アルティメットエキサイティングファイターズ 〜集いし鋼鉄の勇者達〜
    〜第54話 再来の模擬シーズン・前編〜
    2度目の模擬シーズンを行いだした一同。今回は全員が参加権がある流れとあり、それぞれ
   思い思いの流れを考えているようだ。
   既にマンネリ化が続くこの流れを打開できるか。一同はこの模擬シーズンに願いを込めて、
   イベントを開始しだした。



    リングで試合を行うミュリアとトルデュ。それは普段の何げない流れだった。試合を終えた
   2人はリングを降り、控え室の方へと向かって行く。その時事件が起きた。

    覆面を付けた複数の人物に襲撃を喰らう2人。完全なる暴行に為す術がなく、動けなくなる
   まで叩き潰されてしまう。無論演出の1つだが、今回の流れはかなり度が強かった。

ビィルガ「先日のミュリアとトルデュの襲撃事件。我らアルエキファイタ運営団体の最大の事件だ。
     何か気付いた事があれば報告してくれ。」
    翌日の番組時。チェアマンのビィルガが抱えるレスラーに現状を報告した。昨日の襲撃事件
   を知った面々は驚愕の表情を浮かべている。
マイア「大体は悪陣営が怪しいんじゃないの?」
ディヴディアル「何を言うんだい。アンタらの方も怪しいじゃないのかい?」
   突然の事件に周りは混乱する一方である。誰かと決めては犯人扱いをするレスラーが多く、
   信頼関係が揺らいでいく一同。
シェガーヴァ「とりあえずは今夜の試合をこなしましょう。2人が回復したら伺えばいいので。」
デュウバD「エンターテイメントとしては盛り上がってるけど、仲間がダウンしているからねぇ。
      何か遣る瀬無いわ。」
   現状の運営もある事から、今回の襲撃事件は突っ込んでいる暇はなかった。観客を魅了させる
   試合を行うのがレスラーなのだ。小競り合いで停滞してしまっては破滅そのものである。


    今夜の試合はイリミネーション・タッグ、形式はトルネード6マンタッグ3対3。リングの
   設定はRAW・1、ルールはKO・ギブアップ・DQ。

    メンバーはスミス・マッシュ・ガイレスと、バルム・リューン・シュールのトリオである。


模擬シーズン・イリミネーション・タッグバトル登場+試合動画



    (イリミネーション・タッグバトル終了)
    やはり本職とあって試合となれば全力投球できる。模擬シーズンの流れの中で試合を行える
   有難みは計り知れないもののようだ。
   勝者はスミス&マッシュ&ガイレスチームだったが、試合を行えたという現実は最高のものの
   ようである。

    試合を終えて歓喜する3人。しかし再び事件が起こった。勝利した3人が例の覆面を被った
   連中に襲撃されたのだ。双子の時と同じく、動けなくなるまでの徹底的な暴行である。これで
   双子と同じく3人も試合ができない状態になってしまった。


ハンニバル「このままでは売り上げに響きますぞ。」
ビィルガ「そうだな。」
    二週に渡りレスラーが襲撃された現状。これ以上の犠牲者を出さないための会議が、連日
   連夜行われた。
シェガーヴァ「目撃されたのは覆面を被った人物のようです。体躯が優れている部分を踏まえると、
       これは同業者による犯行だと思われます。」
ポーレス「ここは試合を行うレスラーに護衛を付けるべきかと。」
ビィルガ「そのプランでいこう。また犯人逮捕に向けて、相手に賞金を掛けるとしよう。」
   まるで普通の事件のようだと誰もが思った。それだけ今回の模擬シーズンは内容がリアリティ
   に富んでいる。とにかく流れに身を任せようというのが現状であった。



    それから数週間後、立て続けに事件が起こる。試合会場での襲撃ではなく、レスラーの自宅
   に押し掛けての犯行が多発した。これは立派に営業妨害となるだろう。
   護衛を付けた状態でも襲撃を受けている事から、相手はかなりの手練れと言える。それだけ
   今回の事件の真相が深い現れであろう。

    更に徹底的な証拠隠滅を図っているようで、指紋などの証拠品は一切なかった。これは異様
   としか言いようがない。普通なら何らかの痕跡が残るのが普通なのだが、今回は全く発見に
   至らなかったのだ。

