アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第1部・第6話 ダンシングレディ2〜
    数日後、羽田空港の裏口にて要人を待つ。移動はリムジンを改造した車両での護送になる。
   俺達は機動力重視として、以前無償提供を受けたウアイラを使う事にした。2人乗りの同車
   だが、強引に乗り込む事にした。これも先日の護送手段が役立つとの事だ。

    数週間前に行われた、グローブライナーでの護送の一件。武骨な車両故に襲撃者の目を欺く
   には打って付けだった。今回は逆に警護者側の車両をハイパーカーにして偽装し、更に車両の
   機動性を生かす事にした。

    まさかウアイラをこういった事で使うとは。まあ窃盗団を追撃した時も同じ車両だったし。
   俺にとっての足回りは、今後もこのウアイラになりそうだわ。

ミスターT「武装が小規模なのが厳しいわ。」
ナツミYU「簡易パニッシャー持参なら、大盾に使ったり内部のカーゴを使ったりできたからね。」
    今回も出で立ちは豪華客船時と同じにした。俺はタキシードに黒コート。その中に両脇に
   各4挺の拳銃、両腰にマグナムと右腰に改良型の日本刀を。鞘にライフル機構を内蔵した、
   小太刀のものだ。当然背中には格納式の方天画戟を装備している。

    対するナツミYUも黒いドレスを身に纏う。ポシェットに仕舞う数発式の小型拳銃に、例の
   太股の付け根には愛用の拳銃2挺が隠されている。絶対にそこにあるとは思えない。女性故の
   シークレットゾーンか、本当だわな・・・。

    そしてシュームも負けじと黒いドレスを身に纏っている。変わったのは髪形だろう。普段は
   ポニーテール状に纏めているが、今は解放してストレートヘアーだ。一見して邪魔かと思う
   その髪の毛も、いざ戦う時は絶好の武器に化けると言う。逆にナツミYUは普段はストレート
   ヘアーだが、警護時はポニーテール状にしている。真逆とは正にこの事だわ。

    ちなみにシュームの武装は両腰にマグナムと拳銃を装備している。以前ミツキが言っていた
   戦闘スタイルとは異なるが、それは実戦時に現れるとも言っていた。ここは是非とも彼女の
   動きを見てみたいものだ。



    待つ事、数時間後。要人を乗せたジャンボジェット機が到着する。以前エリシェ達が使って
   いたものではなく、普通の機体である。カモフラージュとしてのものだろう。

    機内から降りてきた人物は、大柄の親子と子供が6人。全員銀髪で、見た目から海外の血筋
   が強いのは分かる。この8人の警護が今回の目的だろう。

    ちなみに同席者にエリシェとラフィナがいる。2人ともすっかり警護者としての姿が定着
   していた。俺と同じタキシードを着こなし、バトラーの風格を醸し出している。これでもこの
   2人は大企業連合の総帥なのにな・・・。不思議なものだわ・・・。


    リムジンに乗車した8人。護衛でエリシェとラフィナが乗り込み、追加同席でシュームが
   着いた。俺はナツミYUと共にリムジンを囲む警護車両の後方で、ウアイラを運転しながら
   付いて行く事にした。

    護送先は都内の邸宅という。警護者の暗黙の了解として、依頼内容を根掘り葉掘り聞く事は
   タブーだ。クライアントから口を割らない限り尋ねてはならない。ここは目的地に向かう事を
   最優先としよう。



ミツキ=DJ1(その時の失敗で大変な事になったわぅよ。)
ナツミA=DJ2(命があっただけ儲け物だけどね。)
    ウアイラを運転中、FMラジオを付けてみた。指定チャンネルでは、今もミツキとナツミA
   がラジオDJを続けている。というか2人とも、何時まで続けているのか・・・。まあ今では
   喫茶店が収録スタジオになっているため、運営と同時にやってのけているのが見事なものだ。
ミスターT「化け物姉妹か・・・。」
ナツミYU「それが本気モードじゃないから、尚更怖いわよね。」
   シュームもこちらに来たがっていたが、彼女はハイパーカーの運転が得意ではない。彼女の
   ウリはバイクであり、ウアイラは不得意の何ものでもないのだ。ここはナツミYUが適任に
   なるだろう。
ナツミYU「やはり君の潜在能力は計り知れないわね。」
ミスターT「何を今更な感じに聞こえるがね。」
ナツミYU「まあ確かに。」
ミスターT「警護者の実力は、間違いなくメンタル面での力で左右される。いくら体力が強くとも、
      精神面が脆弱じゃ長続きしない。まだ流されながら普通の生活をした方が安全だ。」
   自ら危険な戦場に足を踏み入れるのが警護者とも言える。しかも警護する側の絶対安全も維持
   しなければならない。これほど体力面と精神面を酷使する生き様は滅多にないわな。

