アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝 〜覆面の風来坊〜
    〜第3部・第15話 最終話・レミニッセンス・後編2〜
ミスターT「・・・生きるって難しいな。」
ミツキ「わぅ〜。でもだからこそ、楽しいんじゃないわぅか。」
ミスターT「そうだな。」
    メアティナとメアティヌの手料理が完成した所を見計らい、カウンターに座り直す。彼女達
   から食事を受け取り、少し早い夜食を取る事にした。
ミスターT「メアティナとメアティヌも上手くなったよなぁ。最初の頃の味はまぁ・・・。」
ミツキ「マズマズわぅ〜。」
メアティナ&メアティヌ「そ・・それをいっちゃぁ〜お終いっす・・・。」
   メアティナとメアティヌが本格的に料理をやり始めたのは、ナツミEとミツキEが逝去して
   から直ぐの事。しかし料理だけはどうしようもないぐらい下手で、数年間はとても口にでき
   そうもないぐらいの手料理を食べたものだった・・・。今ではレミセンの番頭をできるぐらい
   の腕前には至ったのが唯一の救いだ。

ミツキ「対してナツミRちゃんとミツキRちゃんはメッチャウマウマわぅ。」
ミスターT「初めて作った料理が超絶の絶品だったからねぇ。」
ナツミR「え〜、アレってお袋達から伝授して貰ったのをそのままやっただけですけど・・・。」
ミツキR「味も分量なども全く同じでしたぜ?」
ミツキ「メアティナちゃんとメアティヌちゃんは味覚バスターわぅね。」
ミスターT「嫁に行く前に直ってよかったわな・・・。」
    味音痴のメアティナとメアティヌが直った事には素直に喜べた。何れ来る嫁ぎ先で、あの様
   な超絶的な作品を出そうものなら修羅場になりかねない。ナツミRとミツキRにはそれが受け
   継がれなくてよかったわ・・・。


ナツミA「マスターの娘様方は皆さん料理が上手いですよね。やはりマスターが父親になられる前
     から、喫茶店などで修行を積んでいたのが受け継がれたようで。」
ミスターT「何でもエリムとエリアが凄いらしい。あの2人の手料理を一度食べた人物は、もう外食
      はできないぐらいだと言っている。」
    メアティナとメアティヌの手料理を平らげて、厨房内にいる2人に使った食器を手渡す。
   流石は双子、作業分担が凄まじく効率がいい。片方は食器を洗浄し片付け、片方はお客さんの
   オーダー品をテキパキと仕上げていく。
ミスターT「でも、それらは妻達がいたからこそ成し得たものなのだよな。俺1人じゃとても何も
      できない状況だった。彼女達あっての今がある、だな。」
ミツキ「わた達はマスターの妻じゃないわぅが、マスターを支えたいという一念は同じわぅよ。勿論
    そこは師弟関係になってしまうわぅけど。」
ミスターT「俺からナツミAとミツキに、そしてメアティナとメアティヌにか。極め付けはナツミR
      とミツキRだな。この2人なら全てにおいて無敵の歴史が刻めそうだ。」
   本来なら俺の前にヴァルシェヴラームとセルディムカルダートが入るだろう。それを踏まえる
   となると、ナツミRとミツキRは4代目の覆面の風来坊に至るだろうか。

ナツミA「それでも覆面の風来坊の理は、マスターから始まったと確信しています。それならば、
     ナツミRちゃんとミツキRちゃんが列記とした3代目ですよ。」
ミスターT「あら・・・見事に読まれちまったか。」
ナツミA「読むも何も、元祖覆面の風来坊は貴方以外に誰がいるのですか。その貴方の師匠がシェヴ
     様とディム様というだけで、実際の風来坊の起源は貴方から発祥しています。ならば貴方
     こそが初代であり、二代目が私達に至ります。そして時期はナツミRさんにミツキRさん
     に至ると確信していますから。」
    今ではもう孤児院の母の姿が似合うナツミAとミツキ。その2人が時期後継者にナツミRと
   ミツキRを認めている事から、この流れは確定的になりそうだ。再来とされた双子が世界から
   孤児を無くす行動に回帰していく。本当に不思議な流れである。


