アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝 〜覆面の風来坊〜
    〜第3部・第8話 決着と決意と1〜
    ナツミA達との出会いこそが、俺自身の生涯の師弟の巡り合わせとも言えた。彼らもそれを
   理解しているようで、己自身の見定めた生き様を曲げずに突き進んでいる。

    その彼らのサポートに27人の娘達が役立っていく事に、俺自身が行ってきた行動自体に
   対しての罪悪感が薄らいでいく。下はまだ0歳ではあるが、20歳頃になれば十分な戦力と
   なるだろう。

    その時ヴェアデュラは45歳か・・・。ヴァルシェヴラームから育ての親になって欲しいと
   告げられてから45年か・・・。俺も歳を取る訳だな・・・、何とも・・・。


    まあ身内の話はこれぐらいにして、いよいよ流れは終盤に入りそうだ。ウインドとダークH
   から直に連絡があり、ジェリヴァ・アビゲイル一味の潜伏場所が把握できたとの事だ。

    そして噂の域で巡らせていた考えも当たってしまう。奴らは闇商人から多額の資金を使い、
   核弾頭を1基入手していたのだという。

    こうなると奴らの行動を阻止する事が、彼らを救う事にもなるだろう。それだけ核という
   力は絶対悪である。

ミツキ(用は使い方わぅよ。)

    核の話になると、決まってミツキの名言が脳裏に過ぎる。確かに原子力発電などにも核は
   使われている。間違った使い方さえしなければいいのだから。

    問題は絶対的に近い力を持った彼らを、どうやって阻止するかだ。世界規模で大蔓延した
   インフルエンザすら助長させたのだから。

    俺の対話の手腕・・・否、俺達の生き様そのものが問われる事になりそうだ。



リュリア「潜伏先が判明したそうです。東京都心に近い場所に、要人を保護するシェルターが建設
     されていたそうで。そこを何時の間にか乗っ取っていたそうです。」
ディルヴェズLK「自分達と警察官僚トップ、そして自衛隊の精鋭だけの情報です。一般に情報が
         リークされると大混乱を巻き起こしますから。」
    本店レミセンのカウンターに座り、紅茶を飲みながら語るリュリアとディルヴェズLK。
   今ではウインドとダークHの右腕にも左腕にも至る存在で、こういった極秘情報はすんなり
   入ってくるのだと言う。
ミスターT「核弾頭は1基だと言っていたが、それは確実な情報なのか?」
ディルヴェズLK「間違いありません。核弾頭自体そう簡単に入手できるものではありませんので。
         奴らが全資産に近い金額を投じて、やっと1基だという事ですから。」
ミスターT「エリシェなら数百万発買えそうだな・・・。」
   俺の言葉に苦笑いを浮かべるリュリアとディルヴェズLK。しかしそれが事実だとしても、
   彼らがたった1基の核弾頭だけで済ませるかという問題も出てくる。

リュリア「実際は複数基を入手できるだけの資金はあったそうです。ですが奴らは複数基ではなく、
     一番規模が大きい1基に絞ったとの事で。」
ミスターT「その1基で全てを覆すようにするため、か・・・。」
ディルヴェズLK「軍事部門に関しては全く無知ですが、威力の部分では大まかに把握はできます。
         奴らが保有する核弾頭は、世界にある弾頭の一番威力があるものと判断して問題
         ありません。」
    う〜む・・・そうなるとその1基だけで東京はおろか、日本すらも壊滅させるに至る脅威の
   弾頭と言えるか・・・。確かに複数所有するのも脅威だが、こっちも脅威と言えるだろうな。
ミスターT「乗り込む時は俺も呼んでくれ。多分力になれると思う。」
リュリア「“悪人心折”ですね、大いに期待しています。」
ミスターT「まあ程々にね・・・。」
   ゼラエル・ベロガヅィーブ・スカーレットといった悪党を一瞬で黙らせるに至った殺気と闘気
   当て。それをウインドやダークHは勿論、リュリア達からも悪人心折と呼ばれ恐れつつ讃えて
   もいるようだ。こちらとしては遣る瀬無いものだが、それで事件が解決するのなら安いもの
   だろうな。


    軽食を終えたリュリアとディルヴェズLKは再び飛び出していく。また今は躯屡聖堕チーム
   からアマギHとユリコYも召集され、この一件を解決させるために動いているとの事だ。

