アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第2部・第10話 直接対決3〜
    現れてから僅か数十分で警察庁長官のスキルを完全に把握したヘシュア。現れた時の姿が
   一変し、その堂々とした立ち振る舞いにウインドとダークHも安心したようだ。簡単な身支度
   を済ませ、喫茶店へと戻る事にした。

    ちなみに流石は警察庁長官。ウインドとダークHを見るなり、キッチリと敬礼をする他の
   警察官達。その彼らに同じく敬礼を返す彼女達。礼には礼で返すのが彼ら流の生き様だろう。
   特に最近は大企業連合・躯屡聖堕フリーランス・トライアングルガンナーの面々に触発されて
   いる様子。個人での総合力を高めるために、あらゆる努力を惜しまないでいる。

ウインド「あの不動たる原点があるかないかで、人はここまで化けるものなのですね。」
ミスターT「周りにはもっと強者が多くいるだろうに。」
ダークH「まあ確かに。でもこうして改めて直面すると、その力強さには脱帽しますよ。」
    ダッジ・チャージャーに乗り込み運転しようとすると、運転は任せろとウインドが名乗り
   挙げてきた。どうやら2人は警察庁長官であるのに、部下には後ろに座らせ自分達が運転を
   するのだとか。
ミスターT「警察庁長官が自ら運転ねぇ・・・。」
ウインド「一種のカモフラージュですよ。後部座席に乗っている人物を警察庁長官と思われますが、
     実際にはその真逆を貫いています。」
ミスターT「襲撃された時の事を考慮してのものか。」
ダークH「ですね。まあ実際にはそれらは皆無ですけど。」
ウインド「と言うか、私達は叩き上げの実働部隊の出身です。正直な所、頭に立つ役職は困るのが
     現状ですが。」
   確かに彼女達の出発点は一端の警察官からだった。その後に大規模な事変があり、その時に
   加勢したのが俺である。以後は共に切磋琢磨した間柄で、戦術指南は2人があってこそだ。
   言わば彼女達は俺の師匠的存在である。

ミスターT「デュリシラやビアリナの方が長官役が合うのかも知れないわな。」
ウインド「本当にそう思います。特にデュリシラ様の戦術や戦略は、シューム先輩やナツミYU先輩
     に匹敵しますし。いえ、もしかしたら超えているかも知れません。」
ダークH「お2人は実働部隊そのもので、デュリシラ様はブレイン役が合いますよ。」
    デュリシラのヘッドとしての手腕は相当なものだ。コンピューターのスキルも相まって、
   怖ろしいまでに的確な指示や指令を繰り出せる。同じ気質のシュームとナツミYUだが、あの
   2人はコンピューターに関してはド素人とも言える。実働部隊と言い切っていい。
ダークH「むしろ何度も驚くのが、ミツキ様とナツミA様の実力ですよ。」
ウインド「全てにおいて最強としか言えません。」
ミスターT「あー、あの姉妹はねぇ・・・。」
   ウインドとダークHしても、ミツキとナツミAの姉妹の実力には脱帽のようだ。確かに戦術・
   戦略共に怖ろしいまでの実力を持っている。極め付けが力の出し加減の触りだろう。俺も簡単
   なのは繰り出せるが、あそこまで徹底的に繰り出せるのは見事としか言い様がない。
ミスターT「だがあの姉妹こそ、本当に慈愛を地で行く存在だ。世上の紛争も姉妹の一念があれば、
      根絶できると確信している。」
ウインド「ですね。私達の力は微々たるものですが、それが多く集まれば大きなうねりになります。
     大企業連合・躯屡聖堕フリーランス・トライアングルガンナー、そして3大宇宙種族と。
     皆様の力が集まってこそ、漸くスタートラインに立てる感じですし。」
ミスターT「異体同心の理だわな。俺達も精進し続けなければ張り合いがないわ。」
ダークH「本当ですよ。」
   改めて自分達の存在がどれだけ重要なのかが窺えた。個々人の力は微々たるものだが、それが
   多く集まれば巨大な力となっていく。そして絶対不動の原点回帰こそが重要にもなる。常日頃
   から貫いている姿勢が試され続けている訳だ。

    何度も言うが、調停者や裁定者と言った役割は烏滸がましい事この上ない。しかし誰かが
   担わなければならないのもまた事実。それが俺達だったという事になる。ますます以て重要と
   言えるだろう。



