アルティメットエキサイティングファイターズ 〜集いし鋼鉄の勇者達〜 〜第25話 大乱闘〜 エシェラTBとミスヒールの抗争は続く。真敵役とはいえ、一同を牽引する役割に変わりは かった。一同が思っていた完全悪という存在には程遠いと思ってもいる。 そこで動き出したるはビィルガ陣営とデュウバD率いる悪陣営の面々だ。今度は自分達の 役割を駆使し、悪役を担いだしている。 勢力的にミスヒールが弱い現在、彼女達だけでは潰れてしまうだろう。ここは他の面々が4人 をバックアップする事により、現状維持を続けていくのであった。 ターリュTB(ねね、あの試合見せなくてもいいんだよね?) ミスターT(アレは完全に奥の手だ、それに見せたらますます混乱する。) ミュックTQ(姉ちゃん、試合は見せないってマスター言ってたじゃん。) ターリュTB(あちゃ〜、申し訳ない。) 企画打ち合わせを行っているフリをして、ターリュTBがミスターTに話し掛けてくる。 例の禁断覚醒をした彼との戦いのものだ。 シンシアTJ(ちなみにアレはマスターだけですか?) ミスターT(一応ミスEと神の技術を持つ男であるミスターMにも施せる状態にはある。無論、完全 な奥の手としての力だけどね。) リヴュアスTG(あの状態のマスターお1人だけでも敵わなかったのに。もし3人に施された状態で 試合を行ったら、間違いなく負けますね。しかも圧倒的大差での完全敗退です。) その威力を我が身で味わったターリュTB・ミュックTQ・リュヴスTS・シンシアTJ・ リヴュアスTG。殆どダメージを与える事なく終わったあの試合。それが3人とならば結果は 火を見るより明らかだ。 リュエラW「マスター、試合を展開したいのですが。」 ミスターTが新しい面々を作成している所に、サバイバルチャンピオンであるリュエラW・ リュミスW・リュヴスWが訪れる。どうやらベルトを賭けた試合を考えたようだ。 ミスターT「待て待て、何故私に言うんだ。役割としてはエシェラTBに相談するんだ。」 リュミスW「あ、そうでした。申し訳ありません。」 はにかみながら退散する3姉妹。以前の感覚でいたためか、ミスターTに話し掛けている。 今の彼は創生者であり真のGMではない。真のGMはエシェラTBであり、彼女に試合など の持ち掛けを行うのだから。 まあ他の陣営別GM軍団に話せば、取り合ってくれるのは確かではあるが。 サーベン「何かベルトがなくなってからは忙しくなくなったなぁ・・・。」 チェブレ「やはりベルトがあれば自然と相手が現れるしな。」 逆指名の防衛線を展開しだした3姉妹を見て、前回チャンピオンのサーベン・チェブレが ぼやく。ライアと模擬試合の打ち合わせをしているライディルも同じ心境であり、やはり戦い こそが己の存在意義なのだと改めて痛感している。 オルゼン「ベルトだけでしか戦えない、そうではありませんよ。」 コウキ「そそ、ダンナ方とはもう一度やりあってみたかった。」 コウジ「今度は我々が先輩方と戦う番、受けて頂けますね?」 落ち込みがかなり酷く、見るに耐えない状態の前チャンプ達。そこに以前3人に逆指名された オルゼン・コウジ・コウキが現れる。望む事はもちろん、彼らとの対決だ。 サーベン「おおおっ、嬉しい限りですよ!」 チェブレ「ライディル殿にも知らせましょう、絶対喜びますぞ。」 嬉しがるサーベンとチェブレ。2人は対戦ができるとあって、この事を仲間のライディルにも 知らせようとする。しかし彼は模擬試合の打ち合わせ中であり、動けない状態にいた。 オルゼン「まあ、対戦ができなくなるという事ではないので。」 コウジ「今は待ちましょう。」 サーベン「だなぁ・・・。」 サーベンとチェブレは渋々押し留まった。本来なら強行したい所だったが、ライアの企画する 模擬試合にも興味があった。同じ戦うもの同士、邪魔をするのは酷な事だ。 その頃、エシェラTBはメフュレーナ・ヴュオリーアと共にミスヒールと交戦していた。 実際に戦いに出れるとあって、メフュレーナとヴュオリーアは率先して戦場に赴いた。 