アルティメットエキサイティングファイターズ 〜集いし鋼鉄の勇者達〜 〜第20話 真のGM〜 異様とも思える1200人が集うこの場。多種多様な面々が揃っているが、その闘志は凄ま じいものがある。その中で使用前使用後のキャラクターが数多くいるのはご愛嬌と言った所で あろう。 新陣営から抜粋されたGM軍団も忘れてはならない。こちらは後続の120人とは別枠の 面々であり、その他にも追加された面々もビィルガ達同様に裏方の役割りを担う存在だ。 そして新陣営全てを含め、1320人に向けて歩み出しを開始したミスターT。もはや彼の 行動は一同の存在を引き立たせる役割り、真のGMという役割りを超越しだしていた。 メルシェード「もはや何でもござれですな。」 メルシェードL「ですね。」 己の使用後のキャラクターである、メルシェードLを見つめるメルシェード。戦闘力は各段 に上がり、もはやメルア達と大した差はないぐらいである。 エシェラ「マスター、今後どうなされるのです?」 ミスターT「1320人に向けてはゆっくりと進むよ。1020人から1200人に挑んだ際は、 流石にノイローゼ気味になり掛けた。無理無茶して挑むものじゃないね。」 それでも僅か短期間で180人を創生したのである、その異業は凄まじいものがあろう。一同 はただただ圧倒されるしかなかった。 ミスターM「無茶しても何にもならないぞ。」 異業を終えたミスターTに激励に現れるミスターM。突然その場に現れ、近くにいた面々を 驚かせる。 ミスターT「確かにそうですね、次からはゆっくりと進みますよ。」 ミスターM「今までにない死闘を演じたという事、これは大いに認める。だがその反動で倒れでも されたら参る。勧めた私の責任になってしまうからな。」 皮肉を込めて語るが、本心は心配しているのがよく分かる一同。ミスターMもミスターTと 同じく、強さだけではなく労わりなどの面もしっかりと心得ていた。 一同は流石ミスターTの師匠だと思わざろう得なかった。 エシェラ「あの・・・ミスターMさん。その・・・できましたら、一戦お手合わせをお願いしたいの ですが。」 とんでもない事を言い出すエシェラ。本来から負けず嫌いで有言実行を信条とする彼女、 前々から思っていた事を口にしたようである。 ミスターM「ハハッ、貴方の方が強いですよ。」 エシェラ「実際に戦ってみなければ分かりませんよ。」 謙遜するミスターMに、結果が全てだと語るエシェラ。ミスターTに動きを催促した時と同様 に、既に戦闘態勢のオーラを放出し出している。 ミスターT「師匠は完全な裏のGMだ、私以上に表立っての行動はタブーに等しい。」 ミスターM「いや、そうでもないぞ。相手が望むのであれば、それに最大限応じるのがレスラーと いうもの。その場合はGMなどの一念は一切ない。己が望む行動するまでだ。」 負けじとミスターMもオーラを放出し出す。その力はエシェラを遥かに凌ぐものであり、彼女 はそのオーラに当てられ引き気味である。 ミスターTは意外な行動はするものの、基本的は陰の存在として弁えている様子。しかし ミスターMは違った。その場で相手が望む事を必ず行うといった性格のようだ。それがタブー であっても、己が決めた事を徹底的に突き通す様子である。 押され気味のエシェラであったが、ミスターTよりも話が分かるミスターMに感謝している ようだ。 ミスターT「・・・お前さんの勝ちだエシェラ。それに師匠にも敵いません。ここはお2人の顔を 立てて、試合を行うとしましょう。」 エシェラとミスターMの無言の圧力に折れたミスターT。渋々試合を応じる事にした様子。 そこに間隔空けずに参戦を望む者がいる。 試合こそが我が命と言わんばかりのじゃじゃ馬姉妹、ターリュSとミュックSである。 ターリュS「はいはいはい〜、私も便乗します〜。」 ミュックS「これを逃したら、絶対後悔しますよ。」 負けじと姉妹もオーラを放出し、凄まじいまでの闘気がエシェラとミスターMを威圧する。 危険ではないが一触即発であり、これこそ押し止めたら間違いなく3人は暴動を起こす事は 言うまでもないだろう。 ミスターT「となるとイリミネーションタッグ3対3が無難か。エシェラ・ターリュS・ミュックS の3人と、私と師匠とあと1人で戦うとするか。」 残り1人と窺った一同、その瞳が怪しく輝く。