アルティメットエキサイティングファイターズ 〜集いし鋼鉄の勇者達〜 〜第46話 異なる抗争〜 既に主力メンバーは撃退されており、残りの残党とも言える面々がポツポツと攻め来るだけ の状態だった。その人物達も獅子の如く撃退するミスターTチーム。特に14人の娘達の勢い が凄まじく、逃げ惑う相手を容赦なく喰らうのだ。 逆鬼ごっことなったこの場、14人のじゃじゃ馬娘達を止める術はない。 その後意思の疎通による会話で一同に状況を窺うミスターTだが、結果は彼らだけが生き 残った状態である。事実上ミスターTチームの勝利と言っていいだろう。 ミスターTチームも含め、全員試合会場へと戻る。今回のリアルサバイバルバトルは彼らの 勝利となった。完全な漁夫の利を利用した形での勝利となるため、幾分か満足していない様子 の女性陣でもある。 しかし生き残った者こそが勝者、それは紛れもない事実だ。どの様な手段を投じようが、 生存者こそが勝利者なのだから。 シューム「何か一瞬で終わった気がするのは気のせいかねぇ。」 普段着に戻ったシュームは一服しながら休憩している。フリハト本編の設定では喫煙者では ないのだが、この姿は風来坊のウリでもあろう。 エシェラ「殆ど会話一辺倒でしたからね。」 シューム「でも色々と知れたからいいかな。」 表の戦場は一瞬にして書き換えられ、それぞれの陣営の縁ある娯楽施設へと戻った。また今の リアルサバイバルバトルの設定も一同から抜かれ、普通のレスラーへと戻っている。 創生者の1人となったミスターMは、一同の相談役を買って出る。ミスターTの方は試合の 作成や、その他の雑務に回っていた。 そして新たな創生者の1人となシルフィアTLは、ミスEと一緒に行動している。彼女も またミスターTやミスターMと同じく雑務に明け暮れるが、それが創生者たる役割でもある。 クレアTUは単独で激励に奔走している。しかし人柄がいいため、彼女と一緒に行動したい というGMが複数表れた。彼女もまたカリスマ的存在なのだろう。 一番目立つのはサーリュTBとの連携だろう。実の姉妹のような雰囲気が色濃く出ている。 ミスターM「しかしまぁ・・・賑やかな場所だな・・・。」 ミスターT「実際にリアルだったら、食事とかどうするのかと思いますよね。」 ミスターM「フフッ、言えてる。」 煙草をこよなく愛するミスターM、言わばヘビースモーカーである。ミスターTは適度な 喫煙だが彼ほどではない。 ミスターM「GMのアーディン君が被っていて、その1人の空きにシルフィアTL嬢を追加か。」 ミスターT「上手く誤魔化せましたね。あのままだったら大変な事になっていましたし。」 ミスターM「しかし・・・君の周りには華が多い事。」 他の同性からすれば、ミスターTの周りはハーレムそのものだ。羨ましがらない筈がない。 まあそれが罷り通ってしまうのは、彼が創生者たる存在だからだろうか。 ミスターT「師匠がお望みなら、貴方の愛しい人も追加できますよ。」 ミスターM「あ・・いや、悪かった。」 ミスターT「別に構わないと思いますけど・・・。」 どうしてもこの手の話になるとミスターMは奥手になる。それだけ彼にも愛しい存在がいると いう事なのだ。ここは素直に喜ばしいと思うミスターTであった。 エシェツ「何かなぁ・・・。」 フリハト系列の陣営に戻ったエシェラ達。傍らには風来坊所属の娘達がいる。それに周りは 唖然としている。エシュリオスとエフィーシュも自分達の祖母がこのような事になって、半ば 呆れ返っていた。 エシェラ「何よ、娘達の事を悪く言うなら撚り潰すわよ?」 呆れ返る矛先を娘達に向けられているのかと思ったエシェラは、凄まじい目線で周りを睨む。 またシュームとリュリアも同じで、やはり経緯はどうあれ子供を守るのが親の務めだろう。 その言動に彼女の娘達は心中でこの上なく喜んだ。自分達の存在を認めてくれている何よりの 証であるからだ。 