    そのメンバーの中にヴェアデュラやウエスト達も含まれているのだから、俺としては気が
   気ではない。ヴェアデュラはまだしもウエスト達に何かあったらナツミA達に何を言われるか
   分かったものじゃないわ・・・。

    それでも今回の一件は水面下での攻防戦に至っている。実際に水面上に出れば、一瞬にして
   東京近郊は大混乱を引き起こすだろう。何事もなかったかのように事が運べばいいのだが。



    それから数週間後。事態は思いもよらぬ方向へ進んでいった。何と奴等が核弾頭を所持して
   いる事を大々的に報道したのだ。これに大混乱を引き起こした東京、いや世界中と言える。

    特に核を持たないとされていた日本が核弾頭を入手したとあり、それが一企業であっても
   海外からは批難の声が挙がりだしていた。


    しかしそこは三島ジェネカン・シェヴィーナ財団・躯屡聖堕チームの連携である。実際に
   日本が非核三原則を今も貫いている事を述べ、それにジェリヴァ・アビゲイル達が強行して
   入手したと付け加えた。

    本来ならこの程度の補足では事態は収束しないのだが、ジェリヴァ・アビゲイルが助長した
   通称“インフルエンザ企業間抗争”事変を世界中は痛烈なほど知っている。つまり奴らなら
   十分やりそうだと肯定しだしたのだ。

    おそらくこの流れは奴らにとってマイナスだっただろう。十分に騒ぎ立てる事を目的として
   いたのだろうから、当初の目的とは全く異なった展開に焦りもしている筈だ。


    だがこれで解決したとは言えない。実際に東京近郊は戒厳令が引かれ、北は北海道近辺から
   南は沖縄・鹿児島近辺まで住人を避難させている。

    ここでも三島ジェネカンと躯屡聖堕チームが対応しており、簡易住居などの手配などで走り
   回っていた。この点でどちらが善か悪か、ハッキリと分かれているだろう。



ミスターT「暴動や略奪が起きてもおかしくないのにな・・・。」
エシェラ「そこは躯屡聖堕チームのドスが利いていると思います。実際に治安維持に大きな役割を
     担っていますし。この東京近郊は躯屡聖堕チームが殆ど警戒に当たっている位です。」
    う〜む、そこまで躯屡聖堕チームが信用されている証拠だろう。数々の災害などで身命を
   賭して人道支援に当たっていたのだから。それに元暴走族という事もあり、彼らが略奪などを
   するとは思えない部分もあるようだ。つまり彼らに地元を任せると言った雰囲気である。
シンシア「表は以前拳銃を奪って逃走した人物がいた時以上にゴーストタウンですよ。」
ミスターT「規模が規模なだけにね、下手をしたら日本の中心に大穴が空くかも知れないし。」
   一番下の娘達は疎開させている。エシェツ&カシス夫婦に全員を預けている。しかし陣頭指揮
   を共に取っているヴェアデュラやエリム・エリアなど、まだこの地元に残っている娘達もいる
   のは事実だ。

    今現在俺達は本店レミセンにいる。表は誰もいない状況であり、よく残れたと思っている。
   そこはウインドとダークHによる根回しがあったようで、言わば躯屡聖堕チームの扱いとして
   居させているようだ。偶に躯屡聖堕チームのメンバーが休憩に訪れる事もある。

    そんな中、本店レミセンの一角でマンガの原稿を作成しているシンシア。傍らにはシェラと
   シェナが付きっ切りでサポートしていた。


ミスターT「この情況下でもマンガへの意欲を殺がないお前達は流石だよ。」
シンシア「事が大きければ大きいほど、岩のように静かであれ。何らかの作品で窺った名言でも。
     今は正にその時です。ジタバタしても仕方がありませんし。」
シェラ「お父さんの生き様は、据わった一念そのものとも言えます。このような一件でも一切微動だ
    にもしない、その生き様に肖りたいのです。」
シェナ「お父さんの娘でよかったです。母さんと一緒に今を戦える、これほどの喜びは他にないと
    確信できます。」
ミスターT「ありがとう。」
    今年22歳になったシェラとシェナ。かつて母親のシンシアと初めて会った時と同じ年代で
   ある。月日が過ぎるのは早いものだ・・・。
エシェラ「私達は私達の生き様を貫き通すだけです。以前貴方が仰っていましたよね。男女問わず、
     一度定めた生き様は絶対に曲げてはならないと。」
ミスターT「ああ、そうだね。」
エシェラ「今度は娘達の年代が主役となります。私達の理はそこに存在し続けますので。」
   厨房から紅茶を手渡してくるエシェラ。それを受け取ると静かに啜った。あの幼子であった
   エシェラが今ではシュームに勝るとも劣らない肝っ玉母さんに成長しているのだから驚きで
   ある。俺も歳を取る訳だな・・・。



