アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝 〜覆面の風来坊〜
    〜時の縁・シューム〜
    う〜む・・・やはり秋葉原はこうでなくては・・・。以前ウインドとダークHとで訪れた
   時は、萌えで有名なアニメの秋葉原であった。

    しかし今いる秋葉原は電気街の色が濃く、まだ萌えが浸透していない頃である。醍醐味とも
   言えるラジオセンターも健在だ。

    時間旅行というのは乙なものだ。こういった失われたものを見れるのだから・・・。


シューム「秋葉原には初めて来ましたよ・・・。」
ミスターT「ふむ・・・。」
    この時代はまだ色取り取りの電化製品が立ち並んでいる。あと数年後には携帯電話やアニメ
   関連、そしてメイド服に身を包んだお嬢さん達が数多くいるようになるのだから。
ミスターT「これからどうする?」
シューム「ど・・どうすると言われましても・・・。」
ミスターT「デートスポットの葛西臨海公園に行こうとしたんだがね、この年代ではまだ正式に完成
      はしていないから。」
シューム「貴方のお住いの秋葉原も、もっと別の姿をしているのですね。」
   俺が未来人であっても平然と応対するシュームには驚くばかりだ。まあ未来人と言えど、人間
   なのには変わりないが。

シューム「よくSF作品で数十年後の未来は近未来だとありますよね。空飛ぶ車や何もない空間から
     モニターが出てパソコンを操作できるなど。」
ミスターT「ああ、あれは本当の意味で仮想現実だね。実際は大差ないよ。むしろ俺が思うのは、
      何時の時代も人は人の姿だという事かな。」
    秋葉原を散策しながら会話する俺とシューム。娘当然の年代の彼女とのデートだが、まるで
   31年後の彼女自身と歩いている気分になる。時代は変われど、シュームはシューム自身だと
   いうのが痛感できた。
シューム「・・・本当に不思議です。」
ミスターT「俺の存在、か?」
シューム「はい・・・。亡くなられたあの方と同じ雰囲気・・・いや、それ以上の優しさと包容力を
     兼ね備えていらっしゃいます。」
ミスターT「嬉しい限りだよ。」
   本来なら未来のシュームと同じ事を言うものだと言いたいが、それでは未来でも関係性がある
   と思われてしまう。ここは普通の応対しか取れないのが哀しいものだ・・・。


シューム「・・・そろそろ戻りましょうか。」
    一通り散策してハーレーの元へと戻った。まだバイクの駐車場が少ないため、一般車両を
   止める駐車スペースに止めてある。この時代に来ても駐車違反で捕まるのは忍びないからな。
ミスターT「もういいのか?」
シューム「はい。心が安らぎました。それに何やら胸騒ぎがします。悪い予感ではないのですが、
     喫茶店の方に誰かがいらしているような・・・。」
ミスターT「ふむ、分かった。お前さんがそう言うなら従うよ。」
   駐車料金を支払い終えるシューム。その間に俺はハーレーを側道まで移動させる。本当は俺が
   運転してあげたいのだが、免許が免許なだけに控えるしかなさそうだ。

    帰りもシュームに運転をして貰い、地元の喫茶店へと戻って行った。本当に束の間の一時と
   言える。



    喫茶店へと戻り、裏手の駐輪場へハーレーを止める。時刻は既に夜の8時を回っていた。
   行く前と行った後でのシュームの表情は見違えるほどに輝いている。

    過去での行動は未来を変えてしまいかねないもの。だがそれでも彼女の心を癒せたのは、
   本当に嬉しい限りであろう。


シンシア「あ、帰ってきた。」
エシェラ「お帰りなさい。」
    喫茶店に入ると驚いた。それは31年後のシンシアやエシェラが出迎えてくれたのだ。厨房
   で目を白黒させているトーマスCだが、傍らにいるメルデュラやエリシェが何気なく作業を
   している姿には驚いてしまう。
ミスターT「ど・・・どうやってここに?」
ウィレナ「ユキヤNさんが偶然にも発明した機械が暴走しまして、それで偶然にも貴方が過去へと
     タイムワープしてしまったようです。」
ミスターT「そんなSFみたいな話が・・・。」
ラフィナ「現に私達がここにいるのが事実ですし。」
   う〜む・・・理路整然と説明できない事柄だが、現に俺や彼女達が31年前の世界にいるの
   だから仕方がない。結果が全てなのが世の常なのだから。

