アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第2部・第5話 再来のカーチェイス・前編1〜
    突然襲来した傭兵軍団と人型機械兵器の軍勢。それを地元で迎え撃った俺達。丁度総出で
   いる時に襲来したため、効率よく完全駆逐ができた。

    ただ国内事情は俺達で済んだが、海外事情は別であった。日本に襲来する無人機械兵器郡が
   数多くあり、それに国家を挙げて迎撃に入っている。一歩間違えば戦争そのものだが、相手が
   無人兵器なのが唯一の救いだろう。

    ここは日本各所に派遣待機中の、超レプリカ大和・超レプリカ伊400・レプリカ大和・
   レプリカ伊400の4大ガンシップで対処して貰っている。バリアやシールドの恩恵から、
   国内には一切被害が出ていない。

    例のエリシェの負傷の一件から、バリアとシールドの範囲を可能な限り拡大した。そして
   善悪センサーを得意とする、ギガンテス一族とドラゴンハート一族の要素も反映。日本全領土
   の防衛と守備は完全無欠に近いだろう。

    自衛隊郡や警察郡は他国からの横槍を防ぐため、国内の警備を中心に動いて貰っている。
   表からの横槍からは、全て警護者郡・大企業連合・躯屡聖堕チームのトリオで対処していた。
   当然、新進気鋭のトラガン郡も大暴れしている。女性陣が大活躍する姿は、日本国内に広く
   轟き出していた。

    それでも侵攻は止む気配がない。敵方にカルダオス一族が加担しているのは間違いなく、
   より一層激しさが増したと言える。敵の親玉は一体誰なのか、非常に気掛かりだ。

    まあ何であれ、国内に住む方々・世界中の方々を苦しめる輩は徹底的に叩き潰すのみよ。
   それが今の俺達にできる生き様だ。今や警護者は調停者そのものだわ。



ミスターT「はぁ・・・この期に及んで、また窃盗団か・・・。」
    喫茶店のカウンターで一服しつつ、ノートパソコンで世界情勢を調べて回る。方や国内事情
   も新聞などで調べつつ、全てにおいて目を光らせていた。そこで出たのが、かつての窃盗団が
   現れたというものだ。カーチェイスで激闘を繰り広げた、あの連中である。
エリシェ「国外からの横槍は、軍備的にも経済的にも完全に防げています。しかし国内では、この
     混乱に乗じて色々な犯罪が多発しているそうですよ。」
ビアリナ「流石に全てまで阻止して回るのは厳しいですからね。それこそ警察の方々や自衛隊の方々
     を派遣すれば終息できそうですけど。」
ミスターT「国外の目が今の様相を見て、日本が再び軍国主義に走るのではという妄言だわな。」
   全く以て馬鹿げてる。自分の国すら守るのが精一杯なのに、何故国外へ侵略を開始するのか。
   第2次大戦時と今とでは全く違う。それに今までの日本の姿を見れば一目瞭然だろうに。
ミスターT「はぁ・・・ヤッカミねぇ・・・。過去の清算をせよ・被害額を払え、か・・・。」
エリシェ「まあ実際に日本が侵略戦争を行ったのは事実ですが。それでも半世紀以上前の話であり、
     しっかり行動を以て色々な謝罪はしている感じですがね。」
ビアリナ「そこは政治的世界になるので、私達は関与しない方が良いでしょうね。あくまで私達の
     位置付けは警護者であり、今では調停者の役割ですから。」
ミスターT「泣く子も黙る、だわな。今じゃ警護者・大企業連合・躯屡聖堕チームの話を聞けば、
      横槍は完全に黙り込むからの。まあ、ヘシュナだけは違いそうだが・・・。」
   世界情勢のニュースでは、連日カルダオス一族のヘッド・ヘシュナの行動が挙げられている。
   彼女がどういった意図があって行動しているかは不明だ。しかし、そのリーダー力は確かな
   もののようである。

    直径約13kmの宇宙船という強大な戦闘力を見せ付けられれば、相手は否が応でも応じる
   しかない。むしろギガンテス一族やドラゴンハート一族と違い、悪勢力に加担する部分が拍車
   を掛けている感じだろう。

    各国はオーバーテクノロジー欲しさに、ここぞとばかりにカルダオス一族に加担しだした。
   しかしよくよく尋ねると、カルダオス一族のテクノロジーはギガンテス一族やドラゴンハート
   一族のそれを模写した技術との事。今のテクノロジーに至るまでは、相当の弱小種族だった
   そうだ。

