覆面の風来坊外伝
〜三国志遊戯〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝3 〜三国志遊戯〜
    〜第1部・第03話 黄巾の乱〜
    テイゲン氏への財宝提供、それにより私利私欲に走った彼。そして武勇の極みをミツキ達の
   生き様に見出し始めるリョフ氏達。史実や無双シリーズとは異なる展開に至っていった。

    リョフ氏の激怒によるテイゲン氏への攻撃も、ミツキとミスターRにより未然に防がれる。
   本来ならテイゲン氏の殺害に至るのだろうが、既に別の一念が芽生え出しているリョフ氏は
   思い留まった。これだけでもかなりの大成果である。

    そしてこの世界では絶対在り得ない魔法の披露。それにテイゲン氏達はおろか、リョフ氏達
   も驚愕していた。まあ当然の結果だろう。これで彼らから目を眩ませる事に成功した。


    その後はシンヨウを後にし、ラクヨウへと戻った。現地の本隊では既にミスターSの機転に
   より、オウイン氏とチョウセン嬢の獲得は成っていたのだ。彼の直感と洞察力が早めの獲得を
   促したようである。

    詳細は分からないが、流石はレーサーと言うべきだろう。常に死と隣り合わせの戦いを行う
   職業柄、その何かを感じ取った部分は素晴らしい業物である。


    ともあれ、これでリョフ氏達とチョウセン嬢達の獲得は至った。まだ両者とも幼いのだが、
   本人の獲得が最優先でもあったため問題はない。

    ミツキの感受性に触れて別の姿になりだしているリョフ氏とチョウセン嬢。これはこれで
   非常に楽しみでもある。別の彼らの姿を是非とも見てみたいものだ。





    それから半年以上が経過。大陸を転々と移動しながら、各地の情報収集に奔走した。まあ
   ウエスト・サイバー・メルデュラによるコンピューターによる探索もあるのだが・・・。

    またミスター&ミスシリーズの中でミスターTI氏が現実でのコンピューター関連の博識者
   との事だった。彼や他の猛者も加わってのエンジニア郡は凄まじいものだわ。

    俺達の存在は間違いなくイレギュラーの何ものでもない。今の世界には存在しない技術、
   更には非現実的な魔法という力。これらを有しているのだ、イレギュラーと言わずして何と
   言うのだろうか。

    まあともあれ、今の流れを突き進むしかない。それがこの場に現れた俺達の生き様だな。


ビィルガ「毎度ながら思うに、この大陸の住人の方々がいらっしゃって助かり申します。」
オウイン「いやいや、私は何もしていませぬよ。」
    町への情報収集は、オウイン氏を筆頭にチョウリョウ氏とコウジュン氏が繰り出してくれて
   いた。身なりからしても俺達の存在はイレギュラー過ぎる。ここはこの時代の人物が適任と
   言えた。ちなみにリョフ氏は幼いチョウセン嬢に付きっ切りでいる。だからこそオウイン氏が
   動けているのだが。
コウジュン「それにしても、最近は例の黄巾党の話が持ち上がりますわ。」
チョウリョウ「左様。漢王朝の腐敗を愁う民を扇動して、何やら良からぬ動きを見せていますな。」
ビィルガ「どんな集団でも根底が据わっていれば問題はないのですよ。問題なのはそれが大局的に
     見て、善なのか悪なのか。そこが重要に至ってきます。」
コウジュン「大義名分って奴ですな、人それぞれ異なるってのにねぇ・・・。」
   やはりミツキによって彼らの生き様が大いに変わって来だしている。我武者羅に武勇を極める
   道に走れば楽なのかも知れない。しかしそれでは行き着く先が無限回廊の地獄である事を痛感
   すれば、大体の人物は生き様を変えるしかない。あのリョフ氏ですら今では他者に関わり合い
   を持っているのだから。
エリシェ「ここでも賊徒襲撃の話も聞きますね。黄巾党以外にも賊徒がいる様子で。」
チョウリョウ「大体は世の中に順ずる事ができない者が至る道。しかし必ずしもそれが絶対悪では
       ないのが皮肉な所ですな。」
ラフィナ「そうですよね。」
   ちなみに本隊の会計係はエリシェとラフィナに一任している。風来坊本編では大企業連合の
   頭領を担っているだけに、その手腕は凄まじいものがある。あのビィルガですら一目を置くの
   だから。

ディルヴェズ「オウイン殿の目指す道とは、やはり王道なのでしょうか?」
オウイン「左様です。私が望むのは天下安寧、極力争いがないものです。完全に争いを無くす事は
     不可能とも考えております故に、これが妥当な所なのでしょうな。」
ディルヴェズ「同感です。人間から争いを奪う事はできませんからね。」
    食事係を担当するは、風来坊本編で飲食店に関わりがあるトムMや他の人物が担っている。
   更にはミスターKとミスターTAもかなりできるとあって、その手腕に仲間達は大喜びして
   いる。まあこの場では創生だけで色々なものができるのだ、この限りではないのだが・・・。

    軍事部門・経済部門・食料部門、多岐多様の面々が集まってこそのアルエキファイタ陣営。
   これはもう究極のチームだろうな。

    そして各々が敬い・労い・慈しみの精神を抱いている。これが全ての決定打となっていると
   言っても過言ではない。この一念だけは絶対に欠かさず抱き続けたいものだ。

ナツミYU「更に大切な事がありますよ、後継者育成です。いくら私達が天下安寧を達成したとて、
      それを受け継ぐ者がいなければ意味がありません。これを怠った事により、消滅した国
      も存在しますから。」
オウイン「やはりそれが重要になってきますな。だからこそ私もチョウセンを養子にし、後の国を
     収めるための重要な役割を担わせようと試みている次第です。」
ミスターR「なるほどねぇ・・・。だからトウタク氏に連環の計か・・・。」
オウイン「ふむ、テンスイの太守トウタク殿が何かあるので?」
ミスターR「・・・ミスター、これって話すべきですかね?」
ミスターT「う〜む・・・。」
    大局的に物事を見ているオウイン氏。その彼がミスターRのトウタク氏の一件を口にした事
   を聞いて、かなり心配気味に気に掛けてきた。実際にトウタク氏が横暴しだすのは、今から
   数年後に起こるとされるのだがな。

リョフ「今は止めておけ。お前達の事だ、今後何が起こるのか全て分かっているのだろう。ならば
    その流れに身を委ねるのも1つの作戦だ。オウインよ、これも大局的に見る1つの戦略と
    言えるぞ。」
    語るかどうか悩んでいると、チョウセン嬢を肩に載せながらリョフ氏が登場。オウイン氏に
   今は自重しろと促しだした。従来の戦いを最優先に物事を考える彼の言葉とはとても思えない
   ものだわ。
リョフ「半年前の俺なら、強者がいるとされるテンスイに攻め込んだだろう。しかし今はコイツの
    悲しむ姿を見たくはない。お前がチョウセンの父親なら、それがよく分かる筈だ。」
オウイン「むぅ・・・確かにそうですな。」
ディルヴェズ「そうですね。しかし先のリョフ殿が仰った、我先に乗り込み潰すのも一理有りです。
       それが結果的に後に起こる戦いを引き伸ばすか、消滅させる事に至りますので。」
リョフ「それはよく分かるが・・・。」
ディルヴェズ「ですが、ここはリョフ殿とチョウセン殿の顔を立てましょう。できれば早期撃滅を
       望むものですが。」
   珍しく引き下がったディルヴェズ。多分リョフ氏のチョウセン嬢に対する一念を察知したの
   だろう。ディルヴェズにもルデュファスという一人娘がいる。今のリョフ氏達の姿は彼や妻の
   ヴァルラームと姿がダブるのだろうな。

