アルティメット エキサイティングファイターズ 外伝8 〜覆面の探索者〜 |
アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝8 〜覆面の探索者〜 〜第1部・第4話 襲撃と召集2〜 ミスターT「話を変えるが、防御面だけは盤石にしてくれよ。」 カネッド「それ、何度となく聞かされていますよ。」 アクリス「装備可能な範囲の盾を持て、と。」 カルーティアスに訪れてからは、妹達に盾装備を徹底せよと伝えてある。これは魔法使いの アクリスやジェイニーもしかり。あるとないとでは雲泥の差である。 ミツキT「ゲームの話になりますが、私達が知る作品では、盾を装備できる職業が限られてきます。 特に魔法使いなどは、ほぼ盾を装備できません。実際には誰でも装備はできそうですし、 可能な限りの防備は整えた方が良いですよ。」 ミスターT「本当にそう思う。俺達の世界では盾の概念が薄い。マデュース改みたいな大盾は、俺の 独自の攻撃防具になるが、その殆どは盾を持っていない。」 カネッド「まるで盾愛好家な感じが・・・。」 ミスターT「そうとも言えるわな。」 カネッドの言葉に周りは笑い合う。しかし、その盾で攻撃を防げるなら、それで命拾いする 可能性も出てくる。生き残れる方に傾く力があるのなら、何でも用いるべきだわ。 ミスターT「それに、直撃して100受けるダメージが80や70になり、即死を免れるなら安い ものだろうし。」 アクリス「そ・・それを聞かされると流石に・・・。」 事の結末を想像したのか、青褪めていく感じが見て取れる。即死さえ免れれば、後は回復魔法 などで何とかなる。俺やミツキTの場合は、ヘシュナ直伝たる回復能力だが。 ミスターT「まあ何だ、備えあれば憂い無し、今後も精進し続けてくれ。」 アーシスト「了解です。」 ダリネム「お任せ下さいな。」 俺の言葉に力強く頷く妹達。今の彼女達は相当な実力者に至っている。それでいて奢る事が 全くない。むしろ、強くなればなるほど畏まる姿が目立ちだしていた。過度の考えは良くない のだが、今はこの姿勢を貫いた方が良いだろう。 常に謙虚な姿勢を示す事こそ、本当の意味での勇者であろう。勇ましいというのは、どんな 情況下においても屈しない心である。これは常日頃から心懸けねば、慢心から堕落に陥るのは 言うまでもない。 もし、あの勇者共がその姿勢を少しでも持っていたのなら、今の愚者な存在ではなかったと 思われる。人は何処でどう曲がるか分からないものだわ・・・。 それから数日後、大都会の北西に位置する集落に魔物の群れが襲撃してきた。丁度城壁の 外側に位置していたため、街中への被害は皆無だった。しかし、大都会と豪語する以上、その 近場の集落でも襲撃された事自体が大問題である。 急遽、全冒険者ギルドから強者達を募り、大都会の周辺警備を委託される事となる。これは 冒険者ランクB以上の人物が該当されており、同ランクに位置する妹達も全員対象となった。 ちなみに、俺とミツキTはランクFのため該当外である。実力はそれ以上あるのを知って いる妹達は、ランク制度の意味合いに初めて違和感を感じたようだ。俺やミツキTがランク 制度を嫌う理由が分かったと思われる。 ミツキT(どうも腑に落ちないのですよね・・・。) アクリス(何がですか?) ミツキT(魔物の気配があれば、メカドッグ嬢達が即座に反応するのですが・・・。) 警備巡回に出払っている妹達。彼女達とは念話を通しての会話をしている。従来では絶対に 有り得ない手法だ。この点だけは優れていると言い切れる。そこで語られるのは、メカドッグ 嬢達の探知能力に関してだ。 