覆面の風来坊外伝
〜三国志遊戯〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝3 〜三国志遊戯〜
    〜第1部・第01話 乱世へ〜
    時には理路整然と解釈できない出来事も起こるもの。それは突然としてやってきた。しかし
   それは密かに思い描いていた世界観でもある。恐怖感と同時に興奮もするが、その世界がどの
   様なものなのかは分からない。

    それでもその場ですらも生き様を刻む戦いへと発展していく。己自身がいる場所こそが、
   己を変革し行く環境なのだ。それがたとえ、三国志遊戯なる仮想空間であってもだ・・・。

    己の生き様を貪欲なまでに貫き通し抜く。その時こそ、自分が自分であるが故の要因を示す
   事になるのだから・・・。



ミスターR「おいおい、マジかよ・・・。」
    ミスターRが驚愕の表情を浮かべている。かく言う俺の方もそうなのだが・・・。今は彼ら
   と雑談していたのだが、突如と目の前が変化したのだ。理路整然と解釈できる物事ではない。
   まるで魔法のようである。
ミスターR「これって・・・三国志の時代じゃないっすか!」
ミスターT「そ・・そうなの?」
ミスターR「この年代からして・・・黄巾の乱のかなり前っすね。」
   何やら辞書を取り出すミスターR。そう、今まで彼とは小説の作成に関する事で話し合って
   いたのだが。しかしこの現状は呆然とするしかない。

    つい最近、彼とは小説作成で話し合っていた。その時に突然とこの様な変化に至ったのだ。
   ただこれを裏返せば、絶好の機会と言えるのだろうな。


ミツキ「あーっ、いたわぅー!」
ウエスト「驚きだな、こりゃ・・・。」
ミスターT「あれま、大勢でいらっしゃってからに。」
    三国志の時代とされる場所に現れたのは、ミスターRと俺以外にも大多数の面々がいた。
   総勢200人、6エンパにて具現化した面々と言える。となると、ここに集った意味合いは
   大体想像が付くわ・・・。
ナツミYU「ここってさ、中国は三国志の時代よね。」
ミスターR「そうっすね。伝記を見ると・・・183年頃、黄巾の乱の前辺りっすよ。」
シューム「物知りねぇ〜・・・。」
ナツミYU「これでも一応学園の校長やってますが・・・。」
   皮肉を込めて語るナツミYUに苦笑いを浮かべるシューム。今のこの流れは風来坊のものと、
   アルエキファイタの流れを汲んでいる。ただ実際に時の流れは当時に至るのだが。

ディルヴェズ「何と・・・。マスター、この時代でも自分達は魔法を使えるようです。」
    そう言いながら手から炎系魔法を繰り出すディルヴェズ。現実面の世界観を汲んでいるので
   あれば、ファンタジー要素的な魔法の力はまず在り得ないものだ。それが使えるとなると、
   俺達の力は半端じゃないものになるだろう。
ミツキ「にゃっは〜、そうなるとわた達で乱世を制する事ができるわぅね!」
ナツミA「・・・そんな事をして何の意味があるのよ。」
ミツキ「ロマンわぅよ。天下制覇なんて夢じゃないわぅか!」
ナツミA「何だかねぇ・・・。」
   ミツキの熱弁に呆れ顔になるナツミA。しかしナツミツキ四天王の方はミツキに同調気味だ。
   理路整然と取るよりは今の現状をどうするか、この点に至ってくるだろう。

ミスターT「黄巾の乱の前って、もしかしてあのリョフ氏もいるのか?」
ミスターR「今はテイゲンの元で養子としていますぜ。黄巾の乱の後は彼を斬ってトウタクの元へ
      赴く。その後に反董卓連合となる訳で。」
ミスターT「・・・裏切り者の代表格と言われているリョフ氏を、早々からテイゲン氏の元から強奪
      すればあるいは・・・。」
ミスターR「ハハッ、やっぱそれ考えますか。彼自体をこちらに寄せれば、トウタクの甘い誘惑には
      至らないでしょう。それに、ほら。」
    言うか否か、何と伝説的な馬・赤兎馬を出現させる彼。これには驚愕するしかない。詳しい
   事は分からないが、どうやら自分達が思い描く事が実現できるようだ。
ミスターR「セキトバをネタにリョフ氏を引き寄せれば、ね。俺もリョフ氏の裏切り常習者ではない
      姿を見てみたいっすから。」
ミツキ「問題はどうやって説得するわぅかね。」
ミスターT「・・・やるからには直談判しかない。俺が憧れる彼が真の猛将として変化するなら、
      この役目は是非とも担いたいものだ。」
シューム「何か込み入ってきたけど、君が瞳を輝かせているなら賛同するしかないわね。それに私達
     アルエキファイタの住人は、君なしには生きて行けないのだから。」
ナツミYU「歴史が変わってしまったりとかしませんかね・・・。」
ウエスト「別の時間軸上の三国志、と取れば史実に影響はないかも知れませんよ。それにここが本当
     の三国志の時代なのか微妙な所ですし。」
   手持ちのノートパソコンにて色々と調べだすウエスト。それに同調し、サイバーとメルデュラ
   が同じく動き出している。この3人は風来坊の設定上、コンピューターに関してかなりの腕前
   を持っている。


ミスターT「・・・痛いよな・・・。」
    俺は自分の頬を思いっ切り捻った。これが夢なら痛くは感じない。だが今は物凄く痛い。
   これが夢ではなく現実である事に、改めて思い知らされた。
ミスターT「ビィルガ、これって模擬シーズン云々じゃないよな?」
ビィルガ「マスター、何を仰る。私でさえこの現状は理解できませんぞ。ただ言えるのは今が乱世で
     ある事は間違いないかと。それにこれは一致団結しないと乗り切れない。模擬シーズン
     ではなく、本当の戦いなのですから。」
シェガーヴァ「ここはマスターの意志に従いましょう。この流れからすると、我々の力は最大限発揮
       できないでいます。それに我々がマスターから誕生した者となると、マスターの消滅
       自体が自分達の消滅に至ってしまうのは明白かと。」
   この場にいる200人はアルエキファイタ内から抜粋された形となる面々だ。以前彼らを題材
   に真・三国無双6エンパイアーズにて実現したそのものである。となれば、ここに現れた意味
   は非常に大きなものだろう。

ミスターT「・・・暴れるしかないか。」
ミツキ「やったるわぅー!」
    ミスターRが創生したセキトバに乗り、獲物の十字戟を振り回すミツキ。その姿に周りの
   面々は驚愕している。何でもセキトバは非常に気難しい存在のようで、リョフ氏とカンウ氏
   しか乗せなかったという。この場で具現化したとしても、その部分は継いでいるだろうな。
   ミツキが乗る姿はそれを覆した形になる。
ミスターR「・・・やっぱミツキさんは凄いっすよ。赤兎馬は乗り手を選びます。それを意図も簡単
      に乗りこなすのは・・・。」
ミスターT「ミツキなら何でもやりそうだの。」
   セキトバに乗って縦横無尽に動き回るミツキを見ながら一服した。彼女の存在なら動物全てが
   付き従うかのようだ。それだけ心が純粋無垢の証拠だろう。


ウエスト「・・・やはり今も思うかい?」
ミスターT「・・・ああ。何故俺が生きているのか、とね。」
    同じく一服しながら空を見上げるウエスト。過去で激闘と死闘を共に戦い切った、唯一無二
   の盟友中の盟友である。当時を知る生き証人そのものだ。
ミスターR「お2人のその話を聞くと、居た堪れなくなります。あまり悲観的になるなとも思って
      しまいますが、それ以前の話になってきますよね。」
ウエスト「実際に3人、いや・・・4人か。運命は大切な人を奪いやがったんだからね。これ程怒り
     が込み上げるものはないわ。」
ミスターT「その彼らを否定する阿呆もいるもんだ。同じく大切な存在を貶されれば、怒りを覚える
      というのが分からんらしい・・・。」
シルフィア「こら、だからこそ“だから何?”じゃないのよ。誰彼がどうこうじゃない、自分自身が
      どうあるべきか。それが重要なのよ。」
ウエスト「心得ています。ですが、ね・・・。」
ミスターT「恩師の一念が俺達をどれだけ踏み止ませてくれた事か・・・。」
   俺は当時を思い、色々な思考が脳裏を交差する。ウエストの方も同じようである。半ば怒りも
   出始めている事からか、周りの面々は大慌てで落ち着かせてくる。

サイバー「これは現実の本人の言葉じゃない。でもね、俺は君がミツキを心から支えてくれていた
     事に感謝している。現に実際には遠く離れた君だけが彼女の支えだったじゃないか。」
ミツキ「絶望が自分を支配し続ける中で、Tさんは私に諦めるなと何度も激励してくれていました。
    これも現実の私の言葉ではないですが、その理には本当に感謝してます。」
ナッツ「結果的には、ああなっちまった。でもウエストさん、俺達は最善を尽くしたんだよ。その
    部分はもっと誇りに持っていいんじゃないかな。」
ナツミA「貴方の性格上、とても自分を許せるものじゃないのは分かってる。でも貴方やTさんは
     確かに死闘を戦い切った。己の身体をボロボロにしてまで、ね。」
ミスターR「俺はミスターと出会った事を誇りに思います。今では最古参のフレンドになっちまって
      いますけど。生き方は異なっても、根幹に据わる一念は同じっすよ。」
    俺やウエストを擁護する彼らに深く頭を下げた。同時に止め処なく涙が溢れてくる。今も
   俺の胸に開いた穴は塞がらない。広がっていくのが痛いほど理解できるぐらいだ。