ミツキ「リョフちゃん変わったねぇ・・・。」
リョフ「フッ、お前が一番の原因だろうに。会えば必ずコイツを大切にしろと何度も語る。それを
    半年も聞けば否が応でも変わるわ。」
ミツキ「ふふり、流石わぅね。今のリョフちゃんがチョウセンちゃんと出会った意味合いを、よーく
    考えるんだわぅ。流れは必然わぅが、本来ならもっと違った形で出会うのが通例になって
    いたわぅ。でもこの場では全く違う流れわぅからね。」
    茶菓子を頬張りつつ語るミツキ。今の流れからすれば、本来の流れとは異なる未来が待って
   いるだろう。それこそが俺も望んでいるものでもある。
リョフ「例の別の流れ云々と言う奴か。半年前の事変が終わった後に聞かされたが、本来ならば俺が
    テイゲンを裏切り殺害したという事だが。」
ミツキ「そう、セキトバ欲しさに動いたわぅね。まあそれは防いだ訳だし。それに今はその行為を
    したら、真っ先に誰が悲しむかをよーく考えるわぅよ?」
リョフ「そ・・そうだな・・・。」
   ミツキ十八番の殺気と闘気を繰り出しリョフ氏に圧力を掛ける。それに青褪める彼なのだ。
   本来ならこの程度なら影響はないのだろうが、やはり守るべき存在ができると変わるのだな。
   リョフ氏の変革はチョウセン嬢にあり、か。本当にそう思うわ。
ナツミA「あらぁ・・・なら、そういう貴方はどうなのかしらねぇ・・・。」
ミツキ「うわぁ〜! 勘弁してくれわぅ〜!」
   颯爽と背後に回り込み、ヘッドロックを掛け出すナツミA。それに慌てて降参しだすミツキ。
   それを苦笑いを浮かべて見つめるシルフィア。リョフ氏はもう、今の構図を十分に理解して
   いる。あのミツキでさえ敵わない女傑が2人もいるという事に、だ。

    本気状態のミツキはリョフ氏と互角に渡り合える実力を持っている。いや、まだ全盛期とは
   言えない彼の事だと彼女には勝てないだろう。その彼女を超える存在がナツミAとシルフィア
   なのだ。この3人の実力はリョフ氏を遥かに超えていると言えた。

    しかしそれは相手を力で屈服させるものではない。根底に据わる一念は相手を敬い労う、
   そして慈愛の心で戦う事だ。リョフ氏が同じか超える実力を持つに至っても、この部分は多分
   超える事はできないだろうな。

    まあ彼は彼なりの優しさがあるため、その部分を最大限発揮すれば名実共に最強の天下無双
   と言われるのは間違いない。俺はその姿の彼を心から望んでいる。



デストロイア「あー・・・マスター、良くない情報が入ってきましたよ。」
ミスターT「どした?」
    隠密状態で行軍する俺達。BGMを流すとしたら、行軍2か3か。そう言えば俺達の軍勢の
   名前は躯屡聖堕フリーランスだったな。ともあれ、その中でデストロイアが語り掛けてきた。
デストロイア「リヴュアス様の密偵隊からの連絡ですと、例のシンヨウのテイゲン氏が挙兵したそう
       です。近場はギョウのエンショウ無双氏、ホクヘイはコウソンサン氏と交戦を開始
       したそうですよ。」
リョフ「奴め、ついに覇道に乗り出したか。」
ミスターT「ふむ、動き出したのが半年後というのが何とも言えんわな。」
   俺はてっきり直ぐにでも動き出すのかと思っていたが、それなりに軍備を進めていた訳だな。
   やはり戦力の9割以上と言っていただけに、リョフ氏・チョウリョウ氏・コウジュン氏の離脱
   は多大なダメージを与えていたようだ。

オウイン「ラクヨウの方は無事なのでしょうか?」
デストロイア「多分大丈夫だと思われます。ラクヨウにはカシン氏率いる精鋭部隊が鎮座してます。
       それに覇道の長と謳われるソウソウ氏に、彼の片腕たるカコウトン氏にソウジン氏も
       いらっしゃいますし。」
リョフ「カシンはラクヨウとチョウアンを抑えている。兵数からしてそう簡単に負けるとは思えん。
    ただ・・・半年でどれだけの軍備を整えたか、そこが気になるがな。」
ミスターR「俺の予測ですけど、ソウソウ氏がエンショウ無双氏とコンタクトを取ると思います。
      お互い同調して動くと思いますよ。2人は同じ釜の飯を食った間柄ですし。」
チョウリョウ「シンヨウの抑え込みは、この3勢力で何とかなっていますな。」
    一旦休息する俺達。その場で即席で軍議を開き、今の現状を語り合う。既に大陸中に隠密
   ハーズダント部隊を放っているため、逐一連絡が舞い込んでくる。また他のヴァスタールと
   ヴィアシールの隠密部隊も構成して、先方の彼女達を補佐もしている。極力戦闘は避けるよう
   指令を出してはいるのだが、有事は戦闘を行うようにとも指示を出して貰った。

    本来なら彼女達を戦場に出すのは危険極まりない。ハーズダントだけは胸のコアを破壊で
   絶命するが、ヴァスタールとヴィアシールは事実上の事故死が訪れない最強の生命体だ。

    もし彼女達が捕縛され、何らかの形で解析されたら・・・。それはこの大陸の様相を覆す事
   に至ってしまうだろう。ただ、この現実面を帯びた世界で生命体の創生はとてもできるもの
   ではないのだが。

ミツキ「鹵獲わぅか?」
ミスターT「む、心中読みか。」
ミツキ「わぅわぅ。でも仮に鹵獲されても、思った通り解析するのは不可能わぅよ。そもそもわた達
    が持つ力は自然界の成り行きを超越しているわぅ。現実面の世界観から抜け出せない限り、
    これを超える事は不可能わぅね。」
    紅茶を啜りながら語るミツキ。確かに3つの人工生命体達を調査する事は絶対不可能だわ。
   リュウジN達の時代・・・言わば現代社会だが、ここで仮に登場しても解析できるかどうかは
   不明な所だ。機械兵器だったら解析できるのだろうが、相手は生命体なのだから。
ディルヴェズ「非常事態時は移動魔法により強制的に戻るように施してあります。まあ多分用いる
       事はないと思いますよ。」
ミスターT「なら一応は大丈夫か。そう言えば俺達は今、どの辺りにいるんだ?」
シェガーヴァ「ミスターR殿から提供の資料からすると・・・丁度チョウサ辺りですな。」
ミスターH「チョウサならソンケン父氏がいる地域ですね。近々オウセイ氏と一戦やり合うと思い
      ましたが。」
ミスターR「パパキラーのコウソとやり合うのは、反董卓連合の後ですからの。今は心配はないとは
      思いますが。」
   呉の礎を築く江東の虎ことソンケン父氏。リュウヒョウ氏との戦闘時、その配下コウソ氏の罠
   により射殺される。4猛将伝で彼を選んで吟味すると、何とその射殺を防ぐ事ができるのだ。
   見事な外伝だわな。


