アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第1部・第4話 超長距離精密射撃1〜
    都心の暗殺者を逮捕という名目で保護したエリシェ達。今は警察庁で厳重に警護している。
   その人物自身、相当の腕前を持つ狙撃手としても有名との事。だから暗殺者の異名が付いたの
   だろうな。

    そして悪道に走る連中のみを狙っていたため、今では敵対者に大変な目の敵にされている。
   それを憂いての逮捕という名の保護のようだ。

    う〜む、独自ルートで開拓した道筋か。暗殺者という異名は持つが、その人物は十分警護者
   としての存在感が溢れている。問題は同調できるかどうかだが、まあ問題はないだろう。


    ちなみに今回はエリシェ達も同伴という事だ。13人の女性陣が集ったため、シュームや
   ナツミYUからは終始殺気に満ちた目で睨まれているが・・・。

    またミツキとナツミAも一緒である。先日調整が終わった獲物を持参してくれた。更に新型
   兵器も多数作ったとの事で、これは実際に戦闘で使う事になりそうだ。



エリシェ「お連れしました。」
    今は警察庁本庁にいる。ここなら要らぬ妨害はまず入らない。その中でエリシェが暗殺者を
   連れて現れた。傍らにはウインドとダークHもいる。
ミスターT「う〜む、女性だったのか・・・。」
   半ば護送された暗殺者を見て驚いた。てっきり男性かと思っていたが、実は女性だったのだ。
   青髪の美丈夫で、丁度ナツミYUぐらいの背丈だろうか。
ミスターT「初めまして、かな。ミスターTと言います。まあ覆面の警護者の方が分かるかと。」
暗殺者「あ・・貴方が伝説の警護者・・・。失礼、私はデュリシラ=リムティレスと申します。」
ミスターT「よろしく、デュリシラ。」
   う〜む、もっと恐々した存在かと思っていたが・・・。ナツミYUやシュームみたいに、普通
   の女性そのものである。これで独自ルートで警護者の道を開拓したというのだから、その手腕
   を買わざろう得ないわな。

ミツキ「あ、ウインドちゃん・ダークHちゃん。頼まれてたブツわぅよ。」
    そんな中、包み紙を開けて中身を取り出すミツキ。中身は実に不思議な獲物が入っていた。
   分かるのはゲーム内で登場するような武器である事だけか。
ウインド「ありがとうございます。これで格闘術は安心ですね。」
ミスターT「これさ、方天画戟みたいな奴か?」
ダークH「そうですね。撃剣という逆手持ちで扱う刀剣です。」
ミツキ「奥の手の武器わぅね。」
   それぞれの撃剣を受け取ると、専用のホルスター型ケースに入れる。一度背広を脱ぎ、それを
   背中に背負った。そして再び背広を着用する。丁度俺が携帯式にした方天画戟と同じ様だ。
ウインド「拳銃だけでは厳しい場合がありますので。ミツキさん方にご依頼して、格闘武器を作成
     して頂きました。」
ダークH「これで拳銃を奪われた時は無防備にならずに済みますね。」
ミスターT「だな。お前達から格闘術を学んだ手前、その技に獲物が合わされば鬼に金棒だろう。」
   相当前にウインドとダークHを警護した時があったが、その時は見様見真似の格闘術で応戦
   するしかなかった。それを気にしてか、以後の数ヶ月は2人からミッチリ格闘術を伝授して
   貰った事がある。前にも言ったが、俺の格闘術に関しては2人は師匠そのものだ。


ナツミYU「警察庁長官自らが、君と顔馴染みなのは何ともねぇ。」
ミツキ「師匠であり弟子であり、わぅね。」
ミスターT「2人のお墨付きがあるから、こうして重火器を合法で持てるんだがね。」
    ミツキがその他にも持参した重火器や獲物をそれぞれの面々に渡していく。四天王お手製の
   特別仕様の獲物ばかりだ。一応本物仕様のパニッシャーまであるが、とても常人じゃ持つ事が
   できないほどの超重量兵器である。
シューム「というかさ・・・男性が君1人だけなのがね・・・。」
ミツキ「見事わぅね。」
   俺も新調した日本刀を腰に装着してると、エラい殺気立った表情で語るシューム。確かに今の
   この場には俺以外の野郎は誰もいない。全員女性というのが何とも・・・。
ミスターT「猛攻はお前やナツミYUだけで勘弁して欲しいんだがね・・・。」
シューム「プライベートなら容赦しないわよ。まあ今は本命があるから黙認するけど。」
ナツミYU「後で諸々、じっくりとお伺い致しますね。」
   う〜む・・・これは後が大変な事になりそうだわ・・・。2人から半端じゃないジェラシーが
   感じられる。本当に女性は強くて怖い・・・。

