アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第1部・第2話 海上防衛網1〜
    アメリカはニューヨークでの依頼を終えた後、4人の女傑に散々引っ張り回された。本業が
   プロの護衛者とは思えないぐらいの若々しさである。まあ息抜きがあればこそのものだろう。

    そして翌日、恐怖のフライトで日本に戻った。ナツミYUの膝枕に厄介になりながらだが。
   本当にこの膝枕パワーは凄まじいものである。


    ちなみにネイディアが言っていた喫茶店業務だが、これも本業の一環にすべきだとも言って
   いた。確かに闇の動きをする以上、情報が最大の武器となるのは間違いない。

    喫茶店業務なら色々な情報も入ってくるだろうし、まさか凄腕の警護者が喫茶店のマスター
   だとは思わないだろう・・・一応・・・。

    ともあれ、今はこのスタイルで動くとしよう。再びデカい依頼も入るかも知れない。



ミツキ「いらっしゃい、何にするかい?」
    すっかりマスターが板についたミツキだ。以前から何度か喫茶店の運営はしていたのだが、
   それを1つの本業と定めると凄まじいまでの順応を出してくる。それは姉のナツミAもしかり
   である。当然俺もそうだが、姉妹やナツミツキ四天王全員も調理師免許を取得済みだ。
ミスターT「ミツキやお前の腕前は凄いものだな。」
ナツミA「事務所の雑務をやる前は、喫茶店で働いていましたからね。むしろこちらの方が本業に
     近いでしょうし。」
ミスターT「いっその事、事務所を喫茶店の隣に置くか。」
   警護者の事務所は、喫茶店がある場所から結構離れている。この流れを主流にするなら、移転
   も考えた方がいいだろう。それに手持ちの資金はかなりの額があるしな。

ナツミA「十字架風オブジェが大活躍のようでしたね。」
ミスターT「ニューヨークでは見事なものよ。まあ決定打は方天画戟だけど。あんなにコンパクトに
      収納されていて、振り払うと元の大きさに戻るのが何とも。」
    ちなみに方天画戟は格納状態で、俺の背中に配置してある。専用とも言えるホルスターを
   言わばナップサック風にしたものだ。何時でも使えるように所持している。これでも外見から
   見ても違和感が全くない。
ナツミA「製造に悪戦苦闘しましたし。でもその甲斐あって、強度も攻撃力も見事なものでしょう。
     仕込み刀の強度を思い浮かべば分かると思います。」
ミスターT「通常の日本刀が100として、仕込み刀は80以下ぐらいか。」
ナツミA「そんな感じです。携帯性を考えると、どうしても耐久度が低下してしまいますからね。
     特に格納式にすると相当な強度低下を招きかねません。」
ミスターT「十字戟が一瞬で展開でき、かつ耐久度もレプリカとは思えない程にする。う〜む。」
   凄まじい職人技というか技術力だ。それを成し得られるのも見事なものである。まあ今後は
   これらが大活躍するのは言うまでもないわな。

ナツミA「相手が重火器の場合は厳しいですが、逆に刃物ならば出番ですよ。その威圧的な獲物で
     叩き伏せれば上出来でしょう。」
ミスターT「耐久度ありで火力も健在、と。致死に至らないなら問題ないか。」
    日本国内故に本来なら銃刀法違反に引っ掛かる。しかし警察庁長官のウインドとダークH
   からのお墨付きを頂いている。言わば銃刀法容認か。それに俺達の任務自体が生きるか死ぬか
   のものだ。このぐらいの装備は整えていないと危険な事には変わりない。
ナツミA「まあ今後の厳しい依頼には申し分ない戦力かと。思う存分、活用して下さいな。」
ミスターT「そのうち十字架風オブジェを2つ持たせられるんじゃないかね・・・。」
   トライガン・マキシマムの劇中では、ラズロ氏というキャラクターが三挺パニッシャーを展開
   している。背中に人口腕部を搭載した彼は、正しくモンスターそのものだ。ただいくら俺の
   腕力と体力が結構あるとしても、この十字架風オブジェを2つ持つのは無理があるが・・・。

    人は超人的な力を持つ存在に憧れを抱く。そのラズロ氏もそうだが、俺は三国志のリョフ氏
   が一番憧れている。彼の逸脱した力以前に、その生き様自体見習うべき模範だわ。ただし、
   裏切りだけはご法度だが。