ミスターS「むぅ・・・何やら嫌な予感がしますよ。」
ミスターT「・・・射殺が早まる、か?」
ミスターS「分かりません。ですがオウインさんの時と同じく、死の匂いがプンプンします。」
    ミスターSの直感と洞察力がフル稼働している。本業がレーサーとあり、死と隣り合わせの
   戦いを演じている。彼のお陰でオウイン氏とチョウセン嬢の早期救出が成ったのだから。
ミスターT「なら決まりだな、ソンケン父氏達を救出し獲得する。少し早い展開だが、まあそれも
      フリーシナリオシステムってもんさ。」
ミツキ「父上と呼びなさいジェラール〜!」
ウエスト「む、ロマサガ2・・・。」
ミツキ「な・・何をする貴様らー!」
ミスターR「うぇ、それロマサガ1のガラハドさん・・・。」
ミツキ「天知る・地知る・ロビン知る!」
ナツミA「はぁ、ロマサガ3は覆面ヒーローのロビン・・・。」
ミツキ「ぶっ潰してやる!」
ミスターT「サガフロのテレビCMはレッド・・・。」
   俺が今の流れをフリーシナリオシステムと述べたら、ミツキが見事に暴走し始める。往年の
   名作、ロマンシング・サガ1・2・3とサガ・フロンティアのネタを言い出したのだ。それに
   間隔を空けずに答えられた俺達は何なのだろうか・・・。そんな俺達の呆れ顔を見て、不気味
   な程に微笑みながら右手親指を上げる彼女だった。

    すると滅多な事では笑わないリョフ氏が大笑いしだしたではないか。それに俺達は驚愕して
   しまった。普段から物静かな存在ほど、そのギャップには驚かされる。

リョフ「ハハハッ、なるほどな・・・。今の今まで何故ミツキがこうも強いのかと考え続けていた。
    彼女にあって俺にないものを問い続けていた。その理由が今、痛いほど分かった。俺に足り
    ないものは間違いなく楽観主義だな。」
ミツキ「ご名答〜、その通りわぅ〜。リョフちゃんはずっと眉間にシワを寄せて、両肩に力が入りっ
    放しだったわぅ。そして己の武が一番でなければならない。常に高みを目指さなければと
    自分を叱咤していたわぅ。」
リョフ「ああ、そうだった。他者より優位に立ちたいがために、ただ我武者羅に武芸を磨き続けた。
    そうし続けるうちに、何時しか俺は凄まじい武勇を習得していた。が・・・。」
ミツキ「中身が空っぽだった。漠然と挑み続ける武勇の頂点への道。それが惰性へと走り出し、何時
    しか虚しいものへとなっていった。そこに・・・。」
リョフ「フッ、お前達が忽然と姿を現したのだったな。対峙直後に俺の名を呼び、対決させて欲しい
    と名乗りを挙げて来た。普通なら風来坊が語るように、俺の姿を見れば怖じるか逃げる奴が
    多かったのにも関わらず・・・。」
    リョフ氏達と出会った時の事を振り返る。この場では無双の彼に近いため、その本人と遭遇
   して大歓喜した。ミツキとミスターRが対決を行って、その生き様を彼に見せ付けたのだ。
   それに感化されだし、今へと至っている。

ミツキ「私達が知るリョフさんは、テイゲンさんを裏切り殺害という悪行を行っています。他にも
    色々な悪どい行動をし、最後は部下に裏切られて処断されるのです。」
リョフ「ああ、そうらしいな。半年前のテイゲンと対峙した時、お前とミスターRが身体を張って
    阻止してくれた時に理解できた。忘恩の道には絶対に進ませないとさせる、凄まじく力強い
    一念が。」
ミツキ「いいじゃないですか、どんな仕打ちをされたって。貴方は今まで受けた恩を恩として受け
    止めるだけでいいのです。忘恩になっては絶対にいけません。誰彼がどうこうじゃない、
    自分自身がどうあるべきか。それが重要なのですよ。相手に裏切られても、同じ事をしては
    なりません。」
    自然と俺達の方を向き、小さく頷くミツキだった。この生き様は俺が恩師シルフィアから
   伝授して頂いて、今度は俺がミツキ達に伝授した究極の理である。言わばシルフィア門下生の
   師弟の理だ。それを受けたミツキがリョフ氏に伝授か、何だか恐れ多い気がしてならない。

ミスターT「世の中は理不尽極まりなくてね。ある1つの人間的に自然的な物事を悪口罵詈する輩も
      いるものさ。だがそれと同じ事をしてしまえば意味がない。まあ無論、それ相応の反抗
      はさせて貰ったんだがね。」
ウエスト「リョフ氏ほどの肝っ玉が据わった武人なら、俺達の様に何度も紛動される事はないとは
     思います。俺の知る貴方は絶対に己の生き様を崩しませんでしたからね。」
ミツキ「有りのままの姿で、自分らしく素直に生き様を貫いて行って下さい。もちろん、私達が知る
    リョフさんにだけは至って欲しくない。そして私達が願う姿は・・・。」
    彼女がリョフ氏に目線で促す先には、不安そうに彼を仰ぎ見るチョウセン嬢の姿があった。
   それに気付くと彼女を抱き上げ胸に収める。
リョフ「・・・ああ、今なら痛いほど分かる。守るべき存在がいれば、全て変革していくのだな。」
ミツキ「違いますよ、変革させていくのですよ。そのパワーの源がその一念です。時が来るまで待て
    ではなく、時は自らの力で動かす。私達が知るリョフさんがこうも言いますよ。」
   そう言うと俺から方天戟を奪いつつ、肩に担ぎながら仁王立ちスタイルを取りだす。その姿は
   小さきながらも天下無双たる呂布奉先そのものに見えた。
ミツキ「“俺は天下を駆け、最強の武を世に示す! お前も見届けるか、俺の戦を?”と。」
ミスターR「ハハッ、こうも言いますよ。“ふん、並外れた力は疎まれるものだ。来い、俺と居れば
      誰も文句は言えまい。”とね。」
ミスターT「それ、Rさんのは合わないような・・・。」
ミスターR「ミスターひでーっす、見せ場作らせて下さいよぉ!」
ミツキ「ふふり、まだまだ甘いわぅね。」
   目の前のリョフ氏ですら魅入るようなミツキの啖呵に続き、ミスターRが話す啖呵にツッコミ
   を入れたらブーイング返しをされた。それに甘いと語るミツキに、周りは爆笑してしまって
   いる。

チョウリョウ「リョフ殿。ここまで慕われてしまっては、武勇を揮い続けるしかありますまい。」
コウジュン「そうですぜ。純粋に生き様を誉められれば、誰だって燃え上がりますって!」
チョウリョウ「拙者もコウジュン殿も、リョフ殿の武勇を魅入って付き従っております。それがこの
       猛者の方々とお会いしてからは別の姿に至り、燦然と輝きだしていますぞ。」
    リョフ氏の言わば目覚めの宣言にチョウリョウ氏とコウジュン氏が感嘆している。今までは
   その武勇に付き従っていたようだが、今は彼自身の生き様そのものに感銘を受けている様子で
   ある。類は友を呼ぶ、正しくこの事だろう。
オウイン「・・・真実をお話すると、遠方はシンヨウに良からぬ噂を聞いてました。テイゲン殿の元
     に若き猛将たるリョフ殿が現れ、彼と養子縁組となったと。何れ良からぬ火種になるの
     ではと危惧していました。ですから私達の前に普通に現れた時は驚愕しましたよ。しかし
     チョウセンに対する言動を見てそれが消え失せました。」
リョフ「そうか・・・すまなかったな。」
オウイン「いえいえ、滅相もない。私以外に誰も心を許さなかったチョウセンが、リョフ殿を見るや
     落ち着いた表情を浮かべたのですよ。貴殿を信じなかったら、娘を信じないのと同じ事に
     なります。」
シューム「リョフちゃんね、女性の目線は先見性のある半端じゃない力なのよ。何たって子供を産み
     育てる事ができるのだから。その中の1人であるチョウセンちゃんが貴方を慕う意味を、
     心から理解してあげて。強いては女性全ての心を理解していく事にも繋がるわよ。」
リョフ「ああ、そうだな。」
   胸の中にいるチョウセン嬢の頬を撫でながら語るリョフ氏。笑顔で微笑む彼女の姿を見れば、
   そこに大切な絆が生まれている事は間違いない。

