アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第1部・第11話 艦隊決戦1〜
    特殊部隊、強いては軍服連中の狙いは俺やミュティ・シスターズ。そのため、日本国内に
   留まるのは要らぬ火種を起こしかねない。そこでレプリカ大和とレプリカ伊400を用いて、
   今は日本を離れる事となる。向かった先は軍備に関して最強となるアメリカ。日本から一番
   近いハワイに赴き、その近辺で活動を行う事にした。

    できれば他国に要らぬ火種を持ち込みたくはないが、軍事面での補佐が必要になってくる。
   幸いにもアメリカなら日本ほど厳しい様相ではない。むしろ突然の襲来者には徹底的に交戦を
   する部分が大いに助かる。ここは領土を日本からアメリカに変え、来るべき軍服連中との決戦
   に備える事にした。


    日本の守備の事を考え、9女傑やエリシェ・ラフィナは残って貰った。警護の事も考え、
   ナツミYUとシュームにも残って貰っている。ナツミツキ姉妹と四天王もしかり。

    今このレプリカ大和にいるのは、俺以外にミュティ・シスターズにビアリナのみになる。
   シルフィアはデュリシラと共に別行動をしているようだ。トラガンの参謀にはデュシアLを
   派遣している。

    俺や3姉妹は言わばお尋ね者。できれば何の被害を起こさない洋上での生活が無難だろう。
   しかしあえてハワイを選びアメリカを巻き込んだのは、彼らの絶大な戦闘力の恩恵を得るため
   でもある。ここはエリシェが何やら画策しているようで、気にせずハワイに留まるようにと
   勧められた。


    今現在はパール・ハーバーの沖合いにレプリカ大和を停泊中。船底にはレプリカ伊400が
   鎮座している。海上と海底に睨みを利かせる様相は、特殊部隊への揺さ振りとも言える。

    それにこの2大レプリカは姿こそオールドウェポンだが、構成されている材質や内部構造は
   現行兵器と同じである。更にはギガンテス一族のテクノロジーも兼ね備えているため、言わば
   地球上で一番強い兵器と言えるだろう。

    見た目は第2次大戦時の遺物で、更に歴史的な最強戦艦の大和。それがパール・ハーバーの
   沖合いに停泊しているとあり、船舶や航空機を使った観覧者が数多い。それだけこの遺物が
   今では伝説的な存在になっている証拠だろう。

    かつてはアメリカにとって敵国の、しかも最強兵器に等しい日本の大和。それが今では自他
   共に認められる存在なのは、日本人の俺からして嬉しいものだ。そして今はこのレプリカ大和
   が特効薬的な存在になっている。

    あの軍服連中は如何なる手段を投じてでも攻めてくるだろう。世界中の現行兵器はあまり
   にも強過ぎるため、この過去の遺物を模した兵器を繰り出した形か。


    警護者としての位置付けを利用した、完全な戦闘可能な船。まさかその白羽の矢が大和に
   なるとは不思議なものだわ。武蔵や長門などでも良かったのだろうが、やはり日本となれば
   大和が相応しかろう。それに伊400もだ。

    未来はまだまだ分からないが、そこに俺達の存在が一役買えるなら何でもすべきである。
   その礎を築くための力が、このレプリカ大和とレプリカ伊400となる。

    ますます以て奮起していかねば、戦いで倒れられた英霊の方々に失礼極まりない。



ミスターT「動きはなし、か。」
ビアリナ「大々的に動いているのが、逆に取っ付き難くさせているのでしょうね。」
    レプリカ大和は船尾でハリアーUの調整に携わっている。ミュティ・シスターズの力業が
   あれば、この巨体も難なく持ち上げられるのが怖ろしい。驚いた事にビアリナ自身も戦闘機の
   ライセンスを持っているようで、このハリアーUも難なく操縦できるとの事だ。
ミュティナ「推測なのですが、今度は大規模な軍勢で押し寄せてくる感じがします。東京での襲撃は
      こちらの戦闘力を窺った形でしょう。」
ミスターT「俺達がレプリカ大和やレプリカ伊400を持ち出した事、だな。向こうも今まで以上の
      軍事物を出してくるに違いない。」
ビアリナ「何だか警護者の道を逸脱している感じがしてなりませんね。」
ミスターT「規模が規模なだけにね。まあ軍服連中と決着が着けば、この過去の遺産はお役ご免に
      なるだろうし。以後はモニュメントとして配置すればいい。」
   レプリカ大和とレプリカ伊400の保管場所となれば、それは物凄い集客を集める事にもなる
   だろう。そしてそれがかつて世界大戦があった歴史を忘却させないための、戦争遺物としての
   大事な記録にもなる。パール・ハーバーのミズーリ号と共にその役を担えれば、この2隻の
   ガンシップは大役を担えるだろうな。