ナツミYU「それでも、この道を進むのは・・・。」
ミスターT「愚問、そこにテメェの生き様があるからだ。」
ナツミYU「フフッ、流石よね。」
    最終的に己自身との対決が人生そのものだ。それ即ち生き様を刻む事にも通じる。自分自身
   を刻むのは自分自身でしかない。最終的なライバルは己自身だからな。
ナツミYU「君と同じ時間を過ごす事ができて光栄よ。」
ミスターT「なーに、これからも続くさ。」
   一服しながら彼女の右肩を軽く叩いた。同じく一服しながら頷いている。ミツキの言い方と
   すれば、“持ちつ持たれつ投げ飛ばす”だろう。全てが終わったら、ナツミYUとシュームの
   望む道に進んであげたいものだ。まあ国内は厳しいだろうが・・・。


    雑談をしながらも警護の時間は過ぎていく。しかし邸宅に到着しても、何事もなく進んだ。
   そろそろ何らかの出来事があってもおかしくはない。

    しかしまあ、この警護する8人。何処にでもいる家族そのものだ。そんな彼らを見つめて
   いると、その中の1人の娘と目が合う。恥ずかしそうに視線を反らすが、その気迫は一般人が
   出せるものとは違かった。

    この依頼の目的は何なのだろうか。それだけこの8人は何か特別な力を持つという事かね。
   こういったミステリアスな部分は、警護者としてタブーながらも興味が引かれるわ。



ミスターT「身辺警護ねぇ・・・。」
ナツミYU「ボヤかないの。」
    邸宅に入った護衛対象の面々。既に数時間が経過しているのだが、一体中で何が行われて
   いるかは一切聞かされていない。ちなみに近接警護はエリシェとラフィナが担当している。
   俺達は邸宅の表で態と太々しい態度を取り続けた。これも一種のカモフラージュである。
シューム「私の直感だけどね、あの8人は何か得体の知れない力を宿しているわね。」
ミスターT「外見からして、普通の人にしか見えなかったが・・・。」
シューム「そこが大問題なのよ。普通すぎるぐらいの普通の人、としか見えないのよ。気持ちの悪い
     程に人間を演じている感じがね・・・。」
ナツミYU「先輩もそれを感じましたか・・・。」
   一服しながら不安を煽るシュームとナツミYU。直感と洞察力は警護者内で最強クラスと謳わ
   れる2人なだけに、その語りは信憑性が強過ぎた。
ミスターT「・・・いや、まさか・・・。」
シューム「そう、多分君が思った事が正論かもね・・・。」
ミスターT「ファンタジー世界じゃあるまいし・・・在り得ないだろ・・・。」
ナツミYU「在り得ない、で済まされればいいけど・・・。」
   この推測がどこまで正しいかは分からない。しかしあの人間を超越するかのような存在感、
   それが全てを物語っていると言えた。理路整然と語れないものである。



    突然だった。サイレンが鳴り響き、慌ただしく動き出す警備員の方々。俺達は奥の手として
   存在しているため、後手に回れと言う指令である。

エリシェ(マスター、お2人方。大至急邸宅内へ来て下さい。地下より指定場所まで向かいます。)
ミスターT(了解した、直ぐに向かう。)
    小型ヘッドセットからエリシェの音声が流れる。表は警備員の方々に任せ、俺達は邸宅内へ
   入っていく。本題は8人の護衛対象を守る事だからな。

    邸宅内に入って驚いた。日本国内では考えられない程の様相だ。まるでアメリカはNASA
   の研究施設の様な様相である。となると・・・俺達が推測した事は当たっている可能性も。

    エリシェとラフィナ、そして8人の家族と共に移動を開始する。この邸宅は地下通路で遠方
   の緊急避難場所に繋がっているという。

警備員1(隊長、大変です! 未確認物体が邸宅に進入、そちらに向かったと思われます!)
エリシェ(分かりました。そちらは引き続き迎撃を続けて下さい。)
    手に持つ拳銃の安全装置を解除するエリシェ。その姿は完全にエージェントそのものだ。
   ラフィナの方も背中に担ぐアサルトライフルを構え、素早く安全装置を解除している。もっと
   驚いたのが8人の護衛対象だ。全く動じていないのが逆に緊張感を拡大させている。


    道なりに進むと、背後から物々しい音が近付いてくる。そちらを向くと、妙な機械式の飛行
   物体が数個いた。というかこの類、無人飛行機械に近いのか。ならば話は早い。

    俺達は問答無用で無人飛行機械に攻撃を開始。それぞれの武器で応戦し、即座に破壊して
   いく。今回は武装が貧弱とあって、弾丸を何時ものより強化版にした。炸裂弾式のものだ。
   対象物に着弾後、爆発するというものである。当然この弾丸は人体には射撃できない。相手に
   着弾したら最後、とんでもない事になってしまうわな。

