アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第1部・第1話 闇の風来坊3〜
    今は大会議場にいる。ここで重役が集まり会議という事だが、それに対しての襲撃予告との
   事である。確かにこの広さだとナツミYU達では厳しいものだろう。

    ちなみにナツミYUも参加すると思いきや、どうやら周辺の警備に回されるとの事だった。
   伝説的なガンマンを警備に回す首脳陣の目は節穴のようだ、何とも・・・。

    まあ今は要らぬ詮索はいい、俺は俺の役目を担うのみ。依頼された内容を確実に遂行する、
   それが俺の任務である。


セフィヌ「暇だねぇ〜・・・。」
ミスターT「まあそう言いなさんな。」
    仲間の3人の中で一番気難しそうなセフィヌがボヤキ出す。このギャップは何とも言えない
   のだが、これも彼女のウリだろう。
ネイディア「警備体制は完璧ですし、部外者の侵入はほぼ不可能な状態。これで入れたら見事なもの
      ですよ。」
ヴァディメラ「早く帰ってシャワーでも浴びたいわねぇ〜。」
   俺はタキシードに黒コートの出で立ちだが、4人の方は戦闘用レザースーツに着替えている。
   ボディラインが見事に出るキワドい衣装だ。言わば現代版クノイチだな。

ナツミYU「依頼が終わったら、お時間頂けませんか?」
ミスターT「私情は厳禁と言いたいが、昔お世話になっているよしみから応じるよ。」
ナツミYU「フフッ、あの青年がこうも成長するとは驚きですよね。」
    俺の言動に笑みを浮かべる。ナツミYUの年代からすれば、彼女は俺の姉に当たるだろう。
   彼女の言動は弟を見守る姉の如く、だな。
ネイディア「ミスター、ご質問が。喫茶店ザ・レミニッセンスはご存知ですか?」
ミスターT「ああ、ミツキとナツミAが非番時に営業している奴だね。前は俺が趣味程度に営んで
      いたのを、双子が大々的に広めたのが今だから。」
ネイディア「今度お伺いしてもよろしいですか?」
ミスターT「何時でもおいで、2人が喜ぶよ。」
   喜ぶと言うか、格好のカモにされそうな気がするが・・・。この4人、ツッコミ所が多いのが
   何とも言えない。ミツキからしたら正にネギを背負ったカモそのものだ。



    突然だった。凄まじい音量で警報サイレンが会議場に鳴り響く。そして和んでいた4人の
   表情が一気に本気モードと化していった。腰に装備しているそれぞれの武装を手に持つと、
   散開し出していく。

ナツミYU「3人には一組で動くように言いました。貴方は私と動いて下さい。」
ミスターT「了解。」
    黒い装飾が施された拳銃を両手に持つナツミYU。資料で見た彼女の獲物であり、その戦闘
   スタイルそのものだ。俺は装備した武装以外に十字架風オブジェも持っているため、彼女の
   護衛に回った方がいいだろう。
無線(大会議室で銃撃戦が発生中。各員は現地に急行して下さい。)
ミスターT「要人を直接狙ってきたか。」
ナツミYU「それだけならまだ構いません、本題は・・・。」
   まるで黒豹の如く駆け抜ける彼女、暗殺者そのものだわ。対して俺は十字架風オブジェが原因
   で早く走れない。まあ内部にまだ武装があるため仕方がないが。

    この場合の動き度を指し示すとこうか。ナツミYUはサササッとすると、俺の方はエッホッ
   エッホッか・・・。何とも・・・。

    というかナツミYUが言う本題の件が気になる。まあ多分だが、破れかぶれに繰り出す究極
   の一手という事かな。大体そんなものだろう。


    大会議室の扉前では数人の警備員が倒れている。安否を確認するが命に別状はなさそうだ。
   安全な場所まで引っ張り、簡単な応急処置を施す。護衛内容とは掛け離れているが、俺の執念
   は全員生存での依頼達成だ。誰1人とて死者など出してなるものか。