    もしリョフ氏が裏切り常習犯という、レッテルが貼られない程の存在だったら。恩義に仁義
   に厚い武人だったら、後世にその名を轟かせる天下無双の猛将だったのだろうにな。本当に
   この点だけは悔やまれる。



ナツミYU「こんにちは。」
    喫茶店の奥で資料に目を通していると、先日お世話になったナツミYUが来店してくる。
   というか彼女、学園の総合校長だろうに。勝手に出歩いていいのかね・・・。
ミツキ「いらっしゃい、何にするかい?」
ナツミYU「えー・・・では・・・。」
ミツキ「元気が出るサンドイッチセットわぅね!」
ナツミYU「は・・はぁ・・・。」
   ナツミYUの生真面目そうな顔を見かねてか、ミツキが得意のキャラを演じだす。更には彼女
   やナツミAが考案した、サンドイッチセットを振舞うと言い出した。これ、何らかの悩みを
   抱えていると判断した人物に無償提供しているものだ。見事なサービスだろう。

ミスターT「学園の総合校長が出歩いていいのか?」
ナツミYU「同僚やOBの面々が担ってくれています。もちろん、私が裏の稼業を担っている事も
      ご存知ですが。」
ミスターT「だな。」
    カウンターの端に座る彼女。丁度俺の背面に座る形になる。何やら持参してきているが、
   再び依頼なのだろうか。
ミスターT「・・・飛ばされるのだけは勘弁な・・・。」
ナツミYU「あらぁ、まだ何も言っていませんけどぉ?」
   そう誤魔化すも、手持ちの資料を俺に突き付けてきた。前回の依頼ですっかり気に入られて
   しまった感じがする。まあ彼女とは俺が忘れているだけで、数十年来の付き合いだからな。
   このぐらいの和気藹々は定石なのだろう。


ミスターT「・・・今度は海上か。」
ナツミYU「ええ、超大型豪華客船内での要人護衛になります。」
    依頼内容の話になると真顔になる彼女。今回もかなり厳しいもののようだ。まあ船上なら
   問題はないが。1つだけあるとすれば・・・。
ミスターT「・・・海に落とさないだろうな・・・。」
ナツミYU「え・・・まさか・・・。」
ミツキ「Tちゃんはカナヅチわぅよ。」
   サンドイッチセットを完成させ、ナツミYUに手渡すミツキ。それに頭を下げて頬張りだす。
   その彼女が俺が水を苦手としている事を告げた。
ナツミYU「空もダメ、水もダメ。一体何が大丈夫なのですかね・・・。」
ミスターT「苦手なんだから仕方がないだろうに・・・。」
ナツミYU「はぁ・・・覆面の警護者の意外な一面が垣間見れましたよ。」
   物凄い呆れ顔で俺を見つめてくる。というか呆れられる以前に、俺の方としては本当に苦手
   なんだが・・・。

ミツキ「うむぬ、今回はわたと姉ちゃんも同伴するわぅ?」
ミスターT「お前達は泳ぎが得意だったしな。」
ナツミYU「え、ですが・・・。」
    参戦表明をするミツキとナツミAに困惑気味のナツミYU。これは姉妹の安否よりも、過小
   評価していると取れるか。そんな彼女の心境を読んだのか、エラい殺気を放ちながら詰め寄る
   ミツキとナツミA。これに顔を青褪めだすナツミYU。
ナツミA「へぇ〜・・・人を見掛けで判断するのは良くない傾向ですねぇ〜。」
ナツミYU「え・・ええっ・・・。」
ミツキ「このポチミツキ、見縊って貰っては困るわぅ!」
ミスターT「2人には何度か助けて貰っているよ。更に2人の専属四天王もしかり。普段はノホホン
      としているが、本気モードは間違いなくお前を超えているぞ。」
   自慢気に語ってみせた。それに殺気も織り交ぜながら、ニヤケ顔で応える姉妹。それを見た
   ナツミYUは更に顔を青褪めだしている。


