アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第1部・第7話 怒りの一撃2〜
    それから数日後、恩師シルフィアから連絡が入る。久し振りの連絡に驚いたが、その内容に
   愕然とした。ミュティナ達を捕獲するための部隊が編成されたという裏情報だ。

    各国が絡む事がない、秘密裏に構成された別の軍隊という。日本は自衛隊の方々、他の国々
   ではそれぞれの部隊。その実力を凌駕する様相というのだ。

    そこまでして3姉妹を捕獲し、人体実験をしたいのか・・・。これだから人間は・・・。

シルフィア(厄介な事になりそうよ、十分注意してね。)
ミスターT「了解です。」
    連絡を終えると、近場の壁を殴り付ける。丁度喫茶店のカウンター端だったため、その衝撃
   音で周りは騒然としてしまう。隣にいたナツミYUや厨房にいるシュームが一番驚いている。
ミツキ=DJ「おおぅ、ゴキーラの出現で一撃必殺わぅね!」
ナツミA=DJ「まあそう言う事にしておきましょう。」
   俺の心境を察知してくれたのか、ミツキとナツミAが咄嗟にフォローしてくれた。今もDJを
   行っているため、リスナーの方々に向けても話した形だ。

ミスターT「・・・もしも、だ。」
ナツミYU「な・・何です?」
    怒りの雰囲気を出している俺に戦々恐々のナツミYUとシューム。静かに語り出した事に
   驚くも、俺の方は懸念する内情を吐露した。
ミスターT「俺が押し殺している不殺生の一念を忘れそうだったら、迷わず俺を撃ってくれ。」
シューム「は? そんな事になるのですか?」
ミスターT「あ・・悪い、事の内情を話さないとね。」
   半ば呆れ顔のシュームに少し笑ってしまうが、今さっきシルフィアから語られた内容を2人に
   話した。それを聞いた彼女達も、同じく怒りの表情を顕にしていく。

シューム「分かったわ、殺さない程度に阻止するわね。」
ナツミYU「難しそうですけど、可能な限りで行いますよ。」
ミスターT「はぁ・・・まあ有難い事には変わりないけど。」
    俺の本気とも取れるその内情に、2人も本気で阻止に掛かる事を約束してくれた。警護者
   同士の全力戦いとなると、それこそ壮絶なものとなるだろう。ただ俺が我を忘れている状態
   なら、2人の方が遥かに有利だ。ここは彼女達に全て任せよう。
シューム「と言うかさ、君の根底の一念だと大丈夫だと思うわよ。相手が絶対悪と分かるなら、全力
     を以ての半殺しもOKだし。」
ミスターT「そう言うものかね・・・。」
ナツミYU「相手の愚行を阻止するには、死なない程度の痛め付けは必須ですよ。本来警護者は護衛
      対象を厳守し、敵対者を潰すのが目的。最悪は敵対者の殺害も視野に入れる。」
シューム「そうね。しかし君や私達の実力なら、殺さずに制圧する事も容易よ。それこそ格闘外交が
     一番合うと思うけど。」
ミスターT「まあ・・・大いに期待してます。」
   この2人の実力からしたら問題ないだろう。しかし相手の愚行がどれ程のものになるのか、
   ここが少々気になるが・・・。

    ・・・あの警護時にミュティナ達を預かる事になったのは、要らぬ火種を呼び起こす事も
   覚悟しなければならなかったようだな。家族全員を宇宙に上げておけば、この流れにならな
   かったかも知れない。

    しかしあの時の3姉妹の内情は本物だった。それを無解にする事はできる筈がない。これも
   全て必然というものか。ならば全力で挑むしかないわな・・・。


    今の現状を全員に知らせる事にした。情報源は恩師なので彼女は除外するのだが、詳細を
   知っているという事でご足労して頂いた。

    この流れが確定的になるなら、今度の依頼かそれ以降は正規軍が相手になる。生粋のプロ
   集団だ。本当の殺し合いになるかも知れない。



ミツキ「DJは暫くお休みしないと。」
    DJの一時休止に落胆するが、現状に物凄く燃え上がっている彼女。今度の依頼は総力戦
   である。彼女達には悪いが、全員来て貰うのが無難だろう。
シルフィア(で、人選はフルメンバーでいいのね?)
ミスターT「その方が安全でしょう。今度のは相手が相手ですし。」
エリシェ(とりあえず、現状確認はしました。ハワイへの移動は船の方が良さそうですね。)
   今はPCやスマホを介してのスカイプ通話をしている。相手側に傍受される怖れがあるが、
   むしろ周りは知らせて纏めて叩いた方がいいと豪語するぐらいだ・・・。
シルフィア(あ、エリシェさん。悪いけどハリアーU隊一式乗せられる?)
エリシェ(その気になれば、原子力空母も搭載可能ですが。)
シルフィア(ハハッ、流石よね。了解、空に関しては問題なしっと。)
ミツキ「わた達は陸戦部隊わぅか?!」
シルフィア(今回は大いに暴れて貰わないと危ないかもね。)
   向こうでも色々と試算しているようで、何かをタイプする音が響いている。そう言えば彼女も
   ソフトウェアではナツミA・ウエスト・サイバーに匹敵か、彼らを超える実力を持っている。
   案外情報操作もお手の物かも知れないわ。

