覆面の風来坊外伝
〜三国志遊戯〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝3 〜三国志遊戯〜
    〜第1部・第02話 私利私欲〜
    動き出して早々にテイゲン氏の軍団と、目玉となるリョフ氏とのコンタクトに成功した俺達
   別働部隊。また本隊はチョウセン嬢の荷馬車事故救出により、オウイン氏とも会う事に成功
   したようだ。

    好調の滑り出しといった具合だが、ここからどうやって今後に至らせるか。


    現実での文献を見る限り、テイゲン氏が史実と無双でのリョフ氏の性格構成に一役買って
   いるのが判明。ともなると長く居させるのは非常によろしくない。ただ確実にそうだという
   のは言い切れないが、確率的にあるならよろしくないだろうな。

    チョウセン嬢はオウイン氏がしっかりしている事から、トウタク氏の事変までは安全とも
   取れる。その後に暗殺されるのが史実の流れの様だ。

    リョフ氏の機嫌を損ねないように、テイゲン氏と離す方法か・・・。巨万の財宝と対価、
   在り来たりか・・・。どうするか・・・。



ミスターK(古今東西、巨額の財宝に目が眩まない存在はいませんね。)
ミスターH(財宝をチラ付かせ、テイゲンからリョフさんを買う。これが無難かと。)
ミスY(難しいですが、人の持つ欲望を掻き立てられれば容易でしょう。)
    雑用をこなすと見せ掛けて、意思の疎通による念話を行っている。この三国志遊戯でも健在
   だわ。俺達200人にしか分からない超長距離広範囲の念話を行い、今後の行動を模索する。
シルフィア(彼らのプランは問題なさそうだけど、上手く運ぶ事ね。リョフさんの生き様からして、
      感受性が凄まじいようだから感付かれないように。)
ミツキ(わたと同じわぅね!)
シルフィア(アハハッ、まあそうとも言うわね。)
   ミツキのムードメーカー的明るさは凄まじいわな。それでいて鋭く物事を見定めてくる部分は
   見事としか言い様がない。ミスターRが彼女を同伴させた理由が痛感できる。

エリシェ(財宝の創生は問題ありませんか?)
ミスターT(どのぐらいが無難なのかね。超高額な金銀財宝をぶつけるか。)
ビィルガ(謁見の間で適度な荷馬車を創生し、そこに溢れるぐらいの財宝を載せるのが吉かと。まあ
     そのテイゲン氏がどういった反応を示すかは分かりませんが。)
ラフィナ(完全に賄賂そのものですよね。)
ミスターS(仕方がないと思いますよ。目玉はリョフさんを獲得する事ですし。そのためには多少の
      悪どい事も行っても問題ないと思います。)
    悲願を達成するためには、何振り構わず突き進む。場合によっては卑怯にも取れなくない
   ものだが、あくまでも自分がどう動くかに掛かってくる。まあ卑怯事はしたくないが。
ミツキ(裏切りはご法度わぅよ?)
ミスターS(ハハッ、大丈夫でしょう。リョフさんは財宝には目もくれなさそうですし。テイゲンの
      方が財宝に目が眩み、リョフさんと仲違いを起こせばしめたものです。)
ミスターT(仲違い、か・・・。)
   あの初対面から数日が経過し、今はテイゲン氏の居城で世話になっている。質素なものだが、
   今の乱世からしたら上出来なのかも知れない。

    ちなみに同居城の守備を任されていたのが、何とあの伝説のチョウリョウ氏とコウジュン氏
   だったのだ。トウタク氏の陣営でも2人がいる事から推測するに、リョフ氏とセットで移動
   するのは間違いない。

    確かに文献ではリョフ氏の武勇に惹かれて付き従うとも言われている。彼が処断されずに
   いたら、そのまま長い間付き合っていたのだろうな。

ミツキ(山田君は元気わぅか?!)
ミスターTI(ちょ・・それ、そら耳っすよ・・・。)
ミスターTA(ハハッ、確か“邪魔だっ!”が“山田っ!”と聞こえるアレですね。)
ミツキ(わぅわぅ、泣く子も黙るチョウリョウちゃんわぅよ。)
    ゲーマーの間でも有名な山田君ことチョウリョウ氏。まあネタの部分はさておき、彼は何れ
   魏軍に帰順していく。まあその時はリョフ氏が処断されて、ソウソウ氏に登用される形に至る
   訳なのだが。コウジュン氏は官渡の戦いでは出ないのは、チンキュウ氏と同じくリョフ氏の
   処断後に同じく処断されているからだ。
ミスターT(チョウリョウ氏とコウジュン氏をどうするかだな。トウタク氏にいるのは反董卓連合で
      確認済みだから。)
ナツミYU(歴史の流れだと、トウタク氏の誘いでテイゲン氏を斬って参戦の形よね。その出来事を
      させないで運ぶのは難しいわね。)
ミスターR(待って下さい。チョウリョウ氏はリョフ氏の武勇に魅入られて付き従ったが無双の通例
      ですよ。となるとリョフ氏がトウタク氏に仕官しないとなると、一緒に付いてくる形に
      なると思いますぜ。)
ミスターT(・・・リョフ氏パーティーに組み込むかね。)
   ミスターRが指摘する内容。確かに無双でのリョフ氏をピックアップしたストーリーでは、
   常にチョウセン嬢とチョウリョウ氏は彼に付き従っている。リョフ氏が処断されて魏へと帰順
   するのが史実と無双の流れ。リョフ氏を処断させず裏切りもさせないで離脱させると、間違い
   なくチョウリョウ氏は付いてくる。コウジュン氏も多分同じ流れだろう。

ミスターN(まあ何にせよ、どうやって引き離すかが勝負の別れ目ですよ。)
ミスターA(リョフさんを逆上させずに・・・呆れさせるのが無難かと。ただ義父の絆を砕くのは
      容易じゃないと思いますが。)
ウエスト(セキトバ欲しさに義父を切る、となるとこちらがセキトバを提示する。テイゲンには多額
     の財宝をチラ付かせて上手く離す、意外と簡単そうな気がするが。)
    先に述べた超絶的な力を目の当たりにすれば、それに誘惑させられるのが人の業だわ。まあ
   これは必ずしもそうとは限らないが。それでも人の欲望は凄まじく、引き寄せられるのは言う
   までもない。
ミスターT(・・・財宝に関しては俺が動こう。ミツキさ、セキトバ片手にリョフ氏に説得を試みる
      事は可能かね?)
ミツキ(そりゃあ〜もう〜、楽勝わぅっすよ!)
ミスターT(そ・・そうか・・・。ならそちらは大丈夫だな。)
   何時になく高揚するミツキ。まさか自分にその様な大役が来るとは思わなかったのだろう。
   しかし彼女は先刻、ミスターRと一緒にリョフ氏と対決している。武勇を知る者同士ならば
   説得はできるはずだ。

ミスターT(しかし、TAさんのあの戦場は・・・。)
ミスターR(ウワッハッハッ! 山田君祭りっすなっ!)
ミスターAK(大爆笑間違いなしかと。)
ミスターK(インパクト在り過ぎですよ。)
    思い出しただけで笑いが込み上げる。ミスターTAが6エンパの環境で構築した戦闘だ。
   あの戦場はもう・・・ずっと笑い続けていたのが記憶に新しい。その発想が素晴らしいわな。
   彼の戦場を体感した盟友達は、同様に笑い出している。やはりインパクトは強烈すぎるわ。
ミスターT(ミスターAKさんもネタのレパートリーでは、俺を遥かに超えていますよ。)
ミスターAK(何を仰るか、Tさんの総人数に比べたら・・・。)
ミスターHI(そうですね・・・。)
ミスターR(自他共に認めるアホウの領域っすよ。)
ミスターT(それはそれは光栄の極みです。)
   キャラクターの創生、その中のクオリティの濃さでは盟友達には全く敵わない。自分はある
   程度のリミッターを課してしまうクセがあり、その範囲から逸脱する事が不可能だ。彼らが
   創生するキャラクターは本当に羨ましい。

    しかし・・・エディット総人数、この場合はアルエキファイタ総意たる5250人だな。
   これだけは絶対に負ける気がしない。現実世界を相手にしても勝てる自信はあるつもりだ。

    そもそも5250人中、4435人を創生したエディラーを見てみたいものだ。1000人
   規模ならいるであろうが、2000人や3000人となれば全く異なってくる。自分の場合は
   更に4000人に至っているのだから。

