アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第1部・第7話 怒りの一撃1〜
    先日の依頼後、宇宙人姉妹ミュティラ・ミュティナ・ミュティヌと一緒に住む事になった。
   種子島から宇宙に上がった3人の家族に訳を言うも、簡単に同意する展開には呆気に取られる
   しかなかった。

    またこの宇宙人姉妹を半ば匿う事は、彼女達を利用しようとする連中の目を引く事になる。
   そこは三島ジェネラルカンパニーと躯屡聖堕フリーランスが何とかしてくれるとの事だ。特に
   泣く子も黙ると恐れられる躯屡聖堕チームの力は絶大だ。

    ちなみに3姉妹は見た目がミツキと大差ないため、3人には悪いがカムフラージュも兼ねて
   地下工房で働いて貰う事になった。それもその筈、3姉妹の超絶的な腕力は特殊兵器を作成
   するのに打って付けだからだ。

    鉄板を片手で簡単に潰し、鋼鉄パイプも片手で簡単に曲げてしまうのだ。人知を超えた能力
   に唖然とするナツミツキ四天王だが、作業手が増えたとあって喜ばしいとの事である。それに
   ミツキやナツミAを慕う姿が頬笑ましいとの事だ。

    ナツミツキ四天王が願う事は、ナツミツキ姉妹の笑顔に他ならない。姉妹に笑顔をもたらす
   3姉妹であれば、その3人をも纏めて守り通すのが彼らの信条だ。俺もそれには心から賛同
   したい。

    それに本来ならリュリアと同じ学年に編入とも考えたのだが、明らかに人知を超えた存在は
   人目に曝すのは危険すぎる。ここは地下工房で動いて貰うのが無難だろう。



ミツキ=DJ1(わたの目が黒いうちは見逃さんわぅぜぇ!)
ナツミA=DJ2(片っ端から殴り倒す様はモンスターそのものよねぇ。)
    喫茶店のカウンターから店内隅を見つめる。今もミツキとナツミAのラジオは続いていた。
   姉妹の気質は誰もが虜にされるのか、今では絶大な人気を誇っているとの事だ。ただ暗黙の
   ルールとして、姉妹に会いに来るファンの方々はいないのが見事なものである。
ミスターT「しかしまあ・・・お前達も料理ができるとはね。」
ミュティナ「見様見真似ですが、何とかできますね。」
   厨房ではミュティナが料理を作っている。流石は年の功と言うべきか。10万年も生きている
   だけに、見様見真似で直ぐに習得してしまう。それはミュティラやミュティヌも同じだった。
シューム「全てにおいて万能過ぎるわねぇ・・・。」
ナツミYU「戦闘センスも怖ろしいまでのものですし・・・。」
   シュームは専業主婦から喫茶店の厨房運営に変わったが、ナツミYUは総合学園の運営を後輩
   のメルアという女傑に任せたという。今ではシューム共々、喫茶店に常駐している。それに
   ここが警護者の事務所になっているため、今では2人もここに合流した形になった。

シューム「そう言えば、ミュティナちゃんのお母さんのお歳は?」
ミュティナ「シューム様と同じ29歳です。正確には・・・。」
ナツミYU「29万歳ね・・・。」
    3姉妹の母親、ミュセナ。シュームと同じ29歳だが、それは29万歳というとんでもない
   年齢である。ただ実際はシュームとリュリアと同じ母娘の間柄な感じだ。
ミスターT「大差ないと思うけどね。時間の流れが違うだけで、実際は殆ど変わらないだろうに。
      俺には8人が普通の何処にでもいる家族にしか見えんよ。」
ミュティナ「あ・・ありがとうございます。」
   実に嬉しそうに微笑む彼女。確かにぶっ飛んだ年齢だが、地球での姿形では全く変わらない。
   別世界の人と決め込まず、自分達と同じく接する事こそが大切だわな。
シューム「ミツキちゃんがお淑やかになった感じよね。」
ナツミYU「でも失礼ながら、明るさではとても勝てないと思います。」
シューム「そうねぇ〜。ミツキちゃんの明るさには勝てないわね。」
   もはや誰もが認めるミツキの明るさ。天然とも言えるノホホンな姿は、見る者を魅了して止ま
   ない。もはや自然体のレベルであり、理路整然と解釈できる物事の話ではないのかもな。
ミスターT「・・・今の世上、彼女の様な一念があれば。」
ナツミYU「争いなどは消え失せる、ですか。」
シューム「敬い・労い・慈しみの精神、よね。」
   本当にそう思う。ミツキの一念は、俺からすれば殺伐とした世上に降り注ぐ太陽の如くだ。
   彼女の明るさがあれば、世上から争いは消えるかも知れない。