メアティナ「ナツミRとミツキRが三代目の覆面の風来坊、か。あんな幼かったのにね。」
メアティヌ「2人を連れて学業に勤しんでいた時が懐かしいわ。」
ミスターT「中学生で母親代わりだったからの。クラスメートが度肝を抜いていたとナツミYUから
      聞いた事があるよ。」
    一服しながらしみじみと過去を振り返るメアティナとメアティヌ。彼女達も成人を過ぎて
   から直ぐに喫煙をしている。本当にワイルドウーマンそのものだわ。何れナツミRとミツキR
   も喫煙しだすに違いない・・・。
メアティナ「父親は誰だって一時話題になったけど、死んでもいいならそれに触れなよと何度も言い
      続けたっけねぇ。」
メアティヌ「そうだねぇ。親父が親父なだけに周りは青褪めて黙ってたし。それにナツミYU姉が
      色々と幅を利かせてくれてたみたいで、安心して子育てができてたよ。」
ナツミR「そんな事があったんだ。」
ミツキR「お袋冥利に尽きるよな。」
メアティナ「お前達が親父の大切な懐刀だったのは、引き取った時に痛いほど思い知ってるからな。
      親父の胸の中で眠ったあのお2人の再来とあらば、俺達も死力を尽くして育て上げない
      と失礼極まりない。」
メアティヌ「それがやっと開花しそうだね。ナツミA姉とミツキ姉が認めてくれたのなら、俺達の
      役目は殆ど終わったも当然かもな。」
   今の今まで心に固く誓った不動の原点回帰。ナツミEとミツキEの再来とされるナツミRと
   ミツキRを誠心誠意育て抜くと。その2人が俺の直系の後継者たるナツミAとミツキに認め
   られたとあってか、漸く肩の荷が下りたと安堵の表情を浮かべるメアティナとメアティヌ。
   それだけ2人にとって全てを投げ打ってでも貫く方針でいたのだろうな。

ミスターT「それでも、お前達は2人の母親に変わりない。まだ成人前だ、お前達が言った通り死力
      を尽くして支え抜けよ。」
メアティナ「愚問ですぜ親父殿。表向きの肩の荷は下りても、内向きの肩の荷はまだまだ下りては
      いないから。」
メアティヌ「中途半端に接するぐらいなら、14年前に母親役には名乗り挙げなかったよ。そこは
      弁えてるから安心してくれ。」
    再び一服しながら力強く語るメアティナとメアティヌ。その仕草は妻達と全く変わらない。
   もはや肝っ玉母さんの域まで到達していると言えるわ。
メアディル「流石は愛しい娘達、って所かな。でももし、マスターの顔に泥を塗るような真似をして
      みな。その時はぶん殴るから覚悟しな!」
メアティナ&メアティヌ「ひ・・ひぇ〜・・・固く決意していますです!」
メアディル「分かればよろしい。」
   何時の間にか入店していたメアディル。同じく一服しながら娘達を叱咤しだした。最近は彼女
   もシューム達と同じ様に肝っ玉母さんになっているため、その恐怖度はかなり高まっている。
   特に躯屡聖堕チームに所属している時間が長いためか、完全に不良そのものの台詞である。


メアディル「こんにちは、ナツミRさん・ミツキRさん。コイツらから無理難題言われてない?」
ナツミR「だ・・大丈夫っす。」
ミツキR「い・・何時も優しいお袋っすよ。」
    う〜む、最近はこの姿ばかりを見る。シュームの後継者とも言えるメアディルなだけに、
   存在そのもので激励ないし叱咤をしているのだ。優しい言葉を投げ掛けるも、相手は余程の事
   がない限り怖じている。
ミスターT「これで58歳ねぇ・・・。シュームの全盛期を感じずにはいられないわ。」
メアディル「もうっ、歳の事は言わないでって言ってるでしょうに・・・。」
ミツキ「わぅわぅ。でもマスターの奥さんの中では一番最年少わぅよ。リュリアちゃんですら還暦を
    超えてるわぅからね。」
ミスターT「時期警察庁長官候補、か。色々と問題がありそうだけど、お前ならどの様な苦境だろう
      が跳ね除けていくわな。」
メアディル「ヘヘッ、恐れ入ります。でもできれば頭にはなりたくないものです。私は頭を支える
      存在こそ相応しい。リュリア姉さんを支えている今が一番充実していますよ。」
   メアディルは今現在、警察庁副長官を担っている。しかしそれは肩書きで、殆ど最前線に出て
   若手警察官の育成に全力を注いでいるのが実状だ。これは躯屡聖堕チームで培った戦いと全く
   同じである。
ミスターT「ナツミAとミツキはメアディルより10歳年下か。何か真逆に見えちまう。」
メアディル「そりゃあねぇ、お2人は潜ってきた修羅場の数が半端じゃありませんし。それに貴方と
      初顔合わせの時は、生きるか死ぬかの瀬戸際だったそうじゃないですか。極限状態を
      体感した人物ほど据わる者はいません。私なんてまだまだです。」
ミスターT「・・・シュームとナツミYUみたいな間柄だな・・・。」
   シュームとナツミYUは5歳の歳の差がある。しかしナツミYUはシュームに対して全く頭が
   上がらないと豪語していた。ナツミAとミツキとメアディルも同じ様なものだろうな。


