アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第2部・第10話 直接対決2〜
    警察庁へと到着。駐車場にチャージャーを停めて内部に入ろうとするが、表側でも目立つ
   ぐらいに慌ただしさが出ていた。一体どうやってこうなったのか、彼女達に聞いてみるしか
   ないわ。

ミスターT「テンヤワンヤだな・・・。」
ウインド「本当に勘弁して欲しいですよ・・・。」
    警察庁長官室に入ると、中では数多くの警察官が雑務に明け暮れていた。正に修羅場その
   ものである。俺の姿を見たウインドとダークHが軽く会釈するが、雑務の方は続けられた。
ミスターT「カルダオス一族の住居問題だけで、ここまで発展するものなのか。」
ダークH「いえ、本題は宇宙船の地球外への離脱でしょう。確かに外面的な火種は回避された感じに
     なりますが、内面的には唯一の技術力の金の種を取り逃した事へのヤッカミですよ。」
ウインド「アレだけ圧倒的な戦闘力を誇示していましたからね。ギガンテス一族とドラゴンハート
     一族は地球社会に根付いていますが、カルダオス一族はまだ根付いていません。そこに
     付け入る形だと思います。」
ミスターT「私利私欲のカス共め・・・。」
   俺も一同と一緒に簡単な雑務をしだした。あまりにもその対応が多いようで、できる事だけ
   手伝わせて貰う事にした。本件は別のものだが、この現状はあまりにも酷過ぎる。
ミスターT「まあ何だ、こういった小さなイザコザの方が幸せなのかも知れないわ。」
ダークH「まあ確かに。アレだけデカい出来事が繰り返されればそう思いますよ。」
ミスターT「しかし・・・小事の大事、だな。」
ウインド「ええ、その通りでも。小さな火種が大きな火災になりかねません。摘み取れるものは摘み
     取る方が安全です。スミエ様やシルフィア様が今も良い意味で暗躍されていますし。」
ミスターT「ハハッ、正に暗躍だわな。」
   ウインドの例え話に笑ってしまった。スミエとシルフィアはタッグで世界中を回っている。
   また直近の護衛としてルビナを同伴させていた。何処で何が起こるか分からない。超能力が
   使えるルビナが適任だろう。

    そう、喫茶店にヘシュナが常駐している理由は正にこれだ。今まではルビナやミュティナが
   常駐していた。しかしルビナはスミエとシルフィアの直近護衛で不在、ミュティナはエリシェ
   達の直近の護衛で不在となる。先程は偶々一緒にいただけで、ヘシュナは喫茶店を守る守護者
   となっていた。

    ちなみに驚愕した事がある。小柄のミュティナ達の戦闘力が身内最強なのは承知の通り。
   次第でルビナ達になり、最後がヘシュナ達になる。特にヘシュナ達はルビナ達と同じ巨体を
   誇るも、戦闘に関してはド素人というのだ。だからこその精神操作の力となる。

    特にヘシュナは一族の中で逸脱した特殊能力を持つ凄腕らしく、反対に単体での戦闘能力
   は皆無に等しいとの事。ヘシュアや同胞に頭が上がらないのは、ヘシュナ自身がかなり弱小の
   力しかないからだとも言っていた。逆にヘシュアは一族で突飛した戦闘能力の持ち主らしい。

    最近はシュームやナツミYUの元で簡単な修行をしているが、習得にはかなり時間が掛かる
   と踏んでいる。ミュティナ達もルビナ達も短期間で警護者の戦闘能力を習得していったが、
   2人の試算だとヘシュナの戦闘力の強化は長引きそうだとの事だ。

    ヘシュナ自身もそれを承知しているらしく、慣れない動きながらも必死に努力を繰り返して
   いた。もし身内と同じ戦闘力を持ったとしたら・・・恐らく最強クラスの女傑となるだろう。
   ただそこに至ったとしても、ミュティナ達やルビナ達には敵わないのが何とも言えないが。


