アルティメットエキサイティングファイターズ・外伝 〜覆面の風来坊〜
    〜第3部・第9話 永遠のパートナー2〜
    婚姻式が終わったのは夜10時を回った頃。未成年の娘達は早めに引き上げたが、成人を
   向かえている娘達は大いにはっちゃけていたようだ。

    俺は早々に退散し、本店レミセンの3階でグロッキー状態になっている。今までずっと付き
   添い続けてくれていたメルデュラは、深夜の飲み会に参加している。彼女は家族内で一番酒に
   強い存在だからなぁ・・・。

    ちなみに身内は全員飲み会に参加している。俺が戻った理由は12人の幼い娘達の面倒も
   踏まえてである。一番大きいリヴュミナとリヴュミヌが他の10人の妹達の面倒を見てくれて
   いるため、俺はソファーで寝っころがっている状態だ。


リヴュミナ「みんな寝たよ〜。」
ミスターT「ありがとな。」
    数年前までのリュアとリュオを彷彿とさせるリヴュミナとリヴュミヌ。例のインフルエンザ
   企業間抗争前に誕生した双子である。よくぞあの病気をものとせずに生まれてきてくれたわ。
リヴュミヌ「お父さん大丈夫?」
ミスターT「ああ、大丈夫よ。明日には回復するだろう。」
   心配そうな表情の双子を抱き寄せ胸に抱く。今のソファーは複数人寝れるほどまで拡張して
   あるため、簡易ベッドとして役立っている。
ミスターT「お前達も大きくなったわな。」
リヴュミナ「早くヴェア姉ちゃんみたいに大きくなりたい。」
リヴュミヌ「そしてお父さんと一緒に戦いたい。」
   既に認知度が据わりだしている双子なだけに、時々大人びいた発言には驚かされる。まあ姉の
   リュアとリュオの影響も少なからずあるのだろうから、当たり前と言えば当たり前だろう。

ミスターT「将来は何になりたいんだ?」
リヴュミナ「ん〜・・・まだ分かんない。」
リヴュミヌ「でも〜・・・お父さんみたいなトラックの運転手になりたい。」
リヴュミナ「そうそう〜。」
    う〜む、この2人は俺がトラック野郎として活躍していた頃をしっかりと見ていたようだ。
   リヴュアスみたいに警察官になるのかと思っていたが、案外一番男臭い生き様を貫き出すかも
   知れないわ。
ミスターT「まあ今は気にせず、前だけ向いていればいい。そうすれば自然と周りは付いてくるよ。
      焦らずじっくりね。」
リヴュミナ「うん、そうする。」
リヴュミナ「ありがと、お父さん。」
   思いっ切り甘えてくるリヴュミナとリヴュミヌ。今年7歳になったというのだが、他の双子
   とは異なり甘える部分が強く出ている。まあこの言動は俺と一緒の時だけだろうけど。

    しかし日に日に成長していく娘達の姿を見るのは実に嬉しい。顕著なのがヴェアデュラや
   リュアとリュオだろう。特にヴェアデュラに関しては色々と苦労させられたわ・・・。

    胸の中で甘えつつも徐々に眠気に襲われているリヴュミナとリヴュミヌも、これからが本当
   に大変になっていくのだろう。その2人の背中を軽く叩き、頭を優しく撫でてあげた。

    13人の妻達には心から感謝したい。俺のような奴でも愛娘達の父親として生き様を刻める
   のだから・・・。そしてその切っ掛けを作ってくれたのは愛しい妻達なのだからな・・・。