    2大宇宙種族がそれを憂い、数々の技術提供や強化を行った。しかしどうだ、カルダオス
   一族は感謝するどころか天狗になったという。ヘシュナの言動を見れば一目瞭然だろう。正に
   忘恩の輩そのものだ。

    この大宇宙を流浪の旅路を続ける種族同士、お互いに支え合って来た。2大宇宙種族側は
   常にその姿勢を保ってきたそうだ。それでも、施しを受けた形に見える部分がどうも許せない
   らしい。

ミスターT「・・・これだから忘恩の輩は・・・。」
エリシェ「ヘシュナ様ですか。いえ、カルダオス一族総じてになりますね。」
ミスターT「ミュセナやルビナから詳しい事を聞くまでは、まだ救い様はあると思っていた。それが
      どうだ、完全に忘恩の輩じゃないか。」
ビアリナ「ま・・まあ確かに。」
    俺は何時の頃からか、明らかに理不尽・不条理な対応をする阿呆には容赦ない鉄槌を下し
   だした。今に至る経緯の報恩感謝をせず、仇で返すカスには絶対に容赦はしない。それ相応の
   報いは必ず受けさせる。それが俺の生き様だ。ここは絶対に曲げはしない。
エリシェ「はぁ・・・内情が痛烈に伝わってきます。確かに忘恩の輩への戒めは必要ですが、貴方の
     場合は度が過ぎている感じがしてなりません。」
ミスターT「だからと言って、俺は絶対に曲げはせんよ。そもそも相手が何をしたのか、痛烈に思い
      知らせる必要があるわな。お前も思う戒めの一撃は必要だが、奴等は明らかに度が過ぎ
      ている。」
ビアリナ「徹底的に恐怖を叩き込む、ですか。二度と同じ過ちを繰り返さないように。」
エリシェ「一歩間違えば、ご自身もダークサイドの理に堕ちかねません。」
   怪訝そうな表情を浮かべるエリシェとビアリナ。俺の考えが逸脱している証拠だろう。しかし
   それを許してしまえば、再び愚者がのさばるのも確かである。誰か1人でもいい、その愚者を
   徹底的に戒める存在が。それが必要なら、俺はどんな事だろうが演じてやる。

シューム「根底は賛成するわ。ただエリシェちゃんやビアリナちゃんが心配するのは、君が堕落する
     のではという事よ。」
    休憩から上がってきたシューム。エリシェと入れ替わりで厨房に立ち出した。彼女の場合は
   俺に気質が似ているからか、同調できる部分があるのだろう。
シューム「まあでも、明らかに逸脱した愚者は徹底的に叩き潰すのが無難ね。最終的には相手のため
     にもなってくるし。」
ミスターT「本来なら各国が対処すべき事なのにな。それが目の前の超絶的なテクノロジーに目が
      眩み、挙句の果てには加担して貪り尽くす。警護者は生粋の傭兵集団なのに、それが
      今では調停者そのものだ。本当にバカげてる・・・。」
シューム「目が眩めば目の前が見えなくなるからねぇ。人故の罪深き業の1つよね。」
   厨房で作業をしつつ、呆れ顔のシューム。彼女の場合はナツミYUとは異なり、相手の深層を
   見抜く力がある。ギガンテス一族やドラゴンハート一族のそれと似ているだろう。故に今の
   世上の混沌とした様相には、相当堪えているようだ。
ミスターT「・・・エリシェ達の力を使って、各国の愚者を徹底的に叩き潰すのもアリだな。」
エリシェ「まあできなくはありませんけど・・・。」
ミスターT「冗談よ、俺もそこまで阿呆ではない。しかし手っ取り早く片付けるなら、それが一番
      楽なんだがね。」
シューム「もしそれを行ったら、恐らくヘシュナちゃんが何をするか分からないわね。あの様相だと
     チヤホヤされるのを好んでいる感じだから、それがなくなったら全力で潰しに掛かって
     来るのも推測できる。」
ミスターT「やはりその見解に至るか、流石シュームだわ。」
   俺が懸念していた部分はシュームの懸念とも一致していた。それに驚くも何を今更といった
   感じの表情で呆れもしている。実際に先日対峙した時の様相なら、その流れは想像に難しく
   ないわな。
ビアリナ「今は一歩ずつ攻略していくしかありませんね。」
シューム「そこも毎度ながらの戦術なんだけどね。」
エリシェ「前途多難ですよ。」
ミスターT「はぁ・・・。」
   カウンターでだらけるようにすると、俺の肩を小さく叩いてくれるエリシェ。お互いに気苦労
   が絶えないわ。だからこそ起爆剤として進めるのだが・・・。