ミスターT「はぁ・・・女性化していた方が気が楽になってきたわ。」
ウインド「ご冗談を。マスターはマスターのままでいて下さい。」
ダークH「そうですよ。ご自身の真の姿を誇示してこそ、本当の力が出るというもの。今現在でも
     覆面を着けていらっしゃるのに、女性化という覆面も着けるおつもりですか。」
ミスターT「ハハッ、女性化という覆面か。」
    再び女性化の話を出すと、とんでもないと否定してくる2人。確かに本当の己自身を示す
   という部分はあるが、恐らくこの場合は不出来な姉に対しての対応と言えるだろう。警察官と
   いう職業柄、世上の法理に物凄く厳しい。それは身嗜みにも当てはまり、俺の衣服を何時も
   気に掛けてくれていたしな。
ミスターT「女性ならではの武器も使えていたから、大いに助かってはいたんだがねぇ。」
ダークH「はぁ・・・何を仰りたいか分かります。」
ウインド「シューム様方が呆れる訳ですね。」
   呆れ顔から殺気に満ちた表情で睨んでくるウインドとダークH。女性ならではの武器とは、
   やはり体躯に関してだ。決して女性を下目に見ている訳ではないが、野郎にはない優れた武器
   を持っていると断言したい。本来は野郎の俺ですら、性転換した時の自身の姿に魅力を感じる
   ぐらいだったしな。それだけ野郎に対しては強烈な特効薬となる。
ミスターT「何度も言うが、女性は本当に偉大だ。野郎なんざ足元にも及ばん。世上は男尊女卑の
      根が非常に強いが、俺は女尊男卑だと言ってやりたいわ。」
ウインド「あー・・まあ・・・。」
ダークH「はぁ・・・デュリシラ様が仰っていた事が分かりましたよ・・・。」
ミスターT「フッ・・俺が女性にしか見えない、だな。」
   最近はトラガンの女性陣からも同じ事を言われている。長い間、性転換状態を続けていた事に
   よる後遺症とも言えるのだろう。外面は男性なのに、その外面も内面も女性にしか見えない
   というものだ。まあこれはスミエの見解だが、俺が幼少時は女性達の世界で過ごしていたのが
   淵源とも言われている。

ミスターT「まあ何にせよ、これら細かいイザコザを全部叩き潰すとしよう。まだスタートラインに
      すら立っていない。」
ダークH「ですね。世界規模ではミュセナ様方とエリシェ様方が調査をされています。暗躍という
     言葉は良くないですが、裏手ではスミエ様とシルフィア様が動かれていますし。」
ウインド「人の闇と言うのは本当に怖ろしいものですよ。」
ミスターT「だな。つくづくそう思うわ。」
    一区切り着いたので一服をしつつ休憩を取る。ほぼフル稼働で動いている2人を気にして、
   他の警察官達が休めと言ってきた。警察庁長官という大任を拝しているのに、最前線で戦う
   闘士でもあるのだ。どこぞのドッカリ座って踏ん反り返っているカス共とは雲泥の差である。
ミスターT「どする? 一度戻るけど、一緒に来るか?」
ウインド「しかし、まだ作業が・・・。」
警察官1「長官方、休憩を取って下さい。ここ数週間ずっと休み無しで動かれていますよ。」
警察官2「過労で倒れては逆に指揮も乱れます。万全の態勢で挑んでこその警察官ですし。」
ダークH「ですが・・・。」
ミスターT「あー、では適任を呼んでみるわ。」
   この美丈夫の姿勢には脱帽する。己の責務を徹底的に全うし続けたい一念が根付いているわ。
   しかし他の警察官達が言う様に、過労で倒れられては目も当てられない。ここは意外にも地球
   の全国家の法規などに精通している彼女が適任だろう。



ヘシュア「ほほ、まさか召集が掛かるとは思いもしませんでしたよ。」
ミスターT「規律のスペシャリストだからな。」
    連絡を入れてから数十分後には、俺の元に転送装置で飛んで現れる。既に粗方の雑務は終了
   して、地球上の調査などに動き出そうとしていたヘシュアだ。有事には手を貸してくれると
   言っていたので、ここは彼女の力を借りるとしよう。
ヘシュア「えー、では失礼して・・・。」
   そう言うと、ウインドとダークHの額にそれぞれ手を当てていくヘシュア。瞳を閉じ念じる
   かのようにしていると、徐に手を退けていく。
ヘシュア「諸々了解です。作業の大多数の行程、現段階の流れなどを全て把握しました。これで代役
     ができると思います。」
ウインド「まさか・・今のは・・・。」
ミスターT「カルダオス一族の十八番、精神操作の一環だよ。」
   粗方片付いた後に、改めてヘシュアやヘシュナからカルダオス一族の事を尋ねた。その中で
   気になっていたのが、精神操作・マインドコントロールの部分だ。