ドクターT「ただ覆面を着けているだけで御用とはな・・・。」
ミスE「何とも言えませんね。」
    襲撃者が覆面着用という現実から、アルエキファイタ運営陣は覆面を着用している人物を
   徹底的に逮捕していった。チェアマンの威信に懸けた行動だったようで、無差別に逮捕されて
   いく覆面者達。
ドクターT「しかし今回の事件、プロレスの流れだけじゃ済まされない気がする。」
マスターT「と言うと?」
ドクターT「全く足取りが掴めないという現状が物語ってる。まるで幽霊が犯行に及んでいるかの
      ように感じ取れる。」
   刑務所にて逮捕された覆面愛用者達は、それぞれ今回の経緯を調べているようだ。犯行に及ぶ
   と踏んでいる運営側だが、自由はさせているようである。コンピューターによる世論調査など
   も行う部分を見れば、一応の逮捕という流れなのが窺えた。
ミスT「まるで魔法で姿を消しているかのようですね。」
ドクターT「馬鹿げてる、ファンタジーじゃあるまいし。」
マスターT「それに犯人は相当レスラーを恨んでいますよね。」
ドクターT「嫌な予感がしてならんわ・・・。」
   模擬シーズンを通り越しだしていると誰もが思いだしていた。しかし試合を兼ね備えるという
   部分を踏まえれば、この程度なら問題ないだろうと黙認もしている。
   大掛かりな模擬シーズンの流れになりそうな予感が試合会場を包んでいく。だが一同の胸中
   には、全員参加による歓喜が沸き上がりつつあった。



リュウジN「今回は日本公演だそうだ。」
マツミ「腕が鳴りますね。」
    プロレス団体アルエキファイタは世界を動いて活動している。移動手段は空路・海路・陸路
   を駆使している。これもチェアマンのビィルガの威信を懸けてのもののようだ。
アフィ「しかし三島ジェネカンの財政力は恐るべしだね。」
マツミ「世界中に支社がありますからね。私達の資金提供もなさってくれていますし。」
リュウジN「今度社長さんの顔を拝んでみたいものだな。」
   模擬シーズンの流れに覆面の風来坊の流れを入れだしている。これはミスターTの意図では
   ないのだが、それだけ一同に根付いている大きな流れだというのだろう。
デュレナ「社長、時間ですよ。」
マツミ「了解。行きましょうか。」
   日本公演を行うべくマツミ達は動き出した。この流れも覆面の風来坊のもので、本編では語ら
   れる事がなかったものである。試合とは別物であるが、こういったサブ要素も重要なもので
   あろう。



ナツミYU「こんにちは。」
シューム「いらっしゃい。」
    場所は喫茶店ザ・レミニッセンスに移動する。覆面の風来坊の流れが更に濃くなっていた。
   しかし設定などは面々の本編を基準とするため、ありえない年齢層の面々となっているが。
ナツミYU「来週東京ドームに来るそうですよ、アルエキファイタが。」
シューム「おお〜、見に行きたいねぇ。」
ナツミYU「日本公演はなかなか巡ってきませんからね。」
   風来坊本編ではプロレスに精通するナツミYU。その流れから覆面の風来坊が選ばれた形に
   なるのだろう。面白い事になりそうだと誰もが思いだしていた。
アサミ「あれ、マスターは?」
シューム「3階でマンガを書いてるわよ。シンシアさんが締め切りが迫っているとあって、アシさん
     含めて格闘中よ。」
アユミ「大変ですね・・・。」
ナツミYU「あ・・再放送始まる、テレビお借りしますね。」
   先週の放送を見るために、カウンターにある衛星放送受信可能テレビを操作するナツミYU。
   この部分の演出もしっかりしており、一同の感情移入を高めていた。

    試合はタッグ、形式はノーマルタッグ・交代なし。リングはリベリオン、ルールはKO・
   ギブアップ・DQ・ロープブレイク・リングアウトカウント10。

    メンバーはウォード・ミッドと、ヒデユキ・ケンジのペアである。


模擬シーズン・タッグバトル登場+試合動画



    (タッグバトル終了)
    こちらも普段試合が行えなかった面々を抜粋したため、選ばれた4人は大歓喜での試合に
   臨めたようだ。結果よりも戦いを、それが一同の創意でもある。

