フリーダムハート 自由なる勇将ヴィアラシュア  暗黒皇帝ディーラの野望
    〜第1話 モンスター討伐3〜
   村に戻ると3人は驚く。モンスター討伐が成功した事を祝って、祝賀会が行われていた。
   どうやら村長はカシスが討伐を確実に成功させると信じ、本人出発後すぐに祝賀会の準備を
   始めたようだ。アシリアとゼランは楽しそうだが、カシスは気に食わない様子である。
カシス「・・・何なんですかこれは?」
村長「カシス殿なら必ずモンスター討伐を成し遂げると信じていたからな。貴殿が出発した後、すぐ
   準備に取り掛かったのだよ。」
村人1「我々は何度となくカシス殿に助けて頂きましたからね。」
村人2「カシスさんなら信頼できる。村長のこの考えには私も同じでした。」
村長「我等ギズ村住人全員カシス殿を信頼している。今までのご厚意、感謝で一杯だよ。」
カシス「・・・すまない。」
   ギズ村住人全員の厚意にカシスは村長達に頭を下げて礼を述べる。そんなカシスを励まそうと
   アシリアは腕組みをし、ゼランは2人を茶化した。
アシリア「元気出して下さいよ〜カシスさん。」
カシス「あ・・ああ・・・。」
ゼラン「おっ・・・カシスよぅ〜、なに赤くなっているんだぁ〜?」
カシス「茶化すなゼラン・・・。」
   カシスは2人の行動にも頭が下がる思いであった。自分を思いやっての行動、カシスは心の
   中で感謝した。そんな3人を見て村長は羨ましそうに見つめている。
村長「いいお仲間ですな。」
カシス「ああ。」
村人2「さあカシスさんもお仲間の方々も、一緒に楽しみましょう!」
   その後カシス達は祝賀会を大いに楽しむ。特にゼランは祝賀会の出し物に目がくらみ、もの
   凄い勢いで片っ端から平らげていく。その他の傭兵やならず者達も同じく騒いでいた。
   だがカシスは仲間を信用するようになったものの、人の集まる所には行かなかった。そんな
   孤独な姿を見ているアシリアは、胸が締め付けられそうになる思いだった。そんな思いを抱き
   ながら、アシリアは何かカシスの力になれるように思い切って話し掛ける。
アシリア「あ・・あの・・・カシスさん・・・。」
カシス「どうした、祭りには参加しないのか?」
アシリア「・・・カシスさんは?」
カシス「俺の事など気にするな、みんなと楽しんで来いよ。」
   その言葉を聞いたアシリアは更に胸が締め付けられる思いだった。本当に可哀想な人だなと
   心の中で思う。
アシリア「・・・で・・できません・・・。」
カシス「そんなに俺の事が気になるのか?」
アシリア「・・・はい。カシスさんの寂しそうな姿を見ていると・・、自分だけ楽しんでいるなんて
     そんな気にはなれません・・・。」
   頬を染めながら力強く話すアシリア。その行動にカシスは感無量でだった。
カシス「アシリアは優しいんだな、そんな風に言われた事など一度もなかった。本当に嬉しいよ。」
アシリア「カシスさん・・・。」
カシス「それじゃアシリアに・・・話相手になってもらおうかな。」
アシリア「は・はいっ、喜んで!」
   物凄く喜んでいるらしく、瞳を輝かせながらカシスを見つめるアシリア。その行動にカシスは
   頬を染めて下を向く。
カシス「そんなに俺を見るな・・・恥ずかしいから・・・。」
アシリア「フフッ・・・相変わらずウブなんだから。」
   子供みたいなカシスを見て微笑ましい視線で見つめる。この時からアシリアはカシスの側に
   いる事が何よりも嬉しくなっていった。
ゼラン「お〜い、お2人さ〜ん。ここの食べ物メチャ美味いぜ!」
   ゼランの声が聞こえ、2人はそちらを見る。と同時に驚いた。それはゼランが祭りの出し物を
   片っ端から食べ続けているからである。
アシリア「す・・凄い・・・。」
カシス「フフッ・・・楽しい奴だなゼランは。」
   カシスとアシリアも出し物を摘みに行った。2人は出し物を摘み、確かにどれも美味しいと
   思う。そしてゼランが食べ続ける訳だと実感した。
村長「カシス殿。祭りが終わったら私の家まで来てくれ、渡したい物がある。」
カシス「分かった。」
   その後祝賀会は夜遅くまで続く。村人全員とモンスター退治を一応行ったと豪語する傭兵や
   ならず者達も大賑わいで騒ぐ。飲めや歌えの宴会に近く、祭りが終わった後は皆疲れた表情で
   自宅や宿屋へ戻っていった。

   その後カシス達は村長の話通り、村長邸に向かった。辺りはすっかり日が沈み、星空が見え
   だしている。
村長「来たか、待っていたぞ。」
カシス「何です、渡したい物とは?」
   村長は大金庫から3000リールヴを取り出す。それは村の半年分の生活費であった。それを
   見たアシリアとゼランは、目の前の大金に瞳を輝かせる。
村長「約束通りの3000リールヴだ、大切に使ってくれ。」
カシス「半年分の生活費なんだろ、大丈夫なのか?」
   心配するカシスをよそに村長は明るく言い返す。その言葉には何らかの決意も込められている
   感じがした。
村長「構わんよ、もうモンスターは来ないしな。これからは今までの分もしっかり働くつもりだ。
   だからその決意も込めて渡したいんだよ。」
カシス「・・・すまない、ありがたく頂戴するよ。」
村長「それと宿の方を手配しておいた。今日はここで体の疲れを癒すがよい。」
ゼラン「そう言えば他の傭兵やならず者達はどうしたんですかい?」
村長「全員酒場や宿屋に屯している。自分達は何もしていないのにモンスター退治は俺がやったと
   言い張っているようだ。貴殿だけだよ、カシス殿と一緒にモンスターどもを退治してくれた
   者は。」
   村長の言葉にはカシスも同じだった。雇われた者の中で唯一ゼランだけがモンスター退治に
   参加して帰って来たのだから。
ゼラン「いやぁ〜照れるなぁ〜・・・。」
カシス「となると・・・宿の部屋は満室じゃないのか?」
   その言葉に村長はしまったといった顔をする。やはりなとカシスは思った。
村長「あ・・・言い忘れた。部屋は一室しか確保できなかった。」
カシス「構いませんよ、後はこちらで何とかしますから。」
村長「そうか、分かった。それと今後何か困った事があれば、何でも言ってくれ。必ず力になる。」
カシス「ありがとう村長。」
   カシス達は村長が手配してくれた宿屋へ向かう。確かに宿屋には一室しか空いておらず、その
   隣の酒場には傭兵やならず者達が屯している。
   カシス達は3人で1つの部屋に宿泊する事に決めた。
                               第1話 4へ続く

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