アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝 〜覆面の風来坊〜
    〜第3部・第1話 回収企業1〜
    ヴァルシェヴラームを家族に迎え、一同で賑わった一夜から5年が経過した。俺も54歳と
   中年まっしぐらだが、肉体の老化が訪れない特異体質なため現役で頑張れている。

    元祖シークレットサービス・孤児院の覇者の異名を持つヴァルシェヴラームが、96歳に
   なっても頑張っているのだ。俺が頑張らずして何とするか。老いて盛んに戦い続ける姿は、
   初老の風来坊とも言えるだろう。


    しかし世の中には俺以上に苦労して生き抜いている人達が数多くいる。更には健康を維持
   する事もできない人達もいるのも確かだ。

    エリシェとラフィナを通して、彼女達を支える事が俺以上に苦難する人達を助ける道にも
   なる。


    もはや家族内の出来事は5年前に終わりを告げた。これからの人生は人の為に尽くす戦いを
   行うのが俺の人生だろう。

    肉体の老化が訪れない特異体質を最大限に活用して、この命が燃え尽きるまで戦い続けて
   みせる。それが人生後半を迎えた覆面の風来坊たる俺の生き様だ。



ミスターT「今年でお前も24か。」
ヴェアデュラ「早いものですね。」
    5年前のヴェアデュラとは更に変わった。以前はまだまだ子供の雰囲気が残っていたが、
   今では全盛期のエシェラ達を彷彿とさせる程のワイルドウーマンに成長している。
   またアマギHとユリコYの補佐をしつつ、躯屡聖堕チームの代表取締役として君臨していた。
ヴェアデュラ「今日は初めて重役の方と会見するそうで?」
ミスターT「ああ、平西財閥だね。少し遅くなるかも知れない。」
ヴェアデュラ「了解です。」
   紅茶を飲みながら語る。ヴェアデュラも孤児院に就職してからは、母のヴァルシェヴラームの
   後継者として活躍もしている。彼女の年齢的に総合取締役はダークとエシェラが担っているの
   だが、何れ彼女が担当するようになるのは間違いない。
   それにヴェアデュラには躯屡聖堕チームの代表取締役という重役もある。彼女の肩には凄ま
   じい重圧が掛かっているだろう。

    一服を終えると本店レミセンを後にする。ヴェアデュラに見送られながら、駐車場にある
   ミニクーパーに乗車した。最近ヴェアデュラが購入した中古車で、俺は兼用で使わせて貰って
   いる。

    赴く先は平西財閥。また現地でエリムとエリアと合流する。今年で19歳になる双子だが、
   大学を通いながらも三島ジェネラルカンパニーの運営に携わってもいた。

    この若さで企業の運営に携わろうとするのだから、本当に頭が下がる思いである。流石は
   エリシェとの間に生まれた可愛い我が子達であろう。


    ちなみにリヴュアス・ディルヴェズLK・ダーク・ウィレナ・トモミの順で、彼女達にも
   俺の子供が生まれている。キーパーソンになったのはリュアとリュオだ。

    名前だが、次の通りだ。リヴュアスの娘達がリヴュミナとリヴュミヌ。ディルヴェズLKの
   娘達がティルシェヌとティルシェム。ダークの娘達がタークェンとタークェナ。ウィレナの
   娘達がウィレアとウィレヌ。そしてトモミの娘達がトモナとトモアである。

    もはやモラルを通り越したものだが、5人との関係が俺の今の生き様を決定付けるものへと
   なった。



    実は5年前。最初にリヴュアスと結ばれた時、世界大流行となったウイルスがあった。普通
   に俺らも風邪を引くインフルエンザである。

    世界大流行となったインフルエンザだが、感染力が強いだけで致死率は以外にも低かった。
   もう1つ猛威を振るうインフルエンザが懸念されたが、この爆発的感染力を持つ後者ウイルス
   に駆逐されたようである。

    この時俺とヴェアデュラと14人の娘達、そしてヴァルシェヴラームを除く女性陣全員が
   感染し発病した。特にリヴュアスは妊娠して半年後だったため、胎児に影響がないかと心配
   していた。

    だがリヴュアスの双子の娘、リヴュミナとリヴュミヌは幸運にも後遺症もなく半年後に無事
   生まれた。もちろん俺の特異体質たる肉体の老化がない事も受け継がれている。


