アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝6
〜覆面の警護者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝6 〜覆面の警護者〜
    〜第2部・第07話 守り人と愚か者3〜
ヘシュア「まあともあれ、“ミスT様”が姉への特効薬になるのは間違いありません。どうやったら
     説得できるかと模索していましたが、これなら何とかなるかも知れませんし。」
ミスT「現状打開はヘシュナを何とかすれば解決するという事だな。」
    生粋の野郎の俺が性転換してまで挑んでいる部分に、ヘシュアが太鼓判を押してくれた。
   妹の彼女が言うのだ、確実に効果はあるだろう。問題はどうやってヘシュナに接近するかだ。
   ただ無理をして潜入しても、相手は宇宙種族だという事を忘れてはならない。こちらの内情を
   直ぐに察知するだろうしな。
ヘシュア「ですが、先程も私も見抜けなかったぐらいの完璧さです。こう言っては失礼ですが、姉は
     私よりかなり鈍いので問題ないと思いますよ。」
ミスT「アレで鈍いねぇ・・・。」
ナツミYU「怒りと憎しみは、時として存在そのものを強大化させますから。」
   コーヒーを差し出してくれるナツミYU。それを小さく頭を下げながら受け取り啜った。彼女
   が言う通り、素体の本人だけならヘシュアと同等かそれ以下だろう。しかし今現在は怒りと
   憎しみに支配されているからか、あの力強さを発揮しているのだと思う。
ミスT「問題は、ヘシュナすらも操ろうとする黒幕か。どうやって燻り出すか悩むわ。」
デュリシラ「マスターを別の宇宙種族として君臨させ、そこに喰い付かせるのを促すという手法も
      ありますが。」
ミスT「それだと、ヘシュナをこちらに付けないと厳しいわ。それに彼女が向こうにいると、要らぬ
    詮索で見抜かれかねない。」
ビアリナ「直感と洞察力を以てしても、マスターを宇宙種族と誤認させる必要がありますね。」
ヘシュア「流石に各種技術力を駆使しても、根底の生命力までの改変は無理です。皆様から伺って
     いると思いますが、生命自体は各生命体に固定の形にハマっていると言えますし。」
ミスT「むしろ無理矢理変えるのではなく、自然体に見せれば良いという訳か・・・。」
   非常に難しい課題だ。生命自体は個々人が持つ形みたいなものがある。言わば魂とも言い換え
   られるだろう。それまで変身させる事は不可能だ。逆に個々人の形があるからこそ、それを
   立たせる事で真価を発揮する。異体同心の理が正にその極みだ。

ミスT「・・・ヘシュナを騙す形になるのは気に食わんが・・・。」
シューム「んー・・・良いと思うわ。アレだけ悪態を付き、下手したら人類や宇宙種族にすら要らぬ
     火種を飛ばしかねない。彼女を阻止してこその力なら、騙し騙されも戦術・戦略の1つ。
     大いに使ってこそよ。」
ヘシュア「ああ見えても根は優しいので。姉を心から思う事への一手なら、何れ全て理解してくれる
     と思います。」
ミスT「大局的に見よ、か・・・。」
    この場合は実行せねば、後の災いに至りかねない。ヘシュナ自身を騙す事には変わりないの
   だが、大局的に見れば彼女をも救う事にもなる。上辺の右往左往よりも根底の一念を、だな。
ミスT「・・・分かった、時が来たら挑むとしよう。」
ミツキ「それまでは・・・Tちゃんに女性のイロハを徹底的に学ばせるわぅね!」
エリシェ「大賛成です。今のままだとヘシュナ様に要らぬ疑念を抱かれかねません。徹底的に女性を
     演じる必要がありますし。」
シューム「躾だったら望む所よ。それなりの女性へと仕立て上げるわ。」
   ミツキの言葉に周りの女性陣の瞳が妖しく輝いている。しかし今はヘシュナを何とかするのが
   現状打開の究極の一手になる。ここは彼女達の力を大いに借りるしかない。

    ちなみにこの女性言動の修行に関しては、トラガンの女性陣も加勢してくれるとの事だ。
   警護者としての腕前は道半ばだが、女性としての腕前は俺を遥かに超えている。ここも彼女達
   の力を大いに借りるしかない。

    周りからは不出来な姉として見られているようで、何としても女性力を高めようとの事だ。
   確かにウインドやダークHからも、初見時に出で立ちに関しての調整を受けた。野郎として
   動いていたからか、女性の出で立ちには厳しい動きのようだった。