    その後も後手は続く。不明の軍勢に進軍される日本全体。政府には他国の問題に手を出すな
   とも述べておいた。何でもスミエとシルフィアは政界にも非常に精通しているようで、色々な
   根回しをして回っている。これはかつてスミエが、たった1人で戦っていた時に築き上げた
   礎らしい。

    それに警護者界が矢面立って撃退してくれている現状を、諸手を挙げて賛同してくれている
   のが幸いだろうな。本来なら国を挙げての総力戦になるのだが、今はそれが全くできない。
   スミエ自身が過去の大戦で日本が敗退した事を知っているからこそ、こうして色々と根回しを
   していると思える。

    それでも限界はある。日本全体が賛同をしてくれても、海外ではそうはいかない。実際に
   不明の軍事物が襲来し、俺達を良からぬと思う各国からの横槍もある。力には力で対抗する
   のは愚策だが、度が過ぎている場合は異なるわな。

    今は警護者郡・大企業連合・躯屡聖堕チーム、この3大要素が水際で抑えている状態だ。
   何時デカい火種になるやも知れない状況を、今の世上は大きく孕んでいた。



ミツキ「おういえい! デロリアンわぅ〜♪」
ナツミA「ほぉ〜・・・クラシックカーが勢揃いですか。」
    数日後、国内の護衛依頼を受ける事になった。先日発覚した窃盗団への対策で、エリシェ達
   が再び車を買い漁りだしたのだ。ただ今回は高級車ではなくレトロ車になる。スーパーカー
   には程遠いが、価値的には遥かに上回る名車揃いだ。
ミツキ「ここにあるのが全部わぅか?」
オーナー「いえ、全てではありません。この手のクラシックカーは海外の方が圧倒的に多いので、
     実際に取り扱っているディーラーから入手しています。」
ナツミA「運輸費だけでも相当な額になりそうですよね。」
エリシェ「全部こちらが負担しています。まあ前回の窃盗事変よりは格安に近いですが。」
ミツキ「“オーダー66を発動せよ!”わぅね!」
   ミツキのそれで周りは笑っている。あの窃盗事変時に暗号として用いたもので、今ではこの手
   のディーラーの間では語り草になっている。全ディーラーの総意を抱き、あのカーチェイス
   事変を勝ち取ったのだ。それぞれのディーラーにとっては誇り高いようである。

ミスターT「しかしまあ・・・国外からは軍事的横槍があるのに、国内では窃盗事変か。四面楚歌
      とは正にこれかね。」
ミツキ「んにゃ、絶体絶命わぅ!」
ナツミA「にしては、笑顔でいられるのは不思議よね。」
ミツキ「幸せだから笑顔になるんじゃないわぅ、笑顔でいるから幸せになるんだわぅよ。それを連中
    にも思い知らせてやるわぅ!」
    この厳しい状況でも絶対に笑顔を絶やさないミツキ。ナツミAが言う疑問に、その理を明快
   に述べる彼女だった。笑顔でいるから幸せになれる、本当にそう思う。その笑顔を作り出す
   のが、ミツキが常日頃から行っているギャグなどだろう。些細な事でもいい、それで幸せが
   作り出せるのなら思う存分貫いていくべきだ。
オーナー「ハハッ、本当に凄いもので。このお嬢様の生き様が、あの窃盗団を捕まえるに至ったと
     言っても過言ではありませんね。」
ミスターT「いや、ミツキ自身は超自然体なんだがね・・・。これを意識的に行っていたら、相当な
      道化師だわ。」
ミツキ「わたは道化師じゃないわぅ! 颯爽と疾走するワンコわぅよ! わっふーわっふっふー♪」
ナツミA「はぁ・・・。」
   本当に何と言うかまあ・・・。その一挙手一投足が全て笑いに変じる彼女は、天性の才能を
   持った女傑そのものだわ。そして周りは不甲斐ないと言わんばかりに笑ってしまう。それが
   ミツキ・スタイルだろう。これが俺達全ての人間に内在する力の1つなのだから、不思議と
   しか言い様がない。