シューム「・・・こうなると私達には何もできないわね。現実の人物と架空の人物と。その重みは
     雲泥の差と言う以前に次元が違いすぎる。」
ナツミYU「それでも先輩、私達が巡ったのはナツミAさんを激励するためにですよ。マスターが
      具現化した覆面の風来坊の世界。私達は私達なりに努力したと言い切っても、誰にも
      文句なんか言わせません。」
シルフィア「誰彼が、になるからね。貴方達の姿を通して、生きる事の大切さと人との関わり合いの
      大切さを伝えた。上辺だけの存在は本当の事を理解しない、それでいいのよ。」
    表情には出していないが、シルフィアもかなりの怒りを顕にしている。その絶対零度の様な
   氷嵐は、周りの面々を青褪めさせるには十分なものだ。
ミスターT「・・・ふん、理解もせず批難するだけか。まあいい、俺は勝ち進むのみよ。だな。」
ミスターR「うっしっし、6エンパのリョフ氏・仁愛イベントですな。それをアレンジしたと。」
ミスターT「裏切り云々の部分を除いてだが、彼の生き様には本当に憧れる。我欲以前に純粋無垢の
      生き様、言わばミツキがそれに近いのかも知れない。」
ミツキ「わぅわぅ、リョフちゃんは愚直なまでに真っ直ぐわぅ〜!」
   セキトバから降りて、その頭を撫でようとするミツキ。ただ従来の馬よりも数倍近い巨体を
   誇るだけに全く届かない。しかしその一念をセキトバの方も理解した様子で、巨大な頭を彼女
   の方に下げだした。そして頭が優しく撫でられる。彼女の純粋無垢の一念は、本当にリョフ氏
   のその一念と酷使しているな。

ミスターT「シュームさんや、大丈夫だよ。そこまで俺達の事を思ってくれる。それがどれだけの
      励みになる事か。」
シューム「私達が望むのは君の明るい姿よ。これ以上、こっちの方も不安にさせないでね。」
ミスターT「委細承知。」
ミツキ「俺の胸を貸してやるわぅ〜!」
ミスターT「お前なぁ・・・。」
    重苦しい雰囲気を一蹴するミツキの言葉。どうやってそれが浮かぶのか不思議でならない。
   周りは爆笑するも、俺の方は呆れるしかなかった。本当に彼女はムードメーカーまっしぐら
   だわ・・・。



ミスターR「さて、ミスター。これからどうしますかい?」
ミスターT「黄巾の乱まで1年余り。この1年・・・って俺達は歳を取らないのか?」
ディルヴェズ「大丈夫そうですよ。我々の時間は停滞しているも当然の形です。どんな過激な事を
       行っても、致死には至らなさそうです。」
ミスターT「そ・・そうか・・・。」
    ファンタジー世界観に精通しているディルヴェズ達は、至って平然とした表情をしている。
   しかし俺達や現実世界観を主軸とする面々からすれば、それは常識を逸脱した末恐ろしいもの
   である。
ミスターT「分かった。なら先ずはテイゲン氏に仕官、リョフ氏との交流を深めていく。また多分
      同時期にラクヨウにはチョウセン嬢がいるはず。彼女も合流させねば。」
ミスターR「まだ7歳ですけどね。」
   辞典を見つつ語るミスターR。彼自身も完全に詳しくはないようで、引っ切り無しに辞典を
   見つめている。流石の物知りな彼も、実際には色々と調べねば難しい話なのだろうな。

ミスターS「Tさん、俺達は実働部隊で動けばいいかい?」
ミスターT「Sさん程の実働部隊が他にいるかね・・・。」
ミスターS「ハハッ、そうでしたね。分かりました。」
ミスターA「上手くやってみせますよ。ご存知だと思いますが、ミツキさんと同じく格闘術には自信
      がありますから。」
    本業がレーサーという直感と洞察力を地で行くミスターS。彼ほど実働部隊に向いた存在は
   いないだろう。またミスターAも実際に柔道を学んでいたとあり、格闘術に関しては凄まじい
   強者と言える。
ミスターRY「俺も何か学んでおけばよかったですわ。」
ミスターH「気迫で勝負っすよ!」
ミスターK「具えあれば憂い無しですが、大体は勢いで決着が着きますよ。」
ミスターTA「暴れてやりましょうぜ!」
ミスE「無計画で突き進む事だけは、なさらないで下さいね。」
ミスターAK「しかしTさんの陣営は凄いものですね。」
ミスターMI「そうですね。これならば天下を統べる事も可能でしょう。」
ミスターTI「問題は勝ち進む事なんですがね、そこは俺達次第という事になりますか。」
ミスY「大丈夫です、そのための私達なのですから。」
ミスターHI「問題ありませんよ、思う存分動きましょう。」
ミスターHK「諸々、万事お任せ下さい。」
ミスターKA「実働部隊そのものですから。」
ミスターY「やってやりまっせ!」
ミスターSI「お任せ下さいませ。」
ミツキ「・・・Tちゃん、こちらの方々は誰わぅ?」
   ミスターシリーズと題しての面々が揃う中、全く知らない人物を指し示すミツキ。最近お知り
   合いになったばかりの盟友達であり、ミスターH・ミスターK・ミスターTA・ミスE・
   ミスターAK・ミスターMI・ミスターTI・ミスY・ミスターHI・ミスターHK・
   ミスターKA・ミスターY・ミスターSIである。

ミスターT「6エンパのマルチプレイでお知り合いにさせて頂いた、ミスターH氏・ミスターK氏・
      ミスターTA氏・ミスE嬢・ミスターAK氏・ミスターMI氏・ミスターTI氏・
      ミスY嬢・ミスターHI氏・ミスターHK氏・ミスターKA氏・ミスターY氏・
      ミスターSI氏さ。まあ代わりでリストラ削除として、デーネリス・デーネリア・
      デヴィル・ディヴディル・ヴァルガイス・ジャオルネイ・ベイゼン・ジェイカル・
      クライス・ヴェオディフ・レナブレガ・ベイラー・エラメスがいなくなったけど。」
ウエスト「主軸は主人公とヒロインサイドだ。正直な所、悪陣営の面々はオマケと言える。先生の
     対処は理に叶っているぞ。」
シェガーヴァ「怖い事を言いなさる。でもまあ事実ですし致し方がないでしょうな。」
    ウエストの悪陣営の存在を揺るがしかねない発言に戦々恐々の彼ら。しかし本来は裏方の
   役割なのが悪陣営の存在。そこはメインたる主人公とヒロインを立てる事が最優先の宿命とも
   言えた。シェガーヴァが語る内容は諦めではなく、悪陣営が持って生まれた定めだからだ。
ミスターH「今後ともよろしくです。」
ミスターK「どもです、よろしくお願いします。」
ミスターTA「よろしくです。」
ミスE「よろしくお願い致します。」
ミスターAK「以後、よろしくお願いします。」
ミスターMI「お初です、よろしくお願いします。」
ミスターTI「よろしくっす!」
ミスY「初めまして、よろしくお願い致します。」
ミスターHI「よろしくお願いします。」
ミスターHK「今後とも、よろしくお願い致しますです。」
ミスターKA「以後よろしくです。」
ミスターY「よろしく!」
ミスターSI「よろしくお願いします。」
ミツキ「よろしくわぅ〜!」
   今現れたミスターH・ミスターK・ミスターTA・ミスE・ミスターAK・ミスターMI・
   ミスターTI・ミスY・ミスターHI・ミスターHK・ミスターKA・ミスターY・
   ミスターSIもミツキご自慢の明るさには驚愕しているが、自然と順応してしまう所は流石
   としか言い様がない。自分がミツキの明るさに慣れるまでには時間が掛かったのだが。
ミツキ「・・・Tちゃん、直ぐに打ち解けたじゃないわぅか!」
ミスターT「颯爽と心を読みやがって・・・。」
シルフィア「フフッ、女を甘く見ない事ね。男の心情なんぞ直ぐに読めるわよ。」
シューム「そうですねぇ〜。特に目線は胸と股間と尻に向けられるからねぇ。」
ミスターT「この野郎、人をどんな目で見てやがるんだ・・・。」
ミツキ「こーんな目で見てやるわぅ!」
   そう言いながら両手で顔をギュッと引っ張り上げるミツキ。その顔と言動に周りは大爆笑を
   しだした。本当にムードメーカーとしては彼女に敵う者は存在しないわな・・・。