    あのリョフ氏がチョウセン嬢を最大限の慈しみで見守っている。本来の彼なら真逆に近い。
   理想的なカップル像と言えるわな。

ミスターT「ただ1つだけお願いを聞いてくれ。今の様なリョフ氏も当然いいのだが、俺的にはあの
      ぶっきらぼうな部分の姿のダンナも見たい。」
ミツキ「あー、それはわたも賛成わぅ!」
ミスターR「根底には敬い・労い・慈しみの一念を、です。しかし外見は誰もが畏怖する天下無双
      たるリョフさんを見たいものです。」
リョフ「ふむ・・・矛盾している気がするが、まあ善処しよう。」
ミツキ「おういえい、“うぉー! 最強の武を見せてやる!”わぅ!」
ミスターR「赤黒色のビームが出るから止めて下さい・・・。」
    最後の最後でミツキとミスターRによるボケとツッコミが繰り広げられる。それに周りは
   爆笑してしまう。リョフ氏も不覚ながらと思うような表情で笑うのが何とも言えない。


    う〜む、不思議な流れだな。ミスターAが言う事が痛感できた。些細な事から物事が連想の
   如く連鎖し、原点へと回帰していくのは驚きだわ。

    それを自然的に作れてしまうのは、やはり盟友達の力があればこそなのだろう。特にミツキ
   の存在があれば、どの様な人物であれ変革しない訳がない。あのリョフ氏がここまで変革した
   のだから。

    しかしそれぞれの成長は終わらない。成長とは、そこまでだと思えばそれで潰えてしまう。
   常に前へと進む心があればこそ、限りない成長が待っていてくれるのだから。

    この模擬シーズン的な三国志遊戯の世界は、それらを再確認させるために現れたかのような
   気がしてならない。まあ思い過ごしかも知れないが・・・。何とも・・・。



    雑談を終えて行動を開始する俺達。ミスターSの直感と洞察力を頼りに、ソンケン父氏の
   救出に向かった。この場合は護衛というべきか。

    黄巾の乱前だと、まだ宿敵に近いオウセイ氏との戦いは始まっていなかった様子。そして
   リュウヒョウ氏との戦いでコウソ氏の罠で射殺される経緯も、反董卓連合が終わってからの話
   となるのだが。

    ともあれ、未然に防げる要素は全て防ぐ。事実、リョフ氏のテイゲン氏への忘恩は回避が
   できた。この場限りでは不可能な事はない、何だってできるわな。


デストロイア「なるほど・・・ミスターS様の直感と洞察力が当たりましたね。」
ミスターT「まさか既に射殺されたとか?」
デストロイア「いえいえ、違います。ソンケン父氏とリュウヒョウ氏との対決は、トウタク氏との
       対決後だとの事でしたね。ですが既に対峙しだしているとの事です。」
    隠密御庭番衆よろしく、隠密ハーズダント部隊の情報を伝えるデストロイア。彼女の話に
   よると、既にソンケン父氏とリュウヒョウ氏は戦いを開始してるというのだ。史実ではまだ
   先になる事なのだが。
ミスターR「驚きっすねぇ・・・。」
ミスターH「アレですかね、歴史が変わったという奴で。」
ミスターK「多分テイゲンさんの動きに対しての先手必勝でしょうね。もちろん、引き金云々の部分
      にリョフさん達が原因とは言いませんよ。世上とは常に変動し往くのが定石ですし。」
リョフ「まあ・・・そうだな。」
   ミスターKの言葉に苦笑いを浮かべるリョフ氏。というか怪訝そうな顔を浮かべるのが通例
   とも言えるが、そこが苦笑いになったのは彼の変革があったからだろうな。これは素晴らしい
   大進歩だわ。
ミスターA「ともあれ、今度はシンヨウの様な小規模の戦いじゃなくなりますよね。」
ミスターT「そうだの。今は勢力的にはリュウヒョウ氏の方が遥かに強い。ソンケン父氏はまだ宿敵
      たるオウセイ氏すら叩いてないんだから。」
ミスターA「分かりました。ならばソンケン父さんに加勢し護衛しつつ、先ずはリュウヒョウを潰す
      としましょうか。」
ミスターRY「腕がなりますね!」
   前の別働隊は少数の隠密ハーズダント部隊だけなので、今回は言わば本隊でのぶつかり合いと
   なる。半年前のシンヨウの戦いとは全く異なってくる。大規模なものになるだろう。


リョフ「すまんが、チョウセンの面倒を見てくれないか?」
ビィルガ「委細承知。我が身命を・・・とまではいきませんが、全力で厳守しますぞ!」
シェガーヴァ「リョフ殿は己が生き様を天下に知らしめて下され!」
リョフ「フッ、分かった。任せておけ!」
    ビィルガ達にチョウセン嬢を託すリョフ氏。今ではオウイン氏よりも懐いている彼女。何れ
   リョフ氏の最愛のパートナーになるのが楽しみだわ。今回の戦いは新生・リョフ氏の生き様を
   見る事ができそうだ。

ミュティラ「必要ないかと思いますが、私達がリョフさんの身辺警護に当たりますね。」
リョフ「いや、頼りにしている。戦場とは何時何が起こるか分からない。死とは常に隣り合わせだ。
    俺もお前達に気を配るが、守れない時は自分で何とかしてくれ。」
ミュティヌ「おぉ〜、有難き言葉ですにゃ〜!」
ミュティナ「ありがとうございます、大丈夫です。実の所、私達は自然死以外が訪れない存在なの
      ですよ。」
    言うか否か、自分の獲物で左腕を斬り落とすミュティナ。それに驚愕するリョフ氏。しかし
   鮮血が飛び散っていた左腕があった場所から、次の瞬間腕が再生しだすのには一層驚愕する
   彼である。もう俺達の存在はイレギュラーの何ものでもないわ・・・。当然ながら、切り落と
   した腕は仲間の炎系魔法により消滅させている。
ミュティナ「どうです、怖ろしいものでしょう?」
リョフ「な・・何というかまあ・・・。それでも俺は嘘は付きたくない。お前達が不死・・・いや、
    不死身か。不死身の身体だろうが、守れる範囲内では守っていく。」
ミュティナ「・・・マスターが心から敬愛される意味が分かりますね。」
   リョフ氏の言葉に涙を流しだす3姉妹。それにアタフタしてしまう彼。どうやら女性への免疫
   はなさそうである。ただ彼が語った言葉は3姉妹の心に痛烈に響いたのは間違いない。本来の
   彼からは絶対に言われないであろうものだしな。

ミュセナ「マスターが私やネデュラに、リョフ様の武器を授けて下された意味が分かります。その
     力強さの中に、本当に大切なものを見出せと言われているかのようで。」
    アタフタしながら3姉妹の頭を撫で続けるリョフ氏。チョウセン嬢の時とは異なり、上手く
   いかない姿には笑いそうになってしまう。そこに母親のミュセナが現れ、3姉妹の頭を撫でる
   と直ぐに落ち着きを取り戻した。流石は母親パワーだろう。
ミュセナ「力とは勇気。リョフ様には絶対に折れない勇気が内在している。ただそれが純粋無垢な
     故に、不安定な天秤の如く揺らいでしまう事にお悩みだとも思います。」
リョフ「ああ、その通りだ。力は勇気、か・・・。」
ミュセナ「フフッ、難しく考えてはダメですよね。我武者羅に突き進む方が楽ですよ。ただそこに
     3つの思いを忘れずに抱いて下さい。」
リョフ「敬い・労い・慈しみの念、だな。無論、一度定めた生き様は曲げるつもりはない。」
ミツキ「流石リョフちゃんわぅ〜♪」
   突然その場に現れ、リョフ氏の背後に抱き付くミツキ。それに驚愕する彼だが、何時もの事
   かと諦める様は見事だろう。すっかり彼女の生き様に順応してしまっている。