    まだまだ膝は折れんわな・・・、頑張らねば・・・。



    物思いに耽っていたら、何時の間にか眠っていたリヴュミナとリヴュミヌ。その2人を寝室
   にしっかりと寝かせて、俺はバルコニーに出て一服をした。

    妻達が帰って来ない所を見ると、まだまだ大盛り上がりなのだろう。今日だけは大いに盛り
   上がらせたいものだ。

    しかし・・・本当に酒に弱いのだろうか。ただ単に場に飲まれて泥酔している気もするが。
   ここは1つ試してみるかな・・・。



エシェラ「ただいま〜。」
シューム「って・・・うわっ・・・。」
    深夜2時頃、ようやく13人の妻達が帰宅してきた。俺はというと缶ビール片手に長年に
   渡って遊び続けているエキサイティングプロレス5をプレイしていた。
   すっかり出来上がった俺自身はとんでもない姿だったようで、俺を見る妻達は青褪めている。
ミスターT「よぉ〜・・・おかえりぃ〜。」
   言葉は酔いながらも、意識は何ともしっかりしている。現にゲームに集中できている部分は
   天晴れとしか言い様がない。
メルデュラ「お・・お酒、飲めたのですか・・・。」
ミスターT「お前達の顔にぃ〜・・・泥を塗る訳にはぁ〜・・・いかんだろぅ〜?」
   大声ではないがゲラゲラ笑う俺に唖然としている妻達。そんな俺に付き合いながら、再び酒を
   飲み出すはメルデュラであった。傍らにあった缶ビールの蓋を空けて、一気に飲み出した。
メルデュラ「分かりました・・・今夜は貴方にトコトン付き合います。」
ミスターT「おうおう〜・・・そうでなきゃなぁ〜・・・。」
   自分でもヤバいというぐらいに出来上がっているのは確認できたが、それに流されてもいいと
   思えている自分もあるのが不思議だ。これが酒によるパワーなのだろう。

    その後は他の妻達も一緒に飲み出した。隣の寝室で娘達が寝ているとあり、声に注意しての
   飲み会である。

    ちなみにヴェアデュラ以下の成人している娘達は2階でグロッキーとの事だ。今回が大規模
   な飲み会だとあっただけに、かなり参ったようである。

    まあメルデュラの酒乱度からして、無理矢理飲まされたに違いないが・・・。でなければ
   この場に現れる筈である。


ミスターT「いいねいいねぇ〜・・・いい身体してるのぉ〜・・・。」
ラフィナ「は・・恥ずかしいので止めて下さい・・・。」
    普段から内気で大人しいラフィナに絡む。彼女も酔っ払っているが、頬を赤くしながら俺の
   言動に恥じらいを見せている。そんな俺に抱き付きながら缶ビールを飲んでいるシューム。
シューム「あらぁ〜・・・周りにはまだ一杯いるわよぉ〜。」
ミスターT「おうおう〜・・・いいねぇ〜。」
   態とらしくシュームを抱き寄せ、そのまま豊満な巨乳を両手で揉んだ。普段素面では絶対に
   しない行為に驚きを見せたが、酔いに任せて身を委ねてくる。
ミスターT「歳がなんじゃい・・・こんなに可愛いのに・・・お前はまだまだイケるわ。」
シューム「嬉しいぃ〜・・・。」
ミスターT「お前達もそうじゃ・・・歳なんか関係ないわぃ・・・心が若ければ何だってできる。」
エシェラ「う・・嬉しいは嬉しいけど・・・。」
   あまりにものはっちゃけ度に酔いが覚めていっている周りの女性陣。とにかく酷いとしか言い
   ようがないと、酔ってはいるが表情が物語っていた。

    そんな周りの女性陣の手を1人ずつ優しく握っていく。どの手もお母さんの手そのものだ。
   そこにヴァルシェヴラームの暖かい手を思い浮かべ、自然と涙が流れてくる。

ミスターT「この手が・・・俺をどれだけ助けて支えてくれたか・・・、感謝に堪えない・・・。」
シューム「大丈夫よ・・・全て分かってるから・・・。」
    俺の両手を掴み胸へと抱くシューム。その彼女の厚意に一層涙が溢れてくる。それを窺った
   他の妻達が俺に寄り添ってきだした。
エシェラ「どんな状態になっても・・・私達は貴方を愛し続けます。」
シンシア「そうだよ〜、一生涯付き従いますから・・・。」
メルデュラ「貴方がくれた愛情を、今度は私達があげますよ。」
エリシェ「妻子共々・・面倒を見て下さい・・・。」
ラフィナ「私達の付き合いはこれからですから・・・。」
リュリア「色々と頑張っちゃうからねぇ〜。」
リヴュアス「課題は山積みです・・・一切休ませませんから・・・。」
ディルヴェズLK「そうですね・・・全てにおいて寄り添い進むまで・・・。」
ダーク「貴方と一緒なら・・・どのような苦難でも乗り越えられます・・・。」
ウィレナ「どんな事があっても負けないで進むじぇ。」
トモミ「和気藹々と・・進んで行きましょうよ。」
メアディル「これからが楽しみじゃ〜。」
   それぞれの妻達が心の内を語る。その中でメルデュラ・リュリア・ウィレナ・メアディルのみ
   普通に会話ができている。他の女性陣は幾分か途切れ途切れの会話をしている。この4人が
   いかに酒に強いかが窺えた。