メルシェードやヴィドリーガと大して年齢が変わらない2人だが、気合だけは彼らを遥かに 勝っている。 今だに悩みを抱えているエシェラTBを完全サポートするべく、2人のじゃじゃ馬娘達は 動いた。相手が誰であろうが、全くお構いなし。勇猛果敢に攻め続けた。 イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画 (イリミネーション・タッグバトル終了) 相手はミスヒール・ディルヴェズD・メルシェードTの3人。実力的には全くの互角だ。 凄まじいまでの試合が展開され、一同を大いに盛り上げた。 試合内容だが次の通りだった。試合はイリミネーション・タッグ、形式はトルネード・ 6マンタッグ3対3。リングはサバイバーシリーズ、ルールはKO・ギブアップ・DQだ。 結果はじゃじゃ馬娘達の健闘があったエシェラTB側。ミスヒール側も決して弱くはなく、 勢いの部分で負けたと言っていい。 メフュレーナ「ハッハー、おとといきやがれってんだ!」 ヴュオリーア「完全悪さんよ、彼女に何かしたら容赦しないからな。」 メフュレーナ「殺されなかっただけありがたく思え。」 試合後も凄まじい剣幕で睨み付けるじゃじゃ馬娘達。流石のミスヒール達もタジタジで、何も 言えず退散していく。そんな彼女達を呆然と見つめているのがエシェラTBだった。 メフュレーナ「身辺警護なら任せな。」 ヴュオリーア「誰人たりとも容赦しないぜ。」 エシェラTB「・・・ありがとうございます。」 心に恐怖が芽生えるエシェラTB。しかし今の自分の状況では、彼女達の力を借りねば勝利は できないだろう。今は仕方がなく周りに流され続けた。 ターリュS「何か役割取られちゃった気分・・・。」 ミュックS「下手をすれば私達も食われちゃうね・・・。」 遠巻きにメフュレーナとヴュオリーアの活躍を見るターリュS・ミュックS。本来ならば 自分達が参戦して戦う所だが、その隙さえない状態である。自分達よりも年上の2人故に、 反論ができない状態でもある。 メフュレーナTS「本家の私達は恐ろしいですね。」 ヴュオリーアTB「もう少し皆さんを立たせて欲しいものですよ。」 落ち込む双子を慰めるメフュレーナTSとヴュオリーアTB。オリジナルである2人よりも 断然大人びており、むしろGM側の2人の方が女性らしい。 ターリュS「お父さんってそんなに厳しいの?」 メフュレーナTS「どうなのでしょう。まだ作られて間もないので、何とも言えません。」 ヴュオリーアTB「本編ですら自分達は追加されていませんよ。どの部分で登場するのか、全ては マスター次第となります。」 ミュックS「ならマスターを脅して出させるしかないっしょ。」 ターリュS「いいね〜それ。」 善は急げと双子の姉妹は創生者室へと向かって行った。慌てて止めに向かうが、脱兎の如くの 2人には到底追い付けない。 とんでもない事を言ってしまったと、メフュレーナTSとヴュオリーアTBは後悔した。 2人のGMが創生者室に入った時には時既に遅し、双子の姉妹がミスターTに迫っている。 自分達の出番を取ったという部分の苛立ちもあり、その度数は尋常じゃない。 ターリュS「兄ちゃ〜ん、しっかりとした試合してくれよ〜。」 ミュックS「あまりにも無責任な部分が多すぎるっしょ〜。」 声は幼いが凄みのある発言が飛びまくる。ミスターTは2人の意味が分からず、ただその発言 を聞くしかなかった。 メルアTU「止めなさい2人共!」 止めに入ろうとしたメフュレーナTSとヴュオリーアTB。しかしそこに現れたるは、2人の 母親であるメルアTUだ。本編の彼女ではないが、母親である事には違いはない。 メルアTU「マスターは多忙だと何故分からないのっ!」 ターリュS「役割奪ったのマスターだよっ!」 ミュックS「私達だって戦いたいのっ!」 普段なら直ぐに収まる娘達だが、今の彼女達は異なった。凄まじいまでに試合を行う場面を 見せ付けられ、そして自分達の居場所を奪ったメフュレーナとヴュオリーア。