アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第1部・第12話 私利私欲現る2〜
シルフィア(国内の駐屯地が殺気立っているわね。自衛隊自体は日本独自の部隊になるから問題ない
      けど・・・。)
エリシェ(正にお察し下さい、と言う事ですね・・・。)
    数日後、臨時基地は完成した。小型豪華客船を頭にし、レプリカ大和とレプリカ伊400が
   駐留する様相だ。ハリアーU郡の遠方臨時基地として、自衛隊所属のヘリ空母を導入する事に
   した。これはエリシェやラフィナの計らいと、自衛隊に多大な影響を持つシルフィアのプラン
   である。
ミツキ(お・・おおっ、やったわぅ! また釣れたわぅよ!)
シルフィア(・・・はぁ、賑やかでいいわね・・・。)
ナツミA(逆に賑やかさや大らかさを見せ付けないと、それこそ連中と同じになりますよ。)
   今度はレプリカ伊400の甲板で釣りをしているミツキ。日本近海とあって良く釣れるとの
   事だ。今の所の食事などは全部魚料理である。
ナツミYU(しかし・・・こうもあからさまに見えるのはねぇ・・・。)
エリシェ(隠し事すらせずに、むしろ威圧的に見せているとも。)
シルフィア(それだけ私達の力が脅威を秘めている証拠よね。)
   念話による会話は俺達や躯屡聖堕メンバーにしか伝わっていない。というかミュティナが言う
   には、邪な心がある者には絶対に伝わらないというのだ。ここはどういった概念になるのかは
   不明だが、むしろ好都合であろう。

    そしてナツミYUが示すのは、俺達の周りに原子力潜水艦が睨みを利かせている。ハワイ
   からずっと付けられているものだ。一応名目上では監視を付ける事で、行動を自粛させると
   言うものか。

    と言うか相手が間違っているがな。今は一致団結し、軍服連中を完全駆逐する方が先決だと
   言うのに。これぞ正しく誤った力の使い方だ。しかもそれが世界最大の軍事力を持つ国家が
   行う事なのだから泣けてくる。

    まあそれでも最大限威圧を掛けて来ない所を見れば、俺達の力が遥かに逸脱しているという
   事になる。三島ジェネカンを含む大企業連合の経済力。そして極め付けはギガンテス一族と
   ドラゴンハート一族のオーバーテクノロジーだろう。衛星軌道上に位置する母船と大母船。
   それが超絶的な威圧になっているのは言うまでもない。

ミスターT(全部片付いても、変な目は残りそうだな。)
シルフィア(そうね。しかし警護者は忌み嫌われる存在。まだ傭兵の方が良いとも。だからこそ自分
      を持ち続けるしかないし。)
ミツキ(誰彼が〜わぅ♪ おっしっ! またヒットわぅ!)
    重苦しい雰囲気を一瞬で変えるミツキの生き様。それに俺は大笑いしてしまった。それに
   釣られて周りの面々も笑っている。特に念話はミツキの心情すらも透写するため、その純粋
   無垢な一念に当てられた感じとも言えた。正に彼女の生き様こそ、今の世上に燦然と輝く太陽
   の如くだわ。

    とにかく今は特殊部隊・軍服連中の隙を突ける瞬間を狙い続けるとしよう。奴等を完全に
   駆逐できれば、以後の騒乱はなりを潜めるだろう。が、もし提携した場合が怖いが・・・。



    それから数日が経過。レプリカ大和とレプリカ伊400を完全に使えるようにするため、
   俺達は徹底的に訓練を積んだ。特に追加兵装として、今までの武装を更に強化した。顕著に
   なるのが弾薬だろう。

    先のハワイ沖での艦隊決戦では、早い段階でレプリカ大和の弾薬が枯渇してしまった。後に
   駆け付けてきたレプリカ伊400に助けられた形だが、単独でも長時間戦える兵装は備える
   必要がある。