    理路整然と解釈できない現状が今だった。実際の史実の三国志とは別の次元なのだと告げる
   頭脳陣だが、同じ流れなのは間違いない。

    俺自身、三国志の話は上辺だけの毛の生えた程度でしか分からない。ゲームなどではある
   程度理解している方だが、マニアの方には到底及ばない。というか今はマニアの方のその力を
   借りたい気分であるが・・・。


    とりあえず現状は動き出すしかない。俺達200人で天下統一とは恐れ多いが、この場が
   史実とは別の次元ならば狙っても問題はないだろう。

    そこでこちらも統率が取れるように軍団を纏める事にした。総じての呼び名は覆面の風来坊
   でも活躍している、躯屡聖堕フリーランスを使う事にした。その中での創生者軍団・善陣営・
   悪陣営・中立陣営という流れを組む事にする。

    まあ悪陣営といっても理はアルエキファイタ内に回帰するため、この200人の軍団は家族
   そのものだ。本来なら出たい人物が数多くいる中からの抜粋なのだから。



ミスターH「なるほど、これがミスターTさんが仰っていた軍団ですか。」
ミスターAK「確かにこれだけの陣営が揃えば、天下を制する事は容易ですな。」
ミスターK「全ては絆の力、あのお話の通りですわ。」
ミスターTA「そうですな。」
    軍備の創生は頭脳陣に任せ、俺は傍らで一服しながら獲物の方天戟を調整している。近場
   では同じ様に十字戟の分解調整をするミツキとナツミA。その中でミスターH・ミスターK・
   ミスターAK・ミスターTAが統率が取れた軍勢に感嘆しだす。またそれは他の強者のミスE
   ・ミスターMI・ミスターTI・ミスY・ミスターHI・ミスターHK・ミスターKA・
   ミスターY・ミスターSIも同じ様に感嘆している。
ミスターT「主力陣以外は全員、俺の息子や娘達だからね。そこから派生した人物が軍団となった
      訳だが、まあ難しい事は気にしない方がいいかもな。」
ミスターA「Tさんの創生技術には毎回驚かされますよ。俺も何時の間にか創生されて、こうやって
      軍団の仲間入りをしていますし。」
ウエスト「先生が心から信頼する人物なら、俺からしても家族当然だ。ニューフェイスだろうが関係
     ないよ。危なくなったら率先して助けに入るわ。」
ナッツ「用は纏めて守り通せば済む事ですからね、簡単な事ですよ。」
   珍しく一服するウエストとナッツ。この2人とは実際に激闘と死闘を戦い抜いた盟友中の盟友
   である。ただ実際に面と向かって会話した事はないのだが・・・。

ミスターR「ミスター、質問が。ミスターがリョフ氏達とコンタクトを取っている間、俺達はどう
      していればいいっすかね?」
ミスターT「待機しているしかなさそうだが・・・。ディルさ、姿隠しの魔法とかあったっけか?」
ディルヴェズ「ありますよ、植物系魔法を使えば可能です。」
ミスターT「了解。近場にいれば有事は安全か。ただ乱世とあって相手は殺気立っているのも事実。
      下手な威圧は掛けたくないが・・・。」
    史実やゲームでも気難しく扱われているリョフ氏。その彼とお近付きになるのは容易では
   なさそうだ。しかし対話こそ最強の理解への力、ここを疎かにしてはダメだろう。
ミスターAK「まあリョフ氏でもコミュニケーションで激変すると思いますよ。ミツキ嬢の一念が
       伝われば、間違いなく応じてくれると確信しています。」
ミツキ「おー、お墨付き貰っちゃったわぅ。頑張らないとダメわぅね!」
   まだ出会って時間が経過してないが、ミスターAKがミツキの潜在能力を察知する。彼女の
   コミュニケーション能力は仲間内で最強であり、誰とでも打ち解けるのは言うまでもない。
   それに大歓喜して一気呵成に盛り上がるミツキであった。

ミツキ「そうそう、TちゃんTちゃん。チョウセンちゃんはどうするわぅか?」
ミスターT「オウイン氏の義娘でいるからねぇ、今は安全じゃないかね。リョフ氏はある程度の成長
      となっているだろうけど、チョウセン嬢はまだ未成熟だから任せるしかない。」
ミツキ「オウインちゃん共々、強奪もありわぅよ?」
ミスターT「・・・早い方がいいのかね・・・。」
    目を光らせながら提言してくるミツキ。彼女の勢いからすれば、やりかねない荒業だろう。
   しかし今はまだ7歳のチョウセン嬢。トウタク氏への連合を組む際は14歳と推測できる。
ミスターT「そもそもリョフ氏の実年齢って幾つなのよ・・・。」
ミスターK「公式設定だと29歳だそうです。チョウセンさんは19歳。10歳差ですね。」
ミスターR「むむむ、チョウセンさんの誕生が176年。そこから19歳だと19年後、195年と
      なりますか。3年後リョフさんが処断されるとなると、最後は32歳に22歳ですな。
      リョレイキさんは丁度17歳。」
ミスターT「となるとリョフ氏の誕生年は166年となる訳か。」
ヴェアデュラ「お父さんが6人の夫となる頃に処断ねぇ・・・。リョフさんはまだしも、お父さんは
       処断されてもおかしくない状況だけど。」
シューム「アハハッ、言えてるわねぇ。」
ミスターT「全然嬉しくないんだが・・・。」
   200人が出揃う6エンパこと真・三国無双6エンパイアーズ内の陣営では、覆面の流浪人で
   構成された娘達は登場していない。というか200人の枠組が狭すぎて、とても創生できる
   状況じゃなかった。

ミスターMI「実は既にリョレイキ嬢が生まれています。背中に背負って戦われていますよ。」
ミスターT「MIさん、それマジ?!」
ミスターMI「です。生誕は181年、黄巾の乱時は3歳ですね。」
ミスターAK「史実の事ならMIさんが超詳しいですから。」
    実際にはお知り合いになってから分かった事なのだが、ミスターMIの三国志や戦国時代の
   史実の内容に超精通している猛者である。彼が言うには、テイゲン氏の元にいる時は既に娘の
   リョレイキ嬢が生まれているという。チョウセン嬢より5歳年下だが。
ミツキ「でも今はいなさそうわぅね。」
ミスターMI「そうですねぇ。この世界観が6エンパをベースとしていれば、まだリョレイキ嬢は
       創生されていません。次回作の7エンパでは構成されますけど。」
ミスターT「・・・これは実際の話ね。7エンパが出たら、三国志遊戯を書き直すわ。まあ手直しに
      なるだろうけど。」
ミツキ「わぅわぅ。リョレイキちゃんとかが出てくるわぅね、楽しみわぅ〜♪」
   この部分は実際の会話として割り切って語った。それに一同頷いている。今の世界観は現在
   リリース中の6エンパイアーズを題材としている。同作ではリョレイキ嬢は登場していない。
   次回作なら登場しているため、挙げるとすれば次の世界だろう。

ミスターRY「となるとアレですね、今度の7エンパでは娘さん方を全員投入しては?」
ミスターS「いいねいいねぇ〜、華が多くなるのは嬉しい事よ。」
ミスターT「・・・Sさんってそんなキャラだったか・・・。」
    偶に見せるミスターSの異性に対しての目線。まるでエロオヤジまっしぐらなのだが、その
   言動は俺にも分かるので批難はできない。むしろ同調できるのが何とも言えないわ・・・。
ミスターA「野郎は異性の前では舞い上がる、これは昔も今もこれからも変わりませんよ。」
ミスターT「何とも・・・。でもまあ・・・7エンパで300人の枠になるならね・・・、40人の
      娘達の創生は考えなくもないわ。」
ミツキ「おおぅ、ルビナちゃん達の娘さんも登場わぅね!」
ミスターT「そうなると、この陣営の設定も変更しなければならないんだがね・・・。」
   新たに創生されるのが小説内での俺の娘とあってか、周りの面々は何時になく燃え上がって
   いる。特に家族が増えるとあってシューム以下の女性陣はニヤニヤ顔が俺に向けられていた。

    この流れが数多く起こったのが、覆面の風来坊の世界観だ。そしてそれが家族愛という究極
   の慈愛の精神に至っていくのだから。盟友達へ捧げる俺なりの感謝の印でもある。


シェガーヴァ「マスター、今回削除したデーネリス嬢・デーネリア嬢・デヴィル嬢・ディヴディル嬢
       ・ヴァルガイス氏・ジャオルネイ氏・ベイゼン氏・ジェイカル氏・クライス氏・
       ヴェオディフ氏・レナブレガ氏・ベイラー氏・エラメス氏は必ず再創生してあげて
       下され。」
ミスターT「そこは大丈夫。この13人の犠牲でミスターH氏・ミスターK氏・ミスターTA氏・
      ミスE嬢・ミスターAK氏・ミスターMI氏・ミスターTI氏・ミスY嬢・
      ミスターHI氏・ミスターHK氏・ミスターKA氏・ミスターY氏・ミスターSI氏が
      具現化できたからね。」
    6エンパの布陣、200人の枠。その中に新たに人物を創生するとなると、誰かをリストラ
   しなければならない。その面々は来るべき次回作に回したり工夫をする必要がある。
ビィルガ「サンプルが存在しているのなら容易に再構築できるでしょう。もっとも、再構築しないと
     悪陣営の頭が出揃いませぬ。そこは陣営を纏める役を演じるだけに、どうしても欠けては
     ならないですぞ。」
ミスターT「今現在の状況だと、ヴュリア・ヴュミア・ユウト・リュウル・リュウガ・デュシアL・
      ヴァディメラ・ラーデュ・リオデュラ・エルシェス・オリティア・エシェヌ・レシュス
      ・セフィヌと対決するラスボスがいないからねぇ・・・。」
   今のこの場は主人公と対決役のラスボスが存在している。しかし挙げた10人は先の10人の
   創生で欠落してしまっていた。複数の面々にラスボスが欠落している現状、ビィルガが言う
   様に非常によろしくない。