    勝者はヒデユキ&ケンジのペア。しかし勝とうが負けようが嬉しい事には変わりはない。
   試合に臨ませてくれたミスターTに感謝しているようだ。

ナツミYU「珍しい、今回は襲撃はなさそうだわ。」
    再放送の試合内容を見終わって、ナツミYUがコーヒー片手に振り返っている。シュームも
   同じく観戦しており、彼女と共に余韻に浸っていた。
シューム「しかしレスラーばかり狙った襲撃って何なんだろうねぇ。」
ナツミYU「レスラーを忌み嫌う存在か、ただ単に目立ちたいが為の存在か。どちらにせよ、観戦側
      からすれば大盛り上がりですけど。」
シューム「皮肉なエンターテイメントよねぇ。」
   模擬シーズンの中での模擬シーズンを行うような流れ。それに一同可笑しくて仕方がない。
   しかし流れとしては十分であり、湧き上がる試合はできていた。


アマギH「今回は俺達も参加しますよ。」
ユリコY「躯屡聖堕の体術技術、引けを取りませんから。」
    数日後。プロレスに魅入られているナツミYUが、再び格闘術大会を開く事にしたようだ。
   この流れは喫茶店レミセンでは当たり前の流れで、半ばプロレス団体に近しい存在にある。
ミスターT「また俺も出なくちゃダメなのか・・・。」
エシェラ「当たり前です。」
エシェア「母さんと一緒に戦いますので。」
エシェナ「覚悟して下さい。」
   年齢的にはエシェラの方が年上で母親なのだが、エシェアとエシェナの年代は彼女と同じ。
   年代の交錯が生じている事に違和感を覚えずにはいられない一同だった。
シンシア「親子頂上決戦も面白そうですね。」
メルデュラ「やりましょうか。」
ミスターT「俺は観戦側で・・・。」
21人「ダメですっ!」
   ミスターTが参加を渋ると、彼と関係がある7人の女性と双子の娘達全員が一斉に否定する。
   その息の合った掛け声に一同笑ってしまう。それだけコンビネーションが優れている証拠で
   あろう。

ミスターT「シェヴも戦うのか。」
ヴァルシェヴラーム「こう見えても草創期はシークレットサービスで大暴れしていたのよ。それに
          毎日のストレッチも欠かさないわ。」
    最終話の年齢設定は91歳という超高齢者のヴァルシェヴラーム。しかしこの場では一同と
   同じ年代の女性である。柵に縛られず思う存分戦えるというものだろう。
ウインド「私達ってレスラーに近しい存在ですよね。」
シューム「そうだねぇ〜。発掘すれば輝きを見せる原石といった所かな。」
ダークH「楽しみです。」
   全員が何らかの特技を持っている風来坊の世界観。本職が警察官である面々が多いため、取得
   した格闘術はかなりの腕前を誇っている。
ヴァルシェヴラーム「ダークさんも全国空手大会少女部門で優勝した実績があるわよ。」
ダーク「わ・・私もでるのですか・・・。」
   ダークが選ばれた理由は、模擬シーズンを始める前にミスターTが一同に流したストーリーが
   大きなものだった。風来坊本編の追加という形の話だが、火傷から復活したという流れの人物
   である。
   悪陣営の中でシェガーヴァHと共に唯一のノーマルフェイスに変化した彼女なだけに、その
   火傷からの復活は適任だろう。
ミスターT「へぇ〜、ダークもやれるのか。」
ダーク「あ・・は・はいっ、頑張りますっ!」
   伝秘ウイブレでは悪役の存在なのに、今ではベビーまっしぐらの役割になっている。恋する
   乙女とは正しくこの事。それを複雑な心境で見つめる愛しい7人であった。


ナツミYU「あらら・・・また襲撃者が現れたそうよ。」
    後日の格闘術大会の打ち合わせをしている一同。ナツミYUとシュームは衛星放送に釘付け
   で見入っている。その中でナツミYUが語り出した。どうやらまたレスラーを襲撃された様子
   である。
ミスターT「どこでだい?」
ナツミYU「アメリカから日本に移動する際、飛行機の中で襲われたそうです。しかも犯人は依然と
      して捕まってないそうで。」
リデュアス「密室空間とも言える航空機で犯行に及んで、犯人が捕まらないのは在り得ませんよ。」
   警察関連に所属する面々は口を揃えて語った。税関などのチェックで手厳しいという空港運営
   なのに、それを覆す行動が行えている現実に。
ミスターT「う〜む・・・シンシア、何だかフリハトやマジブレの設定に似てるよな・・・。」
シンシア「そうですよね。魔法による瞬間移動、そして姿を消しての隠密行動。それならば犯行は
     十分可能ですから。」
ミスターT「まあでも有り得ない話だよな。魔法なんてファンタジーの世界観じゃなければ。」
   一応模擬シーズンという事もあり、それぞれの世界観の設定は一切出していない。あくまでも
   レスラーとしての戦いを重視しており、オリジナル設定を用いればバランスが崩れるのは言う
   までもない。
ヴァルシェヴラーム「う〜ん・・・そうなると身内からの犯行としか考えられないわね。」
シューム「アルエキファイタ内部でのものですか?」
ヴァルシェヴラーム「そう。それに襲撃が行われだしてから売り上げがウナギ昇りじゃない。間違い
          なく自作自演の可能性が高いわ。」
ミスターT「う〜む・・・自作自演か・・・。」
   アルエキファイタ運営陣にも頭がキレる存在は多い。しかし風来坊のヴァルシェヴラームは
   それをも覆す切れ者である。それにその弟子たるミスターTもそうだ。
   より一層覆面の風来坊の世界観が色濃くなりだしていると、観戦する側も運営する側も痛感
   しだしていた。