    そこで、少々度が過ぎる兵装を施してみた。弾薬を電磁力で射出する超兵器だ。衛星軌道上
   に位置するギガンテス一族の母船と大母船が武装、電磁加速装置ことレールガンである。

    本来なら原発1基ほどの電力がなければ運用はできないと言われているが、そこは既に実戦
   投入してあるお墨付きだ。ギガンテス一族のオーバーテクノロジーを前にすれば、地球上では
   実現が厳しい兵装も難なく作れる。

    そのレールガンをレプリカ大和に20挺、レプリカ伊400に10挺搭載した。後者の最大
   攻撃力を持つ砲門よりは小型だが、威力は遥かに桁違いである。超長距離弾道ミサイルをも
   超える火力は、その一撃で原子力空母を沈めるほどのものとか。

    これら兵装は衛星軌道上の母船から提供を受けた。当然転送装置による移送である。この
   行動が周りにマークされているとは到底思えない。転送装置の力自体、オーバーテクノロジー
   になる。唯一それを感知できるとすれば軍服連中の軍勢だけだろう。


ミツキ「500円玉をレールガンで飛ばしてやるわぅ!」
ナツミA「それ、某とあるアニメね。」
ナツミYU「個人兵装泣かせそのものかと・・・。」
    超装備がなされたレプリカ大和とレプリカ伊400。それ以外にも動力源や装甲なども以前
   よりも超強化を施してある。ありとあらゆる自体を想定せねば、今後の戦いは勝ち抜いていく
   事ができない。まあできれば個人決戦で終えたい所だが・・・。
ミスターT「このレールガンの威力はよく分からないんだが、相当なものと言えるのか?」
ミュティナ「重力と大気がある地球上での発射は行った事がありませんが、宇宙空間では迫り来る
      浮遊岩石を一撃で破壊できます。その規模は地球の衛星たる月も一撃ですよ。」
ミツキ「おういえい、モンスターわぅね。」
   本当だわ・・・。このレールガンの一撃が月クラスの浮遊岩石を破壊するという。ただそれは
   重力と大気がない宇宙空間での威力。どちらも存在する地球上では幾分か威力は落ちると推測
   できる。物理の法則だと何らかの要因、この場合は重力や大気だが。それらがあるだけ巡航
   速度は激減するという。案外地球での兵器郡は宇宙空間でも通用しそうな様相だわ。

ミュティナ「まあとりあえず、このぐらいの追加兵装で十分でしょう。先程の戦い以上の艦船が出現
      したとしても、実弾の枯渇はしてもレールガンの枯渇はほぼ有り得ませんから。最低限
      の弾薬で事足りますよ。」
ナツミA「言わばレーザー兵器に近いからね。エネルギー源があれば無限大に攻撃が可能と。」
ナツミYU「これはレプリカ大和とレプリカ伊400の動力機関で成し得るものなの?」
ミュティナ「そこは重力制御の理などが役立ちます。少量のエネルギーを増幅増大化させ、それを
      エネルギー源として射出。小母様がお持ちのライターでも充分なエネルギーを得る事が
      可能ですよ。」
    今正に一服しようと取り出した煙草セットを指し示す。ナツミYUが持つはジッポライター
   である。それがレールガンのエネルギー源になるというのだから怖ろしい。
ミツキ「わたの笑いのパワーで、世上から悲惨や不幸を吹き飛ばしてやるわぅ!」
ミスターT「・・・それができるなら、心から賛同するわ。」
ナツミA「本当よね。」
   茶化しで語ったのだろう内容は、逆を言えば本当に実現してくれれば最強の一手にもなる。
   笑いで悲惨や不幸を吹き飛ばす、これ程素晴らしいエネルギーは他にはない。ミツキ流のその
   生き様が正に当てはまると言えた。