    未完成ではあるが、完成すれば5250人に至るアルエキファイタ総意。名実共に最強の
   集団と言っていい。この総人数だけは絶対に負ける気がしない。

ミスY(不思議ですよね。どこからどう、お考えになって作られるのか。)
ミスE(私達も盟友としてこうやって分身を創生させて頂いた。5250人ですか、その陣列に参戦
    できるのは光栄なのでしょうね。)
ミスターTI(新たに追加して貰った俺達は、6エンパからの派生っすからね。この作品をやって
       いなかったら、俺達はここに集い逢えなかった。)
ミスターMI(俺達の方こそ感謝感謝ですよ。)
ミスターHK(皆さんとの出逢いの切っ掛けを作って頂いて、本当にありがとうございます。)
    盟友達が胸中を語り出す。確かに俺が彼らならばと思っての、ミスターミスシリーズへの
   参戦である。しっかりと信頼し合えなければ実現は無理だわな。
ミツキ(Tさんの生き様が炸裂ですね。分け隔てない友情を貫いていく。あの時もそうでしたし。)
ミスターT(何度も言うが、今の俺の生き様は貴方が影響しているでしょうに。俺はミツキさんと
      出会わなかったら、中途半端な甘い優しさだけの存在だった。貴方が俺を覚醒させて
      くれたのですよ。)
   ミツキ達との出逢いが俺を大きく変えてくれた。あの出来事がなければ今の俺は存在しない。
   感謝し尽くせない大きな報恩を受けたのだから。

ミツキ(それ即ちTさんのお力ですよ。私は切っ掛けに過ぎません。というかナツミさんと最初に
    お会いしたのはTさんですし。そこにウエストさん・ナッツさん・エンルイさん、それに
    兄さんと巡り逢ったのですから。)
    真面目言葉で語るミツキ。その彼女の両肩にソッと手を沿えるナツミA。その傍らには2人
   の守護神とも言えるナツミツキ四天王がいる。この6人は紛れもない家族そのものだ。
サイバー(そうだよな。一度も顔を合わせた事がなければ、会話した事すらもない。それなのに君は
     身を裂いてでも尽くしてくれていた。ミツキが心から信頼していると痛感したよ。)
ナッツ(俺もそうさ。ウエストさんが合流する前は、俺と二人三脚でナツミさんの対応に追われて
    いた。あの時もまるで家族の様に接してくれていた。本当に感謝しているよ。)
エンルイ(自分はミスターTさんとは直接的にお会いしていませんが、ナツミさんとお知り合いと
     いう事で縁を結ばせて頂きました。まあこれは本人の言葉ではありませんが、多分同じ
     様に言うでしょう。)
ナツミ(本当にお節介焼きと世話焼きの極みでしたよね。それでも私に人を信頼し続けろと言って
    くれていました。だから皆さんとこうして巡り会う事ができたのですから。)
ウエスト(俺は今も先生に感謝している。理不尽な事をされて己を見失った俺を、何度も諭して軌道
     修正してくれた。先生が思いは時として時間と空間を超越すると言っているけど、それは
     間違いないよ。俺達は命の次元で繋がっている家族そのものだ。)
   涙が止まらない・・・。これは俺自身が俺自身へと語るものにもなるのだろうが、それでも
   過去に行ってきた事は紛れもない事実だ。今は亡き盟友達を心から支えていた、それは嘘偽り
   ない現実なのだから・・・。

ミスターR(ヘヘッ、流石ミスターっすよ。この会話を聞けば、貰い泣きしない方がおかしいっす。
      共感の我を拡げる、本当にそう思いますよ。)
    同じく涙を流しながら語るミスターR、ミスターTAの方は大泣きしていた。前に彼自身が
   言っていたわ、自分は涙脆いのだと。他の面々も涙を流してくれていた。
ミスターA(本当に思います、Tさんの淵源はここにありと。だからこそ常日頃から強いのでしょう
      から。でなければ普段の不動明王の如くな力は出せませんよ。)
ミツキ(だからこそ、皆さんがTさんの元に集い合ったのですよ。共に戦えた事を誇りに思います。
    これからも、そのお節介焼きと世話焼きを続けて下さい。)
ミスターT(・・・愚問さ。俺は一度貫きだした生き様を、絶対に曲げないよ。)
ミツキ(うむぬ、それでこそTちゃんわぅ。今後も勝ち進んでいくんだわぅよ。)
   俺の背中をバシバシ叩くミツキ。その彼女に深く頭を下げた。俺の生き様を大きく変革して
   くれたミツキ。年齢など関係ない。彼女は複数いる中の、正真正銘の俺の師匠だ。

アマギH(俺達も及ばずながら、お力になりますよ。できる事は限られていますが、俺達はマスター
     に何度も助けられてきた。師恩を返さねば忘恩そのものですから。)
ミツキ(躯屡聖堕・初代総長は伊達じゃないわぅね。デュシアEちゃんも相まって、若き軍団の頭は
    揺ぎ無いわぅ。)
デュシアE(またまたご謙遜を。俺達は先輩方の生き様を模写しているに過ぎません。アマギHさん
      が言うように、できる事は限られている。だからこそ一歩一歩確実に踏み出さなければ
      なりませんから。)
    アマギHとデュシアEが決意を述べてくる。この2人はアルエキファイタや風来坊本編で
   台頭しだした、新しいリーダー格である。両者とも切実な生き様だけに、風格そのもので体言
   しているとも言えるだろう。
ビィルガ(お2人が立ってくれなければ、我々は悪役として出れませんからね。)
シェガーヴァ(そうですな。我らは誕生時から悪役としての責務を担ってきましたから。やはり善役
       や中立役がなければ意味がありません。)
ミスターT(お前達以上の悪役がどこにいるんだか・・・。)
ミスターAK(ハハッ、まあそう仰らずに。キャラクターに役割を施していってこそ、その人物が
       冴え渡るというもの。ここを疎かにすると、ただ漠然と存在するだけの人物になって
       しまいますからね。まあTさんの場合は明らかに人数が多すぎるので、必然的に陰の
       存在になってしまいますけど。)
ミスターTI(そこは存在できれば万々歳と取るのが無難だと思いますよ。この場に集い逢えた、
       それだけが怖ろしいまでの幸運なのですから。)
ミスターSI(リストラされた方もいますけどね。)
ミスターY(それはまあ、7エンパで実現するしか・・・。)
ミスターKA(何時出るんですかね・・・。)
   7エンパのリリース時を踏まえ、溜め息を漏らすミスターミスシリーズの面々。かく言う俺の
   方もそうなのだが。そろそろ出てもいい頃にはなるが、まだまだ先は長そうである。

ミツキ(まあともあれ、これからも突き進もうわぅ!)
ミスターR(委細承知の助!)
ミスターA(ええっ・・・。)
ミスターR(まあまあ。)
ミツキ(わぅわ〜ぅ♪)
    ダジャレにも似た掛け声をするミスターRに、驚愕するミスターAは何とも言えない。彼は
   現実面で物事を捉えるため、こういった部分はまだ慣れていないようである。しかし笑い上戸
   なのは一同と同じだわ。

    個々人の特性、か。確かにそれらが輝き放ってこその異体同心だな。だからこそ無類の力を
   発揮するのだから。ますます膝は折れないわ・・・。



ミスターR(おっ、これはこれは・・・。ミスター、黄巾党の噂が出始めてますね。)
    一服しながらどうするかを模索していると、徐にミスターRが語り出す。もちろん念話に
   よる意思の疎通によるものだ。どうやら黄巾党が動き出しているようである。
ミスターT(となると漢王朝は腐敗も当然の状態か。それを打開しようと考えているのがオウイン氏
      という事かね。)
ミスターR(胸中までは分かりませんが、最終的には天下安寧が目的でしょうからね。チョウセン嬢
      もその流れを汲んで密命に走りますし。)
ミスターT(そうだな。まあ今回はその役は俺達が担うとするかね。天下安寧を目指しつつも、主題
      はリョフ氏とチョウセン嬢の安寧の獲得だ。それが俺の信念と執念でいい。)
   今回の目的を改めて一同に提示した。志半ばで倒れるリョフ氏、そして所在が分からなくなる
   チョウセン嬢。この2人を生存させての流れを汲ませる。そのためにここにいるのだと俺は
   確信している。