ミスターTは元より、普段戦えないミスターM と共闘が出来るのだ。これほど興味をそそる試合は他にはないだろう。 ミスターT「師匠、後の1人はどうしますか?」 ミスターM「アルエキファイタ最強のメルア嬢が無難じゃないか。手数と言っては失礼だが、彼女の ような戦闘力を有する猛者じゃないと拮抗しない。」 人選をある程度予測していた面々は、案の定の結果に落胆する。しかし指摘を受けたメルア 達は今までにない緊張が走っている。普段気丈な彼女達が子供のように小さく震えていた。 ミスターT「ごめんね、驚かせてしまって。でもお前さん達のトップの者じゃなければ、間違いなく 潰される。それだけエシェラ達は物凄く強い。」 メルア「ええ。それは同じロジックを有する者として、痛いほど理解できます。」 メルアW「私達が少しでも貴方達のお役に立てれば幸いです。」 メルア達も腹を括り、参戦を承諾したようだ。しかし誰が抜擢されるかは知らされておらず、 緊張が走るのは今も続いている。 ミスターT「本当ならメルアTUを抜擢したいが、あえてここはオリジナルとなるメルアJに一任 する。」 指摘を受けたメルアJ。今まで以上に緊張が走り、GM自ら重役を任されたプレッシャーが 彼女を襲う。 しかし彼女には究極の武器がある。本編でも用いている我武者羅に突き進むという心得だ。 この心構えに移行したメルアJは今までにない闘気を放出し、その凄まじさに娘達やエシェラ は尋常じゃない緊張感が襲った。 ミスターT「ほほっ、その闘気素晴らしい。そしてこの緊張感、久方振りに味わうものだ。」 ミスターM「俺もそうさ。だが闘るからには例え負けても無傷にはさせまいよ。軽傷か重傷を狙う のでそのつもりで。」 暴君メルシェード・イレギュラーミスターTが述べた威圧の一言。その流れはミスターMにも 通じるものがある。 殺気をも顕にしだしたミスターMに、エシェラ達も同じく殺気を出して応戦する。便乗して ミスターTとメルアJも闘気と殺気を放出し、凄まじいまでの闘気が辺りを覆った。 その後6人は指定のリングへと向かって行く。リングは6人が希望した、リング最高峰の レッスルマニア19である。 試合は相手が全滅するまで戦い抜く、イリミネーションタッグ。内容はトリプル同士で対決 の3対3バトル。 ルールはKO・ギブアップ・DQが適応、リング外にも出られる方式だ。KOの要素が試合 を大きく傾けるが、完全な激突による勝敗でもある。 イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画 (イリミネーション・タッグバトル終了) 凄まじいまでの試合となった。双方とも死力を尽くし、徹底的に戦い続けた。 結果的にはミスターT・ミスターM・メルアJが勝利したが、相手が相手なだけに無傷では 済まされない。 さしもの真のGM2人と最強の女傑であっても、じゃじゃ馬娘達の猛攻には厳しいようで ある。特にミスターTの場合は終始打撃だけで応戦をし続けていた。それだけ相手が手強い事 が窺えるだろう。 ミスターM「ハハッ、久し振りに熱い試合ができた。」 メルアJ「十分すぎるほどですね。」 3人の中でミスターMとメルアJが一番爽やかな表情をしている。しかしミスターTの方は 何か思い当たるのか、曇った表情を浮かべていた。 エシェラ「・・・マスター、やはり私の責任ですね。」 黙り込んでいるミスターTを察し、この試合を企画したエシェラが彼に詫びだす。しかしあの 時は勢いが付いていたため、もう押さえが利かなかったのは6人とも同じではあるが。 ミスターT「あ、いやいや。別に試合が嫌だとかお前さんを責めているというものじゃない。トップ レベルの面々と対戦して、改めて己の力のなさに苛立ちを感じる。殆ど卑怯な打撃だけ の応戦しかできなかった。2人のサポートをする暇さえない。」 ミスターTの言葉にエシェラを始め、一同は呆気に取られる。これだけの実力を持ちながら、 まだ己の未熟さを恥じいているという事に。 一同は直感した。真のGMという役割から解放されれば、おそらく自分達以上に努力を惜し まないレスラーになるだろうと。 ミスターM「だからこそ、戦いを止めてはならない。レイヴンでもオリストでも、全てに通じる物事 だな。」 ミスターT「そうですね、もっと修行を積まないと。」 