アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第1部・第12話 私利私欲現る3〜
    その後の流れで驚くべき事にもなった。世界各国の横槍が日本に集中する中、警護者界と
   いう存在が肯定されだした。更には各地の紛争解決に協力して欲しいというオファーが多く
   寄せられてきたのだ。これは予想外である。

    そこで1つの戦略を打ち立てた。俺達が私利私欲で動いていない事を示すために、総出で
   そのオファーに応じる事にしたのだ。俺や3姉妹とルビナは今も危険すぎるため、引き続き
   レプリカ大和で過ごす事になっている。

    この世界各地の紛争を解決するために飛んだのは、身内のスペシャリスト全員だ。また安全
   を期して3人1組で動く事にした。当然、重力制御ペンダントの恩恵然りである。これを持つ
   事でバリアも働くため、銃弾などの攻撃は一切効果がない。

    ともあれ、私利私欲で動いていない事を示す絶好の機会だ。戦力の分散は非常に危険だが、
   これも1つの戦略と取って先読みの行動をする事にした。


ミスターT「遠路遥々、申し訳ない。」
ミュセナ「まさかお呼びが掛かるとは思いもしませんでしたよ。」
    レプリカ大和の艦橋に、新たな司令官を招いた。衛星軌道上に位置する母船や大母船にいる
   ギガンテス一族の女王ミュセナだ。向こうの方は大王ネデュラが指揮を取っている。
ミュティナ「最近私ばかりに総合指令を任されるので、お母様にご足労して頂きます。」
ミュセナ「貴方が張ってるとすると、ミュティラとミュティヌはそっちのけという事ね。」
ミスターT「2隻のメンテナンスを行っているよ。」
   俺が指し示す先を窺うミュセナ。そこには作業着を纏い奮闘する娘達の姿が。ミュティナも
   同じ作業ができるが、どちらかと言うと彼女は頭を使う方が得意である。姉と妹が力仕事に
   走る所以はここにあろう。
ミュセナ「諸々分かったわ。貴方はTさんと一緒に行動しなさい。後の事は全部引き受けるから。」
ミュティナ「申し訳ないです。」
   う〜む・・・この様相、お淑やかなシュームと生真面目なリュリアな図だろうか。両家族とも
   外見の年代は同じなため、全く以てソックリである。

    実はこのプランをネデュラにご足労と交渉してみた。ところが有事はミュセナの方が凄いと
   言われて変えたのだ。確かに有事の女性の力は逸脱している。彼女達の力は周りの女性陣を
   見て痛感しているわな。

    そう言えば9女傑の中でメルデュラがリーダー格の様相を出しているという。シュームも
   その力を認めているからか、他の8人は安心して戦えると豪語していた。今ではエリシェや
   ラフィナも凄腕の警護者に至っているため、怖ろしい様相を醸し出している。

    何度も思うが、真女性には敵わない。そして正に女性の時代である。野郎がのさばる時代
   ではないのだ。ここを否が応でも痛感させられるわ。



ミスターT「へぇ・・・超大型豪華客船と同じ船底をねぇ・・・。」
    数日後、レプリカ大和とレプリカ伊400を大改修する事になった。とは言っても今現在
   では最強状態に近いが、不測の事態に備えての船体強化との事だ。超大型豪華客船の船底を
   この2隻に施すという。
エリシェ「改修作業自体は数日で終わると思います。2隻とも船底に3つのフロート式区画を増設
     して、そこに予備動力施設・緊急脱出装置・弾薬倉庫・燃料倉庫などを配置します。」
ビアリナ「海上の様相は従来と変わりませんが、海面下の姿はエラい武骨になるのがネックですが。
     まあ具えあれば憂い無しでしょう。」
ミスターT「まあそこは任せるわ。で、暫くは小型豪華客船で待機だの。」
   小型豪華客船の操舵室で作業を見守る。近場には超大型豪華客船が隣接しており、その船底の
   巨大ベイにレプリカ大和とレプリカ伊400を収納しての大改修となった。


    作業内容はこうだ。レプリカ大和の船底、艦首側に1つ・第3砲塔直下左右に2つの巨大な
   フロートを増設する。その間にレプリカ伊400がドッキングできるスペースを設け、補給や
   改修も可能にするのだとか。

