フリーダムハート 自由なる勇将ヴィアラシュア 暗黒皇帝ディーラの野望 〜第3話 アシリアの生い立ち2〜 その後カシス達も食事を頼み、一同は昼食を取りだす。そんな中、ゼランがメイとディールを 見つめ話しだす。 ゼラン「メイとディールはエルフ族。グレスはオーガ族、アルビスはダークエルフ族だ。イザルスは 合成人族だろ。一体人間以外にはどんな種族がいるんだ?」 カシス「かなりいる。妖精・エルフ・ダークエルフ・ホビット・ドワーフ・オーガ・ケンタウロス・ 鳥人・獣人・合成人・リザード・・・。」 アシリア「リザード?」 カシス「トカゲ族とも言う。彼等はリザードと言っているが。」 イザルス「鳥人とは一体?」 カシス「背中に翼が生えている種族だ。別名天使とも言われている。」 カシスの発言に一同は生徒みたいに意見を述べたり納得したりする。若いながらもしっかりと 世界の事を知っている彼に感銘した。 ゼラン「その他には?」 カシス「ヒューマン、そしてドラゴニアンだ。」 メイ「ドラゴニアン?」 カシス「全種族中最強の生命体、つまり竜族。ドラゴンにも変身可能だが、今は殆ど見かけないな。 竜族は親や祖先の遺伝子をそのまま受け継ぐ唯一の種族でな。千年や一万年の戦闘・知力・ 特殊能力をそのまま後の世に伝えるんだ。生まれた時から特殊な能力を使えたり。例えば 魔法が使えたり、単純に強かったりと色々ある。」 ゼラン「まるでカシスはドラゴニアンみたいだな、魔法使えたり強かったりと。」 ゼランの発言に一同納得する。確かにカシスは強すぎる、以前から戦い方等を知っているかの ような行動をとるからだ。それに知識の方も人間には考えられない程の博識振りだ。これを 目の当たりする者はそう思わざろう得ない。 カシス「そんな筈ないだろ、俺は列記とした人間だよ。」 アシリア「今話してくれた以外にはいないのですかね。」 カシス「後はモンスターだ、色々な種族がいるだろ。知能を持ったのは今話した13種族だけだ。 ごく偶に知能を持ったモンスターが生まれる事もあるが。」 イザルス「グレスは両親がオーガ族、アルビスは父親がダークエルフ族だそうです。」 グレス「力仕事で発揮してくれますよ。」 アルビス「私は魔力が強い点でしょうか。体力が若干人間より劣っていますがね。」 グレスとアルビスの事を聞いたゼランは、飲食店の天井を見つめながら呟きだす。 ゼラン「世界は広いんだな〜・・・。」 カシス「そうだな。」 世界は広い、そんな中に自分達が生きている事に実感した。多種多様の種族の一員として。 そこに見知らぬ者が近づいてくる。その姿を見たカシス以外は驚く。先程の種族話に出た中の 一つである、リザード族の剣士であった。 リザード族「博識ですね、私達の種族もご存知とは。」 カシス「まあな・・・。種族なんて皆同じ、魂が宿る生命体だ。モンスターにも全ての生物にも魂が 宿っている。差別なんてあってはいけないんだ、絶対にな。」 カシスの言葉にリザード族の剣士は感動したようである。確かに人間や他種族等は人種差別を しやすい。人間同士でも差別は存在する。カシスのような考え方の者はそう滅多にいない。 リザード族「・・・感無量です。初対面の私にそのような言葉を言って頂けるなんて。」 カシス「気にするな。こういう奴なんだ、俺は。」 メイ「トカゲのおじちゃん。私はメイ、あなたは?」 カシス以外はリザードの男性に引き気味だったが、メイは堂々と歩み寄り自己紹介を始める。 リザード族「私はゼロン、よろしくメイ殿。」 ゼロンはメイと握手を交わす。それを見たカシス以外の者は、一瞬ではあるがゼロンを冷たい 視線で見つめた自分を恥じる。続けざまにカシスも自己紹介をしだした。 カシス「俺はカシス、よろしくな。」 ゼロン「よろしくカシス殿。」 その後アシリア達も次々と自己紹介をしだす。ゼロンも優しそうな表情で応対した。