アルティメット
エキサイティングファイターズ
外伝8
〜覆面の探索者〜
     アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝8 〜覆面の探索者〜
    〜第2部・第2話 私利私欲の罠2〜
アクリス(・・・あの、その姿・・・。)
    彼女の言葉で気付いた。今の現状と、過去にリューヴィス女傑陣に降り掛かった様相を振り
   返り、性転換ペンダントが勝手に発動してしまっていた。男性から女性へと変化している。
ミスT(はぁ・・・これだから男は・・・。)
エメリナ(・・・本当に女性心に溢れていますよね。)
テューシャ(それでも・・・そうして怒って頂けて、女性でよかったと思います。)
   女性陣への理不尽・不条理な対応の怒り、その一念から来る男性から女性への性転換の発動。
   それを実際に目の当たりにした彼女達は、自分達が本当に大切に思われているのだと思って
   くれたようだ。念話から痛烈なまでに伝わってくる。
エリシェ(マスター、全ての人を助ける事など不可能ですからね。ここは心を鬼にして、私達の行動
     をし続けるのみです。)
ラフィナ(正直な所、3大都市全体が空家となった所に、居座り出したのは彼らです。その時点で
     私利私欲が出ているのは言うまでもありません。)
ミスT(・・・盗みを働いた先の、因果応報の竹箆返し、と。)
   俺と同じく、誰であれ助けたいという一念を持つ2人。大企業連合や躯屡聖堕チームが根幹と
   据える概念だ。その2人だが、犯した罪への罰は受けるべきだと言い切っている。この一念は
   烏滸がましい事だが、それでも被害を受けた者達もいるのが実状だ。当然の竹箆返しとなる。
イザリア(ともあれ、王城周辺は傍観し続けるとします。アルドディーレの方々のみ見守り、非常時
     は助け船を出すとしましょう。)
ミスT(・・・お前さんみたいに、非情な一念を出し切れれば良かったんだがな。)
イザデラ(何を仰いますか、そうでなければ今の役割は貫けません。魔王や大魔王は非情の極みの
     存在です。それに、本来なら悪役であり、全ての生命体に害をもたらす存在ですし。)
イザネア(調停者と裁定者の役割は、私情で動く事はしない、と。諸先輩方の基本方針ですので。)
ミスT(はぁ・・・本当に羨ましいわ。)
   流石は数万年を生き、長い間悪役を担うだけはある。三姉妹の割り振った一念は、今の俺には
   見習うべきものだ。イザネアが語った通り、警護者は私情で動いてはいけない存在だしな。


    異世界の帝王たる、イザリア・イザデラ・イザネアの言葉通り、王城周辺の様相には傍観
   する事にした。非情極まりない行動だが、無人とはいえ3大都市に侵入して、好き勝手した
   事に変わりはない。

    それに、偽勇者共や制服共との抗争時、見て見ぬ振りをしていたのも事実である。城下町
   自体が少なからず加担していた事実も避けられない。そう割り切るのならば、正に因果応報
   そのものだ。非情になるべきである。

    むしろ今は、孤軍奮闘的な状態の造船都市アルドディーレを気にするべきだ。現地は王城
   からの横槍を全て払い除けている。更には海上からの、海賊共との抗争も繰り広げている。
   助け船を出すべきなのはここである。

    幸いにも、ウインドとダークHの規律姉妹、ヘシュナとナセリスの宇宙種族姉妹、ミツキT
   とメカドッグ嬢達の実働部隊が駐留している。沖合いには、デュヴィジェが艦長のレプリカ
   伊400が待機中だ。不測の事態の対策は万全とも言えた。

    それでも、王城が本気を出した場合は、どのぐらいの被害が及ぶかは不明だ。今は様子見を
   し続けるしかない。

ヘシュナ(手っ取り早く済ませたいなら、重装甲飛行戦艦・宇宙戦艦群・宇宙船群を出すべきです。
     瞬殺してみせますよ?)
ミスT(調停者や裁定者を超越して、破壊者になるつもりか・・・。)
デュヴィジェ(やるからには、ですよ・・・フフフッ。)
    物凄いニヤケ顔で語る2人に、ただただ呆れるしかない。しかし、その手法は現状を即座に
   打開できる一手でもある。だが、それでは異世界の住人のためにはならない。
ミツキT(そう、ここの皆様の為にならないのですよ。先刻の因果応報のそれも、私利私欲が滅びの
     一手になる事を知らしめる必要がありますし。それら概念に魅入られる事なく、仲間達と
     手を取って進む事をしたのが、新大陸の方々ですよ。雲泥の差じゃないでしょうか。)
ミスT(・・・そう割り切った方が楽、か。)
ミツキT(そもそも、王城周辺の方々を助けるというのは、言わば地球の全ての紛争に介入し、全て
     の方を助けるようなものです。5大宇宙種族を全て駆使したとしても、助けられない方が
     出るのは言うまでもありません。)
ミスT(・・・一介の警護者で過ごしている時が幸せだったわな・・・。)
   徐に一服しながら、心から出た一念を吐露した。一介の警護者だけならば、普通に依頼のみを
   遂行する存在だけでいい。しかし、今の様相は一介の警護者の枠を超越している。調停者と
   裁定者を担う、生命の警護者とも言えるのだから。
エリシェ(はぁ・・・マスターの自己嫌悪は、異世界に来ても健在ですよね。)
ラフィナ(むしろ、地球よりも酷くなっている感じですけど。)
ミスT(・・・そうは言うが、お前さん達も現状に苛立ちを募らせているじゃないか。)
エリシェ(当たり前です。ですが、リーダーたるもの、全てを見越して動かねばなりません。力が
     あるから救えると言うのは、一種の傲慢さでもありますよ。)
ラフィナ(それに、貴方は既に多くの方を救われた。リューヴィスの女性陣がそうです。全ての人を
     助けるという一念は大事ですが、それにより大事なものを失う場合もある。非情ですが、
     今は動くべき時ではありません。)
ミスT(・・・そうか、分かった。)
   非常に遣る瀬無い気持ちだ。2人の言い分は十分分かる。だが、力を持っているのに、それを
   活用できないというのが腹立たしい。無論、それが傲慢さに行き着く事もあるため、ラフィナ
   が語った通り押し留める事も必要になる。

イザデラ(・・・イザリアが敬愛する意味合いを思い知りました。貴方こそ正に魔王とも言えます。
     私達も、貴方の様に力を持つも、使えない場面が多々ありました。それを何度となく見て
     来ています。それでも、エリシェ様が仰る通り、全てを見越して動かねばならない。)
イザネア(傍観的解釈になりますが、少なくとも王城周辺を救えなくても、貴方に罪はありません。
     何度も挙がっていますが、相手が何をしたのかを知らしめる必要がある。その上で、その
     行動を悔いるのなら、手を差し伸べるべきでしょう。)
ミツキT(でも、現状はこの有様ですからね・・・。)
    言うか否か、意識が王城周辺のメカドッグ嬢達と繋がる。ヒドゥン状態のため、相手側に
   一切認知される事はない。

    メカドッグ嬢達が見たものは、私利私欲に走る人物達。略奪や強奪、特に女性への言動が
   酷いものであった。先刻、オルドラ達が激昂したあの様相よりも、更に非道さが増している。
   ここまで人間は堕ちる事ができるのかと思えてくる・・・。

    中半2へと続く。

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