アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝8
〜覆面の探索者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝8 〜覆面の探索者〜
    〜第1部・第13話 新天地へ2〜
    商業都市リューヴィスへの目線を殺ぐため、同都市の東門より大都会へと向かった。そう、
   態と徒歩でその道を進んでやった。王城からの監視の目があるとすれば、俺の行動を読んで
   いるのは間違いない。

    案の定、街から出れば、ならず者や傭兵が徘徊している。こちらを見れば、即座に襲撃せよ
   という命令なのだろう。雰囲気的に、それが金銭目当て以外にもある事は明白だ。連中の目を
   見れば痛感できる。

    ちなみに、今回の同伴者は妹達10人、エメリナ達3人、そしてイザリアである。性転換
   状態の俺を含めれば、15人もの女性がいる事、それが連中の好奇の目線を浴びる要因にも
   なっているようだ。これだから男は・・・。

ミスT「・・・カス共が、生きて帰れると思うなよ・・・。」
テューシャ「この場合、殺害も厭わないとしても良いですかね・・・。」
イザリア「諸先輩方がスキル、善悪判断センサーでバリバリの悪心を示しているので・・・。」
    手に持つ携帯イルカルラを一閃させる。それは彼女の魔力も相まって、群がる連中を一瞬で
   切り裂いていった。それには致死性が含まれるが、魔力により魂狩りを実現させたのだ。

    ギラリと光る刃が相手の身体を擦り抜け、黒いモヤの血飛沫となって放たれていく。そう、
   それこそが連中に巣食う悪心である。これは、地球でも各悪党にも同じ力を感じた。実際には
   俺達は繰り出す事はできなかったが、イザリアの能力なら十分繰り出す事は可能だろう。

    心中を切り裂かれた連中は、白目を向いて倒れていく。正に魂狩りである。

イザリア「ほむ・・・これならいけそうですね。」
フューリス「魔力を込めた斬撃ですか、私達にもできそうです。」
    巨大なハルバードを両手に持ち、獲物に魔力を付与していく。それを近場にいる連中に一閃
   させた。一発勝負的な感じだったと思えるが、何と相手の身体を擦り抜け、黒いモヤの血飛沫
   となって現れた。切り裂かれた相手は、同じく白目を向いて倒れていく。
フューリス「ま・・まさか成功するとは・・・。」
ミスT「へぇ・・・魔力の新たな使い道な感じを会得だな。」
イザリア「私の場合は宇宙種族故の、更に修行から得られたものだと思います。それに、獲物は貴方
     のお仲間が作られた逸品、この世界のものではありませんし。」
ネルビア「私達の獲物は、オルドラ様が隕石武器なので、それが上手く合った感じでしょうね。」
ミスT「隕石武器ねぇ・・・。」
   啖呵を切ったものの、俺の攻撃は確実に相手を殺す一撃になる。どう攻撃しようかと悩んで
   いたのだが、全員の攻撃に任せた方が良さそうだ。

    イザリアとフューリスを見習って、他の女性陣も獲物に魔力を込めだしていく。それを、
   迫り来る連中に一閃させていった。案の定、その一撃は相手を切り裂くも、黒いモヤの血飛沫
   となっている。この原理は、地球組の俺には到底理解できない・・・。

    迫り来るならず者と傭兵共への“粛清”は妹達に一任した。俺はその彼女達に迫る一撃を、
   トリプルマデュース改とダブル方天戟で防いでいく。地球でも行ってきた防衛機構である。
   トラガンの女性陣には大変高評の戦術だ。

    一見すると、掃討作戦を行う様に見えなくもない。しかし、リューヴィス周辺の掃除も必要
   になってくる。安全に彼女達が離脱できる時間稼ぎを作るためだ。

ジェイニー「それですが、向こうの行動が転送魔法を使っての、直接乗り込みをして来た場合は、
      どの様に対処しますか?」
ミスT「連中の気質からして、その様な高等戦術を使うとは思えない。ジワリジワリと恐怖感を放つ
    様を好むのが悪党共だ。転送魔法で即座に終わらせる手法は、似合いそうにないしな。」
アーシスト「そんな理由で、ですか・・・。」
    不測の事態を想定して動く事をモットーとしている俺に、相反していると呆れ顔の彼女達。
   確かに有り得る話ではあるが、それなら既に使って来ている筈だ。ここが重要である。
カネッド「裏を掻いて使って来た場合の対策とかは?」
ミスT「この手の瞬間的に現れる相手に対しては、トラガンの女性陣が一番得意としている戦術に
    なるからね。現れた瞬間、即座に叩かれてチェックメイトとなる。」
イザリア「直感と洞察力、と。皆様方があそこまで強化されている事には驚きましたが・・・。」
   十分理解できると頷くイザリア。異世界惑星では魔王の立場からして、魔力や魔法に関しては
   相当の手練れである。故に理解できたのだろう。