    しかし・・・10人の娘達か・・・。リヴュアス・ディルヴェズLK・ダーク・ウィレナ・
   トモミの娘達も双子で女の子だった。怖ろしい事この上ないが、それでも我が子誕生時の彼女
   達の喜ぶ姿は今でも覚えている。

    12人の娘達には悪い事ではあったが、この10人の娘達にも手厳しく接している。先に
   生まれたリュアとリュオが顕著に値し、12歳となる双子は肝っ玉が尋常じゃないぐらいに
   据わっている程だ。

    今はリュアとリュオが10人の娘達の面倒を見てくれている。他の12人の娘達が独立に
   近い行動をしているため、一番身近な姉として活躍して貰っているという事になる。

    う〜む・・・あのリュアとリュオが姉か・・・。彼女達なら10人の娘達をしっかりとした
   人物に育ててくれそうだ。お転婆でじゃじゃ馬度が高くなりそうだが・・・。



    話を戻そう。その世界大流行したインフルエンザが出回った時、特効薬となるワクチンを
   大量に買い占めた企業があったのだ。それはジェリヴァ=ヴィレオスという人物が代表取締役
   を務める企業、フールプレジデントである。

    また同時期にマツミの会社を乗っ取ろうと企てる企業も現れた。アビゲイル=ボルガノーア
   という人物が代表取締役を務める企業、フール・エンドである。

    どちらの企業も当時ワクチンを大量に買い占め、世界中の人々を窮地に陥れた。これに怒り
   を顕にしたのがエリシェ・ラフィナ・アマギH・ユリコYである。


    三島ジェネラルカンパニーと躯屡聖堕フリーランスが総力を挙げて、2つの企業と真っ向
   からぶつかり合った。それは凄まじい戦いだったのを今でも鮮明に覚えている。

    手当たり次第に回収を繰り返すフルプレとフルエンの2社。それに徹底抗戦して押し留めた
   三島ジェネカンと躯屡聖堕チーム。正にこの4社の対立は現代の戦国合戦のようであろう。


    何とかワクチンの確保に至ったエリシェとラフィナは、一番症状が酷い国や地域に優先的に
   配っていった。流石に無料とまではいかなかったが、料金の8割は彼女達が負担している。

    人を救う戦いに懸けては尋常じゃないほどの闘争心を剥き出しにするエリシェとラフィナ。
   彼女達に救われた人達は数多いだろう。

    また、この時ワクチンを配り回ったのも躯屡聖堕チームである。縁の下の力持ちとはこの事
   だな。陰の戦いに徹するアマギH達は、正真正銘の強者であろう。



    ちなみに最前線で陣頭指揮を取っていたのは、老いても盛んな母のヴァルシェヴラーム。
   凄まじいまでの手腕で三島ジェネカンと躯屡聖堕チームに所属する人達を牽引している。

    流石は元祖シークレットサービスの直感と洞察力、そして孤児院の覇者の慈愛と包容力で
   あろう。これが俺の行動の引き金にもなっている。


    また誕生間もない平西財閥が大活躍したのも同時期だ。小さな企業だと甘く見ていた敵対
   企業が、まさか自分らの特効薬として猛威を振るわれるとは思いもしなかっただろう。

    それに平西財閥を牽引していたのも女性だ。平西幸奈という若干15歳の若社長で、彼女の
   姉達が社員という構成である。


    やはり時代は女性の時代だ。先見性が鋭い女性に掛かれば、野郎など足元にも及ばないのは
   明々白々だ。現にエシェラ達も最前線で活躍しているのだから。

    企業間戦争とも言えた5年前の戦い。そこで大活躍した平西財閥。その企業をエリシェが
   守ろうとするのは必然的な流れであろう。運営方針も酷使している事から、真っ先に提携を
   結んだのだろうな。



    あれから5年が経過。俺も三島ジェネカンと躯屡聖堕チームの2つの大企業のオブザーバー
   で活躍している。決定権はないが助言が大助かりとの事で起用に至る。

    殆ど本店レミセンの担当と、シンシア達のサポート役でしか活躍できていない。この役割は
   正しく天命とも言えるだろうな。


秘書「いらっしゃいませ。」
ミスターT「相変わらず可愛いね。」
秘書「もうっ・・・茶化さないで下さい・・・。」
    平西財閥本社へと到着する。現地で平西財閥所属の秘書さんに出迎えられた。今では女性を
   口説くのはステータスで、殆ど無意識で口説いてしまう。口説かれた秘書さんは顔を赤くしな
   がらも、自分の仕事をこなしていた。