ミスターT「まだまだ飲むぞぇ、付き合ってくれぃ。」
メルデュラ「任せなさ〜い。」
リュリア「こんな事、普段しないよぉ〜。」
    缶ビールを一口飲むと、そのまま俺の唇を奪ってくるリュリア。更には口内にあるビールを
   口移ししてきたのだ。これには驚くが、酔いに任せて応じてあげた。このリュリアの酒乱に
   周りの女性陣は顔を真っ赤にしている。
ミスターT「やりおるわ〜・・・お返しじゃ〜。」
   俺も手元にある缶ビールを一口飲み、そのままリュリアの唇を奪う。口移しでビールを流し、
   そのまま彼女に力強いキスを繰り出した。それに大歓喜の心在らず状態に陥っていった。
ミスターT「リュリア・テイストのビールもなかなか美味じゃ〜。」
シューム「何だかなぁ・・・。」
   骨抜きになったリュリアを抱きながら、周りの女性陣を見渡す。確かに今の行為で青褪めて
   いるのだが、リュリアにした行為そのものに羨ましい表情を浮かべている。それに瞳を輝か
   せる仕草を見せると、我慢できない妻達が一斉に飛び掛ってきた。

    もはや大乱交とも言えるだろうが、酒を借りての無礼講止まりにしていた。でなければこの
   惨状を娘達に見られたら、間違いなく大変な事になる・・・。

    それでもその瞬間を爆発的に心に刻んでいく彼女達。それに俺は心から応じるだけである。



    覚悟を決めての酒へのトライは以外にも通用していた。シドロモドロになり支離滅裂に近い
   言動はするものの、意識はしっかりとしている。

    対して他の妻達は、後半にエラいはっちゃけだした。特にメルデュラの酒乱度というか、
   酒豪度には到底敵わないといった雰囲気であった。


    それでもようやく1つの願いが叶った。何時かは妻達と一緒に酒を飲みたいという願いが。
   それは少なからず彼女達にも伝わっていたようで、こうやって一緒に付き合ってくれていた。

    やはりこの美丈夫達は俺の心からの愛妻だ。自信を持って言い切れる。そして心から感謝
   したい・・・。



    翌朝。俺は普段通りに起床できた。就寝時間は短く寝不足であったが、二日酔いは一切ない
   という状態だ。対する13人の妻達は完全に出来上がったらしく、全く起きられない様子。

    今回分かったのは、酒は飲めなくはないという事だ。飲めても飲まれる事はなく、ただ単に
   苦手なだけという事がよく分かった。今後妻達に勧められないかと心配ではあるが・・・。


エシュリオス「お・・おはようございます・・・。」
ミスターT「おはよう・・・、って・・いたのか・・・。」
    本店レミセンを開店し、カウンターで料理の仕込みをしだす。オープンと同時に常連さんが
   何人か来店し、それぞれの指定の席でコーヒーなどを味わっている。
   そんな中、上からエシュリオスとエフィーシュが降りて来た。3階には妻達やリュア・リュオ
   以下の娘達しかいなかった事が分かっていたので、2階で休んでいたのだろう。
ミスターT「・・・凄まじい顔だな・・・。」
エフィーシュ「い・・言わないで下さい・・・。」
   昨日大張り切りしていたツケが回ってきたのだろう。アイドルとは到底思えないほどに表情が
   崩れている。

ミスターT「ほら、気付けの一杯。」
エシュリオス「あ・・ありがとうございます・・・。」
    カウンターに座るも、何時もの覇気は全くない。遠巻きに見れば、とてもアイドルとは見え
   ないだろう。その2人にコーヒーを差し出すと、徐に啜りだした。
エフィーシュ「姉さん達はグロッキーですか・・・。」
ミスターT「あの後俺も飲んでね、その後6時頃まで飲み合ったよ。」
エシュリオス「え・・・お兄さん飲めたのですか?」
ミスターT「雰囲気の部分でね、意外と飲めたよ。それに二日酔いは殆どない。寝不足だけが痛い
      けど・・・。」
   俺が酒が大の苦手だという事は双子も知っている。しかし意外なほどに強い事には驚いている
   ようだ。というか俺自身も強いという部分には驚いてはいるが・・・。


