アルティメットエキサイティングファイターズ 〜集いし鋼鉄の勇者達〜
    〜第22話 予想外の展開〜
    性格別に陣営を展開しだしたアルエキファイタの面々。こうなってしまうと手が付けられ
   なくなってしまい、ただ消化試合を行うだけになってしまう。
   戦いこそが我が生き甲斐と願っている悪陣営の面々は嬉しそうだが、クリーンな試合を望んで
   いる善陣営のベビーに属する面々は遣る瀬無い状態が続いていた。

    この場合の抗争は卑怯などといった試合は存在せず、ただ戦いを続けるという形になる。
   卑怯な行動で知られるビィルガ達も襲撃を用いるが、試合では正々堂々と戦っていた。

    縦横無尽に加勢に加わるフリハト系列の面々だったが、それでも激化の一途を辿っている。
   ベビー・ヒールと性格分けが色濃くされたのはロスレヴ系列の面々が強い。それに追随する
   のが伝秘ウイブレ系列・一匹狼系列の陣営だ。
   フリハト系列とメカノイド系列の面々はベビーに属する者が多く、それ故に勢力を分散させず
   に済んでいた。
    特にフリハト系列の面々はこの流れに一切影響されず、現状維持を続けている。ここは完全
   に個々人が強い故に、周りに振り回されないと言った方が正しいだろう。

メルシェード「こうなるとキリがないな。」
    恐怖の暴君を遺憾なく発揮し、徹底的に襲撃者を排除するメルシェード。襲われる傾向が
   強い面々はベビーの面々が多く、襲う側は専らヒールの面々とノーマルの面々である。
ヴィドリーガ「そっちは大丈夫か?」
メルシェード「ビィルガ達は全く問題ないが、ロスレヴ系列の方々が手強くて参る。今までは味方
       同士だった分、この環境は辛いものがあるね。」
ヴィドリーガ「そうだなぁ・・・。」
   今の情勢を一番気に入らないのはメルシェードである。ヴィドリーガも根っからのクリーン派
   であり、メルシェードと同じくこの環境には参り気味のようであった。

メフュレーナ「でも降り掛かる火の粉は払い除け、困っている人を助けるのが俺達の使命だよ。終始
       これを貫き通そうぜ。」
ヴュオリーア「親父、弱気になっちゃダメだ。」
    キャラクターの位置付けから、試合まではできないメフュレーナとヴュオリーア。しかし
   その熱意は父親以上に凄まじいものがある。
メルシェード「メフュレーナ。その男言葉どうにかならないか?」
メフュレーナ「親父が恐怖の暴君を演じて一同を盛り上げるように、俺もデュウバDさんと同じく
       恐怖の魔女を演じて一同を盛り上げる。この信念は曲げるつもりはないよ。」
ヴュオリーア「メフュと同じです。強さが備わっているのなら、それ相応の応対もしないと。俺達は
       この流れで突き通しますよ。」
   心中には人一倍優しさを備えているためか、表向きからは凄まじいまでの男臭さが漂う。この
   2人は女性ではなく、完全に男性そのものだろう。

