アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝8
〜覆面の探索者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝8 〜覆面の探索者〜
    〜第1部・第10話 守るべきもの2〜
ミツキ(Tさんの過去話を聞いた後なので、リューヴィスへの介入は絶対にあると確信してました。
    二度と同じ人物を出さないと言う一念、それが警護者の行動を決定付けた要因ですし。)
ミスT(ああ、あの流れか・・・。)
シルフィア(記憶を失っても、その生き様は変わる事がなかったからねぇ。個人の執念と信念こそ、
      最強の力の1つよね。)
    一服しながら当時を思った。黒いモヤ事変後に一同で集まった時、俺の過去話をした事が
   ある。アレが俺を決定付けたとも言い切れる。まあ、今は舞い戻って活躍中だが。
ミツキT(記憶を失っても、その生き様を変える事はない、と。航空機事変が正にそれでしょうね。
     己の生命を犠牲にする覚悟で、皆様方を救われた。その代償に記憶喪失に至った。)
アクリス(そんな事があったのですか・・・。)
   ミツキTを看取った後の航空機事変、その様相を伺って絶句する妹達。身内側はその様相を
   知っているが、妹達は今知った事になる。

    ミツキTが逝去後、とある護衛任務に着いた事がある。その時、搭乗した航空機内での事変
   がそれになる。凄腕の警護者が出揃っており、俺達を殺そうとしていたテロリストは捕縛。
   しかし、連中は時限爆弾的に航空機の燃料を投棄し、機体自体を墜落させようとしてきた。

    当時俺はミツキTの影響で、シューティングゲームをプレイした事があった。先程挙がった
   “重装甲飛行戦艦”の元ネタである。その応用で、何とか墜落させないように操縦を試みた。
   航空機自体は墜落したが、搭乗員は全員軽傷で済んだのだ。俺以外は・・・。

    そう、その時に頭を強打して昏睡状態になり、それが切っ掛けで記憶喪失に至ったのだ。

ミスT(ヘシュナさんやデュヴィジェさんの力で、当時の様相は窺い知れた。だが、知っただけで
    今も当時を思い出す事はできない。でも、ミツキTさんが逝去した時の苦痛は、今でも確か
    に覚えている。)
ジェイニー(それが、今の行動理念になっているのですか・・・。)
ミスT(絶対不動の原点回帰だからな。)
    大きな傷を負った事により、今の俺自身に至ったというのは、実に皮肉な話だわ。しかし、
   それにより支えられる存在、救える人物ができたのは非常に幸運だ。それを踏まえれば、俺の
   記憶など安い投資である。
ラフィナ(投資、ですか・・・。)
ミスT(事実だろうに。俺如きの生命で周りを支えられ、救えるのなら安いものだ。それに、警護者
    自体が戦闘兵器、殺人マシーンそのものだ。真逆の属性の行動ができ、それが許されるの
    なら、俺はどんな行動でもしてやる。この意志だけは絶対に曲げん。)
エリシェ(はぁ・・・何処までも自身に厳しいですよね。)
ラフィナ(自己嫌悪とは違いますが、ご自身を雑に扱い過ぎますよ。)
ミスT(一向に構わんよ。リューヴィスの彼女達を見れば、否が応でも己を殺したくなるしな。)
   今も活発に動くリューヴィスの女性陣。先日までの絶望的な様相を思いだし、怒りと憎しみが
   湧き上がってくる。特にその憎しみの一念は、同性の自分自身も含まれる。

ミツキ(何と言うか、見事と言うか。まあ、Tさんの生き様は覆る事はないので、戒める程度にして
    おきます。根底の一念がブレていなければ、上辺の右往左往は糧になりますし。)
ナツミA(目の前の出来事よりも、遥か未来の流れを読め、よね。Tさんはそれを常に実践している
     状態だし。)
シルフィア(まあでも、行き過ぎた考えは抑えた方が良いけどねぇ。余り皆さんを困らせない事。
      でないと・・・トンでもない事になるから気を付けてね。)
    恒例の戒めの一撃が飛んでくる。この世のものとは思えない殺気と闘気が念話を通し、俺に
   襲い掛かってくる。それを感じた妹達は、顔を青褪めて驚愕していた。身内も恐怖に慄いた
   表情を浮かべている。
スミエ(まあまあ、そのぐらいにしてあげて下さいな。)
シルフィア(師匠は彼に甘過ぎです。だから、この様な事になるのですよ。)
スミエ(んー、でも貴方に同じ事が降り掛かったらどうします?)
シルフィア(それはもう・・・相手には地獄を見せますけどね・・・。)
   更に強烈な一撃が飛んでくる。俺より甘くはないのだと、殺気と闘気の度合いで語ってきた。
   それに周りはより一層、顔を青褪めて震え上がっている。
ミスT(・・・まあ何だ、それでも俺は生き様を曲げんよ。)
ナツミA(ですよねぇ〜。)
ミツキ(ウッシッシッ♪)
シルフィア(はぁ・・・この絶対不動の原点回帰は化け物よねぇ・・・。)
   最後は殺気と闘気が止み、呆れの雰囲気が色濃く出てくる。恒例ながらのこの様相は、地球
   でも何度も振り返っていたものだ。

    何度も振り返るが、結局最後は己自身がどうあるべきか、ここに至る。上辺ではどんなに
   藻掻き苦しもうが、胸中の生命には既に決まった一念がある。それだけでいい。上辺の右往
   左往は人間の業、これだけは避けられないのだから。