熟女シューム「こんばんは、シュームさん。」
    そんな中、在り得ない出会いが起こる。呆気に取られている若いシュームに、31年後の
   熟女シュームが話し掛けたのだ。
シューム「貴方は・・・まさか・・・。」
熟女シューム「31年後の私ですよ。」
   若いシュームが絶句している。タイムワープ理論では同じ時間軸上には同じ人物は存在でき
   ないとされるが、現に存在できているのだ。母親のような出で立ちの熟女シュームに空いた
   口が塞がらない若いシューム。
リュリア「それに貴方のお腹の中にいる子供も一緒です。」
シューム「あ・・・貴方が・・・リュリアなの?」
リュリア「はい。本当は歴史が変わってしまう可能性があるので、私は赴く事を拒否したのですが。
     母さんに無理矢理来させられまして・・・。」
熟女シューム「滅多に出来ない経験は優先的に経験せよ、愛しい人に教えられた言葉よ。若い私も
       数ヶ月前に聞いたでしょうけど。」
シューム「は・・はい・・・。」
   う〜む・・・使用前使用後のシュームを見るのは頭が混乱する・・・。お淑やかな若い彼女と
   熟女の彼女と。何とも・・・。

熟女シューム「これから色々な出来事が起きるわ。辛い事も理不尽な事もね。しかしそれらは必ず
       貴方の血となり肉となる。だから私が存在するのだから。」
シューム「はい・・・。」
    熟女シュームが若いシュームを激励している。未来の自分が過去の自分へのコンタクト。
   間違いなく未来を変えてしまう行為の1つであろう。それでも熟女シュームは魂心の激励を
   し続ける。
熟女シューム「今から10年後に2度目の運命の出会いをするわ。その人に心から甘えなさい。貴方
       の全てを受け止めてくれる愛しい人だから。」
シューム「・・・分かりました。」
熟女シューム「常々日々に強き給え、よ。」
   語りながら若いシュームに近付き、優しく胸に抱く熟女シューム。背中と頭を優しく撫でて
   あげた。俺が何度も彼女にしてあげた癒しの厚意である。それに心から安らぎの表情を見せる
   若いシューム。



エシェラ「さて、そろそろ戻りましょうか。」
ミスターT「戻るったって・・・どうやって・・・。」
    俺の疑問にエシェラは小さく微笑む。小さく指を鳴らすと、何と空間が切り裂かれていく。
   そこからヴェアデュラが顔を覗かせた。
ヴェアデュラ「遅い遅い、待ちくたびれたよ。」
エシェラ「ごめんごめん、色々あってね。」
   う〜む・・・どうやって待っていたのやら・・・。俺には常識の範疇を通り越しているわ。
   まあヴェアデュラが今いるのは事実なのだから、これが現実と言えるのだろう。

ミスターT「シューム、おいで。」
    俺達が時間の裂け目に入る前に、若いシュームを呼んだ。それに引かれて歩み寄る彼女を
   優しく胸に抱いた。
ミスターT「僅か数時間の出会いだったが、俺は生涯忘れない。これからどんな苦難が君に襲い掛か
      ろうが、必ず乗り越えられるから。」
シューム「はい・・・。」
ミスターT「愛してるよ、未来で会おう。」
   若いシュームの顔を上げて、軽く口づけをする。この当時の彼女は免疫力がないため、濃厚な
   口づけをしたら卒倒するだろう。
ミスターT「マスター、彼女の事をお願いします。」
トーマスC「あ・・ああ、分かった。俺に出来る事なら何でもするよ。」
ミスターT「ありがとうございます。」
トーマスC「それと資金の事はチャラでね。」
   そう言うと俺の持参していた資金を手渡してくれた。俺も駐車料金しか使わなかったので、
   残りの資金を彼に返した。