    レプリカ伊400の方もレプリカ大和と同じ流れになる。しかしフロートの形が船体に合う
   ものを増設するため、幾分かはスマートにはなるが。それでも従来の船舶とは思えない様な
   ズングリムックリな姿に変わる。

    オリジナルの同艦とは完全に掛け離れた姿に化けるが、これにより1回の補給で地球を何度
   も周回できるようになるのだとか。原子力船舶顔負けの機動力と継戦能力である。まあこの
   船舶郡に通常の動力機関を用いているのは、原子力システムは色々と問題が出てくるためで
   あるが。

    まあここまで超強化してしまうと、もはやレプリカとは言えないのかも知れない。改造大和
   と改造伊400と言うべきか。それでも総合的な戦闘能力は各段に向上する。正に現行兵器
   では絶対に勝てない最強の戦艦と潜水艦になるだろう。


    この様相は近場に展開している待機中の原子力潜水艦に監視されているだろう。その超絶的
   なテクノロジーを目の当たりにしているのは間違いない。

    が、下手に横槍を入れようものなら手痛い竹箆返しを喰らうのも言うまでもない。相手は
   世界最強の警護者軍団が頭で、世界最大の大企業連合がバックボーンにいる。宇宙では母船や
   大母船が最強兵器をチラ付かせているのだから、手が出せる筈がないわな。

    こう考えるとあの時のミュティナ達と共に戦うと至ったのは正解だった。後の超絶的な支援
   などを考えると、ギガンテス一族のテクノロジー郡は大いに助かる。またドラゴンハート一族
   の支援は、ミュティナ達がいたからこそ実現できたようなものだ。

    切っ掛けは些細な出来事から始まる、本当にそう思うわ・・・。



ナツミYU「世界の紛争解決に警護者が加勢する。今まではタブーとされていたからね。」
ミスターT「怖いのが身内同士の対決なんだろうが、こちらにシルフィアがいる限り安心か。」
    数日間の加勢を終えて帰還したナツミYUとシューム。この2人だけはタッグで行動した。
   実力自体が警護者内で最強クラスなため、問題ないと踏んだようである。
シューム「まあそれでも不殺生を貫きながら動くのは大変だったけどね。向こうはこちらを殺しに
     掛かってきているのを、強引に戦意喪失まで追い込む必要があるし。」
ナツミYU「今までの戦い方でも十分通用しますけどね。」
ミスターT「不測の事態のバリアも健在と。」
   何度か銃弾を浴びているようだが、全てバリアによって無効化されているそうだ。これでは
   本来の死闘とは至らず、どうしても惰性が働いてしまうのだが・・・。
ミスターT「弱体化しなければいいがね・・・。」
シューム「バリアの件ね。確かに致死率がある銃弾を受けても無傷でいられるため、それにより惰性
     が生じだすのは事実よ。しかし動きは従来と同じだし、そこに幾分か超能力が加算されて
     いるに過ぎない。私達の本質は警護者自体のスキルだから、バリアに甘える事はしない
     から。」
ナツミYU「ですね。できれば用いたくない力ですが、今は不測の事態で倒れるのはご法度ですし。
      誤った力の使い方をしない限りは、何でも用いていきますよ。」
   力の本質を見極めている2人。バリアは最低限の補佐であり、本来の警護者の力を最大限活用
   しての行動を心得ている。俺もそうだが、そこを忘れては惰性に走ってしまうのは言うまでも
   ないだろう。

シューム「向こうは何も行動して来ないのねぇ。」
ミスターT「一触即発なのは承知済みだと思うけどな。」
    監視側も下手に手を出そうものなら、簡単に潰される事は承知済みだろう。いくら地球上で
   最大の軍力を持つアメリカと言えど、世界最大の警護者軍団・世界最大の大企業連合を相手に
   したら潰されるのが目に見えている。更にはギガンテス一族にドラゴンハート一族とある。
ナツミYU「誰が正しくて誰が間違っているか、向こう側もしっかり把握しているとは思います。
      しかし先の提携決裂からして、後に利害一致で組んだ先は間違いだったと。」
シューム「私利私欲の先は破滅しかないわね。」
ミスターT「まあ相手が何であれ、俺は俺の生き様を貫き続ける。どんな流れになろうがな。」
   一服しながら表を見つめる。今も小型豪華客船の周りを潜望鏡が見え隠れしており、監視の目
   は消える事がない。近場には超大型豪華客船が鎮座しているとあり、一触即発なのは言うまで
   もないだろう。
シューム「そうね。どんな流れになろうが、私は貴方に付いていくから。」
ナツミYU「同じく。貴方は1人じゃない、それを忘れないで下さい。」
ミスターT「持ちつ持たれつ投げ飛ばす、だの。」
   俺の傍らで一服しながら語る2人。その思いは前よりも遥かに強くなっている。それにどこ
   まで応じられるかが、俺の最後の戦いなのだろうな。