ミュティナ「地球での様相がどうあれ、宇宙視点から見ればミツキ様のお姿は太陽。いや、逆を言う
      のなら全てのマイナス要素を喰らい尽くして飲み込むブラックホールが相応しいかと。
      そしてプラス要素たる幸せを放出するビックバンでしょうか。」
ミスターT「ハッハッハッ! ブラックホールか、正に当てはまってるわ。」
    ミュティナが例えたそれに笑ってしまう。ミツキはある意味ブラックホールそのものだ。
   その先だとビックバンそれだろう。宇宙と言う視点から見れば、案外的を得たものだな。
シューム「そう言えば、ミュティナちゃん達の紛争解決法とかはあるの?」
ミュティナ「アレですね、ミツキ様縁の“持ちつ持たれつ投げ飛ばす”で。」
シューム「ぶっ・・アッハッハッ!」
ナツミYU「ご自身方の超絶的な力に、宇宙を移動できる要素があるなら可能でしょうね。当初は
      理路整然と解釈できませんでしたが、今はむしろ力こそ全てな感じがします。」
ミスターT「武力外交じゃなく、格闘外交だわな。」
   このギガンテス一族を考えると、武装は最小限な感じがする。肉弾戦こそ彼らの真骨頂で、
   それを補佐するのが超絶的な身体能力だ。前に伺えたが、何と銃弾やロケットランチャーすら
   止めてしまうという。物質の持つ推進力を時間と空間という概念から止めてしまうのだとか。
   正に無双そのものである。

ミスターT「まあそれでも、俺の出来得る限りの力で守り続ける。それは今も変わらない。お前達
      からすれば無力に近いだろうがね。」
ミュティナ「いいえ、本当に嬉しいです。私達の信条は一念次第、それは痛烈な強い思いそのもの。
      私達の力を以てしても、おそらくお兄様の前では足元にも及びません。」
シューム「心の強さならトップレベルだからねぇ。」
    ミュティナに代わり厨房に立つシューム。このミツキの体躯にも充たない少女が、凄まじい
   戦闘力を秘めている事には驚かされる。それでも幼子には変わりないのだ。
ミュティナ「私達ギガンテス一族は直感と洞察力も鋭いもの。お兄様の心情や決意も全て承知済み
      です。そして何よりも、人の痛みを知っていらっしゃる。」
ナツミYU「他者への痛みを知っていれば、傷付けるような事はしなくなりますね。」
ミュティナ「はい。しかし、警護者という存在も肯定します。力をプラスに働かせるもの。そして
      マイナスで動く方を阻止する。そこに傷付けるという行為が発生しようも、相手が何を
      したのかという事を忘れてはなりません。」
ミスターT「因果応報の理だわな。まあ俺は裁きなんか柄じゃないし、そんな偉そうな奴でもない。
      しかし、守るべきものは守る。ただそれだけの事だ。貪欲なまでに生き様を貫き通す。
      今後もこの姿勢は絶対に曲げんよ。」
   一念次第ではどうにでもなってしまう現状。そして最後は己自身との対決に至る。となれば、
   やはり胸中の原点回帰が据わっているかどうかで変わってくる。実に大切な事だ。

ミュティナ「やはりその一念が根底ですね。初めてお会いした時も、その一念が身体中からオーラ
      として出ていました。生命エネルギーとも言いましょうか。」
シューム「初見で読み取るのねぇ〜。私やナツミYUは彼の強さを知るのに、結構時間が掛かった
     のにねぇ。」
ミュティナ「フフッ、それだけお兄様を好かれたじゃないですか。」
    見事な一撃だ。ミュティナの発言で顔を赤くするナツミYUとシューム。この2人からは
   時間を掛けて俺を知って貰い、そこから今の関係に至った。ミュティナ達は俺の心情を速攻で
   見抜いたため、速攻で絶大な信頼を置いてくれている。要は遅いか速いかの差だけだ。
ミュティナ「多分・・・この何とも言えない思いが恋愛感情だと思います。私もお兄様にその感じが
      ありますので・・・。」
ミスターT「時間の流れ、か。」
   顔を赤くするも、真剣な表情で語る。ミュティナ達は俺達地球人と時間の流れが違う。いや、
   多分同じなのだろうな。ただ超広大な宇宙空間からすれば、それは止まっているに等しい。
   彼女達に流れる時間は遅くも速く、ナツミYUやシュームが抱く感情を即座に抱いたと取る
   べきだろうな。
ナツミYU「何かこの凄まじさだと、君を簡単に取られちゃいそうよね。」
シューム「人知を超えた凄まじさ故に、か。」
ミュティナ「とんでもありません。確かにお兄様への思いはありますが、深浅レベルではお2人の
      方が遥かに強いものです。私達はまだ出逢って数日に過ぎませんから。」
ミスターT「思いは時として時間や空間を超越する、深浅なんか関係ないと思うよ。ナツミYUも
      シュームも、そしてお前も女性ならではの力強さは健在だ。野郎なんか足元にも及ば
      ないものだ。」
   一服しながら思う。今後の流れは女性の時代だ。野郎は破壊と混沌を招く悪そのもの。何時の
   時代も争いは身勝手な野郎が起こし、その都度泣かされるのは女性や子供である。本当に野郎
   とは業深き生物だわな・・・。