その彼女達に 凄まじいまでの嫉妬を抱いている。 留まる所を知らないターリュSとミュックS、その2人に全く臆する事なく止めようとする メルアTU。もはや一触即発の状態である。 ミスターT「何があったんだ?」 メフュレーナTS「ええ、実は・・・。」 口論と言うよりダダをこねる娘達をあやす状態になりつつあるこの場。その合間を縫って、 ミスターTがメフュレーナTSとヴュオリーアTBに訊ねた。 2人は自分達のせいでターリュSとミュックSが暴走したと反省の色を見せている。それは 今の環境がそうさせただけで、彼女達の責任ではないのだが。 ミスターT「むぬ・・・確かに居場所を奪ってしまったな。」 ヴュオリーアTB「私達がいい加減な応対をしたばかりに。」 ミスターT「いや、お前さん達の責任じゃない。元凶は私にある。ターリュSとミュックSの心境は 痛いほど分かるよ。」 仕舞いには泣き出す始末のターリュSとミュックS。完全に錯乱状態と化した2人を慰めだす メルアTU。彼女も2人の心境が次第に理解しだした。 とそこに慌てて駆け付けるオリジナルのターリュとミュック。その表情からかなり深刻な 状態だと把握する一同。 ターリュ「マスター大変!」 ミュック「ライディル兄ちゃんとエシェラTB姉ちゃんが襲われた!」 内容に驚愕する面々。しかも一同はエシェラTBが襲われたという事が気になった。特に一番 気になっているのはターリュSとミュックSだ。 先ほど凄まじいまでの試合を展開したメフュレーナとヴュオリーアがサポートにいる。その 2人が入れば襲撃など有り得ない。 真相を確かめるべく、その場にいる一同は現場へと向かって行った。 ライディルとエシェラTB達を襲ったのは中立を保っていたビィルガ達。そしてデュウバD 率いる悪陣営の面々だ。 襲撃に激怒した善陣営の面々がこの2つの陣営に対抗、凄まじい修羅場と化していく。後から 訪れた面々は、この場を遠巻きに見つめるしかなかった。 ミスターT「何がどうしたんだ?」 ミスヒール「ビィルガ陣営とデュウバD陣営が結託して無差別襲撃を開始したのです。私達が丁度 別の試合に臨もうとした時、打ち合わせのライディル氏をビィルガ達が襲撃。それに 止めに掛かろうとしたエシェラTB達をデュウバD達が襲撃したのです。」 リアミーセ「怒った善陣営が彼らに反撃を開始し、一瞬にして大乱闘になったのですよ。」 不安そうなミスヒールとリアミーセ。加勢しているディルヴェズDとメルシェードTも同じで あり、ただただ見守り続けるしかなかった。 大乱闘の中、エシェラTB達とライディルを救出したエシェラとエシェツ。完全にダウン 状態の4人を介抱する医療班のヴァスタールとヴィアシール。 ミスターT「大丈夫か?」 エシェラTB「訳が分かりません・・・。ビィルガ達がライディルさんに突然襲い掛かり、止めに 入った所を凶器を持った悪陣営に襲われたのです。」 メフュレーナ「凶器は参った・・・、反撃すらできない。」 苦しそうに悶える4人。それを見たミスターTの表情が見る見るうちに強張って行く。そして 大乱闘の中に入って、一同に止めるように話に向かおうとする。 ターリュS「待ってマスター、私達に任せてよ。」 ミュックS「キツいお灸を据えないといけないね。」 ミスターT「分かった、2人に任せるよ。」 今までにない怒り爆発と言った雰囲気で、双子の姉妹が出陣する。そこに加勢をする人物が 現れる。完全悪な存在のミスヒールだ。 ミスヒール「待ちなさい、私も行きます。数は多い方がいいでしょう。もちろん貴方達の顔を立てる 事は忘れないわよ。それに、見定まった心を持たないと負けますから。」 2人の心中を見透かしているミスヒール。ターリュSとミュックSは今は目立とうとしている 部分が表に出ている。その部分を鋭く見抜いているミスヒール。戦えば2人が負けるのは目に 見えているからだ。 意外な味方を得たターリュSとミュックS。ミスヒールと共に大戦渦へと向かって行く。 