アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第3部・第02話 戦艦と戦闘艦2〜
ティエラ「本当に実現していたのですね・・・。」
ミツキ「ふふり、わたの獲物わぅよ。」
エシェムF「何と言うかまあ・・・。」
    喫茶店の駐車場に鎮座する改造デロリアン。それを見たティエラとエシェムFは驚愕して
   いる。どうやらこの2人、娯楽の時間をゲーム・アニメ・マンガ・映画関連に費やしていた
   ようである。しかもお嬢様らしからぬ知識力だ。これには流石のミツキも驚いている。
ナツミA「以前、2度目のカーチェイス事変の時の報酬ね。それをナツミYUさんに言って改造して
     貰った形よ。」
ミツキ「ワンコという名の未来に向かってやるわぅ!」
エシェムF「アハハッ。未来と言わずとも、コミケやアキバに赴けば大喝采ですよ。」
ミツキ「実際にこれでアキバには行った事があるわぅよ。」
ティエラ「何ともまあ・・・。」
   各作品群の知識は豊富な2人だが、実際に登場する車両を具現化するのには驚いている様子。
   確かに改造デロリアンの様相は劇中の最終形態を細部に渡って再現している。しかも反則的な
   手法では重力制御の理から、実際に空を飛ぶ事ができるのだから怖ろしい。過去や未来には
   赴けないが、栄光の道を突き進む事は確実にできるだろう。

ティエラ「・・・実際には私達自身の力のなさには落胆してます。もっと力があれば、父達の愚行を
     阻止できたのかも知れません。」
ドクターT「全て承知済みだった訳か。」
エシェムF「ゲーマーとしての道を進んだからか、この手の部分は把握しています。ただ皆様方の
      様な警護者や大企業連合の事は、貴方を通して知りましたけど。」
ドクターT「閉鎖空間が産んだ2つの産物か・・・。お前達は悪いが、実にバカげてるわな。」
    この2人は父親達の愚行を既に読んでいたようだ。そして邪魔者扱いとして追い遣る事で、
   結果的に2つの産物を得るに至った。多岐多様の娯楽の道に進みだした事による博識力と、
   それに伴う警護者に匹敵する直感と洞察力である。ノホホンとしていたのは完全にモグリで
   あったようだ。
ミツキ「Tさん、もう恐怖の暴君を演じなくても良いのでは?」
ドクターT「そうだな。仮面を外して警護者に戻っても、その状態で恐怖の暴君と名乗っても良い
      だろう。」
ナツミA「一瞬の出来事でしたけど、実際に大役を担い切れましたし。」
   姉妹に諭されて、装着していた仮面を取り除いた。中は従来の覆面の姿のままである。しかし
   素顔を知らなかったティエラとエシェムFはその様相に驚いてはいたが。
ミスターT「ドクターTは恐怖の暴君を名乗る時に用いるとしよう。今から元のミスターTに戻る。
      漸く一服できるわな。」
ミツキ「うむぬ、それでこそ覆面の風来坊わぅよ♪」
ナツミA「まるでダース・ベイダーみたいな感じだったけどね。」
ミツキ「コーホー・コーホー。」
ミスターT「何とも。」
   俺の素体の姿に逆に圧倒されるも、ミツキのネタに笑い合うティエラとエシェムF。この笑顔
   こそ彼女達に相応しいものだろうな。そして確信した。この2人は訓練を経れば、警護者に
   引けを取らない戦闘力を持つ事ができると。

    逆に父親達の流れを踏まえると、ティエラとエシェムFにそれなりの戦闘訓練をさせた方が
   安全かも知れない。直感と洞察力が優れているなら、最前線に出ずとも十分な力を得る事が
   可能になる。

ミスターT「・・・さっき、もっと力があればと言っていたよな。実際にそれ相応の力を得る術は
      あるが・・・挑んでみるか?」
ティエラ「可能であるなら、是非とも挑ませて下さい。むしろ父達の愚行を、この手で阻止したい
     決意です。」
エシェムF「同じく。何れ国内はおろか、国外や地球外にまで火種を出しかねない愚行です。絶対に
      阻止せねばなりません。」
ミスターT「そうか、分かった。」
    一服しながら2人の決意を伺った。静かに語るも、その内情は痛烈なまでの一念が据わって
   いる。今までどれだけの苦痛を味わってきたのか、ここに込められていると言えた。
ミツキ「修行なら私達が担いますか?」
ミスターT「そうだな、ミツキとナツミAが適任か。全てにおいての万能戦闘戦術を得ているし、
      敵側を欺くには打って付けだろう。」
ナツミA「他に数人だけ護衛がいて下されば何とかなりますね。お2人を狙った襲来者だと、場合に
     よっては対処し切れない可能性もありますし。」
ミスターT「トラガンの精鋭中の精鋭を抜粋するか。」
   エルシェナからは有事には最大限の戦力を出せると言っていた。今こそその力を拝借する必要
   があるな。トラガンの精鋭中の精鋭は、躯屡聖堕チームなどで修行を経た凄腕の女性陣だ。
   彼女達とナツミツキ姉妹が一緒なら全く問題ない。それにいざとなったら転送装置を使えば
   即座に駆け付けられる。
ミスターT「力は使ってこそ真価を発揮する、か。いや・・・力は使わなければ真価を発揮しない、
      これだな。」
ナツミA「正しくその通りですよ。使ってこそ真価を発揮しますが、使わなければ全く意味がない。
     今後の流れを考えれば、その一念を汲まねば厳しいでしょう。」
ミツキ「ここは先のプラン、メカドッグ部隊を編成するわぅよ!」
ナツミA「モッフモフならぬ、ガッシガシな感じよね。」
   生身のワンコならモッフモフだろうが、機械のワンコだとガッシガシであろう。それを聞いた
   ティエラとエシェムFが一際大笑いしていた。父親達の愚行の重荷を一旦除いた2人だと、
   物凄い明るい女性になるようだ。本来はこの姿が正しいだろう。

    メカドッグ部隊の創生は各々に任せるとして、ナツミツキ姉妹とトラガンの精鋭中の精鋭に
   ティエラとエシェムFの直近護衛を任せた。と同時に彼女達総出で2人の修行を担って貰う
   形になる。かなりの重役であろう。

    しかし同時に独立して動いていた俺が本線に戻れる。ティエラとエシェムFが警護者に匹敵
   する戦闘力を得られるなら、もはや守られる側より守る側に至るだろう。下手をしたら俺も
   守られる側になるかも知れない。それだけ2人の直感と洞察力は強いのだ。

    半年ほど世上を見て回ったが、漸く動き出す時が来たようだ。

    中半2へと続く。

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