    その後トーマスCにも別れを告げて、俺達は時間の裂け目に入って行った。そして時間の
   裂け目は閉じられる。

    さようならは言わない。何故なら彼らには数年後には出会うからだ。その時までの暫しの
   別れである。さようならには程遠い。


    しかし・・・本当にいい経験をさせて貰ったわ。後でユキヤNには感謝しないと・・・。
   俺が一番心に残っていた、若いシュームへの激励を実現できたのだから・・・。

    俺も頑張らねばならないな・・・。7人の妻の夫、いや何れ12人の妻の夫になるだろう。
   そして娘達も増えるはず。その彼女達を心から支えられる存在にならねば・・・。


    俺の生き様をまた1つ刻めた事に、心から感謝したい・・・。





    パソコンに文面を打ち終えた。逐一保存しつつ、短期間で書き終える。短いストーリーで
   あるが、俺の思いが十分込められた作品と言えるだろう。

    大きく背伸びをしようとすると、背後に人の気配を感じる。後ろを向くと何と家族全員が
   揃って見入っていたのだ。これには驚くしかない。

ミスターT「い・・何時の間に・・・。」
シンシア「何時の間にと言いましても、書き始めてから6時間経過してますよ。」
    慌てて腕時計を窺うと、夜の9時半を回っていた。書き出したのが3時の休憩時だった。
   のめり込むと周りが見えなくなるというのは事実だと痛感せざろう得ない。
ヴェアデュラ「時間旅行かぁ〜・・・。」
ミスターT「旅行じゃないけどね。」
リュア「祖母ちゃんを激励する旅だよ〜。」
リュオ「そうそう。」
ミスターT「流石リュアとリュオ、分かってくれてるじゃん。」
   周りは茶化しを入れてくるが、リュアとリュオだけは真面目に応対してくれた。その2人の
   頭を優しく撫でる。するとそのまま胸の中に甘えてきた。本当に可愛いものだわ・・・。

シューム「あの、ありがとうございます。」
ミスターT「俺に出来る事をしたまでだよ。」
    間隔空けずにシュームが礼を述べてくる。俺が今も心に抱く思いを文面化させた事に感動
   しているようだ。
ミスターT「今のこの家族構成はシュームがいたから実現できた。そのお前が過去でたった1人で
      努力して戦っていたのだからね。」
メルデュラ「雰囲気からして努力され続けてきたのが窺えます。マスターがいらしたから私達が集い
      会えたのも事実ですが、伴侶として接する事ができるようになったのはシュームさんの
      お陰ですから。」
シューム「・・・ありがとう・・・。」
   涙ぐむシュームを労うのはリュリア・シュリム・シュリナ。3人とも彼女の実の娘達であり、
   彼女の心を一番理解している存在でもある。

シュリム「母さんは私達と同じ年代に身篭ったのですよね。」
シュリナ「何だか不思議です。」
リュリア「シュリムちゃんとシュリナちゃんが妹という事実も不思議よねぇ。」
    異父姉妹であるリュリア・シュリム・シュリナ。しかしリュリアの娘であるリュアとリュオ
   も併せて、シュームの大切な家族なのだから。もう彼女は1人ではないのだ。
ヴァルシェヴラーム「何れみんな家族になるわよ。この美男子を中心としてね。」
ミスターT「美男子と言える年齢じゃないでしょうに・・・。」
ヴァルシェヴラーム「何を言うのよ、外見は30代で止まってるのよ。美男子と言い切ってもいいと
          思うけど。それにあっちの方もバリバリ頑張れるしねぇ。」
ミスターT「何とも・・・。」
   ニヤケ顔になるヴァルシェヴラームに便乗し、周りの妻達の瞳が妖しく輝く。それにご馳走
   様と呆れつつも笑う娘達。もはや彼女達に振り回される人生は避けられそうにない。

    それでも彼女達の幸せは一生涯掛けて守り通す覚悟だ。俺に出来る事なら何でもしなければ
   ならないからな。周りに誇れるような大家族も素晴らしい事だろう。



    シュームを題材としたストーリー作成で、再び原点回帰が出来た。彼女達をもれなく幸せに
   するのが俺の使命である。

    これからどの様な壁にぶち当たろうが、必ず乗り越えてみせる。それに傍らには大切な家族
   がいるのだから、怖いものなど存在しない。


    シュームに感謝したい。彼女の存在が俺達の生き様を刻めるに至ったのだから・・・。

    時の縁・シューム・終

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