アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝8
〜覆面の探索者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝8 〜覆面の探索者〜
    〜第1部・第13話 新天地へ3〜
    約1日ほど、大暴れしつつ大都会へ到着する。同都市に近付いた時、余りにもの大暴れ様に
   自警団や騎士団が出てくるぐらいであった。当然、相手が私利私欲にまみれた連中だったのを
   知って、即座に御用となっている。

    ちなみに、この大暴れ移動中に、商業都市リューヴィスの面々はシュリーベル近郊に転送
   移動している。そこから海岸へと繰り出し、レプリカ大和での運輸で移動したようだ。何故
   この移動方法を取ったのかは、彼女達に一時のクルーズ旅行をプレゼントするのだとか。

    これはミツキの発案で、幼子達には大好評だったらしい。海を見る事自体が希であり、更に
   ほぼ揺れないレプリカ大和の艦体だ。満足過ぎるほどのクルーズ旅行である。まあ、軍艦を
   クルーズ船に用いた事は何とも言えないが・・・。


    大都会に入り、街の中央に差し掛かった時、非常に珍しい4人と再会した。と言うか、何時
   の間にか、異世界惑星に転送移動していたようである。

    それは、喫茶店の地下で数多くの特殊兵装を開発していた四天王、ウエスト・サイバー・
   ナッツ・エンルイ、通称ナツミツキ四天王だ。そう、今までに四天王と呼んでいたのは、この
   4人の事である。

ミスT「・・・何故にお前さん達が・・・。」
ナッツ「酷いっすよ! 何故俺達も呼んでくれなかったんですか!」
エンルイ「異世界への旅路とか、感涙するしかない感じですよ。」
サイバー「つい最近ですよ、皆さんが異世界へ召喚していったと伺ったのは。」
ウエスト「今まで、兵装の製造を行っていたのもありますけどね。」
    この通り、バリバリのヲタク気質である・・・。マデュース改や各種兵装は、全て4人の
   手による逸品である。故に、地下工房から出る事が非常に希だ。

    彼らに異世界の情報が入ったのは、デュヴィジェ達の娘達から聞いたものだったらしい。
   つまり、今の今までずっと獲物製造に打ち込んでいたのだ。これには流石に、申し訳ない気分
   になってしまった。

サイバー「まあ本音だと、ここの巡回警戒の役を買って出たのですがね。」
ナッツ「嫌なぐらいに殺伐としてますよ。何時でも争いが起きてもおかしくないレベルで。」
    周辺への警戒を怠らない4人。ナツミAとミツキが感嘆する程の、彼らの周辺警戒能力は
   非常に高い。直感と洞察力もズバ抜けており、それを買われてトラガンの女性陣の各修行に
   応じているぐらいだ。
ウエスト「あ、失礼を。俺はウエスト、以後お見知りおきを。」
イザリア「ご丁寧に。私はイザリアと申します。」
   忘れていたと言った感じで、簡単な自己紹介を始める面々。俺など話にならないぐらい、高い
   紳士的な面も持っているため、その応対に感嘆している女性陣である。同時に、それを比べた
   のだろう、俺を見る目線が何時になく冷たいものだった・・・何とも。


    その後も周辺の警戒をしつつ、雑談をする俺達。今の大都会を見て思ったのが、以前の喧騒
   な様相が全くなくなっていた。4人の話によると、シュリーベルとデハラードに移住した人物
   が数多くいたらしい。今となっては、向こうは蛻の殻の状態になっているからな。

    何れ、リューヴィスの方にも移住する人物が出てくるだろう。既に移動は完了している。
   短期間に3大都市の住人がいなくなった様相に、王城側がどう出るかが見物だが。

サイバー「造船都市の方は大丈夫ですかね?」
ミスT「ウインドさんとダークHさん、ヘシュナさんにナセリスさんがいる。ミツキTさんも仲間と
    共にいるから、全く以て問題ない。」
ナッツ「うへぇ・・・既に結構来てるんですか・・・。」
エンルイ「完全に出遅れた感じで・・・。」
    エラい落胆気味の4人。彼らには数ヶ月間の様相を全く知らされていなかったらしい。この
   落胆する様子を見れば分かる。ただ、ここに来る前には数多くの獲物を製造していたらしい。
   もしかしたら、対異世界用特殊兵装を考案していたのかも知れない。
ウエスト「この後はどうします?」
ミスT「シュリーベル・デハラード・リューヴィスの移動は完了したから、俺達も向こうに動いて
    良いと思う。一応の陽動作戦を取っていたが、移動側の速度が早かったし。」
サイバー「兵は神速を尊ぶ、ですからね。それに、あの2人がいらっしゃるのなら、間違いなく神速
     で動くでしょうから。」
ミスT「ハハッ、あの2人は良い意味で変人だからな。」
   俺の言葉に笑い合う4人。姉妹の言動は、とにかく変人極まりないとしか言い様がないレベル
   である。該当する点が数多くあるため、変人以外に思い当たる言い回しがない。まあ、これは
   究極的な褒め言葉の1つだが。

ミスT「一応・・・デカい態度でここに来たんだが、王城からは何もなしか。」
エメリナ「偽勇者共とか出てきませんよね。」
ナッツ「ハッ! お嬢方の真の強さに、圧倒されて縮こまってるんすよ。」
ウエスト「本当だわな。」
    粗方の様相を伺ったからか、エメリナのボヤきに乗ってくるナッツとウエスト。それに笑顔
   で頭を下げる彼女。このフォローの良さは、身内の女性陣にはできないものだろうな。
テューシャ「皆様方の女性への対応は、やはり異性だからでしょうか?」
ミスT「ああ、色眼鏡のそれか・・・。」
エンルイ「そんな事をしたら・・・姉御方に何をされるか・・・。」
サイバー「考えてだけで恐ろしいです・・・。」
   顔を青褪めえて震え上がる4人。その恐怖の対象は、ナツミAからのものだ。ミツキは毎度の
   ノホホン度が高いが、ナツミAの方は強烈な一撃を容赦なく放つのだ。同性として、4人の
   恐怖度に俺も震え上がってしまう。
ウエスト「まあでも、リューヴィスの方々への悪態は、俺でも絶対に許せませんがね。」
サイバー「同性として恥かしい限りで。」
ミスT「ああ、そこは大いに同意する。」
   震え上がりから一転、怒りの表情を浮かべだす彼ら。これは俺も全く同じで、リューヴィスの
   女性陣への悪態に、痛烈なまでの怒りを覚える。特に4人はその度合いが俺よりも強かった。

アクリス「・・・そこまで思って頂けるのは、女性として嬉しいです。」
エンルイ「お気になさらずに。私達も皆さんと同じ様な境遇の方々を見てきましたから。」
ナッツ「トラガンの女性方がそれでしたし。」
    長い間、トラガンの女性陣と修行を繰り返した4人。故に、彼女達が抱えていた苦痛を痛烈
   なまでに知るに至っている。苦痛を与えたのも男性で、彼らも男性ではある。しかし、親身に
   なって接した事により、今では兄貴分として見られるようになっていた。
ウエスト「マスターが真っ先に飛ばされた理由が、何となく分かった感じだわ。」
サイバー「そうですね。魔王イザリアさんが自ら指名したようなものですし。」
イザリア「ハハッ・・・恐縮です・・・。」
   2人が挙げるそれは、女性を守る為に召喚されたという意味合いと取れる。しかし、実際には
   ランダム召喚的なもので、イザリア自身は意識せずに俺を呼んだ事だった。過大評価的に取ら
   れた事で、萎縮してしまう彼女だった。

    中半3へと続く。

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