シルフィア(了解、君の信念と執念を汲みましょう。それにこの場では君の存在は私達そのものよ。
      言わば私達の方が実働部隊そのものだからね。)
ビィルガ(その宿願ですが、そのために善役も悪役も可能とあらば喜ばしい事。模擬シーズンなどで
     培ってきたノウハウを、この場で披露致しましょうぞ!)
    アルエキファイタ内では各々が大活躍する流れを構築できるが、この三国志遊戯の世界観
   では厳しい様子である。だからこその指令か。あまり命令とかは好きではないが、それで仲間
   が一層活躍できるなら行うべきだろう。
ミスターS(こちとら暴れられるなら問題はないさ。戦略などは一切任せる、戦術は任せてくれ。)
シェガーヴァ(覇道の行く末がどうなるかを見てみたい気も・・・って、止めておきます。)
ミスターT(ハハッ、周りに睨まれたか。)
   思考と決断力が凄まじいシェガーヴァが意図も簡単に折れる会話を聞いた。間違いなく周り
   から凄まじい目線で睨まれたのだろう。でなければ自身が抱く信念と執念が固い彼が折れる
   事はまずない。

ミツキ(この流れも個人的な覇道には変わりないわぅよ。ただ漠然と乱世を戦い抜くという小さな
    ものわぅけどね。)
ミスターR(リョフ氏は覇道なんか眼中にないっすよ。己の武勇がどこまで通用するか、そこに焦点
      を当てているのは間違いないでしょうから。)
ルビナ(世界的流れを見るからには、そのソウソウという方は危険人物ですね。王道こそが全てを
    丸く収める唯一の要素。覇道の行く末は滅亡しかありません。)
    流浪人でも覇道の流れが最悪の結末に至っている現状を知る俺達。確かに規律を乱さずに
   統一するのが特徴だが、根本的な敬い・労い・慈しみの精神が存在しない。力で屈服する先に
   あるのは、果てしない殺意と憎悪の連鎖である。
ミスターT(かといってな・・・仁愛を地で行っていたリュウビ氏が、カンウ氏の戦死で逆上して
      周りに迷惑を掛ける姿もある。そんなセンチメンタルな奴には荷担したくない。最終的
      には晋が大陸を統一するが、ここはソンケン父氏を立たせるかね。)
ミスターR(純粋な武勇で乱世を駆け抜けるという部分だと、ソンケンパパさんの呉が無難ですな。
      問題は後継者が堕落してくるのがね・・・。)
ミスターT(どこの勢力も一部を除いてだが、後継者は堕落するものよ。しかし間違いなく志半ばで
      射殺されたソンケン父氏は問題ないと思うわ。江東の虎の異名は伊達じゃないわな。)
   再び一服しながら思いを馳せる。この場合は4猛将伝の立志伝の仕官先の有無であろうか。
   まあ三国志の時代だから、そう至るのは必然だろう。

    俺は魏の覇道には同調できない。結果的に覇道自体が民を纏め上げる要素だとしても、覇道
   そのものが気に食わない。生理的に受け付けないというのが実情だ。

    対して王道の王道たる蜀だが、頭の理不尽極まりない身勝手な行動にも同調できない。まあ
   それを言えば史実と無双のリョフ氏が顕著なのだが。

    ここは中道を進む呉を立たせる事で、天下を任せるという手法が無難かも知れないわな。
   策士的なシバイ氏なら天下を纏め上げられる手腕はあるが、晋だしどうもな・・・。彼自身は
   魅力的な存在なのだが・・・う〜む・・・。


ミスターK(リョフ氏とソンケン父氏、上手く噛み合いますかね。)
ミスターT(無双オロチZの後続・呉編は最高じゃないか。“俺はキヨモリの天下を見たいのか”と
      自問して、“俺は俺であるべきだ”と結局は三国・戦国連合と共闘する。まさかの共闘
      のイベントは嬉しかったわ。)
ミスターR(ソンケンパパさんがリョフ氏に何処へ行くのだと聞いた時、方天画戟を天に向けたのも
      印象深かったっす。仮想・赤壁の戦いの戦場が、真オロチとの対決の場でしたから。)
ミスターT(シバイ氏がもう少し大らかだったらねぇ、彼なら覇道でもない天下を見せてくれるとは
      思うんだが。)
    切れ者ならば、この乱世を統べる事は可能だろう。シバイ氏もそうだが、永遠のライバル
   たるショカツリョウ氏もそうだ。シバイ氏が晋の礎を築くとして、魏はソウソウ氏が礎を築き
   上げるか。息子の1人のソウヒ氏が結構早い時期に死去したのが残念だわ。彼はシバイ氏と
   同じく冷酷派だが、国を纏め上げるという部分では凄まじい手腕を発揮するのだろうから。

ディルヴェズ(話が込み合ってきましたね・・・。結論からしてどうするのですか?)
ミスターT(・・・呉に天下を取らせる。そこにリョフ氏とチョウセン嬢を上手く合流させて、だ。
      まあ一筋縄ではいかなくなるだろうが、天下無双と絶世の美女の力があれば何とかなる
      だろう。)
ディルヴェズ(了解しました。今は様子見で動きますが、呉に関する人物を最優先で守る事にして
       いきますね。)
    俺の1つの願いでもある、呉を立たせるという結末。それを伝えると一気盛んになる面々。
   やはり目標を明確に定めた方がいいのだろう。というか別の観点とすれば・・・。
ミスターT(できれば・・・三国志の英傑全員・・・。)
ミツキ(優柔不断わぅ! 男なら1つに定めるわぅよ!)
ミスターT(わ・・分かりましたぬ〜・・・呉を進めまする・・・。)
ミツキ(うむ、それでいいわぅ。)
   ミツキの押しの一撃に折れる俺を見た周りの面々は、呆れながらも笑っていた。何ともまあ。
   う〜む、何だかんだで押し進められてしまった感じがしなくもない。しかし望んだ結末の1つ
   でもある呉の天下統一。これを今後の目標としよう。勢力的なら魏と晋、王道なら蜀。しかし
   ここは中道の呉を進めていく事に決めた。

    問題はリョフ氏とチョウセン嬢が共闘してくれるかどうかだが・・・。う〜む・・・。


    史実ではコウソ氏の罠により射殺されるソンケン父氏。以後台頭するは長男のソンサク氏。
   しかし彼は史実では重大な事故により重傷を負い、それが原因で死去の流れに。無双では術に
   よるダメージ蓄積での死去とあるが、史実が例となれば事故を防げば問題ない。

    次男のソンケン弟氏は三国志の終盤まで呉を守る名君でもある。彼の場合は問題はないと
   思われる。長女のソンショウコウ嬢はリュウビ氏に嫁ぐが、今の流れだとそれに至るかは不明
   な所だわ。

    とにかく、ソンケン父氏とソンサク氏の死去を防いでこその呉だろう。2人が死去するまで
   はまだ時間がある。今はリョフ氏とチョウセン嬢の基礎構築が急務だろうな。



テイゲン「ふむ・・・独立を行いたい、と申すか・・・。」
ミスターT「ああ。しかし、完全な独立ではない事を前もってお話しておくよ。言わば独立部隊と
      して定めて欲しいというもの。将軍にはリョフ氏、参謀にはチョウリョウ氏。切り込み
      隊長にはコウジュン氏を定めたい。」
    俺は早速テイゲン氏に交渉を持ち掛けた。先ずは独立部隊作成と銘打ってリョフ氏を将軍に
   抜擢、参謀にチョウリョウ氏・切り込み隊長にコウジュン氏を選んだ。確かこの時代ではこう
   いった役割はなかったはず。この抜擢で乗り気になってくれれば好都合となる。
テイゲン「・・・主は私から9割以上の軍力を奪うつもりかね。」
ミスターT「そう取られるか、今後の軍力増強の切っ掛けに取るかはご自由にどうぞ。悪くはない
      提案だとは思うが。」
リョフ「親父、風来坊が語る提案は面白そうだと思うぞ。戦いの幅が広がれば、更なる活躍が期待
    できてくる。」
テイゲン「それは分かる。しかしリョフ・チョウリョウ・コウジュンは大事な戦力だ。3人が欠ける
     となると、埋め合わせに軍団を雇わねばならない。身辺警護の軍団だ。」
チョウリョウ「つまりは軍資金獲得という事になるのですな。」
テイゲン「その通りだ。それ相応の対価がなければ、この提案は乗る事はできない。もっとも、お前
     にその様な力があるとは思えないがな。」
   戦いの幅が広がるとあって、リョフ氏・チョウリョウ氏・コウジュン氏の3人は俺の提案に
   乗り気のようだ。しかしテイゲン氏の方は自分の戦力が激減する事を気にしている。そして
   身辺警護の対価として、こちらが望んでいた軍資金の案を提示しだしたではないか。