    ルビナ達みたいな超能力に近いものだが、彼女達は物理的に動いていると言える。対して
   ヘシュア達は魔法的に動いていると言えた。相手の意識や精神を触れるだけで分かるという。
   軽業師だと思っていたが、それよりも凄まじい技術力と言える。

    ウインドとダークHの額に手を触れたのは、脳内に記憶されている現段階の行動全てを把握
   するものだ。警察関連の事はド素人のヘシュアが即座に代役を担えるのは、この長所を持って
   いるからである。

    更にそれらを己の一部とする事も可能で、完全なコピーキャット風な感じになる。しかし
   オリジナルの人物には程遠いため、あくまでも間に合わせ的な感じにはなるが。

ヘシュア「あ、ご心配なく。プライバシーの部分は一切触れません。私もカルダオス一族の端くれ、
     無様な姿など曝せませんので。それにまだ世上を詳しくは把握できていません。順応して
     いくのなら、先ずは法規から学ぶべきですし。」
ミスターT「そうだな。あまり使いたくない手法だが、力があるなら使ってこそのものだ。それに
      ヘシュアは肝っ玉が据わっている。あのヘシュナすら一目を置くぐらいだしな。」
ヘシュア「姉はあんな感じですが、本当は誰よりも慈しみを望んで動いていますので。その姉が貴方
     にお世話になっているのですから、私も最大限お力添えしませんと。」
    笑顔が爽やかなヘシュア。その姿は強かな心など微塵も感じさせない。純粋無垢の姿勢を
   周りに直接体現しているかのようだ。内情を知られたウインドとダークHだが、この笑顔に
   全てを委ねた感じである。
ダークH「何だか、私達が長年培ってきた技術が覆されている感じで・・・。」
ウインド「触れるだけで全てを把握されるのは何とも・・・。」
ミスターT「全てを知る者は、逆説的に全く無知なる者と言い切れる。知らないからこそ学ぶ姿勢が
      出て来だし、そして長い探求の果てに答えを得ていく。ヘシュア達の能力は地球人から
      したら逸脱した形だが、彼女達も俺達が生まれる以前より努力をし続けてきた強者だ。
      強かな野望やら欲望があったなら、既にギガンテス一族とドラゴンハート一族に駆逐
      されているわな。」
ヘシュア「ハハッ、本当ですよね。弱小種族だった私達を、一騎当千の種族へと昇格させて頂いた。
     この恩を絶対に忘れてはなりません。そして先刻は役割方でも暴走した姉を、貴方は矢面
     立って阻止してくれました。私達にできる事は限られますが、でき得る限りのご助力は
     致します。」
ミスターT「・・・普段から根はこの感じなのに、姉と同じくブチ切れるとあの暴走状態になるのは
      怖ろしいわな。」
ヘシュア「それは言わないで下さい・・・。」
   バツが悪そうに苦笑いするヘシュア。東京湾での姉妹の対峙時は、本当に肝を潰した感じに
   なった。ミュティナ達やルビナ達よりも性質が悪いと言い切っていい。そこまで暴走するの
   かと呆れたぐらいである。しかしそれが本当の姿でないのも確かであり、怒らせた時は他の
   宇宙種族よりも怖いという事になるわな。
ミスターT「まあ何だ、後は任せる。何かあったらこちらに連絡を入れてくれ。」
ヘシュア「了解致しました。私も最善を尽くして参ります。」
   う〜む、今ではカルダオス一族のお姫様そのものだわ。いや、女王というべきか。姉の方は
   その役を蹴ったので、実質ヘシュアが一族を纏め上げていると言っていい。

    ただ雑務の数が多いため、臨時でカルダオス一族の面々を召喚しだした。彼女を慕っている
   精鋭中の精鋭だ。彼らも異体同心の理を貫く猛者達である。

    中半2へと続く。

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