ミスターT「何時の時代も争い事を起こすは野郎、だな。」
シューム「あら、そうでもないと思うわよ。実際はどうかは分からないけど、クレオパトラや卑弥呼
     は悪女とも言われているし。」
ナツミYU「妲己なんかそうらしいわね。架空の可能性もあるけど。」
    悪女の例えを示すナツミYUとシュームが湿気っ面を浮かべている。実際はどうなのかは
   分からないが、同性として許せない部分があるのだろうか。それでも野郎が発端とする争いは
   枚挙に暇がない。
ミスターT「女性は輝いている方が美しいわ。」
ミュティナ「それ即ち、生き甲斐を持つとも言いますね。正にミツキ様とナツミA様の姿が顕著だと
      思います。」
   彼女の話を聞き、今もDJを担うミツキとナツミAを見つめる。この姉妹は本当に凄まじい
   女傑だ。確かにナツミYUとシュームも凄まじいが、この姉妹は本当に何から何まで逸脱して
   いる。超絶的と言うべきだろうな。
ミスターT「・・・あの2人のためなら、俺は命を差し出してもいい。ミツキとナツミAの存在は、
      今の世界に本当に必要だ。・・・あ、これは恋愛感情を除くものだからね。」
シューム「フフッ、君がそこまで思うのだから間違いないわ。」
ナツミYU「幾分か嫉妬はしますが、それが純粋無垢となると失礼極まりないですよね。むしろ君の
      思いは師弟不二の理そのものとも言える。」
ミュティナ「そう思える時点で、お2人はお兄様のパートナーに等しいのでしょうね。」
ミスターT「この2人も守るべき存在だの。というか守られっ放しになりそうだが・・・。」
   ミュティナの羨ましそうに語る内容に、顔を真っ赤にするナツミYUとシューム。パートナー
   は即ち夫婦そのものだろう。何れこの2人からの申し出を受ける時が必ず来る。それもまた
   俺の使命だろうな・・・。

ミスターT「まあ何だ、今は各々の使命を全うしますかね。やるべき事を全て達成せねば、無様な
      生き様を曝す事になっちまう。」
ナツミYU「そこは大丈夫ですよ。ミツキさん縁の“持ちつ持たれつ投げ飛ばす”、これで全て解決
      していきますから。」
シューム「正に格闘外交よね。」
    結局は各々の原点回帰、ここに戻る。毎度ながらの自問自答に近いが、それでも己の生き様
   を何度となく見直すのは必要だろう。警護者の存在からして、何時堕落するか分からない。
   心こそ大切に、本当にそう思うわ。
ミスターT「さて・・・何か依頼が来たみたいだの。」
ミュティナ「あ、では工房の方に戻ってますね。何かありましたら仰って下さい。」
   ノートパソコンに依頼のメールが届くのが分かった。それを確認しだすと、工房の方に戻る
   ミュティナ。ミュティラとミュティヌは今も工房で四天王と獲物の製作中である。3姉妹の
   力が加わってからは、一段と作業効率が激増した。見事なものだわ。


