アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第2部・第6話 再来のカーチェイス・後編3〜
    どんな状況でも無限という事は有り得ない。何処かで必ず枯渇しだしてくる。コミケ会場
   での大乱闘でも、自然と終息していったのがその例だ。今回も徐々に無人兵器の数は減って
   きだし、気付いた頃には全ての兵力を撃滅し切っている。

    俺達だけでは厳しい流れも、トラガンのレディース部隊やハリアーU群の加勢もあって優位
   に進めた感じだ。それでも目の前の夥しい無人兵器の残骸には驚愕するしかないが。

    また戦闘が終われば後始末も忘れない。これら残骸を全て撤去する。後から駆け付けて来て
   くれたウインドとダークH、そして警察群の方々の加勢もあり短時間で済んだ。一体何処から
   これだけのレアメタルを得る事ができたのやら・・・。

    更に喫茶店からはナツミツキ四天王やミュティ・シスターズまで駆け付けて来てくれた。
   現地の守護役と運営役は躯屡聖堕メンバーに委せてあると言う。今では総出で経営する喫茶店
   そのものだわ。


ミスターT「後は任せてもいいか?」
ウインド「お任せを。後始末は全部こちらが行っておきますね。」
ダークH「本来なら私達が撃退すべき所を、マスター方が担って頂いた流れですし。このぐらいは
     担わせて下さいな。」
ミスターT「すまんな。」
    2人が言う通り、本来なら警察群や自衛隊群が撃退すべき流れになる。それを俺達警護者群
   やトラガン群が名代で担わさせて頂いた形だ。国外からの要らぬ横槍がなければ、日本総出で
   対処すべきなのだが。これが今現在の実状だろう。
ミツキ「今度わたが警視総監をやっても良いわぅか?!」
ナツミA「それなら警察庁長官の方が良いんじゃない? 階級別としては警視総監を超える役職に
     なるし。というか、貴方がなってどうするのよ?」
ミツキ「その間にウインドちゃんとダークHちゃんを休ませるわぅ♪」
ナツミA「なるほど、その手はあるわね。」
ミスターT「お前達が2人の代役を担ったら、国内から犯罪が消えそうな感じがするわな。」
   俺の言葉に周りの面々の誰もがウンウンと頷いている。特に後始末を担当している警察群の
   面々すらも頷いていた。今では姉妹の活躍は多岐に渡っており、その情報は彼らにも伝わって
   いるようだ。まあFMラジオのDJを担っているぐらいだ、聞いていてもおかしくはない。
エリシェ「警視総監の話を聞くと、刑事ドラマは“相棒”を思い出しますね。」
ビアリナ「あー、確かに。向こうはフィクションですが、その中での汚職やら何やらは目立っている
     感じですし。」
ミツキ「エリシェちゃん達に掛かれば警察庁長官すらも退任可能わぅ?」
エリシェ「その気になれば何でも可能ですけど・・・。」
   不気味な笑みを浮かべるエリシェとラフィナに同調して、同じく不気味に笑うミツキの姿。
   それに周りの重役の面々は恐怖に慄いている。まあ実際に行う事はないだろうが、実際に力が
   備わるのだから怖ろしいものだわ。

ミスターT「と言うか、地球上の各国家の首脳すらも退陣可能な力を持っているしな。」
エリシェ「ですねぇ。私達大企業連合に掛かれば、実質不可能な事はありませんよ。」
シューム「恐怖の大王何のそのよね。」
    一服しながら寛いでいるシューム。世界中の大富豪を全て集結させても、大企業連合には
   遠く及ばないとの事だ。規模的には1万倍近い勢力を誇っているとも。人知を超えた力と言う
   べきだろうな。
ウインド「その様な絶対的な力を有しているも、全く私利私欲に走っていない姿には畏敬の念すら
     覚えます。生命哲学に準拠した実践を繰り返し行われている。周りからの熾烈極まりない
     横槍や妨害工作をも蹴散らし、ただ只管に人のため・地球のために動かれていますし。」
エリシェ「言うは簡単・行うは難し、なんですけどね。それでも私達の存在が、目の前の方々や全て
     の方々を支えられるなら担うべきです。」
ダークH「マスターも仰られていましたよね。力とは使ってこそ意味がある、と。」
ミスターT「そうだな。または、力とは使わないと意味がないとも言える。ただ有り余る力は破滅を
      導きかねない。それを徹底して中道に進んでいるエリシェ達は偉大だよ。」
エリシェ「フフッ、淵源の絶対不動の原点回帰は貴方なのですけどね。」
   調整を終えたマデュースを背中に背負うエリシェ。この美丈夫には似付かわない獲物を持ち、
   なおかつ大企業連合の総帥という事実には驚愕するしかない。しかし彼女が言う通り、目の前
   の存在を支え続けてこそ意義がある。それがこの戦いだわな。
ラフィナ「私達の目が黒いうちは、可能な限りの悲惨や不幸は抑え続けていきますよ。」
エリシェ「皆様の力があれば必ず達成できると確信しています。」
ミスターT「だな。だがこれだけの実力が備わっていても、世上は混沌としているのが何とも。」
   一服しながら思う。大企業連合は言わば地球自体を支える企業の集合体とも言える。その彼ら
   をしても悲惨や不幸の抑えが厳しい現状だ。非常に難しいものだわな。

