アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第1部・第3話 暗殺者に愛の手を1〜
    超大型豪華客船での依頼を終えた。逃げ場がない船上を逆利用した不審者掃討は見事なもの
   である。それに俺達の実力を窺い知るための場でもあったという。

    世界最大の大企業のオブザーバーたるエリシェの前では、俺達は一介の警護者でしかないの
   だろうな。しかし彼女が思うのは他者を利用するというものではなく、共に戦うという共助の
   姿勢が非常に強い。それに来るべき戦いに備えるための準備とも取れた。

    この先何が待ち構えているかは分からない。ただ確実に分かるのは、先の依頼が今後の俺達
   に多大な影響を与えたという事だ。


    まあ何にせよ、今後も俺達は警護者の生き様を刻むのみ。それが俺達の絶対的な概念だ。
   強いては自由とも言えるだろうな。

    生き様とは、貪欲なまでに貫き続けてこそ真価を発揮する。本当にそう思わざろう得ない。



    そうそう、面白い事があった。と言っては本人達に失礼だが。かなり前に迷子の娘を母親と
   再会させた経緯があった。後日、喫茶店にお礼に訪れた時。店舗にいたナツミYUが驚きの
   声を挙げたのだ。

    この母親、名前はシューム。娘はリュリア。シングルマザーな点から知り合ったそうだが、
   何とシュームも元警護者という実力者だったのだ。

    更に凄いのはナツミYUの先輩格だという。年齢は5歳ほど離れているが、それを感じさせ
   ないぐらいの師弟的な関係との事。シュームに頭が上がらないナツミYUの姿には、見ていて
   呆気にさせられる。


    丁度船上での依頼を終えた後日、シュームとリュリアが喫茶店で働きたいと申し出てきた。
   先日の恩返しだと言う。シューム自身は過去に飲食店で働いていた経緯から、調理師免許は
   取得済みとの事だ。

    リュリアはまだ10歳と若いが、外見に似合わず相当なパワフルガールである。ミツキに
   近い体格故に、臨時のウェイトレスはお手のものである。

    というか彼女、未成年なのに大丈夫かと心配になるが・・・。まあ俺達の裏稼業からして、
   このぐらいは優しいものだろうな。



ミツキ「これお願いわぅ。」
リュリア「はーいっ!」
    う〜む、和やかだ。厨房のミツキが料理を完成させ、リュリアがトレイに乗せてお客さんに
   運んでいく。更に厨房の奥ではシュームが料理と格闘中である。肝っ玉母さんとは正しくこの
   事だろう。

    ちなみにカウンターの隅にはナツミYUが半ば駐留している。学園の方は同僚や弟子達に
   任せているのが何とも言えない。まあ彼女の場合は運営費を稼ぐ事に重点を置いているため、
   裏の学園校長という意味合いだろう。


ミスターT「詳しく聞いてなかったが、シュームの実戦経験はどうなんだ?」
シューム「かなりのブランクがあるけど、ナツミYUよりは上手なのは事実ね。」
ナツミYU「お・・仰る通りで・・・。」
    何ともまあ・・・。美丈夫で有名だったナツミYUが萎縮している。それだけシュームの
   存在が凄い証拠なのだろう。俺と1歳しか差がないのにな・・・。
ナツミA「シュームさんの噂は聞いていますよ。ハンドガンを四丁拳銃するという強者と。」
ミスターT「・・・どうやるんだそれ・・・。」
ミツキ「ベヨベヨわぅ〜。」
   参考までにと資料を渡してくるミツキ。そこにあったのは、ゲーム・ベヨネッタでの同お嬢の
   戦闘スタイルとの事。どうやら両手以外に両脚にハンドガンを装備し、それを上手い具合に
   射撃するスタイルらしい。本当にできるのかこれ・・・。