ディルヴェズLK「大丈夫ですよ。決してエシェラさん達を批難している訳ではありませんので。 この現状を目の当たりにすれば誰だって驚きます。」 エシェラの肩を持つディルヴェズLK。女性版ディルヴェズたる彼女は、彼女の母親的存在 でもある。 メフュレーナ「でも羨ましいよ、抜粋独立されて扱われるのは。」 ヴュオリーア「そうだねぇ。この場を超えた役割を担えたのだからさ。」 エシェラ「そこはマスターも度が過ぎたと思いますが・・・。」 ディルヴェズLK「まあ成るようになれでしょう。」 一同が思うのは、独立した形で扱われる事だろう。特に6人の娘達はその結晶だ。オリジナル ストーリーで生まれた、完全な新しいキャラクターでもある。 ディルヴェズLK「エシェア君にエシェナ君。お母さんもそうだけど、影で努力しているお父さんも 大切にね。」 エシェア「はいっ!」 エシェナ「ありがとうございますっ!」 自分達の存在を労われ、大いに喜ぶエシェアとエシェナ。特に産みの親であるミスターTを 指摘され、この上なく喜んでいる。 他にもシュリム・シュムナやリュア・リュオにも同じ対応をするディルヴェズLK。これには 喜ばない者はいない。 ディルヴェズ自体の属性はミスターTと殆ど同じ。同じ師匠を持つ間柄、兄弟のようなもの だろう。言わばディルヴェズにとって双子の娘達は姪っ子になるのだから。 他にもラフィナ・エリシェ・シンシア・メルデュラ家族もロスレヴ系列の陣営に戻った。 そこでユキヤやウィン達に労われる。 特にターリュ・ミュックやタシュナ・ミュシアからは大絶賛で、まるで妹のように接せられて いた。これには大喜びする双子の娘達である。 彼女達も生まれてきた事を労われ大いに喜ぶ。そして自分達を誕生してくれたミスターTに 心から感謝するのであった。 息抜きが終わった面々は、早速普通の行動に移る。試合こそが我が全てと位置付ける彼ら、 それぞれに戦いを展開していった。 2250人にまで膨れ上がった各陣営。メンツに関しては十分であろう。問題はどのような 流れにしていくか、ここが勝負の分かれ道である。 やはり先陣切って動くのはビィルガ達、一同を沸かす戦いを開始しだした。それに便乗して いるのが悪陣営の面々。そこへ見計らって参加する形の他の面々である。 ビィルガ「再びどの陣営がトップなのか決めようではないか。」 ゼラエル「何を馬鹿な事を。そんな分かり切った事を今更やるのか?」 ビィルガが語るには、陣営のトップを決めようとの事。しかし先のリアルサバイバルでも 分かった通り、フリハト・ロスレヴの両陣営を凌駕するマジブレ陣営が現れた。これは大きな ものである。 ビィルガ「抗争には必要不可欠な事だよ。特に私はともかく、お前達にとっては脅威そのものとなる 筈だろう。」 ベロガヅィーブ「それは確かにな・・・。」 ビィルガの発言には一理ある。善陣営・中立陣営が強大化した現在、悪陣営の面々は完全に 追い遣られている。それはビィルガ達にも当てはまり、脅威そのものだった。 シェガーヴァH「そこは彼が何とかしてくれる。」 割り入ったシェガーヴァH。指摘するはマジブレ系列の影のラスボスとも言える存在だ。 それを改めて窺った面々は驚きを隠せない。 シェガーヴァH「ドクターT、今後の悪陣営を牽引して頂きたいのだが。」 ドクターT「私よりも君の方が適任だろう。私が担えるのは汚れ役、先陣切って動く事しかない。」 ミスターTの改良バージョンとも言えるドクターT。出で立ちはダークネス傾向にあるが、 シェガーヴァHと同じく表情が厳しくない存在である。 ドクターT「しかしビィルガの語る事には一理ある。抗争こそが我々の存在意義、ならば戦うしか あるまい。」 言わばシェガーヴァは保守派、ドクターTは抗争派となるだろう。しかし心が据わっている ため、それは表向きの感情に過ぎない。 