ミツキ「諦めたら0%になっちゃうわぅよ! 諦めなければ0%にはならないわぅ!」
ナツミA「今後の私達次第という事になるわね。」
ミスターT「心から賛同するわ。その生き様があれば、エリシェ達の誓願が達成に近付くのは間違い
      ないわな。」
    茶菓子を頬張りつつ力説のミツキに、ダブルトリガーを分解調整しているナツミAが頷く。
   ここも最終的には己自身との戦いに帰結してくる。それらが重なり合い進む先が、エリシェ
   達が誓願とする部分に帰結もしてくる。そして世上から悲惨や不幸を抑えていけるのだから。
ミスターT「まあ何だ、今は何処から出てくるか分からないカスどもを叩き潰していくだけだな。」
ミツキ「レアメタルが回収できてウハウハわぅね!」
ナツミA「相手も損な事を繰り返すわよねぇ。」
ミツキ「これだけあればデロリアンの強化・・・・あーっ! 窃盗団は何処行ったわぅか?!」
ナツミYU「既に捕縛済みですよ。」
   途中から無人兵器の撃退が主軸になったが、本来の目的は窃盗団の捕縛だ。それに気付いた
   ミツキが大慌てするが、一服するナツミYUが冷静に語り出した。

    彼女が指し示す先には、ウアイラの近場で大人しくしている窃盗団の面々。しかも捕縛と
   言うも、縛り上げる事は一切していない。今の大乱闘を目の当たりにして、すっかり戦意喪失
   し切っている。

    かつてのカーチェイスの時は言わば純粋に車での戦いになった。今回も最初はその流れに
   近い様相だった。それがどうだ、海外逃亡を図ろうとした先には無人兵器群がいたのだから。
   もし彼らだけで現地に到着していたら、無人兵器群に逆襲撃をされていたに違いない。

    先回りしていた俺達が無人兵器群を対処中、そこに窃盗団の面々が到来した。彼らをも守る
   戦いに至ったが、全ては目の前の人物を助けるに限る。その瞬間には敵も味方もないわな。
   それだけ無人兵器群は全てにおいての敵対者ともなるだろう。

ミツキ「おういえい! ではデロリアンは頂くわぅ♪」
エリシェ「諸々の流れは自然的に解決しそうなので、デロリアンとチャージャーはお2人にお譲り
     致しますね。それに上手くすればプラスアルファになりそうな感じですし。」
ナツミYU「そうですね。」
ミスターT「殴り合わなければ解り合えない、か。本当に皮肉な話だわな。」
    会話をしている間にも、警察郡の面々が後始末を終えている。元の綺麗な駐車場へと戻って
   いた。あれだけの大暴れをするも、アスファルト地面には傷がないのだから怖ろしい。
ミスターT「さて・・・海岸でバーベキューでもやるか?」
ミツキ「にゃんと! パーティーできるわぅか!」
ナツミA「バーベキューねぇ・・・。まあ葛西臨海公園に来てるのだから、息抜きをしてから戻り
     ましょうかね。」
エリシェ「了解です。小1時間ほど頂ければ、準備を完了できます。皆様は海岸でお待ち下さい。」
ミツキ「ウッシッシッ、これで獲物にありつけるわぅ♪」
   急遽の打ち出しに大盛り上がりする面々。本来なら考えない事なのだが、逆にそれが特効薬
   にもなるだろう。不測の事態に備えつつ、息抜きを満喫するとしよう。