ミスターT(コンピューター関連に例えるなら、セキュリティホールの隙を突いての侵入が挙がると 思うが、相手の魔物は生物だからな。) ミツキT(そこですよ、だから余計気になるのです。) ネルビア(・・・予め、用意されていた襲撃プラン、でしょうか。) ミツキT(それも考えましたが、この娘達が反応しない訳がないんですよね。) メカドッグ嬢達の性質上、それは広範囲生体センサーそのものである。生命体であれば確実に そのセンサーに引っ掛かる。これは地球で実際に何度も確認している要因だ。 カネッド(誰かが突然、出現するように手引きしたとか? ほら、以前の鉱山のアレですよ。) ジェイニー(その生体センサーとやらですが、悪心には反応しないのですか?) ミスターT(・・・そこを突かれた感じと取るべきか。例の魔法陣とかで出現させれば合点がいく。 突然現れるまでは、広範囲生体センサーには反応しない。) ミツキT(ジェイニー様が仰った通り、生体センサーは善悪判断センサーとは別物ですし。) ミスターT(善悪判断は各種ペンダント効果だけしかないからな。) これはもう、迂闊だったとしか言い様がない。もっと裏の裏を考えるべきだった。 メカドッグ嬢達の能力は、生命体を察知するセンサーのみとなる。善悪判断のセンサーは 搭載されていない。それがあるのは、5大宇宙種族の各種能力が発動する条件のみだ。先の シュリーベルでの襲撃事変は、鉱山に集まる魔物の討伐が発端となった。 今回のカルーティアス外部の集落襲撃は、それ自体が突発的に起こった。例の魔法陣による 出現によるものなら、何時何処で襲撃が行われるかは全く分からない。それが起こったという 事は、魔王軍は“それが有効打である”と察知したという事だ。 ミスターT(・・・さて、これは困ったな・・・。) ミツキT(メカドッグ嬢達を更に増やします?) ミスターT(何人複製させても、元に戻す事は可能だったよな・・・。今は彼女達の力を借りるしか ないか・・・。分かった、頼むわ。) 有限実行のミツキT。前にも挙げたが、メカドッグ嬢達の基本ロジックは人工知能である。 コンピューターのデータと同じく、何人でも複製が可能だ。地球でもメカドッグの筐体が存在 する限り、何人でも増加が可能である。今回は精神体であるため、実質的に無制限での増加が 可能となるのだ。 ミスターT(何だか、彼女達に悪い気がしてならないわ・・・。) ミツキT(何を仰います、皆様己の使命に奮起されていますよ。それに、ベースとなるメカドッグ様 自体は、先の黒いモヤ事変で覚醒しています。) ミスターT(殺気と闘気の心当て、か。) ミツキT(それに、小父様が指令を出した経緯は、限りなく善傾向です。反論する筈がありません。 言わば皆様方は、小父様の娘達になるのですから。) ミスターT(娘達、か。) メカドッグ嬢達の増加に、何だか申し訳ない気がしていた。しかしそれがメカドッグ嬢達の 存在意義に至るのなら、決して間違っている行為ではない。彼女達は立派な闘士なのだ。 俺の不安を感じてか、近場に待機中のメカドッグ嬢達が触れてくる。精神体であるため、 生命の次元で触れてくる感じだ。彼女達がしっかり生きている証拠である。 ミツキT(そう、それで良いのです。) ミスターT(はぁ・・・お前さんに戒められるとはな。) ミツキT(フフッ、生命の次元では母親ですからね。とりあえず、200人ほど追加します。) ミスターT(もはや軍隊規模だわ。) 即座に複製して量産できるのは、元が人工知能の機械式メカドッグだからだろうな。もはや 人知を超えた力としか言えない。しかし、今は彼女達の力が必要だ。 ミツキT(別働隊は10人一組で行動して貰いますね。これを大都会の周辺に展開すれば、善悪判断 は無理でも魔物探知は可能でしょう。) ミスターT(総合計240人のメカドッグ嬢か、凄まじい様相だわな。) 本当にそう思う。彼女達を簡単に創生する部分も凄いが、その規模を展開できるミツキTの 実力も見事なものだわ。デュヴィジェ達が彼女を真っ先に派遣した意味は、ここにあるのだと 痛感させられる。 