    雑談に明け暮れていると、ナツミAとミツキが来店してくる。手には色々な資料を持って
   いた。確か調理師免許取得まで時間がないと言っていたな。

ミツキ「あいつらぁ・・・、試験を台無しにしやがったわぅ・・・。」
ミスターT「この戒厳令だと当面は国としての機能はないだろうな。」
ミツキ「ジェリヴァとアビゲイルを蹴飛ばしてやるわぅ!」
    怒らせた時の恐さは家族内で最強と言わしめるミツキ。その彼女がエラい激怒している。
   これは早く一件を片付けないと大変な事になりそうだ・・・。
ナツミA「まあ国そのものがなくなっては意味がないし。今は我慢するしかないよ。」
ミツキ「う〜・・・。」
   本当に不思議な図である。炎のように活発なミツキに、氷のように冷静なナツミA。双子とは
   思えないほどの真逆度だ。エリムやエリアのように、お互いが殆ど同じ属性ではない。

エシェラ「大丈夫よ。勝負は一瞬、次の日には普通の生活に戻れるわ。」
ナツミA「日本としての問題もあるでしょう。非核三原則に則っているにも関わらず、一般企業が
     核弾頭を入手できた現実は避けられないものですから。」
エシェラ「まあそこも何とかなるでしょう。相手が相手なだけに、押し通せる部分があるかとも思い
     ますし。」
ナツミA「それは確かに・・・。」
    この核弾頭事変が終わっても、その後の問題は山積みだろう。でも乗り越えられない壁など
   存在しない。この一件も今後の平和な世の中の構築に一役買えれば幸いである。
ミスターT「俺的にはアマギHとユリコYの結婚式や、その後の事でも一杯なんだが・・・。」
ミツキ「格闘術大会わぅね。ウエストちゃん達も大張り切りわぅよ。」
ナツミA「二次会を格闘術大会とは・・・私では考えられません。」
ミスターT「でも正直な所は暴れたい部分もあるだろう?」
ナツミA「それはそうですけど・・・。」
   日に日に強くなっていくナツミA。ミツキは既に柔道・合気道・カンフーに手を出しており、
   その類稀なる技術力で自分のものとしていっている。そんな妹が羨ましいようで、自分も早く
   身体を強くしたいと思っているようだ。
ミスターT「それこそ桜梅桃李だよ。ミツキはミツキの良さが、ナツミAはナツミAの良さがある。
      誰彼がどうこうじゃない、テメェ自身がどうあるべきか。それが重要なのだから。」
ミツキ「姉ちゃんが強くなったら、わたなんか絶対に敵わないわぅ。だから今のうちに強くなって
    おかないとダメわぅよ。」
ナツミA「・・・そのうち追い抜いてやるから・・・。」
   うわ・・・怖すぎる・・・。ミツキの炎のような激怒とは異なり、ナツミAは氷のような凍て
   付く寒さの激怒である。背筋に悪寒が走るのは言うまでもない。

    まあでも努力する存在は心から応援してあげたい。今を生きる大切な存在、その人物に俺は
   命を懸けて支え抜く。それが俺の生涯の生き様である。



    関東全域に戒厳令が引かれてから数日が経過した。大々的に発表した事により、日本の国家
   としての機能は完全に停止している。

    これだけでも工業・商業・経済などは大打撃なのだが、日本各地にある三島ジェネカンの
   支社を通して辛うじて機能しているようだ。

    やはり国家として成り立たない場合、新たに台頭するのは一番力を持つ企業の力をおいて
   他にはないだろう。エリシェ達の生き様がここにきて大いに役立っていると言える。