ミスターT「ヒッチハイク時の幼子メアディルが懐かしいわ。」
メアディル「フフッ、本当にそうですね。」
    厨房を担当しようとしたメアディルだったが、メアティナとメアティヌが気を利かせて俺と
   一緒にいるように目線を送る。それに小さく頭を下げる彼女。この部分の小さな気配りは幼少
   の頃のメアディルと何ら変わらない。
ミツキ「わたが生まれた後の話わぅか。まだ赤ちゃんだったわぅから、わけわかめわぅ。」
ミスターT「10歳違うだけでこうも世界観が違ってくるか・・・。不思議だわな。」
   コーヒーを啜りながら当時を思う。マツミの依頼により2度目のトラック野郎として遠征して
   いた時にメアディルと知り合った。あの当時は簡単なヒッチハイクだと思っていたが、その後
   まさかの夫婦まで至るとは思いもしなかったわ。

メアティナ「凄いよな。お袋が・・・11歳の時か。11歳の時に親父と出会って、30歳の時に
      劇的に再会する。そして俺達が生まれたと。」
メアティヌ「あと2年で俺達も30だし、そろそろ旦那を考えないとダメかもな。」
メアディル「あー、その部分は全く気にしないから自由にしてね。お前達がこれだと決めた相方なら
      文句は言わないよ。ただ、マスターにだけはしっかり告げる事ね。そしてマスターを
      悲しませる事だけはしないでよ。」
メアティナ「絶対愚問っす。親父もお袋も絶対に悲しませないぜ。」
メアティヌ「でも相応しい人物が現れるかは別問題だけどな。」
メアディル「そうねぇ、そればかりは時の流れしかないからね。でもその言葉が聞けて安心したわ。
      これで気兼ねなく人生を謳歌できそうね。」
    一服を終えると深い溜め息を付くメアディル。言葉では色々と言うが、内面では色々と気を
   使っているのが窺えた。これが彼女の本当の姿だろう。

ミツキ「・・・まさか〜、メアティナちゃんとメアティヌちゃんが結婚したら隠居・・・とか言うん
    じゃないわぅよねぇ?」
メアディル「そ・・それはないです・・・。」
    いきなり楔を打ち出すミツキ。メアディルの心中を確認した形になった。ただ既に58歳
   なだけに、そろそろ現役が厳しくなってきだす年代でもある。
ミツキ「ならいいわぅが、勇猛精進を忘れたら老ける一方わぅ。身体は老いても心にシワは作っては
    ダメわぅからね。」
メアディル「そこはしっかりと心得ています。それに周りには嗜めてくれる先輩が多くいますし。
      自分だけ楽をする生き様なんか取りたくありません。」
ミツキ「OKわぅ。メアディルちゃんは人一倍正義漢が強いわぅから、下手な所で挫折しないかが
    心配わぅよ。」
ナツミA「そうね。その部分を除いたのがメアティナさんとメアティヌさんでしょうね。更に極め
     付けがナツミRちゃんにミツキRちゃんかな。」
   心の弱さを指摘するミツキ。それに大丈夫だと断言するメアディル。一度決めた物事は何が
   何でも貫き通すのだが、その中で不安な部分が出始めてもいた。こればかりは仕方がない事
   ではあるが。