    俺は小さく微笑むと、居城外に待機させているリヴュアス達に指示を出す。予め用意して
   いた荷馬車3台に、溢れ返る程の財宝を積載させて登場させた。

    当然ながら巨額の財宝に周りの面々は目が眩みだしている。特にテイゲン氏の表情の一変さ
   といったら見事なものである。

テイゲン「な・・なんと・・・。」
ミスターT「この覆面の風来坊、見縊って貰っては困る。俺とて色々なコネがありましてね。この
      程度の力など朝飯前というもの。」
テイゲン「こ・・これだけあれば・・・漢王朝を超える軍備を整えられる・・・。天下を我が物と
     する事ができるぞ・・・。」
    欲望と言うのは怖ろしいものだわ。初見時はしっかりしていたテイゲン氏が、目の前の巨額
   の財宝に目が眩んでいる。大体このぐらいだと思って仲間に創生して貰ったが、それがかなり
   の規模になっているようだ。
ミスターT「それで、提案はどうなされる?」
テイゲン「構わん構わん、好きにするがいい。これだけの力があれば・・・。」
リョフ&チョウリョウ&コウジュン「・・・・・。」
   怪訝そうな表情を浮かべるリョフ氏・チョウリョウ氏・コウジュン氏。この展開は好ましく
   ないのだが、彼らを独立させるには致し方がない。今回の主題はディルヴェズが用いる大局的
   な流れそのものなのだから。

    目の前の財宝を部下達と共に物色しだすテイゲン氏。そんな彼らを尻目に、俺はリョフ氏達
   を兵舎の方まで案内した。多分このまま私利私欲に駆られている人物を見続けていると、何を
   しだすか分かったものではない。

    まあ結果的には申し分ない流れに至りだしているので、今は様子を見るとしよう。後は3人
   の心を掴みだせば万々歳である。やはり対話こそが最強の武器だろうな。



コウジュン「欲望とは怖ろしいものですねぇ・・・。」
ミスターT「今は乱世、力こそ全てでもあるからね。お三方は武勇に着眼を置くために、財宝には
      影響されなかったと思うよ。まあ若干の立ち眩みはあっただろうけど。」
リョフ「まあ否定はできん。しかし・・・武勇が命題だとは、親父もよく言ったものだな。」
    テイゲン氏の姿にかなりのショックを受けた様子のリョフ氏。本来はこの様な形ではないの
   だが、斬らせて離反よりは呆れさせて離反の方が遥かにマシだ。彼の究極の忘恩となる義父
   殺害だけは何としても阻止してみせる。
チョウリョウ「しかし貴公も分からぬものですな。手強くは見えぬも、底知れぬ力をお持ちという。
       真の力は量りかねますわ。」
ミスターT「これからが本番よ。今はまだまだ前哨戦、乱世は始まったばかりさ。だからこそ先を
      見据えた行動をしなければならない。例えそれが冷酷非道と言われても、全ては大局的
      に見てのものさ。」
   チョウリョウ氏の言葉にウンウン頷くリョフ氏とコウジュン氏。優男たる俺が、凄まじい力を
   持っている部分に驚いているようだ。まあ今の俺達なら、何だって可能なんだがね。

    一服しながら思う。簡易的にリョフ氏の参戦という独立は果たせた。しかしそれがまだ確実
   とは言い切れない。史実や無双の彼は結構な確率で裏切りを行っていた。まあそれが前科と
   言えるテイゲン氏とトウタク氏の殺害が要因だとは思うが。それとも元来から根付いている
   彼の業なのか。そこも今後の流れで押さえ込みたいものだわ。

    やはりその変革のカギを握るのは、ミツキとチョウセン嬢だろうな。ミツキが下準備を整え
   つつ、チョウセン嬢の癒しで決着という。これは間違いない流れだろう。

リョフ「それで・・・俺達を束ねるなら、それ相応の戦いが待っているんだろうな?」
ミスターT「疑いを持たずに共闘して頂けるのなら、確実に強者との戦いを提供しましょう。ただし
      全部が全部、強者の戦いとは言えないからね。時にはリョフ氏縁の台詞の展開になる
      かも知れないが。」
ミツキ「“雑魚どもが、一息で吹き飛ばす!”わぅね!」
リョフ「・・・そんな事を言った憶えは無いんだが・・・。」
ミスターR「まあアレっすよ、言葉の文って奴っす。でもダンナの力を指し示すなら、そのぐらいの
      啖呵は切っても問題ないっすよ。」
ミツキ「“劣勢だと? ふん、俺がいる限り負けん!”わぅ!」
リョフ「ふむ・・・。」
    ミツキが無双シリーズで有名な台詞を口にするが、当の本人たるリョフ氏は全く身に憶えが
   ない言葉の様子。まあそれは俺達が知る無双独自のものと言えるのだろうから。それに史実の
   彼は無双の彼とは全く異なっているともある。


ミュティラ「親分〜、近場で大規模な賊徒が出現したそうですよ〜。」
ミュティナ「この辺りでは村や町を集団で襲い、強奪を繰り返しているそうです。」
    彼らと共に今後の行動を考えていると、運良くウォーミングアップ的な展開に至った。近場
   で賊徒の襲来があったと告げる3姉妹。それに沸き立つ仲間達だった。
ミツキ「おういえい、門出のお祝いにぶっ潰すわぅかね!」
リョフ「そうだな・・・。この嫌な憂さ晴らしには打って付けだろう、行くぞ!」
チョウリョウ「承知仕った、我が武勇を披露致そうぞ!」
コウジュン「大暴れしてやりますぜ!」
   コウジュン氏とリョフ氏は志半ばで倒れ、その実力を最後まで見る機会はなかった。史実での
   終盤では防戦一方で卑怯な手も行っている。チョウリョウ氏だけが呉軍相手に凄まじい戦いを
   展開した歴史が残っているのみだ。ここは彼らに活躍の場を残したいものだわ。

    しかしミュティラの親分という言葉には呆れてしまう。まあ彼女らしい言い方だろうな。
   ミツキに感化されたミュティラ3姉妹は、俺が定めた初期の3人の性格とは全く異なったわ。

    我が娘達が独り立ち、か。嬉しさ半分、悲しさ半分だろうか。何とも・・・。



ミツキ「あ〜、リョフちゃんリョフちゃん。プレゼントわぅよ。」
    兵舎から出た直後、ミツキがリョフ氏を呼び止める。すると予めリヴュアスに頼んでいたの
   だろう、創生したと思われる最強の馬・セキトバを連れてくるではないか。それに彼はおろか
   チョウリョウ氏とコウジュン氏は驚愕している。
リョフ「せ・・赤兎だと?!」
コウジュン「リョフ殿が憧れていらっしゃった馬じゃないっすか!」
チョウリョウ「あの伝説と謳われた名馬を・・・よくぞまあ。」
ミツキ「チョウリョウちゃんとコウジュンちゃんには名馬とはいかないわぅが、ゼツエイとテキリョ
    があるわぅ。どちらかを選んで欲しいわぅよ。」
   セキトバの創生は分かっていたが、まさかゼツエイとテキリョまで創生しているとは。ミツキ
   のレパートリーの高さには本当に感嘆するしかない。ただゼツエイはソウソウ氏、テキリョは
   リュウビ氏が用いるとの事だが。まあこの場限りでは諸々に任せよう。
チョウリョウ「ではゼツエイを拝借致しますぞ。」
コウジュン「承知、俺はテキリョですな。」
ミツキ「まあ馬は移動手段にしかできないわぅからね。実戦では肉弾攻撃が無難わぅし。」
リョフ「そうだな。」
   直ぐにセキトバと意思の疎通をしてしまうリョフ氏。史実でも無双でも愛馬として名高いのは
   伊達じゃないわ。チョウリョウ氏はゼツエイ、コウジュン氏はテキリョを選んでいる。まあ
   ここは彼らに任せよう。

