8th 閉ざされし記憶〜狂天使〜
8th
閉ざされし記憶〜狂天使〜


5年前、ロキはある研究所に所属していた。『ティル・ナ・ノーグ』そして、この日から数週間後・・・ロキはここから姿を消すことになる・・・。
「強化人間・・・?」
「そうです、人間に機械を取り付け、人間の限界以上の能力値を出すシステムですよ。」
「だが、そんなことをして被験体となったものは・・・。」
「強化人間となったものは意識は完全になくなるでしょう、しかし兵器としては十分な性能を発揮します・・・と、いうより意識がないのはむしろ都合がいいでしょう」
「ロキ君・・・君の考えは危険すぎる・・・我々にはそんな賭けをしている余裕はない。」
「・・・分かりました。」

ティル・ナ・ノーグ第4基地廊下
「強化人間とは・・・まったく、考えたものねぇ?」
「・・・・フィーナか。」
同じ研究所に所属しているフィーナ、ロキがゆういつ心を許す人物でもあった。
「いくらなんでも人に機械植え込むのは無理ね、死ぬわ、ハッキリ言ってあなたの考えは無茶すぎるのよ・・・。」
「・・・だが、上層の臆病者の逃げ腰に付き合えるほど俺は臆病じゃあない・・・。」

ティル・ナ・ノーグ第4基地会議室
「・・・強化人間の件ですが・・・あなた方は逃げているだけです、一歩踏み出さなければ何も始まりませんよ?」
「・・・だが・・・!」
「いいじゃないですか、やらせてやれば・・・『虎穴に入らずんば虎子を得ず』と言うでしょう?」
「・・・ヴォレッド!!」
ヴォレッドと呼ばれた男、それはタロットofナンバー首領であるはずのディスティニィ、彼もまたココの研究員であった。
「だが、強化人間なんて・・・危険すぎる、失敗すれば・・・」
「なら失敗してもあなたにすれば問題ない素材でやればいい・・・計画の責任者・・・とかね・・・そうすればいいわけも楽だ。」
「・・・俺に、被験体になれと言うのか・・・?」
「フフッ、君の発案した計画だ・・・君が責任を持つのは・・・当然だろう?それに自分の研究で死ねれば筵本望だろう?」
ディスティニィがロキに不適な笑みを見せる。
「フム・・その条件ならばこの計画を許可するが・・・どうする?」
「・・・・・・いいでしょう・・・やらせていただきます・・・。」

ティル・ナ・ノーグ第4基地ロキの部屋
「ロキ?いる?」
ノックと同時にフィーナの声が聞こえてきた。
「・・・フィーナか・・・何だ?」
「どうだった?あの計画、いよいよお蔵入り?」
フィーナがディスティニィとは全く正反対の不敵な笑みを見せる。
「・・・・・。」
「・・・?・・・どうしたのよ?」
「・・・・何でもない。」
「ん?ロキ、どこ行くの?」
ベッドに横たわっていたロキは、急に立ち上がり部屋を出て行った。
「ちょっとブラブラしてくる。」
「・・・・?」

ティル・ナ・ノーグ第4基地研究室
「ヴォレッド・・・・。」
「元気か?被験体君?」
「明日か・・・。」
「そうだな、首を長くして待ってるんだな。」
「・・・・ちっ、貴様はさぞかし気分が良いだろうな・・・」
「何のことかな?」
ロキがディスティニィに対し露骨に敵意を露にする
「安心しろ、強化人間といっても試験型・・・脳はそのまま残し、データを取るだけ取るそうだ。」
「・・・・生き地獄ってことか・・・。」
「残念だな?自分の計画なのに事が運べば上に盗られる・・・。」
ディスティニィが芝居がかった動きと声を出す、口元はいつも通りの笑みを浮かべていた。

次の日、ティル・ナ・ノーグ第4基地研究室
「これより、強化人間試作型R−P01の改造実験を開始する・・・準備はいいか?」
「・・・・。」
返答を待たずにロキの意識は遠のいていった。