ミツキ「天下無双の熱血漢でも、根底には優しさは据えるべきわぅよ。場合によってはそれが弱みに
    なる事もあるわぅけど、大体は強みになるのが通例わぅね。」
リョフ「ふむ、弱さは即ち強さに至るではないのか。」
ミツキ「その真逆もあるわぅ。しかし・・・最終的には己の生き様次第わぅね。リョフちゃんなら
    しっかりと分かってるわぅよ。」
リョフ「そうだな。」
    己自身の武を問い続けるリョフ氏。無双シリーズの彼は我武者羅に高みを目指すだけの存在
   だったが、この場の彼はその生き様を常に考えて動いている。漠然と動くだけではなく、だ。
   これが彼の強みになるのか弱みになるのかは分からない。しかし、別の姿が見れるだけで実に
   嬉しいものである。最悪の結末、逆裏切りによる処断だけは絶対に阻止してみせる。

シルフィア「はいはい、お喋りは何時でもできるから動いた動いた。」
ナツミA「今度は言わば正規軍が相手ですからね、油断すると一泡食わされますよ。」
リョフ「心配ない。これだけの猛者がいるのだ、恐れるに足らず。」
ミツキ「ちゃうちゃう、台詞が違うわぅよ。」
    リョフ氏の背中にしがみ付きながら、耳元で名言を呟くミツキ。それに小さく笑い、一呼吸
   入れてから啖呵を切り出した。
リョフ「ふん、何人束になろうが雑魚は雑魚だ。一薙で吹き飛ばしてくれるわ!」
ミツキ「いぇーいっ♪」
   何ともまあ・・・見事なものだわ。あのリョフ氏がミツキと阿吽の呼吸に至っている。そして
   無双シリーズでの名言を叫ばせるのだから凄まじい。まあ彼はこうでなくてはいけないわな。

    リョフ氏の啖呵を進軍の合図とし、チョウサから北に位置するコウリョウへと向かった。
   隠密ハーズダント部隊からの追加情報だと、既に両軍とも交戦を開始しているとの事だ。

    どういった展開になるかは分からないが、歴史が同じに動くとなれば早い方がいい。早急に
   ソンケン父氏を発見し、コウソ氏の罠による射殺を阻止しなければ。



ソンサク「親父、すっかり囲まれちまったぜ・・・。」
カントウ「勢いに転じてコウリョウまで攻め上がりましたが、まだ時期尚早だったようですな。」
ソンケン父「う〜む・・・事を見誤ってしまったな。」
    この時はまだ俺達が合流する前のソンケン父氏の一群の状況。どうやら早期攻略を行い、
   力及ばず押されているみたいである。確かに史実や無双なら、ここを攻めるには数年先になる
   のだから。まあこちらにとっては好都合なのが、実に皮肉な話である。
コウガイ「殿、左手前方に敵軍の斥候と思われる連中がおりますが?」
ソンケン父「ふむ、様子を見てみるか。サク、カントウと共に前方と右翼の敵を抑えてくれ。」
ソンサク「分かった、任せてくれ!」
ソンケン父「コウガイ、後方の護衛を頼む。」
コウガイ「お任せ下されぃ!」
   近場をうろつく敵の斥候に接触を試みるソンケン父氏とコウガイ氏。後で分かる事だが、この
   斥候が鬼門とされるコウソ氏本人の軍団だった。それを知ると、この流れは見事としか言い様
   がないわ。


コウソ「来たな、負け犬・・・いや、負けの江東の虎!」
ソンケン父「何だと?!」
コウソ「悔しければ我を倒してみよ!」
    丁度俺達がコウリョウの戦闘区域に入った頃、何と目の前で敵のコウソ氏がソンケン父氏を
   挑発しているではないか。そのまま射撃隊が待ち構えている方へ誘導していく。本来の流れで
   あれば、この先で伏兵部隊に奇襲を受ける。そしてソンケン父氏の戦死が確定的となるのだ。

    4猛将伝での彼のストーリーでは、その奇襲すらも防ぐのだが。その流れはまず在り得ない
   と取れる。ならば、俺達の力で捻じ曲げてやるわ。

ミスターT「この流れだとギリギリ間に合うかどうかだが、余裕を持たせるために時間魔法を使うと
      するかね。」
リョフ「待て待て、用は奴を窮地から救えば良いのだろう?」
ミスターT「まあそうなるが、流石に複数の射撃隊から守るには厳しい。」
リョフ「フッ、任せておけ。お前が持つ同じ獲物を借りるぞ。」
    そう言うと俺の方天戟を奪い、ソンケン父氏の元へと向かっていくリョフ氏。一体どんな
   戦法を取るのか。ここは一緒に付いて行き、一部始終を見るとしよう。


    コウソ氏の挑発に乗り、罠が張り巡らされている場所へと誘導されるソンケン父氏。同戦場
   の北西方向がその場所だ。当然ながら罠の地点へと差し掛かると、周りから一声に伏兵部隊が
   出現。驚くソンケン父氏に一斉に弓矢を放ち出した。

    そこに颯爽と現れるリョフ氏。何と自身の獲物・方天画戟に赤黒色の闘気を纏わせると、
   ソンケン父氏の元へ投げ付けていくではないか。と同時に俺の方天戟を持ち、気合いと共に
   獲物から赤黒色の闘気を放出し出すのだ。無双6シリーズで彼が得意としている無双乱舞の
   第1側だ。

    投げ付けた方天画戟がソンケン父氏の背後の地面へと突き刺さると同時に、赤黒色の闘気が
   彼を襲った。普通ならその一撃を受けて大ダメージと言った所だが・・・。

コウソ「な・・・何だと?!」
コウガイ「は・・放たれた矢じりが全部弾き落とされよった・・・。」
    そうなのだ。投げ付けたリョフ氏の方天画戟が盾役となる。そこに放たれた赤黒色の闘気が
   ソンケン父氏を襲うも、同じ属性の赤黒色の闘気を纏う方天画戟により無傷。周りに接近して
   いた矢じりは全て闘気により叩き落されるか吹き飛ばされたのだ。武器の着地と同時に赤黒色
   の闘気の直撃、見事としか言い様がない連携プレイである。

    これは闘気が同じ闘気では相殺されて効果がない事例だ。往年の名作マンガ、ダイの大冒険
   にて同様の流れがあった。

    大魔王バーンが放つカラミティウォールという衝撃波的な凄技。これが闘気に近い性質な
   ため、主人公のダイが獲物の剣を使い闘気を放出。それがバリアとなってダメージは皆無で
   あったという流れである。