間隔空けずにミスターMが述べる。他の面々では労いの言葉が思い浮かばなかったが、瞬時に 思い付く所を見ると流石としか言いようがない。 ミスターM「十分楽しませて貰った、そろそろ戻るとするよ。また何かあったら遠慮せずに言って くれ。」 一服しながらその場を去るミスターM。言動から何から先ほどの試合のダメージを感じさせ ない雰囲気、これには一同は驚かざろう得なかった。 例の体力強制回復という荒業を使ったとも思えない。これも彼の真の実力であろうと、一同は とにかく驚くしかなかった。 その後今の試合で火が付いた面々は、それぞれの陣営に分かれて戦いを開始。陣営を超越 する行動が可能になった事で、彼らの勢いに更に拍車が掛かる。 その中で目立つのはロスレヴ系列の面々であろう。陣営別に分かれた面々だが、むしろ以前 よりも増して統率された連携を見せる。 負けじとフリハト・伝秘ウイブレ・メカノイド・一匹狼の系列の面々も動き出すが、連携に 関してはロスレヴには敵わなかった。 そして更に異なる展開が開始される。それは陣営別に纏まり、戦いを繰り広げだしたのだ。 陣営別内での試合ではなく、完全な陣営による抗争を展開しだしたのである。 かつてビィルガ達が悪陣営を牽引し、それぞれの陣営と抗争しだしたのと同じであった。 ミスターT「こうまでなると、介入のしようがないな。」 エシェラ「誰も寄せ付けず、といった雰囲気ですね。」 あの試合からというもの、エシェラは殆どミスターTと行動を共にするようになる。彼女の GM的存在のキャラクターはいるが、その人物よりも親しい間柄に見える。 エシェラ本人は彼を真のGMや創生者としてではなく、同じレスラーとして認識していると いう現れであろう。 ミスターT「お前さんも陣営に混ざり、試合を展開すればいいのに。」 エシェラ「エシェツやディルさんの陣営は、それぞれの方々で間に合っているようです。私は後から 追加され、どこに入るのかといった事も分かりませんし。」 ミスターT「ああ、そうだったな。陣営作成を始めてから、お前さんを創生したからね。基本となる 面々の輪の中には入り辛いだろう。」 エシェラ「だ・か・ら、マスターと一緒にいるのですよ。貴方の首を狩る者として。」 カヤの外だからこそ、己の役割を決めねば目標がなくなる。エシェラは自らミスターTを狙う 者として、彼の側にいるのだと豪語した。 不気味に微笑んでみせるエシェラに、ミスターTは苦笑いを浮かべるしかなかった。 ミスターT「まあ、お前さんの本音は分からないでもない。だがそれは述べずにいよう。乙女心に 傷を付ける事になるからね。」 彼女の心中を鋭く見抜いたミスターTに、今度はエシェラが苦笑いを浮かべるしかなかった。 しかしそれでも嫌がる素振りを見せず、自然と接してくれている彼に感謝する彼女。その自然 とした彼の行動に、エシェラがより一層惹かれていくのは言うまでもない。 ビィルガ「では我々も動くとするか。マスター、再びヒール役を徹する事にする。後の事は頼む。」 ミスターT「了解、余り無理はするなよ。」 新しい企画を思いついたのか、ビィルガ達がミスターTに挨拶をしてきた。再びヒール街道 を突き進むようであり、それに伴う火消しなどの一切を任せるとも語った。 彼らも悪役でしか己の存在意義を示せなくなっていると言っていいだろう。 ミスターT「エシェラ。真のGMを担ってみないか?」 エシェラ「わ・・・私が・・ですか・・・。」 新たな陣営を作成しだしているミスターTがとんでもない事を述べだした。それはエシェラ に自分の役割である真のGMを担ってみないかという催促だった。 当然それを聞いた彼女は今までにないぐらい驚愕し、ただただ呆気に取られるしかなかった。 ミスターT「お前さんの熱意なら、私以上に一同を纏めてくれると確信している。」 エシェラ「でも・・・仮に担ってしまったら、マスターはどうなされるのです?」 ミスターT「ミスターMが神の技術を持つ男という位置付けなら、私は創生者としての位置付けを 貫き通した方がいいと思ってね。」 ミスターTは1人複数の肩書きを持つのには苦労している様子、それを窺い知れたエシェラ。 しかしこれには別の何か意図があるのだろうと、内心利用される事を恐れてもいた。 ミスターT「ターリュやミュック、それにライディル達。