ミスターT「気になったんだが、全てが終わった後はどうするんだ?」
ミュティナ「お邪魔でなければ傍にいさせて下さい。母船と大母船の方は妹達が引き継ぐとも述べて
      います。それにパートナーのレシュスさんも一緒に。」
ミスターT「あー、以前彼女達を助けた青年か。」
    ミュティナ達の妹も3姉妹なのだが、その彼女達が過去に一度地球に下りて来た事がある。
   その時に特殊部隊の襲撃を受けたのだが、同時に助けてくれた人物がいた。レシュスという
   青年である。また相棒のラーデュという青年もそうだ。何でも物凄い力を持つ3姉妹、その
   妹が双子で面識があるとか。姉の方は良く分からないが、ミュティナ達も知っているという。
ビアリナ「その話は伺っていますよ。レシュス様の相棒はラーデュ様、その彼と面識があるのは双子
     姉妹のルビア様とルビラ様。その姉妹の姉のルビナ様も含めた3姉妹も、ミュティナ様方
     と同じ凄い力の持ち主らしいです。」
ミスターT「超人的能力の持ち主か、人間泣かせだわな。」
   皮肉を込めて語ると、苦笑いを浮かべる3姉妹。この3人の逸脱した力は本当に凄まじい。
   目の前のハリアーUを片手で持ち上げ振り回す様はモンスターそのものである。多分だが、
   彼女達の力ならレプリカ大和とレプリカ伊400すらも持ち上げられそうだな・・・。
ビアリナ「ちなみにルビナ様はトラガンに訪れているそうです。シルフィア様やデュリシラ様とも
     面識があるそうで、その流れから来日されたようです。」
ミスターT「へぇ・・・何れ会う事がありそうだの。」
ミュティナ「私達と同じ常識を逸脱した力の持ち主なのでしょうかね。ちょっと変な興味が湧いて
      きます。」
ミスターT「お前達からしても興味が湧く、か・・・。」
   あのギガンテス一族の3姉妹ですら興味津々といった感じである。ルビナや双子の妹の力は
   相当なものなのだろう。一体どんな一族なのやら・・・。

ビアリナ「あと、私も全てが終わったら日本に在住します。貴方の傍にいられれば幸いです。」
ミスターT「・・・周りの女性陣に殺されるわな・・・。」
    3姉妹はおろかビアリナにまで好意を抱かれている現状。ナツミYU達が殺気立っている
   のは言うまでもない。本当に殺されそうな雰囲気である・・・。
ミュティナ「ちなみに私達の一族は一夫多妻制なので、他にパートナーがいらっしゃっても全く問題
      ありませんよ。」
ミスターT「はぁ・・・最悪はギガンテス一族にお世話になるか・・・。」
   怖ろしい事になりそうだ・・・。まあ地球では一部の国でしか一夫多妻は認められていない。
   かつては日本でも一夫多妻制だったそうだが、今は一夫一妻制である。今の流れだと、何れ
   大変な事になりそうだ・・・。
ミスターT「まあ今は目の前の壁を乗り越える、だ。恐縮ながらも、俺達の双肩には地球の運命が
      掛かっているとも言える。」
ミュティナ「大丈夫です、私達ギガンテス一族も最大限お力になります。何処の馬の骨とも分からぬ
      輩に、この大自然育む地球を壊させたりはしません。」
ビアリナ「ギガンテス一族と地球人が一致団結すれば、怖いものなどありませんね。」
   彼女達が語る内容には心強いが、逆を言えばギガンテス一族をも巻き込んでしまっている気が
   してならない。しかし今となっては対決せねば地球に戦乱を巻き込みかねない。最後の最後
   まで戦い抜かねば意味がないわな。

ミスターT「今は待つしかない、だな。」
    ハリアーUのメンテナンスに追われる女性陣を尻目に、一服しながらその場に座った。この
   広大な地球に蔓延る軍服連中。特殊部隊はその尖兵として捨て駒にされているに過ぎない。