ビィルガ「そうと決まれば早速行動だ。プランはハンニバルが考えている、作戦会議といこう。」 利害一致と言わんばかりに動き出す両陣営。以前はビィルガ達にいいように利用される事を 懸念していたシェガーヴァH達だったが、ドクターTの見定めた一念は彼らと共闘という結果 になった。そこは静かに従うシェガーヴァH。ドクターTの心中は自分と同じなのだから。 エシェラ「マスターが2人・・・。」 マジブレ系列のトップが創生者陣営の元に訪れる。その中に存在する人物を見て、エシェラ は驚愕した。こちらも影の役者と言えるマスターTとレディEが存在していたからだ。 マスターT「エシェラ殿のアレンジもいますよ。」 レディE「マスターも好きものですね。」 この2人の共通点は覆面だろう。ドクターTもそうだったが、覆面を着用する人物が増えつつ あった。 ミスターT「マスターT・レディE・ドクターTは独立した存在として創生した。外見は確かに私や エシェラそのものだがね。」 ミスターM「本当に好きだなぁ・・・。」 シルフィアTL「呆れてものが言えないわ。」 苦笑いを浮かべるミスターMとシルフィアTL。この場合の意味合いは、2250人へ向けて 埋め合わせに作った存在だという事だ。 エシェラ「そのうち構図が塗り替えられるような気がしてなりません。」 マスターT「それはご心配なく。私には黒いカードも手帳も全く持てませんし、禁断覚醒を行う事も できません。マジブレ本編の影の調停者的存在でいますが、ここではマスターを超える 事はできませんので。」 ミスターT「人柄の良さは私を超えるけどね。」 ミスターTから凶悪さを削り、優しさと物腰さを大きく追加したのがマスターTと言える。 その部分だけでも十分構図が塗り替えられるのだろう。エシェラが危惧する事は頷ける。 マスターT「何やら動き出そうとしているようで。」 ミスターT「ああ、そうか。ドクターTとは双子の設定でもあるわな。」 両者の思う事が瞬時にして窺えるマスターTとドクターT。敵と味方に別れて存在するは、 完全な調停者と言える。 シルフィアTL「パワーバランス崩れまくりよ。マジブレ陣営の存在は、間違いなくイレギュラー。 このままでは他の陣営も潰されかねないわ。」 ミスターT「師匠、そこはご心配なく。その時こそ私達の本領発揮ですから。」 ミスターM「三位一体か、面白いな。」 シルフィアTLの危惧する内容はエシェラと同じ。それは第3者からの視点である。しかし 自分達の存在をフル稼働させれば、それらは鎮圧可能である。 何時になく不気味に微笑むミスターMに便乗し、シルフィアTLも不気味に微笑みだした。 この恐さの部分は同じと言えるだろう。 ミスターT「とりあえず様子を見るかな。極端に外れた動きをし出したら粛清が必要だが、それ以外 なら黙認しよう。」 ミスターM「了解。」 シルフィアTL「暫くディルの所へ行ってるわ。何かあったら言ってね。」 今は様子見を決め込んだ創生者軍団。それに便乗する他の面々。どの様な流れになるのかを 見定めてからでも遅くはない。言葉では厳しい事をいう彼らだが、行動は誠意に溢れていた。 その後直ぐに動きがあった。やはり企画立案者側たるビィルガ達が悪陣営を引っ張る事に なり、それに付き従うのが悪陣営の面々となった。 どう足掻いても相手を利用するという部分は外す事ができない、それは悪陣営に備わる固定 概念でもあろう。 最終目標は一同を沸かす戦いという大願がある。それはこの場に集った2250人の総意 でもあった。そのための通過点に過ぎないのだから。 ビィルガ達の行動は襲撃に他ならなかった。それは相手の力量を測る事にも繋がる。そして 狙われたのは謎めいた力を持つマジブレ系列の面々。これは当然の流れであろう。 イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画 (イリミネーション・タッグバトル終了) 試合はイリミネーション・タッグ、形式はトルネード・6マンタッグだった。