    ちなみに十字架風オブジェには応急救護セットも配置されている。簡単な縫合までできる
   精密装備だ。これらで負傷した警備員達を治療できている。

ミスターT「応急処置完了。」
ナツミYU「フフッ、覆面の警護者の異名は伊達じゃないわね。それ即ち、死者を一切出さない猛者
      でもある。」
ミスターT「お世辞は構わんよ。で、内部の様子は分からず仕舞いか?」
    俺の言葉にアイコンタクトをするナツミYU。その先には扉に複数のナイフが突き刺さって
   いる。それが見事に反射して、内部の様子が薄っすらと確認できた。
ナツミYU「人質は重役全員、襲撃者は10人。全員サブマシンガンと拳銃の武装ね。」
ミスターT「警備員の傷からして、殺す目的で立て篭もった訳じゃなさそうだな。」
ナツミYU「どうするの?」
ミスターT「お嬢の戦略分析で打開案はこれだの。」
   そう言いながら、ゆっくりとその場に立つ。持参していた十字架風オブジェを構え、一気に
   内部へと突入した。驚愕するナツミYUだが、同時にサブマシンガンが一斉に放たれる。

    予想した通りの出来栄えだわ。十字架風オブジェはサブマシンガンや拳銃の弾丸を見事な
   までに弾き返している。というか当たった弾丸はどれも押し潰されているのだ。それだけこの
   十字架風オブジェが堅固である証拠だ。

    十字架風オブジェを構えつつ、ゆっくりと室内に侵入する。襲撃者の火砲が全部俺の方に
   向いたのを確認したナツミYU。颯爽と俺の背中を踏み台に飛び上がった。

    何と大会議場の天井中央にあるシャンデリアに両脚をぶら下げると、そこから襲撃者に目掛
   けて獲物を打ち出したのだ。何という運動神経だ・・・俺には絶対に真似ができない。

    また彼女の拳銃は独特の発射音をしている。それが合図となったのだろう、遠方の扉から
   ネイディア・セフィヌ・ヴァディメラが突入してきた。まるで踊っているかのように侵入し、
   襲撃者の両手両脚を正確に撃ち抜いていくのだ。

    僅か数分で襲撃者達は沈黙する。しかも誰1人として殺害していない。ただ両手両脚を撃た
   れた彼らは呻り声を挙げて蹲っているが。


    するとその中の1人が気力を振り絞り、大会議室中央に置かれた物体に触れようとする。
   それを見た俺は、十字架風オブジェ内に格納されている武器を使ってみる事にした。

    これ、取り出すだけで組み上がる仕組みだと取説に書いてあったのを思い出した。無理して
   動こうとする襲撃者への距離は十分だろう。柄のような部分を手に持ち、引き抜き様に相手に
   向かって一閃した。

ナツミYU「え・・ええっ?!」
    シャンデリアにぶら下がった状態のナツミYUが驚愕している。ふと見ると、展開された
   物体は巨大な槍であった。しかも装飾が施されている。それが無理をして動こうとしていた
   襲撃者の胸に見事に当たっている。そのまま白目を向いて気絶したのだ。
セフィヌ「ほ・・方天画戟じゃないですかっ!」
ミスターT「うぇ?! あのゲームの奴か・・・。」
   改めて手にしている獲物を見つめると、ゲームは真・三国無双の作品で登場する武器だった。
   俺もお気に入りの天下無双の武将、呂布奉先の獲物・方天画戟そのものだ。見事なまでに再現
   されている。
セフィヌ「これで叩かれちゃあ・・・ノックアウト間違いなしだわ・・・。」
ミスターT「何とも・・・。」
   この方天画戟、それほど重くないのに凄まじい重圧感である。やはりレプリカであっても、
   天下無双の武将の獲物だからだろうな。

    一部始終を窺っていたナツミYUが呆気に取られた拍子で、両脚の力を抜いてしまった。
   真下に落下した彼女を慌てて抱きかかえる。その真下には黒い物体があり、一歩間違えば激突
   していただろう。

ミスターT「危ねぇなぁ・・・。」
ナツミYU「あ・・ありがと・・・。」
    顔を赤くしながらも礼を述べてくる。これであの超絶的な動きをした伝説のガンマン、か。
   普通の女性にしか見えないのが何とも言えない。
ネイディア「危なかったでした。その真下にあるの、広範囲型炸裂装置です。」
ミスターT「素直に爆弾って言ってくれ・・・。」
   薄々は気付いていたが、直下にあるのはかなりヤバい爆弾のようだ。淡々と語るネイディア
   だが、後から駆け付けた特殊部隊員達が相当青褪めている。
ミスターT「案外、ナツミYUのヒップアタックで壊せたんじゃないか?」
ヴァディメラ「アッハッハッ!」
ナツミYU「も・・もうっ!」
   机からゆっくりと降りながら冗談を語ってみる。それに3人は大笑いし、ナツミYUは一段と
   顔を赤くして膨れている。う〜む、普段はこういった雰囲気なのか。