    一体何処でどう出没するかも分からない現状、常に後手に回らねばならなくなる。出所さえ
   分かれば攻撃を仕掛ける事も可能だが、今は後手に回るしかないのが現状だ。

    まあこのレプリカ大和とレプリカ伊400があれば、それなりの活動は可能だろう。更には
   地球上での超大国たるアメリカの加勢が得られれば大助かりである。日本は政府の対応問題で
   動くのは更に後になりそうだしな。これが日本の島国根性のマイナス面とも取れる。

    結局の所、最後は警護者同士の戦いになるだろう。連中も地球上で一番強い警護者を雇い、
   俺達にぶつけてくるに違いない。ただ相手先に最強の警護者たるシルフィアがいるため、本気
   で攻めて来るかは微妙な所だが・・・。それだけ恩師の力は絶大である・・・。



    翌日、レプリカ大和にエリシェが訪れてきた。ラフィナはナツミYUと共に本社の運営が
   あるとの事。シュームはナツミツキ姉妹と喫茶店を切り盛りして貰っている。

    エリシェが訪れた理由は、今後の流れを決定付ける会議を行うのだとか。そう、アメリカ
   合衆国の軍事部門のトップと会談するという事だ。大統領の影武者ディルヴェズではなく、
   海軍の艦隊司令長官との謁見らしい。

    と言うか俺にはこういった頭の役割はご免蒙りたいものだ。それを周りに言ったら、何と
   ミュティナがリーダーを務めると切り出してきた。3姉妹の中では頭脳に長けているため、
   ミュティラとミュティヌも賛成している。う〜む・・・ここは任せるべきか・・・。


ミスターT「・・・ナノマシンの真骨頂か。」
    エリシェとビアリナ共々に、在り得ない現状を目の当たりにして絶句した。以前俺が特殊
   ペンダントの効果で性転換したのと同じ方法で、今度はミュティ・シスターズが大人化した。
   ミツキやリュリアと大差ない体格の3姉妹が、母親のミュセナに近い巨女に変化したのだ。
ミュティナL「公の場での外交では、普段の子供姿では舐められます。ここは母の姿をベースにした
       大人姿で臨みますよ。」
ミスターT「俺より背丈がデカいのが何とも・・・。」
エリシェ「まあまあ。」
   9女傑ではメルデュラ・リヴュアス・メアディルが該当する巨女。3姉妹の母親ミュセナも
   同じく巨女であり、その娘達も大人になれば同じになるのだろう。
ミスターT「身辺警護はエリシェとビアリナがいれば問題ないかな。俺もいた方がいいだろうが、
      ここの守りもしなければならない。」
エリシェ「了解です。それに躯屡聖堕チームの方々もいらっしゃいますので、有事では単独で行動を
     して下さい。まあバリアもありますし問題ないと思いますけど。」
ミスターT「こちらよりも周りへの被害だわな。」
   いくらレプリカ大和とレプリカ伊400が無傷でも、大規模な戦闘となると周りは無事では
   済まされない。やはり地上域を離れての海上決戦に持ち込むのが関の山だ。特殊部隊の出所が
   分かれば、即座に乗り込んでいくのだが・・・。

ミュティナL「まあ後はお任せ下さいな。」
ミュティラL「外交の力、お見せしますよ。」
ミュティヌL「まっかせろー!」
ミスターT「・・・外見だけが大人だわな。」
    ミュティヌLの言葉に皮肉を込めると苦笑いする面々。まあ事実なのだから仕方がない。
   だがこのメタモルフォーゼの力は素晴らしいものだ。性転換だけでも驚異的だが、一時的に
   身体を大人化させるのは驚愕的である。ギガンテス一族のテクノロジーは化け物である。

    別途用意された船舶でレプリカ大和を離れる女性陣。俺は本船で待機し、有事に備える事に
   した。幸いにも艦内には躯屡聖堕チームのメンバーが目白押しだ。その中で一応、監視の目的
   でレプリカ伊400をパール・ハーバー近辺に展開して貰っている。

    これ、レプリカ伊400の船体は超ステルス効果が発揮されるのだとか。地球上で最強の
   原子力潜水艦ですら敵わないとも。一体どんな仕様なのか気になる所だが、問題は軍服連中と
   どう対峙するかが焦点である。そのための大切な懐刀だからな。



ミスターT「数はどのぐらいだ?」
躯屡聖堕メンバー1「数百は点在しています。この規模だとイージス艦クラスかと。」
躯屡聖堕メンバー2「どうします? パール・ハーバーから離れますか?」
ミスターT「そうだな、ここは距離を置いて様子を見るか。」
    とんでもない流れになりそうだ。先程レプリカ大和の艦橋レーダーが捉えた船影が、数百は
   あろうかという様相だ。ここままではハワイへの影響が懸念される。