ミスターT「なーに、心配いらんさ。俺達がしっかりとついている。お前や他の妻達が常々言ってる
      言葉を送ろうか。支え合って生きるのが夫婦というもの、そうじゃないかね。」
メアディル「マスター、ありがとう。」
ミスターT「まあちょっと残念なのが、多分メアディルよりも先に俺の方がお迎えが来るかもという
      事だけどね。これは仕方がないわな。」
ミツキ「そこはわた達が支えるから大丈夫わぅ。それに理はナツミRちゃんとミツキRちゃんに受け
    継がれているわぅから。」
ナツミA「後継者育成など諸々は万事お任せを。もちろん・・・貴方も長生きして下さいね?」
ミスターT「ぜ・・善処します・・・。」
    痛烈な楔を打つかのように、氷嵐冷酷の殺気と闘気で俺を睨むナツミA。そして他の女性陣
   にも同じ様に睨み付けていく。この超絶的な殺気と闘気には為す術がなく、誰もがウンウンと
   頷くしかなかった・・・。

    このナツミAの恐怖の暴君たる威圧感は、今や年齢と相まって誰も敵わない。それに追随
   するのがミツキだ。歳を重ねれば重ねるほど凄さを増してきている。

    しかし同時に慈愛に満ちた一念も激増している。これは2人が孤児院の母に至ってから顕著
   に現れだしていた。それだけ彼女達の内在する慈愛の一念が強い証拠だろうな。

    これなら本当に全てを任せても問題ないわ。後は己の戦いを演じ切るのみだな。



    息抜き道具の1つ、将棋セットをやろうと言い出したナツミRとミツキR。そこで厨房を
   メアディル親子に任せ、彼女達と一局打つ事にした。しかし戦略に関してはどうしても疎い
   ため、連敗続きをしてしまっているが。

リュア「にゃ〜、元気かぁ〜。」
リュオ「遊びに来たじぇ〜。」
    そこに突然の来訪者が現れた。何と嫁いだ娘達や独身の娘達全員である。母達はいない事
   から、今もエリシェの自室でゆっくりとしているのだろうな。
エリム「あら、将棋ですか。お父様が戦略に疎いのは重々承知していると思いますが・・・。」
ミスターT「そう言うなよ。ナツミRとミツキRのたっての頼みとありゃ、断る訳にはいかない。」
エリア「フフッ、流石お父様です。」
   何だかんだ言いつつも、俺に指す場所を指摘しだすエリムとエリア。流石は大企業連合の総帥
   なだけある。その的確かつ明確な戦略は怖ろしいまでのものだ。だがナツミRとミツキRには
   あまり通用していない部分が何とも言えない。

エリム「ナツミR様とミツキR様って、こんなに強かったのですか・・・。」
ミスターT「今の所、お前達以外では誰も勝ててないよ。何時何処で学んだのか分からんが。」
エリア「これならプロの棋士になれるのでは・・・。」
    あまりにも強いナツミRとミツキRに感嘆しだすエリムとエリア。この娘達も身内では最強
   の腕を持っているが、それすらも凌駕しているのは凄まじいとしか言い様がない。確かにこの
   腕ならば、プロの棋士になっても生きていけるだろうな。
ナツミR「まさか〜。俺達はあくまでも孤児院の母を襲名しますぜ。」
ミツキR「棋士の方はプロの方々にお任せです。俺達は世界から孤児を無くすという大願と誓願、
     これを貫くナツミA姉とミツキ姉を支える決意です。」
ミスターT「先刻の会話で覚醒したも当然だな・・・。」
   戦局は覆せず、エリムとエリアの参戦も虚しく俺側の負けが決まった。というか俺より彼女達
   の方がかなり愕然としているが。