それを 見つめたカシスは心中で、“これが当たり前なんだ”と呟いた。 ゼラン「なあゼロンさんよ、あんたはどうしてここに?」 ゼロン「グリーエ城に兵士志願をしに来たのですよ。ですが何だか不安で・・・。」 カシス「俺達も一緒に行こう。城に野暮用でな、これも何かの縁だ。」 ゼロン「ありがとうございますカシス殿。」 アシリア「そうと決まれば行きましょう、私が住んでいた王宮へ。」 アシリアの発言にまたもカシスは驚く。やはりアシリアはグリーエと何らかの関係があると 直感した。だがその答えはもうじき分かるとカシスは思った。 その後一同がテーブルから離れた直後、カシスが何者から発せられる殺気に気付く。遅れて ゼロンもその殺気を察知する。 カシスとゼロンは颯爽と飲食店を出て、それぞれの剣を鞘から抜き放つ。そこには人ごみに 紛れられぬ姿をした兵士達が待ち構えていた。 ゼロン「何だお主達は?!」 気合が入った声でゼロンが叫ぶ。その声に周りにいる人達は驚き、一同を見つめる。 重騎士「アシリア姫を渡してもらおう。」 カシスは重騎士の発言を聞き、アシリアの生い立ちが分かる。だが今はそれ所ではなかった。 そこに勘定を済ましたアシリア達が現れ、それを見た重騎士達は不気味な笑みを浮かべる。 重騎士「フフッ、渡してもらおう。アシリア姫を。」 アシリアはその発言を聞き、何がなんだか分からない表情をする。だが一つだけ分かる事が あった。それは重騎士達が自分にとって敵である事に。 カシス「もし断ったら?」 重騎士「貴様等全員殺して奪う。」 ゼラン「やってみなっ!」 言うか早いかゼランは鋼鉄の斧を手に持ち、重騎士に突進した。その速さに重騎士は驚き、 手に持つ鉄の槍で鋼鉄の斧の攻撃を防ぐ。 ゼラン「やるなお前、だがっ!」 ゼランは重騎士に蹴りを放ち、相手を転倒させた。その間にカシスはイザルス達にアシリアと 一緒にグリーエ城へ向かうように話す。イザルス達はアシリアを守る形で城に向かいだした。 重騎士「逃がすな、追え!」 重騎士の配下達はイザルス達を追っていった。その場に残ったカシスは重騎士の相手をする。 重騎士「まだ邪魔する気か!」 カシス「当たり前だ。どう見てもお前の方が悪者だ、ならば悪者を退治しないとな。」 重騎士「なめるなぁ!!!」 重騎士は鉄の槍をカシスに突き刺そうとする。だがカシスはその場にジャンプし、重騎士の 背後に回り込む。槍系は前方への突進系には強いが、後方に切り返しが利かない点がある。 まあ突進系で繰り出される攻撃は全てそうなのだが。 背後へと回り込んだカシスは白銀の剣で重騎士を斬り付ける。白銀の剣の太刀筋は硬い鎧を 引き裂き、背中を切り刻んだ。 重騎士「ぐぅっ、き・・貴様ぁ!」 カシス「引け、そうすれば殺しはしない。」 重騎士「ふざけるなっ!」 重騎士は再び鉄の槍を突き刺そうとした。カシスはそれを回避せず、目の前まで迫ってきた 矛先を左手で掴む。重騎士は鉄の槍を全力で引こうとするが、カシスの握力は鉄の槍を全く 離さなかった。 重騎士「な・・なにっ・・・どこにそんな力が・・・。」 カシス「死にな。」 カシスは白銀の剣で重騎士の首を切り落とす。切り落とされた首は宙を舞い地面へ落ちた。 だが次の瞬間、重騎士の首と胴体は煙をあげだす。なんと重騎士と思っていたのはモンスター であった。モンスターの死体は煙をあげながら消えてく。 カシス「変身魔法リミテッドリーフ、まさか奴等の中に魔術師がいるとでもいうのか・・・。」 カシスは詮索を後回しに、アシリア達の後を追って行った。 その頃アシリアを守るイザルス達はグリーエ城門近くまで来ていた。だが追っ手の兵士達の 足は速く、城門付近でアシリア達に追い付かれそうになる。 同じ頃城門付近に待機していたグリーエ兵達がその騒ぎに気づき、何事かとアシリア達の元へ 近づいて行く。