    数日後、強引に東京公演を開始したアルエキファイタ。やはり長年プロレス団体として君臨
   していただけに、多少の妨害工作では引かないと決め込んでいるようだ。

    日本でのスポンサーは無論三島ジェネラルカンパニー。エリシェの役割はかなり大きなもの
   となっている。その娘達のエリム・エリアも母を支えて奮闘していた。

    ここで余興試合が行われた。試合と形式はイリミネーション・チェンバー。リング設定は
   選べず、ルールはKOとギブアップである。

    選ばれた人物はルーク・ミシェード・メブリック・フレニード・エクバール・ローゼンの
   6人だ。


模擬シーズン・イリミネーション・チェンバーバトル登場+試合動画



    (イリミネーション・チェンバーバトル終了)
    再びスポットが浴びない面々を抜擢した試合構成。余興試合であれど戦える環境があるので
   あれば、それは喜ばしい事だと誰もが痛感していた。

    勝者はメブリック。運が味方した形になる。しかし試合可能お抱えレスラーが減っていく
   現状は、非常に厳しいものであろう。

ナツミYU「イリミネーション・チェンバーなんか私達じゃできないもんなぁ・・・。」
    日本公演初日の試合を見終わり、運営陣の力を思い知らされたナツミYU。それだけ彼らの
   技量が凄いという現れである。
シューム「エリシェちゃんの力を使って実現しようかねぇ〜。」
エリシェ「ハハッ、著作権の問題で跳ねられますよ。」
ナツミYU「実力行使という訳にはいかないよねぇ・・・。」
   風来坊では陰の存在に近かったナツミYU。この時ばかりはと大張り切りで頑張っている。
   それに娘のアサミとアユミは可笑しくて仕方がないようだ。
ミスターT「まあそれでも、俺達は俺達の生き様を貫けばいいだけの事さ。俺達でしか刻めないの
      だから。」
ナツミYU「そりゃあそうですけど・・・。」
アサミ「母さん駄々っ子・・・。」
アユミ「ホンッと・・・。」
ミスターT「・・・間違っても乱入公演とか考えないでくれよ。」
   彼の発言にナツミYUとシュームの瞳が妖しく輝いた。それにギョッとする回りだが、この
   流れではそれはないと確信する一同だった。



    試合は続く。アルエキファイタ運営陣は日本公演を行いだすが、やはり異国の地でも襲撃
   事件が多発していた。上位レスラーや下位レスラーであろうが関係なしに襲撃される様は、
   まるで無法地帯そのものだ。

アマギH「アルエキファイタ運営陣直々に依頼があったよ。試合会場の警護を頼むというのが。」
    本店レミセンに訪れるアマギHとユリコY。躯屡聖堕ボランティアチームの凄まじい力を
   知ったビィルガ達は、彼らを警護班として雇ったのだ。
ヴェアデュラ「陣頭指揮は私に白羽の矢が刺さりましたよ。」
ミスターT「それでも襲撃がある現状、本当に大丈夫なのかね。」
ユリコY「お互いの助け合いはもちろん、ライディルさん達にも助けて頂いてますから。」
ミスターT「警察とボランティアの威信を懸けた戦いか。」
   レミセンのマスターをシュームとメルデュラに託し切り上げると、徐に動き出すミスターT。
   今までのノホホンとした風貌が消え失せ、凄まじいまでの闘気溢れる存在になる。
ミスターT「俺も動こう。お前さん達ばかりに頑張らせる訳にはいかない。用は襲撃者を発見し、
      心を折ればいいのだろう?」
アマギH「あ・・そうか、その手があったわ。」
ユリコY「マスター1人で大丈夫ですか?」
ミスターT「自分の身ぐらいは守れるさ。」
   ようやく動き出したかと思う一同。それに不気味に微笑むミスターT。ミスTが同じ言動を
   したように、彼も全く同じ言動をしていた。まあ両者は同一人物に近しい存在ではあるが。