ディルヴェズ「ハハッ、こういった娘さんもいいものだね。」
メルシェード「茶化さないで下さいよ・・・。」
ヴィドリーガ「自分としてはお淑やかな娘を期待していたのですが・・・。」
    メフュレーナとヴュオリーアの女傑を見て、ディルヴェズは羨ましそうに誉める。それに
   冗談じゃないと反論する父のメルシェードとヴィドリーガ。
ディルヴェズ「ワイルドな女性も好みさ。もちろん娘達のようなお淑やかな女性も好きだけどね。」
メフュレーナ「もうっ、ディルさんったら。」
ヴュオリーア「煽てても何も出ませんよ。」
   本編から離れている状態のディルヴェズ。そして本編の後半もそうだが、彼は本来の異性好き
   な性格にもなっている。ロスレヴのリュウジもそうであるが、ディルヴェズの場合は紳士的な
   部分がある。それ故に全陣営の女性からは圧倒的に人気が高い。
    現に父や他の男性陣・同性の女性陣の前でもワイルドに振舞う2人。しかしディルヴェズの
   前では普通の女性へと変わってしまう。何とも言い難い現状だろう。
エシュリオス「メフュもヴュオもディルさんの前ではタジタジだね。」
メフュレーナ「エシュ姉さんも茶化さないで下さいよ〜。」
エフィーシュ「フフッ、恐怖の女傑も形無しですね。」
   こちらも登場だけで試合はできないエシュリオスとエフィーシュの双子の姉妹。エシェラの
   娘達であり、姉はエシェツで妹はエシェラの生き写しのようである。
ディルヴェズ「何はともあれ、今の状況は確かに辛いよな。」
メルシェード「この調子だと、確実に大規模な抗争が勃発しますよ。」
メフュレーナ「俺達が試合できれば、何だってぶっ潰すんだがねぇ。」
ヴュオリーア「だな。徹底的に潰しまくるのも必要な事だし。」
    メフュレーナとヴュオリーアの過激発言に、父親達はハラハラと連続の状態である。しかし
   ディルヴェズの方は2人らしいと思っているようだ。

エシェラTB「こうなると、悪役も必要ですね。」
    ふとエシェラTBが呟く。GMとして現状打開を打ち立てているようだ。しかし悪役を担う
   となると、それ相応の実力を有する人物でしか効果がない。
   一同は誰が抜擢されるのかと、半ば緊張気味で彼女の次の発言を待つ。
エシェラTB「了解です。流れを変えられるかどうか分かりませんが、自らトライしてみます。」
   驚く発言をするエシェラTB。それは自らが悪役となり、今の状況を調整しだすとの事だ。
    以前の真のGMであるミスターTでは、この場合は何らかの試合やその他の企画を用いて
   対処するのが定石だった。自らが動くというのは滅多になく、あくまで一同をサポートする事
   を徹底して貫いていた。
    しかしエシェラTBは違った。自ら悪役となり一同をサポートする。憎まれ役を作る事で
   一同を動かそうというのだ。
ヴァルラーム「大丈夫なの?」
エシェラTB「以前マスターも仰っていました。ヒール役というのも案外辛いものだが、一同を沸か
       せられるのなら喜んで担うと。私はその信念を貫き通します。デュウバDさんが一時
       担っていた恐怖の魔女と、そしてレイスNさんが本編で担われていた破壊の魔女。
       そしてそれらを超える最悪の魔女になってでも。」
   凄まじいまでの信念を感じ取る一同。いや、この場合は執念であろう。ミスターTでは成し
   得なかった強行策、悪く言えば独裁政権をも厭わない雰囲気だ。
   それでも一同のために自ら悪役を徹底する、どこまでも純粋な相手を思う一念だ。これには
   この場にいる一同は驚愕するしかない。

エシェラTB(ミスターT)「フフッ、私よりも彼女の方が遥かに器は大きい。実行力に至っては
              尋常じゃないぐらい鋭く攻め、役割に完全に入り込むからね。」
    意思の疎通を通して遠距離にいるミスターTが語る。彼が今までにないぐらい絶賛する事を
   窺えば、その度合いがどれだけ強いものかが理解できるだろう。
エシェラTB(ミスターT)「思う存分動くんだ。最悪の事態になった場合は、私も一緒に動こう。
              それにお前さんの煽りを受けたとして、今度からは多少強めに担うと
              する。」
エシェラTB「了解ですマスター。」
   エシェラTBの意欲に感化され、ミスターTも強めに事を運ぶと決めたようである。今まで
   でも十分強かったのに、これ以上に強くなるのかと一同は恐ろしくなった。

    エシェラTBの位置付けはこうである。バラバラになっている一同に更に強力な人物を投入
   するという事だ。もちろんそれは自分自身であり、強さも権限も利用した完全なヒール思考。
   ゼラエル達・ビィルガ達、そしてデュウバD達をも超える悪役として君臨しようという事だ。