ウエスト「なら7エンパの最初の13人目までに配置するかい?」
シェガーヴァ「そ・・それは恐れ多いですよ。」
ビィルガ「そうですな・・・。再構築しては欲しいが、それは中核辺りにポツリと存在していれば
     申し分はないですし。」
    ウエストが提示するは、リストラした13人を7エンパでの最初に持ってくるというもの。
   それに恐れ多いと言った風な表情を浮かべる悪陣営の面々。戦いの場を好む彼らだが、それは
   裏方の役割を徹しているから成し得るものなのだろうな。
ウエスト「同じ人なのに、善陣営も悪陣営も関係なさそうなんだが。」
ナツミA「派閥も必要な要素よ。じゃないとゴチャ混ぜ状態で誰が誰だか分からなくなるわ。最低限
     の区画分けとして陣営名が必要なんだからね。」
ウエスト「そりゃあ分かってるけどな。」
   ウエストの言い分もナツミAの言い分もよく分かる。前者は分け隔てなく扱いたい一念と、
   後者は最低限の区画分けをしたい一念。もちろんどちらも大切なので、どちらも取り入れて
   動くのは間違いない。


ミスターA「フフッ、本当にTさんの周りは会話の派生が凄まじいですね。」
ミスターT「娘の配置から削除の双子の再構築、そしてそこから派閥への変化か。」
ミスターA「俺だと1つの事を完全に決着させるまで動きません。他の会話をすると妥協してしまい
      疎かになりますし。それでもこの流れこそ柔軟に対応する秘訣なのでしょうね。」
ミスターH「ミスターAさんの一念がよく分かります。妥協してしまうと完璧に終える事ができず、
      ダラダラと済し崩しに至ってしまいますから。目の前の1つの要素を完全決着させて
      から次のステップへ、これは定石とも言えるものですよ。」
    やる事がなさそうなので、将棋を打ち出したミスターHとミスターN。直接会ったのは今回
   が初めてなのだが、何か通ずるものがあるのだろう。またミスターKとミスターTAは自分の
   獲物たる武器を振り回し出している。こちらもどこか通じる所があるのだろうな。他の6人も
   同じ様に暴れているのが何とも言えない。というか俺とお知り合いになった方々は、大多数が
   本当によく似ている。
ミスターK「あれだけの活躍をされているのに報われないのは虚しすぎます。」
ミスE「やれる事を行うまでと言いますが、実際には右往左往するのが人の定めですから。」
ミスターTA「生きるって簡単なようで、非常に難しいですよね。」
ウエスト「彼らの言う通りだな、俺達の時も心の回復に4年近く掛かったから。」
ミスターT「胸の空いた穴だけは年々、どんどん広がりを見せてますけどね。」
ミスターMI「しかしだからこそ戦い甲斐があるというものですよ。ミスターNさんが仰る通り、
       時間が解決していきます。戦う姿勢を欠いたら、その時点で負けは決定ですよ。」
ウエスト「そうですね。彼らと共に生き続ける事が大切ですから。それを再確認させる事が何度も
     起きていますし。それに諦めなければ何でもできる。だから皆こうして集っているとも。
     そこを忘れないようにしないとダメだわな。」
ミスターT「誰彼がどうこうじゃない、自分自身がどうあるべきか。それが重要なのだ、だな。」
   一服しながら空を仰ぎ見る。三国志の時代は産業文明がないため、青空が本当に透き通って
   いた。万物は全てを見通している、本当にそう思わざろう得ない。

シルフィア「もうT君の坐右の銘に至っているわね、それ。」
ミスターT「あの事変が結果的に1年半の激闘と死闘を乗り切るのに一役買ってますからね。それに
      事変がなかったら、ザ・レミニッセンスはなかった。ミスターT自体も存在しないと
      確信してます。」
    今までは自分の最大の汚点だと思っていた、通称お察し事変。しかしそれが後にミスターT
   という存在を確立させ、そして永遠の命題たるザ・レミニッセンスを誕生させるに至った。
   それらが亡き盟友達を支えるに至ったのだから、本当に不思議でならない。
シルフィア「私の存在も無駄ではなかった証拠よね。」
ナツミA「何を仰います。シルフィアさんとの出逢いがマスターを成長させた。それにより同じ属性
     の私とも巡る事ができた。私達の共通するラグナロクの出逢いはそれですよ。」
ミツキ「そうですね。以前Tさんから私達も師匠と言った事がありました。その理は生き様を通して
    教えられたと。シルフィアさんがTさんに生き様を通して教えた理、それが今のこの場だと
    確信していますよ。」
シルフィア「フフッ、そう言ってくれると嬉しいわ。」
ミツキ「勝負は一瞬、思い立ったら吉日ですよ。」
   一際笑顔で右手親指を立てるミツキに、笑顔で頷くシルフィアだった。生き様は異なれど、
   目指す場所は全く同じ。本当に不思議な縁である・・・。

    そう、シルフィアの生き様はナツミAにソックリなのである。ただ根底の一念は個々人の
   人間性が出るため異なってはいる。ミツキもしかりである。だがこの3人は本当によく似て
   いるとしか思えない。

    だからこそ惹かれ合い、巡り逢ったのだろう。シルフィア縁の生き様により、ナツミAと
   ミツキに巡った。ウエスト・サイバー・ナッツ・エンルイもしかりだ。彼らとは家族以上の
   親しい間柄である。いや、家族を超えた絆で結ばれていると確信している。


ミスターA「・・・Tさんの力の源はここにあり、ですね。」
ミスターT「そうだねぇ・・・。師匠の概念には年齢差など関係ないからね。リュウビ氏が自分より
      年下のショカツリョウ氏を師匠と仰いだのも同じ事だよ。」
ミスE「限りない優しさがTさんの淵源ですよ。ここの皆さんは全員それを理解していると確信して
    います。普段から人一倍気遣って頂いているのですから。」
ミスターS「そんなTさんだからこそ、俺達も心から慕うのですよ。ザ・レミニッセンスの異名は
      伊達じゃない、それを今後も見せ付けていって下さい。」
ミスターT「愚問さ、俺の生き様は曲げるつもりは毛頭ないわ。」
    手入れが終わった方天戟を肩に担ぎ、再度一服をする。作業後のこれが一番美味く感じる。
   この瞬間が私服の一時と思うようになれば一人前なのだろうな。
リュリア「おー、何かカッコイイじぇ。」
シューム「そうねぇ。異性云々という部分ではなく、生き様の強さというのが色濃く出てるわね。」
ミュセナ「肝っ玉が据わった人物は無双そのものですよ。周りに紛動される事の方が多い世上です。
     如何して己を固持し続けるか、そこが大切です。」
   ミュセナの発言に一同深く頷いている。最終的には己の生き様がカギとなってくる。上辺の
   概念で紛動されても、基礎たる一念が据わっていれば恐れるものなど何もない。それはここに
   いる全員がしっかりと理解していると信じている。

ミツキ「ミュセナちゃんのヒップのスリットもなかなか萌えるわぅね。」
ミュセナ「なっ・・・何でそうなるんですかぁ!」
ミュティヌ「にゃはは、母ちゃんドキドキだのぉ〜。」
    突然のミツキの茶化しに大赤面するミュセナ。それに大笑いするミュティヌだった。確かに
   ミュセナの出で立ちはなかなかのものだ。
ナツミYU「色気も必要よ、こうやってね。」
   言うか否か俺に抱き付きだすナツミYU。それに大赤面してしまった。この場では素体の自分
   なだけに当たり前の対応をしてしまう。
ナツミYU「あらぁ〜、何時もみたいに可愛いねぇ〜とか言ってくれないのぉ〜?」
ミスターT「こ・・この野郎・・・。」
ウエスト「ハハハッ、先生は接近戦だと苦戦するクチだからねぇ。」
ミスターR「女性はいいねぇ〜という言動は限られた場所で、この場だとリアルのミスターが色濃く
      出てますなぁ。」
   抱き付きながら色目を振り撒くナツミYU。そして周りの面々はヤジを飛ばす始末である。
   しかし胸の中にいる彼女が覆面の風来坊の最終話、双子の最後の時を思い起こしてしまう。
   無意識に涙が流れ出してきてしまった。