    こうなると激しい動きにも耐えられる衣服が必要になるか。頭・両手・両脚を除く全ての
   身体を守る特殊スーツは常用として、そこに更に肌蹴ない衣服を身に纏う必要がある。ここも
   女性力の第一人者たるシュームにご足労して頂くしかない。

    前回の女性の姿になった時以上に、女性の存在を改めて思い知らされた。そして心から敬意
   を表する以外にない。女性とは本当に素晴らしい存在だわ・・・。



    それから数週間、前回以上にミッチリ女性のイロハを叩き込まれた。特に今回は数多くの
   先駆者に手解きを受けている。顕著なのがトラガンの女性陣だろう。身内はミツキ達と視野が
   狭くなるため、彼女達の加勢は大いに助かっている。

    女性の力の前に右往左往のシドロモドロを繰り返すが、それだけ現状打開の究極の一手に
   なるのは間違いない。それで良い方に進むなら、この性転換戦術も無駄ではない。

    ただ勘弁して欲しいのは、女性と対面して揚がらないようにする修行だ。普通の対話や修行
   だと効果がないと判断したのか、事もあろうに着替えや入浴にまで付き合わされた・・・。
   こればかりは勘弁して欲しいと言うが、周りの強引な流れの前には為す術がない。

    まあこの性転換戦術は下心あってのものではないのは確かで、それらを踏まえてこの荒療治
   を行ってくれているのだろう。彼女達の計らいには感謝するしかないが、遣る瀬無い気分は
   今も続いている。

    素体は野郎な俺とよくぞまあ、と本当に思うわ・・・。


ミツキ「うむぬ、すっかり女性の気質になってるわぅ。」
ナツミA「かなり荒療治をし続けたからね。」
ミスT「はぁ・・・。」
    どういった流れかは全く分からないが、性転換を行うと新陳代謝も活性化されるのだろう。
   髪の毛の伸びが半端じゃなく、僅か数週間で脛の部分まで成長していた。これには周りも驚愕
   している。
ミスT「ここまで修行して、全く効果がなかったら泣けてくる。」
ビアリナ「いえ、大進歩だと思います。そこまでして女性の姿を徹底されている。言葉こそ男言葉に
     なりますが、他は全て女性そのものですよ。」
ナツミYU「力は使ってこそ真価を発揮する、です。それに貴方のは私利私欲ではない。ヘシュナ
      さんを助ける戦いそのものですし。」
   伸び切った髪の毛を手入れしてくれるナツミYUとシューム。今の長さだと2人掛かりで挑む
   方が効率が良いみたいだ。彼女達もここまでロングヘアーの女性は見た事がないようで、色々
   と悪戦苦闘をしている。
シューム「私も長髪はした事があるけど、ここまでの長さは初めて見たわ。」
ナツミYU「ですねぇ。アサミとアユミも長髪ですけど、肩ぐらいにしか伸びていませんし。」
ミツキ「ヘシュアちゃん、性転換を行うと新陳代謝も向上するわぅか?」
ヘシュア「私も初めて見るので何とも・・・。ただ1つだけ言えるのは、ここまで長時間性転換を
     行った方を見るのも初めて見ます。多分それらの要因が合わさって至っているのだと推測
     できます。」
ナツミA「正に突然変異よね。」
ミスT「突然変異ねぇ・・・。」
   自然界には成長の過程で性転換をする動物郡はいる。しかし人間は絶対に有り得ない。だから
   この様な副作用が働くのだろう。変な後遺症が残らなければ良いが・・・。

ミスT「これ・・・もしペンダント効果が切れても、元の姿に戻らなかったら怖いわ・・・。」
ヘシュア「あー、それはないと思います。これらペンダント効果は元来の素体のDNAに一時的変化
     を与えるだけですので。現状の姿を変える事はできても、根本的に変革をもたらす事は
     不可能です。それが生命力の強さですよ。」
    ペンダント効果は一時的なものである部分は変わらないようだ。実際にこの様に長時間の
   性転換をした人物はいないと豪語している。ヘシュアやルビナ・ミュティナ達も俺の動向に
   興味津々な感じとも言える。
ビアリナ「というか・・・何もされていないのに、その胸のデカさは驚異的としか・・・。」
シューム「そうよねぇ・・・私達の誰よりもデカいし。」
ナツミYU「マスターの欲望の力の具現化でしょうかね。」
ミツキ「ウッシッシッ♪」
   俺の胸のデカさになると、毎回周りの女性陣から強烈な視線で睨まれる。エリシェ専属の巨女
   軍団たる3人よりもデカいのだ。身内の誰よりもデカいかも知れない。周りの女性陣はその
   大きさは俺の欲望の現れだとも豪語している。まあ否定はできないが・・・。
ミスT「・・・全部片付けて、何事もないような状態に至りたいわ。」
ミツキ「喫茶店運営でもその出で立ちでトライわぅね!」
ミスT「勘弁してくれ・・・。」
シューム「集客間違いなしな感じよねぇ。」
ナツミYU「そうですねぇ。」
   ミツキの茶化しに周りの女性陣の視線が痛い。それだけ出で立ちには定評があると太鼓判を
   押してくれている証拠だろう。それが相手に通用すれば問題ないが・・・。まあここまで来た
   のなら、最後まで押し通すに限る。