ダウン中のナイラにハンマーを持ったリルザーが襲い掛かろうとしている。そこに現れ一撃 必殺と言わんばかりのクローズラインを放つターリュS。巨体を誇るリルザーは大回転し、 床へと叩き付けられた。 ターリュS「なめた真似してんじゃねぇぞっ!」 叫ぶ彼女に同じ凶器を持ったライガスとランドックが襲い掛かる。しかしその2人を背後から 掴み、投げっ放しジャーマンスープレックスを放つミュックSとミスヒール。リルザーと同様 に巨体が宙を舞い床へと叩き付けられた。 ドゥレイム「何だお前達は。」 スカーレット「邪魔すると容赦しないよ!」 ミュックS「やってみろや!」 凄まじいまでに叫ぶと突進、相手の背後に回り込むミュックS。不意を突かれた形になった スカーレットは、ライガスとランドックが食らった投げっ放しジャーマンスープレックスを 受けた。 他の3人と異なり体躯が軽いスカーレット、今までにないぐらいぐらいに空中へと放り投げ られ床に叩き付けられる。その一撃で見事に失神した。 遅れて反撃に出るドゥレイムだが、背後からミスヒールに掴まれスパンキングを食らう。 威力はないが、辱めという意味合いではかなりのダメージだ。 ミスヒール「お2人さん、もう少し考えて動きなさいな。」 ターリュS・ミュックS「よく言うよ姉ちゃ〜ん。」 3人とも背中を合わせ、迫り来る面々の迎撃を開始する。突き進む双子をミスヒールが制御、 これにより凄まじいまでの連携が取れた。 並み居る猛者を払い除け、とにかく戦い続ける3人の女傑である。 どれぐらい相手を迎撃しただろうか。ビィルガ陣営と悪陣営は乱闘を止め、3人に目標を 絞る。グロッキー状態の面々を除けば、他はまだ健在な人物が多い。 ビィルガ「暴れに暴れたが、所詮その程度だな。」 デュウバD「短期決戦なら武があるだろうが、複数からの攻撃には対処できるかねぇ。」 この事態の元凶であるビィルガとデュウバD。そもそもどちらが仕掛けたのか、この事を窺い 知る事よりもこの現状をどうするかが問題である。 ビィルガ「泣き虫姉妹じゃ、そう長く持たんだろう。そんな輩によくも手を貸したものだな。」 ビィルガの発言にターリュSとミュックSはキレた。しかしそれぞれの傍らにいるミスヒール に押し留められる。 ミスヒール「何故泣いたかも分からないだろうに。それに今は感謝しているさ。貴様等を潰すという 大役を、貴様等自らが引き起こしてくれた事にね。」 ミスヒールの言う通りだった。役割を奪われた事による悔しさなどが爆発して泣いたのだ。 その怒りの矛先を彼らにぶつけている。彼女達の活躍の場を、ビィルガ達やデュウバD達が 立てたという事にもなる。 デュウバD「ハッ、言いたい事はそれだけか。口だけじゃなく、今のこの場をどうにかする事を考え なよ。」 大笑いするデュウバD。口でのお膳立てをしようとも、現状は厳しいものには違いはない。 それぞれの陣営のトップクラスの実力を持つ面々に囲まれ、3人は窮地に立たされる。 そこに現れたるはミスターT。何と魔法使いのような出で立ちで、颯爽と登場する。その トリッキーな出で立ちに周りの者達は引いた。 ゼラエル「・・・馬鹿にしているのか。」 ミスターT「ハッハッハ、弱いものには味方をせよ。これも世の常。」 ベロガヅィーブ「そんな偽善などこの場では通用しない。」 ミスターT「ならばマジシャンたる異名を持つ私が、3人に最強の魔法を掛けるとしよう。」 ダミーの杖を3人に振りかざし、何らかの施しをしだすミスターT。それを見たGM軍団は、 あの禁断の力を彼女達に施しだしたのだと直感した。 ミスターT「さあ、お姫様方。思う存分戦いなさい。それと他の方々も全力で。」 何と相手側のダウンしているの面々に体力強制回復を行うミスターT。これによりビィルガ 陣営と悪陣営は総出でターリュS・ミュックS・ミスヒールと戦う事になる。 圧倒的に不利になった現状、その状態にしたミスターTに3人は激怒する。 ターリュS「何やってんだよっ!」 