    警護者の道は何時倒れるか分からない。また家族といった概念は足枷にもなりかねない。
   孤独ながらも1人で突き進んだ方が安心ではある。しかしそれを真っ向から否定するのが俺達
   だというのが皮肉な話である。

    敬い・労い・慈しみの精神、持ちつ持たれつ投げ飛ばすの心構え。どれもが他者と接して
   こそ発揮する概念だ。明らかに警護者の道には足枷になりかねないもの。だからこそ、その
   一念を抱いて突き進む事にこそ意味があるのだろうな。

    今ではミツキ・スタイルとも言うこれだが、俺達の間では当たり前になっている。不思議な
   事にも、ギガンテス一族とドラゴンハート一族にも同じ一念が流れていた。生命体に備わる
   プラスの一念、それは地球人だろうが宇宙人だろうが関係なかったのだ。

    ここに回帰すれば、相手の間違った行動を責めて戒める事が顕然とできるわな。自分自身が
   右往左往しては何も始まらない。据わった一念を定められるかどうかで全てが変わってくる。
   それが自分自身の強さにも変わってくるのだから。本当に不思議な流れである。



    更に数日後、とんでもない流れになっていった。何と例の無人艦隊がハワイを無差別に攻撃
   していると言うのだ。これにはアメリカ側は驚愕しただろう。先日自分達と提携を組んだ軍勢
   が攻めて来たのだから。

    俺達の近場で監視をしていた潜水艦部隊が去っていった。今は監視どころの話ではない。
   こちらに気を取られる事で、敵に奇襲を許してしまったのだから。

ミスターT「被害の方はどうなっている?」
躯屡聖堕メンバー1「現状の様子だと、湾内の艦船の機動力を殺がれている感じです。」
躯屡聖堕メンバー2「スクリューなどの部分ですか、そこを中心に攻撃されているようで。」
    小型豪華客船の操舵室で情報を窺った。地球の人工衛星力では鮮明な様相は得られないが、
   ギガンテス一族やドラゴンハート一族が母船搭載の超高画質カメラで鮮明に様相が見れた。
   ここから見る限りは人的被害はなさそうだが、それは時間の問題だろう。
ミスターT「連中の意図は何なんだ。巨獣たるアメリカに横槍を入れれば、激昂して大反撃を受ける
      のは目に見えている。それを承知で攻撃を仕掛けたとすると、俺達が加勢するのを見て
      こちらが淵源だと思わせるのが目的かね。」
ミュセナ「以前に提携が決裂している所を見れば、強かな野望などないとは思います。苦肉の策で
     提携したのが軍服連中ですから、正に裏切られた形になりますし。」
ミスターT「相手を見据えずに私利私欲で動くからこうなる訳だな。」
   海上・航空戦力共に大打撃を受け続けるパール・ハーバー。面白いと言ったら大変失礼だが、
   深刻な人的被害が出ていないのが見事なものだ。それでも負傷者が出ているのは確かな様子。
   明らかに無差別攻撃なのは言うまでもない。