ウエスト「姉御、武装は最強装備でいいんですよね?」
シルフィア(その方が無難かもね。今回は下手したら正規軍の可能性があるし。)
サイバー「フル武装か、あの時を思い出すわ。」
ウエスト「当時より修行は積んでるからねぇ。」
    意味ありげに語るウエストとサイバー。それに遠方でシルフィアのニヤける顔が浮かぶ。
   俺がナツミツキ四天王と初めて共闘したのは、ナツミAとミツキを助ける時だ。もうかなり
   前の事だが、それから彼らも相当の鍛錬を積んでいる。今では凄い事になっているとか。
ミスターT「まあ諸々に関しては問題なし。後は海だけが・・・。」
ミツキ「気絶所望わぅか?」
ミスターT「案外その方が良さそうだわ・・・。」
   冗談とも本気とも取れる俺の言葉に周りは笑っている。しかし実際は本当に水が苦手なのだ。
   移動手段に関しては本当に悩まされる。
ミュティナ「あ、でしたら転送装置でお送りも可能ですよ。」
ミュティヌ「私達の1人が現地にいれば、そこにひとっ跳びですから。」
ミスターT「・・・それを利用させて貰うかなぁ・・・。」
シューム「何言ってるのよ、貴方達も一緒に移動よ。その秘技は奥の手としなさい。ここぞという時
     以外は使っちゃダメよ。」
ミュティラ「は・・はい・・・。」
   物凄い剣幕のシュームに萎縮する3姉妹。今では臨時の母親になっているため、彼女の怖さは
   物凄いようだ。3人の母親よりも怖いという。しかし・・・。
リュリア「え〜! 私もその力見てみたいっ!」
シューム「こらっ!」
シルフィア(はぁ・・・賑やかでいいわね。)
   この調子だ。実の娘たるリュリアには全く通用していない。むしろ新しいものには突撃せよ、
   この方針が育児のものだから余計かも知れないわ。

エリシェ(ま・・まあ、ミュティナ様方のお力は今は止めておきましょう。)
シルフィア(というか超絶的な力が発動したら、もしかしたら連中に察知される可能性もあるわね。
      まあ誘導するなら打って付けだけど、とりあえず様子は見ましょう。)
ミスターT「敵の出方が分からないからの。」
    エリシェとシルフィアの発言も確かである。転送装置たる地球外のテクノロジーが使われた
   となれば、地球上の妨害要素に知れ渡るかも知れない。先日は態々、種子島へ通常の移動手段
   で向かったのだから。
ラフィナ(とりあえず、諸々の装備などはお任せを。シルフィアさんが仰るハリアーU郡も、予め
     船舶に搭載しておきますね。)
ナツミYU「決行は何時にするので?」
シルフィア(明後日にしましょうか。依頼は1週間後だから、それまでに現地に着かないと。)
ミツキ「船でハワイまでって、時間掛からないわぅか?」
シルフィア(大丈夫よ。数日は超過しても問題なさそうだし。それに今回の目的は、間違いなく私達
      を狙ってくるはず。下手したら船上での戦いになるかも知れない。)
シューム「だから船にハリアーU隊を乗せる訳ね。正に空母だわ。」
   道具や武装を試算しだす面々。ハワイ現地での戦いなら陸上だから問題ないが、もし船上での
   襲撃となれば危険極まりない。まあ相手も袋のネズミ状態だがな。
ミツキ「よ〜し、皆の衆! 今回はミュティ・シスターズを守る戦いわぅよ! 油断せずに挑んで
    いくわぅ!」
ミスターT「おうよ!」
   ミツキの掛け声に俺が応え、周りの面々も雄叫びを挙げる。正に合戦開始の合図そのもの。
   それだけに今回の依頼は相当難易度が高そうだ。気を引き締めねばな。

    作戦会議を終えて、それぞれの行動を開始しだす。今回は四天王も参戦とあり、かなりの
   装備を運ぶ事になる。移動はミニクーパーやウアイラよりはグローブライナーがいいだろう。

    それと大事を取って、3姉妹はギリギリまで工房で作業して貰う事にした。流石にここに
   襲来はないだろうが、一応念のためである。それにまだ彼女達の装備が完成していないのだ。
   四天王もそれに付き従い、明後日まで動く事にする様子である。

    これは相当大掛かりな行動になりそうだわ・・・。

    後半へと続く。

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