    誰彼がどうこうじゃない、自分自身がどうあるべきか、それが重要だ。

ミツキ(“冒険”を関した艦船の名前が主人公・・・むぐっ?!)
ナツミA(はぁ・・・相変わらずよね。)
ミツキ(“両腕義手の代筆人”が主人公・・・もがっ?!)
シルフィア(はぁ・・・。)
    こちらが溜め息を付きたいわ・・・。しかし、元ネタを知っている身内は、堪え切れずに
   笑っている。更には、元ネタを知らずとも、彼女のボケに否が応でも笑ってしまう妹達。
ミスT(両者とも、最後に帰結するは守るべきもの、だな。)
ラフィナ(フフッ、本当ですよね。貴方にも通ずる、大切な原点でも。)
ミスT(そうだな。)
エリシェ(お2人とも、声優さんも同じですよ。)
ミスT(何とも・・・。)
   本当にそう思う。元ネタの2人の主人公が回帰する所は、全く同じものでもある。その生き様
   は違えど、目指すべき道は同じなのだ。むしろ、フィクション作品であろうが、彼女達の一念
   には心から肖りたい。
エメリナ(・・・何だか、呆れを通り越して羨ましいです。そこまで、己自身と対峙できる事に。)
ネルビア(私達の場合・・・下手をしたら、そこから抜け出せなくなりそうです。)
ミツキT(難しく考え過ぎですよ。ご自身の信じる道を進む、それが最善の策なのですから。)
   圧倒され続けている妹達に、優しく語り掛けるミツキT。念話を通してのもの故に、そこには
   心からの一念が込められている。目の前で両手を包まれ、語り掛けられるかのように・・・。



スミエ(・・・ん? どうやら動きがあったようです。)
    スミエの太い声が響く。本当に真面目な時の声色だ。彼女自身、俺と同じく理不尽・不条理
   の概念を嫌うため、語られた事への内容が込められていると言える。
ヘシュナ(この様相・・・王城からですか。)
スミエ(はい。その矛先は・・・リューヴィスのようで。)
ミスT(・・・ウインドとダークH、直ぐにこちらに来てくれ、人手がいる。)
ウインド&ダークH(了解!)
   大都会での警護活動に徹していた2人を召喚する。既に異世界惑星にはデュヴィジェ達がいる
   ので、転送装置での移動は容易である。力の出し惜しみなどしていられない。
カネッド(姉貴、どんな流れか予想が付いているので?)
ミスT(弱みの横槍となれば・・・これだから野郎は・・・。)
テューシャ(はぁ・・・。)
   思い付いた予想を思い、吐き捨てるように呟いた。それに一際呆れるテューシャ。エリシェや
   ラフィナも同じく呆れる雰囲気を放っている。だが、それは同時に当たっていると言っている
   ようなものだ。

    商業都市への横槍は、その流れは大凡見当が付く。相手側も情報網が発達しているのなら、
   ここの急激な成長を見逃す筈がない。特に男尊女卑が根強い異世界惑星なら、自分達の力を
   脅かす存在を許す事もない。

    これは、トラガンの女性陣が全く同じだった。そこに辿り着いた彼女達は、その誰もが社会
   で結構な実力を得たり、生まれ付き能力が高い人物達ばかり。その彼女達を疎んじた野郎が
   取った行動が、数多くの虐待となる。

    今の地球は女性の力が遥かに強くなっている。俺達警護者サイドが女性中心になったため、
   地球全体が女性力を認めざろう得ない状態になった。5大宇宙種族も9割以上が女性である。
   彼女達が後押しして、今の女尊男卑の世上に至ったのだ。

    だがそれは、決して男性を貶したり追い遣ったりというものではない。過去より見下されて
   いた流れが変わっただけだ。むしろ、世上の全てを見渡す千里眼を持つため、女性の意見ほど
   力強いものはない。身内の女性陣を見れば一目瞭然である。

    この異世界惑星は、今の地球とは真逆の様相である。リューヴィスの女性陣を見れば、一目
   瞭然と言える。その様相が覆りつつあるのだ、横槍を入れて来ない筈がない。

ミスT(・・・ここの女性陣に真実を語ったら、俺は殺されるかも知れないわな・・・。)
シルフィア(んー・・・その場合は、私も付き合うわよ。君がそこまで思ってくれているなら、性別
      が“無性”の私も付き合わないと失礼だし。)
ナツミA(アハハッ、例の論理ですか。Tさんからそれを伺った時、呆れるも感心しましたよ。)
ミツキ(どちらでもない、わぅね!)
    彼女が語るそれは、過去にシルフィアに対して言った内容の返しだ。実際には女性だが、
   ハッタリ的に無性と言い切った事がある。つまり、“くだらない事”を聞くんじゃない、だ。
ミスT(あの時はまあ・・・まだ異性に対して色々と思ってたからの。)
シルフィア(強かな心なんか直ぐに読めたからねぇ。だからこその“無性”返しよね。)
ミスT(ハハッ、本当に感謝してます。)
   その言葉の本質を知れた今、とにかく感謝しか思い浮かばない。故に、今の俺の気質に至った
   のだから。過去があり今がある、本当にそう思う。

    暫くすると、俺の傍らにウインドとダークHが転送移動してくる。地球ではその様相を目撃
   された場合、流石にドエラい事になる。しかし流石は異世界、転送移動を目撃した女性陣は
   小さく驚くも気に止めていない。

    改めて、この異世界惑星が、ファンタジー世界観が根付く所だと痛感させられた。現実世界
   の住人の俺にとっては、そのどれもに驚かされるばかりである。

    中半2へと続く。

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