ミスT「ところで、近況はどんな按配だ?」
デュリシラ「あ、はい。えーと・・・。」
    粗方の身嗜み調整を整え、ダブルボディスーツに黒コートを纏う。この姿が一番激しい動き
   に耐えられる様相になっている。そんな中、カウンターの端でパソコンを操作中のデュリシラ
   に近況を尋ねた。今では喫茶店のブレインと化している。
デュリシラ「依然として所属不明の軍団からの横槍が続いています。無人兵器群の襲撃で、先日より
      悪化している感じでも。」
ヘシュア「これら機器群を見る限り、姉が関与しているのは肯けます。しかし直接関与しているとは
     思えません。私達の技術力を以てすれば、もっと精密で堅固な軍団を構築できますし。」
シューム「つまりヘシュナちゃん達の力を得た地球人が、自分達で構成した軍勢で攻めていると取る
     のが無難ね。」
ヘシュア「十中八九、間違いないと思います。」
   確かに3大宇宙種族のテクノロジーを以てすれば、もっと凄まじい様相で攻めてくるだろう。
   レプリカ大和群が正にそれで、しかもバリアやシールドも兼ね備えてくる筈だ。それが普通の
   無人兵器郡だけなのは有り得ない。
ミスT「結局は私利私欲に走る愚物だという事だ。ヘシュナですら利用されているクチだろうな。」
ヘシュア「姉の意固地な部分を逆利用されている感じでしょうね。」
ナツミYU「ここに全く同類の存在がいますけど。」
ミスT「ふん、言ってろ。」
   ニヤケ顔で語るナツミYUに顰めっ面で舌打ちをした。まあ確かに彼女の言い分は的を得た
   発言だ。ヘシュナと俺は非常に気質が似ている。だからこその性転換作戦なのだが。

デュリシラ「・・・むっ、エリシェ様から連絡が入っていますが?」
ミスT「何だろう、繋いでくれ。」
    エリシェからパソコン経由で連絡が入る。スカイプというコミュニケーションツールだ。
   普段は携帯などを用いるが、敵方に態と傍受をさせる逆作戦を取った。敵が喰い付いて来る
   のを期待するしかない。
ミスT「どした?」
エリシェ(ハハッ、相変わらずで。ミツキ様が挙げられた、例の“重装甲飛行戦艦フランベルジュ”
     が完成しました。レプリカ大和よりは軽量であるのと、今回は反重力機構を導入したので
     短期間で済みました。)
ミスT「流石は大企業連合の底力だわな。」
   フランベルジュはミツキが挙げた作戦の1つ。ゲーム“スカイターゲット”はステージ3の
   派生で遭遇できる、重装甲飛行戦艦フランベルジュだ。ただオリジナルのとは規模を拡大して
   いる。超レプリカ大和のサイズを空中戦艦化したので、超破格なデカさと化しているとの事。
ミスT「よし、敵の目を向けるために品定めをするか。」
エリシェ(仰ると思いました。今そちらに向かっています。数時間したら到着しますよ。)
シューム「近隣の方々の度肝を抜きそうだけど。」
ナツミYU「無人兵器郡が襲来しそうな感じですが。」
エリシェ(それらも狙いですので。そこから相手側に伝われば万々歳です。)
ミスT「やりますかね。先日大乱闘をした駐車場近くで待ってるわ。」
エリシェ(了解しました。)
   急遽の展開にテンヤワンヤになりだした。各種戦闘準備を整えつつ、準備ができた人物から
   現地へと向かっていく。今回もトラガンの女性陣も参戦とあり、かなり大規模な戦いに発展
   していくだろう。喫茶店の運営は地元の躯屡聖堕メンバーに任せた。

    俺も各種装備を整えつつ、準備が出来次第現地に向かった。背中の人工腕部は無論、恒例の
   三挺パニッシャーも健在である。ちなみに今まではカラーリングを劇中のラズロ氏と同じ黒色
   にしていたが、差違を図るために紫色の着色をベースにしたものに変更した。