    ちなみに俺達以外に、トラガンのレディース群も参加の流れだ。何時如何なる時でも馳せ
   参じてくれる彼女達を労わずして、俺達の生き様は存在しない。これもミツキ流の生き様に
   なるわな。それに今となっては彼女達が妹にしか見えない感じだ。

    ともあれ、急遽打ち出した息抜きを満喫するとしよう。もしその時に再度襲撃があるなら、
   その都度対処すればいい。まあミツキの事だ、娯楽を邪魔されたツケを払わされるが・・・。



    大盛り上がりの海岸。それそれが一時の休息を満喫している。遠方の海上には警備と題して
   超レプリカ伊400が鎮座しているのが何とも。レプリカ大和の倍以上の巨体だ。東京湾の
   守備には打って付けだろう。

    ちなみに超レプリカ大和は小笠原諸島近辺で鎮座中。その長大な射程距離を誇る獲物は、
   日本の領土全てを守り切れるほどだ。またレプリカ大和は沖縄は那覇に、レプリカ伊400は
   北海道は函館に待機中だ。

    今はここにいるが、超レプリカ伊400は遊撃として日本全土を回っているようだ。この
   4大ガンシップが日本の警護に当たっている感じになる。警察群や自衛隊群が国外からの横槍
   で動けない以上、俺達警護者郡が何とかするしかない。

    極め付けは衛星軌道上に鎮座の母船・大母船・超大母船か。ピンポイントの射撃が可能と
   あると、それを知った国家は恐怖に震え上がると思うわ。そして現段階での対処法は、例の
   13kmを誇るヘシュナの宇宙船のみになる。人類は3大宇宙船団に為す術がないのだ。

    連中がヘシュナと組みたがる意味合いが分かる。行く行くは3大宇宙船団を視野に入れた
   行動を取るのが見え見えだ。まあヘシュナ自身も馬鹿ではないだろうから、そこは鋭く見抜く
   とは思う。大丈夫だとは思うが・・・。


ミュティナ「何かお考えでも?」
    彼女の声で我に返る。相変わらず周りはドンチャン騒ぎの真っ最中だ。まあ喫茶店での流れ
   と全く変わらないため、室内か室外かの差だろう。
ミスターT「いや、ヘシュナはどうしているか気になってね。」
ルビナ「やはりそこに帰結されますか。」
ミスターT「上辺の悪態はまだしも、シュームが言うそれは孤独を恐れている感じに取れる。」
   軽食を取りつつ内情を語った。巨大ホログラムでしか確認できなかったが、ヘシュナの心境は
   相当なものだとも取れる。上辺の凝り固まったプライドが前面に出ているようで、実際の内情
   は別のものだと感じれる。
ミュティナ「前にも言いましたが、昔はあの様な覇道を突き進む事はなかったのですが。」
ミスターT「他の連中に誑かされているとも取れないしな。」
ルビナ「本来なら私達以上に曲がった事が大嫌いな筈だったのですが、何処でどう曲がったのか本当
    に不思議でなりません。」
ミスターT「・・・黒幕が相当な手練れという訳になるか。」
   地球人以上の見定めた千里眼を持つ宇宙種族。その中のカルダオス一族のヘシュナ。その彼女
   が簡単に操られるとはとても思えない。何か別の意図があっての悪態に感じれるが、今は俺達
   にとって脅威の何ものでもないのは確かである。

ミスターT「シュームさんや、あのパッと見だと他に何か感じれたか?」
シューム「ん? ヘシュナちゃんの事? んー・・・素でも形作ったものでもなさそうだけど、君が
     思うように別の意図があるのは確かよね。」
    一同に焼きそばを拵えているシューム。喫茶店での厨房の姿と何ら変わらない姿に笑って
   しまう。その俺を見て苦笑いを浮かべているが、流石は現役の主婦である。
シューム「まあこれも君が思った事だけど、確かに孤独を恐れている一面はあるわね。ミュティナ
     ちゃんやルビナちゃんが言う様に、昔は熱血漢だったとしても今は私達に害を成す存在
     でしかない。事態が悪化する前に説得するのが無難かな。」
ナツミYU「そこまで己を誇示している方を説得できますかね・・・。」
シューム「んー・・・異性同士だと要らぬ感情が出かねないけど・・・。」
ミスターT「つまり、もう一度変化せよという事だな。」
   一旦手持ちの食べ物を近場に置き、胸のペンダントの1つを作動させる。以前ミュティナから
   託された、性転換が可能な代物だ。座った状態での変身は行った事がないが、ペンダント効果
   でものの数秒で男性から女性へと変化した。