ミスターT「・・・黙りを続けようと思ったが、やはり気になるから問うわ。この機械兵器は8人を
      狙うものと捉えていいのか?」
エリシェ「はい。むしろ生け捕りにするのが目的だと思います。」
    俺の問いに簡単に答えるエリシェ。むしろ隠そうとはしていない。それだけこの依頼が困難
   を極めるという事になるのだろう。内情を知っておけば、以後は動き易くなると踏んだから
   だと推測できる。
ミスターT「それに何故、態々日本に連れて来たんだ? この施設の様相からして、アメリカにいた
      方が安全だったんじゃないのか?」
ラフィナ「種子島の宇宙センターが目的です。アメリカのヒューストン宇宙センターでは目立ち過ぎ
     ますので。」
ミスターT「・・・なるほどな、宇宙が目的か。」
   エリシェとラフィナの話で大体掴めた。これはもう8人が地球外から来訪した、知的生命体
   としか取れない。理路整然と解釈できる物事じゃないが、実際にこの推測は合っているわな。


    その後も無人飛行機械が来襲し、その都度銃撃戦に発展していく。向こうは生け捕りが目的
   としているようで、一切危害を加えようとしない。それだけ無傷で確保したいのだろう。

    仮にこの8人が宇宙人だとして、それでも人体実験に用いられるのは我慢がならん。これは
   警護者としてのものではなく、人としてのモラルの問題だ。

    先手をシュームとナツミYUに任せ切りなため、直ぐに弾薬が枯渇してしまう。俺が持参
   してきたマガジンと予備の拳銃、そしてメインのマグナムを全て彼女達に託した。俺は背中に
   持参していた携帯式方天画戟を取り出し、それで無人飛行機械を叩き壊す事にする。

少女2「・・・三国志は呂布奉先様の武器ですね。」
ミスターT「へぇ・・・知っているとは。」
    かなりの数の無人飛行機械を叩き壊していると、静かに口を開く女の子。先程俺を見て顔を
   背けたあの娘だ。他の娘達もウンウン頷いている。俺達が暴れている姿のにウズウズしてきた
   のか、何と破壊した無人飛行機械の一部を強引に曲げて簡易武器を作り出していた。
ミスターT「・・・鋼鉄を飴玉のように・・・。」
エリシェ「私達も最初は驚愕しました。地球上にある物質を簡単に持ち上げたり曲げたりと。更には
     重力制御もできるのだとか。」
ミスターT「夢でも見てるようだな・・・。」
   ついには割って入り出し、無人飛行機械を簡単に破壊しだしたではないか。しかも仕舞いには
   殴り付けて破壊している・・・。彼女達はどんな腕力をしているのやら・・・。
ナツミYU「話には聞いていましたよ。アメリカのNASAが極秘にコンタクトを取り、知的生命体
      たる存在と交流を開始したと。それがこちらの方々だとは思いもしませんでしたが。」
ミスターT「・・・無人機は彼らを捕縛し、生体実験するつもりか。」
シューム「人外な力を持つ故に、となるわね。」
ミスターT「・・・カスどもめ・・・。」
   これで怒りが沸かないのは人としてどうかしている。警護者は依頼には干渉するな、これが
   暗黙の掟だ。しかしそれを超越する出来事が起きている以上、警護者側も超越した考えを出す
   べきだな。つまり逆説的に依頼に干渉せよ、という事だ。

ミスターT「・・・分かった。俺達が貴方達を無傷で宇宙に送り出そう。これは地球人としての誠意
      ある対応と取ってくれ。地球人全員が全部悪い奴じゃない事だけは理解して欲しい。」
少女2「当たり前です。お兄様は命懸けで私達を守ってくれている。それに感謝できないなど、私達
    ギガンテス一族の恥で・・・。」
    言い掛けて、しまったと言った雰囲気を出す彼女。だが既に俺達は在り得ない状況に巻き
   込まれているのも事実。何を今更な感じでもあるが。萎縮する少女の頭を、気にするなと思い
   優しく撫でた。それに笑顔で見つめてくる。
少女2「・・・お父様・お母様、妹達を連れて先に帰って下さい。私はこの方々と一緒に戦います。
    守ってくれるだけでは忍びありません。」
少女1「そうだね、私達にできる事をだね。」
少女3「いっちょ暴れますかぁ!」
   先に語り出した娘を見て把握した。この親子は3姉妹の2ペアで、6姉妹という事になる。
   そのうちの先の3姉妹が参戦を名乗ってくる所を見ると、どうやら依頼者は両親かその親しき
   人物となりそうだ。
シューム「何か、リュリアが3人いるみたい・・・。」
ナツミYU「フフッ、本当ですね。」
ミスターT「年代的に同じだろうし、会えば意気投合しそうな感じがするわ。」
   有言実行を信条としているようで、一度決めたら突っ走る様子。追撃してくる無人飛行機械を
   素手で破壊していく様は、もはや暴走機関車の如くである。

    しかし本当に理路整然と解釈できる事ではない。今し方から宇宙人の護衛を受け持つ事に
   なろうとは。まあ俺達地球人も同じ生命体の1つ。変な解釈は必要ないのだろうな。

    後半へと続く。

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