リョフ「ここまでされてしまうと、どの様な恩を返せばいいか分からなくなるな。」
ミツキ「簡単わぅよ。その超絶的な武勇を天下に知ら示す、それが望みわぅ。そのリョフちゃんや
    チョウリョウちゃんとコウジュンちゃんを支えるのがわた達わぅね。」
    右手親指を立ててニヤケるミツキ。そんな姿に3人の猛将は呆れ顔になっている。しかし
   そこに込められている純粋な一念は察知したようだ。確かに彼女は無欲の塊としか言い様が
   ない。
リョフ「・・・どこまで無欲なのやら・・・お前の底知れぬ力には恐怖すら感じるわな。」
チョウリョウ「我らを期待してくれての待遇ですぞリョフ殿。ならば最大限の力で応じるのが武勇の
       極みというもの。」
コウジュン「そうですぜ!」
リョフ「・・・分かった。それ程までに期待してくれているのなら、俺の武を見せてやるぞ!」
ミツキ「ちゃうちゃう、そこは“見せてやろう!”わぅよ。」
リョフ「・・・ハハハッ、俺の武を見せてやろう!」
ミツキ「わぅわ〜ぅ♪」
   セキトバ贈呈で上機嫌のリョフ氏に、追い打ちを掛けるかのような激励のミツキ。それに最初
   は呆れ顔だった彼が、今では笑顔でそれに応じだしていた。これは無色のリョフ氏にミツキ流
   の色合いを施しているようなものだな・・・。まあ間違った方向には行かないだろうから、
   ここも彼らに任せるとしよう。


    早速提供された愛馬に乗馬する猛将3人。その彼らを筆頭として、3姉妹が指摘した賊徒
   襲撃場所まで案内して貰う事となった。俺流の解釈だが、リョフ氏パーティーの初陣という
   事になるわな。

    数日前に対面したリョフ氏。どうやらこの世界では史実や無双シリーズの彼とは異なる姿の
   ようである。できれば史実や無双では考えられないような、切実で仁義に厚い武人に至って
   欲しいが・・・。まあそれは今後の俺達次第という事になるだろうな。



    初陣たる賊徒討伐は凄まじい戦いになった。そもそもこちらは武将としては10人、兵士は
   リヴュアス配下のハーズダント部隊100人だけだ。各1武将に10人のハーズダントを護衛
   に付けるしかなかった。

    だがそもそも人工生命体ハーズダントの特性が常識を逸脱している。秘石たる胸のコアを
   破壊されない限り、無限大の再生能力を有する生命体だ。それにそのコアはディルヴェズの
   配慮により、何と自己再生能力を持たせてあるという。

    このハーズダント達は元来の筐体ではなく、新規に創生された人工生命体ヴィアシールに
   かなり近い。ただコア自体が全身に施されているタイプではないため、寿命が尽きる以外に
   コアの破壊による死亡はあるが。

    それでも今の彼女達は最低限の防衛意思を持つ。そう簡単にコアを壊させてはくれない。
   対峙したら間違いなくその非常識の現実に驚愕するのは間違いないわな。


リョフ「ふむ・・・賊徒と言えど、以前よりも増して力がある気がするが・・・。」
ミスターR「そうですな。まああと1年ぐらいしたら、その理由が分かると思いますよ。今は各々で
      力を付けていく事だけを考えましょうぜ。」
    やはりこのパラレルワールド的な世界では、本来のリョフ氏の力は出ていないとも言える。
   しかし無力かと言うとそうではなく、俺達が知る破天荒振りの荒くれさはないというものだ。
   まあ今の彼は無色の存在、これから着色されていくのだろうから。
コウジュン「隊長、本来ならどこぞに仕官して食い継いで行くのが無難でしょうに。」
ミスターT「俺の事か・・・。まあそうだの、戦いはこれから激化していく。今は彼の言う通り、
      力を付けていくのが無難だね。」
チョウリョウ「・・・最強の武勇、か。その頂には何があるのやら・・・。」
ミスターT「・・・答えは知ってるが、知りたいかい?」
リョフ「本来なら己の手で掴み取り知るのだろうが、今はお前の顔を立てて聞いておこうか。」
   方天戟で賊徒を薙ぎ払いつつも、こちらの言葉に耳を向けだすリョフ氏。チョウリョウ氏と
   コウジュン氏も同様だった。流石は根っからの武人、その余裕ある姿には脱帽するしかない。

ミスターT「了解。最強の武勇の頂は、正直な所何もないよ。永遠と続く修羅の道、争い続ける道が
      関の山さ。そしてその辿ってきた道には、数々の命を屠ってきた業も背負う事になる。
      そこに上限は一切ない、永遠と戦い続ける事になるわな。」
リョフ「ふむ・・・やはりその結論が出るか・・・。」
チョウリョウ「拙者達が討論した結論と同じですな。」
コウジュン「修羅の道、殺伐とした生き様は虚しいですぜ。」
    この3人も座談会による武勇の極めを語り合った様子。そして既に結論は出ていたようだ。
   武勇の極めは永遠の修羅の道、そして上限がない。果てしなく続く殺人の道とも言える。
ミスターT「ただ何もせずに倒されるよりは遥かにマシだがね。やれる事をし続けたい、それは俺も
      同じよ。しかし武勇の極みだと際限がないため、もう収拾が付かなくなる。」
リョフ「・・・お前は・・・風来坊が出した別の結論はあるのか?」
ミスターT「フフッ、しっかりとありますよ。何れその切っ掛けとなる方をご紹介しますから。」
   リョフ氏と同じ方天戟を操りながらも、ミツキに施された背中の人口腕部から十字戟を出して
   応戦もする。化け物染みた姿に3人は驚愕するも、その武勇には興味が惹かれるようだった。
   まあこの場合はファンタジー世界観がウリなんだがの・・・。


    結構な数の賊徒を全滅させ、襲撃を鎮圧させた。今の規模でも1つの地域の国取り戦闘に
   近い規模だった。だが歴戦の猛者がいる手前、負けるつもりは全くないが。

    しかし不思議だ。無双シリーズのリョフ氏は常に最強の武を求めて彷徨う流浪人。だがこの
   場にいる彼は、その先にある結末を気にしている。本来の彼なら考えもしないものなのだが。

    武勇の頂にある終着点、か。そこはもう血みどろに汚れた両手を持つ、自分だけしかいない
   世界があるだけだ。業の極みとはこの事だろうな。虚しい終着点だわ・・・。

    だが・・・大切な存在を守るために戦う、この一念が備われば話は大きく変わってくる。
   今回の主題となるリョフ氏の永遠のパートナー、チョウセン嬢の存在だろう。彼には彼女が
   いなければならないのだ。

    そしてその生き様を見て、チョウリョウ氏とコウジュン氏も変革していくだろう。この連鎖
   は何時の時代も全く変わらない。

    この一念を片手に最強の武と天下を取る、か。この世界ではリョフ氏は間違いなく最強無欠
   の武人となるだろう。今後の俺達次第という事になるがな。



ミツキ「やったわぅね、賊徒撃破で報酬も貰えたわぅよ!」
ミュティヌ「誰かのために動くのは爽快ですにゃ〜。」
    態とらしく他者の為に動く喜びを語るミツキとミュティヌ。その何げない会話はリョフ氏達
   に痛烈に効いているわ。大切な存在を守るために最強の武を得て動く。これほど崇高な行動は
   ない。そしてそこには相手を敬い労う一念も必ず芽生えてくる。それは敵であろうが、だ。
チョウリョウ「初陣は上出来でしたな。」
ミスターR「報酬片手ならテイゲン氏も満足するでしょうな。」
ミスターT「だといいんだが・・・。」
リョフ「ああ・・・。」
   おそらくリョフ氏も感付いている。何かに芽生えだした一念を踏み躙られるのでは、と。まあ
   俺は内心それを期待しているのが皮肉な話だわ・・・。完全に離反させて独立すれば、後は
   ラクヨウに滞在中の本隊と合流するだけだ。今は静かに待つしかない。

コウジュン「しかし・・・何だか雲行きが怪しいっすね・・・。」
チョウリョウ「ああ、まるで嵐の前の静けさのようだな・・・。」
ミスターT「嵐の前の静けさ、か・・・。」
    馬上で大空を見上げるコウジュン氏とチョウリョウ氏。釣られて一同で空を見上げた。青空
   が広がってはいるが、どことなく不気味な雲が立ち込めている。乱世の到来を予感するような
   様相だろう。

    その後も雑談しながら、シンヨウのテイゲン氏の居城へと戻る。リョフ氏の表情は曇った
   ままなのが何とも言えない。しかし無双のあの破天荒な彼とは全く違う彼がそこにはいる。