ダーク「エシェラさん達も何かあれば駆け付けるとの事です。」
ミスターT「すまないな、お前さんにもご足労してもらって。」
    エリシェの財閥・アマギHの躯屡聖堕経由でアルエキファイタ運営陣とコンタクトを取った
   ミスターT。先ずは情報収集という事で襲撃されたレスラーの見舞いに回っていく。補佐に
   ダークが付き添い、色々な雑用を行っていた。
ダーク「何を仰いますか。私の命を救って頂いたのです、当然の行為ですよ。」
ミスターT「ありがとな。」
ダーク「それと母からこれを受け取りました。お使い下さい。」
   1つの長い包みを手渡すダーク。それを受け取り中身を確認するミスターT。中身は紫色の
   刀剣を持つ刀であった。しかし刃はなく模造刀のようである。
ミスターT「銃刀法違反に引っかからないかね。」
ダーク「刃が付いていれば引っ掛かると思いますが、レプリカだと言い切れば通りますよ。それに
    これも持っていれば疑われません。」
   そう言うとレザーケースに入ったカードをミスターTに手渡すダーク。それは警察庁長官の
   ライディル直筆の許可証である。
ミスターT「ライディルも物好きだなぁ・・・。」
ダーク「これで思う存分暴れられますよ。」
   伝秘ウイブレ本編の流れを一切感じさせない魔剣ダークことダーク。風来坊の世界観では幼い
   妹という存在に近い。それでも背丈は彼に近く、到底妹には見えないのだが・・・。



ミスターT「なるほどねぇ〜・・・大体は掴めてきたよ。」
    日本公演に訪れているアルエキファイタ運営陣。当然襲撃を受けた面々も一緒である。試合
   はできないが、観戦という見学はしているようだ。
   その彼ら全員に聞き込み調査を行ったミスターTとダーク。そこで分かったのが犯人の共通性
   である。
ミスターT「襲撃者は5人、どれも顔を覆い尽くす覆面を着用。体躯が優れ、一切の痕跡を残さない
      そうだ。」
ダーク「まるでマスターのようじゃないですか。」
ミスターT「その減らず口はこの口かっ。」
   冗談を言った彼女を捕まえ、両手で口元を捏ね繰り回す。それに悲鳴を挙げて降参するダーク
   であった。風来坊の流れに則っているミスターTの自然体の行為に、ダークは新鮮さを感じず
   にはいられないようである。


    その後も他の目撃者がいないかを徹底的に洗い出すミスターTとダーク。その2人に護衛と
   いう事で、リデュアスの姉のリヴュアスを着けたライディル達。
   リデュアスの姉という設定で登場したリヴュアスだが、実はフリハト本編では同一人物である
   のは何とも言い難い。
ダーク「でも不可解ですよね、痕跡すら残さない犯行は。」
ミスターT「シェヴが語った通り、内部の人物による犯行が有力だろう。」
リヴュアス「ライディル先輩の話では、今も捕まらない重要指名手配犯が5人いるそうです。恐らく
      この人物が主犯格かと思われます。」
ミスターT「ふむ・・・それでいて内部の人間というのは不思議だよな。」
   ここで3人は一同に更なる謎掛けをしてきた。この犯人の推測を行っている一同に対して、
   より一層混乱するような内容を語りだしたのだ。これに驚くしかない一同である。

ミスターT「しかし・・・お前さんもデカいよな。」
リヴュアス「妹とは双子ですので仕方がないかと・・・。」
    リヴュアスの容姿はエイラ達と同じく巨女である。フリハト本編では人工生命体という事も
   あって、肌の色は一般の人物よりも色白であった。
ミスターT「でもいい身体付きしてる、流石は生粋の警察官だろう。それにナイスバディだしな。」
リヴュアス「もうっ・・マスターったら・・・。」
ダーク「兄さんは女性がいると必ず口説きますよねぇ・・・。」
ミスターT「それが野郎の性さ。」
   小さく微笑む彼にダークとリヴュアスは笑い合う。普段見せない自然体の彼に好感を覚える
   のは言うまでもない。特にダークの場合は更に惚れ込み、リヴュアスは別の感情が芽ばえだし
   てもいた。