    ちなみに都心ではウインド・ダークHが陣頭指揮を取り、自衛隊の精鋭中の精鋭と共に相手
   の動向を監視していた。

    メディアに核を持っていると公表してから数週間が経過したが彼らだが、思っていたよりも
   大混乱が起こらない事に苛立ちを募らせているだろう。

    問題は彼らが最後の一手に踏み切る事だ。それを阻止してこそ、本当の騒乱終焉と言える。
   まだまだ課題は山積みである。



ウインド「相手の動きはありません。」
ダークH「既に場所は把握できているのですが、下手に突入でもしたら大変な事になりますので。」
ウインド「もう相手を刺激して過剰行動に至らせるのは懲りていますから。」
    本店レミセンで一服するウインドとダークH。彼女達も何時の間にやら煙草を吸うように
   なっていた。その彼女達が語るのは、ここで犯人がエシェラに発砲し俺が庇ったあの一件だ。
ミスターT「表立って暴れ出せればしめたものなんだがね。」
ウインド「相手の一手が核弾頭ですから、迂闊な行動は一切できません。」
ミスターT「不発弾処理より厄介だからなぁ・・・。」
ダークH「でも半世紀前や1世紀前の爆弾処理の方が遥かに大変ですよ。何時爆発してもおかしく
     ないのですから。むしろ今時の爆弾の方が処理は楽ですので。」
   扱う人によって善にもなり悪にもなる。特に強大な力を持つ核であれば、尚更の事だろう。
   ジェリヴァ・アビゲイル達の一念次第という事になるわな。

ウインド「それと数日前ですが、連中が自衛隊の特殊車両を強奪しました。」
ミスターT「またよくも許したわな・・・。」
ダークH「向こうの一手が脅威ですから。今は素直に従うしかありません。恐らくは・・・核を持ち
     動かすための手段だと思います。」
    好例のサンドイッチセットを頬張りながら語るウインドとダークH。家族は全員出払って
   おり、今の本店レミセンの担当は俺1人である。
ミスターT「・・・何となく読めるわ。恐らく特殊車両に核を置いて、街中を練り歩くんじゃない
      かね・・・。」
ウインド「マスターも同じお考えでしたか。」
ミスターT「過激なパフォーマンスが好きな狂戦者だからな、十分可能性はあるわな。」
ダークH「でもその時こそが勝負の瞬間でしょう。核弾頭そのものを無力化できれば、後は包囲して
     捕縛するだけですから。」
   上手くいくものかね。連中がそう容易く隙を見せるとは到底思えない。それに核弾頭は精密
   機器の集合体だ、そう簡単に操れるものでは・・・。まてよ・・・精密機器・・・。
ミスターT「核弾頭も精密機器の集合体だよな・・・、もしかしたら・・・あるいは・・・。」
   おかわりの紅茶を入れ直しながら、俺は脳裏にある事が浮かびだした。それを感じ取る2人。
   差し出した紅茶を手渡した後、俺もこちらの裏の一手を述べだした。



    ウインドとダークHの読みは当たった。翌日、核弾頭を乗せた特殊車両が公道を走っている
   というのだ。しかもそこはデートスポットで有名な葛西臨海公園だから驚きだ。

    しかしチャンスでもある。仮に秋葉原などの市街地であれば、いくら人がいなくとも大惨事
   は免れない。この海辺に近い場所であれば、最悪の状況に至っても何とかなる可能性もある。