    ただこの場合はリョフ氏がそれを知っている筈もなく、言わば行き当たりバッタリという
   流れであろう。戦いの最前線に身を置く彼だからこそ成し得た技だわ。

ソンケン父「な・・・何という荒業なんだ・・・。」
ミツキ「こんなの朝飯前わぅ〜!」
    更に後続から駆け付けたミツキ及びミュティラ3姉妹がソンケン父氏を護衛しだす。再度
   射撃を開始された矢を武器で落としていくではないか。特に3姉妹は素手で矢じりを掴み、
   そのまま強引に圧し折るという荒業を見せていく。
コウガイ「ご無事ですかっ!」
ソンケン父「あ・・ああ、大丈夫だ。」
コウソ「ぐっ・・・誰だ貴様らは?!」
ミツキ「なぁ〜ぬぅ〜っ?! まさか彼の名を知らぬわぅかぁ?! 今だ負けを知らぬはこのお方、
    伝説の最強の天下無双・呂布奉先わぅよっ!」
ミスターMI「ぎゅぃ〜っ、じゃ〜ら〜ら〜ら〜らら〜らら〜♪」
ミスターR「りょ・・りょ・りょ・りょ・・・リョフだぁー!!!」
ミスターTA「に・・に・逃げろぉー!!!」
ミスターK「う・・うひゃー!!!」
リョフ「・・・どけどけどけぃーっ!」
   ミスターMIがリョフ氏のテーマ3をクチパクで奏で出す。それに仲間達が応じて、無双での
   恒例の流れを演出しだした。リョフ氏の名前を知って、大慌てで逃げ出すアレだ。元ネタを
   知る仲間達は滅茶苦茶嬉しそうに演出しているのが何とも言えないわ。

    ただ・・・リョフ氏は物凄い呆れ顔で彼らに付き合っているのが何とも言えない・・・。
   その普段とは異なるギャップに笑ってしまった。

    対して相手側には名前が浸透しだしているのであろう。天下無双たるリョフ氏を知って驚愕
   しているのが何とも。この半年間で大陸に色々と噂を流していったからな。それなりの効果は
   あるとは思うが・・・。

コウソ「や・・奴がリョフ・・・。」
リョフ「おい、お前。コソドロの様な真似をしてくれるわな。その様な武ではソンケン父はおろか、
    俺すらも倒せぬぞ。」
コウソ「な・・何だと!」
    普通の彼なら自分の名前を挙げてからソンケン父氏の名前を挙げるだろう。しかし今は真逆
   の言い方をしている。この部分から相手を敬っている事が痛感できた。戦闘経験からすれば、
   ソンケン父氏の方が遥かに先輩格だ。そこをしっかり理解しているのが凄いわな。
リョフ「ふん、奇襲など下らん。貴様の武に自信があるのなら、掛かってくるがいい!」
ミツキ「その前に・・・オシオキわぅね!」
   ミツキが語るや否や、どこからともなく現れ出たウエスト・サイバー・ナッツ・エンルイの
   ナツミツキ四天王。猛然とコウソに肉弾戦を挑み出した。これに相手は驚愕しだす。それは
   そうであろうな・・・。

    先ずはエンルイがスライディングでコウソ氏を転倒させる。そこにウエストがナッツを空中
   に放り投げ、そこからダイビングエルボーアタックを喰らわせた。これだけでもノックアウト
   クラスの威力を誇る。

    しかしまだ終わらない。悶絶しながら起き上がろうとするコウソ氏に、構え様にスピアーを
   放ったサイバー。ぶっ飛んでいった相手を待ち構えていたの如く、ウエストが喉元を豪快に
   掴みチョークスラムにて地面に叩き付けたのだ。

    起き上がる所を見せないとなると、どうやら最後の一撃で気絶したようだ。これがあるから
   プロレス技はやめられない。武器での応酬だと最悪死に至る場合もある。しかしプロレス技
   なら重傷でも骨折程度で、打ち所が悪くなければ死に至る事は非常に少ない。

    乱世をプロレス技で制する、か。これなら極力死者を出さずに済みそうだな。武力での制圧
   には違いないが、言わば活人剣的な人を生かして勝つというのは痛快なものだわ。

リョフ「なるほど・・・、これが肉弾戦による格闘技とやらか・・・。」
ミスターT「確かに武器同士でのぶつかり合いの方が、迫力があって良いとは思う。リョフ氏の戦闘
      スタイルからすれば、方天戟があってこその業物だろうから。」
チョウリョウ「しかしこの技の場合は死に至るケースが少ないですな。これなら全力で相手との喧嘩
       勝負に挑めるというものでしょうか。」
ミスターT「喧嘩勝負ねぇ・・・その言い方が一番似合っているのかも知れないわ。」
    伏兵で隠れていた弓兵は、会話中に全て仲間達が倒してくれていた。もちろん全員プロレス
   技でのノックアウトだ。こと身内全員はプロレス世界観が根付いているため、この立ち回り
   こそ真骨頂と言える。

ミスターT「ご無事ですかい、孫文台殿?」
ソンケン父「何故俺の名を・・・。」
ミスターR「色々と訳ありでしてね。詳しくはここの親玉、リュウヒョウをぶっ潰してから語りま
      しょうぞ。」
ソンケン父「ふむ・・・分かった。」
ディルヴェズ「いや、お待ちを。先程もカントウ殿が時期尚早と仰られたように、今は撤退して再起
       を図るべきです。それにまだ後方の憂い、オウセイとやらの軍勢が残っています。」
ソンケン父「ぬぅ・・・やはり先にオウセイを叩くべきか・・・。」
    総司令役のディルヴェズが語り出す。ソンケン父氏達に撤退を助言してきたのだ。確かに
   相手との戦いはまだまだ先であり、その前に宿敵・オウヘイ氏達との戦いが終わっていない
   現状。彼が言う通り、後方の憂いを絶ってから動くのが得策なのだろう。

ディルヴェズ「それに私達が介入せずに貴方達だけで退けたとしても、今回の一戦でリュウヒョウ
       軍勢からの警戒はより一層強まります。彼らの目は私達が引き受けますので、今は
       オウヘイ軍勢を駆逐する事を重視して下さい。」
ソンケン父「そうだな・・・分かった、お主の言う通りにしよう。それにお主達には命を救われた。
      恩を仇で返す事は江東の虎に恥じる行いだ。」
ミツキ「ありがとわぅー。しかしソンケン父ちゃんが助かっても、もう1つ大きな出来事が起こる
    わぅよ。その時までわたとミスターRちゃん・ミスターSちゃん、それに不死身ファミリー
    が護衛するわぅ。」
ミスターR「らじゃ、その方が安心してられますな。」
ミスターS「不死身ファミリーって・・・。」
ミュセナ「細かい事は気にしないの。ディル殿、ヴィアシール軍団の追加を。一個連隊・・・いや、
     一個師団で大丈夫かしらね。」
ディルヴェズ「了解です。後ほど増援部隊としてお送りしますね。」
    突然現れ超絶的な力を見せ付けられるソンケン父氏達。しかし彼らが中道を往く者達故に、
   その突然的な流れは慣れているようである。

ミスターT「ソンケン父氏、半年後にとある戦いが起きます。その時に是非とも共闘致しましょう。
      それまでは自国の強化を頼みます。」
ソンケン父「分かった。諸々の詳しい事は酒の場にでも伺おう。」
ミツキ「茶菓子もつ・・・むぐっ。」
リョフ「コイツの言葉は無視して構わん・・・。」
    酒の場をパーティーと取ったミツキが茶菓子を希望する声明を出すも、即座にリョフ氏に
   より口を塞がれてしまう。このパターン、ナツミAが担うようなものなのだが・・・。
ソンケン父「ハハハッ、愉快な女傑ですな。ともあれ、今は行動を開始しよう。何れゆっくり語り
      合おうぞ!」
ミスターT「了解、ご武運を。」
   この流れに呆れ顔になるも歩みを止めない所は凄いものだ。やはり修羅場を潜ってきた回数が
   多いのだろう。前は水賊として名を馳せたとも聞いている。三国志の英傑の中で、一歩抜きん
   出た猛将そのものだわ。