リング設定は ヴェンジェンス、ルールはKO・ギブアップ・DQ。 対戦した面々はデュウバD・シェガーヴァH・ドクターTと、ノーラF・リーマ・シーラの 3人だ。 どちらの面々も凄まじい戦闘力を有している。特に後者の女性3人は最強のロジックを搭載 しているほどだ。 結果はノーラF達の勝利。異種たる存在のドクターTがいても、やはり最強ロジック搭載の 人物には到底及ばない。 ゼラエル「手強いな・・・。」 殆ど動かなかったシェガーヴァHが率先して動くのは、ドクターTの存在であろう。卑怯事 ではない行動を取る事を熟知しているため、身を任せる事ができるのだから。 しかし相手の戦闘力は計り知れない。個人でも団体でも凄まじい力を有しているのが分かる。 ビィルガ「個人の戦力差だけは互角か。しかし相手の総合戦闘力は計り知れないな。」 戦闘データを纏めた資料に目を通すビィルガ。フリハト系列よりも凄まじい力を持つ存在な だけに、この見落としは命取りになりかねない。 アマギDA「こちらもメンツが増えたのだから、総合戦闘力では引けを取らないだろうに。」 ゼラエルG「そうとは限らんぞ。1人1人が強ければ、纏まれば凄まじい力になる。我々は個々人の 戦闘力は疎らだからな。」 ガルグ「ごり押しが不可能なら、知略で勝負しかありません。」 何か戦略を思い付いたのか、ガルグが作業を開始する。本編では戦略下の位置付けな彼だけに 得意分野の行動であろう。 それに便乗するのはドクターT。彼も知略に長ける猛者でもある。まあ彼のオリジナル本体が ミスターTであるが故に、自然と身に付いている長所であろう。 本来なら悪陣営が何らかの流れを作るのだが、今回は全く異なった。それはマジブレ系列の 面々が反撃を開始しだしたのだ。 メンバーに猛者が揃う以前に、マスターTやレディEが存在するのだ。戦術・戦略共に長けた 陣営とも言える。 この2人が作戦を練り、ヴェアデュラ達がそれを実行する。その手際の良さには目を見張る ものがあった。 直ぐに行動を開始したマジブレ陣営。今度は先の3人の使用後の人物を投入し、同等の戦い を開始したのだ。 試合は前回と同じイリミネーション・タッグ、形式はトルネード・6マンタッグ。リング 設定はヴェンジェンス、ルールはKO・ギブアップ・DQ。 イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画 (イリミネーション・タッグバトル終了) 今度は完全敗退した悪陣営の面々。今までの流れは暫く経っての反撃が多かった。しかし 今回は休む余裕すらない程に攻めて来たのだ。これには完全に裏を掛かれた状態である。 目には目を、歯には歯を。絶え間なく続いた戦いは、両陣営のボルテージを上げるには十分 過ぎるものだった。 我武者羅に戦うという事はせず、一進一退の攻防が続いた。双方共に知略を掛けての戦い。 間違いなく今までとは異なる抗争である。 アシェナ「マズいですね、新悪陣営とマジブレ陣営が全面対決ですよ。」 総人数ではロスレヴ系列が有利であり、団結ならフリハト系列が有利なのは変わりない。 特に情報収集能力に長けるフリハトの面々は、現在の状況を事細やかにチェックしていた。 ディルヴェズLK「漁夫の利を利用すれば、これでマジブレ陣営の全貌が明らかになるけどね。」 メフュレーナ「あまり使いたくない手段だよ。」 やはり一同が思う所はサシの勝負での分かり合いだ。高みの見物で相手を知っても意味がない と誰もが思っていた。 だが状況が状況なだけに、下手に手を出せば両方とも敵に回しかねない現状だ。ここは苦肉の 策の漁夫の利を用いるしか手立てがなかった。 アシェナ「ところで、ディルさんは?」 ディルヴェズLK「シルフィアTLさんと久し振りの再会を楽しんでますよ。