ルビナ「・・・この場限りなら心情を読む事も可能ですか。その今は亡き盟友の方々を模した物語、
    それが脳裏を過ぎったのですね。」
ウエスト「ナツミRとミツキRか。本命のナツミツキ本人及び四天王は健在だが、コンセプトはあの
     激闘と死闘を根幹としているからね。双子の生き様を描写したのは正解だと思うよ。」
ミスターT「この命を捧げて、盟友達を生き返らせられればな・・・。そもそも何故俺が生きている
      のかと何度も問う。俺が代わり、彼らが生きていればよかったのにと・・・。」
    胸の中にいるナツミYUを抱きしめながらも、己に問い出す自分。自分でも驚く事に無意識
   に動いているようだった。そんな俺の両肩に手を置き語りだすはシルフィアだった。
シルフィア「万物全てに意味がある。ナツミAさんとミツキさん、そしてナッツさん・サイバーさん
      の生き様は無駄ではなかったと確信するわ。現に君がそこまで自分を責め、代わって
      あげたいと思わせる存在だもの。」
ウエスト「先生がその気持ちになるのは、俺だって同じ事さ。しかしそれこそ彼らを忘れてしまう事
     にも繋がる。シルフィアさんが言う、誰彼がというのが当てはまる。忘れずに共に生き
     続ける、それが最善の行動じゃないかね。」
シルフィア「君は思った事は徹底的に思い込む、あの時もそうだったわね。しかし今回の事例は雲泥
      の差だからチャチャは入れないけど。でも君が悲しむ姿を見たら、4人はどう思うのか
      を考えなさい。」
ミスターT「ハハッ、相変わらず厳しい言葉を。でも感謝します。その叱咤激励がどれだけ心の支え
      になった事か・・・。」
   本当に感謝に堪えない。恩師シルフィアの言葉に、直ぐに落ち着きを取り戻すのは凄いわ。
   何度も迷惑を掛けているが、その都度支えてくれいる。絶対に膝は折れないわな。

    落ち着いた俺の姿に安堵の表情を浮かべるナツミYU。しかし次の瞬間、俺の頭を両手で
   掴み頭突きを放ってくるではないか。これには精神的よりは肉体的のダメージの方が遥かに
   受けるのは言うまでもない。

ナツミYU「ごめんなさい。しかしこのぐらいの洗礼はさせて下さい。貴方が周りを不安にさせた
      事は間違いありません。多分、シルフィア様も同じ事を行おうと構えていたと思います
      から。」
シルフィア「フフッ、代役ありがとう。まあ私の場合は、もっと凄い事したけどね。ナツミYUさん
      だったから、その程度で済んだと思いなさいな。」
ミスターT「き・・・肝に銘じておきます・・・。」
    この手の行動は慣れているのか、頭突きぐらいでは何ともない彼女。かく言う俺の方は凄い
   ダメージが襲っている。これが熟練者と初心者の決定的な差か・・・。その俺の額を優しく
   撫でてくるナツミYUだった。
ミスターA「へぇ・・・ナツミYU嬢も結構やるなぁ・・・。」
ミツキ「奥さんにしたら恐いわぅね、特に浮気なんかした日にゃ・・・。」
ミスターT「そ・・それはないし、絶対にしないが・・・かなり強烈過ぎたわ・・・。」
ミスターR「皆さんを心配掛けた洗礼ですって、以後は注意しましょうぜ。」
   俺を両サイドから支えてくれるミスターAとミスターR。それだけナツミYUの頭突きが強烈
   すぎて、軽く脳震盪を起こしているようだ。意識はハッキリしているが、今はとても歩けそう
   にない・・・。



ビィルガ「これが次のプラン・・・って、またトラブルですか。」
シェガーヴァ「異性に尽くし抜くのは野郎の努め、それを欠ければ破滅は間違いありませぬ。まあ
       マスターの場合はその理は定まっているでしょうし、問題はないと思いますが。」
ミツキ「違うわぅよ。かくかくしかじか、わぅ。」
ビィルガ&シェガーヴァ「なるほど・・・。」
    心の方は共感を示してくれるが、顔の方は呆れ気味な2人。確かに彼らの言い分は痛烈に
   理解できる。またシェガーヴァが述べた部分も痛感できていた。
ミスT(ミスターT)「・・・女性の目線に立たなければ理解できない物事、か。確かにね。」
ミツキ「およ、もしかしてTちゃん?」
ミスT(ミスターT)「向こうが結構ダメージを受けているので、入れ替わって貰ったわ。」
ミスターT(ミスT)「・・・こういう役柄しかできないのが情け無いです。」
ミスT(ミスターT)「まあそう言いなさんな、今回は俺が悪かったのだから。」
シルフィア「まあ諸々はおしまい。で、次のプランはどうするの?」
ビィルガ「あ・・ああ、ご説明しよう。」
   頭脳陣が練りに練った戦略プランを資料として纏め上げたようである。それを一同に配り出す
   悪陣営の面々。こういった裏方作業は本当によく似合うわ。

ビィルガ「とりあえず、ラクヨウでしたか。そこに陣営を構えます。もちろんディル殿の姿隠し、
     魔法での隠密です。マスターはシンヨウのテイゲン氏の陣営に赴き仕官。来るべき時まで
     リョフ氏と親密になる事。」
シェガーヴァ「ラクヨウでのオウイン氏とチョウセン嬢はお任せをば。陰ながら見守り続けます。
       まあ史実通りならば、オウイン氏の死去は数年後になりますが。それまでは無事だと
       思われますので。」
    身内で戦略に関しては、ビィルガとシェガーヴァに敵う者は希である。盟友達の中には更に
   超越した存在はいるが、俺の息子や娘達たる彼らではトップクラスの実力を持っている。また
   模擬シーズンを経た回数が多いからか、その的確な戦略は目を見張るものがある。
ミスターR「ミスター同伴に是非ともミツキ嬢を連れて行って下さい。お嬢の持ち前の明るさなら、
      堅物でもあるリョフ氏への雰囲気作りは打って付けですよ。」
ミツキ「おういえい、まっかせろーわぅ!」
ミスT(ミスターT)「それとリヴュアスを連れて行くよ。また複数のハーズダント部隊を隠密状態
           にさせてだ。有事には指揮して対応して貰おうと思ってる。彼女なら軍団の
           リーダー格には打って付けだわな。」
リヴュアス「そうですね。風来坊本編でも潜入捜査などは得意でしたので。それにファンタジーの
      世界観を汲んでいるなら、私達は絶対に死ねませんから。」
   自前の偃月刀を担ぎ、シェガーヴァが組んだハーズダント部隊の確認をするリヴュアス。彼女
   はフリハト本編では元祖ハーズダントの位置付けだからな。不死の軍団を指揮するには充分な
   存在だろう。

リュリア「私達は待機組かぁ〜・・・つまらんのぉ・・・。」
ミスT(ミスターT)「いや、有事はそんな事言ってられないぞ。フリハト本編でのモンスターや
           ならず者達との戦闘とは勝手が違う。序盤は義勇軍に近い軍団だが、中盤
           からは正規軍が相手になるからな。」
    覆面の流浪人の序盤にある、賊徒の撃滅とは勝手が違ってくる。黄巾の乱では扇動された
   民衆達が義勇軍として参戦、その後は正規軍との戦いが起こるのが三国志である。生半可な
   心構えで挑めば、倒されるのは間違いない。
ミスターR「なるほど、ソウソウ氏などの軍勢との対決を考慮っすか。」
ミスT(ミスターT)「考えてもみなよ。俺が彼だったら、俺らの存在はイレギュラーの何ものでも
           ないわ。理路整然と解釈できない超常的な力を使う集団。間違いなく黄巾党
           よりも厄介な相手と取ってくる。」
シェガーヴァ「そのソウソウ氏が如何様かは分かりませんが、覇道を重視しているのであれば敵視は
       間違いありますまい。対してリュウビ氏でしたか、仁愛に富むなら共闘は容易かと。
       ソンケン氏・・・父上の方ですな。こちらは中道を往くので、同じく共闘は可能とも
       思われます。」
ビィルガ「ともあれ、最終的に天下統一なら全てが敵。そこはマスター流儀で敵には容赦するな。
     その方針で進めていくのが無難ですな。むしろ無慈悲なほどに進まねば、この模擬的乱世
     は乗り越えて行けませぬぞ。」
   数々の模擬シーズンを演じてきたビィルガやシェガーヴァだけあって、今の現状の緊張感は
   拭い切れないようだった。いくら仮想現実であっても実戦には変わりない。ならば完全勝利を
   もぎ取る、それが信条なのだろう。