ミスターT「まあ今のは過大評価かも知れないわな。ナツミYUの存在は2人も良く知っている。
      たった1人で大統領邸に乗り込み、本人を助け出した逸話は有名すぎるわ。」
ナツミYU「ああ、あの時ですか。私が学園の総合校長になる前の話です。あれ以来、危険な任務は
      単独でやる事を止めました。」
ミツキ「でも二丁拳銃のガンマンの逸話は有名ですよ。しかも誰1人として殺害しないでの達成と。
    普通なら死者が出てもおかしくない状況とも伺っています。」
    コーヒーを炒れて手渡すミツキ。それに再び頭を下げて啜るナツミYU。彼女の伝説的な
   行動のどれもは単独行動で成し遂げている。だからこそ二丁拳銃のガンマンと名が知れ渡った
   のだろうから。
ナツミYU「娘達を養っている以上、安易に命を危険に曝すのは良くありません。まあこれを言うと
      今の稼業自体を止めなければなりませんが。」
ミスターT「でも娘さん達はそんなお前を誇りに思っている、だな。守るべき存在がいるからこそ、
      人は強くも優しくもなれる。」
ナツミA「そうですね。だからこそ、こういった人を助ける職業に就いている。その度合い云々は
     抜きとしてですが。」
ミスターT「そんな陰で努力し続ける猛者を支えるのも俺の役目だわな。」
   一服しながら呟く。この稼業をやりだす前などでは、縁の下の力持ちの存在を痛いほど思い
   知らされた。彼らあっての俺達だという事を、だ。

ミスターT「カスもいるものだ。縁の下の力持ちの存在で這い上がれたのに、その人物を貶している
      実状。本当に腑煮え繰り返りそうになるわ。」
ナツミA「分からない奴は分からないままでいいんですよ。何れ同じ思いに至った時、時既に遅し
     ですから。それに貴方の名言が正に的を得ているではありませんか。」
ミスターT「誰彼がどうこうじゃない、テメェ自身がどうあるべきか。それが重要だ、か。」
    ミツキが差し出してくれた紅茶を啜る。この名言は恩師が何度も語ってくれた、今では俺の
   座右の銘である。この一念があったからこそ、今まで何度となく襲ってきた荒波を超えられて
   きた。何度も思うが、本当に感謝に堪えない。
ナツミYU「フフッ、貴方が本当に恩人のお弟子さんだと痛感せざろう得ません。その座右の銘は
      私も何度も伺っていますよ。確か貴方より年下だとお聞きしてます。」
ミスターT「俺より2歳年下だの。まあ彼女あっての俺自身だしな。それに師弟に年代なんか関係
      ないわ。ミツキやナツミAも言い換えれば俺の師匠でもある。この3人に至れば、もう
      怖いものなどないわな。」
   ミツキとナツミAを師匠と位置付けているのは、その絶対不動の原点回帰を持つ故だ。自分の
   生き様に対して徹底的に貫きだしたのも、恩師と姉妹のお陰でもある。それまでは右往左往は
   当たり前であった。

ミツキ「昔があって今がある、ですね。それにナツミYUさんとのお付き合いも、昔の経緯があって
    こそのものでしょうから。」
ナツミA「私達もマスターとの出会いがなければ、この道に至らなかったと思います。闇の稼業とも
     言えますが、それでも己の生き様を示せるのは大切な事です。」
ミスターT「お前達6人は別の道もあったんだろうけどね。」
    ナツミツキ姉妹とナツミツキ四天王との出会いは、殆ど偶然的なものだった。しかし今では
   盟友の域にまで達している。いや、殆ど同業者と言っていい。何だか巻き込んでしまった感が
   してならない。
ミツキ「んー、でもないと思いますよ。巻き込まれたのなら嫌々でしょう。しかし私達もこの生き様
    に誇りを持っていますから。」
ミスターT「あら、読まれちまったか。」
ナツミA「大体は察しが付きますからね。私達を見つめる目線が申し訳ないというのを。」
ミツキ「でも大丈夫ですよ。持ちつ持たれつ投げ飛ばす、が人情というもの。それに半ば悪党を懲ら
    しめるのは痛快極まりませんから。やる気が出てくるというものです。」
   自慢気に語る姉妹。確かに彼女達や四天王が参戦を決意した時も、その眼光に嘘偽りは全く
   なかった。それは即ち心中の決意の固さだ。それにこの6人は一度定めた生き様を、徹底的に
   貫き通す姿勢もある。俺が彼らを師匠と言う所以はそこにある。本当に素晴らしい存在だ。