何せ師弟の間柄です からね。」 ヴァルラーム「私やラシュディア様も縁がありますし。」 メインメンバーと親しいシルフィアTLの存在は、フリハト系列を救った英雄とも言える。 それだけにフリハト系列の面々とは一番親しい間柄でもあろう。 ヴュオリーア「何かディルヴェズLKさんの方が親しみやすいわ。」 ディルヴェズLK「同性だからでしょうね。」 ヴィドリーガLA「私も忘れないでくださいよ〜。」 メルシェードLP「一応貴方達と同性なのだから。」 ディルヴェズLKばかり相手にされて、ヴィドリーガLAとメルシェードLPはヤキモチを 妬いていた。しかし男性のヴィドリーガとメルシェードは普通に接している事から、女性と なる事で涌き出る感情なのだろう。 メフュレーナ「え〜、何か取っ付き難いし〜・・・。」 ヴュオリーア「ディルヴェズLKさんは男性でも女性でも魅力あるからさ〜。」 メルシェード「ハハッ、酷い言われ様だな・・・。」 ヴィドリーガ「もう1人の俺も形無しだ。」 落ち込むヴィドリーガLAとメルシェードLPをオリジナルの2人があやす。性別が変わる だけで、ここまで変貌するのかと周りは苦笑いを浮かべるしかなかった。 新悪陣営の面々とマジブレ陣営の面々は相変わらずだった。互角と言える抗争を繰り返し、 周りを大きく盛り上がらせた。 その中でロスレヴ陣営とフリハト陣営も、内部の強さを高めようと動き出した。総人数だけ なら引けを取らないだけに、団結力が欠ければ付け込まれる可能性がある。 その中で完全に孤立した存在が、新陣営の面々だった。総人数共に少ない陣営なだけに、 この場は合併しか対抗する手段がない。 既に流界ベルムカル陣営と伝秘ウイブレ・一匹狼・メカノイドの3陣営は合併していた。 そこにウイスト陣営とレジェブレ陣営が合流したのだ。 デュシアE「ではよろしいのですね?」 エルシェス「ああ、デュシアE君に全て任せるよ。」 リオデュラ「俺達はリーダーといった堅苦しい事は嫌いだからさ・・・。」 2つの陣営の主人公、エルシェスとリオデュラもリーダー役を蹴った。それによりデュシアE が6つの新陣営のリーダーとなったのである。 ヘシュナ「凄いですね、6陣営の頭ですよ。」 ティエラ「頑張って下さい。もちろん動ける事はしますので。」 その肩に凄まじい重圧が乗ったデュシアE。しかし6陣営の面々の誰もが彼をサポートして いる。全員が担ぎ上げた存在だが、その背中を守る事は怠らなかった。 デュシアE「しかし大丈夫でしょうか・・・。」 セリア「何がですか?」 合併した事でそれぞれの面々と顔を合わせる。その彼らを見つめ、デュシアEは深く溜め息 を付いた。それに近くにいたウイスト所属のセリアが気に掛けてくる。 デュシアE「幾ら合併をしても、向こうは戦いのスペシャリストですよ。存在そのものが闘士と言い 切れるものです。我々が束になって掛かっても、勝てるかどうか・・・。」 セリア「そこは今後の私達次第です。貴方は私達の足並みが乱れないように気を配って頂ければ幸い ですので。」 ティア「そうだよ〜、戦いに関しては任せて〜。」 リュナ「お兄さんは前だけを向いてね〜。」 セリアの双子の娘、ティアとリュナ。まるでターリュとミュックのような存在感に、苦しい 表情のデュシアEの顔が緩んだ。ムードメーカーとはこの事だろう。 デュシアE「了解です。俺にできる事をするまでですね。」 どうしても6陣営を束ねる頭という部分が圧し掛かる彼。それを間接的に和らげようとする セリア・ティア・リュナ。それに笑顔で応じるデュシアE。彼の責任感の強さだけでは6陣営 の中でトップクラスであろう。 ターリュS「な〜んかつまらないなぁ・・・。」 それぞれの陣営が動き出している中、ターリュSとミュックSが暇そうに時間を持て余して いた。本陣から独立した形の2人は、戦いがある所に駆け付けるレイヴンそのものだった。 