    艦内に連絡を伝え、即座に戦闘態勢に移行しつつ艦を移動。パール・ハーバーより離れる
   事にした。船影を見る所、どうやら敵の目はレプリカ大和に向けられているようだ。これは
   返って好都合である。レプリカ伊400は連中の目には映っていないようだ。

    しかし、この流れは面白いと言うか何と言うか。軍服連中の目は俺やミュティ・シスターズ
   に向けられているのは確かだが、このレプリカ大和にも向けられているようだな。それだけ
   この艦が強大であるという証拠だろう。

    問題なのは敵艦に人間が乗っているかどうかだ。もし人工知能などで動かしているなら、
   問答無用にレプリカ大和の火力で駆逐すればいい。そのためのガンシップである。しかし人間
   が乗っている場合、この時は直接乗り込んで撃退するしかない。物凄い地味な戦いになるかも
   知れないが・・・。

シルフィア(T君、聞こえる?)
ミスターT(どした?)
シルフィア(事情は全て一念を通して伝わっているわ。今からイレギュラーの転送装置を使って、
      大規模支援を送り込むから。)
    突然の恩師からの念話に驚くも、もっと驚いたのが会話の内容だ。転送装置を使っての支援
   となると、敵方が殺気立たないか心配である。
女性(ミスターT様、初めまして。ルビナ=ドラゴンハートと申します。)
ミスターT(む? ああ、ミュティナが言っていた姉御ですな。ミスターTと言います。以後お見
      知り置きを。)
ルビナ(はい、よろしくお願い致します。)
   うわぁ・・・何と言うか凄まじい覇気である。念話からも伝わるとなると、それは内在する
   生命力が半端ではない証拠だ。ただ恩師の本気時の気迫は人外レベルを超えるが・・・。
シルフィア(へぇ〜・・・よくぞまあ・・・。)
ミスターT(はぁ・・・。)
シルフィア(まあ冗談はさておき、連中の規模からすると本気で潰しに掛かって来たみたいね。)
ミスターT(大問題としては、有人か無人か。ここになるんですがね。)
シルフィア(一応エリシェさんが言うには、レプリカ大和には広範囲高密度生体センサーが搭載して
      あるそうよ。それで敵艦をサーチし、無人だったら全力攻撃ね。レプリカ大和の火力を
      見せ付けなさいな。)
ミスターT(探索を強化して、問題なければ叩き潰すか・・・。)
   これはこれで大助かりだ。敵艦が完全無人であれば、もはや容赦しなくていい。レプリカ大和
   の総火力を出して叩き潰す、これに限る。

    大和の目玉は46cm主砲だ。パール・ハーバーに停泊中のあのミズーリ号でさえ、この
   主砲の一撃には耐えられない。こと現代のイージス艦では一撃必殺である。

    オリジナル大和は実際に目立つ活躍をする事なく眠りについた。しかし、このレプリカ大和
   は今正に正念場を向かえようとしていた。ここは過去の遺物がどれだけの威力を誇るのか、
   是非とも見せて頂きたいものである。


    パール・ハーバーの沖合いからかなり離れ、相手の様子を見る。広範囲高密度生体センサー
   で敵艦全てを調査した所、何と全てが無人兵器となっていた。というかイージス艦クラスの
   艦船を無人化して操作できる程の技術力があるのか。

    連中のテクノロジーはこちらを遥かに凌いでいる可能性がある。人間が操作して初めて開花
   する近代兵器、それを無人で扱えるのだ。相当な実力を持っていると言えた。

    しかし逆を言えば好都合である。つまりはレプリカ大和の全力を以て敵艦を駆逐できると。
   人殺しはご法度だが、無人兵器なら問答無用だ。全て叩き潰してやる。

ミスターT「烏滸がましい限りだが、艦長の大任を配しているミスターTだ。一同に伝える。今から
      敵艦に総攻撃を加える。調査した所、敵艦に人影は見当たらない。完全な無人兵器と
      推測できる。無人兵器なら慈悲は無用、徹底的に暴れてくれ。」
    放送を通して一同に伝えると、物凄い雄叫びが艦内に轟いた。艦内クルーは全員がエリシェ
   が抜擢した躯屡聖堕チームの精鋭中の精鋭である。特にナツミYUも携わっている事から、
   半警護者とも言えるだろう。戦いのスペシャリスト達である。
躯屡聖堕メンバー1「敵艦から射影物、ミサイル兵器かと思われます! 数は大凡数千!」
ミスターT「バリアの方は大丈夫か?」
躯屡聖堕メンバー2「問題ありません。ミサイル着弾まで数秒後です。」
   レーダーを監視している躯屡聖堕メンバーが述べた後、目視でミサイルの飛来が確認できた。
   その後、夥しいミサイルがバリアに阻まれ大爆発を巻き起こした。本来ならこのミサイル郡で
   レプリカ大和は大ダメージを受けているだろうが、ギガンテス一族のテクノロジーのお陰で
   全くの無傷である。