ミスターT「・・・お嬢、転送装置の準備を。やはり黙って見過ごす訳にはいかない。」
ミュセナ「フフッ、そう仰ると思いました。現地の状況はミュティナより窺っています。ミズーリ号
     でしたか、その甲板にお送りしますよ。」
ビアリナ(私も加勢します。ただ到着までに少し時間が掛かりますが。)
    最強たる個人兵装を施しての加勢準備を行うと、無線からビアリナの声が聞こえてきた。
   窓の外ではハリアーUに搭乗の彼女の姿が窺えた。機体下部に特殊なボックスを取り付けて
   いる。多分装備などを入れているのだろう。
ミュセナ「了解しました。先発でTさんをお送りし、後発でビアリナ様をお送りしますね。戦闘機を
     甲板に送るのは危ないので、その直上へお送りします。」
ミスターT「・・・まさかと思うが、ハリアーUの兵装にレールガンとか?」
ビアリナ(ええ、そのまさかですけど。ただ、実戦投入するのは今回が初めてですが。)
   怖ろしい事をするものだ・・・。レプリカ大和やレプリカ伊400に搭載しているレールガン
   を2門ほどハリアーUのミサイルポッドと付け替えたようだ。逆に翼の端にミサイルポッドを
   搭載し、ガトリングガン2門と併せて6つの兵器との事である。まあ専らレールガンを多用
   する事になるだろうが・・・。
ミスターT「まあ・・・無理無茶しないように。さて、いきますかの。」
ミュセナ「状況連絡は念話でお願いします。場合によっては増援をお送りしますので。」
ミスターT「了解。」
ミツキ(暴れてやれわぅー!)
   最後の最後で茶化しが入る。国内の警護を中心に請け負っているミツキからの念話だ。それに
   笑ってしまうのは彼女の術中にハマっている証拠だろう。まあ間違いなく最強の激励を頂いた
   のだから、恐れるに足らずだわ。

    全ての準備を整えた俺は、ミュセナによりパール・ハーバーはミズーリ号の甲板に飛ばして
   貰った。場所さえ把握できれば何処でも飛ばせる転送装置は化け物である。

    続いて待機中のビアリナ搭乗ハリアーUも現地に飛ばして貰った。こちらはある程度時間を
   置いてからのものとなる。先ずは現地偵察も兼ねて、この目で確認するとしよう。



ミスターT(大丈夫そうだな。)
    ミズーリ号の甲板より湾内を見渡す。アメリカ海軍の艦船の船尾から火の手が上がっている
   ものの、ザッと見では重傷者は出ていない感じか。
躯屡聖堕メンバー1(マスター、油断なきよう。無人兵器だとしても、その火力は侮れません。)
躯屡聖堕メンバー2(常に最悪の状況を想定して行動を。)
ミスターT(だな、分かった。)
   既に人口腕部は起動しており、3つの腕に黒色パニッシャーを持たせている。ラズロ氏の戦闘
   モードよろしく、その姿で現地に送って貰った。先ずは地上から攻撃を仕掛けてみるか。

    ミズーリ号の甲板を移動し、現状の把握をしだす。この艦はモニュメントという位置付けを
   知っているからか、全く攻撃を受けていない。今も稼動させようとすれば動くのに・・・。

    それよりは現状で脅威となる兵器郡を潰す事から行っているのだろう。湾内に停泊中の艦船
   の船尾を片っ端から攻撃して回っている。航空戦力が出ていない所を見ると、飛行場の方も
   無人航空兵器により襲撃を受けているようだ。

    過去に旧日本海軍の奇襲部隊から攻撃を受けたパール・ハーバー。まさか半世紀以上過ぎた
   今になって軍服連中から奇襲を受けるとは・・・。まあ今は自分にできる事をするまでだ。



    驚愕している海兵隊員達の顔がある。今正に無人飛行兵器の攻撃を受けて、ヘリごと海面に
   墜落しそうな所を強引に押し留めたのだ。

    実はここに来る前にルビナより特殊ペンダントを託されていた。それは彼女十八番の超能力
   が使えるようになるという物凄い代物である。実際に使ったのは今が初めてだが。

    湾内に墜落寸前の海兵隊ヘリに右手をかざして超能力で押し留め、そのまま桟橋の方に運び
   降ろした。その様相に搭乗していた海兵隊員達は目を白黒させている。

    英語が苦手な俺は喋る事ができないので、右手親指を立てて合図を送るしかない。それに
   驚愕しつつも同じく右手親指を立てる彼ら。こういった意思の疎通はできる部分に嬉しさが
   込み上げてくる。


