
    自由でもある。そしてそれは過酷で、悲惨なものでもあった。だが彼はなに振り構わず
    試験を受ける。そして見事レイヴンの道を勝ち取ったのだ。その後彼は自分の祖父が
    伝説のレイヴンだった事を知った。ただの伝説のレイヴンならまだ普通かも知れない。
    彼の祖父は大破壊後の地球復興に貢献した、マスターオブアリーナの吉倉天城。そして
    彼の孫であり再来した破壊神を撃破した地球と火星のナインブレイカー、小松崎優斗。
    その名を知らない人物がいるだろうか。彼らは全く他人を信用しない時代で、他人との
    コミュニケーションや関わり合いを貫き通した。それはある意味、大変革でもある。
    そのカリスマ性が多くの同志を呼び集め、大破壊後以降の決戦を次々と勝ち抜いたのだ。
    大破壊後ネスト対決・破壊神決戦・大深度戦争・火星クーデター・再来する破壊神との
    決戦、そして地上から人類を全て移動させざろう得なくなったあの地球と火星全体の
    破壊大戦争。人々のエゴから生まれた愚かな戦い。そして今の世界では無関係と言えば
    それまでであるものに、彼らは敢然と立ち上がり戦い続けた。その彼らの後継者が、
    リュウル自身なのだ。それに気付いた彼は今の現実を見定めるようになり、殆ど先走って
    いた行動が慎重派へと変わった。そして自分が誤って殺害してしまったレイトの家族。
    その罪悪感が彼を苦しめた。一旦は彼女の下を離れる。その前に彼女を陰から支え、
    普通に生活できるまで共に過ごす。レイトも自分の家族を殺したリュウルを憎んでいた。
    だが彼は自分を助けてもくれた。満足な収入を得る為にあえて危険なレイヴンの道にも
    進ませてくれた。彼女も苦しんだ。リュウル自身を憎めなくなっている自分がいる。
    そして自分の家族が誤りで殺害された事を知ると、彼女は完全に復讐心が消え去った。
    あるのは彼に対する感謝の念である。
    リュウルは戦う。それは彼女の家族を殺した罪滅ぼしの為に、同じ人間を作らない為に。
    レイトも戦う。自分を陰から支えてくれた恩人に報いる為に。リュウルの心を癒す為に。
    それは今の世界を生き抜く、彼らなりの生きる執念でもあった・・・。
                               第1話へ続く

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