ミュックS「何をしたか知らないけど、絶対無理じゃんっ!」 ミスヒール「我々に倒されろと仰るのですか!」 ミスターT「まあまあ、騙されたと思って普通に戦ってみなさい。理由が直ぐに分かるさ。」 そう言うと颯爽とその場を去る彼。呆れ返る3人に容赦なく数百人の悪者が襲い掛かった。 3人は半ば諦めた表情で攻めて来る面々を相手にしだす。 直後ミスターTが語った内容を、その身を以て体験する事になった。 一同驚愕し絶句する。僅か数分足らずで3人が数百人の悪者を捻じ伏せてしまったのだ。 3人の攻撃は凄まじいまでの力が帯びており、並み居る猛者を一撃の元に叩きのめしていく。 対する悪者側は相手に攻撃を繰り出すが、どれも返されるばかりで有効な攻撃ができない。 決め技を放つ者もいたが、それは相手に全く効果がなかった。 一方的な防戦で相手を捻じ伏せ、2陣営のリーダー格以外の全面々を叩き潰してしまった。 間違いなく、その姿は一騎当千である。 ビィルガ「な・・・何なんだこれは・・・。」 デュウバD「全く歯が立たないじゃないか・・・。」 ミスターT「言ったじゃないか、最強の魔法を掛けたと。」 味方が全てダウンしている状態を見つめ、ビィルガとデュウバD・ゼラエルは驚愕する。 そこに例の呆れる魔法使いの出で立ちで再びミスターTが現れる。 ビィルガ「貴様・・・何をした!」 ミスターT「心を強くする魔法、とだけ述べておきましょうか。」 デュウバD「そんな馬鹿げた事、あるはずがない。ここは現実の世界だ、そのようなお伽話のような 事があってたまるか!」 ビィルガ「おおよそ我らに催眠術でも掛けたのだろう。そこまでして卑怯な手を使わねば勝てない とは、情け無いにも程がある!」 ゼラエル「完全に頭がおかしくなったんだろ!」 今度は負け惜しみの暴言を吐き出した3人。しかもそれはミスターTに対するものだ。 自分達への暴言ならまだしも、3人にとって大切な存在である彼を侮辱された事に激怒した。 その口を黙らせるといった気迫で、3人の娘達は襲い掛かろうとする。しかしその3人を 押し留めた。しかも例の禁断覚醒の3人をいとも簡単に抑えている。窺う所、ミスターT側は 例の力を用いていない。 じゃじゃ馬娘となっている3人、そんな普通の状態で抑えている彼に驚くGM軍団だった。 ターリュS「止めないでよマスター!」 ミュックS「兄ちゃんを馬鹿にする奴は潰す!」 ミスヒール「あれだけ言われて、腹が立たないのですがマスター!」 ある程度抑えが効くターリュSとミュックSは、彼の気迫で押し留める。しかし捕まえて いなければ、確実に暴れるであろうミスヒール。彼女の背後から抱え込むように両手で抑え、 その怒りを静めようとしている。 完全悪に徹しているミスヒールが、今までにないぐらい怒っている。双子の激怒は分かる だろうが、真敵役の彼女が怒る理由が分からない一同。 その姿を見つめ、エシェラTB・エシェラTGと3人のオリジナルであるエシェラに記憶が 蘇る。かつて自分にしてくれた抱きしめるという行為。それが彼女を通して自分とダブった。 そして2人は直感した。今のこの瞬間はミスヒールではない。彼女も自分達と同じ1人の エシェラに戻り、それにより激怒しているのだと。この場合の彼女はミスヒールというより、 ミスエシェラとも言うべきだろうか。 怒りにより本来の自分に戻る。そこには悪心など一切ない。あるのは淡い恋心を抱く1人の 女性として、大切な人を貶された激しい怒りだ。 ミスターT「怒れは思う壺だぞ。どんな事であれ、負けないという一念があればそれでいい。」 かつてゼラエルとベロガヅィーブに語った言葉。それは全ての面々に通ずる事柄。この場の 全てを見定めているミスターT。役割は創生者以外にも、一同を正すという行動もある。 ミスターT「質問だ、私は誰かね?」 今も暴れるミスヒールを胸に抱き、その怒りを静めようとしているミスターT。その彼が 徐に3人に語りだした。 ビィルガ「ハッ、何を寝言を。貴様は我々を作り出した創生者だろうが。」 