    ソンサク氏とカントウ氏に合流、颯爽と撤退を開始しするソンサク父氏とコウガイ氏。その
   迅速さは流石は江東の虎だ。リョフ氏と同じく直感で物事を考えるため、危ないと判断したら
   直ぐに引く心得を持っている。

    ちなみに護衛軍団としてミツキ・ミスターR・ミスターSを筆頭に、ネデュラ・ミュセナ・
   6姉妹・不死身の軍団を派遣する事にした。ソンケン父氏の死亡フラグは一応回避できたが、
   次は長男のソンサク氏の死亡フラグの回避だ。これも何としても退けてみせる。



ビィルガ「ふむ・・・リュウヒョウ軍勢の勢いが増してしまいましたな。」
ミスターT「う〜む・・・俺達の介入が要らぬ火種を投下したようなものか。」
    葉巻を吸いながら隠密ハーズダント部隊の情報を纏めるビィルガ。シェガーヴァは来るべき
   戦闘に関しての軍力を纏め上げていた。ディルヴェズ達による人工生命体の創生や、ユキヤN
   達による特殊機械人の製造などが顕著である。
チョウリョウ「しかし貴公が介入しなかったら、ソンケン父殿の射殺は確実でしたぞ。」
リョフ「そうだな。力が及ばない奴らは、策謀を巡らし排除に掛かってくる。俺もあの時はお前達の
    補佐があったから動けたが、今度は通用しないだろう。」
ビィルガ「事前に色々と調査し続ける、難しいものですな。」
   幼いチョウセン嬢の面倒はリュリア・シンシア・ウィレナの3人が担ってくれているため、
   ビィルガは思う存分役割を徹する事ができている。身内最年少のリュリアでさえ、チョウセン
   嬢の姉的存在なのが何とも言えない。

    ちなみに風来坊本編では、赤ん坊から登場するヴェアデュラ。しかしここでの登場は、本編
   である本編・・・つまり出身陣営の年齢が適応される。成人に近い状態で具現化されている
   ため、リュリアよりも年上なのだ。

    また年齢的にリュリアと互角のギガンテス6姉妹。しかし宇宙人という設定から、実年齢は
   竜族を越える超絶的なものとなっている。それでいて常人には考えられない力を発揮している
   ため、6人が成人に至った頃は怖ろしいものになりそうだ。

ビィルガ「オウイン殿、他の勢力の動きは如何かな?」
オウイン「密偵の話によると、ボクヨウを中心にキョショウ・ガッピ・ホッカイに不穏な動きがある
     との事です。これは風来坊殿がご指摘の、黄巾党の動きかと思われますが。」
ミスターT「だろうね。ただ今は・・・言い方は悪いが、膿を散らせて悪化させるよりはマシだわ。
      1つに集中させて一気に叩く。」
リョフ「奴らにも大義名分あってこその行動だからな、一方的に批難はできん。」
オウイン「そうですな。ただ・・・ラクヨウでも不穏な動きがあると知りましたが・・・。」
ミスターKA「・・・ソウソウさん、ですか。」
    ミスターKAの言葉に静かに頷くオウイン氏。乱世の奸雄と謳われるソウソウ氏が水面下
   での動きを見せているようだ。これはシンヨウのテイゲン氏の動きにより触発されてのもの
   だろう。

ミスターY「ミスターRさんが言う様に、同じ釜の飯を食った仲というエンショウ無双氏と同盟する
      可能性がありますね。ただソウソウ氏がカシン氏の配下である以上、どこかで旗揚げが
      考えられますが。」
リョフ「ふむ・・・その黄巾の連中との戦いが終わった後が気になるな。」
チョウリョウ「漁夫の利、ですか。」
リョフ「ああ、俺ならそれを狙う。ソウソウがどういった男かは分からんが、狙うなら一気に攻める
    クチだろう。」
    大陸全土の地図を見ながら、将棋の駒を各地に起きだすリョフ氏。というか彼、この手の
   戦略には大変疎かったような気がするのだが・・・。

リョフ「む、これか? ミツキがな、武勇だけでは絶対ダメだと言い張るんでな。この半年間、知略
    と規律と財産に関する修行をさせられた。もちろん仁愛の施しも受けたが。」
ナツミA「へぇ・・・やるわねぇ・・・。」
リョフ「最初は躊躇った。俺は武勇でしか存在を示せないからな。しかし彼女から手解きを受けるに
    つれて、物事を大局的に見られるようになってきた。それからは独断で突っ込んだ考えなど
    が一切起きなくなったわ。まあ・・・破天荒な性格だけは残せと豪語してたが。」
    呆れ顔のまま、大陸地図に将棋の駒を置き終える彼。それを腕を組みながら見つめだした。
   隠密ハーズダント部隊やビィルガ達から聞いた、現段階の勢力の配置だ。見事に再現されて
   いる。

リョフ「北はテイゲンが睨みを効かせ、エンショウ無双とコウソンサンが交戦の構え。中程は例の
    黄巾軍団が鎮座、カシンの軍勢と対決姿勢か。」
ビィルガ「南はソンケン父殿がオウセイ軍団との対決の真っ最中かと。両隣のそれぞれの国は何も
     行動されてませんな。」
リョフ「怖いのはここ、テンスイだな。」
    テンスイの地図上にある駒を指先で倒すリョフ氏。そこには太守としてトウタク氏が鎮座
   している。本来の流れならリョフ氏も彼に合流する形なんだが、今のリョフ氏は完全に独立
   した武人に至っている。まず在り得ないわな。
オウイン「ミスターR殿が仰っていた、トウタク殿の軍勢ですか。」
リョフ「ああ。密偵達の話が事実ならば、かなり殺伐としている。何でも酒池肉林といった、野郎の
    願望・・・まあ分からなくはないが。それを目的とし、横暴の限りを尽くしているらしい。
    今現在ではテイゲンやソウソウよりも危険だと推測できる。」
ミスターT「悪逆非道の限りを尽くしまくるからねぇ。ただそれは黄巾の戦いが終わってからの話に
      なるんだがね。」
チョウリョウ「らしいですな。しかしテイゲン殿の隣国侵攻やリュウヒョウ殿の軍備増強を考える
       となると、早い段階で動き出しそうな予感がしますが。」
リョフ「チョウリョウの言う通りだ。カシン軍団は東の黄巾軍団を気にしている。それにより同国の
    チョウアンが手薄となっているだろう。西から攻め崩される可能性も充分ある。カンチュウ
    のチョウロは自国の兵力と南の勢力の問題で動けず、セイリョウのバトウはカシン軍団と
    トウタク軍団の睨みがあるため同様の流れだろうな。」
   倒したテンスイの駒をチョウアンに運ぶ彼。この構図は黄巾の乱の後に起こる、反董卓連合の
   流れを見事に的中させていた。

ディルヴェズ「それか・・・その逆を攻めるか、です。」
リョフ「だな、カンチュウとセイリョウに来るとも。」
    今度はディルヴェズがチョウアンにある2つの駒をカンチュウとセイリョウに置く。それに
   頷くリョフ氏。今のトウタク氏の軍力なら、両者を攻め滅ぼす事は容易だろう。
リョフ「風来坊が語る内容通りなら、以後数年間は問題ないとされる。しかし既に2つの国で天秤が
    壊れているのが実状だ。この不協和音ならば、他の天秤も壊れるのは間違いない。」
ビィルガ「マスター、どうなされますか?」
ミスターT「ふむ・・・今は様子見、かね・・・。」
   この半年間、知略面での強化を施されたリョフ氏。以前よりも増して物事を見定める千里眼を
   持つように至り、その推測は名軍師のショカツリョウ氏泣かせのような勢いだ。むしろ戦いの
   場を数多く踏んでいるため、次にどう動くかが実に的確に読めている。