リヴュアス「了解です、お伝えします。」
    東京ドームの一般観客席でアルエキファイタの試合を観戦する3人。その中でリヴュアスが
   携帯による通話を終える。今の3人の流れは実際にアルエキファイタの試合はまだ見ていない
   という流れで、どういった内容なのかというのを確認する意味が込められているようだ。
リヴュアス「また襲撃されたレスラーがいたそうです。」
ダーク「またですか・・・。」
ミスターT「まるで脅威の感染力を持つ極悪ウイルスだな・・・。」
   今もドームの中央では試合が行われているが、裏の方ではレスラーが襲撃されている状態だ。
   これには3人も遣る瀬無い気分が襲ってくる。

    この時の試合はラダー、形式はトルネードタッグ2対2対2。リングはスマックダウン・B
   で、ルールはない。

    メンバーはヴィレス&ディムゼ・ロシル&バルネード・カイン&エイゼンの3ペアである。


模擬シーズン・バトル登場+試合動画



    (ラダーバトル終了)
    この試合も普段スポットを浴びない面々が選ばれた。特にラダーとなれば運が大きく絡む
   試合である。誰でも勝利できる可能性が高いのがウリであった。

    勝者はロシル&バルネード。このペアは運を掴み取っての勝者と言えるだろう。また試合を
   行えたという現実を噛み締めているようである。


ダーク「何だか面白そうですね。」
リヴュアス「そうですね。」
    この模擬シーズンでの流れでは、ダークもリヴュアスも格闘技に精通している。故に目の前
   で白熱した戦いが演じられれば、興味がそそるのは言うまでもない。

ミスターT「む・・・あいつらは何だ?」
    その2人を尻目にリングサイドに静かに現れた5人組がいた。黒いローブを着用しており、
   外観からは誰なのかは判断し難い。しかしここで彼の直感と洞察力が働き、相手が噂の襲撃者
   だと思ったようだ。
ミスターT「マズい、試合を終えた6人が襲われるぞ!」
   慌てて立ち上がると観客席の間を駆け抜けるミスターT。そのまま最前列まで走っていく。
   その彼にダークとリヴュアスも同伴し、脱兎の如く駆け出した。

    ミスターTの判断は正しかった。5人の黒ローブは突如試合を終えた6人を襲撃しだした。
   しかも試合会場で堂々とした襲撃である。これに観客席側は大混乱しだした。これがイベント
   なのか、それとも本当の襲撃なのか区別が付かないからだ。

    観客席の最前列へと向かって前方を見つめる3人。目の前でレスラーが襲撃されている様は
   本当の襲撃のようである。これにダークとリヴュアスは怒りが湧き上がっていく。
   その中でミスターTが傍らの2人の腰に手を回すと、何と目の前の高さに関係なしに飛び降り
   たのである。これに一同はリングサイドを見つめるよりも驚愕していた。


    目を瞑ったまま衝撃に耐えるダークとリヴュアスだったが、目を開けてみれば着地している
   状態だった。そのままミスターTに担がれたままリングへと向かって行く。
   現状を見て呆れて恥ずかしさが込み上げてくる2人だったが、どこか安心感を覚えてくる。
   実に不思議だと2人は思わざろう得ない。
ミスターT「リングに近づいたら放り投げる。その後黒ローブを逆襲撃、レスラーの安全を確保して
      くれ。」
ダーク&リヴュアス「りょ・・了解っ!」
   瞬く間にリングサイドへと詰め寄ったミスターTは、両手に抱えるダークとリヴュアスを凄ま
   じい勢いで放り投げた。その2人が上手い具合に襲撃場面に着地し、直ぐさま仲裁に入る。
   またミスターT自身もリングへと上がり、今正に襲撃を受けているレスラーを庇った。
黒ローブ1「だ・・誰だ貴様はっ!」
ミスターT「それはこちらの質問だ。数々のレスラーを襲撃し、世間を騒がせているようだな。」
黒ローブ2「なめた真似を、叩き潰してやる!」
   5人は黒ローブを剥ぎ取る。そこから現れたのはレスラーの出で立ちをした人物であった。
   つまり襲撃者はヴァルシェヴラームが指摘した通り、内部の人物によるものだったのだ。

    5人はミスターTを囲み、そのまま一斉に彼に襲い掛かった。ダークとリヴュアスは襲撃
   された6人をリング外へと運ぶのに集中していたため、ミスターTの方には手が回らない状態
   である。