彼らはレスラーでありながら、よく企画を 持ち掛けてくれる。先陣を切って試合を展開し、一同を牽引する役割を担ってくれて いる。彼らにも真のGMという位置付けはいいかも知れないが、告げた所で断られる のは目に見えているからね。」 エシェラ「ではミスEさんは?」 ミスターT「ミスEのタイプは純戦闘だからね、彼女は真のGMには成り切れない。もちろんそれは 実力云々がないという話ではない。火消しなどの決められた役割は完璧なまでにこな せるが、戦略などの考案は苦手としている。」 いまいち彼の言いたい事が理解できないエシェラ。ミスEが実力不足だとしても、自分よりは 遥かに強いのは言うまでもないと。その彼女を退けてまで自分を選ぶ理由が見えなかった。 ミスターT「一同と同じレスラーの目線で試合を展開し、一同を沸かせる戦いを行える。それも相手 が誰であろうとも、己の信念を曲げずに貫き通す。この点を踏まえて、お前さんを選ぶ 理由なんだよ。」 エシェラ「う〜ん・・・私には荷が重すぎると思います・・・。」 ミスターT「多少強引に運ぶとすれば、私を襲撃し真のGMを強奪したという事でもいいかもね。」 ミスターTの心中を理解したエシェラ。それは彼を狩る者と自称し始めている自分を立てての 行動だった。 確かに今の彼女の本音はミスターTを追い求めるという事で傍らにいる。強さも優しさも彼 の全てを超えてみせるという一念、それを鋭く察知したミスターT。それにより真のGMを 任せるという心境にさせたのだ。 自分が軽はずみで言い出した事を鵜呑みにせず、有言実行で押し通しだしたのだ。これには 感激以前に呆れる方が正しいだろう。 ミスターT「ヒール役というのも案外辛いものだが、一同を沸かせられるのなら喜んで担う。お前 さんの意気込みなら、間違いなく名GMとして君臨できる。」 エシェラ「非常に嬉しい限りです。しかしマスター、既にGM補佐ではありますがエシェラTGさん がいらっしゃいます。エシェラTGさんを差し置いて、自分がその上をいくのは悪い気が してなりません。」 ミスターT「前に何度か言わなかったか、彼女や他の面々は補佐役兼陰の闘士。専ら火消しなどを 担い、それ以外の戦いなどは控えるように言っている。私がお前さんに任せたいのは、 表立ってのGMとしての行動。表の補佐には一貫してミスEが就いてくれるからね。」 両者とも譲らずの流れを続ける。エシェラは自分を最大限認めてこの役を薦めてくれるのは 有難いと思っている。しかしそれは真のGMという囚人になりかねない。だからこそ他の面々 が我勇んで名乗り挙げないのだ。 以前はビィルガが真のGMを名乗り、牽引しようと画策した。しかしそれは一同を沸かせる 役所であり、実際には担いたくないというのが本人の応対である。 誰も普通に戦えるレスラーを望んでいるのだ。もちろん薦められたエシェラもそうである。 ミスターT「・・・うむ、ならこうしよう。新たなお前さんを創生する。その者とお前さんは意思の 疎通ができる事にしよう。ある時はGMとして、ある時はレスラーとして動けばいい。 これなら問題はあるまい。」 エシェラ「・・・マスター、あくまでも担わせたいのですね。」 ミスターT「最終判断はお前さんに任せる。新たなる戦いの場は、己の成長の場。これだけは間違い なく断言できるからな。」 この言葉がエシェラの負けず嫌い魂に火を付けた。最終的には己の成長を望んでいる彼女。 彼が薦めてきたこの役割は、間違いなく己を成長させる最高の素材だ。 心中では誰よりも強くあろうとする彼女にとって、戦いこそが己の最大の糧でもあった。 エシェラ「・・・ではもう1人の創生をお願いします。私という筐体はあくまでフリハトでの存在。 真のGMともなれば、新たな筐体が必要になりますから。」 ミスターT「了解。無理強いさせてすまない。」 エシェラ「本当に強引なのですから。まあ、だからこそ惹かれるのですがね。」 ニヤつくエシェラにミスターTは驚くが、彼女らしいと直ぐに笑いだした。それを見た彼女も 同じく笑う。ミスターTは確信した、間違いなく最強クラスのGMが誕生すると。 それから数分もしないうちに、新たな人物を創生するミスターT。エシェラの筐体が記録 されている黒いカードを複製させ、その人物にアレンジを施す。 