ルビナ「マスター、ミュティナ様からご連絡です。オウセイ氏の軍勢を破ったとの事ですよ。」
ミスターT「あら、実に早いな・・・。」
    長時間の会議を一旦中断し、トムMご自慢の手料理を食べる俺達。風来坊本編でも男性陣に
   絶大な人気を誇る会心の料理は、この場にいる面々を納得させるには充分な業物だわ。また
   盟友ミスターAKとミスターKも料理に精通しているため、この3人の手料理は絶品である。
   そこにルビナが現れ、ソンケン父氏の宿敵撃破の報を告げてきた。例の意思の疎通による連絡
   のようだ。
ルビナ「ちなみにミツキ様のアドバイスにより、ソンケン父氏方が素手の攻撃で戦ったとか。」
ミスターT「ええっ・・・プロレス技で勝ったのか?!」
ルビナ「らしいです・・・。」
   開いた口が塞がらない。彼女達ならやりそうな荒業だが、まさか感化されてソンケン父氏達も
   やりだすとは。確かにその戦術なら相手を殺さずして倒す事ができる。後は捕縛して牢屋に
   でも入れておけばいいだろうか。
リョフ「ハハッ、彼女ならやりそうだな。」
ミスターT「実際にやったんだけどね・・・。」
チョウリョウ「活人剣ならぬ、活人拳ですな。今度拙者も挑んでみたい所ですわ。」
   ミツキ達のプロレス技ならぬ格闘技に感化されだしている三国志縁の面々。確かにこの時代
   では格闘技は喧嘩の常套手段程度でしかない。乱世での戦いは殺傷力のある武器を用いるのが
   通例である。相手を確実に殺すために、だ。

リョフ「それで、今後はどうするのだ?」
ミスターT「後方の憂いを絶ったソンケン父氏が日を改めてリュウヒョウ軍団に攻めるだろう。今は
      半年後の黄巾の乱を待ち受けるとするかね。」
    食後の一服をしながら考えた。早い段階でソンケン父氏が動き出すとなると、トウタク氏達
   の動きが活発になるのは間違いない。現にテイゲン氏が本来なら当たらないエンショウ無双氏
   やコウソンサン氏にぶつかっている。それに更に刺激を受ける流れであれば、黄巾の乱の発生
   が早まる可能性が十分高い。

    やはり乱世の流れは拭い去れないな。まあだからこそ戦い続けられるのだろうけど。やはり
   根幹は各々の一念次第という事になるわな。


ルビナ「あ・・・あー・・・マスター、その心中の読みは見事に当たったようですよ。」
ミスターT「・・・早まった訳か。」
ルビナ「ミュティナ様からの追加情報で、ソンケン父様の密偵団が確認したそうです。ボクヨウにて
    漢王朝の腐敗を正そうとする黄巾党が蜂起したと。」
    サラダを食べながら実に冷静に語るルビナ。今さっき考えを巡らせていた、黄巾の乱の早期
   勃発が現実の下となったようだ。
オウイン「う〜む・・・おそらくは各地の軍の動きに乗じてのものでしょう。北はテイゲン殿、南は
     ソンケン父殿。混乱に便乗する形で反乱を起こし、そして一気にラクヨウへと攻め入る
     可能性が高いです。」
リョフ「西のトウタク一派も危険要素だ。この混乱に乗じて動くのは間違いない。」
ビィルガ「非常に込み入ってきましたな・・・。」
ミスターT「さて・・・どう出るか・・・。」
   再びリョフ氏が大陸地図に将棋の駒を配置していく。既存勢力が向かいそうな方向に、駒の
   先端を向けだした。
ミスターT「・・・先端が向いている先が全部ラクヨウなのが何とも。」
リョフ「ラクヨウは大陸の中枢に当たるからな。ここを抑えれば有利になるのは間違いない。ただ、
    逆に狙われやすくなるのも事実だが。」
オウイン「連合を組まれる可能性も高いでしょうかね。」
リョフ「今はまだ分からん。しかし・・・風来坊が言う黄巾の乱と真逆になるのなら・・・。」
ミスターT「・・・テイゲン氏が黄巾党と組んでカシン勢力を潰しに掛かる、だな。」
   俺がシンヨウとボクヨウの駒をラクヨウに進めた。一番最短で勢力を潰しに掛かるなら、この
   手法が手っ取り早いだろう。

ビィルガ「全部の戦闘に介入は不可能ですから、ここは面識があるソンケン父殿と共闘して動くのが
     無難でしょうな。」
ミスターT「チョウサ・ブリョウを制圧したソンケン父氏に、コウリョウのリュウヒョウ軍勢と衝突
      して貰うという事か。」
ビィルガ「何れソンケン父殿が立てる呉に天下を委せるなら無難でしょう。」
リョフ「彼ならば規律が定まっているから問題ない。それに天秤は限りなく平行だ。あれだけの武人
    なら揺らぐ事はまずないだろう。」
    コーヒーというこの時代では多分飲まない飲料、これが大変気に入った様子のリョフ氏。
   カップを啜りながらチョウサとブリョウの駒をコウリョウに向けだす。この状態でも実力は
   五分五分と取れるが、気迫の問題では十分勝てると推測できる。
ミスターT「よし、リョフ氏の顔を大いに立てる。その戦略で進むぞ。」
アマギH「了解、早速先発部隊を合流させますぜ!」
ビィルガ「いよいよ大きくなり出して来ましたな!」
リョフ「ここからが勝負所だ、気を引き締めねばな。」
   先見性の目や大局的な見方が大きくなったリョフ氏。どの様な戦いでも絶対に弱音的な発言は
   しないのが通例だが、今の彼は軍事部分から見て非常に冷静に考えを進めている。気を引き
   締めると語ったのが何よりの証拠だ。戦闘力の部分を除けば、気迫の問題で簡単に負けるのが
   この時代だろう。



    軍議を終えた俺達は、直ぐにソンケン父氏の軍団と合流した。既にミツキ達がアプローチを
   していてくれたお陰で、共に戦うという展開に至ったようである。

    何よりも決定付けたのがソンサク氏の救出だった。無双では呪いによる病魔とあり、史実
   では大事故による負傷での死去の彼。それをミスターSの直感と洞察力により未然に防いだ
   のが決定打になった。

    自分や息子の命を救って貰った事により、返せない恩義があると豪語するソンケン父氏達。
   この流れなら今後の共闘は問題なく進められるだろうな。救出の経緯を利用した事になって
   しまうが、大局的に見れば確実に共闘して天下統一に進める道である。

    熱い男達が揃う事でも有名な呉の勢力。まあ三国志の時代はどの勢力でも熱い男達が揃うの
   だがな。それに熱い女性陣もしかり。まあそこはよしとしよう。


    しかしリョフ氏の如実に現れる成長振りは怖ろしいものである。知略面の力を得ていく彼に
   不安定さは微塵も感じられない。逆に破天荒な彼の姿を完全に演じているのが良く分かる。
   それでも周りが喜ぶのが嬉しいとも言う所が凄いものだ。

    史実や無双ではなかった彼の姿。誰からも愛される武人、そして怖ろしく切れ者となって
   いくリョフ氏。攻守共に隙は一切なくなるのは間違いない。

    第1部・第04話へと続く。

    後半へと続く。

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