    己の生き様を考える天下無双、か。本来なら絶対に在り得ないものだろうな。



    報酬片手に賊徒討伐から帰還した俺達。しかし様相は素早く変化し続けていた。先程リョフ
   氏や俺が感付いた一念が現実のものとなっていた。

    荷馬車3台分の財宝はラクヨウを征するほどの軍事力を構築する事も可能とあり、それを
   実行しだしていたのだ。テイゲン氏の表情は明らかに変貌している。

リョフ「お・・親父・・・これは何の真似だ?」
テイゲン「リョフよ、戻ったか。見て分かる通りだ、これからラクヨウを攻める。これだけの軍事力
     があれば、帝にすらも至れよう。」
    義父の豹変振りに驚愕しているリョフ氏。金の亡者とはこの事だろうな。しかも推測すると
   俺達が離れている間に狙って軍備を進めていたようだ。これはもう確信犯だろう。
リョフ「・・・武勇とは・・・純粋に高みを目指すのだと教えたのは親父だ。その武勇を相手を屈服
    させるために用いるのか・・・。」
テイゲン「力こそ全てよ。これだけの力があれば、この天下を統べる事も可能となる。要らぬ争いを
     根絶もできよう。となれば武勇という次元を超えた、新たな秩序を示す事も可能だ。」
ミスターT「・・・それ即ち、覇道だな。」
   狙った形に誘い込む事に成功はしたものの、予想を上回る規模での進行速度には一応驚くしか
   ない。テイゲン氏が悪人ではないのは分かるが、どうやら別の彼が目覚めたようである。

リョフ「・・・残念だが、俺はもう親父とは付き合えない。俺が求めていたものは、親父にあると
    信じて付き従っていた・・・。だが今の親父の結末は・・・無様そのものだ!」
テイゲン「ふん、何とでも言うがいい。力こそ全て。力無き者は弱者そのもの。それはリョフ、お前
     もその中の1人だ。」
リョフ「な・・何だとっ?!」
テイゲン「悔しいのなら立ち向かってくるのだな。だが今のお前には無理だろうが。」
    颯爽と俺達を囲み出すテイゲン氏直属の精鋭部隊と突撃兵の面々。更に背後の巨大扉の奥
   から精鋭騎兵すら出てくるではないか。この短期間の間に得られる軍事力を得たようだわ。

ミスターT「ふむ・・・面白い展開と言うべきか。」
テイゲン「ハッ、何を言う。その展開の一役を買って出たのは、お前の財宝ではないか。」
ミスターT「もう少し違った流れかと思っていたんだがね。その時代のイレギュラーとは、常に変動
      し続けているようだわ。」
    一服しながら呆れ顔で見下す姿を見せてみる。そんな余裕はどこから出るのだと、呆れ顔の
   リョフ氏・チョウリョウ氏・コウジュン氏だった。
テイゲン「ふん、訳の分からない事を。さて・・・これからどうする。降伏するなら処罰は軽くして
     おいてやるが。」
リョフ「貴様ぁ・・・俺達が何時罪を作ったぁ!」
テイゲン「あるではないか。その傭兵風情に組し、私には見せないような笑顔で接する姿がな。」
チョウリョウ「・・・失礼だが、それは嫉妬というものではないか。そもそも親というのは子供を
       最大限慈しみ育むというものだ。貴公がリョフ殿と対面した時、そのまるで地位を
       取って変わられるかの様な表情を浮かべていた。それを恐怖と嫉妬だというのが何故
       分からぬかっ!」
テイゲン「嫉妬か・・・確かにそうだったな。リョフの有り余る武勇の力の前に、私は恐怖し何時
     まで義父でいられるのかと戦々恐々だったわ。しかし今は違う。お前を超える存在が我が
     部下に至ったのだ。怖れや嫉妬など既に捨てたわ!」
コウジュン「かぁ〜・・・こんなお方だったのか・・・。」
   凄い展開だな。スターウォーズはシスの姿そのものだわ。貪欲に力を欲し続け、軍事力で相手
   を屈服させる。弟子を取るという部分は師弟なのだろうが、そもそも師弟の理を欠いた哀れな
   一例とも言える。

ミスターT「ふむ、俺がテイゲン氏の部下になったと思っている訳か。」
テイゲン「それ以外に何の目的でお前を仕官させたと思うのだ?」
ミスターT「言わなかったかね、“彼の元に仕官を願い出るため”とね。俺が憧れるのはこちらの
      呂布奉先氏ご本人と盟友のお2人、そしてその生き様だ。彼らに心から敬意を表し、
      共に戦いたいと願い出た。それを自分の事だと勘違いした一般武将風情が、たかが巨額
      の財宝という一時的な力に誘惑される。簡易的な力を手に入れ傲慢な天狗状態になり、
      天下統一ができると考えたのは愚の骨頂だ。」
テイゲン「な・・何だと・・・誰が一般武将だ!」
リョフ「・・・お前だ、テイゲン。」
    怒髪天を超えたリョフ氏が徐に歩み出す。右手の方天画戟が別の位置にある事が、後の行動
   を大いに示している。そんな彼の目の前に颯爽と立ち塞がり、十字戟で押し留めるのはミツキ
   だった。傍らには短戟片手のミスターRもおり、不測の事態のストッパー役としている。
ミツキ「おっと、それはやってはダメですよリョフさん。その経緯の果てを私達は痛いほど知って
    いますから。」
ミスターR「本来ならセキトバ欲しさにテイゲンを斬り、とある武将の所へ裏切る訳なんですがね。
      でもこの場では絶対にさせませんよ。」
リョフ「・・・そうだったな。お前達の武勇が痛烈に物語っていた。すまん・・・。」
   殺気立っていたリョフ氏を押し留めるミツキとミスターR。初対面時に全力でぶつかり合った
   事により、その内面に抱いていた一念を感じ取っていたようだ。スッと彼から殺気が失せて
   いく。獲物の方天画戟を普通の持ち方に戻していった。

ミツキ「悪いがテイゲンさん、リョフさん達は私達が強引に奪い取りますよ。」
ミスターR「俺達の目的は端っからリョフさん・チョウリョウさん・コウジュンさんの獲得なんです
      よね。アンタの様な下っ端中の下っ端は眼中になし、そういう事ですわ。」
テイゲン「き・・・貴様らぁ!!!」
ミスターT「さて・・・これにて縁を切らせて頂きましょうかね。理性を欠いた悪役に用はない。
      今度会う時は戦場で試合をしましょうや。」
テイゲン「ハッ、この場から逃げられるとでも思っているのか?!」
ミスターT「・・・フフッ、充分逃げられますよ。」
    この展開は流浪人でもあったな・・・まあいいか。ファンタジー世界観を継いでいるため、
   俺は時間系最強魔法ヴァルディーヴタイムを唱える。それにテイゲン氏達はおろか、リョフ氏
   達も驚愕しだした。まあ当然だろう。

    紫色の稲光が辺りを覆い自分達を包み込む。慌てて行動を開始するテイゲン氏達だったが、
   直ぐにその動きが止まっていった。まあこちらが超高速で動いているだけに過ぎないのだが。


ミツキ「この魔法はぁ〜・・・使用者と周りの者の時間を無限大にまで高めぇ〜・・・。」
ミスターT「フフッ・・・ほら、解説はいいから移動するべ。」
    このミツキの魔法説明には笑ってしまった。大局的に動いているため、一切紛動する事なく
   動ける事は爽快極まりない。本当に天下を制覇する力が備わっていると言えた。
リョフ「お・・お前は・・・一体・・・。」
ミスターT「フッ・・・人呼んで・・・。」
ミツキ「覆面のプレイボーイわぅ!」
ミスターT「・・・お前なぁ・・・ここは見せ場なんだが・・・。」
ミツキ「失敬失敬わぅ〜♪」
   驚愕し続けるリョフ氏に格好良く語ろうとしたら、見事にミツキに粉砕させられた。それを
   聞いた仲間達は大爆笑しだしている。釣られて笑っているのがコウジュン氏だけなのが何とも
   言えない。リョフ氏とチョウリョウ氏は驚愕と呆れに同時に襲われているようだ。

ミスターT「ごめんな。詳しい事はラクヨウの本隊に着いてから話すよ。」
リョフ「そ・・そうか・・・分かった。」
ミツキ「リョフちゃ〜ん、危なかったわぅねぇ〜。」
ミスターR「そうっすよ〜。あのままお嬢と俺が何もしなかったら、間違いなくテイゲン氏を斬り
      殺していましたぜ。」
チョウリョウ「そうでしたな・・・。拙者も止めようかと思いましたが、リョフ殿の気迫の前には
       とても手が出せるものではありませんでした。ミツキ殿とミスターR殿だからこそ
       成し得た業物なのでしょうな。」
リョフ「すまない・・・心から感謝する。」
    チョウリョウ氏とコウジュン氏がリョフ氏を止めに掛かろうとしていたのは分かっていた。
   しかしあの我を忘れた彼を止める事は多分無理だっただろう。史実や無双の展開がどうだった
   かは分からないが、あの様な形に近い展開からテイゲン氏を斬ってトウタク氏へと流れたの
   だろうな。