エリム「あ、お父さん。」
ミスターT「もう来てたのか。」
エリア「はい、今し方躯屡聖堕チームの方に送って頂きました。」
    応接間へと通されると、先にエリムとエリアがソファーに座っていた。紅茶を丁寧に啜る
   姿は、エリシェやシュームの躾の賜物だろう。
   それと彼女達の送迎は躯屡聖堕チームのメンバーが行ってくれている。もちろんボランティア
   であり、進んで担ってくれてもいる。

    今では躯屡聖堕チームのメンバーにお世話になりっ放しだ。それは俺がエリシェの夫という
   事と、アマギHとユリコYの大の親友であり盟友でもあるからだろう。

    俺がアマギH達躯屡聖堕チームを暴走族からボランティアチームへと覚醒させ、エリシェ達
   が最大限力添えしてくれた。その恩を返してくれているのだ。

    そのお礼も兼ねてヴェアデュラを代表取締役として任せているのだが、それの恩返しが娘達
   への厚意だろう。本当に頭が下がる思いである。



エリム「いらっしゃいましたよ。」
    紅茶を飲みながら物思いに耽っていると、エリムが語り掛けてくる。先程の秘書さんがドア
   を開けると、数人のスーツ姿の若い女性達が現れる。
エリア「初めまして。私はエリア=ミシマと申します。こちらは姉のエリム=ミシマで、こちらが
    私達の父のミスターT=ザ・レミニッセンスと申します。」
女性「こちらこそ初めまして。平西財閥代表の平西幸奈と申します。連れは平西奈衣羅に平西理音亜
   です。」
ミスターT「う〜む、エリム・エリアに勝るとも劣らない美貌の持ち主だ。それでいて新進気鋭の
      財閥を運営するのだから、鬼に金棒だよな。」
   エリアとユキナが自己紹介をしている中、俺は本当に自然的な行動をしてしまう。相手の女性
   を見るや否や口説いてしまうのである。それに顔を赤くして俯くユキナ・ナイラ・リネア。
エリア「もうっ、大切な会見ですよ。相手の方を口説いてどうするのですか・・・。」
エリム「お父さんの口説き癖は年々悪化してますよね・・・。」
ミスターT「仕方がないだろうに。相手が女性なら口説くのは野郎の礼儀の1つだよ。」
   俺の言葉に呆れ顔になるエリムとエリア。その姿は過去にエリシェが同じ表情をしていたのが
   脳裏を過ぎる。流石は彼女の娘達であろう。

ユキナ「ミスターT様は噂通りの方ですね。普通初対面の方がナイラとリネアを見ると、その雰囲気
    から黙り込んでしまうのですが。まさかそれをも押し退けて口説かれるのは流石です。」
ミスターT「ふむ・・・ナイラとリネアの身体から発せられるオーラか・・・。」
    ユキナが指摘するナイラとリネアの体質。間違いなく格闘術を学んだ姿と言えよう。無意識
   にオーラが発せられるのは、ウインドやダークH達が顕著に値するからだ。
ミスターT「大方・・・柔道や合気道を極めるまで身に付けているんだね。2人の母親のエリシェも
      フェンシングと剣道を嗜んでるけど、それに近いオーラがナイラとリネアから滲み出て
      いるから。」
ナイラ「す・・凄い・・・、私が柔道を身に付けている事を当てるなんて・・・。」
リネア「ナイラ姉さんは柔道を、私は合気道を身に付けていますので。」
   う〜む、最近の女性達は何らかの護身術を身に付けた方が勇ましく見えるな。俺の妻達も最低
   2つの格闘術を身に付けているから、凄まじいまでの強さを発揮している。
ミスターT「まあ格闘術はあくまで護身術だよ。常日頃からの姿には心こそ大切だ。エリムやエリア
      のように、清らかな心を持って欲しい。より一層美しさに磨きが掛かるからね。」
ナイラ&リネア「あ・・ありがとうございます・・・。」
   俺の言葉により一層赤面する2人。しかし目が一段と据わりを見せる。自分自身の生き様を
   指摘され褒められたからだろうな。