エシェラ「もしかして・・・覆面が付くのですか?」 ミスターT「まさか、これは一種の飾りだよ。しかし素性を隠す意味もあるが、そこはイレギュラー として扱って貰いたい。」 エシェラ「了解。それと名前の方は?」 ミスターT「複製となる人物の名前はそのままだな。」 彼みたいにファーストネームをイニシャルにすれば言いやすい。しかしそうなった場合、彼女 もミスEとなるだろう。この名前は仕方がないように思えた。 エシェラ「う〜ん・・・、マスターエシェラではどうでしょう。」 ミスターT「念を押すが、フォースとライトセーバーは使えないぞ。」 冗談を述べるミスターT。それに気付いたエシェラは笑うしかなかった。だが心中では彼と 同じ事を思っていたため、冗談を先に述べたのはエシェラという事になる。 ミスターT「通常はミス・エシェラで通すといい。普段はマスターエシェラで呼んでもらうんだ。」 エシェラ「フフッ、了解です。」 ミスターTはキャラクターの調整を行うと同時に、彼女の新たなセカンドネームを決めだす。 そしてキャラクターの基礎となるロジックは、当然ミスターT達と同じ完全カスタム化された もの。言い換えればミスターT本人が彼女を操作するという事も可能ではある。 当然真のGMともなれば、それ相応の実力を有さないと意味がない。今後火消しや一同の 盛り上げを行うのならば、必ず試合にぶつかるのは言うまでもないだろう。 どのような試合となるのか、どのような展開を作っていくのか。それらを思ってか、エシェラ は武者震いが止まらなくなる。 ミスターT「この場が小説本編なら、お前さんを抱きしめる所なんだがね。」 エシェラ「・・・私は一向に構いませんが。」 ふと心中に思った事を直ぐさま彼に察知され、エシェラは苦笑いを浮かべる。それに震える 声で述べるエシェラ。彼女の心中では慰めという位置付けの抱きしめと勘違いしているようで ある。 ミスターT「ハハッ、勘違いしたのか。抱きしめるでも励ますのとその他のとでは異なる。お前さん の事だ、おそらく後者を思ったのだろう。」 エシェラ「ひど〜い、騙したのですかっ!」 ミスターT「ウブだからな。」 とりあえず言い返しをしたエシェラだが、ミスターTは性格上の応対をする。それを窺った エシェラは大笑いした。 ロスレヴ系列のリュウジしかり、フリハトのディルヴェズしかり。彼らの本編でのウブな 性格は、全て起源はミスターTである。恋愛感情などもってのほかであろう。 ミスターT「よし、完成した。セカンドネームはビリーフマインドでいいだろう。」 エシェラ「信念心、ですか。」 ミスターT「フフッ、今のお前さんに相応しい言葉だな。」 最終設定を手帳に施し、黒いカードに反映していく。それにより新たに人物が創生された。 今現在のエシェラ自身とGM闘士のエシェラTGと同じ体格だが、髪型はミスEと同じで服装 も真のGMのミスターTやミスEと殆ど変わらない。 異なると言えば前者の2人は長袖・長ズボンを着用しているが、エシェラTBの場合タンク トップとミニスカートである点か。それにリストバンドを用いた長袖風の着衣に、真のGMで あるミスターTやミスE・ミスターMのように赤いペイントが施されている。 更に変わったと言えば、その表情だろう。先発2人と殆ど変わらないのに、その表情は大人 びいたものだ。彼女の真のGMを担うという決意の現われのようだ。 ミスターT「ほほっ、やはり女性はいいものだ。」 エシェラTB「お世辞を言われても何もでませんよ。」 エシェラ「その通り。」 ミスターT「・・・見事だな。」 お互いとも半分の意思の疎通ができるためか、会話などが全く同じタイミングで放たれる。 そのコンビネーションは非常に優れており、双子と間違われるほどだ。 無論、両者とも同じデータから創生された人物。双子以上のコンビネーションがあっても全く おかしくない。むしろコピーなのだから当たり前と言うべきだろうか。 ミスターT「では一旦全GMを召集しよう。陰の闘士も全員集め今回の内容を詳細に述べないと。」 エシェラ「了解です、早速呼んできますね。」 エシェラTBの発表がまだのため、この場はエシェラに他のGMへの橋渡しを任せた。一同に 未発表の人物がいきなり登場すればパニックを起こすだろう。 しかも人物が人物なだけに、まずはトップ陣営に訳を説明する必要もあった。 