リョフ「しかし・・・本音は俺達を目的で接近してきた訳か。」
ミツキ「それが事実わぅね。もちろん獲得も視野に入れていたわぅよ。」
チョウリョウ「諸々を踏まえ、致し方がなかったと思いますぞ。先程の展開では、修羅場に至って
       いたのは間違いありますまい。それに自体が収まったとしても、テイゲン殿に頭を
       下げていたのは言うまでもありませぬ。」
コウジュン「生き延びらえたとしても、俺達の武は地に落ちたも当然だったでしょう。それをこちら
      のお嬢方はリョフ殿を抑えて沈静化した。そして風来坊殿の機転ある・・・凄い力で
      難局を乗り切る事ができた。」
リョフ「命もプライドも保たれたという事だな。」
    ヴァルディーヴタイムが俺達を支配している中、雑談しながらラクヨウへと歩いていく。
   セキトバなどの馬達はミュティラ達が面倒を見てくれており、道具類の管理はリヴュアスが
   担ってくれていた。縁の下の力持ちとはこの事だろうな。

ミスターR「まあ何にせよ、これからが勝負ですぜ。」
ミスターT「だな。テイゲン氏が予想を上回る軍事力を手に入れてしまった。1年後の戦いにどう
      影響するかが心配になるわ。」
リョフ「1年後に大規模な戦があるのか?」
ミツキ「おっと、それは何れ来たら詳しくお話するわぅよ。今は・・・楽しみは最後まで取っておく
    のが通例わぅ。」
リョフ「ふむ・・・まあお前が言うのだ、確実に起こるのだろうな。一応楽しみにしておく。」
ミツキ「わぅわぅ♪」
    戦の話になると目の色が変わるリョフ氏達。しかしミツキが押し留めると、素直に言う事を
   聞くのは見事なものだわ。というか例の本気状態の彼女の力を知っているからだろう。間違い
   なく怒らせると性質が悪いと思うからだろうな。何とも・・・。

    ミスターRがミツキも連れて行けと言ったのは正解だった。彼女の攻めと押しと留める、
   この力はあのリョフ氏やチョウリョウ氏すらも制御してしまうのだから。

    戦術・戦略共に最強クラスの女傑、か。となると姉たるナツミAや恩師シルフィアは更に
   凄まじいものなのだろうな。やはり女性は本当に強いわ・・・。



ミスターA「うぉっ?!」
ミスターRY「ど・・・どこから沸いて出たんですか?!」
    ラクヨウに近付くと、リヴュアスのハーズダント・レーダーが仲間の気配を察知しだす。
   その方向へ向かうと、魔法でカモフラージュされた陣営を発見した。そこに到着すると当時に
   ヴァルディーヴタイムの効果が切れた。目の前に俺達が現れた事に仲間達は驚愕している。
ミスターT「すまんすまん。色々とイザコザがあってね、時間魔法で戻ってきたわ。」
トムM「おお、あの流浪人でのゼラエル殿と対峙した時と同じ手法ですか。」
ミスターT「正に特効薬極まりなかったよ。」
ゼラエル「ヘヘッ、今頃相手はさぞかし驚愕しているでしょうなぁ。それにこの時代だと探索は非常
     に困難でしょうし。」
   俺達の帰還に一同沸き上がる。僅か数日間の探訪だったが、まるで数年動いていたかの様な
   錯覚を感じさせる。それだけ充実した瞬間だったのだろう。


ディルヴェズ「マスター、ご紹介したい方がいらっしゃいます。」
ミスT「オウイン氏とチョウセン嬢です。」
    ミスTが示す先に仲間と雑談する2人の人物がいる。男性はオウイン氏だと分かる。その
   傍らには若かりし頃のチョウセン嬢がいた。これは驚きだわ・・・。
オウイン「おおっ、貴殿がビィルガ殿が仰っていた風来坊殿ですな。私はオウインと申す者。こちら
     は娘のチョウセンと申しまする。」
チョウセン「あ・・・初めまして・・・チョウセンと申します・・・。」
ミスターT「これはご丁寧に。ミスターTと言います。」
   丁寧に自己紹介をしだすオウイン氏とチョウセン嬢。やはり根底に王道が据わっている人物は
   格が違うわ。しかし・・・まだ7歳のチョウセン嬢は、まるで風来坊の幼いヴェアデュラを
   見ているような気がしてならない。可愛いものだわ・・・。

    そこにススッと進み出るは何とリョフ氏。それに一同は驚いた。オウイン氏には軽く一礼を
   して、幼いチョウセン嬢の前まで進むと膝を折って目線を合わせる。

チョウセン「あの・・・チョウセンと・・・。」
リョフ「待て、先ずはこちらから名乗るのが礼儀だ。俺は呂布奉先と言う。お前は貂蝉と言うのか。
    以後よろしく頼むぞ。」
チョウセン「はい・・・よろしくお願い致します、奉先様。」
    リョフ氏が大きな右手で小さなチョウセン嬢の頭を優しく撫でる。彼の手が自分の頭に乗る
   時にビクッと震えるが、撫でられると笑顔を返す所が頬笑ましい。リョフ氏にこんな一面が
   あったとは・・・。
オウイン「ふむ・・・あのチョウセンが怖じる事なく接するとは・・・。」
リョフ「大男には身構えるクチか。」
オウイン「左様です。特に今は見るもの全てが新鮮に見えるようで。」
リョフ「フフッ、可愛い奴よ。」
   滅多に見た事がないリョフ氏の笑顔を見る事ができた。それに俺はおろか、彼を知る面々は
   声を出さずに大歓喜してしまった。破天荒でぶっきらぼうな性格、裏切りの常習犯で有名な
   彼は取っ付き難い事でも有名である。それがどうだ、今の彼はどこにでもいるような好青年
   そのものだ。これが俺の望んだ1つの生き様でもある。

ミスターT「ところで、どうしてここにオウイン氏とチョウセン嬢がいるんだ?」
ミスターS「すみません、俺の独断です。何か変な雰囲気だったので、速攻救出して保護しました。
      本来なら本職のお仕事があるとは思いますが。」
エリシェ「あまり好ましくない手法ですが、私達が多大な財宝で回収致しました。ミスターS様の
     直感と洞察力は凄まじいと、シューム様とナツミYU様が強く仰られましたので。」
シューム「本職がレーサーという死と隣り合わせの職業なんでしょ? だったら彼が感じる不安要素
     は全て実現する可能性が高いわよ。」
ナツミYU「私はシークレットサービスで培った直感と洞察力で同じ見解に至りました。どの道、
      お2人は救出する目的でしたので。それなら早い方がいいと至った次第です。」
ミスターT「なるほどねぇ・・・。」
    若かりし頃のチョウセン嬢は大人気で、駆け付けた俺達もメロメロの状態になっている。
   特に生真面目で有名なチョウリョウ氏とコウジュン氏がエラい可愛がっているではないか。
   その度に傍らにいるリョフ氏がエラい殺気立った表情で睨むのが何とも言えない。そんな彼ら
   の姿に呆れながらも頬笑ましい視線を送るオウイン氏だった。


ディルヴェズ「それで、首尾の方はこの様に?」
ミスターT「ああ。リョフ氏・チョウリョウ氏・コウジュン氏の獲得に成功だよ。財宝に目が眩み、
      ダークサイドに陥ったテイゲン氏には驚いたけどね。」
シルフィア「人間ってそんなもんよ。超絶強大な力を目の前にすると、肝っ玉が据わった人物じゃ
      ない限り大体堕ちるわね。」
ミツキ「オーダー66を発動せよ!」
ミスターA「それ、シスの復讐ネタ・・・。」
    ダークサイドの用語から連想で、スターウォーズのジェダイの騎士を抹殺するコードネーム
   を語るミツキ。それにツッコミを入れるミスターAだった。最近は彼もこういった突然の行動
   に対応できるようになったようである。