そしてアシリアの姿を見た彼等は驚きの表情を浮かべた。 グリーエ兵2「ア・アシリア様っ!!!」 次々にアシリアの名を告げる兵士達、そして喜び合うのであった。だがアシリア達が追っ手に 追われている事には変わりない。 アシリアは思い切ってこう叫んだ。 アシリア「何でもいいから助けなさいっ!」 アシリアの発言にグリーエ兵士達は我に返り、凄い勢いで追っ手の兵士達を捕まえだした。 さすが世界一の軍事レベルを誇るグリーエ、グリーエ兵士達の手際の良さは凄いものである。 また同僚との連携も凄まじく、これが最強の兵士達なんだなと一同は痛感した。 ゼラン「ふぅ〜、一時はどうなるかと思った・・・。」 ゼロン「まったくですな。」 追っ手の兵士達を縛り上げたグリーエ兵士達は、次々にアシリアの前に跪いた。イザルス達は 彼女が本当にグリーエの皇女だという事を目の当たりにする。 グリーエ兵1「ご無事で何よりです、アシリア様。」 アシリア「ありがとうございます、助けて頂いて。」 遅れてカシスが駆け付けて来る。だがその場の雰囲気を見ると、事は片付いたなと思った。 カシス「大丈夫だったか?」 イザルス「はい、アシリアさんに助けられましたよ。」 メイ「アシリアお姉ちゃん、お姫様だったんだね。」 カシス達が雑談をしていると、再び何者かの殺気を感じ取る。カシスは城門西側に白銀の剣を 構えた。 カシス「出てきな、いるのは分かっているんだ。」 直後何もない空間から魔術師が現れる。その姿を見たグリーエ兵達は構えの姿勢を見せた。 カシス「待った、奴に聞きたい事がある。」 グリーエ兵士達にそう促し魔術師に歩み寄る。その表情はアルビスと同じダークエルフ種族。 尖った耳が印象強い。 魔術師「私の術を見破るとはな、さすが流浪の勇剣士カシス。」 カシス「貴様は?」 魔術師「ジャオグという。今は争うのは止めよう。」 ジャオグの発言で、カシスは一連の行動全てを確信した。その答えを本人に話しだす。 カシス「・・・ルッドを攻めて来たのも、アシリアを捕まえようとしたのも本命ではないようだ。 貴様等の本命は俺のようだな?」 ジャオグ「フフッ、鋭い洞察力だ。ルッドやアシリア姫の事などどうでもいい、問題は貴様自身だ。 貴様の力、いや貴様の生命自体邪魔なんだよ。あの方からしてみればな。」 カシス「だったらディーラにこう告げろ、俺を殺したければ直接来いとな。」 ジャオグ「これはディーラとは関係ない、奴はただここへ侵攻する将軍に過ぎないからな。」 カシス「ディーラ以外に黒幕がいるとでも?」 ジャオグ「さて・・・貴様なら自ずと分かるだろう。今度会う時は必ず殺す。」 ジャオグは移動魔法ヴェーブと唱え、その場から去っていった。カシスは光の矢となり去って 行ったジャオグを一瞥する。手強い奴だと心中で思うカシスであった。 ゼロン「奴の言葉・・・気になりますね。」 ゼラン「ま・・どの道倒さなければならない相手だという事は分かるがな。」 イザルス達はカシスとジャオグの会話を振り返っていた。そこにカシスが戻って来る。 カシス「厄介な事になった、ディーラ以外に黒幕がいるらしい。」 ゼロン「しっかり聞きましたよ。」 イザルス「今はとにかくグリーエ襲撃の事を告げましょう。」 カシス達はグリーエ兵士達に王様か大臣らのお偉方への面会を頼む。グリーエ兵士達は快く 受け入れる。まあお姫様のアシリアがいるのだから、当然断る訳にはいかなかったのだろう。 カシス達はグリーエ兵の一人と一緒にグリーエ城内へ入って行く。その他のグリーエ兵士達は 追っ手の敵兵士達を自警団に引き渡しに行った。 カシスは心の中で呟く。ここからが今まで以上に厳しい戦いにとなる事だろうと。それはある 意味、確信に近かった。 第3話・3へ続く |
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