    ウインドが運転するダッジ・チャージャーは喫茶店へと戻った。車両を裏手の駐車場に停車
   して店内に入ると、慌ただしく動き続けるシューム・ヘシュナ・デュリシラがいた。何時もの
   賑わいに日常を感じずに入られない。

    ウインドとダークHもこの女傑達に触発されて、自然とウェイトレスの役割を担いだした。
   自宅では結構な手料理ができるとあり、こういった機会でしか作れないという。それを伺った
   シュームが厨房を2人に任せ、自身はウェイトレスとして動くようだ。

    しかしまあ・・・この日常がどれだけ有難いか痛感せざろう得ない。あれだけの非日常的な
   事が多くあったのだ。感覚の麻痺と言うのは本当に怖ろしいわな。


シューム「・・・ぶっ!」
ミスターT「どした?」
    カウンターで寛いでいると、奥でテレビを視聴しているシュームが吹き出した。彼女が見る
   内容を伺うと、何とアキバに改造デロリアン出現のニュースが報じられていたのだ。そこには
   ミツキとナツミYUが映っているではないか。
シューム「アッハッハッ! 女性版バック・トゥ・ザ・フューチャーだってさ!」
ミスターT「はぁ・・・だから目立つから止めれと言ったのに・・・。」
   シュームが挙げるそれを踏まえると、ミツキはマーティ氏でナツミYUがドク氏になるか。
   確かにナツミYUの車両改造メンテナンススキルは逸脱しているため、科学者ドク氏そのもの
   とも言える。やんちゃなミツキはマーティ氏に十分当てはまるわ。
ミスターT「今度コミケに持ち込めばいい。マーティ氏とドク氏の衣服に扮して、劇中のコスプレを
      やれば受け合いだろうな。」
シューム「ミツキちゃんのネタのバリエーションには本当に感嘆するわ・・・。」
   ミツキの気質からして、どの様な環境でも順応するのは周知の通り。しかもそれを周りにいる
   人物すらも巻き込み、同じ様に順応させるのだから怖ろしい。アキバに赴く前のナツミYUは
   嫌々気味だったが、このニュースを見る限りその気配はない。

ヘシュナ「ほむ、地球人の方は仮想人物を模して披露し合うものなのですか。」
ミスターT「そうだの。コミケなどで披露されているのがそれだね。」
シューム「以前なんかミツキちゃんの誘いでコミケに行ったら、そこで無人兵器群に襲撃された事が
     あったけどねぇ。」
ミスターT「マンガやアニメの聖地の理に押し掛けると、その道の強者達に駆逐されるわな。」
    本当にそう思う。ヲタクの面々は警護者などと違って戦闘集団とは言えない。しかしマンガ
   やアニメに対しての造詣や情熱は計り知れず、この分野に関しては警護者なんざ足元にも及ば
   ない。逆にその一念は全ての戦闘集団を超越していると断言できる。
ミスターT「オンライン作品でのプレイヤーを踏まえると、瞬発的戦闘力は警護者を遥かに超えて
      いると思う。特に情熱の部分では到底敵わない。」
シューム「断言できるわね。最近はリュリアやアサミちゃんとアユミちゃんもネットゲームとかに
     ハマってるけど、その姿勢は警護者の私達も見習うべき部分が数多いわ。」
ミスターT「一部の現行兵器だと、遠隔操作で兵器を動かしたりするしな。」
シューム「グローバルホークなどよね。無人偵察機で遥か遠方から操作して目的を攻撃する。確かに
     優れた兵器だけど、通信機構が破壊されたら一瞬でお陀仏だし。」
   地球人が扱う無人兵器郡は遠隔操作で扱われるに留まっている。しかし独立した無人兵器の
   場合だとそれは皆無になる。現に各種の無人兵器群と対峙してきた。3大宇宙種族の技術力が
   関わっているのが痛感できる。