ナツミYU「先輩の両脚にハンドガンを装備するスタイルは、ゲームを題材に確立させた戦術です。
      足首の調整で射撃できるように改良を施し、後は踊っているかのように動くのみで。」
シューム「ただ両手とは勝手が違うからね。口径は小さいのしか選べないけど。」
ミスターT「口径の問題よりもできる自体がね・・・。」
ミツキ「さあ、宴の時間わぅ!」
    信じられない戦闘スタイルに呆然とするが、ミツキの茶化しに笑うしかなかった。案外彼女
   も同じ動きができそうだな。むしろミツキの場合はマグナムよりもマシンガンの方が効率が
   いいのかも知れない。機敏さなら身内最強なのは間違いないわ。
シューム「でもナツミYUの方が伝説的な扱いよ。私は小規模でしか動かなかったから、目立った
     依頼は請け負わなかったし。」
ナツミYU「ですが私の基本スタイルは先輩が淵源ですよ。先輩が本気を出されたら、もっと凄い
      事になると思いますから。」
シューム「全盛期はそれなりにやれたんだけどねぇ〜。」
   テキパキと料理を完成させてミツキに渡す。それに一手間加えてリュリアに渡し、お客さん
   へと運ばれていく。前から行っていなければできないものだ。流石としか言い様がない。

シューム「でもまさか、リュリアと会わせてくれた君が警護者だったとはねぇ。しかもナツミYUの
     命を救った経緯もあるじゃない。」
ミスターT「俺の全く知らない俺なんですけどね。」
    紅茶を啜りながらぼやく。シュームが語る内容は、俺の知らない自身が行った事だ。本当は
   記憶喪失で忘れてしまって、窺い知る事ができないだけだが。
シューム「フフッ、なるほどね。ナツミYUが惚れるだけあるわね。」
ナツミYU「な・・何を言うのですか・・・。」
シューム「あら、貴方も彼の魅力に取り付かれているでしょうに。私は以前の迷子騒動時で、気には
     なっていたけどね。これだけの魅力がある男性なんだから、もっと積極的にならないと
     ダメよ。もちろん、私もその流れに乗るけど。」
   エラい不気味なほどの笑みで俺を見つめてくる。ナツミYUにはない、女性の貪欲な一面とも
   言うべきか。取って食われそうな感じだ。これは流石に真似はできないだろう。
ナツミA「お2人は母親故の見定めた一念がありますよね。しかもどちらもシングルマザーと全く
     共通点が同じ。異なるとするなら、ナツミYUさんは水・シュームさんは火でしょう。」
ミツキ「わたと姉ちゃんと同じわぅね!」
ナツミA「貴方は炎、私は氷よね。」
ミツキ「燃え上がるわぅぜぇ〜!」
   2人の美女による妖艶な雰囲気を打ち消すかのような、ナツミAとミツキの見事なやり取り。
   これにはどうしても笑ってしまう。この姉妹は素体の問題で超絶的過ぎるのだ。


シューム「ところで、都心の暗殺者の話は聞いてる?」
ナツミYU「ああ、あの一件ですか。」
ミスターT「何だそれ?」
    粗方作業を終えて休憩に入るシューム。引き続き厨房はミツキが担い、補佐にナツミAと
   リュリアが行うようだ。その中でカウンターに座るシュームが奇妙な事を言い出した。
シューム「極悪人だけを狙う暗殺者がいるそうよ。しかも姿を見せない事から、死神とも言われて
     いるみたい。」
ミスターT「半殺人鬼か。」
ナツミYU「いえ、その人物も不殺生を貫いているみたいですよ。ただ瀕死にまで追い込むぐらいの
      猛攻は加えるそうですが。」
ミスターT「俺達と何ら変わらない感じがするけどな。」
   今までの依頼でも、殺害はせずとも相当な重傷を負わせてきた。両肩・両腕・両脚への射撃は
   無論、体術や鈍器による殴り付けもしかりである。その暗殺者と言われる人物がどのぐらいの
   度合いなのか気になるが。