ミツキ「うっほーい! ミスターTからミスTにメタモルフォーゼわぅね!」
エルシェナ「必殺の“ミスT様”ですか。」
ミスT「何とも・・・。」
    俺の変化を直接見ていない面々は驚愕の表情を浮かべている。俺自身も喫茶店の2階で変化
   して着替えたため、この場での男性時の出で立ちを纏った状態での変化は初めてである。
シューム「はぁ・・・女の私から見ても惚れ惚れするわね。」
ナツミYU「ですね。元が男性だからですか、そこに女性の魅力が加算される形でも。」
ミツキ「でで、どうするわぅ? どうやってあの宇宙船に潜入するわぅか?」
ミスT「暫く様子見だろうな。もし向こうが監視の目を光らせているなら、何れ襲撃してきた時に
    何か分かるかも知れない。」
ナツミA「出会い頭の時の印象は最悪でしたからね。」
   変化を終えて再び軽食を取る。男性から女性への変身は体格の変化もあるが、殆ど変わらない
   流れになる。メルデュラ・リヴュアス・メアディルの様な巨女に近い感じだろう。

ミスT「そう言えば、ヘシュナには家族はいたりするのか?」
ルビナ「妹がいらっしゃいますね。お名前はヘシュア様です。ただ最後に見掛けたのは数万年前の
    話ですが。」
ミスT「数万年ねぇ・・・。」
    アッケラカンと語る内容に驚愕するが、それは地球人時間に換算すると数年とも取れる。
   俺達が彼女達と出会う前に、ヘシュアと言う人物に会っている感じか。もしかしたら突破口に
   なるかも知れない。
ミュティナ「流石のヘシュナ様も、ヘシュア様には頭が上がらないそうです。妹なのにやり手の頭領
      になりますし。」
ミスT「へぇ・・・珍しいな。」
シューム「となると、ヘシュアちゃんを味方に付ければ打開できるかも知れないわね。」
デュリシラ「なるほど・・・ちょっと探りを入れてみますかね。」
   食事を取りつつ、近場のテーブルにノートPCを展開。口は食事を取るも、両手はブラインド
   タッチが冴え渡る。流石はやり手のプログラマーだわ。


ウエスト「ほぉ、デュリシラ嬢の腕前もなかなか。」
サイバー「叩き上げで勝ち取った力ですね。」
デュリシラ「ヘヘッ、恐れ入ります。」
    デュリシラの猛烈な作業を見守るウエストとサイバー。この2人もソフトウェアの力は凄腕
   の強者になるため、彼女の実力を直ぐに察知したようである。ナッツとエンルイはこの手の
   ソフトウェアは得意でないようで、どちらかと言うと職人肌と言える。
ナツミA「この手の作業は手数が勝負だからね。私も参加して速攻勝負で炙り出しますか。」
エリシェ「炙り出す、ですか。まあそうでもしないと見つかるものも見つかりませんし。」
ミスT「お前達なら何だってできるわな。」
   軽食を取り終え、一服しながら一同を見つめる。和気藹々な流れの中に、生真面目さも存在
   している。この部分には違和感を感じずにはいられないが、それこそが連中の目を欺く強烈な
   一手になるのも確かだ。言わばカモフラージュだな。
エルシェナ「あの、今度また私達に戦術指南をご教授頂けますか?」
ミスT「何だ、何時もの時でもいいのに。」
エルシェナ「いえ、私達の最初の印象はミスT様なので。どうしても今だに男性への恐怖心は消えて
      いないのが実状でして・・・。」
ナツミA「へぇ・・・四天王も形無しよねぇ。」
   デュリシラに勝るとも劣らないブラインドタッチをしながら、強烈なまでの目線で四天王を
   睨むナツミA。それに4人は恐怖に慄き、顔を青褪めだしている。一応の戒めの感じだろう。

    ただし、彼らのトラガンへの貢献は計り知れない。既に兄貴分として大変慕われている。
   俺の場合だけ特殊な接し方をしたため、今も野郎の俺自身に慣れない感じなのだろうな。

    事実、四天王と気さくに接するトラガンのレディースの面々。ここに男性への恐怖心は全く
   感じられない。俺の時だけ幾分か戦々恐々な雰囲気を出している。

    そう考えると、世界での女性への対応が身に滲みる思いになるわ。声を挙げられずに虐げ
   られているのが実状だ。ある意味トラガンの面々は、今後の現状打開の特効薬になるのかも
   知れない。