    有言実行、早速行動を開始するエシェラTB。その同項を恐る恐る見守るフリハトの面々。
   特に彼女のオリジナルであるエシェラは、かなり緊張して様子を窺っていた。

    しかしここで予想外の展開になる。それは突如ビィルガ達が以前と同様に、完全ヒール思考
   になったのだ。それも今までクリーンに試合を行っていた面々を凶器による襲撃を繰り返す。
   これにはゼラエル達が真っ先に反論し、次いでデュウバD達も反論しだした。

ゼラエル「テメェ、どういう魂胆だ!」
ビィルガ「隣人は密かに笑う。貴様達の戦力を見定め、力を蓄えていた。無論我々の戦力だけでは
     均衡が取れないでいたが、3大勢力に分かれたのは好都合だった。」
    ビィルガの発言、これには一同何も言えなかった。ビィルガ達があまりにもクリーンな試合
   を行うため、自分達が惰性に陥り勢力図に変化を与えてしまったのだ。
ビィルガ「この勢力図はそう簡単に崩れまい。本編での役割の状態を担っているのならば、我々にも
     武があるというもの。長かったぞ、ここまで引き込むのは。」
デュウバD「ハッ、言いたい事はそれだけか。最終的には貴様等を潰せば済む事。どんなお膳立てを
      しても、私達には敵わないさね。」
   どんな状況でも、結果的にはビィルガ達が負けるというのは決まっている。それが普段の状況
   であれば、定説となる展開であろう。

    そこに真打ち登場となる。ヒール役を演じるためか、ミスターTと同じく覆面を着用して
   登場のエシェラTB。それに雰囲気的には悪そのもので、普段の彼女の姿は一切なかった。

エシェラTB「それはどうかな。GMとしては勢力的に弱い方に味方するのがセオリー。ならば私は
       ビィルガ達に加勢する。」
    一同にとって予想外の展開が起こった。それはエシェラTBがビィルガ達に荷担すると豪語
   しだしたのだ。これには彼女の真意を知っている一部のフリハト系列の面々以外は驚愕する
   しかない。
    その中で目立つのは予想外の展開に驚くビィルガ達の姿だろう。今の流れを覆そうとヒール
   思考に移ったが、まさか同時期にエシェラTBも同じ行動に出たのだ。これは完全に予想外の
   展開に発展しようとしていた。
ゼラエル「何だとマスター、それはマジに言っているのか?」
エシェラTB「ハッハッハ、実力主義なものでね。」
   そう語ったエシェラTB、次の瞬間その場から消え失せ彼の前へと現れた。そしてゼラエルの
   顔面目掛けて強烈なトラースキックを見舞う。
   彼が攻撃を食らい空中を吹き飛ぶ間に、エシェラTBは何とビィルガ達の元へ戻っている。
   その後ゼラエルが床へと倒れ込んだのである。正に一瞬の出来事だった。
デュウバD「・・・これは宣戦布告と取っても文句はないのだろうな?」
エシェラTB「はぁ、聞こえなかったかな。実力主義だと言ったはずだがね。」
   再びその場から消え失せ、一瞬にしてデュウバDの背後へと移動する。意表を突かれた彼女は
   エシェラTBの特大のジャーマンスープレックスを食らった。
   空中へと吹き飛ばされたデュウバD、そのまま床へと叩き付けられる。しかしその前に攻撃を
   放ったエシェラTBは元の定位置へと戻っている。そしてデュウバDは床へと墜落したのだ。
エシェラTB「全く対処できないぐらいじゃ足元にも及ばない。それとも更に力を増して、完全に
       潰そうかね。死んでも文句は言えないよ。」
   完全にヒール思考まっしぐらのエシェラTB。その言動はヒール行動を切り出したビィルガ達
   をも圧倒する。普段大人しい彼女からは想像もできない行動だろう。