ミスターT「まあ最悪のケースは、同業者同士の対決だろうけど。」
ナツミYU「そこなんですよね、一番の怖さは。」
シューム「あら、相手が誰であれ叩き潰すのが信条じゃないの。それが同業者であれ、妨害要素なら
     徹底的に叩き潰す。それがこの道の暗黙の了解よ。」
    ナツミYUの戦闘スタイルをしても、ある一定の慈愛は保ってはいる。しかしシュームの
   場合、多分それは完全に切り捨てているだろう。でなければ要らぬ感情で逆にやられる可能性
   もある。
シューム「愛する者を守るためなら、私は躊躇なく引き金を引くわ。自分がやられては、守る事すら
     できなくなる。一切の私情は禁物、徹底的な無慈悲な一撃を放つのみよ。」
ミスターT「ギラついた感情だなぁ・・・。まあそれこそが警護者としての真のあるべき姿だが。」
ナツミYU「私には厳しいです・・・。」
   シュームの肝っ玉の前だと、流石のナツミYUも赤子当然だろう。しかし彼女が厳しいと言う
   のは、いざ本気を出せば同じ事は可能だという現れだろうな。伊達に伝説のガンマンを謳って
   はいない。


ミツキ「わたはシュームちゃんの一念は同調しかねないわぅ。やっぱ相手も自分も助かる方を取って
    おきたいわぅよ。もちろん、敵対者には冷徹無慈悲な鉄槌は下すわぅけど。」
ナツミA「そうね。シュームさんの一念は相手を殺しかねない痛烈なもの。それでは何れ己自身が
     ダークサイドに陥るのは間違いありません。ここはマスターの十八番、悪人心折で殺す
     のが無難だと思いますよ。」
    シュームの信念には同調できないと語る姉妹。しかし理は理解しているようで、用はその
   手段に同調できないという事だろうな。理は十分同調している。かくいう俺もそうだ。
シューム「う〜ん、やっぱそうかなぁ・・・。」
ミツキ「うむぬ。ただシュームちゃんが悪いという事ではないわぅよ。ただ殺害という一念が絶対的
    に悪いというのであって、それ以外の部分は全然OKだと思うわぅ。じゃないとこの生き様
    は絶対に貫けないわぅね。」
ミスターT「シュームの一念は本当に殺しかねないものだからな。そこだけは同調できんわ。しかし
      躊躇なく引き金を引く、は同調できる。でないとこちらがやられるからの。」
ナツミA「シュームさんの一念は、本来あるべき警護者の姿ですよね。要らぬ感情すらも捨て、冷徹
     に任務を徹底する。むしろマスターの不殺生の戦闘スタイルこそ、ある意味異端児でも
     ありますし。」
ミスターT「まあねぇ・・・。」
   一撃必殺の重火器を用いている以上、下手をすれば相手を殺害しかねない。それを行わず、
   技術で覆していく姿。なかなかできるものではないが、それが実際にできているのは実力が
   伴っている証拠だろうか。

シューム「でもT君の場合は執念と信念よね。こればかりは私には真似できないわ。私は目の前の
     敵は完全排除を狙うから、強いては殺害に至ってしまう。もちろん今までの依頼では至る
     事はなかったけど。」
ミツキ「それ即ち、さっきのは心構えわぅね。心構えなら同調できるわぅよ。ただし、行動はご法度
    わぅからね?」
シューム「大丈夫よ、そこまで愚かじゃないから安心して頂戴な。」
    自分を見縊るなと小さく笑う彼女。この笑いには数々の修羅場を潜った者が伝えられる、
   哀愁がヒシヒシと伝わってくる。心構えこそ殺意を持つも、実際に不殺生を貫いている彼女
   こそ伝説的存在だろうな。
ミスターT「ただし、心殺しなら何度でも行うがね。まあ廃人同然になるが、殺害には至らない。
      以後の悪行を行わなくさせるなら、俺は何でも用いてやる。」
ミツキ「ウッシッシッ♪ ギラ付いた殺気と闘気で一撃必殺わぅね!」
ナツミA「廃人程度ならば、刑務所で余生を過ごせますからね。因果応報の理は、しっかり受けて
     貰いますよ。」
   怖すぎるぐらいの殺気を出すナツミA。それに当てられてミツキも同じく殺気を出し始めた。
   それに青褪めるシュームとナツミYU。凄腕の警護者を以てしてもこれだ。姉妹の凄さが滲み
   出ているわな。


    しかしまあ、先日の迷子騒動時は普通の母娘の感じがしていた。それがどうだ、母の方は
   伝説の二丁拳銃ガンマンの師匠的存在だというのには驚くしかない。しかも両腕両脚を駆使
   した戦闘スタイルと言う。