この場合はエシェラとエシェラTBとが意思の疎通ができるのは有難いものだろう。何も 述べずとも、お互いに半分の意識を共有し合っている事になる。 もちろん行おうとすれば、エシェラ・エシェラTG・エシェラTBの3人での意思の疎通が 可能だとは思われるが。 ヴァルラームTS「そのうち行われると思っていましたけど。」 ユキヤTW「本当に問題はないのですか?」 ミスターT「陣営別GM陣でエシェラTBをフォローしてあげてくれ。いくら猛者と言えど、1人で 総てを担うのは大変だからね。」 エシェラTG「それは誠心誠意行いますが・・・。」 他の面々は納得するものの、やはり違和感を感じているのはエシェラTGであろう。役割を 変更すれば、彼女が真のGMとなるはずだった。この点は他のGM達も同じ考えであり、何故 新しく創生してまで担わせるのか。ミスターTの真意が把握し切れていなかった。 ディルヴェズTF「まあマスターの行動は絶対ですし、これは黙認するしかありませんね。」 一同を代表してディルヴェズTFが纏める。そしてエシェラTBの側に赴き、改めて一礼を した。 ディルヴェズTF「マスターから話は窺っています。詳しい事情までは分かりませんが、貴女が真の GMを一任されたのは事実。我々は貴女の手足、思う存分使って下さい。」 本編とは異なるアレンジの両者だが、ディルヴェズはエシェラにとって兄そのものだ。その 兄が敬語で妹を讃えている。いや、この場合は忠誠と言った方がいいだろう。 エシェラTB「え・・え〜と・・・、その・・・よろしくお願いします。」 たじろぎながらも礼を述べるエシェラTB。意識を共有しているためか、エシェラ自身も緊張 した雰囲気だ。 その緊張し続けるエシェラTBの両肩に手を置くミスターT。その慰めの行動に一瞬にして 緊張がなくなる彼女。当然エシェラも同じく瞬時に緊張が消え失せた。 ミスターT「おめでとうエシェラTB、新しい真のGMの誕生だ。」 彼の言葉に笑顔で頷く彼女。ミスターTとエシェラTBの言動を窺って、他のGM達は2人に 言い表せないぐらい強い絆が芽生えている事を実感した。 見間違えば恋愛にも似たものであるが、この場合は師弟関係と述べるのが正しいだろう。 そして一同は彼の真意を理解した。それはエシェラTBを弟子として育てだしたという事だ。 ここまで膨れ上がった面々を束ねるのなら、彼1人の実力で難無くやっていけるだろう。 にも関わらずそれぞれの陣営からGMを輩出した。彼だけで済むのであれば、更にアレンジか 新規の面々を追加した方が盛り上がるのは言うまでもない。 しかしミスターTはあえてそれを行わなかった。それぞれの陣営から主人公などを軸とした 面々を陣営の代表として選抜したのだ。そして彼らに個別で陣営のリードをしてもらった。 これは完全な彼の後継者の育成行動であろう。 そこに己を狙うと豪語して付き人をしだしたエシェラ。心中は己の成長を誰よりも望んで いる、それを彼が見逃すはずがない。そして彼は真意を伝えずに半ば無理矢理に真のGMと いう役割を担わせた。 真意を窺い知ったエシェラは、ミスターTに自分とエシェラTBとで行える意思の疎通を 止めるように懇願した。それは重役を1人に押し付けるという浅はかな考えではない。 エシェラTBこそが真のミスターTの愛弟子。そうなれば意思の疎通という事は己やもう1人 の自分の成長を妨げる要因になる。 自分の成長、そして相手の成長。エシェラはそれを願い、両者に共有している意思の疎通を なくしたのだ。 その後意思の疎通がなくなった両者だが、心中で思うものは同じだった。それはお互いのより 一層の成長、この一点である。 回りクドい方法を取ったミスターT、最初は違和感を感じていたエシェラTBとエシェラ。 しかし誰よりも自分達を思って行動に出てくれた事に、2人は感謝に堪えなかった。 両者は思う。本編へと戻れば今までの行動はなかったものとなる。しかし、せめてこの場 だけは誠心誠意彼を慕おうと。そして何が何でも彼を超えてみせると。 恋心とライバル意識を同時に備えたエシェラTBとエシェラ。間違いなくメルアをも凌ぐ 猛者となった瞬間であった。 第21話へと続く。 |
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