    今までヒール行動をしていたビィルガ達は、相手とある程度均衡が取れていたから対峙して
   いた。それ故にゼラエル達は反論や反撃を行っていたのである。更には一同を立てて負ける
   回数が多いようにも動いていた。
    しかし今は完全に状況が違う。相手が自分達を束ねる真のGMなら尚更だ。凄まじい戦闘力
   や権限を発揮し完全に圧倒している。これでは反論はできても、反撃はできない状態である。
ベロガヅィーブ「貴様ぁ・・・、GM自ら動くとは。権限の悪用だと分かっているのか!」
エシェラTB「力があれば使うのが世の常。そこには悪用だの何だの下らないものはない。それとも
       試合ができないほど徹底的に叩き潰そうかね。あまり逆らわない方が身のためだ。
       消滅させられても構わないなら、今すぐ掛かってきな。」
   反論の暇さえ与えない、完全にエシェラTBが一同を威圧している。GMという力を最大限
   行使しているため、全く手出しができない状態だ。
    更にエシェラTBの即座による対応と行動力は凄まじく、ミスターTより実行性がある。
   彼が一時期悪役を担っている時よりも厄介であり、付け入る隙が一切ない。ミスターTは一応
   付け入る隙を作ってくれてはいたが、彼女の場合は全くの問答無用である。

    一同は何も出来ず仕舞いで終わった。権限を最大限使ったエシェラTBには敵わず、手出し
   は一切出来ない状態である。
   一旦休憩に入った一同。その間、エシェラTBはビィルガ達を連れて個室へと移動している。
ビィルガ「マスター、大丈夫なのか?」
ハンニバル「俺達だけなら纏め上げるに十分な力がある。しかしマスターが荷担したとなれば、その
      パワーバランスは完全に崩れる。むしろ悪化するのではないか。」
エシェラTB「それも全て作戦の内です、今はとにかく団結力が必要。悪陣営の方々と善陣営の方々
       に再び協力し合って頂かないと。」
   ビィルガ達は驚いた。エシェラTBの考えは、自分達と全く同じものだった。最終的に自分達
   が真の悪役となり、他の面々を団結させる。それが現状打開の最善策だからだ。

エシェラTB「それに・・・。」
    ビィルガ達に手招きをして近くに呼び、徐に口を開くエシェラTB。どうやらあまり聞かれ
   てはマズい内容だというのが窺えた。
エシェラTB「マスターに更に手強い悪役を手配して頂いています。これはディルヴェズDさんや
       メルシェードTさんよりも恐ろしい相手になるでしょう。団結しなければ勝ち目が
       ない、それぐらいの強さを頼みましたから。」
ヴェルザス「なるほど、今の団結は後のためですか。」
エシェラTB「ノーマルという位置付けは、おそらく消える事はないでしょう。しかし、ノーマルの
       位置付けが行き着く先は決まっています。善陣営に所属するというのが。表向きの
       抗争ですが、それ以上の大きな現状になればそれどころじゃなくなりますし。」
ビィルガ「ハハッ、流石だ。若いながらも剃刀のように切れる。」
   この小さい美丈夫に一同は驚かされ続けた。ただ単にアレンジとして登場したのではなく、
   オリジナルとは完全に独立した存在で登場したのであると。
エシェラTB「最終的な悪役が現れれば、新たな抗争が勃発する事でしょう。その抗争が一区切り
       付いたら、私は真のGMを辞退します。」
ハンニバル「一同を団結させるためにヒールを演じ切るつもりですな。」
エシェラTB「そのために、私は誕生したのですから。」
   捨て身とも思われるエシェラTBの真のGMの行動。一同を活気付かせるため、一同を沸か
   せるためだけに。その一念を信念とし、己の身を捧げる。凄まじいまでの執念である。
エシェラTB「この時はビィルガさん達もベビー側に付いて貰います。私も皆さんの前に立ち、矢面
       立って最終悪役と対峙しますので。」
ビィルガ「花道をも用意してくれるのか。」
エシェラTB「偶にはいいものですよ。」
   苦笑いを浮かべるビィルガに笑顔で話すエシェラTB。この小さなGMには驚かされっぱなし
   のビィルガ達である。