    出で立ちも女性の身体に合ったものに代えてある。例の特殊スーツを着用し、その上から
   別のボディスーツを着用している。そして黒コートと覆面一式だ。従来のズボン・ロング・
   ベストの出で立ちの方が良いのだが、周りからこれにしろと勧められた。

    俺の戦闘スタイルからして、かなり激しい動きになるための配慮になるだろう。長身の背丈
   も相まって、今では巨女とも言われている。まあ一種のハッタリには十分過ぎるだろうな。



    数時間後、それはやって来た。重低音を響かせながら現れる、レプリカフランベルジュ。
   規模からして超と付くのだろうが、これが初めての機体になるのでそのままとの事。劇中でも
   何度か対峙したものだが、それを5倍の規模にした艦体(せんたい)は化け物である。

    周りの住人方が驚愕の表情で見上げているが、俺達の存在は既に周知の通り。何時何処に
   出現するか分からない連中への対策として太鼓判を押されている。これが唯一の救いだろう。

ミツキ「おういえい! 見事な艦体わぅ。」
ナツミA「僅か短期間で実現するのも見事なものよね。」
    両腰にダブルトリガーを装備のナツミツキ姉妹。ミツキは別途二挺のマグナムを所持し、
   ナツミAは二挺のスナイパーライフルを背中に背負っている。
シューム「これ、どうやって乗り込むのかしら。」
ナツミYU「何でも、回収用の特殊飛行体を構築したとか。ほら、丁度船体の下部に搭載されている
      のがそれみたいです。」
   彼女が挙げる先を見つめると、それが分離してこちらに降りてきた。何とこれも同作品では
   ラストで出現する“戦闘飛行空母ブリガンダイン”そのものだ。ただ縮尺はオリジナルの規模
   を模しているからか、5倍サイズのフランベルジュの回収用ユニットと化している。

    ブリガンダインは正方形の特殊型空母で、本体を真上から見て左上・右上・左下・右下に
   大型のプロペラが搭載されている。V−22オスプレイを前後に連結させて、ペイロードを
   増加した形だろうか。まあ形状は完全に異なっているが。そして劇中では、同空母にはアレが
   搭載されていた。

    ・・・やはり、予測した通りだわ。着陸態勢のブリガンダインから発進する機体があった。
   XF/A−49・ホワイトソード、劇中で強奪された最強の戦闘機である。ただ劇中だと最後
   でしか登場していないため、その実力は全く以て未知数だが。

ミツキ「おおぅ! ブリガンダインにホワイトソードわぅよ!」
ナツミA「F−22やF−35が門外不出なのに、それを超える戦闘機をよく作れましたよね。」
エリシェ(現物の兵器群を模したり構成したりは難しいですが、仮想現実の産物なら容易に構成は
     可能ですので。ギガンテス一族とドラゴンハート一族のテクノロジーの集大成ですよ。)
    ホワイトソードは噴射口がF−14やF−15みたいに真後ろにしか向いていない。しかし
   3大宇宙種族のテクノロジーが惜しみなく使われている。顕著なのが反重力機構だろう。
エリシェ(戦闘機のライセンスを持たない私でも、ホワイトソードなら問題なく動かせます。むしろ
     通常の柵に囚われない方が、より一層動きが機敏になりますし。)
ビアリナ「はぁ・・・戦闘機パイロット泣かせの産物ですよ。」
ミスT「Ta152Hもそうやって操縦できればの。」
   ブリガンダインより先に着陸してくるホワイトソード。ハリアーU改の噴射力を目の前で体感
   したが、凄まじいものなのは痛感している。しかしホワイトソードは反重力エンジンの効果
   からか、最低限の噴射力で済んでいるようだ。全く以て威圧感がない。

    着陸したホワイトソードのコクピットからエリシェが降りて来る。普通の身形なのに、問題
   なく操縦できる部分に脅威を感じずにはいられない。本当に空想の産物から出現した、絶対に
   有り得ない戦闘機と言えた。