ミスターT「・・・こう見ると圧巻だよな・・・。」
    将棋を指し終えての一服をしながら、本店レミセンに集まった娘達を眺める。総勢27人
   もの娘達か・・・。義娘達ならナツミAとミツキ、そしてナツミRとミツキRがいるのだ。
   31人の娘がいるのは物凄いとしか言い様がない。
メアディル「一番年上のヴェアさんですら、私に近い年代ですからね。」
ヴェアデュラ「メアディル姉さんとは5つしか離れていないのは驚きですよ。」
ミスターT「外見の問題から、ヴェアの方がメアディルの娘に見えてならない。例の老化が訪れない
      特異体質故に、28歳前後で止まるのがね・・・。」
   この場にいる女性陣の中で、メアディル以外は全員老化が止まる特異体質。それ故に末っ子の
   メアティナとメアティヌでさえ最年長のヴェアデュラと同じ風格だ。血の繋がりではシュリム
   とシュリナであろうか。母娘の年代なのに外見は全く同じなのは何とも言い難い。

リュア「父さんが思った通り、シュリム姉ちゃんとシュリナ姉ちゃんの娘に近い年代だよねぇ。」
リュオ「だねぇ。」
ミスターT「・・・嫁いでから目覚ましい洞察力だな・・・。」
ヴェアデュラ「そうだねぇ。まあでもナツミRさんとミツキRさんには敵わないかな。ナツミAさん
       とミツキさんもしかりだけど。」
エリム「お父様が直々に育て支えている直系のお弟子様ですからね。私達が敵わないのも無理はあり
    ません。」
エリア「その貴方様を最大限支え抜く事が、私達が今世に生まれ出た使命であり宿命です。嫁いで
    しまったのでお父様のご家系の人間ではありませんが、その部分は何時何処に至っても不動
    ですよ。」
    娘達全員が並々ならぬ決意を宿している事を改めて思い知った。特にナツミRとミツキR
   には、それが自分達に向けられている事に驚愕している。しかし同時に胸に秘めた決意はより
   一層揺ぎ無いものへと変化していくのが分かった。


ナツミR「・・・俺達が先駆者の双子さんの生まれ変わりだとは何度もお聞きしてました。しかし
     その真髄を今日姉さん達にお聞きするまでは有耶無耶でもありました。」
ミツキR「しかし今この瞬間から姉と同じく変革させます。俺達は凄まじいまでの宿命を背負って
     生まれ出てきたのだと。姉さん達がそこまで期待してくれているのですから、ここで腐る
     ようでは男として失格です。」
ミスターT「男・・・男ねぇ・・・。」
    真剣そのものになると凄まじいハスキーボイスになるナツミRとミツキR。これは母たる
   メアティナとメアティヌも成し得ない荒業だ。その半ば目の前に男性がいるような状況に、
   娘達は顔を赤くしていた。ナツミAとミツキだけは小さく笑う程度に留まっているが。
ミスターT「まあその男臭さは今後の世上には必須だな。特にお前達は言わば女性よりは野郎として
      育てられてきた。育ってきたというのが事実か。女性の目線は元より、男性の目線も
      理解できる猛者。それが痛感できる。」
ナツミR「それでも成人を迎えるぐらいまでは文武両道を貫きつつも、大いに遊んで行きますぜ。」
ミツキR「青春を謳歌せよ、メアティナ母とメアティヌ母に何度も言われている指針。それにこちら
     ミツキ姉には何度となく言われていますし。」
ミツキ「勝負は一瞬、思い立ったら吉日。人間の人生は短い。だからこそ、その瞬間が勝負だと。
    そして心こそ大切に、そうですよね?」
ミスターT「そうだな。そこさえ定まっていれば、もう恐れるものなど何もないわ。」
ナツミA「これからの世上はもっと過酷さを増していくでしょう。故に私達の存在が重要にもなって
     きます。国内では色々と言われようが、海外では賛同もしてくれています。それに貴方の
     生き様からすれば、どうこうあっても不動にせず貫き通せですから。」
ミスターT「誰彼がどうこうじゃない、テメェ自身がどうあるべきか。それが重要だからな。そこは
      今後も貫き通していくわ。」
   改めて娘達の前で誓った。己の生き様を貪欲なまでに貫き通す事を。それに力強く頷いて賛同
   してくれる彼女達。時代は既に彼女達の世代だ。この場で全てを託したい。