ミュックS「う〜ん、兄ちゃん襲撃して楽しもうかぁ・・・。」 ターリュS「それいいねぇ〜、やろうじぇ。」 目標を決めれば我武者羅に突き進む、止める者は容赦なく突き飛ばすだろう。この双子の強さ は決めた事を絶対に曲げない所だ。 危険な双子が動き出した先はミスターTがいる所。脱兎の如く試合会場を駆け抜けて行った。 ミスターT「ん・・・嫌な予感が・・・。」 今現在の陣営の流れを手帳に纏めて休憩をする。一服しながら椅子に座り、傍らのエシェラ と雑談をしているミスターT。その彼の背中に悪寒が走った。 その場から離れようとしたが、丁度そこにターリュSとミュックSが同時に抱き付いて来た。 2人の勢いある抱き付きはダブルスピアーそのもので、彼は一緒になって吹き飛んでしまう。 それに周りは唖然とした表情を浮かべるしかない。呆気に取られるのは言うまでもなかった。 ターリュS「いぇ〜い!」 ミュックS「今回は逃げられずに仕留められたじぇ!」 ミスターT「このじゃじゃ馬娘・・・。」 為す術なくダウンするミスターTに抱き付き甘えるターリュSとミュックS。彼女達なりの 愛情表現だろうが、この技を喰らう側の身にもなって欲しいものである。 ミスターM「災難だったな。」 ダウンしているミスターTの肩を抱え、椅子に座らせるミスターM。首謀者のターリュSと ミュックSは、何事もなかったかのようにエシェラと騒いでいる。 ミスターT「あの2人には参ります・・・。」 ミスターM「それだけ淋しかったという事だよ。エシェラ君や他の娘達だけじゃなく、彼女達にも しっかりとケアしないとダメだ。」 ミスターT「肝に銘じておきます・・・。」 苦笑いを浮かべるミスターM、この現状は災難極まりない。しかし直ぐにでもミスターTや 他の面々と関われる事に、無上の喜びを感じているようだ。 今までミスターMは一瞬一瞬に出現するサポーターであり、試合に関わったのは1度しか なかった。それだけに一同と深く関わりが持てる事は嬉しい事だろう。 他の面々も伝説のレスラーと位置付けるミスターMと関われる事を嬉しがっている。型破り を平気で行うスタイルはミスターTとは真逆の性格で、この部分は大いに気に入られていた。 ターリュS「大規模な戦いが起こりそうな気がする。」 落ち着きを取り戻したミスターTに、今の心境を語るターリュS。彼女もまた無意識に今の 流れを感じ取っていた。 ミスターT「そうだな。マジブレ陣営の存在感は、新悪陣営の予測を大きく上回っている。徹底抗戦 を貫くようだ。」 ミュックS「私達の出番はなさそう?」 ミスターT「まずは彼らに慣れさせよう。下手に介入すればパワーバランスが崩れるだろうから。 慣れてきた頃を見計らって、こちらも動けばいいさ。」 今も徹底抗戦をくり広げている新悪陣営とマジブレ陣営。他の陣営はその2つの陣営の観察に 回るしかなかった。 ミスターT達の順応速度は尋常じゃないぐらい高いが、周りが低ければ意味がない。ここは 周りのレベルアップも兼ねて、彼らに委ねるしかなかったのである。 エシェア「戻ってきたよ〜。」 エシェラ「お帰りなさい。」 フリハト陣営とコミュニケーションを終えた6人の双子達。シュームとリュリアは本陣に 帰属し行動しているが、娘のシュリム・シュムナとリュア・リュオはエシェア・エシェナと 一緒に行動していた。 それに戻る場所にはエシェラが待機し、更には彼女達の父親がいるのだ。両陣営を又に掛けて 居場所があるのは幸運な事だろう。 ターリュS「何かエシェラさん、大人っぽくなったよね。」 ミュックS「母親になる事でここまで強くなれるんだ。」 エシェラ「殆ど責任感ですよ、中途半端は嫌ですから。」 年齢的にエシェラも双子の娘も大差ないのだが、格の違いだけは現れている。まだ生まれて 間もないのだから、右も左も分からず仕舞いなのが現状だった。 