ミツキ「これ、わたが操縦しても動かせるわぅか?!」
エリシェ「全く問題ないと思います。全てコンピューターが操作してくれるのと、善悪判断が可能な
     人工知能が搭載されていますので。こちらは簡単な操作を行うだけですし。」
ナツミA「純粋無垢の極みたるポチが乗れば、逆に人工知能は混乱しかねないわね。」
    Ta152HやハリアーU改は実際の戦闘機とあり、ライセンスなどの問題で操縦はかなり
   厳しい。不可能ではないが、難しい事には変わりない。対してホワイトソードは空想世界から
   飛び出した産物だ。F−22やF−35と変わらない様相だが、誰でも操縦できる優れた機体
   だろう。興味津々のミツキの姿が実に頬笑ましい。
ミスT「これ、ビアリナ達が操ったら無双化しそうだな。」
エリシェ「あー、確かに。操縦センスがない私が乗っても、そのレスポンスには驚きましたから。
     実際のファイターが搭乗した場合は、相乗効果で怖ろしい効率を叩き出しそうです。」
ミスT「俺も興味があるが・・・空がな・・・。」
   颯爽とコクピットに搭乗するミツキ。どうやらタンデム飛行も可能との事で、それを窺った
   ナツミAも搭乗しだした。これ、この姉妹が操ったら怖ろしい事になりそうだ・・・。

    搭乗して間もなく、ホワイトソードは静かに離陸を開始。垂直離着陸が可能とは思えないの
   だが、その場で強引に浮き上がり飛び出していった。反重力エンジンが為せる業物だろう。

ミスT「はぁ・・・化け物だなこりゃ・・・。」
シューム「性能面もさることながら、あの姉妹が乗ったら怖ろしい事になるわね。」
ナツミYU「特に力の出し加減の触りを体得されていますし。戦闘機となるとそれは・・・。」
    ナツミYUの発言に青褪めるしかない。あの姉妹の直感と洞察力は、シルフィアやスミエを
   完全に超えている。得手不得手はあるだろうが、間違いなく身内で最強クラスの女傑である。
   それが2人同時に史上最強の戦闘機に搭乗しているのだ。これを無双と言わずして何と言うの
   だろうか。
ミスT「未来位置射撃や見越し射撃とか、人工知能泣かせの戦術を取りそうだわ。」
エリシェ「あのお2人なら十分可能ですよ。実際に知り尽くしていませんが、ホワイトソードは搭乗
     する人物の力が大きく反映されると思いますので。」
ミスT「ナツミツキ姉妹のための獲物とも言えるわな。」
   反重力エンジンは重力を感じさせないという仕様は伺っている。それを遺憾なく発揮している
   ようで、従来の戦闘機ではできないような動きを繰り出していた。特に劇中でもプレイヤーを
   苦しめていた残像もそれで、パッと消えたと思ったら別の場所に移動しているのだ。
ミスT「・・・アレで重力の理が働いていたら、パイロットはとても耐えられないわ・・・。」
エリシェ「でしょうね。私が乗った時も地上と全く変わらない様相でしたし。反重力機構が全ての
     概念を崩しているため、正に人知を超えた動きが可能と。」
ミスT「現行兵器は絶対に敵わないわ・・・。」
   ホワイトソードの有り得ない動きを見つつ、俺達はブリガンダインに搭乗。空中で静かに鎮座
   しているレプリカフランベルジュへと向かった。このブリガンダインも反重力エンジンを搭載
   しているからか、地上と全く変わらない様相を醸し出している。

    ミュティナ達やルビナ達が技術提供をしたがらない訳だ。更にヘシュナもそうだろう。この
   技術力があれば、地球上の全ての兵器は意味をなさなくなる。全てにおいて格が違うのだ。
   現段階で地球上最強の戦闘機たるF−22やF−35ですら、ホワイトソードの前には為す術
   はないだろう。最もたるものはバリアやシールド機構だろうな。

    そして空中に鎮座しているレプリカフランベルジュもそうだ。超レプリカ大和と同じ規模の
   超戦艦が空中に浮いているようなものだ。更には航空母艦の能力もあり、武装もイージス艦を
   遥かに凌いでいる。

    飛行船となると鈍重で回避力がないと思われるが、このレプリカフランベルジュはバリアと
   シールドと反重力機構の恩恵から無敵の飛行戦艦と化している。ただ総合火力に至るなら、
   やはり超レプリカ大和の230cm主砲などには敵わないだろう。

    人間に得手不得手があるように、兵器にも得手不得手があると言っていい。使い方次第で
   善にも悪にも化けるという事だ。これ程使い手の一存で全てが決まるものは他にはないわな。
   だからこそ、絶対不動の原点回帰が必要になってくる。ブレない一念が必要不可欠となる。

    まあこれだけ周りに戒めてくれる存在がいるのだ、曲がった方に進む事など有り得ないわ。
   敬い・労い・慈しみの精神、持ちつ持たれつ投げ飛ばすの気概。この2つがあれば、殆ど問題
   ないだろう。後は俺達次第だな。

    第8話へ続く。

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