ミツキ「ところで、デュリシラちゃんは何時頃に何処の空港に送るわぅ?」
エリシェ「羽田空港に約5時間後です。少々早く動きましたが、万全を期した方が良いでしょう。」
ミツキ「まだまだ時間はあるわぅね。近場の葛西臨海公園にでも行こうわぅよ!」
    かなり時間があるため、ミツキが息抜きにと葛西臨海公園へ赴く事を提示しだした。それに
   呆気に取られる面々だが、ある意味これが妨害要素を掻い潜る一撃になるのかもな。
ミスターT「ハハッ、灯台下暗しな感じだわな。分かった、葛西臨海公園で待とう。」
ミツキ「移動はどうするわぅ? 護送車両とか目立つ乗り物だとマズいわぅよ。」
ミスターT「あー、そこはお任せを。少々狭いが何とかなるだろう。」
   意味ありげに微笑んでみせる。裏の裏を付くなら、案外武骨な姿の方が良いだろう。一同には
   待って貰い、ミツキを同伴して一度喫茶店へと戻る事にした。



    今は環七を葛西臨海公園方面に向かっている。あれから喫茶店に戻り、止めてあった愛車
   グローブライナーに乗り替えた。それで再び警察庁本庁に戻り、全員を乗車させている。

    しかしエラい狭い車内。本来なら10人程度しか乗れないが、現状は18人も乗っている。
   ただ車両の連結部分には特設したカーゴを配置しており、そこに特殊兵装などを置いてある。
   これが最大の目的だった。
 
    この場合はグローブライナー以外に、大型トラックを用意すべきだったのだろうな。今後の
   課題になりそうだ。まあ大型自動車の免許や牽引免許は持っているため、それらの運転は十分
   可能ではある。

    とにかく狭いので、お互いに密集し合っている。傍らにはエリシェがいるのだが、半ば俺に
   抱き付いているのだから苦しい。

ミツキ「車両のミスチョイスわぅ〜。」
ミスターT「何を今更な感じなんだが・・・。」
エリシェ「アハハッ・・・。」
    俺の右側にエリシェがいるため、少しの衝撃で抱き付いている彼女の猛攻を喰らう。それが
   如実に現れるのは両胸のアタックだろうか・・・。
シューム「あらぁ〜・・・羨ましい事ねぇ〜・・・。」
ミスターT「言うと思った・・・。」
エリシェ「わ・・私は構いませんけど・・・。」
ミツキ「にゃっはー♪ ハーレムそのものわぅね!」
ナツミA「ハーレムもハーレム、逆の意味の護送車両よね。」
   これ、一歩間違うと大惨事間違いなしだろう。シートベルトを着用できる状態じゃないため、
   何か事故があった時は大変な事になる。まあかなり慎重な運転をしているため、余程の事が
   ない限りは大丈夫だろうが・・・。

    まあ別の意味での大惨事になりかねない。抱き付いているエリシェ以外から猛攻を受けよう
   ものなら、ナツミYUやシュームに何をされるか分かったもんじゃないわ・・・。

ナツミYU「キャンピングカーでも欲しいですよね・・・。」
エリシェ「ああ、では今回の報酬として同車をご提供致しますよ。以後の移動などにご活用を。」
ミスターT「相当な金額になるが、大丈夫なのかね・・・。」
エリシェ「そこは押し通す、です。」
    自分を見縊るなと雰囲気で語る。俺に抱き付きながら携帯を操作し、何らかのやり取りを
   しだす彼女。有限実行とは本当に恐れ入るわ・・・。
ナツミYU「地上では無敵なのが何ともですよね。」
ミスターT「ああ、空と海以外ならね・・・。」
エリシェ「全部が全部苦手と言う訳ではなさそうですけど。」
ミスターT「本気状態なら全く気にならないんだがね・・・。」
   依頼最優先で動いていたり、人の命に関わる様な事態なら話は別だ。確かに高所と水は大の
   苦手だが、極限状態では全く気にならなくなる。しかし怖い事には変わりないが・・・。