ゼラエル「全知全能、それがあんたの存在だろ。」 ミスターT「そう、紛れもない創生者だ。現実では不可能な事が多いが、この場限りでは不可能は 一切ない。無論、心を強くする事も可能だ。そして、個々人の筐体にある力を極限に まで高める事もね。」 やはり切れ者のディルヴェズやユキヤは直ぐさま理解する。3人の娘達に何を施したのか。 他にはメカノイド出身のユキヤNと本編で偶然誕生したユウMIとアイS、ロスレヴ出身の シェガーヴァとレイシェムがそれを把握した。 ミスターT「決着を着けなさい、今度は普通の戦い方で。」 ミスヒールの落ち着くのを見計らって、3人の娘達に語りだす。ターリュS・ミュックS・ ミスヒールに施された禁断の力を解除し、普段の彼女達に戻した。 そして今現在残っているビィルガ・デュウバD・ゼラエルと決着を着ける事を促すのだった。 ミスターT「魔法の件は後で。」 そう述べると特設リングを設定し、リング外で待つミスターT。今はとにかく相手との決着 を着けるべきだと判断、3人の娘達をリーダー格3人を特設リングに誘い込んだ。 試合内容は次の通り。試合はイリミネーション・タッグ、形式はトルネード・6マンタッグ 3対3。特設リングはアルマゲドン、ルールはKO・ギブアップ・DQが適応される。 大乱闘決着イリミネーション・タッグ登場+試合動画 (大乱闘決着イリミネーション・タッグバトル終了) 結果は言うまでもない、3人の娘達の圧勝である。リーダー格の人物とはいえ、ビィルガの 戦闘力は話にならない。彼女達と対等に戦えるのはデュウバDだけであり、ゼラエルは3人の 総合的な部分では完全に劣っている。所詮一部を除いた弱者の戯言である。 退散するビィルガ陣営と悪陣営の面々。今回の戦いは色々な意味で強烈な印象であろう。 その姿を見つめる3人の女傑。色々な意味で今回は大活躍であった。 ミスヒール「マスター、魔法の件を伺いたい。」 表は元通りに戻り、何事もなかったかのように試合を行っている。一同は魔法の件に関して 気になっていたが、特に考えもせずに戦っている。内容を窺い知った一部の面々だけが、その 力には恐怖を抱いてはいるが。 そんな中、創生者室に訪れた3人。自分達に施された魔法の力を窺いに現れたのである。 先程のミスヒールが嘘のようで、今は真敵役として戻っている。自分で激怒した事を覚えても いるようで、どこか落ち着かない雰囲気だ。 ターリュS「あれって何なの?」 ミスターT「おそらくお前さん達の脳裏に浮かんでいる事、ズバリそのものだよ。」 ロジックの強化は内部的なものであり、動作にしか影響は及ばない。しかし打撃も耐久度も 強化となると、それは自分達の基礎となるアビリティの強化。しかもその度合いも極限にまで 高めている。それしか思い浮かばなかった。 ミュックS「そんな事可能なんだ・・・。」 ミスターT「つい最近だ、これを発見したのは。攻守共に凄まじいまでの実力を発揮できる。完全な イレギュラー、禁断の力そのものだ。」 あの戦いを振り返る3人。普段以上に力が湧き出ており、相手の動きが全て読めていた。 ミスヒール「何はともあれ、あの時は暴言を吐いてしまい申し訳ありません。」 ミスターT「気にしなさんな。」 改めてミスヒールが大乱闘前の暴言を謝罪する。完全悪とはいえ、弁える部分はしっかりと 心得ている。だからこそこの重役が担えるのだろう。 ミスターT「創生者は本当に辛い。まだ真のGMを担っていた時の方が気が楽だよ。まあだからこそ 禁断の力を発見できたのだがね。」 ミスヒール「フフッ、そうですね。」 普段見せない笑顔を窺い、一同小さく驚く。顔に黒いペイントを彼女だが、その表情は明るい ものだった。 ミスヒール「しかし今度は私の実力で現状打開をします。無用な加勢は止めて下さい。」 ミスターT「お前さんの意思を尊重するよ。」 改めて己の述べたい事を伝える。魔法の力の例もそうだったが、彼女が一番述べたかったのは この一言だろう。 一礼すると部屋を後にするミスヒール。