ゼラエル「まさかああ出るとは・・・。」
    仲間に運ばれ休憩するゼラエルとデュウバD。しかし不思議な事に外傷は一切ない。あれ
   だけ凄まじい攻撃を受けたのにも関わらず、全くダメージを負っていないのだ。
デュウバD「・・・あたいの意見だけどね、どうやらこれには裏がありそうだよ。」
ゼラエルG「貴殿も感じられたか。GMは何か訳があってビィルガ達に荷担したようだ。ヒール思考
      を貫いているように窺えたが、目までは成り切れていなかったようだ。」
   相手の状況を鋭く見抜いていたゼラエルG。何度も述べるが軍隊の司令官を務めるだけある。
   部下などを洞察している力が、この場で発揮されているようだ。
アマギDA「とりあえずは、ビィルガ達と交戦を続けるしかなさそうだな。」
ベロガヅィーブ「そうだな。」
   悪陣営の面々は既に悪役という位置付けから誕生している。それ故に団結力は直ぐに戻った。
   むしろ真のGMであるエシェラTBが自らヒールを演じているという点、これが非常に気掛
   かりで仕方がないようだ。
   本編での感覚などがフル稼働し、嫌な予感が迫っている雰囲気を肌で感じ取った彼らだった。

ミスターT「心配か。」
    真のGMを退き、個別の自室を持ったミスターT。そこで他の新メンバーの作成を続ける。
   今さっきエシェラTBが起こした行動に、誰よりも不安になっているオリジナルのエシェラ。
   無意識に彼のいる部屋に足を運んでいた。
エシェラ「心配ではないのですが・・・。」
ミスターT「それを心配しているというのだよ。」
エシェラ「・・・無愛想ですね。」
   少しは同調しろと素っ気なく答えるエシェラ。しかし全てお見通しのミスターTの事、表向き
   の発言ではあるが。
ミスターT「意思の疎通をしないで正解だったね。この雰囲気は、お前さんでは耐えられない。」
エシェラ「あ・・・そうでしたか・・・。」
   エシェラTBと意思の疎通をしているミスターT。彼女の不安や恐怖など、それは全て疎通を
   している彼にも流れてくる。その痛みはエシェラが思っている以上に辛く重たく、彼が語った
   通り耐えられるものではない。
ミスターT「もはや彼女は独立した存在だ。意思の疎通をしなくとも、考えは十分に読める。その
      心中の辛さなどもね。無論、創生者として全員の心中を読めないと意味がないが。」
   今の発言にエシェラは驚いた。つまりは今この場にいる面々の内情を全て把握できており、
   凄まじい一念を彼も共有しているという事になるからだ。
ミスターT「意思の疎通をしなくとも、片道だけだが疎通は十分できる。彼女に意思の疎通をしたと
      述べたのは、心と肩の重さを軽くさせるためだよ。」
   何も言えなくなるエシェラ。自分の今の心境以上に、ミスターTは心に大きな重りを背負って
   いる事を知った。それに比べれば自分の重さなど取るに足らないものだろう。

    黙り込む彼女の背後に赴き、優しく抱きしめるミスターT。我に返ったエシェラは、その
   行動に驚く。
エシェラ「マスター・・・。」
ミスターT「催促するが、恋愛には結び付けるなよ。」
エシェラ「フフッ、ありがとうマスター。」
   黙って身を任せるエシェラ。彼の本心はどうであれ、今の行動に感謝する彼女だった。
ミスターT「今後大きなイベントが起こる。エシェラTBが率先して行動するだろう。今はただ、
      その姿を優しく見守るんだ。」
エシェラ「了解です。私の分身が頑張っているのですから、泣き言なんか言ってられませんね。」
   普段の己に戻ったエシェラ。幼さが目立つ彼女だが、直ぐに立ち直る心も持ち合わせている。
   ここが彼女の強さの秘訣であろう。