    ともあれ、これで最低限の長期戦闘に関しては磐石だろう。兵装も弾薬も食料なども問題は
   ない。向こう数ヶ月は単独で戦えるだけの装備は整えられた。

    後は向こうがどう出るかだが・・・。ここは静かに待ち続けるしかないわな。



ルビナ「こ・・こんなバカげた事が通るのですかっ!」
    更に数日後。とんでもない展開に発展した。軍服連中が誑かしたのかどうか分からないが、
   俺達が日本と結託して地球に騒乱を起こそうとしているという展開になったのだ。発信源は
   あのアメリカである。世界最大の軍事大国が警告を発するなら、世界中の軍力を持つ国家が
   殺気立つのは言うまでもない。その様相にルビナが大激怒している。
ルビナ「こんな滑稽な種族だったとは・・・。」
ミスターT「今に始まった事じゃないがね。むしろ連中がやりそうな感じはしていたが、まさか本当
      にやるとは思いもしなかったわ。」
   怒りよりも飽きれるしかない。先の提携会議が決裂した事の腹癒せもあるのだろう。そこを
   軍服連中が付け入ったという形になる。向こうにとっては正に我が意を得たり、な展開だな。
シルフィア「貴方の怒りはご尤も。しかしそれでは何の解決もしないわ。問題は今後がどうなるか、
      そこが非常に気掛かりだけど。」
シューム「連中が大軍勢で日本に攻めて来るという事は考えられる?」
シルフィア「それはないわね。その証拠は私達になるから。」
ナツミYU「地球上の兵器が一切効かず、相手の攻撃は一撃必殺と。触れれば大火傷必須ですね。」
   ルビナ以外は至って冷静なのが皮肉な話だ。むしろ何も聞かされていなければ、彼女の様に
   激怒するのだろう。知ってしまうと落ち付けるというのはこの事だろうな。
エリシェ「一応、日本全領土内を守れるだけのバリアは展開しました。またミュティナ様と連携し、
     衛星軌道上の母船郡から日本を守れるように展開しています。スーパーレールガンでの
     超精密狙撃も可能ですよ。」
ミスターT「後方の憂いは断てている訳だな。」
エリシェ「別の攻撃としては経済面での横槍ですが、そこは私達大企業連合にお任せを。独自ルート
     により、日本を当面は守れるだけの力は持っていますので。」
ナツミYU「地球上で最大最強の大企業の力は有難いわね。」
   軍事面ではバリアや超精密射撃などによる直前の阻止だろう。経済面では三島ジェネカンを
   筆頭とした大企業連合が補佐してくれるという。これなら日本自体は問題ない。

ミスターT「最終手段は情報操作か。今やネット社会が当たり前だ。どの様な悪口罵詈・毀誉褒貶を
      してくるかが気になる所だが。それに日本が何処まで耐えられるかが勝負の別れ目に
      なるわな。」
ナツミA「大丈夫だと思います。日本人の底力は不動の団結力ですから。それにどちらが善か悪か、
     そんなの火を見るより明らかですし。」
ミツキ「案外、世界は冷静に見て判断してくれていると思いますよ。」
    遥か先を見越している面々。特にミツキが語るものは、何が善で何が悪かを見定める目とも
   言える。それだけ地球人は馬鹿ではない証拠だ。ここだけは頭の悪い俺でも理解できる。
ミツキ「まあアレわぅ、押し寄せてくるならこのダブルトリガーで蹴散らしてやるわぅよ!」
ナツミA「直接対決なら喜んで引き受けるわね。」
   新たな個人兵装のダブルトリガーを調整するミツキ。ナツミAも同じダブルトリガーを調整
   していた。姉妹のトレードマーク的な赤色のラインが入った特注品。先日ナツミツキ四天王が
   完成させた獲物である。
ミスターT「2人にダブルトリガーが来たとなると、俺は終始パニッシャーを使えという事か。」
ミツキ「ラズロちゃんモードで威圧すれば無敗確定わぅよ。」
ミスターT「はぁ・・そうですか・・・。」
   背中の人口腕部は既にステータスになりつつある。その下側に携帯式方天戟があるが、こちら
   を使う事は希になった。むしろトリプルパニッシャーによる攻撃と防御が凄まじく、とても
   方天戟を振るうチャンスは巡って来ない。