ミスターT「ともあれ、今後はどうするので?」
オーナー「今はまだ相手の出方が分かりません。よって、エリシェ様が考案のエサ蒔きをします。
     これだけのクラシックカーが大型ガレージにあれば、相手は否が応でも近付いてくると
     思いますので。」
エリシェ「別の場所でも同じ様な流れを展開しています。スーパーカーも紛れ込ませているので、
     今回はどの車両を狙うのかが特定できると思いますよ。」
    提供してくれた紅茶と茶菓子を頬張りながら作戦会議を行う。背後にはあのカーチェイス
   事変で半壊したウアイラが堂々と鎮座している。しかし今回の目的はスーパーカーではなく、
   クラシックカーを狙って来ると推測できる。
ミスターT「連中が来たら、再びカーチェイスで追走か。今度は車両のスピードが遅いから、問題
      なく追い付けそうだわ。」
ナツミA「ウアイラやムルシエラゴなら、速攻で追い付けますからね。」
ミツキ「ナツミYUちゃん泣かせわぅ。」
   茶菓子を頬張りながら、搬入されたクラシックカーのリストを見るミツキ。俺も隣で見せて
   貰ったが、その車種は凄まじいまでの名車揃いである。

    マスタング・チャージャー・デロリアン・スティングレイ・コルベットC3などなどと、
   コレクターには感涙の逸品ばかりである。下手をすればムルシエラゴに匹敵するような高額の
   車両すらある。希少価値の問題では、スーパーカーを遥かに凌駕しているだろう。

    ただ先にも述べたが、スピードに関してはお世辞に速いとは言えない。どれも300kmを
   出す事はできず、その壁を超えるか匹敵する車両がスーパーカーとなる。更にその先を行く
   のがハイパーカーであり、ウアイラやヴェイロンなどの車が該当してくる。

    そもそも、これらクラシックカーはスピードを出す車じゃない。ゆったりと運転を楽しむ
   車だ。スピード狂が乗る様な、走り屋専門の車両とは全く異なる。まあ中にはエンジンを凄ま
   じいものに換装し、スピード狂好みの暴れ馬にする変人もといマニアもいるが・・・。

    俺はスピードを出す派ではないため、こういったクラシックカーの方が性分に合う。今も
   使っているミニクーパーもそれで、ゆったりのんびりと乗るのが楽しい。ハーレーもそれで、
   ドッシリと構えて乗るから迫力があるのだ。高速走行をする車両ではない。

ミツキ「Tちゃんはどれを選ぶわぅ?」
ミスターT「俺か? う〜ん・・・選ぶなら、ダッジ・チャージャーかね。マスタングやデロリアン
      も捨て難いが、いざという時のパワーはチャージャーの方が凄まじいからの。」
ミツキ「おおぅ、にゃるほど。わたはデロリアンわぅ!」
    まるでカーディーラーに車を買いに来た親子のようだわ。ミツキの背丈からして、俺とは
   父親と娘のように見えるだろう。彼女の口調が余計幼く見せている。
エリシェ「それなら、この窃盗団事変が終わったらプレゼントしますよ。この手の車両は海外には
     数多くありますので。」
ミツキ「おういえい! 願ったり叶ったりわぅ〜♪」
ミスターT「本気にするお前も凄いわ・・・。」
エリシェ「いえ、本気ですけど?」
   アッケラカンと喜ぶミツキに、アッケラカンとプレゼントをすると語るエリシェ。それに俺は
   爆笑してしまった。釣られて周りの面々も笑っている。

    最近はミツキに感化されてか、周りの女性陣がミツキ・スタイルを示す姿が多い。それが
   今の姿をより一層輝かせるため、物凄く魅力的にもなる。完全にプラスの力そのものだ。

    ミツキに内在する力は全ての人間に内在する力を開花させたようなもの。つまりその起爆剤
   により、本来以上の力を引き出しているとも言える。いや、自然回帰とも言うべきだろう。

    この姿勢が世上で蔓延する悲惨や不幸を一掃するのは間違いない。が、開花させるには相当
   な努力が必要になりそうだが・・・。


    とりあえず、今現在は何事もないので引き上げる事にした。エサ蒔きは行っているため、
   何れ連中の目に留まるだろう。その時が勝負の時である。

    まあ何と言うか、高級車やレトロ車をエサにするエリシェの発案も見事なものだわ・・・。
   それでも、これらが特効薬になり問題解決になるやら安いものか。大企業連合の総帥の機転
   溢れる行動には恐れ入る。

    中半へと続く。

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