ナツミYU「貴方が闇稼業に至った時は戦々恐々でしたが、今は貴方なりの幸せを築いていて安心
      しました。これなら心配はありませんね。」
ミスターT「だが放っておけない、だろ?」
ナツミYU「フフッ、愚問ですよ。貴方は命の恩人ですからね。私の生き様を挙げるなら、恩人に
      徹底的に尽くし抜くです。」
ミツキ「でもナツミYUちゃんは別の野心があるわぅけどね。」
    ミツキがサラッと述べる言葉に、不気味なほどの笑みを浮かべだしている。これは逆らおう
   ものなら殺されかねないわな・・・。
ミツキ「そうそう、その心境わぅよ。いくら朴念仁のTちゃんでも、ナツミYUちゃんが何を抱いて
    いるかぐらい察しが付くわぅよね?」
ミスターT「はぁ・・・。」
ナツミA「本当に異性に関しては疎いですよねぇ。まあ私達の場合は盟友の域という部分が強い。
     恋愛感情に発展はしませんけど。」
ミスターT「ナツミYUなら痛いほど分かるが、お前達の場合は失礼な気がしてな。もっとこう、
      純粋無垢の師弟の理と言うか。その一念の前では、無粋な考えは失礼極まりない。」
   本当にそう思う。この姉妹には恋愛感情というよりも、もっと純然な一念が強く思い起こる。
   その純然な一念の前には、普段思う一念など朝露の如き儚さだわ。

ナツミA「あら、ナツミYUさんへの一念はお分かりになられているのですね。」
ミツキ「ウッシッシッ! 誘導尋問成功わぅね。」
ミスターT「何とも・・・。」
    この姉妹は全てにおいて上手過ぎる。俺が言わば原点回帰をするのを見越してか、それを
   ナツミYUへの思いへと導き出した。完全に誘導尋問そのものだわ・・・。
ナツミYU「貴方がどう思われようとも、私は私の思いを貫き通しますよ。それに生半可な考えで
      挑もうものなら、貴方に対して失礼じゃないですか。」
   右往左往する俺に痛烈な一撃を加えるナツミYU。それは即ち己の決意の固さだ。それが恋愛
   感情だろうが何だろうが、彼女の心からの思いには変わらない。

    背面にいる彼女の左手を優しく取り、俺の右手でガッチリと握手を交わした。逆手で少々
   辛い姿勢だが、彼女の強い思いに対しての返しはせねばならない。


ナツミYU「・・・嬉しいです。恋愛云々ではなく、貴方が私の心の一念を察してくれた。」
ミスターT「さっきも言ったが、俺は生き様という概念に心から敬意を払っている。貪欲なまでに
      貫き通す。俺も己の生き様を貫く手前、他者の生き様も尊重したい。でなければ己を
      否定する事になるから。」
    恩師やナツミツキ姉妹との出会いを経て、生き様という概念に関して徹底的に敬意を払う
   ようになった。それがどんな生き様であれ、個々人が抱いて貫いているものだ。これに敬意を
   払わないでどうするか。
ミスターT「人生を楽に過ごすなら、生き様など抱かない方がいい。こんな堅苦しい概念は、間違い
      なく己の足枷になっちまう。それでも生き様を抱く生き様というか、これほど格好いい
      生き様など他にはない。」
ナツミYU「そうですね。生き様はその人の執念と信念の集大成。その生き様が輝けば輝くほど、
      執念と信念の堅固さが如実に表れてきます。中途半端な考えを抱くようなら、最初から
      抱かない方がいい。これ、貴方が記憶を失う前にも言ってましたよ。」
ミスターT「あら、昔の俺も同じ決意だったのか。」
ミツキ「基礎がしっかりなってるわぅね。」
   記憶を失う前の俺を知っている彼女が言うのだから間違いない。前の俺もそれなりの生き様を
   刻んでいた証拠だろうな。今では窺い知る事は不可能ではあるが。

ナツミYU「貴方とならどんな荒波だろうとも、乗り越えられない訳がない。今後も依頼の提示は
      致しますが、貴方のバディとして傍らにいたいのです。」
ミスターT「こりゃ・・・断れないわな。」
    俺の右手を両手で掴み胸へと抱くナツミYU。彼女の思いは本物、嘘偽りなど全くない。
   生き様を尊重する手前、ここで断ろうものなら俺の生き様が廃るわ。
ナツミYU「あ、でも男女間の問題は追い追いですよ。もちろんそれも期待していますが、今は荒波
      を乗り越える方が先決ですから。」
ミスターT「ハハッ、全てにおいて一歩上手だわ・・・。」
   補足気味に語る彼女。本音の方は後回しにすると言い出した。まあこれも彼女の生き様なら、
   応じなければ失礼極まりない。う〜む・・・不思議な流れになったものだわ。
ミツキ「Tちゃんも罪な男わぅね。」
ミスターT「ふん、言ってろ。」
ミツキ「ウッシッシッ♪」
   茶化しを入れてくるミツキ。顔を赤くするナツミYUだが、場の雰囲気を和ませてくれた事に
   小さく頭を下げている。この女傑は本当に素晴らしいものだわ。