ナツミA「しかしねぇ・・・あのリョフさんが凄まじい変貌振りじゃない。」
ミスターT「全てミツキが要因だよ。色々な雑談で彼を心から鼓舞し、根底にあるとされる修羅の
      命を抑えていたと思う。極め付けは怒りでテイゲン氏を斬ろうとしたのを、身体張って
      押し留めていたから。」
ウエスト「あのリョフ氏をか・・・ミツキさんやるなぁ・・・。」
    リョフ氏の実力は全盛期とは言えなくとも、仲間内では正しく最強とも言える。その彼を
   何事もなく押し留めたミツキの実力は凄まじいとしか言い様がない。
ミツキ「でもミスターRちゃんの補佐がなかったら厳しかったわぅよ。」
ミスターR「そうでもないっすよ。お嬢はあのリョフさんの怒りの方天画戟を十字戟で抑えてたじゃ
      ないっすか。アレは俺でも無理ですわ。」
サイバー「ミツキはいざとなった時の力が凄まじいからね。例の本気状態じゃなくても、それ以上の
     力が出るからさ。」
ミツキ「このポチミツキ、見縊って貰っては困る!」
ミスターMI「それガンダム無双2のハマーンさん・・・。」
ミツキ「エッヘッヘッヘッヘッ!」
ミスターK「ダ・・ダクソウのオズワルド・・・。」
   ニヤケ顔で右手親指を立てるミツキに、俺達は呆れるも笑うしかなかった。本当にこの美丈夫
   は怖ろしすぎる。存在そのものが激励とムードメーカーか、本当にそうだわな・・・。



ビィルガ「マスター、これからどうなされます?」
ミスターT「そうだねぇ・・・先ずは小休止だな。」
    ビィルガの言葉に一服しながら周りを見つめる。リョフ氏達はミツキの計らいで直ぐに一同
   と馴染んでいく。特に彼に憧れる俺を含むミスター軍団のアプローチは凄まじい。それに呆れ
   ながらも自分の生き様が凄いのだと誇りに思っているようだ。
ミスターT「リョフ氏・チョウリョウ氏・コウジュン氏、オウイン氏・チョウセン嬢。今の所はこの
      5人か。」
シェガーヴァ「ソンケン父殿のターニングポイントはまだまだ先ですが、早い段階で獲得に挑まれ
       ますか?」
ミスターT「その前に黄巾の乱と反董卓連合が終わるまで待たなければならないんだがね。それか
      一気に打って出て行くか。」
ナツミYU「そもそも題材の6エンパでしたか、こちらはそのシナリオによって起こるイベントが
      異なっていると思いますが。」
ミスターT「そうだわな。黄巾の乱の1年前・・・。ならその黄巾の乱すら発生させないで、次の
      ステップに移っていくか。」
ミスターR「それだと相当滅茶苦茶になってきそうな気がしますけど・・・。」
ミスターT「リョフ氏達があと数十年も我慢できると思うか?」
   仲間内とスパーリング的な殺陣を開始するチョウリョウ氏とコウジュン氏。対してリョフ氏は
   チョウセン嬢と語らっている。その周りにはミュティラ達が一緒になって聞き入っているのが
   頬笑ましい。あのリョフ氏がなぁ・・・。

ミスターSI「やはりここは黄巾の乱を経由して、反董卓連合までを攻略するのが得策かと。リョフ
       さん達にはしっかりと訳を説明して挑まれた方がいいと思います。」
ミスターT「う〜む、あと7年か・・・。」
    確かにミスターSIの言う通りか。その年代に起こる出来事を攻略するのが無難なのかも
   知れないな。そうなると無双で目玉となる赤壁の戦いまでは進んだ方がいいのだろう。しかし
   今が183年だから、向こう25年も待たなければならないのは何とも・・・。
ミスターH「別に7年待つ必要はないと思いますよ。その現状の流れからして、イベントを早めれば
      済む事になりますし。それに敵側を否が応でも促進させる起爆剤がここにあるじゃない
      ですか。」
ミスターT「・・・俺達の存在、か。」
ミスターH「そうです。ソンケン父さんは中道、リュウビさんは王道。しかしソウソウさんは覇道、
      つまり目の前の脅威の存在は排除に掛かってきます。1年後に発生する黄巾の乱にて
      俺達が凄まじい戦闘力を見せ付ければ、相手側は否が応でも動き出します。」
ディルヴェズ「なるほど、確かにありますね。超絶的な力を目の当たりにすれば、敵は防衛本能を
       最優先として動き出します。覇道は必ず反感してきますので。ただしそこに大義が
       あれば、中道や王道は同調すると思いますよ。」
ミスターT「・・・黄巾の乱の後に勢力を拡大させる魏。ソウソウ氏を先に挑発させる、か。それも
      なかなか面白そうだな。」
シェガーヴァ「それならソウソウ氏の実力も十二分に窺えますな。是非とも覇道を貫く力を見せて
       頂きたいものです。」
ミスターT「役割を徹底的に演じ切るシェガーヴァやビィルガなら、おそらくソウソウ氏を超えて
      いると思うけどな。お前達の属性は覇道に近い。だからディルやデュシアE達と衝突
      するのだから。」
ビィルガ「ハハッ、まあ否定はできませぬ。しかし役割を演じるなら、どの様な役であっても徹底的
     に演じるのが私の生き様。そうですな・・・、このプロレス集団・アルエキファイタの
     覇道を覆せるのか。ここは試してみようではないですか。」
   アルエキファイタ本編の模擬シーズンで演じていたプロレス集団・アルエキファイタの社長、
   ビィルガ役の雰囲気を出す本人。覆面の風来坊本編でも同じ様な流れを出していた。やはり
   役割を演じ出すと、途端に本気状態になるのが彼の長所だろうな。

ミスターT「さて、黄巾の乱まで1年。それまでステルス状態で大陸を巡業してみましょうかね。」
ビィルガ「ハハッ、そのプラン頂きですな。我らプロレス集団アルエキファイタの実力に、それ相応
     の実力を発揮して頂かねば張り合いがありませんな。」
ミスターA「この乱世にプロレスねぇ・・・。」
ミスターK「いいじゃないですか。自分もプロレスは大好きですから同調しますよ。それにプロレス
      ならリスペクトが発生しますし。相手が敵であっても敬意を持って挑む事ができる。
      殺伐とした殺戮では残るのは憎悪の連鎖のみ。それではダメなんですよ。」
    ミスターKのプロレス好きは驚く限りだが、彼の語る一念は戦いに関しての真骨頂とも言う
   べきだろう。殺戮は憎悪の連鎖しか生まない。それは武勇の極みでも、曲がり間違えば同じ道
   を突き進む事になってしまう。しかしプロレスというエンターテイメント的な流れならば、
   それぞれの戦いは純粋な試合に至る。リスペクトもあるともなれば敵側に敬意を表するのは
   当たり前。そうすれば殺伐とした戦いには至り難くなる。
シルフィア「そうね、ミスターK君の言う通りかな。敵に敬意を表してこその武道の極み。それは
      彼やミスターT君が言うように、プロレスにあると思うわ。まあ武道全般の根底にその
      理が根付いているけどね。」
ディルヴェズ「了解です。敵と遭遇した場合は先ず相手の出方を見て、必要であれば戦いを行うと。
       それに自分達の力の部分からすれば、むしろプロレス技で勝負した方がいいのかも
       知れません。」
ミツキ「おおぅ、スープレックス連発していいんだわぅね!」
アマギH「コーナーがないからダイビングエルボードロップは無理か。まあ相手に駆け付け様に放つ
     クローズラインも面白いな。」
ミスターK「三国志遊戯と銘打っていたので、てっきり武器による応戦が必須なのかと思ってたのが
      本音です。しかしプロレス技で応戦OKなら、俺はそちらの方が遥かに楽ですよ。」
ミツキ「ふふり、ある意味レスラーよりファンの方が知識は豊富わぅからね。相手との間合いでは
    十二分に動けるってもんわぅよ。」
   ビィルガが開いた突破口。アルエキファイタ本編で運営するプロレス集団の役割。それが仲間
   には三国志演義にプロレス技を用いて良いという合図に至ったようだ。

    確かに武器と武器で応戦するのが三国志たる所以。そこをプロレス技で応戦するとは考えも
   しないだろう。これはある意味面白い戦いになりそうだわ。

    プロレス技の解禁とあって、仲間内から大歓喜が巻き起こる。特に俺達の出身が乱世では
   なく、エキサイティングプロレス5というエンターテイメントなのだから。

    これにリョフ氏達、乱世を生きる武将達はどう見るだろうか。先程の魔法の力を目の当たり
   にしたのと同じく、かなり驚愕するに違いない。

    ただそこに根付いている敬いと労い、そしてリスペクトの精神は理解して貰いたいものだ。
   これこそ武道から発展した一種の極みとも言える。

    しかし三国志縁の彼らがプロレス道に目覚めたら、それはそれで困りものなのだが・・・。
   まあ・・・その時は何とかなるだろうな・・・。

    第1部・第03話へと続く。

    後半へと続く。

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