エリシェ「・・・完了しました。数時間後に車両を届けてくれるそうです。」
ミスターT「化け物か・・・。」
    葛西臨海公園の看板が見えた頃、エリシェが語り出してきた。どうやらキャンピングカーを
   即決で手に入れたようだ。大企業連合の総帥が考える事は怖ろしくて参る・・・。
エリシェ「帰りはキャンピングカーで戻りましょう。グローブライナーはメンバーの方が配送して
     くれるそうです。」
ミスターT「はぁ・・・まあ何だ、全部任せるわ・・・。」
エリシェ「フフッ、了解です。」
   嬉しそうに語る彼女。エリシェの場合もそうだが、とても大企業連合の総帥には見えない。
   彼女の双肩に数多くの従業員の命が掛かっているのに、普通の女性にしか見えないのが何とも
   言えない。またナツミYUも学園の総合校長であり、数多くの生徒を預かっているのと同じ
   意味合いだろうな。

ミスターT「・・・本当に女性は偉大だ。命を育み次の世代へ送り届ける。対して野郎はどうだ、
      破壊しか能がない。過去の戦争も全て野郎が引き起こした愚行そのもの。」
エリシェ「決して全部が全部ではありません。貴方みたいに救う側に回っている方もいます。それに
     貴方の様にそう思う存在がいるのも確かです。私はそんな貴方に賭けているのですよ。
     まあ聞こえ方によっては利用している感じに取られてしまいますが。」
ミスターT「何を愚問な。お前の生き様からして、他者を利用しようとする一念など微塵もないわ。
      純粋に世界から孤児を無くすという誓願を貫いていると伺った。俺やシュームがいた
      孤児院もその流れだと知ったからね。」
    海上での依頼時の終了後、エリシェ達の生き様を窺い知った。世界から孤児を無くすという
   誓願を目標とし、大企業連合を創立して動いていると。当然一筋縄ではいかないが、悪道以外
   の如何なる手段を用いてでも達成させると豪語もしていた。
エリシェ「・・・私達の行動は間違ってはいませんよね・・・。」
ミスターT「誰彼がどうこうじゃない、自分自身がどうあるべきか。それが重要だ、だよ。」
ミツキ「勝負は一瞬、思い立ったら吉日ですよ。Tさんの生き様そのものと同じ。己の生き様は貪欲
    なまでに貫き通す。だからこそ達成できるのだと。」
ナツミA「現状は苦しくとも、何れ後ろを振り返ると凄い所にまで至っているものです。それらを
     信じて、前に突き進むのみですから。」
エリシェ「・・・ありがとうございます・・・。」
   声色からして不安だったのだろう。自分達の生き様が正しいものかと。ただどう考えても彼女
   の生き様は中道であり、善道寄りの人助けの何ものでもない。多少強引な所はあるだろうが、
   結果的にはそれで救われている人物がいるのだ。決して間違ってはいない。

ナツミYU「私も同じ考えでした。裏稼業を担う手前、学園の総合校長としていられるのか。しかし
      マスターに、己の生き様は貪欲なまでに貫き通せと支えてくれました。」
ミツキ「生き様の固持は、簡単なようで難しい。しかしそれを演じられるのは他でもない、自分自身
    以外にいないのです。だからTさんの誰彼が〜の座右の銘になる訳ですし。」
シューム「生き様もそうだけど、生きるって難しいものよね。」
    シュームの言葉に一同が頷いている。運転中故に背後は窺い知れないが、雰囲気からして
   その感じがした。特にここにいる全員が殆ど裏稼業に近い行動を行っている。シュームが語る
   内容が痛烈に響いていると言えるだろう。
ミスターT「まあ何だ、これだけ仲間がいるんだ。恐れるものなどないわな。」
ミツキ「そうわぅね。持ちつ持たれつ投げ飛ばす、わぅよ。」
ナツミA「貴方の場合のそれは、本当に当てはまっているからねぇ。」
ミツキ「にゃっはー♪」
シューム「アハハッ! ミツキちゃんらしいわ。」
   最後の締めも忘れない。ミツキとナツミAによる冗談トークで周りを笑わせて終わるのだ。
   この2人には本当に脱帽するしかない。存在そのものが激励であろう。