ヘシュナ「私も何らかの能力を持つべきでしょうか?」
ミスターT「んー、今のままでも問題ないと思うよ。俺達の気質からして、それぞれの個性を展開
      してこその戦闘力だと確信している。ヘシュナは単体戦闘力は皆無に等しく、修行を
      経ても得られるようには感じられない。」
ヘシュナ「そうですか・・・。」
    エラい落胆するヘシュナに、追撃で現実の厳しさが突き刺さる。カルダオス一族自体は生粋
   の戦闘種族ではない。特にヘシュナはそれが色濃く出ており、妹のヘシュア達よりも実力は
   遥かに下回る。それでも地球人からすればスーパーマン的な感じにはなるが。
ミスターT「まあそう落ち込みなさんな。お前の真骨頂は、外交などの表舞台に立ってこそ真価を
      発揮してくる。エリシェやラフィナでさえ、お前の手腕には感嘆しているぐらいだ。」
シューム「そうね。ヘシュナちゃんの実力は実戦ではなく交渉こそ真骨頂よね。あの阿呆どもを1つ
     に纏めていた自体見事なものよ。私だったらブチ切れていたわ。」
ミスターT「生命を何だと思ってやがるんだか。腑煮え繰り返りそうだわ。」
   シュームも俺も後々になって南極事変の反動が顕になってきている。あそこまで人類をコケに
   されて腹が立たない訳がない。宇宙種族のヘシュナでさえ己を抑えるのに必死だった。当時の
   彼女は正に俺達の代わりに矢面立って動いてくれていたと断言できる。
ミスターT「ヘシュナは他の誰でもないヘシュナ自身だ。それにお前さんでしか担えない役目も存在
      する。汚れ役は俺達警護者が全部引き受けるから、お前はお前の生き様を貫きなよ。
      それに本来の警護者は警護してこそ真価を発揮するしな。」
シューム「そうね。今は調停者や裁定者の重役を担っているけど、何れそれは終わりを迎える。再び
     本来の警護者に立った時、ヘシュナちゃんの様な周りを引っ張る存在が必要不可欠ね。」
ヘシュナ「すみません、ありがとうございます。」
   シュームや俺の労いに頭を下げるヘシュナ。この数ヶ月で分かったが、彼女の気質は生真面目
   そのものだ。彼女なりに色々と考えていたものがあったのだろうな。

    しかし、ヘシュナが担える適役は何があるだろうか。確かに纏め役としてはエリシェ達を
   遥かに凌いでいる。外交役としては彼女ほどの適任者はいない。幸いなのがヒール役を担って
   いた時は、黒いローブを纏っていたため表情が見えなかった点だろう。

    映画スターウォーズでは、エピソード1から9までで暗躍していた、パルパティーン氏が
   正にそれだ。表は評議員などとして君臨し、裏ではシス・マスターとして悪の限りを尽くして
   いた。悪役時のヘシュナは全く異なるが、世上に顔を知られていないなら見事な適役がある。

ミスターT「そうだな・・・エリシェとラフィナの身辺護衛をヘシュナに一任するか。ヘシュナ自身
      は外交などに打って付けだ。むしろエリシェとラフィナの方が警護者になる。」
シューム「なるほど、実際の目とは真逆にする訳ね。」
ミスターT「持ちつ持たれつ投げ飛ばす、正にこれだわな。」
    ヘシュナが3大宇宙種族の中で最も弱いのなら、その彼女を守る側にすればいい。それでも
   彼女の戦闘力は地球人よりは遥かに凄まじい。エリシェとラフィナを守ると共に、彼女達にも
   守って貰う形が一番良いだろう。
ヘシュナ「・・・分かりました。貴方がそう仰るのなら、その大任を最大限担わせて頂きます。」
ミスターT「まあ暫くは慣れが必要だから、彼女達と共に過ごして貰うのが良いかもね。」
シューム「ミュティナちゃんがフリーになるけどねぇ。」
ミスターT「彼女、兵器開発に回りたいと言ってたしな。」
   姉のミュティラと妹のミュティヌは、ナツミツキ四天王と共に兵器開発に携わっている。今や
   完全に裏方家業が板に付いたと言っていい。唯一ミュティナだけが多岐に渡る力を持つため、
   他方面での支援に回って貰っている。しかし実際には兵器開発に携わりたいと言っていた。
ミスターT「まあ何だ、ミツキ・スタイルがあれば何だってできるわ。」
シューム「フフッ、本当よね。」
   今もニュースではアキバを取り上げている。改造デロリアンと共にミツキとナツミYUの姿は
   今後も語り継がれるだろう。大いなるネタとして・・・。

    後半へと続く。

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