    
    核さえ無力化できれば、彼らの命運は尽きたとも言える。その無力化の部分では、昨日2人
   に語った一手が役立ちそうである。

    決戦の時はきたようだ。俺も現地に赴いてジェリヴァとアビゲイルの顔を拝むとしよう。



    今いる場所はメルデュラやディルヴェズLKと一緒に訪れた、京王線は葛西臨海公園駅の
   噴水前である。エシェラともここで一時を過ごした記憶が懐かしい。

    その少し先にある駐車場に、自衛隊が所有する特殊車両が停車している。後方の荷台には
   核弾頭が乗せてあるのが目視できた。

    人数からして全員だろう。どの様な意図があってこの地を選んだかは不明だが、もはや袋の
   鼠に近い。

    だがその鼠も最凶の武器を持っているのだから性質が悪い。手負いの獣ほど恐ろしいものは
   ないという事が、この現状を見れば十分頷けた。窮鼠猫を噛むとはこの事だ。



ウインド「動きはありませんね・・・。」
ダークH「長期戦を選んでくるでしょう。もはや逃げ道はないでしょうし。あるとすれば最後の一手
     である核弾頭を取り引きの材料にする筈です。」
ミスターT「・・・これがあのインフルエンザ企業間抗争を起こした連中なのかね・・・。」
    目視できる特殊車両には、ジェリヴァとアビゲイルとされる厳つい顔の人物がいる。その
   周りに数十人の部下らしき人物がいるが、他に仲間がいるとは思えない。
ミスターT「少数精鋭とはこの事か。それとも何人かリストラ対象にしたのかね。」
ウインド「でしたら大規模な行動に出る筈でしょう。それこそ前回の企業間抗争以上の戦いを引き
     起こしていたでしょうから。」
ミスターT「となると・・・コンピューターに関する猛者がいるな。株取引でもコンピューター1台
      があれば億万長者になれるとも言われているからね。」
ウインド「ですが既に手練れ程の技術者はいないと思われます。持っていたら更に厄介になっている
     でしょうから。弱体化もいい所ですよ。」
ダークH「マスターが仰っていた、裏の一手が役立ちそうですね。」
   ダークHの言葉に小さく微笑むと、俺は一服しながら特殊車両の方へと向かって行く。それに
   慌てる周りの自衛隊員達だが、ウインドが静止させていた。

    最後は俺単独の戦いとなるか。ヴァルシェヴラームを不当にも逮捕したのも、俺への精神的
   な揺さ振りに他ならない。

    ならば、売られた喧嘩は買わねば野郎ではない。この精神はアマギH達も今も心に置いて
   いるものだ。彼らの一念と共に戦うとしよう。



男1「止まれ!」
    特殊車両に近付いて行くと、手下全員が自動小銃を俺に向けてきた。しかしその言動から
   覇気は感じられず、怖ず怖ずとした雰囲気が色濃く出ている。
ミスターT「お前がジェリヴァとアビゲイルか。実際に面と向かって対面するのは初めてだな。」
ジェリヴァ「・・・そうか、貴様か。ゼラエルやベロガヅィーブを殺したというのは。」
ミスターT「勘違いするな、今も彼らは服役中だ。以前よりも素直になっているがね。」
   小柄で若干太っている人物がジェリヴァ、その隣に大柄の人物がアビゲイルのようだ。顔を
   見れば明らかに悪役としか言い様がない表情である。
アビゲイル「貴様には散々な目に遭わされ続けられた。今度は俺達が主導権を握る番だ。」
ミスターT「にしては規模が小さくないか。俺だったらそこにある絶対悪の象徴を数百発入手し、
      日本と共に全世界に憎悪を向けるがね。」
   俺の言葉に言い返せない彼ら。資産的にも核弾頭1基だけしか入手できなかったのだろうが、
   動こうと思えば複数発入手が可能だった筈である。

ミスターT「正直な所、もっと厳しい状況になると思っていた。更に潜伏を繰り返し、日本を恐怖の
      どん底に陥れてくるだろうと。だがお前達は明るみに出た。これは間違いだったと思う
      がね。」
ジェリヴァ「貴様、置かれている立場を理解していないようだな。こちらには究極の力があるのだ。
      要らぬ挑発をしない方が身の為だぞ。」
ミスターT「俺の命など何時でもくれてやる。しかしその瞬間、お前達も終わる事を忘れるなよ。
      それに・・・何の手筈もなく現れたと思うかい?」
    俺はウインド達に見えるように再び一服をしだした。それはとある合図としており、それを
   窺った彼女達は行動に出始めた。
ミスターT「そんなにご自慢の究極の武器が誇れるのなら、今直ぐに使うがいい。そうすれば晴れて
      自分自身らの正義が示されるだろう。だがな・・・歴史には核を使った大悪党と永遠に
      消える事のないレッテルを貼られるがね。」
ジェリヴァ「・・・そんなにお望みとあらば、究極の力を使うとしよう。貴様の挑発が招いた現実
      だと追記してな!」
   遠距離から一部始終を聞いている自衛隊員達は一気に殺気立つが、それすらもウインド達は
   押し留めていた。動く事をしなかったため、それを更なる挑発と取ったジェリヴァは核弾頭を
   起動しだした。が・・・。