その彼女に礼を述べだすミスターT。その仕草は 過去にエシェラ達に行ったのと同じだった。 ミスターT「色々とありがとな、お前さんは偉大だよ。」 ミスヒール「私よりもお2人を誉めて下さい。私は誉められる柄じゃありません。」 渋ってはいるものの、誉められ頬を赤くしてその場を去って行く。彼女はエシェラTBから 誕生した。故に彼に抱いている恋心も受け継がれている。普段見せない姿を窺い、ミスターT は小さく微笑んだ。 ミスターT「で、落ち着いたか?」 ターリュS「大満足でし〜。」 ミュックS「ありがとマスター。」 先ほどの駄々っ子姉妹はどこへやら、普段の2人に戻っている。それを窺ったミスターTは 一安心する。特に安心したのはメルアTU・メフュレーナTS・ヴュオリーアTBの3人だ。 駄々っ子の面も備えている事を見て、本当に大変なのはターリュとミュックだと確信した。 その後は何事もなかったかのように他の面々とスパーリングを行う。その姿を見て、一同は 溜め息を付いた。 メルアTU「お恥ずかしい所をお見せしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。」 深々と頭を下げるメルアTU。アレンジである彼女は双子とは本当の親子ではないが、血の 繋がりだけは本物である。それだけに我が子同然と見ているのだ。 メフュレーナTS「メルアTUさん、私達にも責任がありますよ。」 ヴュオリーアTB「貴方が悪い訳ではありません。」 メルアTU「いいえ、あの子達をああしてしまったのは私の責任でもあります。」 ミスターT「それを言うなら、全て私の責任だな。親子関係の設定、そして今回の設定。全て創生者 の私が作り上げた事。言い方は悪いが、お前さん達は敷かれたレールの上を歩いている だけに過ぎない。」 メルアTU「それはそうですが・・・。」 一応は母親らしい事をさせろと、メルアTUは心中で呟く。しかし直ぐさま打ち払う。今の 思った事は全て彼に筒抜けであるからだ。 嘘も陰口もその全てがミスターTに知れてしまう。彼から誕生させられた自分達は、言わば 彼の子供そのものだ。 ミスターT「私の顔を立てて、そのぐらいで勘弁してくれ。」 苦笑いを浮かべるミスターT。それを見た彼女も苦笑いを浮かべてしまう。本来ならば多少 難癖を付ける所だが、自然とその一念は沙汰されてしまう。 それだけ彼が純粋な心を持っているからだろう。その心が他の面々にも通じているのだ。 再び動き出したミスヒールと他の3人。そこに新たに加勢する者がいる。先刻リーダーの 彼女と死闘を演じたターリュSとミュックSだ。戦えるとあって我勇んでの参戦だ。 更には試合ができると踏んでライディル・サーベン・チェブレの3人が、その彼らに同調 してオルゼン・コウキ・コウジの3人も。 完全悪・真敵役な4人だが、今のビィルガ陣営と悪陣営を見ればどちらが正しいか分かる。 凄まじいまでの気迫でヒールを演じてはいるが、心は座っており見定めた目線を持っている。 その姿に動かされた面々は多く、特に善陣営の面々が顕著に値する。 ミスヒールも不本意ながら、あの激怒で封印していた己が目覚めた。そして第4のエシェラ として目覚めつつもある。自分自身ではそれは避けたい所だったが、現実がそれを許さない。 特に彼女を不安定にさせている存在はミスターTであろう。 彼と普通に接しているエシェラとエシェラTGは凄まじいまでの力がでている。役割方から 真のGMを担うエシェラTBと、真敵役を担うミスヒールは溝が生じている。 そこまで自分は彼を気になっているのか、2人の相反するエシェラは思わざろう得なかった。 それにいち早く気付いたビィルガとデュウバD。その悩める2人の心を利用するには今しか なかった。それぞれの陣営のリーダーこそが、真敵役と言われる存在になりつつあった。 第26話へと続く。 |
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