    突然だった。俺の真上にビアリナ搭乗ハリアーUが現れる。垂直離陸状態から送られたの
   だろう、こちらの頭上でホバリングをしていた。それに対しても海兵隊員達は驚愕している。

    そりゃそうだろう。超能力や転送装置といったオーバーテクノロジーは、今の地球では在り
   得ないものなのだから。これだけでも相当な威圧である。

ミスターT(俺も英語を話せれば良かったわ・・・。)
ビアリナ(後でフォローしておきますね。)
    軽い会話をしつつ、その場を去っていくビアリナ。湾内に展開中の無人イージス艦の攻撃に
   加えていくようだ。俺は陸上からしか攻撃できないが、今はできる限りの事をするしかない。
   しかし無力ではない事は見せられそうだが・・・。

    特殊部隊の兵装が軍事物と化していく様相を踏まえ、四天王が黒色パニッシャーを超強化
   してくれた。何と機関砲以外にレールガンも搭載してくれたのだ。手元のスイッチにより切り
   替えが可能だそうだ。

    桟橋から無人イージス艦を破壊するには、パニッシャーのロケットランチャーだけでは無理
   である。そこで機関砲がある側にレールガンを搭載し、それにより一撃必殺の射撃を行う手法
   を取る事を勧められたのだ。論より証拠、実際に試していくしかない。

ビアリナ(マスター。本船やこちらのレーダーで判別した所、今回も全て無人兵器のようです。)
ミスターT(朗報だわな。よし、やるかね。)
    こちらの心情を察知したビアリナから連絡が入る。今回も襲撃してきている軍勢のどれもが
   無人兵器との事だ。つまり本気で潰しに掛かっても問題ない。3挺のパニッシャーを機関砲
   からレールガンに切り替え、近場の無人イージス艦に向けて発射した。

    3つの銃口にエネルギーが蓄えられた直後、凄まじい閃光を発して光の矢が射出。それが
   敵艦に当たった直後、大爆発を巻き起こしたのだ。その威力に驚愕するしかない。

ミスターT(ば・・化け物だな・・・。)
ミュセナ(あ、恐らく今の射撃はチャージが浅いと思います。フルチャージまで行った場合、地球の
     衛星・月を一撃で破壊できるだけの力がありますのでご注意を。)
ミスターT(平然と喋るか普通・・・。)
    淡々と語るミュセナに呆れてしまった。このレールガンはチャージの度合いで火力が変化
   するようだ。しかもフルチャージだと月すらも破壊する程の威力なのだから怖ろしい・・・。
ミュティナ(本音だと提供したくなかったのです。あまりにもの破壊力で地球自体を壊しかねないと
      思いまして。)
ミスターT(ただこれで汚染物質が出ないとなると、核弾頭なんか話にならないわな・・・。)
ミュセナ(超電磁兵器ですからね。ただペースメーカーや電子機器には多大な影響を及ぼすので、
     それらの近くでは使わないで下さい。まあ今のレールガン自体には、外部に電磁場を放射
     させないように施してありますので安心ですけど。)
   う〜む・・・これ程の威力があったとは・・・。ミュティナがレールガンの導入を最後まで
   躊躇っていたのは、その絶大な威力故のものだったようだ。これは確かに一個人が使うには
   危なすぎる。
ミツキ(超電磁ヨーヨーぉ〜! 超電磁タツマキぃ〜! 超電磁スピンっ!)
ナツミA(それ、コンバトラーX・・・。)
ミツキ(フハ・・フハハ・・・フハハハハッ! 実に怖かろうっ!)
   ・・・不覚にも笑ってしまうミツキのネタ。アニメのコンバトラーXの歌詞を出してくるとは
   見事なものだわ・・・。ただレールガンのそれとは別なのはご愛嬌か、何とも・・・。

    無人イージス艦を一撃で破壊されたのを窺ったようで、他の敵艦や航空戦力が俺の方に的を
   変えてきた。と言うか俺自身は連中にとってお尋ね者であり捕獲対称者だ。真っ先に狙って
   来るのは言うまでもない。

    そこに光の矢が連続的に放たれる。ビアリナ搭乗ハリアーUからの射撃だ。無人イージス艦
   に直撃すると、一撃の元に大爆発を巻き起こした。

    止まっている状態からの射撃ですら一撃で破壊したのだ。巡航状態のハリアーUからの射撃
   とあれば、それに速力アップ追加で劇的な破壊力を生み出すのは言うまでもない。特にこの手
   のレーザー兵器は尚更である。