    ゲーム・ベヨネッタでは、作品内の彼女が同じ戦闘スタイルをしている。しかしそれを実際
   に行うには、かなりの高度な戦闘技術を必要とすると思われる。凄腕ガンマンのナツミYU
   ですら、二丁拳銃止まりだ。

    シュームの四丁拳銃スタイルは一体どんなものか、是非とも見てみたいものである。



    数日後。ナツミYUに連れられて、葛西臨海公園へと足を運んだ。ニューヨークでの報酬の
   一件だ。まあ本音は彼女の肩の疲れを取るのが目的だが。

    この時、シュームがエラい殺気だった表情で俺を見ていたのが何とも言えない。何時何処で
   そう思われるようになったのか不思議なのだが・・・。

    恋する乙女は怖いぞ、と雰囲気で語っているようにしか思えてならない。まあそれだけ2人
   が若々しい証拠だろう。俺とも年齢が近いだけに、2人の姉に囲まれている気がする。


    ちなみに現地へはナツミYUの愛車で移動した。ランボルギーニ・ムルシエラゴだ。本気時
   の時速は軽く300kmを出すこれは、緊急事の車両としても使っているそうだ。

    またウインドとダークHとも顔馴染みなため、パトランプも装備しているという。つまりは
   覆面パトカーを装って移動可能というものか。それを罷り通る事ができるのも呆れるが。

    まあ警護者という職業柄、移動手段は迅速を要する。半ば神速とも言えるだろう。そのうち
   自家用ヘリとか運用しだすんじゃないか・・・。う〜む・・・。



    一服しながらナツミYUを待つ。彼女が駐車スペースにランボルギーニを停める時、一際
   目立つため人だかりが出来てしまった。そんな彼らとの会話も難なくこなす姿に驚かされる。
   流石は学園の総合校長だろう。

    彼女は幼少の頃は女優になりたかったとの事だ。独学で色々と学び、努力した結果が今の
   プロポーションだろう。しかし時は皮肉にも伝説の二丁拳銃ガンマンへと仕立ててしまう。
   その影響を及ぼした人物がシュームなのだ。


    シュームの方は幼少の頃から格闘術を学んでいたようだ。それが己の生き様を断固示せると
   あり、警護者の道へと進んだという。ナツミYUと同じく、パートナーとは娘が生まれる前に
   他界している。

    何から何まで本当に似ている。ただナツミAが言うように、水と火という真逆の属性だ。
   気質が違うと言うべきか。本当に見事としか言い様がない。



ナツミYU「おまたせ。」
    駅前の噴水近くで一服していると、彼女が駆け付けてきた。何だかんだで数十分は雑談を
   していただろうか。公私共に一切の抜かりない動きは流石である。
ミスターT「まるで女優のようだったな。」
ナツミYU「フフッ、まあね。」
ミスターT「本当なら、その生き様の方が幸せだったのかも知れないがね。」
   皮肉を込めて語った。彼女の持ち前の明るさからすれば、警護者という裏稼業よりも表稼業の
   方が性分に合うだろう。それがこの道を選んだ事に何とも言えない気分になる。
ナツミYU「全く問題ないわ、私自身が選んだ生き様だもの。後悔するぐらいなら、最初からこの道
      は選んでないから。」
ミスターT「まあねぇ・・・。」
   シュームの影響で警護者に至ったという事だが、それ程までにこの裏稼業を挑む部分が不思議
   でならない。かく言う俺も同業者故に、これを言ってしまえば釈迦に説法だがな。