ミスターT「・・・今度は総出になるかも知れないな。」
    依頼の内容を見て顔を曇らせる。傍らで雑務をしているナツミYUが顔を覗かせ、厨房の
   シュームがカウンターを乗り上げるように覗いて来た。俺と同じ様に2人も顔を曇らせる。
シューム「ほむ、今度は海外のようね。」
ナツミYU「ハワイなら近場じゃないですか。」
シューム「ただ規模が不明、万全の準備をした方がよさそうね。」
   乗り上げ状態のシュームがバランスを崩し落ちそうになる。慌ててナツミYUと共に支えるの
   だが、その勢いでこちらに圧し掛かり一緒に床に倒れ込んでしまった。咄嗟に思い切り両手を
   拡げて2人を庇ったまでは良かったが、その分背中を強打してしまう。
ミスターT「いってぇ・・・。」
ナツミYU「だ・・大丈夫?!」
シューム「無茶し過ぎたね・・・ごめん・・・。」
ミスターT「2人が無事ならいいが・・・。」
   こう見えても体躯が素晴らしい2人。その2人が勢いによる圧し掛かりとあって、凄まじい
   打撃になったようだ。幸いにも背中に格納してあった方天画戟がクッション代わりになり、
   幾分かは軽減されている様子か。

ミツキ=DJ「おおっと?! 場外乱闘の始まりわぅか?!」
ナツミA=DJ「あー、失礼。ちょっと軽い事故がありまして、気にしないで下さい。」
    直ぐさま俺達の安否を気に掛けてくるミツキとナツミA。しかし周りのお客さんに心配を
   掛けないように、咄嗟にギャグ化するのは見事なものだ。不本意ながら笑ってしまう。それに
   釣られてナツミYUとシュームも笑っていた。

    しかしまあ、シュームの無茶な行動には呆れるしかない。まあナツミYUも含めて無傷が
   不幸中の幸いだろう。俺の方も携帯式方天画戟のお陰で強打には至らなかった。これ、背中に
   獲物を格納するのは防御面でも有効という現れだな。

    日常での何気ない小さい事故が、時としてデカいものになる場合もある。ここは今の教訓を
   活かした方が良さそうだわ・・・。



    ミュティナ達の存在には驚かされているが、更に人間とは異なる力に驚愕するしかない。
   今は喫茶店の地下工房にいるのだが、驚きの様相を見せ付けられている。

    この3姉妹が時間や空間を超越し、地球人では在り得ない力を出せるのはご存知の通り。
   しかしそれ以外にも凄まじい能力が備わっていた。先も挙げたが、重力制御というとんでも
   ない力もそうだ。

    レプリカ版だが本物仕様のパニッシャー、これを軽々と持ち振り回せるのだから怖ろしい。
   更に簡易版で開発していた背負う形の義手。右手タイプで丁度トライガン・マキシマムは
   ラズロ氏の人工腕部と同じものだ。それにパニッシャーを持たせる荒業もしたのだ。

    そして恐れた事態が正にソレだ。両手と義手腕部にパニッシャーを装着という。作上にて
   ラズロ氏が猛威を振るった様相を、この3姉妹は簡単に実現してしまったのだ・・・。

ミュティナ「こんな所でしょうか?」
ナッツ「まさか軽い物を持つ用に開発した人工腕部で、これ程の事ができるとはなぁ・・・。」
エンルイ「これだと、人工腕部はヘッドセットを駆使した脳波コントロールで操作可能ですね。」
    左右の手と背中の義手に本物仕様のパニッシャーを持つミュティナ。重力制御が織り成す
   超絶的な姿だ。この華奢な身体でよくぞまあ可能だと思うわ。
サイバー「見事なものだよな・・・。」
ウエスト「一応パニッシャーを9挺以上揃えるかね。」
サイバー「開発費が幾らあっても足りなくなりそうですけど。」
   俺が使わせて貰っているパニッシャーを含め、今現在は合計3挺存在している。カーゴ型の
   パニッシャーは試作品で、これも使わせて貰っているのが1挺だけだ。製造にはかなりの費用
   が掛かるようで、机で伝票の計算に明け暮れるサイバーである。