シューム「嗜める老兵も必要よね。」
ミスターT「今も心は現役だろうに。」
    何時の間にか近場に揃っていた妻達。それに娘達は驚くも、久し振りの再会に沸いていた。
   ただ月日は本当に残酷で、シューム達の外見は全盛期とは掛け離れている。
シューム「そこは心こそ大切に、でしょ。」
ミスターT「フッ、見事に心中を読みやがって。」
シューム「歳を重ねれば見えてくるものもある。身体は動かなくなりつつも、精神力だけは常に研ぎ
     澄ましておかないとね。」
ミスターT「まあな。でも殆ど愚問だろうに。今のお前達の境涯からすれば、生き様そのものにその
      概念が据わっている。恐れるものなど何もないさ。」
   外見の姿とは裏腹に、妻達の心構えは何時会っても全盛期の時と全く変わらない。だからこそ
   若々しく見えるのだろうから。

リュア「久し振りに散歩行こうじぇ。」
ミスターT「母娘水入らずで行っておいで。俺はここの担当もあるし。」
リュオ「う〜ん・・・らじゃ〜。」
リュア「おみやげ買ってくるねぇ〜。」
    突然の散歩の誘いに妻達は驚くも嬉しそうに頷いている。この場合は彼女達に任せよう。
   俺の方は本当に本店レミセンの担当があるしな。

    幾分か納得できなさそうな部分を抱いている娘達を尻目に、妻達が気を利かせて彼女達を
   連れて外出していく。今日は丁度全員揃っているため、母娘が欠ける事なく赴けた。

    しかし・・・38人がゾロゾロと店内に入ったり出たりと、状況を知る常連さん以外は滅茶
   苦茶驚愕している。まあ常連さんは苦笑いを浮かべる程度に留まってくれているが。



ナツミA「マスターも行かれればよかったのでは。」
ミスターT「んにゃ、俺よりも妻達にだよ。ここ最近は殆ど裏方ばっかりだったから、久し振りの
      再会にエラい喜んでいたし。」
    厨房はナツミAとミツキが担当してくれる事になり、俺は店内の簡単な掃除や調整を行う。
   かれこれここ本店レミセンは常連さんも色々と手伝ってくれるようになり、今や皆で運営を
   しているかのようだ。地元との友好拡大に尽力してくれたリュアとリュオ、そしてメアティナ
   とメアティヌの賜物だろう。
ミツキR「本当のお袋ねぇ・・・、俺達は会った事すら覚えてないわ。」
ナツミR「生まれて間もない頃に事故で亡くなったと聞いてるけど。」
ミスターT「そうだの。でもその出来事があったから、今こうしているのも事実。お前達の本当の
      ご両親には悪いが、俺はよかったと思ってる。」
ナツミR「そうだねぇ。それにマスターの胸の中で逝去したナツミEさんとミツキEさんだっけ、
     その方達の生まれ変わりだからね。」
ミツキR「全て必然という事になるね。まあ意識がある時の事故だったら悲しいけど、正直な所は
     全く覚えていないし。」
   家族総出の旅行先で運命的な出会いをしたナツミRとミツキR。両親はヴァルシェヴラームと
   セルディムカルダートの孤児院出身、言わば双子は俺の妹そのものな訳だ。その彼女達を支え
   育てていくという決意は、志半ばで倒れたナツミEとミツキEへの報恩感謝そのものである。

ミスターT「ナツミEとミツキEへの報恩感謝もあるが、お前達の本当のご両親への報恩感謝も強く
      思っている。お前達を全ての人に尽くせる存在に育て上げる、それが俺の使命でもあり
      宿命だ。覆面の風来坊としての集大成を、ね。」
ナツミA「流石です。だからこそ己を犠牲にしてでも尽くし抜く、ですよね。私達を助けて頂いた
     あの時も同じです。世間体の目など物ともせず行動を開始した。それにより心から療養が
     でき、身体の方も徐々に健康になっていきましたし。」
ミツキ「マスターが尋ねて下さる前までは、本当に明日があるのかどうかすら不安でした。それが
    こちらを気にして動いて下さり、イギリスへと静養に赴いてからは劇的に変わりました。
    あれが私達6人の劇的な宿命転換そのものだったのかと。」
ナツミA「宿命という程じゃないけどね。それでも先が見えぬ暗闇に光明を差してくれたのは事実。
     その恩義に報いるために、私達はシェヴ様やディム様の世界から孤児を無くすという誓願
     に同調しました。というか私達の生き様そのものが誓願に帰属していましたけど。」
   厨房で紅茶を啜りながら当時を語るナツミA。傍らでオーダーの料理をテキパキと完成させ、
   それをお客さんへ運んでいくミツキ。自分が知る中でのこの双子は本当に真逆の性質を持つと
   言える。炎のミツキに氷のナツミA、か。