ミスT「・・・これだから野郎は・・・。」
エリシェ「ハハッ、女性時でも自己嫌悪ですか。しかし、今思われた一念は痛烈に伝わっています。
     私達大企業連合の根幹も、女性が立ち上がってこそ至れる生き様と思っていますので。」
ラフィナ「マスターのその一念は、男性目線から女性目線へ至ったからこそのものですね。」
    今では野郎時でも女性時でも全く同じ考えに帰結してくる。本来なら偏った考えになるので
   あろうが、完全に女性目線の部分が芽生え出していた。理路整然と解釈できる事ではないが、
   確実に感じられる明確な力の1つと言える。
ミスT「俺の気質からしたら、女性の方が性分に合うのかも知れないわな。」
ミツキ「お姉にお兄・・・前にあったアニメのお姉兄様わぅね!」
ナツミA「“MAZE☆爆熱時空”よね。ただアレ、性転換と言うより兄妹な感じだけどね。」
ミツキ「薄い本では性転換モノのウヘヘウヘな作品が多いわぅ♪」
ナツミA「あー・・・まあねぇ。」
   姉妹が挙げたネタを聞いた女性陣が、強烈な目線で俺を睨んできた・・・。その恐怖の視線に
   男性たる四天王は恐怖に震え上がっている。女性を怒らせたら怖いという事が、この雰囲気で
   確実に分かるわ・・・。

シューム「まあ君の気質からすれば何でもアリな感じだけど。」
ナツミYU「ですね。女性の私達からしても、その出で立ちに強い魅力を感じますし。」
ミスT「俺からすれば野郎の下心を除けば、女性特有の魅力には頭が上がらないんだがの。」
    軽食を終えて一服しながらその場に寝転ぶ。夜の帷が下り出してきた海岸は、星空が美しく
   見えていた。これで街灯の明かりがなければ、更に絶景が見渡せるのだろうな。
ミスT「・・・この美しい大自然、地球も含めた様相。何が何でも守り続けねばな・・・。」
エリシェ「大丈夫ですよ。私達の力を駆使すれば、必ず達成できます。」
ミスT「俺達次第という事だな・・・。」
   傍らにいたエリシェが俺の頭の近くに座る。そのまま頭を優しく持ち上げ、膝の上へと乗せて
   くれた。実年齢からは年下の彼女だが、女性の年代からすれば俺は赤子当然に近い。この何気
   ない言動こそが、エリシェの女性たる生き様の集大成だろう。
エリシェ「・・・デュリシラ様が仰った通りですね。貴方が男性とはとても思えない。一時的にせよ
     性転換するも、昔から女性でいるかのような感じで。」
ミスT「何度も言うが、女性は偉大だ。野郎は破壊と混沌しか生み出さない。しかもそれが今だに
    続いている。その中でどれだけの女性達が苦しんでいるか。」
エリシェ「またまた自己嫌悪を。ただ確かに今も続く紛争は、男性が中心となっていますからね。」
シューム「君みたいに回帰できる男性がいるなら、世の中もっと変わるんだけどね。」
ナツミYU「先程仰られた通り、今後の私達次第で変わっていきますよ。」
   気付くと傍らにシュームとナツミYUも座っている。一服する姿が格好良く、女性に変身して
   いるから余計響いてくるのだろうな。

ミスT「・・・ナッツの名言通りだわな。」
ナッツ「何です? あー・・纏めて守り通せば済む、ですね。正にその通りで。」
エンルイ「言うは簡単・行うは難し、でも。しかしミツキさんの名言からすれば、諦めなければ0%
     にはなりませんよ。」
ミスT「本当だわな。」
    視線をミツキの方に向けると、ミュティ・シスターズと一緒に大食いしている姿を見た。
   それに自然と笑ってしまう。この美丈夫の生き様を体現すれば、世上から悲惨や不幸を限り
   なく減らしていけるのは間違いない。


    その後もドンチャン騒ぎは続く。世上は混沌とした様相なのに、この和気藹々とした流れは
   見事としか言い様がない。しかしそれが連中にとっての特効薬になるのも間違いない。

    星空が美しい夜の中を、一時の休息を満喫しよう。この安穏が全ての人に至る時まで、俺達
   は戦い続ける。

    第7話へ続く。

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