ナツミYU「そうだ、私からも資金提供しますよ。今までの報酬も全部使い切れずに、貯金ばかり
      でしたので。」
シューム「総合学園を賄えても余るぐらいの資金郡だからねぇ。」
ミスターT「俺も有りっ丈の資金出すか。でもここの建て替え資金は残さないとな。」
    ナツミYUの資金提供は相当な金額になりそうだ。彼女も俺と同じく報酬の使い道を持て
   余している状態である。警護者の報酬は依頼に見合う凄まじいものだが、逆に使えずに残り
   困る場合もある。
シューム「あ、そうだ。T君さ、エリシェちゃんから小切手預かってるんだけど。」
ミスターT「持ち歩いているのか・・・。」
シューム「まあ・・記載された金額が金額なだけにね・・・。」
   懐から取り出す折り畳まれた小切手。どうやら俺が不在時に、以前請け負った依頼の報酬金を
   シュームに預けてきたようだ。確かに俺宛のものだが、記載されている金額を見て驚愕した。
シューム「ブラジャー作戦時の本当の報酬らしいわ。」
ミスターT「・・・桁が相当間違ってないか・・・。」
シューム「まあねぇ・・・。それにほら、エリシェちゃん以外にも11人から総合という事らしい
     からね。しかもデュリシラちゃんからも加算されているし。」
ナツミYU「それだけ爆弾解除が厳しかった証拠でしょうね。」
ミスターT「う〜む・・・。」
   記載されている金額は、もはや一個人が保てる額を超越している。複数の都道府県を丸ごと
   維持できるほどのものだ。こんな金額いらないのに・・・。

シューム「とりあえず、金爆弾は君に返したわよ。後は任せるわ。」
ミスターT「金爆弾ねぇ・・・。サイバー、これ任せていいか?」
サイバー「どれどれ・・・。」
    シュームから受け取った小切手をサイバーに手渡す。それを見た彼が同じく驚愕している。
   そんなに凄いのかと作業を中断したウエスト・ナッツ・エンルイが見るも、同じく驚愕して
   いた。
ナッツ「す・・凄いな・・・。」
エンルイ「正に無双な感じですね・・・。」
ウエスト「う〜む・・・。まあ何だ、これでもマスターがしてくれた事に比べたらね。」
   ウエストの言葉にウンウン頷く3人。その意味合いはナツミAを窮地から救った事だろう。
   病床の彼女を健康にし、かつミツキを含む6人全員を守った事があった。正にその事だな。
サイバー「了解です。大切な力、確かにお預かりしますね。」
ウエスト「金銭的な力なんぞ、生命の力の前では朝露の如き儚さよ。まあ資金がなければ生きるのは
     厳しいけど、ここを履き違えると堕落する事この上なしだからな。」
ミスターT「ハハッ、お前達からすれば愚問だろうに。」
ナッツ「ナツミツキ及び四天王、永遠なり! ってな!」
エンルイ「より一層奮起せねば張り合いがありませんね。」
   一段と燃え上がる四天王。原点回帰をしつつ、それぞれの作業に戻っていった。やはり彼らの
   根底は6人全員が揃っていなければ意味がないのだ。その彼らを守れる俺自身、本当に幸運
   である。

ナツミYU「・・・本当に凄いですよね。この師弟不二の理、生命の力と言いますか。」
ミスターT「上でも言ったが、この6人こそ俺の追い求めてきた力そのものだからね。6人全員が
      揃わなければ意味がない。この6人を厳守してこそ、俺の生き様もそこにあるわ。」
    ナツミツキ姉妹とその四天王。彼らの純粋無垢な姿勢は、本当に見習うべきものだ。彼らの
   存在こそが、人間として当たり前の敬い・労い・慈しみの精神に回帰する。特に彼らを代表
   して、ミツキの生き様が顕著だろう。
ミュティナ「お兄様の生き様には本当に感嘆します。今まで長い事、流浪の旅路をしてきました。
      しかしお兄様の様な強い方にお会いした事はありません。ミツキ様方もお兄様が覚醒
      させたとも思えますよ。」
シューム「そうね。ナツミYUや私も同じクチよね。T君のその力強さの影響で、私達は今に至る。
     これは理路整然と語れるものじゃないけど、間違いなく存在しているものよ。」
ミスターT「ありがとう。だからこそ一層奮起せねばならん訳だな。膝など折ってなるものか。」
   四天王の生き様を通し、己の生き様を再度振り返る事ができた。ミツキが概念の敬い・労い・
   慈しみの精神、それが今の世上には必要不可欠なのだ。いや、これは本来人間に備わる利他の
   一念とも言える。それを爆発させているのがミツキやナツミAだろう。

    人は些細な切っ掛けで覚醒も堕落もする。それを良い方に軌道修正してくれる存在、それが
   いてくれるかどうかに掛かってくる。俺は恩師シルフィア冥利に尽きるが、今ではミツキや
   ナツミAも含まれるだろう。

    俺は俺の生き様を貫き通す、今はそれしかない。己の実証を示し、この生き様が間違って
   いなかったと表すために。それが善悪かは後の歴史に委ねる。先ずは己の生き様を示す事、
   それが一番大事である。

    中半へと続く。

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