ミスターT「・・・よし、頭のモワモワも取れた事だし動くかね。」
リュリア「ありゃ、何時の間にやら。」
ミスT「あまり好ましくない入れ替えですが、まあお役に立てるなら申し分なしです。」
    ササッとミスTとの意思の入れ替えを済ます俺。ミスT本人が体力回復を担ってくれていた
   お陰で、スムーズに作戦会議が行えた。俺自身の性転換バージョンとして構築した彼女だが、
   その力強さはシルフィア譲りだろう。
ミツキ「ところで・・・女性の身体はどうだったわぅ〜?」
ミスターT「あのなぁ・・・。」
シューム「へぇ〜・・・それは是非ともお聞きしたいものですねぇ〜。」
ナツミYU「そうですねぇ〜。」
   ミツキはヤジ止まりだが、シュームとナツミYUはエラい殺気だった表情で見つめてくる。
   また他の作品で俺と縁がある女性陣全員が、同様に殺気だった表情で睨んできた。これには
   何も言い返せないわ・・・。しかしその中でシルフィアだけが満足そうな表情を浮かべている
   のが何とも言えない。
シルフィア「うんうん、女性を知るなら直接至らないと分からないものよね。独特の痛みもあるし。
      野郎ではとても考えられないものばかりよ。」
ミスターT「それはもう・・・恩師で懲りてますから・・・。」
シルフィア「そうよ、懲りるぐらいじゃないと理解できないわね。そのぐらい女は難しいのよ。」
   彼女の言葉にウンウン頷く女性陣。そんな彼女達の姿を見て溜め息をつかざろう得ない。ただ
   彼女達に内在する力は凄まじい事だけは痛感できた。何たって最強の女性陣だからな。

ミスターR「おーしっ、いっちょ動きますかぁ!」
ミスターS「頭を使うのは勘弁ですからね。実際に暴れる方が性分に合いますわ。」
ミスターT「助け船感謝するわ・・・。」
    俺の苦戦する姿を見かねたのか、ミスターRとミスターSが動き出した。それに深く感謝
   すると同時に、俺の発言を聞いた女性陣から再度エラい殺気立った表情で睨まれてしまった。
   そんな俺の姿に呆れ顔で溜め息を付くシルフィアである。彼女はどちらかと言うと男性の一念
   も察知できる部分があるため、少なからず肩を持ってくれたのだろうな。
ミツキ「ふふり、流石はミスターミスシリーズわぅね。」
ミスターA「何かその例えは良い響きじゃないですよ・・・。」
ミツキ「まぁ〜、エヴァシリーズと取ればOKわぅ。」
ミスターA「俺達は量産機ですか・・・。」
ミツキ「おうよ、一騎当千の弐号機はどこわぅか?!」
ミスターMI「しかも9体じゃなく、合計19人いますけど・・・。」
ミツキ「まあ・・・何とかなるわぅよ。」
   屈強の野郎共たる面々を前に、一歩も退かず堂々とぶち当たるミツキ。その肝っ玉の強さは
   本当に感嘆せざろう得ない。この強さは誰も真似ができないだろうな。存在そのものでは最強
   と言うしかない。


ミスターT「あー、ナツミYU君。ちょっといいかね。」
ナツミYU「な・・何でしょうか・・・。」
ミスターT「逆洗礼がまだだったからの。」
ナツミYU「う・・うへぇ・・・。」
    先ほどの頭突きのお返しをと思い、ナツミYUを呼び寄せる。当然凄まじい竹箆返しが来る
   のだろうと身構える彼女だが、半ば諦め状態で俺に近付いてきた。そんな彼女の顔を両手で
   掴み、額と額を優しく重ね合わせた。それに驚いている様子だが、構う事なく続ける。
ミスターT「・・・時として思いは時間や空間を超越する。シュームの坐右の銘的な一念だったな。
      それにお前の場合はこっちの言葉の方が印象深い。お前は誰なんだ、天下の結城奈津美
      (ナツミ=ユウキ)じゃないか。それを返してくれてもいた。」
ナツミYU「そう言えばそうでしたね。」
ミスターT「表向きの一念は千差万別、個々人によってどうにでも取れる。しかし深層の理は絶対
      不動の原点回帰、それは昔も今もこれからも全く変わらない。それを身を以て教えて
      くれて、本当にありがとうな。」
   彼女なりの優しさは、風来坊本編でも健在だ。数多く登場する女性陣の中で、一際肝っ玉が
   据わる1人だ。ただ年下のシュームに頭が上がらないという部分もあり、経験者には最大限の
   敬意を示すのも流石である。
ナツミYU「フフッ、本当に純粋無垢な一念ですよね。その一念を感じ取れば、惚れ込まない訳には
      いかない。シューム先輩や皆さんが慕う意味も痛感できます。だからこそ膝は折れない
      のだと踏ん張れる。」
ミスターT「そう言う事さ、グランドティーチャー・ナツミYU。」
   額と額を合わせるのを止め、彼女の右手を掴み握手の形にする。そして痛くないほどに力強く
   握り締めた。同じく力強く握り返してくるナツミYUである。今では定番と言える男臭いやり
   取りも、非常に心に響き合うものだわ。

シルフィア「はぁ・・・君のその純粋な労い、異性には特効薬そのものよねぇ。」
ミスターT「師匠だって同じ立場だったら、同じ事をするでしょうに。」
シルフィア「まあねぇ。でも君ほど優しくはないからね、ビシバシと決定打を打ち込むけど。」
ミツキ「うっしっし、本当に姉ちゃんとソックリわぅね。」
    本当にそう思う。シルフィアとナツミA、そしてミツキ。この3人は本当によく似ている。
   ただ明るさならミツキ、生真面目さならナツミA。そして勇ましさならシルフィアだろうか。
   やはり彼女達が個々人である事を痛感させられる。
ナツミA「でも正直な所、シルフィアさんのように根底に優しさは含みませんよ。冷徹氷嵐の鋭さを
     ぶつけますけど。そうよね、ウエスト・サイバー・ナッツ・エンルイ?」
サイバー&ナッツ&エンルイ「お・・仰る通り・・・。」
ウエスト「いきなり振るのは勘弁して下さい・・・。」
   シルフィアに匹敵か、それ以上の冷徹染みた恐さをぶつけだすナツミA。それにウエスト・
   サイバー・ナッツ・エンルイは戦々恐々し、子供のように震え上がっていた。それを見つつ
   ニヤニヤするミツキの額にデコピンを喰らわせる始末である。シルフィアにはない生き様では
   あるのだが、根幹の属性は本当に良く似ているわ。個々人であってもそう思わざろうえない。

ミスターR「実際にお会いもお話もした事はありませんが、その和気藹々とした一時はさぞかし至福
      の一時のように思えてなりません。ミスターが敬愛し続ける盟友の方々、その理の欠片
      を垣間見た感じです。」
ミスターTA「そうですね。Tさんが敬愛なされている意味合いが、こういった場面を通して痛感
       します。むしろ更に強くなっている気がしてなりません。」
ミスターT「実際にミツキ嬢と会っていたら、その生き様に惚れ込んでいたと思うよ。無論それは
      恋愛云々ではなく、超絶的な明るさによる親しみ易さだが。」
ミスターR「勿論っすよ、俺にも永遠のパートナーはいますし。でもミツキお嬢の明るさは是非とも
      見てみたかったですな。」
    短戟を腰にぶら下げつつ、コーヒーを啜るミスターR。それは先程トムMからの提供品だ。
   彼の炒れるコーヒーは仲間内からは絶品との定評がある。またミスターTAやミスターKも
   手料理ができるとあり、仲間からは大絶賛されている。やはり現場で戦う人物ほど心強い者は
   いないわ。
ミツキ「私達の事を聞いて涙を流して頂いて、本当にありがとうございます。それに今も現在進行形
    でTさんを支えてくれてもいます。他の盟友の方々もしかりですよ。」
ミスターR「こちらこそ、ありがとうございます。今後もお任せ下さいな。」
ミスターTA「持ちつ持たれつ、それが人生ですからね。」
ミスターS「俺には完全に理解できる事ではありません。しかし失う者の痛みは分かっていると自負
      してます。レーサーと言う職業柄、死とは隣り合わせのものでもある。しかしだからと
      いって臆して逃げるのだけはご免ですからね。」
ミスターA「Tさんの生き様は、皆さんを通して成熟したと言ってもいいでしょう。それまでは結構
      無慈悲的な流れだったと聞いています。ウエストさんと共に戦った激闘と死闘、それが
      10年にも100年にも匹敵していたと言うのは十分肯けますね。」
   ミスターAが言うように、昔の俺は無慈悲なほどに自分勝手でもあった。それが盟友達との
   激闘と死闘が、俺の生き様を大きく変革してくれたのだ。あの戦いは俺の一生涯の宝物なのは
   言うまでもない。

シルフィア「変革は己が強く思って行動するからこそ成し遂げる、そうだったわよね。その集大成が
      その1年半だと確信できるわ。それに少なからずレミセンも役立ったと思うし。」
ミスターT「それはもう・・・。」
シルフィア「しかし勘違いしないでよね。それは生き様の1つであって、それを利用しての惰性に
      走る逃げ道と捌け口には絶対にしない事。その場合、損をするのは自分自身。強いては
      ミツキさん達を裏切る事になるのだから。」
ミスターT「委細承知、己の生き様は絶対に曲げませんよ。」
シルフィア「・・・だといいんだけどねぇ・・・。」
    俺の顔をマジマジと見つめながら、背中をバシバシ叩いてくる。シュームさながらの肝っ玉
   母さんのような言動である。しかしそこに込められている一念は凄まじく暖かい。
シルフィア「ま・・この場では何でも有り、ね。今は思いっ切り満喫しましょうか。」
ミツキ「劣勢わぅか?! ふんっ、わたがいる限り負けはせんわぅ! やったるわぅーっ!」
シルフィア「・・・ハメを外さないようにね。」
   最後のシメをクールに決めようとしたシルフィア。それに一同が頷こうとした瞬間、ミツキに
   よって全てがぶち壊される形になる。それに呆れ顔になる一同だが、自然と爆笑してしまう
   のは言うまでもない。この美丈夫は本当に凄まじい猛者だわ・・・。