    実はこれ、トラガンの女性陣が地球での修業中に培った技術の1つだ。確か、ヘシュナや
   ナセリスが加勢し、超絶的な不測の事態への対応を取るためのものだと言っていた。詳しい事
   は伺っていないが、2人して相当な実力を経たと豪語していたぐらいである。

    ちなみに、5大宇宙種族の全員が、時間や空間の揺らぎを即座に察知する力に長けている。
   2回に及ぶコミケへの大規模軍団転送、喫茶店近場の駐車場に転送されてきた軍団の察知、
   全て彼女達が即座に反応していた。

    これはデュネセア一族のイザリアも同様で、時間と空間の揺らぎには即座に反応するとも
   言っていた。地球人の俺には理解し難い概念だが、彼女達がそうなのだと言うのなら、それは
   間違いのない力である。現にこうして性転換状態に至るぐらいだ、あってもおかしくはない。

ダリネム「はぁ・・・何か、私達には理解できない事としか・・・。」
ミスT「返すが、俺も魔力や魔法の概念だけは理解できないんだがね。俺達地球組は、今も魔力や
    魔法を繰り出す事が出来ない。それに近い概念は出せるが。」
イザリア「電撃力と回復治癒力ですね。超怪力もそれに該当するかと。」
    お互いに異なった理解し難い概念を前に、深い溜め息を付いてしまう。だが、時と場合に
   よっては、それらは確実に存在している。認めたくなくても、認めざろう得ないのが実状だ。
   それに、もし全否定してしまうのなら、5大宇宙種族自体を否定する事になる。
イザリア「・・・貴方のその思いには、本当に感嘆します。貴方と同じ地球人への一念よりも、私達
     宇宙種族や、異世界の住人方に向けられる一念の方が遥かに強い。」
ミスT「お前さん達を除くが、異世界の住人達も人間ではある。地球人やら別惑星人とか、それらを
    除いて考えるべきなんだろうがね。ただ、行き過ぎた考えは、時として偏見や差別に繋がる
    しな。だから俺は、お前さん達を1つの生命体として見る事にしてるのよ。」
   これは俺が行き着いた、1つの究極的な概念であろう。生きているものを全て生命体と取るの
   なら、そこに要らぬ偏見や差別など生じて来ない。一部例外はあるだろうが、殆ど全て同じ
   生命体と取れてくる。
エメリナ「その概念に至るのなら、世上から争いなど消え失せますよね。」
ミスT「まあねぇ。だが、因果なもので、争いは消える事はない。それもまた1つの究極点よ。」
イザリア「生命体からは、抗争の概念は除外できませんからね。」
   生きるために争う、その概念は絶対に消し去る事は出来ない。しかし、それが生きるために
   なるのか、エゴによるものなのか、その差ぐらいなのだ。

    目の前に迫り来るならず者や傭兵は、エゴによる争いを貫いている。中には生きるために
   動いているのもいるだろうが、その目を見れば一目瞭然だ。伯爵共と全く同じ目でしかない。
   ならば、やる事は1つしかない・・・。

イザリア「降り掛かる火の粉は全て払い除ける、と。」
ミスT「はぁ・・・お前さんにも心中読みされるか・・・。」
イザリア「フフッ、伊達に魔王と呼ばれていませんからね。人身掌握術には長けていますし。」
    目に付く相手を携帯イルカルラで一掃する。漆黒のローブと相まって、正に死神の姿だ。
   それを見た相手は、恐れ慄いて逃げ回りだしている。
ミスT「可能な限り、恐怖心を植え付けていってくれ。その方が効率がいい。」
フューリス「イザリア様みたいにはできませんけどね。」
   そう言うも、身の丈以上のハルバードを振るう姿は、狂戦士そのものとも見えてくる。彼女の
   場合は別の恐怖心を煽るようなものだ。これはこれで効果があるが・・・。

    他の女性陣も、魔力が込められた獲物を振るう様は、見る者によっては化け物に見えている
   ようだ。青褪めて逃げ惑う相手を見れば、否が応でも痛感させられる。同時に、彼女達が闘士
   として成長している証拠だ。兄としては嬉しい限りである。

    その後も、相手を引き付けるようにしつつ、そのまま大都会へと歩みを進めて行く。既に
   道端は夥しいならず者や傭兵が転がっている。だが、誰1人として死亡はしていない。むしろ
   死亡した方が良いような恐怖心を植え付けて回っているが・・・。

    中半2へと続く。

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