エリム「え〜・・・本題に入りましょうかね・・・。」
エリア「お父さん、このぐらいで・・・。」
    そんな俺にヤジを飛ばすエリムとエリア。その仕草はエリシェに全くもってソックリだ。
   流石としか言いようがない。



    一旦ソファーに座り仕切り直す。ユキナが持参した資料をテーブルに置き、こちらに寄せて
   来る。それを受け取り目を通した。

ユキナ「実際に三島ジェネカン様と提携をさせて頂いてから、表立っての動きはありません。ですが
    水面下では何度か妨害工作を受けた形跡が。」
ミスターT「表向きの回数は3回、水面下では30回以上か。それだけワクチン事変でのお前さん達
      の特効薬が効いた訳か。」
ナイラ「ですね。それだけフルプレとフルエンの2社からは目の敵にされているのですから。」
    リヴュアス達がダメージを受けたワクチン事変。もしリヴュアス達が被害を受けなければ、
   俺は今も喫茶店のマスターとマンガ家としての活動を続けていただろう。
   それだけフルプレとフルエンの2社は倒すべき存在という事だ。俺の妻達に受けた痛みを、
   それ相応の竹箆返しとして受けて貰わねばな。

ミスターT「・・・改めて礼を言わせてくれ。リヴュアス・ディルヴェズLK・ダーク・ウィレナ・
      トモミの5人を救ってくれて、本当にありがとう。特にリヴュアスは双子のリヴュミナ
      とリヴュミヌがお腹の中にいた。下手をしたらウイルスで受けたダメージが、脳などに
      障害となってを持って生まれて来ていたかも知れない。」
    俺はユキナ・ナイラ・リネアに深々と頭を下げた。今では5人の夫として公にしている。
   故に彼女達を救ってくれた3人には感謝し切れない思いである。
ユキナ「そ・・そんな、頭を上げて下さい。私達はエリシェ様とラフィナ様のお陰で今があるのです
    から。それに起業する前に2社の理不尽な立ち退きや請求などを体験しています。その時
    にもエリシェ様とラフィナ様に助けて頂いているのです。」
リネア「自分達が起業した理由はお2人がいらしたからです。殆ど命を救われた形になりますので、
    その恩返しという事で起業したのです。」
ミスターT「・・・ありがとう・・・。」
   この歳になると涙脆くなるのは事実らしい。彼女達の言葉に感謝の思いで涙が溢れてくる。
   そんな俺を瞬時に気遣うのがエリムとエリアの2人。エリシェも同じような行動をしてくれて
   いるのだから、やはり親子だと痛感せざろう得ない。


ミスターT「俺にできる事なら何でもするよ。オブザーバー故に決定権はないが、君達に向けられる
      敵意はこちらに向けさせる事はできる。その方がこちらとしては好都合だからね。」
    落ち着いた頃に一服しながら決意を語る。オブザーバー故に3つの企業の決定権を握ると
   いう事はできない。しかし3つの企業に顔が利くという事から、そこの仮の代表として相手と
   対決するのもいい。奴等の矛先を俺だけに向ければ、間違いなく楽になるだろう。
ユキナ「とりあえずは様子を窺いましょう。世界規模での災厄を助長させる行為を平気で行った場所
    です。大規模的な動きがあると思いますから。また終盤は絶対に心理戦になるかと。ここが
    最大の山場だと思います。」
ミスターT「そうだな・・・。了解、今後ともよろしくね。」
   今日は簡単な打ち合わせ程度だったので、このぐらいで切り上げる。ユキナ・ナイラ・リネア
   の3人と握手を交わし、平西財閥を後にした。

    帰路はエリムとエリアも一緒である。最高5人乗りしかできないミニクーパーだが、2人が
   乗車するだけでもかなり狭い。今度はグローブライナーで移動した方がよさそうだ。


    しかしフルプレとフルエン、かなりの厄介物だな・・・。世界規模の災厄さえも助長させる
   のだから。あの時は三島ジェネカンと躯屡聖堕チームが最大限で抑えたが、今度はそうはいか
   なくなるだろう。更に心理戦か・・・う〜む・・・。

    せめて身内で決着させたい所だが、はたして上手くいくかどうか・・・。

    後半へと続く。

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