    今後の方針も決まり、軍備の準備を開始しだす。創生によりハーズダント・ヴァスタール・
   ヴィアシールの人工生命体を作り出し、それぞれの仲間を武将と位置付けて軍団を形成して
   いった。

    俺も含めて200人もいるため、ここは総大将と配下数十人の形で軍団を組む事にした。
   大まかな軍団は創生者軍団・善軍団・中立軍団・悪軍団の4つ。ここはアルエキファイタの
   流れが一番いいだろう。

    ただ相手が義勇軍から正規軍へと変化していくため、それ相応の心構えでなければ太刀打ち
   はできない。簡単な信念と執念で勝てる相手ではないのは、史実の歴史が物語っている。例え
   仮想現実であってもそれは変わらない。

    しかしこちらは偉大なる家族である。団結力では引けを取らないと自負もしている。そう
   簡単に打ち負かされてたまるものか。仮想現実だろうが、相手には容赦するな。この一念を
   怠れば倒されるだけだ。



ミスターT「追加でミュティラ3姉妹が妥当か。」
ミツキ「実働部隊なら申し分なしわぅね。リヴュアスちゃんの配下なら問題ないわぅ。」
    既にラクヨウに向けて動き出した本隊。俺達別働隊はシンヨウに向けて動き出していた。
   リヴュアス率いるハーズダント隠密部隊以外にも、実働部隊としてミュティラ・ミュティナ・
   ミュティヌ3姉妹の不死部隊を構成した。リーダーはミツキに任せてある。
ミスターR「で・・・何で俺も一緒に・・・。」
ミスターT「MIさん以外に、ほぼ三国志の流れを把握してるじゃないか。俺は無双シリーズから
      しかかじってない。Rさんの方が副軍師としては打って付けだよ。」
ミツキ「Rちゃんなら思う存分暴れられるわぅね。ブレインがしっかりしてれば、わた達は恐れるに
    足らずわぅ。」
   本隊でゆっくりできると踏んだのだろう。一緒に最前線に連れて来られて落胆気味の彼。ただ
   目的がリョフ氏とのコンタクトとあり、半ば嬉しさが込み上げているみたいである。

ミュティナ「私達も史実や無双という世界を知らないため、先導して頂ければ幸いです。ですが戦闘
      では私情をかなぐり捨ててでも動きますのでご安心を。」
リヴュアス「敵が人間だという部分が何とも言えませんね。モンスターや私利私欲で動くならず者
      なら容赦はしませんが、それぞれ大義が異なる人間ですし。」
ミスターR「だからといって安々と首は渡しはしませんよ。降り掛かる火の粉は払い除け、そして
      消化鎮圧するのが定石。」
ミツキ「消化器用意するわぅね!」
ミスターR「アハハッ、そうですね!」
    手持ちの十字戟を消化器に見立てて構えるミツキ。それを見たミスターRが大笑いしだす。
   ムードメーカーを地で行く彼女には、本当に敵う者はいないだろうな。
ミスターR「こりゃぁ・・・ミスターがお嬢を好かれる意味合いが痛感できますわ。」
ミスターT「彼女の周りには常に慕う仲間が多かったからね。例のバレンタインデーのチョコなんか
      凄い事になってたと言うし。」
ミツキ「ダンボールいっぱいわぅよ、虫歯になっちゃうわぅ。」
ミスターR「・・・もう完全に無双そのものですわ。」
ミュティヌ「私達が勝てない訳だよねぇ・・・。」
   ミツキの存在にタジタジの女性陣。しかし彼女の強さは身に染みているようで、諦め気味に
   しているのが何とも言えない。彼女達は彼女達で良さがあるのだがね。

    むしろ女性の何たるかを示すミツキ。彼女にアルエキファイタ男性陣は無論、女性陣もその
   生き様に大きく感化されている。いや、自然とそう至ってしまうのが実状だろう。

    もしミツキが男性だったらどうだったのだろうか。とても手に負えない程のハチャメチャな
   ワンパク小僧になってたのは間違いない。ただ女性として生まれただけあり、上乗せで慈愛が
   合わさったのだろうな。

    うーむ、流石は我が愛しい姫君だわ。彼女ならどの様な局面だろうが、必ず勝利できると
   確信している。燦然と輝く太陽の如く、だな。


    暫くすると接近してくる存在に感知したのだろう、臨戦態勢に移るリヴュアスとミュティラ
   3姉妹。ここは完全に自分達とは異なる世界観なだけに、相手が誰だか全く分からない。不測
   の事態は常に考えておいた方がいいだろうな。

    彼女達が見つめる先には騎兵と歩兵の混成部隊が向かってくる。これが仮想三国志の時代で
   初めての戦闘か。無事勝ち越えられればな・・・。



強面武将「ぬ・・・親父、向こうに見慣れぬ軍勢がいるぞ。」
総大将「むぅ・・・今は遭遇したくないものだが・・・。」
強面武将「任せろ、相手を倒せばいいのだろう。」
    所属不明の軍団の中から、白馬に乗りながら進み出てくる相手。頭には赤い2つの羽根飾り
   が揺らめき、右手にはハルバードに近い重量級の槍。これは・・・間違いない、彼しか考え
   られないわ・・・。
ミツキ「うわっ、うわわっ!!!」
ミスターR「りょ・りょ・りょ・・・リョフだぁー!!!」
ミスターT「見つけたぜ大将っ!!!」
   史実と無双シリーズでのリョフ氏を知るミツキとミスターR、そして俺が一斉に大歓喜した。
   それに相手側はおろか、仲間側も驚愕して身構えているのが何とも言えない。


ミスターR「大将、是非とも勝負させて下せぇ!」
ミツキ「わたも暴れてやるわぅよ!」
ミスターT「これはまた・・・、彼と対峙すると足が竦むと言うのは本当だったのか・・・。」
ミスターR「史実は分かりませんが、無双では大体の兵士や武将は怖じて逃げ出しますね。」
ミツキ「にゃらばっ、わたも超絶本気を出さねば失礼わぅねっ!」
    言うか否か、覆面の流浪人本編で繰り出した荒業を行い出す彼女。ミツキから壮絶な闘気が
   放出され、髪留めが一瞬にして吹き飛び髪の毛が逆立った。夜叉の様な形相を醸し出すが、
   目の方は彼女のままの優しいものなのが何とも言えない。
リョフ「な・・何なんだお前達は・・・。」
ミツキ「言葉は無用です。今は貴方が生き様の根幹としている、武での勝負と参りましょうか。」
ミスターR「う〜ん・・・本当なら言いたくないが、本気を出して貰うにはこれしかないかの。」
   短戟を肩に担ぎ、滅多な事では吸わない煙草を吸い出すミスターR。すると今までの温厚な
   雰囲気が一変。風来坊本編の躯屡聖堕、その全盛期の様な荒くれ者の如く変貌した。
ミスターR「・・・俺達の力に怖じたのか、天下無双の武の頂を目指そうとする者が聞いて呆れる
      わな。」
リョフ「何だとっ?!」
ミツキ「悔しかったら勝負ですよ。その超絶的で素晴らしい武を、私達にぶつけなさいっ!」
   相手を罵倒する事で本気を出させる、か。しかも相手はあのリョフ氏に、だ。恐れ多い事この
   上ないものだが、全力で攻めて貰うならこれが一番妥当だろうな。

    完全な激怒こそしないが、出で立ちから半端じゃないオーラを出すリョフ氏。方天画戟を
   構えつつ間合いを取り出す。彼ほどの猛者となると相手の気迫から強さが分かるためだろう、
   物凄い慎重に動いている。

    俺も参戦したい所だが、ここはミツキとミスターRに譲ろう。俺は彼と戦うのではなく、
   彼との共闘が最大の望みなのだから。



リヴュアス「・・・凄まじいですね・・・。」
    どれぐらい見守り続けただろうか。リョフ氏の気迫におそらく義父のテイゲン氏と思われる
   人物と、配下の軍団は同じく見守っていた。というか見守るしかないほどの激戦を繰り広げて
   いるのだから怖ろしい。本気状態よろしくのミツキとミスターRの猛攻を、多少は押されて
   いるが引かず押し返し続けるリョフ氏なのだ。これに横槍を入れたら間違いなく殺されるわ。
ミュティラ「ミツキ姉さん凄いですね・・・。あの流浪人本編の時よりも本気になってますよ。」
ミュティヌ「これじゃぁ〜絶対勝てないなぁ〜。」
ミュティナ「しかし・・・リョフさんの雰囲気。とても史実や無双という世界観での、裏切り常習犯
      と言われる身勝手さは感じません。」
ミスターT「そうだなぁ〜。生まれ付きの身勝手さではなかったと思う。ただMIさんから聞いた
      事だと、史実のリョフ氏は相当な身勝手さ爆発だったとの事だよ。テイゲン氏や周りが
      振り回され続けたとも。どちらが正しいとかは分からないが、この場では目の前の彼の
      姿を最優先しよう。」
   複雑な心境だわ。ミスターMIが語る内容からすると、史実のリョフ氏は相当な身勝手な存在
   だったという。テイゲン氏・チョウリョウ氏・コウジュン氏・チンキュウ氏も彼に振り回され
   続けたとも。それが無双での裏切り常習犯に至ったのだろうな。