ナツミYU「一時期、止めようと思っていたのよ。粗方資金郡は稼げたし、後は学園の総合校長で
      余生が過ごせそうだったから。」
    海岸方面へと歩きながら会話を続ける。午前中の到着だったため、彼女お手製の弁当を持参
   してのものだ。娘達以外での弁当作成は、昔を思い出すと言っている。
ナツミYU「でもどうしても外せない理由が出来ちゃってね。今もこの道を貫いている訳よ。」
ミスターT「・・・俺の記憶喪失の一件が発端か?」
ナツミYU「読まれちゃったかぁ・・・。」
ミスターT「何とも。」
   苦笑いを浮かべる彼女。この裏稼業を止めるとなると、相当な決意が必要だろう。しかしその
   一念を打ち消すような出来事が起きたとするなら話は別だ。俺が記憶を失う事変が、彼女の
   その思いを踏み止ませたようだ。
ナツミYU「君に命を救われたのよ。しかも回復した君は警護者の道に進みだした。ここで陰ながら
      支えないと忘恩になりかねない。」
ミスターT「俺が思うに、当時の俺もお前の望む生き様を願ったと思うけどね。恩返しを期待しての
      行動だったら、間違いなくその事変は起きていない。」
ナツミYU「ええ、そうね。でもそれ即ち、私達全員この世にはいないかもね。」
   淡々と語るが、その言葉には凄まじい重さが秘めている。もし当時の俺が行動をしてなかった
   のなら、飛行機は墜落して全員死亡していただろう。当時の俺の一念は分からないが、全員を
   助けたいと思ったのは間違いない。

    ソッと俺の手を握ってくるナツミYU。顔を窺うと目で安心しろと語り掛けてきた。こちら
   の心中を察した形のようだ。その手を優しく握り返した。

ナツミYU「どんな形であれ、貴方は私達を救ってくれた。記憶を犠牲にしてまで。これに恩返しと
      思わないのは、人としてどうかしてるわよ。」
ミスターT「う〜ん・・・そこまで固くならなくていいんだけどね・・・。」
ナツミYU「そこはもう貴方の座右の銘よ。誰彼がどうこうじゃない、自分自身がどうあるべきか。
      それが重要だと、ね。私は私の生き様を通して、貴方に恩返しをし続ける。それが私の
      どうあるべきか、よ。」
    手繋ぎから腕絡みへと変えてくる。その思いが行動に滲み出てきているかのようである。
   そこに愛情も絡めば、より一層強い一念へと化けてくるだろう。むしろこれが彼女の断固と
   なる一念や生き様とあるならば、心から応じなければ俺の生き様に反するわ。
ミスターT「・・・俺はお前の生き様にどう応じればいい? お前の思いを無解にはできない。俺に
      できる事は最大限応じてあげたい。」
ナツミYU「ありがとう。今は今のままでいいわ。これからも同業者として良き相棒になれれば幸い
      だから。でも全てが終わったら・・・貴方と一緒になりたい。」
ミスターT「分かった。お前がそう望むなら、俺は心から応じる。しかし今はまだ待ってくれよ。」
   俺の返答に涙ぐみながら頷くナツミYU。告白へ応じた形になるが、それを彼女が望んでいる
   のなら応じねば失礼極まりない。生き様には生き様で応じる、それが俺のスタイルだから。


    彼女の再会と今の流れは、どうやら昔から定まっていたようだ。記憶を失う前の俺自身が
   接しているのなら、相当な期間を過ごした事にも繋がる。当時の俺が何を抱いていたかは全く
   分からないが。

    ただ1つだけ言えるのは、己の記憶を犠牲にしてまで彼らを救ったという事だ。実際に自分
   の記憶が失われているのが事実であり、ナツミYUなどの強者からは報恩を抱かれている。

    ナツミYUの言動は、己を確かめさせてくれているかのようだ。己が過去に行った行動を、
   恩返しとして示してくれていると。

    ならば、その彼らに応じねば俺として失礼極まりない。恩には恩で返す。それが今の俺が
   貫く生き様だ。これは今後も曲げるつもりは毛頭ない。


    海岸まで歩くと、近場の段差に腰を下ろす。そこで持参した弁当を食べる事にした。彼女の
   お手製のとあって、中身は物凄い豪勢なものだ。気合いの入れ様が違う。

    流石は現役主婦だ。今も娘達には毎日弁当を作っているという。数日間の裏稼業に赴く際は
   仕方がないが、それ以外は必ず母親を徹底しているとの事。

    何だか伝説の二丁拳銃ガンマンが成せる技とは思えないわ。このギャップは見事としか言い
   様がない。だからこそ今も強さを固持できるのだろうな。

    あれよあれよと食が進む。心の篭った弁当は会心の出来だ。その俺の姿に笑顔で見つめて
   くれている彼女。う〜む、これが家庭という味なのだろうな。

    中半へと続く。

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