数時間後
「ロキ・・・・生きてるか?」
「・・・終わったのか・・・、ぐぁ!?」
「体中の殆どか機械になっている・・・慣れるまで辛いだろうが、せいぜい頑張ることだな・・・。」
「・・・・ちっ。」
「なお、この企画は現段階では極秘だ、研究員でも極小数しか知らん・・・いいな?」

数週間後
「ロキ、最近あなた・・・何か変よ?」
フィーナが心配そうにロキの顔を覗き込む。
「・・・何がだ?」
「何か、体中怪我してるみたい・・・。」
「大丈夫だ・・・、何ともない・・・気にするな」
「そう・・・ならいいけど。」

ティル・ナ・ノーグ第4基地AC試験場
「何の用だ?出来ることなら貴様の顔など見たくもないんだが?」
そこにはACと同程度のサイズの機体と、ディスティニィがいた。
「やれやれ、そう睨むな・・・ロキ、お前に試してもらう機体がある・・・。」
「・・・何?」
「強化人間専用の機体『ルシファア』だ・・・普通の人間ならば操作中にGに耐え切れず中で死ぬが・・・強化人間である貴様なら耐え切るだろう、これが実践投入されれば・・・分かるな?」
「・・・俺は」
ロキが話そうとしたところに、ディスティニィが割って入る。
「お前に断る権利はない、乗れ、それが命令だ。」
「・・・・・・」
ロキはディスティニィを睨みながら、機体のコックピットへ向かった。

「・・・よし・・・テストを開始する・・・、ルシファア・・・テストモード機動・・・テスト・・・開始!!」
「!!・・・・ぐ・・・・。」
「ざざ・・・ロ・・・・ロキ・・・ざ・・・応・・・ざざー・・ざ・・・」
「・・・おい・・・操作が効かない・・・・応答しやがれ!ぐぁ!!!」
完全に操作を失ったルシファアが壁を突き破り研究所に突進する。
「ぐぁぁーーーー!!!こ、こいつ・・・・!!」
ロキが無理やり機体を曲げる、それによりバランスを失ったルシファアは研究所に横転する。
「!!・・・・。」
ロキの視界にフィーナが映る、倒れたルシファアの腕の下、下半身を無くし、半ば肉塊となったフィーナが。
「・・・・フィーナ!!」
元々下半身があった場所には今は赤く、醜い物がただただ広がっていた、その目は、まるでロキを見据えていた。
「・・・・う、うわぁぁーーーーーーー!!!!!!!」
自らの手でフィーナを殺した罪悪感と彼女が死んだ悲しみがロキに打ち寄せる、その時。
「ざざっ・・・ロキ・・・生きていたか。」
「・・・ヴォレッド・・・?貴様!!今どこいる!?」
「ククッ、お前が実験を開始したころ、上からの任務でちょっと基地にいなかったのさ・・・。」
「・・・・貴様・・・・!」
「・・・ククク・・・さすがロキだ・・・察しがいいな。」
「・・・・・・・・・・。」
「私の任務はこの基地の・・・いやロキ、お前の消去だ・・・そのためにルシファアに暴走するようプログラミングしておいた・・・。」
「・・・貴様ぁ!!!殺してやる!!殺してやる!!!絶対に!!!」
「クク・・・これで組織にとっても・・・私にとっても邪魔者は消えたことになる・・・ルシファアは、まもなく自爆する・・・じゃあな、ロキ」
「・・・・・クソッ!!クソォォーーーー!!!!」
それから数分後、ネオアイザックを南に下りた辺りで爆発が起きた、表向きには『全滅』とされた。

2年前タロットofナンバー基地
「ラスト・ヘルだ!!ロキが襲撃してきた!!」
「ディスティニィ!!今日こそ・・・貴様を、殺す!!」
そして、ロキは復讐に生きる・・・。
〜投稿者 アビスさん〜

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