    雑談しつつも環七を疾走する。葛西臨海公園までは目と鼻の先だ。殺伐とした警護者の依頼
   の中での和気藹々とした会話は、本当に素晴らしいの一言だろう。

    異端と言われても仕方がないが、その異端こそが殺伐とした流れを払拭する起爆剤だわな。
   う〜む・・・俺達なら何でもできそうだわ。


    窮屈ながらの走行を終えて、葛西臨海公園の駐車場に着いた。グローブライナーを停車し、
   それぞれ表に出て行く。当然ながら身体を解す事を忘れない。かなり窮屈な旅路であった。

    ただ護送車両としては打って付けのカモフラージュであり、妨害要素の目を掻い潜るには
   充分な要素である。そして時間潰しに娯楽施設を選んだ所に、ミツキの戦略性があるとしか
   言い様がない。時間ギリギリまでここで暇潰しをする事にしよう。



    恐怖の何ものでもない。到着早々、大観覧車に乗ろうと言い出すミツキ。それに周りは同意
   するが、俺は無理矢理乗せられた形になった・・・。

ミスターT「・・・・・。」
エリシェ「あの、大丈夫です?」
ミスターT「・・・今直ぐにでも降りたいわ・・・。」
シューム「約17分は我慢する事ね。」
    約17分も缶詰状態とは・・・。同ゴンドラは6人乗りで、左右にシュームとナツミYUが
   陣取っている。対面にはエリシェ・ミツキ・ナツミAが辺りを一望していた。
ミスターT「・・・気絶を所望する・・・。」
ミツキ「甘ったれんじゃないわぅ!」
ミスターT「・・・はぁ・・・。」
ナツミYU「アハハ・・・。」
   高所の恐怖に震え上がる俺の姿に呆れ気味の面々。しかしこの場合はニューヨークに赴いた時
   以上に怖い。眼下に広がる景色は壮大だが、今の俺にはとても楽しめる様相ではない・・・。

    恐怖に震える俺の身体に、自分の身体を押し当ててくるナツミYU。すると対抗したのか、
   同じくシュームも身体を押し当ててきた。本来なら喜ばしいものだが、現状はそれでも恐怖に
   震え上がるしかない・・・。

シューム「はぁ〜、これでもダメかぁ〜。」
ナツミYU「普通ならシドロモドロになりますよねぇ〜。」
    以後の依頼に支障を来たさなければいいが・・・。まあ周りが望むのなら、最大限応じて
   あげたいもの。ただ現状は・・・何とも・・・。
ミスターT「・・・素直に下で待ってればよかったわ・・・。」
ミツキ「女心が分かってないわぅねぇ〜。」
ナツミA「何時もの事のようだけどね。」
ミスターT「・・・この状況の余波で、警護中に支障を来たしたらどうするんだ・・・。」
ミツキ「うみゅ〜、だからわた達がいるわぅけど?」
   動けなくなりそうだと告げると、呆気なく一蹴された。それに周りは呆れるも笑っている。
   う〜む、本来なら楽しむ所なのだが。この約17分の時間は恐怖の何ものでもない・・・。

ミツキ「でもTちゃんの優しさが感じられるわぅよ。」
ナツミA「そうね。本当に嫌なら断固拒否していたでしょう。それでも無理しても応じた部分は、
     マスターの優しさがあったからこそかと。」
ミスターT「・・・断った時の竹箆返しが怖い・・・。」
    本当にそう思う。ここぞという時に思いを炸裂するナツミYUやシュームなのだ。ここで
   断ろうものなら、以後何をされるか分かったもんじゃない・・・。
ナツミYU「でも嫌がる貴方を無理矢理には連れて行きたくありません。」
シューム「そうよね。できれば一緒が望ましいけど。」
ミスターT「・・・後でこの一声が聞けると思うよ・・・。」
   俺は恩師の名言の1つでもある言葉を口にする。それに周りの女性陣は意外なほどに笑って
   しまっている。女性ならではの鋭いツッコミなのだから仕方がない。何ともまあ・・・。

    その後も気を紛らわすように会話を続けてくる彼女達。それに辛うじて応じつつ、残りの
   恐怖の時間が過ぎるのを待った。もし高所や水が怖くなかったら、彼女達と心から応じ合える
   のだろうが・・・。