ミスターT「で、改めて本題に入るが・・・。」
    厨房を後から来たメンバーに任せて、喫茶店の奥へと移動する。今回はミツキとナツミAも
   一緒とあり、4人での作戦会議となった。
ナツミYU「場所が場所なだけに、一歩間違うと大惨事になりかねません。ただ超大型豪華客船は
      通常より規模が異なるため、そんな簡単には沈みませんが。」
ナツミA「これ、アレですかね。三島ジェネカン所有の船籍で。」
ナツミYU「ええ、その通りです。」
ミスターT「あの世界最大の大企業か。」
   三島ジェネラルカンパニーの話は何度も聞いている。世界中に支社があり、総資産は天文学的
   な数値だという。しかし根底は人を助けるに重点を置いているため、彼らに支えられている
   人物や団体は数多い。
ナツミYU「私達の学園の運営も、三島ジェネカンが担ってくれています。だからこそ、この任務は
      完全遂行させたい。それが今回の決意と護衛依頼です。」
ミスターT「そこは同調するよ。縁の下の力持ちを支えずして、今の俺は在り得ない。分かった、
      この任務も同伴しよう。」
ナツミYU「ありがとうございます。」
   深々と頭を下げるナツミYU。彼女の決意の固さは周知の通りだ。それに完全遂行を狙うの
   なら、俺達も参戦した方がいい。

ミツキ「ありゃ、前回の依頼の報酬はどうなったわぅ?」
ナツミYU「あ、そう言えば済し崩し状態でしたよね。」
ミスターT「俺は構わないが。飛行機での移動で、気絶に見合うだけの落ち着かせをさせてくれた。
      あれだけで相当な報酬だと思う。」
    数日前のニューヨークの依頼の報酬は殆ど貰ってない。貰ったとするなら、ナツミYUの
   超絶的な膝枕の恩恵だ。でなければ依頼自体請け負わなかっただろう。
ナツミYU「ですが、形なりにお渡ししないと・・・。」
ミスターT「ん〜・・・なら、今度葛西臨海公園でも行こうか。」
ナツミYU「ええ・・・嬉しいですけど・・・それでよろしいので?」
   俺の素っ気無い提示に滅茶苦茶赤面をしている。本来なら彼女から打ち明けてくる内容を、
   俺の方から言い出したのだ。意表を突かれているのは言うまでもない。
ミツキ「ここは素直に受け取っておくわぅよ。Tちゃんからのアプローチは滅多にしないわぅ。」
ナツミA「それが報酬の代わりになるなら、お安いものだと思いますよ。」
ナツミYU「は・・はい・・・、仰る通りに致します・・・。」
   う〜む、簡単な提示を考えたが行き過ぎたか。ただ彼女が息抜きをしていないのは、あの恐怖
   のフライト終了時に伺っている。これで少しは肩の張りが取れれば幸いだ。

    雑談はさておき、その後も本題の依頼内容の確認をし合う。今度もかなり高度な依頼だけに
   油断は禁物だ。それに・・・海がな・・・。う〜む・・・。


    依頼遂行は数日後。それまでに再び武具を整えるとしようか。今回は当日まではナツミYU
   が喫茶店に通い詰めするとの事だ。ここはナツミツキ四天王が発案している武具の品定め役に
   なって貰おう。

    十字架風オブジェことパニッシャー風の武装ポッド。それに銃弾や斬撃から完全に身を守る
   特殊スーツ。特に後者のスーツはナツミYU達の方も是非欲しいとの事だ。

    命懸けで戦う彼女達には打って付けだろう。材料費のみ手配して頂き、人件費は無償で提供
   する事にした。まあ相当な材料費が掛かるのだが・・・。

    それと方天画戟や十字戟に触発されてか、彼女達がゲームで操作するキャラの得意武器を
   開発する事になった。ナツミYUは両節棍、ネイディアは戟。セフィヌは牙壁、ヴァディメラ
   は狼牙棒。これ、三国志のゲームの獲物そのままである。

    更に凄いのは、それらを縮小格納できるようにするとの事だ。どうやって至るのか不思議で
   ならないが、ここはナツミツキ四天王の力を信じるしかない。

    ちなみにミツキとナツミAは方天画戟と十字戟の両方との事だ。また現実武装ではミツキが
   マグナム、ナツミAはスナイパーライフルである。性格がそのまま現れているわな・・・。

    中半へと続く。

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