シルフィア「それに警護者界は私達の味方だからね。強いては全シークレットサービスに警察機構。
      私利私欲に走っているのは国を牛耳る陰の愚者だし。」
シューム「周りは乗せられているだけという事よね。」
ナツミYU「なら、思う存分暴れられそうですね。」
    恩師の展開式パイルバンカーは健在だ。シュームのベヨネッタ嬢風スタイルもだ。特に変化
   があったのはナツミYUだろう。例の隠し二丁拳銃以外に連射式ショットガンの二丁拳銃だ。
   散弾のショットガンの弾を連射できるとあり、その火力はマグナムをも遥かに上回る。しかし
   その超武装を施しても、不殺生を貫く姿勢は見事なものだ。かく言う俺もそうなのだが。
ミスターT「前にも言ったが、早く全部終わらせて喫茶店で動きたいわ。」
ミツキ「わたにはDJもあるわぅよ。」
ナツミA「最近出れなくなっちゃったからね。」
ミスターT「当時を日常と取り、今を非日常と取るか。それともその逆なのか。今じゃどちらが表か
      裏か分からなくなってるわ。」
   一服しながら思う。喫茶店の営業と警護者事務所の運営。当時はそれが当たり前だったが、
   今はそれ以上の出来事が起きている現状。どちらが表で裏なのか、感覚の麻痺というのは本当
   にあるものだと痛感させられる。ただ今が明らかに非日常なのは言うまでもない。

ミツキ「TちゃんTちゃん。これら全部が終わったら、ミュティナちゃん達とルビナちゃんは一緒に
    いるわぅ?」
ミスターT「前に一緒にいると言われたよ。ならそのご自慢の力を地下工房などで活躍して貰おうと
      思う。特殊部隊や軍服連中は言わば逸脱した敵勢力だからね。その戦いが終われば、
      普通の警護者の流れに戻るだろう。」
ミュティナ「お任せ下さいな。ミツキお姉様が名言、持ちつ持たれつ投げ飛ばすを貫きますよ。」
ルビナ「それに今後もどんな愚者が出てくるか分かりません。私利私欲の阿呆を除いた地球人を守る
    のは私達の使命ですから。」
    今後の流れを語る2人。ミュティラとミュティヌはレプリカ大和とレプリカ伊400の調整
   に赴いているため不在だ。まあ意思の疎通ができるため、ミュティナの決意は3姉妹の決意と
   言える。それにルビナも併せた4人の総意でもあろう。
ミツキ「うむぬ、みんなでワイワイできるのは楽しいわぅ♪」
ナツミA「この力こそ、今の世上に燦然と輝く太陽の如くよね。敬い・労い・慈しみの精神があって
     こそ、太平と安寧が至れるというもの。当然、絶え間ない努力の先にあるものですが。」
シルフィア「そうよね。それに私達警護者の最終目標は、警護者自体を無くす事。警護者がいらない
      世界を作るのが目的よ。そのための警護者の道だから。」
ミスターT「警護者を倒す警護者か、う〜む・・・。」
   確かにそうだろうな。世上から悲惨と孤児と不幸を無くす戦いをするための警護者ならば、
   最終目標は警護者自体がお役ご免になる流れである。今までの非日常な流れが当たり前の俺達
   にとっては複雑な心境だが、その時こそ世上の平和が得られる何よりの証だ。
ミツキ「でも実際には、警護者がなくなる事はなさそうですけど。」
ミスターT「世上の争いの根絶は、壮絶な戦いだろうからの。」
ナツミA「でも、やってやれない事などありませんからね。」
シルフィア「私達次第という事よ。」
ミツキ「わぅわぅ。」
   最終目標は定まっているが、それが実現されるには相当な時間が掛かるだろう。と言うか軍服
   連中の様な愚者が出る以上、俺達の役目はまだまだ続くのだ。殆ど永遠の戦いと言っていい。
   まあ何だ、我が道を突き進む。それが俺達の生き様だろうな。

    後半へと続く。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

戻る