ナツミR「やっぱ凄いよ姉御達は。俺達では考えられない事を抱いて進んでいる。凡人じゃまず思い
     付かない奉仕の精神。今じゃ平気で人を殺したり裏切ったりしてるのに。」
ミツキR「だからこそ、だよね。その荒波すらも全部飲み干すかのように突き進む。マスターやお袋
     の生き様は誰からも評価されないかも知れない。それでも、テメェの生き様を貪欲なまで
     に貫き通し続ける。そこにこそ大切な一念があるのだとも。」
ミスターT「・・・これこそが師弟共戦、だな。ナツミAやミツキの直系の弟子、それがお前達だと
      今正に確信したわ。」
    ハスキーボイスで冷静かつ熱く語るナツミRとミツキR。昨日までは普通の女の子そのもの
   だったのに、俺達の生き様を語った事で劇的に変化していた。人は些細な切っ掛けで変革を
   するものだと、この時改めて思い知らされた。
ミスターT「万事頼むよ。お前達なら世界から孤児を無くすという大願に今一歩近付ける。」
ナツミR「おうよっ!」
ミツキR「俺達の生き様をとくと見ててくれよ!」
   俺の言葉にガッツポーズで応える双子。その仕草は本当にそこに男性がいるかのようだわ。
   それだけ彼女達に内在する生命力は計り知れない証拠だろう。ただ、どれが本当の地の性格
   なのかが少し気になる所だが・・・。

ミツキR「よし、もう一局やろうか。」
ナツミR「親父、手合わせを頼むぜ。」
ミスターT「分かった。まあ結果は見えてるがね・・・。」
ナツミA「フフッ、まあそう仰らずに。」
ミツキ「戦う事にこそ意味があるわぅよ。」
    再びナツミRとミツキRと将棋を指す事になった。まあミツキが言うように勝敗が重要では
   ない。戦う姿勢にこそ意味がある。それを双子は身を以て教えてくれているかのようだ。


    その後、母娘水入らずから帰宅した彼女達。本店レミセンでパーティーをやろうという事に
   なった。しかも今も店内にいる常連さんや一般のお客さんを巻き込んでのものだという。この
   発想には驚いたが、彼らの方も快く受けてくれた。

    この発案が後の各レミセンの1ヶ月に1度のお馴染みパーティーになろうとは、この時は
   誰も予想もしなかったが・・・。変革とは本当に些細な事で開花するものだな。

    またその流れは地元全体にも浸透していき、躯屡聖堕チームの加勢もあって地元での町興し
   に発展していく。良い意味での誰彼問わず的な流れは大いに喜ばれ、それが区から都へと発展
   していくのだから驚きだった。

    まあこの流れが実現するのは、まだまだ先の事ではあるが・・・。



    ナツミRとミツキRのその後の展開だが、世界にその名を知らないとされる程の女傑へと
   成長していく。ナツミAとミツキすらも敵わないとされるほどのものだった。

    彼女達が孤児院の母に至った時、ようやく国内から正式に評価される事になった。まあその
   時は世界からは喝采を浴びて賛同をされている事なのだが。

    何でもかんでも後手に回らなければ分からない国内だが、それでもゆっくりと時間を掛けて
   理解されていったのは大切な事だ。それだけ俺達の生き様が理に適ったものだった何よりの
   証拠だろう。

    それでも戦いは終わらない。世界から孤児を無くすという大願の達成はまだまだ遥か先。
   だからこそ諦めずに突き進めるのだろうな。


    風来坊でこの地に訪れてから半世紀以上。その天地にて大きなうねりを上げ、戦いを起こ
   していく。あの時はこの様な流れになるとは予想もしなかった。

    まあそれはともあれ、今後の俺達の戦いはまだまだ続く。諦めなければ0%には決してなら
   ないのだから・・・。

    第3部、完

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