    俺も負けじと無人飛行兵器をパニッシャーのロケットランチャーで破壊していく。流石に
   レールガンは強過ぎるため、イージス艦などのデカい獲物に使うのが無難だろう。


    単独で無人飛行兵器と交戦していると、そこに現れる複数の面々。先程海面に墜落しそうに
   なったヘリに搭乗していた海兵隊員達だ。それぞれ自前の兵器で応戦している。

ナツミYU「えー・・・助けて頂いた借りを返さねば意味がない、との事です。」
    更に驚くは俺の隣にナツミYUとシュームが現れたのだ。そう言えば以前、ミュティナが
   転送装置の座標設定に関して述べていた。自分が知る人物がいる場所の周辺も目標にできる
   との事だ。ミュセナが俺を目標とし、2人を飛ばしてきたと推測できる。先程のビアリナが
   搭乗のハリアーUも同じ手法だな。
ミスターT「英語を勉強しておけば良かったわ。」
シューム「大丈夫よ。簡単なジェスチャーや誠心誠意の一念で十分通用するから。」
ナツミYU「貴方の場合は誠意ある対応こそ最強のコミュニケーションですよ。」
   特殊部隊の兵器郡の強化に伴い、俺以外にも周りの面々の武装も強化を施した。上空で戦闘中
   のビアリナはまだ分からないが、2人の女傑は更に凄い事になっている。

    シュームはゲーム・ベヨネッタはキルゴア中佐のスタイル、両脚にグレネードランチャーや
   ロケットランチャーを搭載している。両腕は連射式マグナムという特殊仕様だ。

    ナツミYUは隠し武器の黄金拳銃はさておき、連射式ショットガンという特殊仕様。特に
   この武装は無人兵器に使うとあり、正に特効薬と化している。炸裂弾もあるとの事で、海上の
   イージス艦以外なら確実に破壊できるとの事だ。

    そして2人とも得意の愛用武器の特注品を背中に背負っている。愛用武器の特注品は、俺が
   使うパニッシャーに搭載のレールガンを小型化したものだ。威力こそ若干弱まるが、それでも
   イージス艦程度なら一撃で破壊できるとの事である。

    ナツミYUとシュームは英語を話せるとあり、海兵隊員達と連携を取りつつ無人飛行兵器を
   破壊して回って行った。



    数時間後、湾内にいた敵勢力は全て駆逐し終わった。殆どビアリナ搭乗ハリアーUが撃破
   して回って行ったのだが。まあ地上からも無人飛行兵器や航空戦力は破壊できたため、問題
   なく片付いたと言っていい。

    負傷者は多く出ているが、重傷者や死者が出ていないのが本当に嬉しい限りである。一応の
   加勢役立ちには貢献できた感じだろう。

    その中で目立ったのが、俺達を見るなり謝罪をする面々だ。どうやら先の提携問題でこちら
   に迷惑を掛けた部分に負い目を感じているようだった。

    やはり軍服連中との提携は上層部の私利私欲から出たもので、最前線にいる面々の意図した
   事ではないようだ。それなのに有事には加勢に訪れた部分に大変感謝しているようである。


    そもそも俺達は軍隊ではなく、独立した戦闘部隊たる警護者だ。裏切られる部分は慣れた
   ものと言っていい。それだけ最前線では血みどろの人間とは思えない行動を目の当たりにして
   きた。これらに慣れてしまえば、今の流れは軽いものとも言えるだろう。

    そしてそれらに恨みを持つ事もない。今では警護者全体にミツキ・スタイルが行き渡り、
   不殺生を貫いているのが実状である。敬い・労い・慈しみの精神、持ちつ持たれつ投げ飛ばす
   がモットーとなっている。この心構えがあれば、無粋な感情など抱く筈がない。

    恐らくだが、何れ各国の軍隊も警護者スタイルになるような気がする。その時こそ、新たな
   変革が訪れるだろう。そして少しずつ悲惨や孤児という概念が薄れていき、何れ消える事を
   心から願って止まない・・・。

    第13話へ続く。

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