ターリュS「うちらもさ、兄ちゃんに子供作って貰おうか。」 ミュックS「賑やかになるねぇ〜。」 とんでもない事を語りだしたターリュSとミュックS。それに周りは完全に引いてしまう。 特に6人の娘達も引くぐらいだ。この双子の発言は色々な意味で危険すぎる。 ミスターT「お前さん達にそっくりな双子が現れたら、それこそ死闘そのものだと思うが・・・。」 ターリュS「だよねぇ・・・。」 ミュックS「タシュナさんとミュシアさんみたいにお淑やかだったらいいんだけど。」 ミスターT「あの2人の差は、お前さん達と火と水。溶け合う事は不可能に近いが、お前さん達なら 取り込んでしまうのだろうな。」 相反する属性は打ち消し合い消滅してしまう。それはファンタジーの世界観では通例である。 しかしそれらを覆し、ターリュとミュックの存在は溶け合う事ができる。 分け隔てなく関われるという事は滅多にない。この双子は間違いなく最強のキャラクターだ。 エシェナ「お姉さん達が羨ましいです。十分戦える状態ですが、独断で動ける程ではありません。」 リュオ「もう少し馴染まないとダメかなぁ・・・。」 ターリュSとミュックSは本陣を超えて動き回っている。それでいてインパクトが強く、 存在だけで周りを鼓舞し賑やかにする。それに憧れる6人の娘達だった。 ミスターT「ふむ・・・他の8人も呼んでターリュSとミュックSに面倒見て貰うか。この2人なら 全てにおいて学べる事が多い。」 ターリュS「おお〜、大役来たじぇ!」 ミュックS「まっかせなさ〜い!」 善は急げの信条よろしく、ターリュSとミュックSは6人を連れて8人と合流しに行った。 その勢いに付き合うだけのエシェア達だったが、これもいい経験になる事だろう。 ミスターT「・・・14人ともターリュとミュックに似たら嫌だな・・・。」 エシェラ「フフッ、そうですね。」 エラい騒ぎで駆け回るじゃじゃ馬娘達。合流した8人も相まって、16人の暴徒である。 しかしターリュSとミュックSの真に心中に持つ思いを感じ取ったミスターTとエシェラ。 14人の新米キャラクターを育てるという大役を、最大限担おうと努力しているのだ。 ミスターM「女の子はいざとなった時、凄まじい力を発揮する。野郎では到底出し得ない力を持つ。 女性の前では野郎なんざ足元にも及ばない。」 エシェラ「ミスター、それ・・・マスターから既に聞いています。」 ミスターM「あらま、それはまた失敬。」 ミスターTをマスターと呼ぶ一同。しかしミスターMをマスターと呼ぶのはダブってしまう。 そこで思い付いたのが、彼をミスターと呼ぶ事にしたのだった。 ミスターT「お前さんは野郎の方が性に合ったのかも知れないな。」 エシェラ「え〜、そうするとマスターを女性化しなければいけないじゃないですか〜。」 ミスターM「ハハハッ、想像したくない・・・。」 エシェラの意外な発言でミスターMは大笑いしている。それに便乗して笑い合うエシェラに、 ミスターTは苦笑いを浮かべるしかなかった。 その後も抗争を繰り広げる新悪陣営とマジブレ陣営。他の陣営は個別にウォーミングアップ を繰り返し、来る総決戦に備えていた。 それぞれの陣営が動いている最中、ミスターTの特命を受けて動き出したミスヒール達と ギラガス達。ディルヴェズDとメルシェードTも合わさった14人は、今もお互いを模索中の 新悪陣営とマジブレ陣営に襲撃を開始したのである。 役割を与えてくれたミスヒール達は大喜びして大役を担う。相手の力量を測ると同時に、 別の流れを与えて刺激させるという計画であった。 その心情を察知した両陣営は心中で大喜びするも、役割の手前では大ブーイングをする。 今の両陣営はニュートラル、ミスヒール達がヒールの属性であろう。 第47話へと続く。 |
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
戻る |