    ようやく大観覧車が1周を終えた。表に出る面々はスッキリした表情だが、俺はミツキや
   ナツミAに支えられねば立てないぐらいにまでヘロヘロである。

    だが、丁度駅前の噴水の所に戻った時。そこの段差に座る人物を見てギョッとした。上品に
   缶紅茶を啜る美丈夫で、傍らにはかなりデカいアタッシュケースが置かれている。

    う〜む・・・まさかここで再会するとはな・・・。

女性「相変わらずよね。大凡の検討は付くけど。」
ミスターT「は・・はぁ・・・。」
    言葉では難癖を付けるが、こちらを気遣ってくれる姿は全く変わらない。しかもミツキや
   ナツミAと同じ力を出せるため、巨体の俺を難なく段差へと座らせてくる。というか更に力が
   増した感じがするのだが・・・。

    そして俺達の近場にいたナツミYUが血相を変える。その場に直立し、深々と頭を下げだす
   のだ。彼女の姿に周りの面々は驚くも、頭が下げられた人物に察しが付いて青褪めていくので
   ある。

    この美丈夫こそ青髪の鬼神、シルフィア=ザ・レジェンド。我が愛しの恩師である。


ミツキ「おおぅ! 見事な覇気わぅね!」
ナツミA「マスターが仰る通り、内在する命の力は半端じゃありませんね。」
    案の定の展開だった。シルフィアの強さを目の当たりにしても、全く怖じずに接している。
   ミツキもナツミAも彼女と同じ属性からか、その場には普通の女性がいるとしか見えないので
   あろう。かく言う俺もそうなのだが。
シルフィア「凄いわね、私を見ても怖じないのは。」
ミツキ「ん〜、わたには普通の女性にしか見えないわぅけど?」
ナツミA「ですよ。確かに伝説的な警護者で凄まじい力をお持ちですが、マスターと同じ人の枷から
     は抜け出せません。それ即ち、ミツキが言うように普通の女性そのものですし。」
シルフィア「フフッ、嬉しいわ。ありがとう。」
   物凄く嬉しそうなシルフィアだ。こんな表情を見たのは初めてである。確かに今まで彼女と
   同じ属性の人間に出会った事は全くない。強面で有名なナツミYUでさえ敵わないのだ。一体
   誰が彼女を超えるというのか。

シルフィア「それとT君。大観覧車で皆さんに言った事、しっかり言っておくべきよね?」
ミスターT「うぇっ・・・ま・・任せます・・・。」
シルフィア「了解したわ。」
    今までの笑顔は何処へやら。最後の言葉の直後、凄まじい殺気と闘気を出して俺を見つめ
   出した。それに周りの女性陣は子供のように震え上がる。ミツキとナツミAは驚いているが、
   さほど怖がっていないのが何とも言えない・・・。
シルフィア「・・・これだから男は・・・。」
ミスターT「・・・面目ない・・・。」
   先刻、大観覧車で5人に語った言葉。“これだから男は”が恩師の口で語られる。怖ろしい
   までの威圧感だ。周りの女性陣は凄まじいまでに怯えている。

シルフィア「・・・っと、粛正は終わりね。」
ミツキ「今のが粛正わぅか?! 見事わぅね♪」
    本来なら今の流れで、暫くは殺伐とした雰囲気が続くのが通例だ。しかしその雰囲気を見事
   に打ち壊すミツキに、今度はシルフィアの方が唖然としている。それに小さく笑うナツミAで
   あった。
シルフィア「初めてよ、こんな肝っ玉が据わった女性を見るのは。」
ミツキ「ウッシッシッ! まだまだ甘いわぅぜぇ〜♪」
ナツミA「貴方の持参している茶菓子も十分甘いけどねぇ。」
ミツキ「フハハハハッ! 甘かろうっ!」
   これは見事なフォローだろう。シルフィアの恐怖の一撃を、ミツキとナツミAの雑談で緩和
   している。それに周りの女性陣が笑い出している。釣られてシルフィア自身も笑っていた。

    改めて自己紹介という展開になるも、ミツキの計らいで海岸に赴く事になった。相変わらず
   俺は高所の余波で動き辛く、傍らを恩師に支えられての移動である。

    あれだけの恐怖の言動をするも、行動には限りない優しさが込められている。これには本当
   に心から感謝するしかない。そんな恩師の意外な一面に、戦々恐々だった女性陣も安堵して
   いるようだ。

    中半へと続く。

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