    しかし目の前のリョフ氏は、その様な身勝手さな雰囲気は微塵も感じられない。荒くれ者・
   ぶっきらぼうな性格は健在だが、清々しい青年像が目立っている。不思議なものである。

    もし史実の彼が自他共に認める猛将で、更に仁義に熱い男であったら・・・。周りは彼に
   付き従い、別の生き様を刻んでいたのだろうな。

    運命というのは本当に不思議なものだわ・・・。まあだからこそ、楽しいのだが・・・。

ミュティヌ「う〜む・・・うちらは、父ちゃんと母ちゃん様々ですにゃ。」
ミスターT「ハハッ、確かにお前達はそうだわな。」
    3姉妹の両親、ネデュラとミュセナに感謝を示す彼女達。あの2人あってのこの娘達だな。
   ただどう見てもミュセナとは似ても似つかないのだが・・・。それかミュセナ自体が幼少の
   頃は3姉妹の様な無邪気でじゃじゃ馬娘だったのだろうか。
ミュティヌ「むぅ〜・・・何か私達の事を思ったっしょ〜。」
ミスターT「この野郎・・・。」
ミュティナ「女の直感と洞察力を甘く見ないで下さい。」
リヴュアス「同じような事でメルデュラ様に見抜かれたじゃないですか。マスターは本当に女性を
      甘く見すぎです。」
ミュティラ「普段は黙っているだけですよ、絶対に全てを見通しているに違いありません。」
   俺が内心思った事を鋭く見抜き、ここぞとばかりに反撃を開始するミュティラ3姉妹。便乗で
   リヴュアスも攻め出してきた。女性特有の嫉妬心からくる力強さは半端ではない。



リョフ「・・・何時もああなのか?」
ミスターR「日常茶飯事っすよ。」
ミツキ「この時代なら一夫多妻は当たり前ですから、彼の場合は一夫十八妻ですね。」
リョフ「怖ろしいな・・・。」
    俺達の普段のやり取りを見つめる視線を感じ、そちらを見ると試合は終わっていた。何時の
   間にか打ち解けているリョフ氏とミツキ・ミスターR。何時戦いを止めていたのかも分から
   ないものだ。
ミスターT「あれま、何時の間にか試合が終わってるし。」
ミスターR「試合って・・・プロレスじゃないんですから。」
ミスターT「最後にリスペクトし合えるのは大体は格闘技ことプロレスよ。戦いの後のリョフ氏の
      清々しい表情を見れば一目瞭然。」
リョフ「ここまでの純粋な武を見せ付けられたら、応じない奴は武を語る資格はない。お前の方も
    流れを汲んで、こちらに介入をしなかったではないか。」
ミスターT「ハハッ、流石は天下無双。遠方からも周りの状況を判断しているとは。」
   まだ完全体のリョフ氏ではないため、我武者羅に突き進む熱血漢風の彼と言えるだろうか。
   少し相手を見下した口調はあるが、そうでなければ彼ではない。言わば純粋無垢に武の頂を
   目指す青年だろう。


テイゲン「・・・主らは一体何者なのだ?」
ミスターT「これは失礼。俺はミスターTと申す者。遥か遠方から旅を続けている風来坊。こちらの
      猛将・リョフ氏の噂を聞き付け、“彼の元に仕官を願い出るため”に参った次第で。」
テイゲン「ふむ・・・。」
    三国志の流れとは全く違う風格をしている俺達を、まるで異端児のように見つめる彼。また
   彼の配下達も同じ様だった。唯一違うのはリョフ氏だけだ。やはり武は武でしか語り合えない
   とはこの事だろう。また一応目的を強調して語った。これが後の決め手となるのは言うまでも
   ないだろう。
リョフ「親父、彼らは信用できる。武には一切の曇りがない。偽りがあれば、それは如実に武へと
    現れる。親父がそう言っていたではないか。」
テイゲン「・・・なるほど、分かった。リョフがそう言うなら間違いないのだろう。詳しい話は居城
     へ戻った時に伺うとしよう。」
ミスターT「有難き幸せ。こちらもそれ相応の行動で返すとしましょう。」
   リョフ氏の一言で俺達を信頼しだしたテイゲン氏。また周りの配下達も同じ様だった。これは
   軍の中でのリョフ氏の信頼度が高い証拠なのだろうな。これが後のテイゲン氏からの裏切りで
   ダークサイドの如く陥っていくのが不憫でならない。



ミスターR「とりあえず、第一歩は踏み出せましたな。」
ミスターT「前途多難だけどね。」
    こちらの雑談に気を向かせないように、ミツキを筆頭にミュティラ3姉妹とリヴュアスが
   リョフ氏達の注意を引いてくれている。特にミツキのムードメーカーたる明るさは凄まじい
   効果らしく、直ぐに彼らと打ち解けていた。流石である。
ミスターR「5エンパでは異なってましたが、6エンパでは他にチョウリョウ氏とコウジュン氏が
      仕官していたと思いますが。」
ミスターT「黄巾の乱の配置だったからねぇ、今はまだ仕官してないのだろうな。」
ミスターR「リョフ氏のパワーもまだまだだったようですし。」
ミスターT「彼の本気はコロウカンの戦いからでしょうに。リュウビ氏・カンウ氏・チョウヒ氏と
      ハンディキャップマッチを行っても何とかなっていた。今はまだ完全じゃないよ。」
ミスターR「まあねぇ・・・。ま、今はゆっくり待つとしましょうか。」
   ササッと紅茶を創生して飲み出すミスターR。それを水筒のように見せているため、周りの
   面々には違和感を感じさせていない。俺達の一挙手一投足は見られているとは思うが、そこを
   上手くカモフラージュできているのが何とも言い難いわ。

ミスターT「というかRさんが、あそこまで動けるとは思わなかったがね。」
ミスターR「ヘヘッ、格闘ゲームが得意ですからね。それを具現化したのがアルエキファイタだと
      伺ってますぜ。ウエストさんやミスターAさん、サイバーさんとミツキさんも現実で
      格闘技を行っていたのと同じ類ですよ。」
ミスターT「雲泥の差のような気がするが・・・。」
ミスターR「現実の格闘技は苦手ですが、ゲーム内の格闘技では引けを取りませんよ。それなりに
      動けると自負していますぜ。」
    茶菓子すら創生して頬張りだす彼。自らのゲーマーレベルを自慢気に披露しだした。確かに
   彼の腕は凄まじく、俺も何度も手解きを受けている。それは当然盟友達全員にも当てはまる
   のだが。まあ元祖はミスターRが顕著だろう。

    それにこの世界観はゲームを題材としている流れだ。元来からゲーマーとしての腕がある
   ミスターRなら、その強さは計り知れないものである。あのリョフ氏と互角に渡り合える存在
   なのだから。

    また俺の今のゲーマーとしての腕に至るには彼の影響が非常に大きい。ソウルキャリバーが
   良い例で、言わば彼は俺のゲーマーとしての師匠と言えるわな。

    それでいて彼の彼女さんが同じゲーマーという。本当に羨ましい限りである。大体が相方の
   方が同調できず、話題が噛み合わないという部分がある。同じゲーマーであれば、その部分は
   歩調を合わす事ができるのだから。

    そんな彼らと巡り逢った今を、心から感謝したい。そしてその礎を築いてくれた盟友達も。
   だからこそ、膝は折れないのだからな。



    テイゲン氏の居城へと向かう最中、遠方の本隊から念話が入ってきた。司令はビィルガと
   シェガーヴァが担い、参謀にリュウジNやネデュラ達が着いている。

    どうやらオウイン氏と若きチョウセン嬢とコンタクトが取れたとの事だ。どういった経緯で
   そうなったかは分からないが、何と俺の分身たるミスTがチョウセン嬢を馬車に轢かれそうに
   なったのを助けたのだという。それを伺ったオウイン氏が感嘆し、仲間に接触をしてきたと
   いうのだ。

    当然ながらミスTに命を救われたチョウセン嬢は、彼女を慕いだしているという。本来なら
   俺が担うべき役割を彼女が担ってくれたのは幸運だろう。

    チョウセン嬢もまだ7歳と若いし、これから活躍する存在の1人だ。それに彼女にはリョフ
   氏が永遠のパートナーとなる。その時まで見守るとしよう。

    第1部・第02話へと続く。

    後半へと続く。

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