    風来坊の世界観ではレスラーではないミスターT。相手は実力派のレスラーが5人いる。
   この場合は圧倒的に不利であろう。

    試合はハードコア、形式はタイムリミット。リングは現状のスマックダウン・B、ルールは
   ギブアップのみ。

    また襲撃者はボブ・ミッシェル・ゴルジェード・ニジェリア・ネヴジェリスの5人。その
   彼らがミスターTにターゲットを向けての試合となる。


模擬シーズン・ハードコアバトル登場+試合動画



    (ハードコアバトル終了)
    やはり襲撃者には悪陣営が似合うという事で選ばれた。悪陣営だけは3大ロイヤルランブル
   などで日の目を浴びているが、こういったイベント参加は初めての人物が多い。選ばれた5人
   は実に嬉しい表情を浮かべている。

    しかし試合結果は散々たるものだった。常に禁断覚醒を常用しているミスターTを相手に
   奮闘する5人だが、凄まじい破壊力の前に為す術がない。
   また現状の模擬シーズンではミスターTはレスラーではないという位置付け。その彼が5人を
   完膚無きまでに撃破した事実は衝撃を与えるには十分だった。

ダーク「・・・凄い・・・。」
    驚愕して開いた口が塞がらないダークとリヴュアス。既にミスターTの戦闘力は承知済みで
   あるが、役割上は初目撃をしたという流れである。
ミスターT「何だ、他愛のない。エリシェにちょっかいを出していた阿呆共よりは骨があったが、
      それでもゼラエル達には遠く及ばないな。」
   突然の乱入となったミスターT達に、観客側は大喝采で称えた。そこに現れるはチェアマンの
   ビィルガ達だ。いきなりの襲撃者に対応するために、トップクラスのレスラーを引き連れての
   登場となる。
デュウバD「あら・・・終わってる。」
ビィルガ「やはり内部の人物による犯行だったか。」
シェガーヴァ「落ちたものだな。」
   後から駆け付けた警備員に5人が連行されていく。その役割にはヴィアシールとヴァスタール
   が担っている。裏方の役割ではあるが、こういった模擬シーズンに参加できる事に感激して
   いるようだ。


ビィルガ「ふむ・・・お前さんがあいつらを始末したのか。」
ミスターT「始末という程じゃないがね。」
    リング上でミスターT達と対面するビィルガ達。今回初めて模擬シーズンに参加した彼ら。
   表情には出さないが、かなり緊張気味である。
シェガーヴァ「見る所、レスラーではなさそうですが。貴殿も格闘技に精通なされているので?」
ミスターT「いや、モグリさ。見様見真似でやっただけだよ。」
   この部分の返答は風来坊と同じものである。見様見真似でレスラーを撃退したという事実は、
   ある意味脅威そのものだろう。
ビィルガ「とにかく襲撃されたレスラー達に代わって感謝する、ありがとう。」
   前へと進み右手を差し出すビィルガ。その彼に右手を差し出したミスターT。このリスペクト
   は試合関係なしに心が湧き上がる瞬間だろう。

    しかし直後ドームの中央にある大型のエキシビジョンに黒ローブの人物が映し出される。
   それに観客席側はまだしも、運営陣のビィルガ達も驚いた。
黒ローブ「ほほぉ・・・我が配下を撃退するとはな・・・。無差別襲撃も今回でようやく阻止された
     訳か。」
ビィルガ「貴様が親玉か。我々の運営を邪魔し、仲間のレスラーを怪我させた罪は重いぞ。」
黒ローブ「何をぬかす。所詮レスラーなどプロレス運営団体からすれば金のなる木、使い捨ての手駒
     そのものだ。仲間とぬかす時点で手緩いな。」
   この黒ローブの発言で、一同を更なる混乱が襲う。それは襲撃者を操る陰の存在でビィルガが
   独り芝居を行っているとも思っていた。だがこの流れを見れば否定される現実だった。つまり
   内部の人物による犯行であっても、リーダー格は別にいるという事だからだ。
ミスターT「お前さん、ゼラエルと同じ事を言うんだな。」
黒ローブ「何だ貴様は?」
ミスターT「お節介焼きの世話焼きさ。だが不正は見逃せない性質でね。特に悪は叩き潰すのが信条
      なもんで。」
黒ローブ「貴様が我が配下を倒した輩か、なかなかやってくれる。」
ミスターT「あまりアルエキファイタをなめるんじゃないぞ。彼らは表向きはいがみ合っている姿を
      見せるが、根底は仲間意識が強い熱血漢の集まりだ。お前さんが逆恨みするほどの存在
      じゃない。おおよそ・・・相手にされないから腹癒せに襲撃を企てたんだろう?」
   ミスターTの発言に黒ローブは黙り込む。風来坊の世界観でもミスターTは切れ者で、相手を
   心理的に追い詰める戦術を得意としている。
   また覆面の風来坊を文面のストーリーという形で一同に記憶された。だがこうやって実際に
   役割を演じる彼を見て、無意識に心を躍らせる一同であった。
黒ローブ「なかなか腹立たしい事をほざく輩だ。」
ミスターT「つまり図星で認めるという事だな。よくビィルガ氏が役割で言うじゃないか。所詮は
      愚者の戯言だ、反論したけば立ち向かって来いと。」
黒ローブ「・・・いいだろう、次のターゲットは貴様だ。後悔するなよ。」
ミスターT「その言葉そっくり返す、創意に喰われないように注意しなよ。それとな・・・風来坊を
      なめるなよ・・・。」
   ここで彼の十八番の殺気と闘気を放出しだす。それは実際に出されるものであり、直接的にも
   間接的にも恐怖に慄くのは言うまでもない。