カネッド(・・・何だか、私達の常識は一切通じない世界ですよね・・・。) アーシスト(為す術がないと言うか何と言うか・・・。) アクリス(・・・失礼を承知で述べるとすれば、お2人の力は魔王寄りですよね・・・。) 彼女の言葉で黙り込む妹達。超絶的な力を以てすれば、世界をも制する事ができる。これは、 地球での俺達の存在と全く変わらない。異世界たるここでは、神の存在に近い魔王や大魔王に 似ているだろう。 ダリネム(ま・・まあでも・・・ミスターTさんなら有り得ませんよね。ほら・・・異性を変な目で 見る事が偶にありますし・・・。) ミスターT(・・・お前さん、何時それに気付いた・・・。) ダリネム(えー・・・初めてお会いした頃からですけど?) ミツキT(へぇ・・・。) 場を変えようと発した言葉は良いのだが、その内容に問題がある。流石に10人もの美女が 集っているのだ、野郎としてはその魅力に惹かれるのは言うまでもない。彼女達と初めて遭遇 した時も同じである。それを知ったミツキTからの、凄まじい殺気の目線が怖過ぎる・・・。 ミツキT(地球でも、同じ様なエロ目線を炸裂してますよね・・・。) キャイス(やはりそうなのですか・・・。) メラエア(偶々じゃないのですね・・・。) ミスターT(このじゃじゃ馬娘達め・・・。) 何ともまあ・・・。これは地球の女性陣と全く同じである。だが、殺気に満ちた一念以外に、 何処か安堵感も感じ取れた。先の超絶的な力への恐怖が、この茶化しにより一層されたのだ。 狙ってやったとしたら見事な手腕である・・・。 雑談もそこそこにし、追加で創生したメカドッグ嬢達を出撃させるミツキT。文字通りの 出撃である。10人一組を20チームである、正に軍団と言うべきであろう。彼女達を大都会 の周辺各所に配置した。 何らかの反応があった場合、俺とミツキTが現地に向かう事となった。妹達は引き続き、 他の冒険者達と共に周辺の警戒を回る。強者達が数多くいるため、不測の事態への対応は問題 ないだろう。 ミツキT(・・・出ました、南西のエリアです。現地は小さな集落があります。) 一服しながら待つ事、数時間。警戒中のメカドッグ嬢達から念話が入る。襲撃を察知する ための軍団を配置したのは正解だった。俺とミツキTがいる場所から、走って数分の距離だ。 ミスターT(俺達が向かおう。お嬢さん達は都市内の警戒に当たってくれ。) ネルビア(了解です!) 外見上は手ぶらで現地に向かう。これは一種の作戦も兼ねている。それを窺ったミツキTも、 背中に携帯十字戟を戻して向かいだした。 アクリス(増援をお送りしますか?) ミスターT(先ずは俺達だけで良いだろう。これが本体なら問題ないが、斥候の場合だと危ない。 引き続き、都市内の警戒を頼む。) カネッド(了解っす!) ダリネム(お気を付けて。) 後手の後手に回る感じだが、相手の真意が分からないため仕方がない。今はこの戦術で動く しかなさそうだ。 ちなみに、今回はミツキTとのタッグでの攻略になる。そこで、各ペンダント効果の中から 超怪力の力を使う事にした。ギガンテス一族は十八番たる、超人的な力を発揮するものだ。 言わば重力制御の力である。 これの応用は多岐に渡り、戦車や巨大船舶すら片手で持ち上げられるものだ。ミュティ・ シスターズが一番得意としているもので、ハリアーU改を軽々と持ち上げたりもしている。 地球人の俺からすれば、これこそ魔法の力と言い切れた。 この力の出し加減は結構シビアで、力をセーブしないと大変な事になる。まあ、これらも 全て地球での各依頼時に慣れてはいるが。それでも、不測の事態の時は大いに役立ってくれる だろう。 後半へと続く。 |
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