ミスターT「そう言えば、二次会の格闘術大会は今日かい?」
エシュリオス「と・・とんでもない・・・。皆さんベロベロになるまで飲みまくったのに・・・。」
エフィーシュ「日を改めて行うそうです・・・。」
    案の定な内容だった。昨日の飲み方からすれば、とても今日格闘術大会を行うほどの余力は
   ない。まあ大会が逃げる訳ではないのだから、焦らず行うのもいいだろう。
ミスターT「みんな酔いが残ってるから強いんじゃないかね。」
エシュリオス「す・・酔拳じゃないのですから・・・。」
エフィーシュ「ダウン者続出ですよ・・・。」
ミスターT「ハハッ、違いない。」
   何でもこの2人も最近は合気道にハマっているらしく、今回の格闘術大会には参加側に回るの
   だと言う。現役アイドルが一般の格闘術大会に参加し、怪我でもしないといいのだが・・・。

エシュリオス「改めてお兄さんの強さを知りました・・・。」
エフィーシュ「全てにおいて強いですよ・・・。」
ミスターT「時と場合によるがね。お前達の方が遥かに強いよ。」
    酔いが抜け切らない2人が口を揃えて語る。俺の強さはいざという時に現れるのだろう。
   俺自身も驚いているぐらいだからな・・・。
エシュリオス「より一層惚れてしまいました・・・。」
エフィーシュ「やはりお兄さんは運命の人です・・・。」
ミスターT「フフッ、ありがとね。」
   二日酔いにより酷い表情だが、頬を染めながらこちらを見つめてくる。この2人の根底にも、
   俺という支えがあってこそ成り立っているのだろう。それはそれで嬉しい限りだが、別の意味
   では気苦労が絶えないわ・・・。



シューム「うぅ〜・・・頭痛い・・・。」
    それからして13人の妻達も起床しだした。しかし表情の方はエシュリオス・エフィーシュ
   姉妹よりも酷いものだった。酒の力というものは実に恐ろしい・・・。
ミスターT「ほれ、気付けの一杯。」
ラフィナ「ありがとうです・・・。」
   ゾロゾロと3階から13人の美女達が降りてくる様は異様としか言い様がない。しかし俺達の
   事情は常連さん達は知っているため、苦笑いを浮かべるだけになっているが。

メルデュラ「あ・・あれだけ飲んだのに・・・何ともないのですか・・・。」
ミスターT「辛いのは寝不足だけだなぁ。別に胃もムカムカしてないし、極めて良好だよ。」
    エシュリオス・エフィーシュ姉妹と同じように、俺の意外な強さを知った妻達は驚愕して
   いる。あれだけ少量の酒が入るだけでベロベロになったのに、昨日はそれ以上の量を摂取した
   のだから。家族内最強の酒豪と謳われるメルデュラでさえグロッキーに近いのに、である。
ミスターT「でも今後は飲まないつもりだ。心から望むのなら応じるが、やはり素面には敵わない。
      ありのままの姿が一番だよ。」
エリシェ「それはそうですが・・・。」
ミスターT「俺的には笑顔で明るく活発なお前達が好きだからね。今の顔はとてもじゃないが、周り
      に見せられないわ・・・。」
   先は口説きで後は現状の語り。それに顔を赤くするが、膨れっ面になっていく。そんな彼女達
   が実に可愛らしく見える。

ミスターT「まあ何だ、色々な意味でこれからが勝負さな。」
シンシア「そうですね・・・。」
    俺の一言に周りは頷いている。その意味合いは先に生まれた娘達の遠征修行だ。数日後に
   なるだろうが、暫しの別れが待ち構えている。俺はともかく、己の腹を裂いて生んだ母親達に
   とっては苦痛の何ものでもないだろう。
ミスターT「大丈夫さ、何時でも応じてあげるから悄げるな。」
   最後に付け加えた言葉に、妻達は一気に赤面していく。俺から応じると語る事は殆ど稀である
   ため、意外な不意打ちを喰らったといった雰囲気だ。そんな妻達の表情に、エシュリオス・
   エフィーシュ姉妹はご馳走様と呆れつつも微笑ましい視線で見つめている。


    これからが色々と大変になっていくだろう。しかしそれらも己の大切な成長の一部として
   乗り越えなければならない壁である。

    それに俺には彼女達がいる。心からお互いを信頼し合い、背中を預けられるパートナーが。
   負ける筈がない。否、負ける意味もない。彼女達とならどんな苦難だろうが乗り越えていって
   みせる。

    今も二日酔いに苦しむ妻達を見つめ、俺は心に堅く誓った・・・。

    第3部・第10話へと続く。

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