ミスターT「そうだ、1つ頼まれてくれないか?」
エシェラ「私に出来る範囲内でしたら何なりと。」
    作業を再開しだしたミスターTが願いでる。近くでコーヒーを飲み、椅子に座るエシェラ。
   創生者自らの願い事などは滅多にない、内容に多少怖々しながら耳を傾けた。
ミスターT「本来は部外秘するつもりだったが、お前さんなら問題ないだろう。今後新たな悪役が
      登場する。ディルヴェズDやメルシェードT、そしてデュウバDをも凌ぐ強さだ。」
エシェラ「もしかして、団結させる意味はそれなのですか。」
ミスターT「鋭いな、その通り。今回は多少強めにするので、エシェラTBやビィルガ達だけでは
      苦戦するだろう。そこに登場して加勢して貰いたい。」
エシェラ「それは一向に構いませんが、おそらく・・・お力になれないかと思いますよ。」
   加勢なら構わないと述べるが、自分1人だけでは力不足だとも述べるエシェラ。そんな彼女に
   安心させるよう接げだすミスターT。
ミスターT「エシェラTBが頑張っているんだ、私も多少無理をしよう。本来なら完成していない
      陣営は、試合参戦は控えて貰っていた。しかしその壁を破り、お前さんと共に戦う人物
      を出す。ある意味悪役以上に厄介なメフュレーナとヴュオリーア、他にエシュリオス・
      エフィーシュにも戦ってもらう。」
   驚く内容だった。陣営未完成の面々は戦闘は控えている。その壁を破り、作られた面々から
   出すという事だ。
    しかも選ばれた4人はエシェラも認める問題児である。特にメフュレーナとヴュオリーアは
   勢いだけでは遥かに大問題である。それに追随するのが本編でエシェラの未来の子供である、
   エシュリオスとエフィーシュの双子姉妹。
   戦闘力だけからすれば最強クラスであり、存在感でもターリュ・ミュックを超える人物だ。
ミスターT「本人には私から伝えるよ。まあ間違いなく大喜びするのは目に見えているがね。」
エシェラ「このチームなら何でもできそうですね。」
ミスターT「エシェツも戦いたいとか言い出すかもな。」
   ミスターTの発言に十分有り得ると頷く彼女。またその時はその時で面白そうだとも思った
   エシェラだった。
    改めて加勢軍団のリーダーを担う事を承諾したエシェラ。取り次ぎはミスターTが担うよう
   であり、彼女はその時に備えて万全な状態を維持する事を決める。

ミスターT「ちなみにこれはお前さんと私との秘密な。エシェラTBにも意思の疎通をせず、一切
      分からない。」
    退室しようとするエシェラを呼び止め、近くに寄らせるミスターT。彼女の耳元で小さく
   喋り出した。
ミスターT「メフュレーナ達は先陣での戦闘参加、陣営は作られていないという位置付けでの登場。
      だが、既に完成しているんだよ。第41陣から第44陣の120人はね。」
   彼の言葉に驚愕するエシェラ。1200人達成から大して時間が経過していないのに、既に
   追加120人を終わらせたと述べたのだ。
エシェラ「・・・マスターは化け物ですか。」
ミスターT「モンスターそのものだね。」
   エシェラの驚きの発言にミスターTは苦笑いを浮かべながら語る。それに彼女も苦笑いを浮か
   べて応じた。
ミスターT「残りは59人のGM軍団のみ。こちらの創生に集中するよ。」
エシェラ「了解です。呉々も無理無茶なさらないで下さいね。」
   念を押して催促し、創生者室を後にするエシェラ。その彼女を見送ると、再び彼は作業を再開
   しだした。

    表では予想外な展開に誰もが驚く近況。しかし一部の面々はそれ以上に何かが起こると直感
   している様子。久し振りに白熱した状態になった情勢に、一同の心は躍り続けていた。

    第23話へと続く。

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