    ミスターTの言動の後、黒ローブは沈黙する。モニターはシグナルアウトの文字が映り、
   何事もなかったかのようになる。



ビィルガ「大丈夫かね?」
ミスターT「なるようになるさ、心配しなさんな。」
    場の雰囲気を変えるべく、本来なら行われない試合を行いだす。その間にミスターT達は
   ビィルガ達と運営室へと戻って行った。
シェガーヴァ「しかし厄介な事になりましたね・・・。」
デュウバD「アンタだけでやり合えるのかい?」
ミスターT「大丈夫さ。身内に末恐ろしいスペシャリストが大勢いるからね。それに簡単にやらせる
      ほど俺は弱くはないから。」
ビィルガ「何かあったら連絡をするんだ。我らからトップクラスのレスラーを派遣しよう。」
   ここで改めて握手を交わすミスターTとビィルガ。演出を通り越して、この場に参加できたと
   いう感謝を込めての握手のようだ。それに笑顔で応対するミスターTであった。



ダーク「何だか大変な事になりましたね・・・。」
    本店レミセンに戻ったミスターT達。一部始終を他の面々に伝える3人。それにこの上なく
   嬉しそうな表情を浮かべているのがナツミYUとシュームである。
ナツミYU「う〜・・・鳥肌が立ってきたわ・・・。」
シューム「思いっ切り充実した瞬間が来ましたねぇ〜・・・。」
ミスターT「何とも・・・。」
   風来坊本編でプロレスに精通するナツミYUは、アルエキファイタに接触できたという事に
   歓喜している様子だ。しかも運営側の人物と関われ、更には襲撃者に目の敵にされるまでに
   至ったのだから。
エシェラ「貴方1人で大丈夫?」
ラフィナ「何なら身辺警護しますよ?」
ミスターT「相手が大勢の場合はご足労して貰うよ。ありがとね。」
シューム「それとディル君の双子の妹さんも格闘技に精通しているそうよ。今度貴方に会いたいと
     言ってたわ。」
   ここでもオリジナルの設定が引かれる。風来坊ではディルヴェズには双子の妹は存在しない。
   4人の兄弟という設定ではあるが、この部分は彼女達のオリジナルの流れのようである。
ミスターT「ふむ・・・今度会ってみよう。」
シューム「よろしくね。」
ヴェアデュラ「できましたよ〜。」
ミスターT「おう、ありがとな。」
   手料理を完成させて持ってくるヴェアデュラ。年代的にエシェラと同じ世代だが、風来坊では
   赤ん坊という存在だ。こうやって成人の状態は、最終話に近い状態でなければありえない。
   ここもオリジナルの流れのようである。



    行く先が不透明で不安定だった大規模な模擬シーズン。ところが蓋を開ければ白熱した展開
   に発展していった。これには参加できた一同は大いに盛り上がり感謝に堪えなかった。
   特に覆面の風来坊を織り交ぜた事により、現実面でのストーリーも介入できる。模擬シーズン
   の流れも現実面のストーリーなだけに、このマッチングは歩み寄るべくして合わさったという
   事だろう。

    今後の展開が楽しみになってきた一同。全員がもれなく参加してのオリジナリティ溢れる
   展開に、誰もが大歓喜で続きを待ち侘びるのであった。

    第55話へと続く。

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