    僅か短期間で決着が着いた。本当に僅か短期間である。十字架風オブジェことパニッシャー
   がなければ成し得なかった業物だろう。それに内部に格納されていたレプリカの方天画戟も。

    そしてこれらを発案したミツキ達には脱帽するしかない。これを面と向かって言ったら、
   今度は何を持たされるか分かったもんじゃないが・・・。

    ちなみにネイディアが語る広範囲型炸裂装置は即ち爆弾で、しかもこの大会議場を完全に
   破壊するほどの威力を持っていたとの事だった。それに激突しそうだったナツミYUは見事
   としか言い様がない。

    ともあれ、誰1人として死者を出さずに事態を収束させられた。怪我人は多く出たが、十分
   過ぎる程の結果だろう。終わり良ければ全て良し、だ。



    大会議場の後始末はスペシャリストに任せるとして、俺達は用意されたホテルへと向かう。
   今から日本に戻るには時間が在り過ぎるため、一泊してから戻る事にしたそうだ。

セフィヌ「へぇ〜・・・ミツキさんは相当やり手ですねぇ〜・・・。」
    リムジン内でレプリカ方天画戟を持つセフィヌ。何でも彼女は三国志に興味があるようで、
   文献やマンガなどを読み漁っているとの事だ。ネイディア・ヴァディメラも同じで、果ては
   ナツミYUもかじっているとの事だ。
ヴァディメラ「引き抜くだけで展開して、しかも堅固さも維持しているというのは見事としか。」
ネイディア「あとこれ、もしかして十字戟でしょうかね?」
ミスターT「出してみるか。」
   更に十字架風オブジェ内に格納されている武器を取り出してみた。小さく折り畳まれているの
   だが、いざ取り出してみるとその場でデカい十字の獲物に化けたのだ。一歩間違えばこちらの
   顔に突き刺さるぐらいのデカさである。

ナツミYU「はぁ〜・・・ミツキさんも本当にやりますね・・・。」
ネイディア「これを奥の手としているとは驚きです。」
    呆れ気味の4人を尻目に、どうやって格納するのかと思う。だが意外にも本体中央部分の
   突起を押すと、再びコンパクトに折り畳まれたのだ。これ、一体どうやって作ったのやら。
ミスターT「最近だとスカイリムの影響で、語末に“の”を付けていた事があったな・・・。」
セフィヌ「あー、吸血鬼姫セラーナ嬢の口癖ですね。」
ヴァディメラ「スタンドアロンなのがネックよねぇ。みんなでワイワイできれば楽しいのに。」
ネイディア「でも色々と楽しめますから問題はないかと。」
ミスターT「お前らヲタクか・・・。」
   先程の戦闘の気迫はどこへやら。ワイワイガヤガヤとゲーム話を展開する3人の女傑。本気の
   姿はフェイクで、実際にはこれが彼女達の本当の姿なのだろう。

ミスターT「明日、日本に戻るのか?」
ナツミYU「今からでも戻れますが、この時間だと出発時間との時差ボケが相当出ますよ。ここは
      ゆっくり戻りましょう。」
ミスターT「俺的には飛行機がね・・・。」
    考えるだけで身体が震え上がる。あれだけ安定感があった超巨大ジャンボジェットでさえ、
   表を見ただけで震え上がった。今度はそうはいかないだろう。気絶必須かなぁ・・・。
ナツミYU「大丈夫ですよ。また膝枕をすれば解決します。」
ミスターT「そうなると、以後の飛行機移動はお前さんが必須になっちまうわな。」
ナツミYU「フフッ、ご用命とあれば喜んで。」
ミスターT「何とも・・・。」
   彼女の膝枕は本当に効果絶大である。移動に関して必須になると冗談を伝えると、エラい真顔
   で応じだすではないか。う〜む、案外彼女の口車に乗せられてしまったのかもな・・・。


    まあともあれ、依頼された内容は完遂できた。しかも死者を1人も出さずに、だ。後は日本
   に帰るだけだが、今夜はこの美女達にひっぱりだこにされそうな気がしてならない・・・。

    それでも普段から殺伐とした生き様を貫いている4人。そんな彼女達の明るい一面を見れて
   嬉しい限りだわ。女性はこうじゃなきゃダメだわな。

    第2話へ続く。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

戻る