ナツミYU「何やってるのよ、もっとしっかり気張りなさいな。」
    突然だった。その場にナツミYUと見慣れない女性が現れたのだ。それに俺や周りの面々は
   驚愕するも、ナツミYUの姿に沸き上がっている。躯屡聖堕チームの中でも伝説的な存在とは
   聞いていたが、正にここに極まりだ。
ミスターT「あー・・・なら、お前さんが指揮を執ってくれ。俺には性に合わん・・・。」
ナツミYU「フフッ、そのつもりで来ました。後はお任せを。貴方はルビナさんと一緒に、有事に
      備えて戦闘準備を。」
ルビナ「お任せ下さいませ。」
   なるほど、この女性がルビナか。ミュセナと同じ巨女だが、物凄いお淑やかである。エリシェ
   を更に落ち着かせた形とも言えるな。しかも戦闘力は計り知れない。

ナツミYU「ナツミYUです、艦長を代わります。目標となる敵艦への狙いは各々に任せますので、
      確実に仕留めていって下さい。またバリアは敵側からの攻撃は阻止しますが、こちら
      側からの攻撃は通りますのでご安心を。」
    彼女の発言で更に物凄い雄叫びが巻き起こった。どうやらナツミYUが指揮を執っている
   事に奮起している様子である。先程も述べたが、躯屡聖堕チームの中では伝説的存在だ。その
   彼女の指揮とあれば、奮起しない方がおかしいだろう。

    艦橋の窓から周りを見ると、あの46cm主砲がゆっくりと動き出している。しかも3基
   が独立した動きを展開している。それは副砲や各種砲台も同じだ。これには申し訳ないが、
   物凄く興奮してくる。あの伝説の戦艦大和の戦う姿を間近で見られるのだ。

ミスターT「一同に追加補足をしたい。文献での話でしか窺った事がないが、主砲の発射時の爆風は
      凄まじいとの事だ。艦外にいるメンバーは全員退避して、反動に備えてくれ。」
ナツミYU「実際に大和の攻撃を見るのは私も初めてよ、十分油断しないように行動を。」
    俺達の言葉に再び湧き上がる面々。伝令を雄叫びで返す所が、実に躯屡聖堕チームらしい。
   その後もレプリカ大和の武装が準備を続けている。

    確かミズーリ号の主砲一斉射撃の爆風は、巨艦をも傾けるとの事だ。ミズーリ号ですらそう
   なるのだから、レプリカ大和とはいえ凄まじい衝撃が走るだろう。十分注意せねばならない。

    まあ多分だが、バリアの効力に重力制御の理も働いている様子だ。主砲射撃時の爆風は、
   案外物凄く軽いものになるかも知れないが・・・。


    どれぐらい待っただろう。伝令で攻撃準備が完了した事を伝えた。一応の報告であろう。
   それにGOサインを出すナツミYU。直後、46cm主砲が一斉に火を吹いた。

    やはりそうだった。バリアの効力には重力制御の理が働いているようで、最強の主砲たる
   46cmの一斉発射でも振動は殆どない。しかも3基が独立してそれぞれの目標を狙ったのに
   である。この場合は艦自体がかなり揺さ振られる筈だ。流石は重力制御の理か。

    しかしそれでも超轟音が鳴り響く様は、正に怒れる獅子の咆哮そのものだ。これだけでも
   人間には相当効果があるのだが・・・。

    そう、敵艦は全てが無人兵器。当然回避などする筈がない。したとしても、世界最強の主砲
   たる46cm砲の巡航速度に敵う筈もない。しかもこれらはオリジナルにはないイージス艦は
   十八番、電子制御式の超精密誘導を導入した状態での射撃である。狙われたら最後、どんな船
   だろうが一撃必殺である。

    遠方の複数の艦船に主砲弾が直撃する。たった一撃で大爆発を巻き起こしたのだ。そのまま
   海の藻屑と化していく。正に天下無双そのものである・・・。

    中半へと続く。

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