    一瞬空気が張り詰めたが、ウンともスンとも言わない核弾頭。本当に沈黙した空気という
   ものを初めて体感した。と同時に裏の一手が確実に効いたという現れである。


ジェリヴァ「な・・・なに・・・。」
アビゲイル「起動しないだとっ!」
    青褪めるジェリヴァとアビゲイル。核弾頭の起動スイッチを入れたのだろうが、全く動く事
   すらしなかった。それに俺は小さく微笑んでみせる。
ミスターT「だから言っただろうに。何の手筈もなく現れたと思うか、と。身内にコンピューターに
      関して、凄まじいまでのスペシャリストがいてね。ハッキングなどはお手の物だとの
      事だよ。生憎だがその究極の武器は無力化させて貰った。」
アビゲイル「ならばこの場で直接爆発させるまでだっ!」
   そう言うと自動小銃を核弾頭に向けて乱射しだすアビゲイル。しかしそう簡単に核弾頭が破壊
   される筈はなく、外装により跳弾となった弾丸が周りにいる部下達の手足などに当たる始末
   である。
ミスターT「核融合の原理を知っているかい。核は一定の力を加えない限り核融合を起こさない。
      原子炉のそれと同じで、強大な力を持つだけにリミッターはしっかりと付けてあるそう
      だよ。そんな自動小銃では核融合を起こす威力はないわな。ロケットランチャーならば
      可能性はあるがね。」
アビゲイル「畜生っ!!!」
   今度は俺に向けて自動小銃を乱射しだそうとするが、その瞬間アビゲイルの両肩に弾丸が打ち
   込まれる。遠方は噴水の近くからの狙撃で、それはディルヴェズLKの類稀なる命中力を誇る
   スナイパーライフルによるものだ。勿論急所を外しての狙撃なのだから驚きである。

ミスターT「それにな・・・これが何だか分かるかい?」
    そう言いながらポケットにあった携帯を取り出す。それを相手に見せた。ただの携帯だと
   呆れ返るが、実はそうではなかった。
ミスターT「ただの携帯だが、身内のハッキングにより核弾頭の起爆装置となった。指定された番号
      に電話を掛けるだけで起爆スイッチが入り、お前達が望む終焉が実現できる。お望みと
      あらば、今直ぐにでも実現可能だが。どうするね?」
男2「う・・うわぁぁぁぁっ!!!」
   会話の途中から十八番の殺気と闘気を織り交ぜた事により、俺の底知れぬ力に青褪めていく
   彼ら。そこに核弾頭の起爆装置が手元にあると告げると、手下達は慌ててその場から一目散に
   逃げ出して行った。だが遠巻きにいる自衛隊員達や警察官達に取り抑えられる始末である。


ミスターT「本音ではお前達には心から感謝している。あのインフルエンザ企業間抗争は最悪な戦い
      だったが、それにより日本はおろか世界中の人々と連携も取れだしている。」
    再び一服しながら語る。既にアビゲイルは両腕が使えず、ジェリヴァも戦意喪失状態だ。
   だが言葉での粛正は行わなければならない。
ミスターT「そしてヴァルシェヴラームの不当の逮捕もそうだ。当時はお前達の思惑通り、関係の
      ない人物に当たるまで殺伐とした。しかし1年間の拘置所生活で、俺の成すべき道が
      明確に見定まった。お前達がいなければ、まだ今の境地に至る事はなかっただろう。」
   一服を終えて深呼吸をする。と同時に更に殺気と闘気を高めていく。それに更に青褪めていく
   ジェリヴァとアビゲイル。
ミスターT「俺達を成長させてくれて本当にありがとうな。だがお前達は間違った生き様を刻んで
      いった。その罪滅ぼしはして貰うよ。」
   ゆっくりと2人に近付いて行き、最大の殺気と闘気を出しながら付け加えた。この時点で相手
   への粛正は完成してはいたが、問答無用に続けていく。
ミスターT「世界中の人々を苦しめた行為、俺は一生涯許さん。日の目が拝めるようになっても、
      背後には十分注意しな。総意からの一念も含め、覆面の風来坊を舐めるなよ・・・。」
   この言葉でジェリヴァとアビゲイルは死亡したも当然だった。ゼラエル・ベロガヅィーブ・
   スカーレットでさえ黙ったのだから、彼らにも同じ効果が現れていた。

    粛正は呆気なく終わった。完全に意気消沈したジェリヴァとアビゲイル一味は逮捕され、
   アビゲイル自身の手当が終わってから連行されていった。

    最後の最後で明るみに出たのが間違いだったのは明々白々だ。しかしその部分にも救われた
   と言える。今は素直に感謝しよう。

    後半へと続く。

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